特許第6138545号(P6138545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138545
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】オイルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3232 20160101AFI20170522BHJP
【FI】
   F16J15/3232 201
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-72859(P2013-72859)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196796(P2014-196796A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104490
【氏名又は名称】キーパー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆一
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−281013(JP,A)
【文献】 特開2012−193826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/32
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側の端面に設けられた凸部と反対側の端面に設けられた凹部とを備えるずれ防止手段を有し、前記凸部は、複数のオイルシールがそれらの中心軸線を揃えて同じ向きに重ねられた場合に隣接する他のオイルシールの前記凹部に挿入されるものであり、前記凸部が隣接する前記他のオイルシールの前記凹部に挿入されている状態において、前記凸部と前記他のオイルシールの前記凹部との間には隙間が設けられ、かつ前記ずれ防止手段は前記凸部を前記他のオイルシールの前記凹部から前記中心軸線の方向に引き抜く場合に当たる凹部側当たり面と凸部側当たり面を備えることを特徴とするオイルシール。
【請求項2】
グリース塗布面が設けられているサイドリップを有すると共に、前記隙間は前記凸部の前記凹部に対する径方向の移動を許容する径方向移動可能隙間であり、前記径方向移動可能隙間は、複数のオイルシールがそれらの中心軸線を揃えて同じ向きに重ねられた状態で発生する前記サイドリップの前記グリース塗布面と隣接するオイルシールとの間の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項記載のオイルシール。
【請求項3】
前記凹部側当たり面は前記凹部の外側周面に設けられた斜面であり、前記凸部側当たり面は前記凸部の外側周面に設けられた斜面であり、前記凸部側当たり面の最大径は前記凹部側当たり面の最小径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載のオイルシール。
【請求項4】
前記凹部側当たり面は前記凹部の内側周面に設けられた斜面であり、前記凸部側当たり面は前記凸部の内側周面に設けられた斜面であり、前記凸部側当たり面の最小径は前記凹部側当たり面の最大径よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のオイルシール。
【請求項5】
前記凸部の先端の縁部と前記凹部の入口の縁部とのうち少なくともいずれか一方には、曲面又はテーパー面が設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載のオイルシール。
【請求項6】
前記凸部は前記一側の端面の全周に亘り設けられていると共に、前記凹部は前記反対側の端面の全周に亘り設けられていることを特徴とする請求項1からのいずれか1つに記載のオイルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルシールに関する。さらに詳述すると、本発明は、輸送時や保管時等に中心軸線を揃えて同じ向きに重ねるのに適したオイルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
オイルシールは出荷時に上下に積み重ねて搬送されるものであり、積み重ねた状態でのオイルシール同士の密着防止をするために、端面に凸部を設けることがある(特許文献1)。このオイルシールを図9,10に示す。オイルシール101の一側の端面101aには放射状に並べられた複数の凸部102が、反対側の端面101bには環状の凸部103がそれぞれ設けられており、重ねた時に放射状凸部102と環状凸部103とを突き合わせることで隣接するオイルシール101の端面101a,101bとの接触を点接触にして端面101a,101b同士の密着防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第2598571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成では、オイルシール101を積み重ねた時に隣接するオイルシール101の放射状凸部102と環状凸部103とを突き合わせているので両者間に生じる摩擦力が小さく、輸送時や組立作業時の振動、衝撃等によって、積み重ねていたオイルシール101がずれたり荷崩れることがあり、リップ104等の弾性体で形成された部位が芯金等の硬質な部位との接触によって損傷したり、リップ104に荷重が長時間作用することでリップ104が変形してしまう虞がある。
【0005】
また、積み重ねていたオイルシール101のずれや荷崩れによって、リップ104に塗布されたグリースが他の部位に接触して付着することもある。特に、オイルシール101に側方に延びるサイドリップが設けられている場合には、当該サイドリップに塗布されているグリースが隣接するオイルシール101に付着する虞が高まる。
【0006】
そして、これらの問題は複数のオイルシール101を上下に積み重ねた場合に限られず、一つ一つのオイルシール101を立てた状態で横に並べた場合についても同様である。
【0007】
本発明は、縦に積み重ねたり横に並べた場合にずれや荷崩れが発生し難いオイルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、請求項1記載のオイルシールは、一側の端面に設けられた凸部と反対側の端面に設けられた凹部とを備えるずれ防止手段を有し、凸部、複数のオイルシールがそれらの中心軸線を揃えて同じ向きに重ねられた場合に隣接する他のオイルシールの凹部に挿入されるものであり、凸部が隣接する他のオイルシールの凹部に挿入されている状態において、凸部と他のオイルシールの凹部との間には隙間が設けられ、かつずれ防止手段は凸部を他のオイルシールの凹部から中心軸線の方向に引き抜く場合に当たる凹部側当たり面と凸部側当たり面を備えるようにしたものである。
【0010】
また、請求項記載のオイルシールは、グリース塗布面が設けられているサイドリップを有すると共に、凸部と凹部との間の隙間は凸部の凹部に対する径方向の移動を許容する径方向移動可能隙間であり、径方向移動可能隙間は、複数のオイルシールがそれらの中心軸線を揃えて同じ向きに重ねられた状態で発生するサイドリップのグリース塗布面と隣接するオイルシールとの間の間隔よりも狭いものとしている。
【0012】
また、請求項記載のオイルシールは、凹部側当たり面は凹部の外側周面に設けられた斜面であり、凸部側当たり面は凸部の外側周面に設けられた斜面であり、凸部側当たり面の最大径を凹部側当たり面の最小径よりも大きくしている。
【0013】
また、請求項記載のオイルシールは、凹部側当たり面は凹部の内側周面に設けられた斜面であり、凸部側当たり面は凸部の内側周面に設けられた斜面であり、凸部側当たり面の最小径を凹部側当たり面の最大径よりも小さくしている。
【0014】
また、請求項記載のオイルシールは、凸部の先端の縁部と凹部の入口の縁部とのうち少なくともいずれか一方には、曲面又はテーパー面が設けられている。
【0015】
さらに、請求項記載のオイルシールは、凸部が一側の端面の全周に亘り設けられていると共に、凹部が反対側の端面の全周に亘り設けられている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のオイルシールでは、中心軸線を揃えて同じ向きに複数重ねると、ずれ防止手段の凸部が隣接する他のオイルシールの凹部に挿入される。そのため、重ねたオイルシール同士がずれ難くなり、外力を受けた場合のずれや荷崩れの発生を抑制することができる。そのため、他の部材に長時間押し付けられることによるリップ等の変形を防止することができると共に、グリースが塗布されている場合には他の部位への付着を防止することができる。また、請求項1記載のオイルシールでは、凸部が隣接する他のオイルシールの凹部に挿入されている状態において、凸部と凹部との間には隙間が設けられているので、嵌め込んだ状態での凸部と凹部との接触面積を減少させることができ、凸部と凹部との嵌め合いが強固になり過ぎるのを防止することができる。さらに、請求項1記載のオイルシールでは、ずれ防止手段が、凹部から凸部を中心軸線の方向に引き抜く場合に当たる凹部側当たり面と凸部側当たり面を備えているので、ずれ防止手段の凸部が凹部から抜け難くなる。そのため、外力を受けてもずれ防止手段が外れ難くなり、ずれや荷崩れの発生をより良好に抑制することができる。
【0018】
また、一般的に、サイドリップが設けられているオイルシールをその中心軸線を揃えて同じ向きに複数並べた場合、重ねたオイルシールが大きくずれるとサイドリップのグリース塗布面が隣接するオイルシールに接触し、塗布されているグリースを付着させてしまう。ずれ防止手段の凸部と凹部の間に径方向移動可能隙間を設けた場合、その径方向移動可能隙間の範囲でオイルシールがずれる虞があるが、請求項記載のオイルシールでは、径方向移動可能隙間を、複数のオイルシールがそれらの中心軸線を揃えて同じ向きに重ねられた状態で発生するサイドリップのグリース塗布面と隣接するオイルシールとの間の間隔よりも狭くしているので、重ねたオイルシールがずれた場合であってもサイドリップのグリース塗布面が隣接するオイルシールに接触してグリースを付着させることがない。
【0020】
ここで、請求項記載のオイルシールのように、凹部側当たり面を凹部の外側周面に設けられた斜面とし、凸部側当たり面を凸部の外側周面に設けられた斜面とし、凸部側当たり面の最大径を凹部側当たり面の最小径よりも大きくしても良いし、請求項記載のオイルシールのように、凹部側当たり面を凹部の内側周面に設けられた斜面とし、凸部側当たり面を凸部の内側周面に設けられた斜面とし、凸部側当たり面の最小径を凹部側当たり面の最大径よりも小さくしても良い。
【0021】
また、請求項記載のオイルシールでは、凸部の先端の縁部と凹部の入口の縁部とのうち少なくともいずれか一方には、曲面又はテーパー面が設けられているので、凸部を凹部に挿入するのが容易になり、作業性を向上させることができる。
【0022】
さらに、請求項記載のオイルシールでは、凸部が一側の端面の全周に亘り設けられていると共に、凹部が反対側の端面の全周に亘り設けられているので、複数のオイルシールを重ねる際、凸部と凹部の径方向の位置合わせが不要になり、凸部を凹部に挿入するのが容易になり、作業性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のオイルシールの第1の実施形態を示し、2つのオイルシールを横に重ねた状態の断面図である。
図2】同オイルシールのずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図3】ずれ防止手段の凹部に凸部が挿入されている状態を説明するための図で、(A)は凸部が全周にわたり設けられている場合の図、(B)は凸部が間隔をあけて複数環状に設けられている場合の図である。
図4】本発明のオイルシールの第2の実施形態を示し、ずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図5】本発明のオイルシールの第3の実施形態を示し、ずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図6】本発明のオイルシールの第4の実施形態を示し、ずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図7】本発明のオイルシールの第5の実施形態を示し、ずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図8】本発明のオイルシールの第6の実施形態を示し、ずれ防止手段を拡大して示す断面図である。
図9】従来のオイルシールを示し、(a)はその断面図、(b)はその側面図である。
図10】従来のオイルシールを重ねた様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1図3に、本発明のオイルシールの第1の実施形態を示す。オイルシール1にはずれ防止手段2が設けられており、ずれ防止手段2は一側の端面に設けられた凸部5と、反対側の端面に設けられた凹部6とを備えている。本実施形態では、凸部5をオイルシール1の前側の端面1aに、凹部6を後側の端面1bにそれぞれ設けているが、凸部5を後側の端面1bに、凹部6を前側の端面1aにそれぞれ設けても良い。凸部5は、複数のオイルシール1がそれらの中心軸線3を揃えて同じ向きに重ねられた場合に隣接するオイルシール1の凹部6に挿入される。即ち、凸部5と凹部6は、複数のオイルシール1を同軸上且つ同じ向きに重ねた状態で互いに突き合わされる端面1a,1bの対向する位置に設けられている。また、本実施形態のオイルシール1にはグリース塗布面4aを有するサイドリップ4が設けられている。
【0026】
凸部5及び凹部6は細長く形成されて環状をなしており、凸部5は前側の端面1aの全周に亘って、凹部6は後側の端面1bの全周に亘ってそれぞれ設けられている(図3(A))。凸部5及び凹部6を全周に亘り形成することで、周方向の位置合わせをせずにオイルシール1,1を重ね合わせることができ、作業性を向上させることができる。ただし、凸部5については必ずしも前側の端面1aの全周に亘り線状に連続したもの(連続線状)でなくても良く、例えば図3(B)に示すように間隔をあけて複数設けたものを環状に並べても良い。この場合にも周方向の位置合わせを行わずにオイルシール1,1を重ねることができる。
【0027】
本実施形態では、凸部5の外側周面5a及び内側周面5bを前側の端面1aに対して略垂直に設けると共に、凹部6の外側周面6a及び内側周面6bを後側の端面1bに対して略垂直に設けている。即ち、凸部5の外側周面5a及び内側周面5b、凹部6の外側周面6a及び内側周面6bはオイルシール1の中心軸線3に沿って設けられている。
【0028】
凸部5の先端の縁部5cと凹部6の入口の縁部6cとのうち少なくともいずれか一方には、曲面又はテーパー面が設けられている。本実施形態では、凸部5先端の縁部5cと凹部6入口の縁部6cとの両方に曲面9が設けられている。このようにすることで、凸部5の凹部6入口付近での引っ掛かりを防止できると共に凸部5を凹部6内へと導くことができ、凸部5を凹部6に挿入するのが容易になる。そのため、複数のオイルシール1をその中心軸線3を揃えて同じ向きに重ねる作業の作業性を向上させることができる。なお、曲面9に代えてテーパー面を設けても良い。また、凸部5の先端の縁部5cと凹部6の入口の縁部6cのいずれか一方に曲面9又はテーパー面を設けても良く、この場合にも凸部5の凹部6への挿入を容易にすることができる。
【0029】
本実施形態では、隣接するオイルシールが重ねられて凸部5が隣接するオイルシール1の凹部6に挿入されている状態において、凸部5と凹部6との間には隙間が設けられている。凸部5と凹部6の間に隙間を設けることで、凸部5と凹部6との接触面積を減少させることができ、凸部5と凹部6との嵌め合いが強固になり過ぎるのを防止することができる。即ち、隙間なく凸部5と凹部6とが嵌め合わされた場合は、凸部5と凹部6との密着が強くなり過ぎ、重ねたオイルシール1をばらし難くなる虞がある。また、オイルシール1を無理にばらす際に凸部5がちぎれる等の破損の虞がある。これに対し、本願のオイルシール1では凸部5と凹部6の間に隙間を設けており、凸部5と凹部6との接触面積を減少させて凸部5と凹部6との嵌め合いが強固になり過ぎるのを防止することができる。
【0030】
本実施形態では、凸部5と凹部6との間に径方向移動可能隙間と軸方向隙間を設けている。ここで、径方向移動可能隙間は凸部5の凹部6に対する径方向の移動を可能にするもので、具体的には、凸部5の外側に生じる径方向の隙間(凸部5の外側周面5aと凹部6の外側周面6aとの間に生じる隙間)t1と凸部5の内側に生じる径方向の隙間(凸部5の内側周面5bと凹部6の内側周面6bとの間に生じる隙間)t2とのうち、いずれか狭い方の隙間である。即ち、凸部5の外側と内側の両方に隙間が設けられている場合には両隙間のうち狭い方の隙間が径方向移動可能隙間である。なお、凸部5の外側にのみ径方向隙間が生じる場合、内側にのみ径方向隙間が生じる場合には、環状の凸部5は環状の凹部6内で径方向に移動することができないので、これらの場合には径方向移動可能隙間とはならない。
【0031】
径方向移動可能隙間は、複数のオイルシール1がそれらの中心軸線3を揃えて同じ向きに重ねられた状態で発生するサイドリップ4のグリース塗布面4aと隣接するオイルシール1との間の間隔t3よりも狭いものとなっている。
【0032】
一般的に、サイドリップ4が設けられているオイルシール1をその中心軸線3を揃えて同じ向きに複数重ねた場合、隣接するオイルシール1が大きくずれるとサイドリップ4のグリース塗布面4aが隣接するオイルシール1に接触し、塗布されているグリースを付着させてしまう。これに対し、本実施形態のオイルシール1の径方向移動可能隙間はサイドリップ4のグリース塗布面4aと隣接するオイルシール1との間隔t3よりも狭くなっているので、突き合わされている端面1a,1b同士がずれてもサイドリップ4のグリース塗布面4aが隣接するオイルシール1に接触することがなく、したがってグリースの付着を防止することができる。
【0033】
また、軸方向隙間は凸部5の先端面5dと凹部6の底面6dとの間の隙間h1である。軸方向隙間を生じさせることで、隣接するオイルシール1,1の端面1a,1b同士は接触している。なお、このように隣接する端面1a,1b同士が接触していたとしても、端面1a,1b同士の少なくても一方の面に円周上複数の突起、ローレット、粗面化等を形成することにより接触面積を減らしたり、又、端面1a,1b同士の間に剥離剤の塗布等をすることで、端面1a,1b同士の張り付きを抑制することができる。
【0034】
なお、本実施形態では軸方向隙間と径方向移動可能隙間との両方を設けているが、軸方向隙間のみを設けても良く、又は径方向移動可能隙間のみを設けても良い。
【0035】
本発明のオイルシール1では、中心軸線3を揃えて同じ向きに複数重ねると、ずれ防止手段2の凸部5が隣接するオイルシール1の凹部6に挿入される。そのため、オイルシール1,1の合わせ面がずれ難くなり、外力を受けた場合のずれや荷崩れの発生を抑制することができる。また、重ねたオイルシール1のずれを防止できることから、他の部材に長時間に押し付けられることによるリップ等の変形を防止することができると共に、グリースが塗布されている場合には他の部位への付着を防止することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ずれ防止手段2の凸部5と凹部6の各周面5a,5b,6a,6bが中心軸線3に沿った面になっているので、凹部6に対する凸部5の抜き差しをスムーズに行うことができる。
【0037】
ずれ防止手段は、オイルシールを縦に積み重ねる場合であっても横に並べるように重ねる場合であっても、ずれ防止手段によってずれを防止することができる。
【0038】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0039】
例えば、上述の説明では、凸部5の両側の周面5a,5b及び凹部6の両側の周面6a,6bをオイルシール1の中心軸線に沿って設け、凸部5を中心軸線3に沿う方向に真っ直ぐ引き抜くことで凹部6からスムーズに引き抜くことができるようにしていたが、ずれ防止手段2に凹部6から凸部5を中心軸線3の方向に引き抜く場合に当たる凹部側当たり面7と凸部側当たり面8を設けても良い。
【0040】
ここで、凹部側当たり面7及び凸部側当たり面8を凹部6及び凸部5の外周側に設けても良いし、内周側に設けても良い。凹部側当たり面7及び凸部側当たり面8を外周側に設けた実施形態を図4に示す。凹部側当たり面7は凹部6の外側周面6aに設けられた斜面であり、凸部側当たり面8は凸部5の外側周面5aに設けられた斜面であり、凸部側当たり面8の最大径L1は凹部側当たり面7の最小径L2よりも大きいものとされている(L1>L2)。なお、ここでの斜面は凸部5の引き抜き方向即ちオイルシール1の中心軸線3を基準にしており、この引き抜き方向に対して傾斜している面を意味する(以下、同様)。
【0041】
なお、凹部6の内側周面6b及び凸部5の内側周面5bは凸部5の引き抜きに影響しない形状をなしている。本実施形態では、凹部6の内側周面6b及び凸部5の内側周面5bを凹部6の外側周面6a及び凸部5の外側周面5aと同方向に傾いた斜面としているが、これに限られず、例えば図5に示すように凸部5の引き抜き方向に沿う面(オイルシール1の中心軸線3に沿う面)にしても良い。
【0042】
複数のオイルシール1をその中心軸線3を揃えて同じ向きに重ねると、凸部5が凹部6にオイルシール1の中心軸線3の方向から挿入される。この時、凸部5の先端の外側の部位(以下、凸部側突出部5eという)が相手側のオイルシール1の端面1bの凹部6近傍(以下、凹部側突出部6eという)に当たることになるが、凸部側突出部5e及び凹部側突出部6eが弾性変形し、凸部5が凹部6に挿入される。そして、凸部側突出部5eが凹部側突出部6eを越えると、これらの形状が元に戻る。即ち、凹部6内で凹部側当たり面7と凸部5の凸部側当たり面8が対向する。
【0043】
凸部側突出部5eが凹部側突出部6eを越え、凹部6内で凹部側当たり面7と凸部5の凸部側当たり面8が対向することで、凸部5が凹部6から抜け難くなる。したがって、複数重ねられているオイルシール1に輸送時の振動や組立作業時の衝撃等の外力が作用して凸部5に引き抜き方向の力が作用しても、凹部側当たり面7に凸部5の凸部側当たり面8が当たることで、凸部5が凹部6から抜け難くなる。
【0044】
また、凹部側当たり面7及び凸部側当たり面8を内周側に設けた実施形態を図6に示す。凹部側当たり面7は凹部6の内側周面6bに設けられた斜面であり、凸部側当たり面8は凸部5の内側周面5bに設けられた斜面であり、凸部側当たり面8の最小径L3は凹部側当たり面7の最大径L4よりも小さいものとされている(L3<L4)。
【0045】
なお、凹部6の外側周面6a及び凸部5の外側周面5aは凸部5の引き抜きに影響しない形状をなしている。本実施形態では、凹部6の外側周面6a及び凸部5の外側周面5aを凹部6の内側周面6b及び凸部5の内側周面5bと同方向に傾いた斜面としているが、これに限られず、凸部5の引き抜き方向に沿う面にしても良い。
【0046】
複数のオイルシール1をその中心軸線3を揃えて同じ向きに重ねると、凸部5が凹部6にオイルシール1の中心軸線3の方向から挿入される。この時、凸部5の先端の内側の部位(以下、凸部側突出部5fという)が相手側のオイルシール1の端面1bの凹部6近傍(以下、凹部側突出部6fという)に当たることになるが、凸部側突出部5f及び凹部側突出部6fが弾性変形し、凸部5が凹部6に挿入される。そして、凸部側突出部5fが凹部側突出部6fを越えると、これらの形状が元に戻る。即ち、凹部6内で凹部側当たり面7と凸部5の凸部側当たり面8が対向する。
【0047】
凸部側突出部5fが凹部側突出部6fを越え、凹部6内で凹部側当たり面7と凸部5の凸部側当たり面8が対向することで、凸部5が凹部6から抜け難くなる。したがって、複数重ねられているオイルシール1に輸送時の振動や組立作業時の衝撃等の外力が作用して凸部5に引き抜き方向の力が作用しても、凹部側当たり面7に凸部5の凸部側当たり面8が当たることで、凸部5が凹部6から抜け難くなる。
【0048】
また、図7に示すように、凹部側当たり面7及び凸部側当たり面8を凹部6及び凸部5の外周側と内周側の両方に設けても良い。
【0049】
また、上述の説明では、凸部5の先端面5dと凹部6の底面6dとの間に隙間(軸方向隙間h1)を設け、隣接するオイルシール1,1の端面1a,1b同士を直接突き合わせるようにしていたが、凸部5の先端面5dと凹部6の底面6dとを接触させ、隣接するオイルシール1,1の端面1a,1bの間に隙間を設けるようにしても良い。この例を図8に示す。隣接するオイルシール1,1の端面1a,1bの間に隙間を設けることで、端面1a,1b同士の密着を確実に防止することができる。
【0050】
この場合、凸部5と凹部6との間に径方向の隙間を形成しておくことで、凸部5の先端面5dと凹部6の底面6dとの突き合わせによって凸部5が潰れたとしてもその潰れ部分の逃げ場を設けることができるので、凸部5と凹部6との嵌め合わせ時の密着を防止することができる。なお、径方向の隙間としては、凸部5の外側に生じる径方向の隙間(凸部5の外側周面5aと凹部6の外側周面6aとの間に生じる隙間)t1と凸部5の内側に生じる径方向の隙間(凸部5の内側周面5bと凹部6の内側周面6bとの間に生じる隙間)t2とのいずれでも良く、または両方でも良い。
【符号の説明】
【0051】
1 オイルシール
1a 一側の端面
1b 反対側の端面
2 ずれ防止手段
3 オイルシール1の中心軸線
4 サイドリップ
4a グリース塗布面
5 凸部
5a 凸部5の外側周面
5b 凸部5の内側周面
5c 凸部5の先端の縁部
6 凹部
6a 凹部6の外側周面
6b 凹部6の内側周面
6c 凹部6の入口の縁部
7 凹部側当たり面
8 凸部側当たり面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10