(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱発生装置と、該熱発生装置で発生させた熱により加熱形成される湯を貯湯する貯湯槽とが熱回収用通路を介して熱的に接続されており、前記貯湯槽内の湯水温を検出する貯湯槽内湯水温検出手段と、前記貯湯槽に水を供給する給水通路と、前記貯湯槽から湯を出湯送水するための出湯通路と、前記貯湯槽内の圧力が許容圧力を超えたときに該圧力を外部に逃がすための過圧逃がし弁を備えた圧力逃がし用通路とが設けられ、前記熱発生装置を予め定められる設定稼働時間以上稼働させて加熱形成される湯を前記貯湯槽に貯湯する間、前記貯湯槽内湯水温検出手段による検出温度が予め定められた設定基準温度より低い状態が継続し、かつ、該継続後に前記出湯通路から湯を出湯送水したときに前記貯湯槽出湯水温検出手段の検出温度が予め定められた異常判断基準温度以上に予め定められた異常判断基準時間以上ならなかったときに、前記過圧逃がし弁の異常と前記貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断する異常判断動作制御部と、該異常判断動作制御部により前記過圧逃がし弁の異常または前記水漏れがあると判断されたときには前記過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方が生じていることを報知する過圧逃がし弁等異常報知手段とを有することを特徴とする熱源装置。
【背景技術】
【0002】
貯湯槽を備えた熱源装置が用いられており、(例えば、特許文献1〜3、参照)、
図2には、開発中の熱源装置が模式的なシステム構成図により示されている。同図において、貯湯槽2と出湯通路9とを備えた主熱源装置としてのタンクユニット4が、熱回収用通路3を介して熱発生装置としての燃料電池(FC)1と熱的に接続されている。燃料電池1は、例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)等により形成されており、水の電気分解の逆反応で、都市ガス等の燃料から取り出された水素と空気中の酸素とを反応させて発電する発電装置である。
【0003】
熱回収用通路3は、燃料電池1と貯湯槽2との間で液体(ここでは湯水)を図の矢印Aおよび矢印A’に示されるように循環させる通路であり、熱回収用通路3には、熱回収用通路3内に液体を循環させる図示されていないポンプが介設されている。そして、該ポンプの駆動により、貯湯槽2内の水を図の矢印A’に示すように熱回収用通路3を通して燃料電池1に導入して冷却水とし、この水を燃料電池1の発電時に生じる排熱によって加熱した後、図の矢印Aに示すように熱回収用通路3を通し、例えば60℃といった温度の湯として貯湯槽2に蓄積する。なお、熱回収用通路3には、三方弁6を介してバイパス通路7が設けられ、燃料電池1側から貯湯槽2側へ流れる液体を、必要に応じて貯湯槽2を通さずに燃料電池1に戻すことができるように形成されている。
【0004】
貯湯槽2には、貯湯槽2内または貯湯槽2の外側壁に、貯湯槽2内の湯水の温度を検出する貯湯槽内湯水温検出手段5(5a〜5e)が、貯湯槽2の上下方向に互いに間隔を介して複数(
図2では5個)設けられている。なお、最上位に設けられている貯湯槽内湯水温検出手段5aは、貯湯槽2の上端よりも予め定められた設定長さだけ下側の位置、つまり、例えば貯湯槽2の上端まで湯が満たされた場合よりも20リットル少ない湯量の湯が貯湯槽2内に導入された場合の湯面の位置に設けられている。
【0005】
貯湯槽2の上部側に接続されている出湯通路9は、貯湯槽2で形成された湯を出湯する(送水する)通路と成しており、出湯通路9には、出湯通路9を通る湯(湯水)の温度を検出する貯湯槽出湯水温検出手段11と、出湯通路9を通して送水される湯の量を調節するタンク湯水混合器12と、出湯通路9を通しての湯水の送水の許可と不許可とを弁の開閉により切り替えるタンク側電磁弁13とが介設されている。出湯通路9には、貯湯槽2内の圧力が許容圧力を超えたときに該圧力を外部に逃がすための過圧逃がし弁34を備えた圧力逃がし用通路35が、貯湯槽出湯水温検出手段11の配設位置よりも
下流側に接続され、圧力逃がし用通路35の先端側は排水口に接続されている。
【0006】
また、この熱源装置への給水通路8は給水通路8aと給水通路8bとに分岐され、一方側の給水通路8(8a)が貯湯槽2の下部側に接続されて、他方側の給水通路8(8b)は、合流部10で出湯通路9に合流するように形成されている。給水通路8bには、合流部10側への給水量を調節するための水混合器14が介設されている。
【0007】
合流部10には、補助熱源装置としての給湯器16の湯水導入側が、湯水導入通路15を介して接続されている。給湯器16は、通水する水を例えばガスバーナ(給湯バーナ)の燃焼熱により加熱する加熱手段としての給湯熱交換器17を備え、図の矢印Bに示されるように貯湯槽2から出湯通路9を通して送水される(タンクユニット4から送水される)湯水を、湯水導入通路15を介して給湯器16に導入して給湯熱交換器17で加熱する追い加熱機能を有している。この追い加熱機能により加熱された湯は、通路18と給湯通路19とを順に通って一つ以上の給湯先に給湯される。なお、同図には図示されていないが、給湯通路19の先端側には給湯栓が設けられており、給湯器16には、前記の如く、給湯熱交換器17を加熱する給湯バーナが設けられている他に、給湯バーナへの空気の給排気を行う燃焼ファン等の適宜の構成要素が設けられ、その構成要素を制御することにより前記追い加熱機能の動作が行われる。
【0008】
また、
図2の図中、符号25は入水温度サーミスタ、符号26は燃料電池1から貯湯槽2へ導入される湯水温検出用のFC高温サーミスタ、符号27は貯湯槽2から燃料電池1側へ導出される湯水温検出用のFC低温サーミスタ、符号28(28a,28b)は混合湯水温検出用の混合サーミスタをそれぞれ示し、符号29は給水流量センサ、符号50は減圧弁、符号30は給湯器16から浴槽31への注湯通路、符号32は暖房装置と給湯器16とを接続する暖房用通路、符号42は流量検出手段をそれぞれ示している。
【0009】
図3には、
図2に示したシステム構成における配管および構成要素の一部を省略または破線で示したシステム構成図が示されており、
図3に示されるように、前記通路18には分岐継手20を介して接続通路21の一端側が接続され、接続通路21の他端側は、熱回収用通路3において湯水を燃料電池1側から貯湯槽2側に通す通路の途中部に接続されている。また、熱回収用通路3において湯水を貯湯槽2側から燃料電池1側に通す通路の途中部と前記出湯通路9の先端側とを接続する接続通路22が設けられ、接続通路22には、湯水を循環させる循環ポンプ23と、パイロット方式の水電磁弁24とが介設されている。
【0010】
そして、通路18、接続通路21、熱回収用通路3のうちの通路3a、3b(接続通路21との接続部および接続通路22との接続部よりも貯湯槽2側の領域の一部)と、バイパス通路7、接続通路22、湯水導入通路15を有して、同図の矢印Cに示されるように湯水を循環させる湯水循環通路40が形成されている。水電磁弁24は、循環ポンプ23の駆動による湯水循環通路40への水の循環の有無を弁の開閉により切り替える電磁弁であり、水電磁弁24を開いた状態で循環ポンプ23を駆動させて湯水循環通路40を循環する湯水を、給湯器16が給湯熱交換器17により加熱する循環湯水加熱機能を有している。この循環湯水加熱機能の動作も、給湯器16の前記構成要素を制御することにより行われる。
【0011】
なお、
図2に示されるように、貯湯槽2の下部側には、熱回収用通路3に接続された排水通路45が設けられ、排水通路45には排水栓46が介設されている。また、排水通路45と接続通路21の途中部とを接続する排水接続通路50が設けられ、排水接続通路50には排水電磁弁51が介設されている。
【0012】
また、
図2、
図3において、加熱により温められた湯水が主に通る通路部分にはドットを記しており、湯水循環通路40においては温められた湯水の温度が湯水循環通路40内を通るときに徐々に冷めていくが、湯水循環通路40のうち給湯器16の湯水導出側の通路18からバイパス通路7の入口までの領域にドットを記している。
【0013】
また、
図2、
図3に示す熱源装置には、図示されていない制御装置が設けられており、制御装置には、タンク湯水混合器12を制御して出湯通路9から合流部10側に流れる湯水の流量を制御すると共に、水混合器14を制御して給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量を制御し、合流部10で適宜の温度の混合湯水が形成されるようにするミキシング流量制御手段が設けられている。
【0014】
このミキシング流量制御手段は、給湯停止時にはタンク側電磁弁13を閉じて出湯通路9から合流部10側に流れる湯(貯湯槽2からの出湯湯水)の流量がゼロとなる状態にする。また、給湯通路19の先端側に設けられている給湯栓が開かれて給水流量センサ29がオン流量を検知すると、ミキシング流量制御手段はタンク電磁弁13を開き、タンク湯水混合器12を制御して
図2の矢印Bに示されるように出湯通路9から合流部10側に流れる湯の流量を調節すると共に、水混合器14を制御して
図2の矢印B’に示されるように給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量を調節し、合流部10で形成される混合湯水の温度が、例えば給湯設定温度と同等に設定される混合設定温度になるようにする。
【0015】
また、この混合湯水の温度調節は、例えば以下のようにして行われる。つまり、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が給湯設定温度以上のときには、まず、例えば貯湯槽出湯水温検出手段11の検出温度と、給水温度と、混合設定温度と、給湯流量と、これらの値に対応させて予め与えられている混合流量調節データに基づき、タンク湯水混合器12と水混合器14を制御することによって出湯通路9から合流部10側に流れる湯水の流量と給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量とを調節するミキシング流量フィードフォワード制御を行う。
【0016】
その後、混合サーミスタ28(28a,28b)の検出温度と混合設定温度との差に基づいて、混合サーミスタ28(28a,28b)の検出温度が混合設定温度になるように、タンク湯水混合器12と水混合器14を制御して出湯通路9から合流部10側に流れる湯水の流量と給水通路8bから合流部10側に流れる水の流量とを調節するミキシング流量フィードバック制御を行うことにより、合流部10で形成される混合湯水の温度調節を行う。
【0017】
なお、ミキシング流量制御手段は、前記ミシキシング流量フィードフォワード制御を行う代わりに、給湯開始時には、給湯設定温度に対応させて予め設定された流量の湯水が出湯通路9側からと給水通路8b側からそれぞれ合流部10に流れるように、タンク湯水混合器12と水混合器14を制御し(例えばタンク湯水混合器12と水混合器14の流量調節が段階的に設定されている調節レベルのうちの混合比に対応するレベルを選択することにより行われる場合には、タンク湯水混合器12と水混合器14のレベルを混合比に対応させて合わせ)、その後、前記ミキシング流量フィードバック制御を行うようにしてもよい。また、ミキシング流量フィードフォワード制御を行わずにミキシング流量フィードバック制御のみを行うようにしてもよい。
【0018】
そして、このようなキシング流量制御手段による制御によって、合流部10で形成される混合湯水の温度が給湯設定温度または給湯設定温度に近い温度とされると、その給湯設定温度または給湯設定温度付近の温度の混合湯水は、
図2の矢印B”に示されるように、合流部10から湯水導入通路15を通して給湯器16に導入されるが、このとき、給湯器16において給湯熱交換器17による加熱は行われずに、通路18と給湯通路19を通して給湯先に給湯される。
【0019】
一方、貯湯槽内湯水温検出手段5aの検出温度が、給湯設定温度よりも低い予め定められる追い加熱基準温度以下の時に給湯が開始されて、ミキシング流量制御手段による流量制御のみでは、給湯設定温度と同等の温度に設定される混合設定温度の湯を給湯することができない場合には、例えば混合設定温度を下げ、その混合湯水を給湯導入通路15を介して給湯器16に導入する、または、タンク電磁弁13を閉じて水のみを給湯器16に供給する。そして、その湯水を前記追い加熱機能の動作によって給湯熱交換器17により加熱して給湯設定温度の湯が作り出され、この湯が通路18と給湯通路19を通して給湯先に給湯される。
【0020】
また、本発明者は、例えば給湯器16は建物の北側に配置されてタンクユニット4は建物の東側や西側に配置されるといったように、タンクユニット4と給湯器16とは離れて配置されることを想定し、冬場等に湯水導入通路15内の水が給湯停止中に凍結することを防止するため等に、水電磁弁24を開いて循環ポンプ23を駆動させ、
図3の矢印Cに示したように湯水循環通路40に湯水を循環させながら給湯熱交換器17により加熱する前記循環湯水加熱機能の動作を適宜行うことも考えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、貯湯槽2を備えた熱源装置においては、例えば特許文献1に記載されているように、過圧逃がし弁34が故障して水が漏れることが問題となっており、そのような水漏れを検知する方法が例えば特許文献2に記載されているが、この特許文献2に記載されている方法は、専用のセンサ等を用いなければならないために、熱源装置のコストアップにつながるといった問題があった。
【0023】
また、例えば特許文献3に示されているように、貯湯槽2の最頂部にも温度検出手段(最頂部サーミスタ)を設けた熱源装置が提案されており、最頂部サーミスタがあると貯湯槽2からの出湯開始時にどの程度の湯温の湯が出湯されるかどうかを予め知ることができるが、開発中の熱源装置においては、そのサーミスタを設けずにコストダウンを図っており、それゆえ、貯湯槽2からの出湯開始時の湯温を予め知ることはできない。
【0024】
なお、
図2に示したように、出湯通路9に貯湯槽出湯水温検出手段11を設けることにより、出湯通路9から湯が継続して出湯されればその湯温を検出できるが、出湯が停止されると、前回の出湯から時間経過がたつにつれて出湯通路9内の湯は冷えてしまうので、予め知ることができない。一方、貯湯槽2の最頂部に最頂部サーミスタを設けた場合には、最頂部サーミスタ近辺の湯が冷めても、冷めた湯はタンク下方に移動し、常にタンク内の最高温度の湯が最頂部に集まるので、次回の出湯でどの程度湯温の湯が出湯されるかどうかを確実に予め知ることができるし、貯湯槽2への「貯湯」が正常にできたか否かを簡単に判断できるが、前記のようなコストダウンを図ることはできない。
【0025】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、貯湯槽を備えた熱源装置に設けられる貯湯槽の圧力逃がし用の過圧逃がし弁等の異常を、専用のセンサ等を設けずに容易に検出でき、コストダウンも可能な熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、熱発生装置と、該熱発生装置で発生させた熱により加熱形成される湯を貯湯する貯湯槽とが熱回収用通路を介して熱的に接続されており、前記貯湯槽内の湯水温を検出する貯湯槽内湯水温検出手段と、前記貯湯槽に水を供給する給水通路と、前記貯湯槽から湯を出湯送水するための出湯通路と、前記貯湯槽内の圧力が許容圧力を超えたときに該圧力を外部に逃がすための過圧逃がし弁を備えた圧力逃がし用通路とが設けられ、前記熱発生装置を予め定められる設定稼働時間以上稼働させて加熱形成される湯を前記貯湯槽に貯湯する間、前記貯湯槽内湯水温検出手段による検出温度が予め定められた設定基準温度より低い状態が継続し
、かつ、該継続後に前記出湯通路から湯を出湯送水したときに前記貯湯槽出湯水温検出手段の検出温度が予め定められた異常判断基準温度以上に予め定められた異常判断基準時間以上ならなかったときに、前記過圧逃がし弁の異常と前記貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断する異常判断動作制御部と、該異常判断動作制御部により前記過圧逃がし弁の異常または前記水漏れがあると判断されたときには前記過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方が生じていることを報知する過圧逃がし弁等異常報知手段とを有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0028】
なお、第
1の発明において、貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れとは、例えば貯湯槽と出湯通路との接合部や出湯通路に設けられている構成要素と出湯通路との接合部における水漏れや、熱回収用通路が貯湯槽に直接接続されている場合(貯湯槽の湯水を熱回収用通路に導出した後に貯湯槽に戻す経路が形成されている場合)における、熱回収用通路と貯湯槽との接合部や熱回収用通路に設けられている構成要素と熱回収用通路との接合部における水漏れのことである。
【0029】
さらに、第
2の発明は、前記第
1の発明の構成に加え、前記熱発生装置は燃料電池により形成された発電装置であり、該発電装置稼働時の廃熱を熱回収用通路で回収して貯湯槽に貯湯することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、熱発生装置で発生させた熱により加熱形成される湯を貯湯する貯湯槽内の圧力が許容圧力を超えたときに該圧力を外部に逃がすための過圧逃がし弁を備えた圧力逃がし用通路を有しているが、例えば前記熱発生装置を予め定められる設定稼働時間以上稼働させて加熱形成される湯を前記貯湯槽に貯湯する間、貯湯槽内湯水温検出手段による貯湯槽内湯水の検出温度が予め定められた設定基準温度より低い状態が継続したときには前記過圧逃がし弁の異常と前記貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断することにより、過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることを迅速に判断できる。
【0031】
つまり、貯湯槽内の圧力が許容圧力を超えたときに、膨張水を過圧逃がし弁と圧力逃がし用通路を介して外部に排出する場合、たとえ過圧逃がし弁に異常が生じて不要に水が漏れても(外部に排出されても)、その流量が例えば貯湯槽への給水の流量を検出する給水流量検出手段の検出限界(例えば1〜2リットル/分)より小さい少量の値であると、給水流量検出手段によって前記不要な水漏れを検知できないが、前記少量の値の水であっても貯湯槽内の湯水が外部に導出され続けると、貯湯槽内の湯水の温度は上昇しにくくなる。また、貯湯槽から湯水(湯や水)を導出して通水させる経路における水漏れがあるときも、同様に、その水漏れの量が給水流量検出手段の検出限界より小さい量であると給水流量検出手段による水漏れ検出はできないが、水漏れが継続されると貯湯槽内の湯水の温度は上昇しにくくなる。
【0032】
そこで、第1の発明のように、熱発生装置の設定稼働時間を、貯湯槽内に湯水が満たされるだけの例えば2時間といった時間に設定して2時間以上熱発生装置を稼働させ、加熱形成される湯を貯湯槽に貯湯すれば、貯湯槽内の湯水温は設定基準温度(例えば35℃)以上になるはずであるのに、貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度が設定基準温度以上にならないときには、過圧逃がし弁の異常と前記貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断することで、過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることを迅速に判断できる。
【0033】
なお、貯湯槽内湯水温検出手段は、一般には、貯湯槽の最上端よりも下側の位置に配設されるものであり、貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度が設定基準温度以上でなくても、貯湯槽内湯水温検出手段の配設位置よりも上側に貯湯されている湯水の温度が設定基準温度以上になっている可能性もある。そこで、前記のように、例えば貯湯槽の上端部(最頂部)に貯湯槽内の湯温を検出するための温度検出手段を設けてその検出温度を監視すれば、貯湯槽内湯水温検出手段の配設位置よりも上側にのみ設定基準温度以上の湯水が貯湯されている状態を検出できるが、このような専用の温度検出手段を設けるとコストアップにつながる。
【0034】
それに対し、熱発生装置を設定稼働時間稼働させて加熱形成される湯を貯湯槽に貯湯する間、貯湯槽内湯水温検出手段による検出温度が予め定められた設定基準温度より低い状態が継続した後に給湯が開始され、前記出湯通路から湯を出湯送水したときに予め定められた異常判断基準時間以上、貯湯槽出湯水温検出手段の検出温度が予め定められた異常判断基準温度(例えば38℃)以上にならなかったときには、過圧逃がし弁の異常と貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断することにより、貯湯槽内湯水温検出手段の配設位置よりも上側に異常判断基準時間以上の湯水が無いことを、専用の温度検出手段を設けずに確認できる。
【0035】
そして、このように、貯湯槽内湯水温検出手段の検出温度が設定基準温度より低く(つまり、貯湯槽内湯水温検出手段の配設位置より上の湯水温が設定基準温度より低く)、かつ、貯湯槽内湯水温検出手段の配設位置よりも上側に異常判断基準時間以上の湯水が無いことを確認して、過圧逃がし弁の異常と貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があることを検出することにより、過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることをより的確に検出できる。
【0036】
そして、前記のような各動作によって、過圧逃がし弁の異常と貯湯槽から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断されたときに、過圧逃がし弁等異常報知手段により、過圧逃がし弁の異常を報知することにより、過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることを利用者や施工業者等に適宜知らせることができ、対応を促すことができる。
【0037】
なお、周知のように、熱源装置の設置時に、給水通路への給水圧を設定圧力以下にするためのガバナを設けることが行われており、そのガバナを施工業者が設けることを忘れたときには、給水圧が高すぎることになって、貯湯槽からの湯水が排出されることになるため、本発明においては、前記と同様に、過圧逃がし弁等異常報知手段が過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることを報知することになるが、ガバナの設置を忘れることは多くはなく、また、過圧逃がし弁の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることが報知された時に、施工業者が念のためガバナの設置を確認することにより、ガバナの設置異常に対しても対応できる。
【0038】
さらに、熱発生装置を燃料電池により形成された発電装置とし、発電装置稼働時の廃熱を熱回収用通路で回収して貯湯槽に貯湯する構成と成すことにより、廃熱を利用した省エネタイプの熱源装置を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一構成要素には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0041】
図1には、本発明に係る熱源装置の一実施例の制御構成がブロック図により示されている。本実施例は、
図2に示した熱源装置と同様のシステム構成を有し、さらに、
図1に示されるように、タンクユニット4内の制御装置33内に、過圧逃がし弁等異常判断動作制御部37と、時計機構38を設けており、制御装置33に信号接続されたリモコン装置43には過圧逃がし弁等異常報知手段41を設けて構成されている。なお、リモコン装置43は、屋内において、リビングや、浴室、台所、洗面所等の適宜の場所に設置されている。
【0042】
過圧逃がし弁等異常判断動作制御部37は、過圧逃がし弁34の異常と貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路(本実施例においては、出湯通路9、熱回収用通路3)における水漏れの少なくとも一方があるかどうかを判断する異常判断動作制御部として機能するものである。
【0043】
過圧逃がし弁等異常判断動作制御部37は、燃料電池1の稼働信号を取り込み、例えば熱源装置の施工者等により行われる燃料電池1の試運転時等、貯湯槽2が冷えている時に燃料電池1が稼働されたときに動作を開始する。なお、貯湯槽2が冷えているときとは、例えば機器設置後の初回の燃料電池稼働時や、海外旅行等での長期不在に際して燃料電池1を停止させた後に、帰宅と共に燃料電池1を再稼働させた時や、例えば一般家庭等において深夜等に発電装置である燃料電池1が殆ど稼働されない状態が続いて貯湯槽2内の湯水温が低温になってしまった後に、燃料電池1を再稼働させたとき等である。
【0044】
また、貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの要因としては、例えば貯湯槽2と出湯通路9との接合不良、出湯通路9と貯湯槽出湯水温検出手段11との接合不良、タンク湯水混合器12と出湯通路9との接合不良、熱回収用通路3と三方弁6との接合不良、タンク側電磁弁13と出湯通路9との接合不良等、複数上げられる。このような過圧逃がし弁34以外の異常と過圧逃がし弁34の異常との差異は、例えばタンクユニット4の点検蓋等を開けた時に、水がタンクユニット4内に溢れているか否かの差となり、過圧逃がし弁34の故障等の異常が生じた場合には、タンクユニット4の点検用の蓋等を開けても異常がないので特に発見が難しい。
【0045】
過圧逃がし弁等異常判断動作制御部37は、動作開始から(つまり、前記のように燃料電池1の試運転開始や、貯湯槽2内が冷えている状態で燃料電池1が稼働開始したときから)時計機構38により検出される時間の情報を取り込みながら、燃料電池1が例えば2時間といった予め定められる設定稼働時間以上稼働して燃料電池1の稼働によって加熱形成される湯を貯湯槽2に貯湯する間、過圧逃がし弁異常判断動作制御部37は、貯湯槽内湯水温検出手段5(5a〜5e)による検出温度を取り込む。なお、燃料電池1の稼働によって加熱形成される湯を貯湯槽2に貯湯する間は、タンク側電磁弁13と水電磁弁24を閉じ、三方弁6を制御して、燃料電池1で形成された湯がバイパス通路7側には流れずに
図2の矢印Aに示したように貯湯槽2側に流れるようにする。
【0046】
そして、過圧逃がし弁等異常判断動作制御部37は、貯湯槽内湯水温検出手段5(5a〜5e)による検出温度がいずれも例えば35℃といった予め定められた設定基準温度より低い状態が継続した後、給湯栓が開かれて給湯が開始され、ミキシング流量制御手
段によりタンク側電磁弁13が開かれて貯湯槽2の湯水が出湯通路9を通って送水されたときに、その送水を、タンク側電磁弁13が開かれたことと流量検出手段42により流量が検出されたことから検知して、貯湯槽出湯水温検出手段11により検出される検出温度を取り込む。そして、この検出温度が異常判断設定基準時間(例えば2秒間)以上、予め定められた異常判断基準温度(例えば38℃)以上にならなかったら、過圧逃がし弁34の異常と貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断し、この判断情報をリモコン装置43の過圧逃がし弁等異常報知手段41に加える。
【0047】
過圧逃がし弁等異常報知手段41は、過圧逃がし弁異常判断動作制御部37により過圧逃がし弁34の異常と貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断されたときには、過圧逃がし弁34の異常と前記水漏れの少なくとも一方があることを、表示や音声等の適宜の方法により報知する。
【0048】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、過圧逃がし弁34の異常判断用に設定される設定基準温度や設定通水時間、異常判断設定基準時間、異常判断基準温度は、いずれも前記実施例に適用された値とは限らず、適宜設定されるものである。
【0049】
また、給湯器16を省略して出湯通路9の送水先端側を給湯通路としてもよい。ただし、給湯器16を設けることにより追い加熱等の適宜の動作を行うことができて、より使い勝手が良好で活用範囲が広い熱源装置を構築できる。なお、給湯器16を設ける場合に、前記実施例では、ガスバーナにより給湯熱交換器17を加熱するタイプの給湯器16としたが、その代わりに、給湯熱交換器17を例えば石油燃焼式のバーナ装置により加熱するタイプの給湯器としてもよいし、電気ヒータにより加熱するタイプの給湯器としてもよい。
【0050】
さらに、前記実施例では、過圧逃がし弁異常判断動作制御部37は、燃料電池1を設定稼働時間以上稼働させて加熱形成される湯を貯湯槽に貯湯する間、貯湯槽内湯水温検出手段5による検出温度が設定基準温度より低い状態が継続した後、給湯が開始されて出湯通路9からの送水が行われた時に、貯湯槽出湯水温検出手段11により検出される検出温度の取り込みを行い、過圧逃がし弁34の異常と貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があるかどうかを判断したが、燃料電池1を設定稼働時間稼働させて加熱形成される湯を貯湯槽に貯湯する間、貯湯槽内湯水温検出手段5による検出温度が設定基準温度より低い状態が継続したときに、過圧逃がし弁34の異常と貯湯槽2から湯水を導出して通水させる経路における水漏れの少なくとも一方があると判断するようにしてもよい。
【0051】
さらに、前記実施例では、出湯通路9に圧力逃がし用通路35を接続し、この圧力逃がし用通路35に過圧逃がし弁34を設けたが、貯湯槽2に直接、過圧逃がし弁34を備えた圧力逃がし用通路35を接続してもよい。
【0052】
さらに、前記実施例では、熱発生装置は燃料電池1により形成された発電装置としたが、熱発生装置は例えばヒートポンプでもよく、その熱を熱回収用通路3によって回収して貯湯槽2に貯湯する構成と成していればよい。