(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、電子時計には、時刻合わせなどに使用される手段としてりゅうずやプッシュボタンなどが設けられている。一般的には、電子時計は、りゅうずが押し込まれている状態では、通常の時刻表示用の運針を行い、りゅうずが引かれている状態では、運針を停止し、この状態でりゅうずを回転したり、プッシュボタンを押すことにより、時刻合わせが可能となる。
【0003】
このように、りゅうず引き状態では、運針を停止しているため、内部回路を動作させる必要がなく、低消費電力状態となる。従って、電池の消費量が抑えられ、保管や運搬はこのような状態で行われる。そのため、検査では、通常の運針時同様、この状態での消費電流測定も必要となる。
【0004】
消費電流測定と並び、電子時計の検査においては、計時精度を検査する歩度測定が行われる。歩度測定は、完成された時計状態でも行わなければならないため、回路基板などから直接信号を取り出すのではなく、モータコイルにパルスを印加し、発生する磁界を歩度測定装置に設けられたコイルで検出し、その検出信号の間隔を測定する、といった方法がとられる。
【0005】
多くの電子時計では、1秒あたり1発の運針パルスを歩度測定にも使用するのが一般的である。しかし、1秒を複数回の運針パルスにより駆動される多ビートスイープ運針の電子時計が存在する。このような電子時計では、運針パルスによる歩度測定が困難であるため、歩度測定は、りゅうず引き状態で歩度測定専用のパルスを出力させて行なう、といった方法がとられる。
【0006】
また、電子時計には年間10秒程度以内の精度(以下、年差精度という)を持つものがあり、それらは間欠的に周囲の温度測定および測定値に応じた温度補償を行うことにより、その精度を実現している。
【0007】
このような高い精度を求められる電子時計では、りゅうず引き状態での歩度測定においても温度補償機能を有効にする必要がある。温度補償による温度測定は、抵抗とコンデンサで構成されたCR発振器の温度特性を利用した温度センサを動作させるため、温度測定自体の消費電流が非常に大きくなり、それと消費電流測定が重なる場合、安定した正確な消費電流測定を行うことが困難である、という問題があった。
【0008】
図16は、従来技術の電子時計の動作を示すタイミングチャートである。SG1は、りゅうずの状態を表す信号であり、Lowレベルでりゅうずが押し込まれた状態、Highレベルで引かれた状態を表す。SG4はパルス信号である。SG5は、温度測定信号であり、Highレベルで温度測定状態を表す。
【0009】
期間T1では、電子時計は、パルス信号SG4に運針パルスPを出力し、通常の多ビート運針を行う。タイミングTM1でりゅうず引き状態となると、パルス信号SG4からは、歩度測定用の歩度パルスS1〜S5が1秒周期で出力される。
【0010】
測定期間T2,T3は消費電流測定が行われる周期で、この場合2秒周期である。測定
期間T4は、温度測定が行われる周期で、例えば60秒である。
【0011】
歩度パルスS1から2秒周期で消費電流測定が開始され、温度測定が歩度パルスS3とS4の間で行われるとすると、1回目の測定期間T2では温度測定が行われず、2回目の測定期間T3では温度測定M2が行われることになる。
【0012】
これにより、測定期間T3の消費電流は測定期間T2の消費電流に比べ、温度測定M2による消費電流分多くなる。従って、安定した消費電流測定を行うためには、温度測定が終了するのを待って行う必要があり、検査時間が長くなってしまう。
【0013】
そこで、特許文献1および2では、スイッチ操作により温度補償機能を停止するという技術が開示されており、これにより待ち時間がなく正確な消費電流測定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明に係る電子時計の実施形態について説明する。
[本発明の電子時計の説明]
図15は、本発明に係る電子時計10の図である。1501は、時間を表示する時針、1502は、分を表示する分針、1503は秒を表示する秒針である。11は、指針モジュールであり、時針1501、分針1502、秒針1503、モータ(図示しない)、モータの動作を時針1501、分針1502、秒針1503に伝える輪列(図示しない)などから構成されている。
【0021】
1504は、りゅうずである。りゅうずが押し込まれた状態(以下、りゅうず押し状態という)1504a、引かれた状態(以下、りゅうず引き状態という)1504bまたは、回転状態1504c、1504dをとることにより、電子時計10は、所定動作を行う。ここで、回転状態1504cは、りゅうず押し状態での回転動作であり、回転状態1504dは、りゅうず引き状態での回転動作とする。1505は、プッシュボタンであり、押されることにより、電子時計10は、所定動作を行う。
【0022】
電子時計11は、りゅうずが押し込まれた状態では、秒針1503を1秒間に16発の運針パルスにより駆動している。これにより、1秒ごとに動いたり停止したりを繰り返す動作ではなく、なめらかに秒針1503が移動するように見えるスイープ運針を実現することができる。
【0023】
時針1501、分針1502は、秒針1503と輪列で機械的に接続されており、秒針1503が1週回転すると分針1502は、6度回転する、分針1502が1週回転すると、時針1501は、30度回転するように構成されている。
【0024】
本発明の例において、りゅうず押し状態1504aでのプッシュボタン1505の操作、およびりゅうずの回転状態1504cは、電子時計10の動作に影響を及ぼさないものとする。
【0025】
本発明の例において、りゅうず引き状態1504bでは、電子時計10は秒針を停止する。また、回転状態1504dとすることにより、秒針1503が回転し、位置修正を行うことができる。このとき、秒針1503の回転は、機械的に行われても良いし、回転状態1504dを検出した回路がモータを駆動して行っても良い。
【0026】
さらに、プッシュボタン1505を押すことにより、秒針1503のより微妙な調整を行わせることもできる。
【0027】
本発明の例では、
図15に示した時計を想定しているが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。りゅうず1504は、多段階の状態を持ってもよいし、プッシュボタンは、複数個備えていても良い。また、日を表示する機能を持っていてもよい。モータは、時針1501および分針1502用と、秒針1503用の2つで構成されても良いし、すべて独立して駆動するように構成されても良い。
【0028】
[本発明の概略説明]
図1は、本発明に係る電子時計10の構成を示すブロック図である。
図1において本発明の電子時計10は、発振手段101、分周手段102、制御手段103、温度測定手段104、記憶手段105aを備える温度補償値生成手段105、操作検出手段106、駆動手段107、りゅうず1504、プッシュボタン1505、指針モジュール11から構成されている。
【0029】
発振手段101は、水晶振動子を発振させ、所定周波数を持つ発振信号を出力する。電子時計において、所定周波数は、1/2分周を繰り返すことにより1Hzの信号を得ることができる32768Hzや262144Hzが多く用いられる。
【0030】
発振手段101内の水晶には、接続/切断可能なスイッチを介して所定値の容量が、基準電位との間に設けられており、この容量を接続することにより、切断した場合より周波数を遅めに調節することが可能である。
【0031】
分周手段102は、発振手段101から出力された発振信号を分周し、モータ駆動のタイミングや、温度補償のタイミングを生成する、計時用カウンタで構成される。分周手段102は、その分周比が変更できるように構成されている。
【0032】
発振手段101と分周手段102とで、電子時計100内の各種タイミング信号を作成するタイミング信号作成手段を構成している。
【0033】
分周手段102は、例えばセット端子付きD型フリップフロップ(以下、DFFという)が多段に接続されるように構成されるカウンタで、各段のDFF出力がLowレベルのときセットすることにより周波数を進み方向に調整、DFFのクロック入力の有効エッジのタイミングでセット状態を維持することにより遅延方向に調整することができるものである。
【0034】
制御手段103は、分周手段102より受けた時刻信号に従い、駆動手段107に対しモータパルスの出力指示であるパルス信号SG4、温度測定手段104および温度補償値生成手段105に対し温度補償実行を指示する。また、操作手段106からの指示に従い、温度測定手段104へ禁止信号SG3および、駆動手段107へパルス信号SG4を出
力する。
【0035】
制御手段103は、CPUを用いて、プログラムメモリに書き込まれたプログラムにより処理を動作させるように構成されても良いし、ロジック回路で処理を実行するよう構成されても良い。
【0036】
温度測定手段104は、温度を検知するセンサと、センサ状態の検出回路とで構成される。本発明では、センサとしてコンデンサと抵抗で構成されるCR発振回路、検出回路としてカウンタ回路を想定している。このCR発振回路は、周囲温度に依存して発振周波数が変化する特性を持つ。CR発振回路からの発振信号をカウンタ回路で一定時間カウントすることにより、そのカウント値より周囲温度を検出することができる。
【0037】
ここで、本発明では、センサとしてCR発振回路、検出回路としてカウンタ回路を想定してるが、それに限るものではなく、サーミスタと抵抗による抵抗分割電圧をアナログデジタル変換器で変換して温度を検出するような、温度を測定してデジタル値に変換できる構成であれば良い。
【0038】
温度補償値生成手段105は、温度測定手段104からのカウント値に従い、温度補償値を生成し、発振手段101または分周手段102の周波数を補正する。例えば、あらかじめ温度に対応した補正値が格納されたメモリからカウント値に対応した値を読み出し、その値に従い発振手段101内の容量の接続、切断することで発振手段101の発振周波数を変更し、あるいは、分周手段102の分周比を変更することにより分周手段102出力タイミング信号の周波数を変更することで、周波数調整を行う。なお、発振手段101と分周手段102の両方に対して周波数調整を行っても良い。
【0039】
操作検出手段106は、りゅうず1504およびプッシュボタン1505からの信号を受け取り、制御手段へ出力する。具体的には、りゅうず1504およびプッシュボタン1505が操作されたときに混入するノイズを除去し、操作状態が確定された信号を出力する。
【0040】
駆動手段107は、制御手段103から出力されたパルス信号SG4を指針モジュール11内のモータを駆動する信号に変換する回路である。
【0041】
指針モジュール11、りゅうず1504、プッシュボタン1505は、
図15と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0042】
[第1の実施形態の構成]
次に、
図1から
図6を用いて、本発明の第1の実施形態に係る電子時計の動作を説明する。
【0043】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートであり、制御手段103の動作手順を示している。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る制御手段103のブロック図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る温度補償処理の手順を示すフローチャートである。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る電子時計の動作を示すタイミングチャートである。
【0044】
[制御手段の説明]
図3に示すように、本実施例の制御手段103は、操作判定手段301、温度測定禁止手段302、パルス制御手段303、歩度パルス生成手段304および運針パルス生成手
段305から構成されている。
【0045】
操作判定手段301は、りゅうず1504からりゅうず信号SG1を受け取り、りゅうず1504が回転状態1504c、1504dであるかりゅうず押し状態1504aであるかまたはりゅうず引き状態1504bであるかを判断する。また、プッシュボタン1505からプッシュボタン信号SG2を受け取り、プッシュボタンが操作されたかを判断する。
【0046】
温度測定禁止手段302は、操作判定手段301からの判定結果に従い、温度測定の禁止信号SG2を出力する。
【0047】
運針パルス生成手段305は、操作判定手段301からの判定結果に従い、モータ駆動用のパルス信号を生成する。
【0048】
歩度パルス生成手段304は、操作判定手段301からの判定結果に従い、歩度測定用のパルス信号を生成する。
【0049】
パルス制御手段303は、操作判定手段301からの判定結果に従い、運針パルス生成手段305から出力されるモータ駆動用パルスと歩度パルス生成手段305から出力される歩度測定用パルスのどちらかを選択してパルス信号SG4として駆動手段107へ出力する。
【0050】
[第1の実施形態の動作]
本発明の電子時計は、
図2に示すように、りゅうず押し状態1504aで動作を開始すると、運針動作を開始する(SP201)。具体的には、分周回路102から受け取る時刻情報が運針タイミングに達すると、駆動手段107に対しモータ駆動用のパルス信号SG4を出力する。本発明では、1秒間を16発の運針パルスで運針(以下、16ビートという)を行う電子時計を例に上げる。
【0051】
この状態では、りゅうず押し状態1504aであり、プッシュボタン1505は操作されていないため、温度測定禁止手段302は、禁止信号SG2を温度測定許可状態であるLowレベルとする。
【0052】
さらに、操作判定手段301は、運針パルス生成手段305には運針パルスを生成するように、歩度パルス生成手段304には歩度パルスを停止するように指示をだす。そして、パルス制御手段303には、運針パルスをパルス信号SG3として出力するよう指示を出す。
【0053】
図6の期間T61に示すように、りゅうず押し状態1504aが維持されている間は、操作判定手段301はパルス制御手段303に対し16ビートのパルス信号SG4を出力し続ける。このとき、禁止信号SG3はLowレベルなので、温度測定は許可されており、
図6のM1に示すように温度測定が行われる。
【0054】
SP202において、操作判定手段301は、りゅうず1504またはプッシュボタン1505の操作があったかを判定する。操作がなかった場合(NO)は、SP204へ進み温度補償を実行するタイミングか確認を行う。温度補償実行タイミングではない場合(NO)はSP202へ戻り、16ビート運針を継続する。
【0055】
SP202で操作が検出された場合(YES)、制御処理SP204を開始する。
図4のSP401において、操作判定手段301は、検出された処理がりゅうず1504によ
るものか、プッシュボタン1505によるものかを判定する。プッシュボタン1505を押すことによる操作であった場合(YES)は、対応する処理を行う(SP409)。この場合は、りゅうず押し状態1504aであるので、本発明の電子時計10の動作に影響を及ぼさないため、対応する処理はなく、なにもしない。
【0056】
同様に、回転状態1504cと判定された場合も対応する処理はない。
【0057】
制御処理SP203が完了すると、温度補償を実行するタイミングか確認を行う(SP204)。ここで、温度補償実行タイミングではない場合(NO)はSP202へ戻り、16ビート運針を継続する。
[制御処理の説明]
SP202において操作が検出され(YES)、続くSP401において、操作判定手段301によりプッシュボタン1505の操作ではないと判定された場合(NO)は、りゅうずの回転状態1504cであるか判定される(SP410)。回転状態と判定される(YES)と、対応処理を実行したのち戻る。
【0058】
SP410でNOと判定された場合、りゅうず1504の押しまたは引き操作と判定され、SP402においてりゅうず押し状態1504aへの操作か、りゅうず引き状態1504bへの操作かの判定が行われる。
【0059】
SP402においてりゅうず引き状態1504bへの操作と判定された場合は、操作判定手段301からの指示により、運針パルス生成手段305は16ビートの運針を停止し(SP403)、歩度パルス生成手段304は歩度パルスS1〜S4の出力を開始する(SP404)。そして、パルス制御手段303は、歩度パルスS1〜S4を選択し、パルス信号SG4として出力する。
【0060】
さらに、操作判定手段301は、温度測定禁止手段302に対し温度測定を禁止とするよう指示を出す(SP405)。具体的には、
図6のタイミングTM1に示すように禁止信号SG3をHighレベルとする。それにより、温度測定タイミングM2に示すように、温度測定が行われなくなる。
【0061】
りゅうず引き状態1504bにおいて操作判定手段301がプッシュボタン1505が操作されたと判定した場合あるいは、回転状態1504dと判定された場合、SP409の対応処理を実行する。対応処理については、本発明とかかわりがないため、詳しい説明は行わない。対応処理の例としては、秒針の位置合わせなどがある。
【0062】
SP402において、操作判定手段301により、りゅうず押し状態1504aへの操作と判定された場合は、操作判定手段301の指示により、
図6のタイミングTM2に示すように歩度パルス生成手段304は、歩度パルスS1〜S4の出力を停止し(SP406)、運針パルス生成手段305は、16ビートのパルスの生成を開始する(SP407)。
【0063】
そして、パルス制御手段303に対しては、16ビート運針パルスを選択し、パルス信号SG4として出力するように指示を出す。さらに、温度測定禁止手段302に対し、温度測定の禁止を解除するよう指示を出す(SP408)。具体的には、禁止信号SG3をLowレベルとする。これで制御処理SP203が終了し、続いてSP204へ進み温度補償を実行するタイミングか確認を行う。
【0064】
[温度補償処理の説明]
SP204において温度補償のタイミングと判定された場合(YES)は、温度補償処
理を行う。
【0065】
図5のSP501において、禁止信号SG2がLowレベルであり温度測定禁止ではない(NO)と判定された場合は、
図6のM1またはM3に示すように温度測定を行い(SP505)、その測定値を記憶手段105aに記憶させ(SP506)、その値を用いて温度補償値を生成する(SP503)。具体的には、記憶手段105aから記憶した値を読み出し(SP502)、温度補償を実行する(SP504)。温度補償の実行は、例えば、発振手段101内の容量の接続、切断および分周回路102内のDFFのセットにより行われる。
【0066】
本実施形態では、記憶手段105aから読みだした値をそのまま温度補償値として用いているが、記憶手段105aに記憶する値は、温度補償値を算出するための値、例えばオフセット値などでも良く、この値を用いた演算処理により温度補償値を求めても良い。そのようにすることで、記憶手段105aの記憶容量、回路規模などを削減することが可能となる。
【0067】
図5のSP501において、禁止信号SG2がHighレベルであり温度測定禁止である(NO)と判定された場合は、
図6のM2に示すように温度測定タイミングであっても温度測定を行わず、記憶手段105aより前回の温度測定において記憶された値を読み出し、(SP502)、温度補償値を生成し(SP503)温度補償を実行する(SP504)。
【0068】
温度補償処理SP205が終了すると、操作判定SP202へ戻り、一連の処理を繰り返す。
【0069】
このように、第1の実施形態によれば、温度測定を禁止することにより、消費電流測定において、測定開始後即座に安定した測定結果が得られる。また、記憶された値を用いて温度補償を行うことにより、歩度測定において、高精度の歩度測定を行うことができる。従って、消費電流測定と歩度測定を同時に行うことができるため、検査工程の削減、時間の短縮が可能となる。
【0070】
[第2の実施形態の構成]
続いて、
図1〜
図3、
図5、
図7および
図8を用いて本発明に係る第2の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0071】
図7は、第2の実施形態の電子時計に係る制御処理の手順を示すフローチャートであり、制御手段103の動作手順を示している。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る電子時計の動作を示すタイミングチャートである。
【0072】
[第2の実施形態の動作]
第2の実施形態の動作は、りゅうず引き状態1504bにおけるプッシュボタン1505操作による動作以外は第1の実施形態と同様であるため、その他の動作の詳細な説明は省略する。
【0073】
図7のSP402においてりゅうず引き状態1504bへの操作と判定された場合は、操作判定手段301からの指示により、第1の実施形態と同様に、パルス信号SG4から歩度パルスS1〜S4を出力する(SP404)とともに、禁止信号SG3をHighレベルとして温度測定を禁止する(SP405)。
【0074】
運針パルス生成手段305は16ビートの運針を停止し(SP403)、歩度パルス生成手段304は歩度パルスS1〜S4の出力を開始する(SP404)。そして、パルス制御手段303は、歩度パルスS1〜S4を選択し、パルス信号SG4として出力する。
【0075】
さらに、操作判定手段301は、温度測定禁止手段302に対し温度測定を禁止とするよう指示を出す(SP405)。具体的には、
図6のタイミングTM1に示すように禁止信号SG3をHighレベルとする。それにより、温度測定タイミングM2に示すように、温度測定が行われなくなる。
【0076】
りゅうず引き状態1504bで、操作判定手段301が
図7のSP402においてプッシュボタンの操作と判定した(YES)場合、SP409の対応処理を実行する。
【0077】
対応処理の実行終了後、操作判定手段301は、温度測定禁止手段302に対し、禁止信号SG2をLowレベルとするよう指示を出す。これにより、
図8のタイミングTM3に示すように、温度測定禁止手段は禁止信号SG2をLowレベルとし、温度測定禁止が解除され、りゅうず引き状態1504bであっても温度測定タイミングM3で温度測定が実行されることになる。
【0078】
このように、第2の実施形態によれば、消費電流測定と歩度測定を同時に行うことができるため、検査工程の削減、時間の短縮が可能となるとともに、検査工程が終了したのち、りゅうずを戻すことなく温度測定を伴った温度補償を行わせることができる。従って、低消費電流かつ、高精度の計時が行われる状態での保管、輸送などが可能となる。
【0079】
[第3の実施形態の構成]
続いて、
図1、
図5、
図7、
図9〜
図11を用いて本発明に係る第3の実施形態について説明する。尚、第1または第2の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0080】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る制御手段103のブロック図である。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートである。
図11は、本発明の第3の実施形態に係る電子時計の動作を示すタイミングチャートである。
【0081】
図9において、901は、禁止期間計測手段である。禁止期間計測手段901は、温度測定禁止の時間を計測するタイマで構成されている。禁止期間計測手段901は、操作手段301からの指示により温度測定禁止手段を制御するための禁止解除信号SG5を出力する。
【0082】
第3の実施形態の制御手段103の構成は、第1および第2の実施形態とは、禁止期間計測手段901だけが異なるため、他の構成要素の説明は省略する。
【0083】
[第3の実施形態の動作]
第3の実施形態の動作は、りゅうず引き状態1504bにおける動作以外は第2の実施形態と同様であるため、その他の動作の詳細な説明は省略する。
【0084】
第3の実施形態では、
図4に示すように、りゅうず引き状態1504bとなると、第1および第2の実施形態と同様に、操作判定手段301からの指示により、パルス信号SG4から歩度パルスS1〜S4を出力する(SP404)とともに、禁止信号SG3をHighレベルとして温度測定を禁止する(SP405)。
【0085】
この状態は、りゅうず引き状態1504bかつ温度測定禁止状態であり、
図10におけ
るSP1001の判定の結果(YES)、SP1002へ進む。
【0086】
この状態へ移行したときは、時間計測を開始していないので、SP1002の判定はNOとなり、操作判定手段301は、禁止期間計測手段901に対し、時間計測を開始するよう指示を出す(SP1003)。具体的には、タイマーをスタートさせる。
【0087】
りゅうず1504またはプッシュボタン1505の操作が行われず、SP1004において所定時間経過と判断される(YES)と、
図11のタイミングTM4に示すように、禁止期間計測手段901が温度測定禁止手段302に対し、禁止信号SG2をLowレベルとするように禁止解除信号SG5を出力する(SP1005)。
【0088】
ここでの所定時間は、例えば、検査工程において消費電流測定および歩度測定などの作業時間を考慮してあらかじめ設定しておけば良い。
【0089】
これにより、
図11のタイミングTM4に示すように、温度測定禁止手段は禁止信号SG2をLowレベルとし、温度測定禁止が解除され、りゅうず引き状態1504bであっても温度測定タイミングM3で温度測定が実行されることになる。
【0090】
本実施形態では、タイマーで禁止信号SG2を解除する例を上げたが、第1の実施形態と合わせて、タイマー、プッシュボタンどちらでも解除可能なように構成しても良い。
【0091】
このように、第3の実施形態によれば、消費電流測定と歩度測定を同時に行うことができるため、検査工程の削減、時間の短縮が可能となるとともに、検査工程が終了したのち、りゅうずおよびプッシュボタンの操作をすることなく温度補償を行わせることができる。従って、操作の削減が図れ、低消費電流、かつ高精度の計時が行われる状態での保管、輸送などが可能となる。
【0092】
[第4の実施形態の構成]
続いて、
図1、
図5、
図7、
図12〜
図14を用いて本発明に係る第4の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0093】
図12は、本発明の第4の実施形態に係る制御手段103のブロック図である。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートである。
図14は、本発明の第4の実施形態に係る電子時計の動作を示すタイミングチャートである。
【0094】
図12において。1201は、解除期間計測手段である。解除期間計測手段1201は、温度測定解除の時間を計測するタイマで構成されている。解除期間計測手段1201は、操作手段301からの指示により温度測定禁止手段を制御するための禁止移行信号SG6を出力する。
【0095】
第4の実施形態の制御手段103の構成は、第3の実施形態とは、解除期間計測手段1201だけが異なるため、他の構成要素の説明は省略する。
【0096】
[第4の実施形態の動作]
第4の実施形態の動作は、りゅうず引き状態1504bにおいてプッシュボタン1505の操作により温度測定禁止を解除するまでは第2の実施形態と同様であるため、その他の動作の詳細な説明は省略する。
【0097】
図7のSP402においてりゅうず引き状態1504bへの操作と判定された場合は、
操作判定手段301からの指示により、第2の実施形態と同様に、パルス信号SG4から歩度パルスS1〜S4を出力する(SP404)とともに、禁止信号SG3をHighレベルとして温度測定を禁止する(SP405)。
【0098】
次に、
図7のSP401でプッシュボタンの操作と判定した(YES)場合、操作判定手段301の指示により、温度測定禁止手段302は、禁止信号SG2をLowレベルとし、温度測定禁止を解除する(SP701)。
【0099】
この状態は、りゅうず引き状態1504bかつ温度測定有効状態であり、
図13におけるSP1301の判定の結果(YES)、SP1302へ進む。
【0100】
この状態へ移行したときは、時間計測を開始していないので、SP1302の判定はNOとなり、操作判定手段301は、解除期間計測手段1201に対し、時間計測を開始するよう指示を出す(SP1303)。具体的には、タイマーをスタートさせる。
【0101】
りゅうず1504またはプッシュボタン1505の操作が行われず、SP1304において所定時間経過と判断される(YES)と、
図14のタイミングTM5に示すように、解除期間計測手段1201が温度測定禁止手段302に対し、禁止信号SG2をHighレベルとするように禁止移行信号SG6を出力する(SP1305)。
【0102】
ここでの所定時間は、例えば、りゅうず引き状態1504bにおいて長時間使用しない状況、倉庫に保管中などと判断する時間や、温度測定を必要とする別工程の作業時間を考慮してあらかじめ設定しておけば良い。
【0103】
これにより、
図14のタイミングTM5に示すように、温度測定禁止手段302は禁止信号SG2をHighレベルとし、温度測定が禁止され、温度測定タイミングM4で温度測定が実行されない。
【0104】
さらに、歩度パルス生成手段304に対し、歩度パルスを停止するように指示を出す(SP1306)。これにより、
図14に示すように制御手段103からのパルス信号SG4には運針パルス、歩度パルスS6,S7とも出力されなくなる。従って、より低消費電流状態とすることが可能である。
【0105】
本実施形態では、プッシュボタン1505で禁止信号SG2を解除する第2の実施形態をもとに説明したが、タイマーで禁止信号SG2を解除する第3の実施形態をもとにしても良い。また、タイマーにより禁止移行信号SG6の出力タイミングを生成しているが、プッシュボタン1505の操作タイミングで出力するよう構成することも可能である。
【0106】
また、本実施形態では、解除期間計測手段1201が禁止移行信号SG6を出力するとき、歩度パルスを停止しているが、電子時計10に搭載される電源に余裕がある場合は、歩度パルスを停止する必要がなく、処理の簡素化が図れる。
【0107】
このように、第4の実施形態によれば、消費電流測定と歩度測定を同時に行うことができるため、検査工程の削減、時間の短縮が可能となるとともに、温度測定の実行が必要とされる別の検査工程のため、一旦温度測定禁止を解除したとしても、再度温度測定が禁止されることにより、低消費電流かつ、高精度の計時が行われる状態での保管、輸送などが可能となる。
【0108】
以上の実施形態では、りゅうずやプッシュボタンにより温度測定の禁止制御やその解除を行う実施例で説明を行ってきたが、もちろんこれに限定されない。
【0109】
例えば、無線通信機能を備えた時計であれば、その無線通信機能を用いて温度測定の禁止制御やその解除を行っても良い。このようにすれば、操作手段の操作が不要になるので、消費電流や歩度の測定を自動化することが可能となる。
【0110】
また、無線通信機能として指針駆動用モータのコイルを利用して通信を行えば、無線通信機能を簡単に装備することが出来る。