(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記被評価ドット列と前記評価ドット列からなる前記テストパターンの濃度に基づいて求めた前記補正量に基づいて、前記第2の被評価ドット列を記録する前記記録位置を決めることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図を参照して説明する。
まず、
図12を用いて、本実施形態の記録装置であるインクジェットプリンター1の全体について説明する。インクジェットプリンター1は、直線状に幅方向に延びるレール2が備わっている。このレール2に沿ってキャリッジ3が往復移動する。キャリッジ3には、インクジェット式の記録ヘッドが搭載されている。記録ヘッドはカラー印刷するため、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクに、さらにシアン、マゼンタ、ブラックの各インクの顔料濃度を少なくして薄い色にしたライトシアン、ライトマゼンタ、グレーの3色のインクに対応してキャリッジ3に搭載されている。ライト系のインクを用いることで、色の再現性が良くなり記録する画質の向上ができる。キャップ4は記録ヘッドが乾燥しないように密封したり、メンテナンスのために定期的にインクジェットヘッドからインクを吸引したりする。紙、プラスチックフィルムなどの記録媒体を搬送する搬送手段は、レール2に沿って多数配置された搬送ローラー9を含み、この搬送ローラー9を回転させることで、記録媒体を搬送する。
【0014】
キャリッジ3は無端ベルト5に接続され、無端ベルト5はモーター6に接続されている。無端ベルト5はインクジェットプリンター1の端に設置されたプーリーに掛け回されている。モーター6を駆動することで無端ベルト5は移動し、同時にキャリッジ3も移動する。
【0015】
プラテン7はレール2に沿って配置される平板である。このプラテン7は、表面に吸引孔が複数備わり、搬送される記録媒体を吸引孔で吸引することで固定することができる。プラテン7の記録媒体の搬送方向下流側にはアフターガイド8が備わる。アフターガイド8は搬送される記録媒体を案内する。また、プラテン7の記録媒体の搬送方向上流側にはプリガイドが備わる。プラテン7、アフターガイド8、プリガイドはヒーターが備わり、加熱することができる。この加熱により搬送される記録媒体を適度な温度に加熱する。加熱することで、インクの定着を促進する。またプラテン7は、記録媒体を常に平面状に支持することで、テストパターンの記録に関して一定の品質を維持できるようにしている。
【0016】
プラテン7はアルミニウム製の平板である。このアルミニウム製の平板の表面は平らで、また吸引孔が設けられている。裏側には、溝が設けられ、この溝にヒーター線が埋め込まれ、プラテン7を加熱する。また、アフターガイド8およびプリガイドは鉄製の板を湾曲させたもので、その裏側にヒーター線を配置し、さらにアルミシートを覆い被せて固定している。ヒーターによって、テストパターンを記録する時には、一定の温度を保ち、ストパターンの記録に関して一定の品質を維持できるようにしている。
【0017】
図1は、記録装置のブロック図である。制御手段11は、予め記憶されているプログラムに従って動作し、記録装置の全体の各種制御を行う制御手段である。ROM12は不揮発性メモリーであり、制御手段11のプログラム、初期設定値等の情報を記憶するメモリーである。RAM13は制御手段11の演算等に用いるワークメモリーや一時的な情報の記憶を行うメモリーである。ROM12には予めテストパターンが記憶されている。このテストパターンは状況に応じて複数のパターンがあり、状況に応じて制御手段11が複数のテストパターンから必要なテストパターンを読み出して使用する。
【0018】
搬送手段14は、搬送ローラー9、搬送ローラー9を駆動するモーター、およびモーターを駆動する駆動回路を含み、記録媒体を搬送する手段である。搬送ローラー9は、駆動ローラーとピンチローラーの対で構成され、駆動ローラーをモーターで回転させる。ピンチローラーは駆動ローラーに押圧され、連れ回る。記録媒体は、この駆動ローラーとピンチローラーに挟まれて搬送される。制御手段11によって搬送手段14の駆動回路が制御され、モーターを駆動し、搬送ローラー9を回転させ、記録媒体を搬送する。この搬送ローラー9の回転数に基づいて搬送量を制御している。よって、記録媒体が挟持された時の変形により、実際の搬送量にズレが生じる可能性があり、搬送の補正が必要となる。
【0019】
キャリッジ移動手段15は、無端ベルト5に固定されたキャリッジ3をレール2に沿って移動させる。無端ベルト5を回転させるモーター6は、キャリッジ移動手段15に含まれる駆動回路で駆動される。この駆動回路は、制御手段11によって制御される。制御手段11のプログラムに従ってキャリッジ3がレール2に沿って移動する。
【0020】
記録手段16はインク色に対応した記録ヘッドを含む。記録ヘッドはヘッド駆動回路の駆動信号に基づいてインクの吐出動作を行う。ヘッド駆動回路は制御手段11からの制御信号に基づいて動作する。
【0021】
リニアエンコーダー17はキャリッジ3の移動方向に沿って直線状に配置されたリニアスケールの目盛を光学的に検出する。リニアエンコーダー17は制御手段11からの制御信号に基づいて動作し、検出結果をAD変換して、その信号を制御手段11に出力する。制御手段11はこの信号をカウントすることで、キャリッジ3の位置が特定でき、位置を取得し、その位置に応じた制御ができる。
【0022】
キャリッジ3に備わる各記録ヘッドの位置は予め特定でき、ROM12に記憶しておく。キャリッジ3、すなわち記録ヘッドの位置に応じて、記録ヘッドを駆動し、インクを吐出することで、所望の画像を記録することができる。
【0023】
R検出手段18は、赤色の光を発し、その反射光を検出する光学センサーである。G検出手段19は、緑色の光を発し、その反射光を検出する光学センサーである。B検出手段20は、青色の光を発し、その反射光を検出する光学センサーである。これらの検出手段は、記録媒体に記録された画像の濃度を各検出手段の検出範囲で検出し、その結果を制御手段11に出力する。制御手段11は、この検出結果に基づいて演算し、記録ヘッドの吐出タイミングを可変することで、記録する画像品質を良くする。
【0024】
図2は、キャリッジに搭載された記録ヘッドと検出センサーの配置の概略図である。キャリッジ3のプラテン7に対して対向する位置にキャリッジベース21が備わる。そのキャリッジベース21に記録ヘッドが固定されている。記録ヘッドは、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色、ライトシアン色、ライトマゼンタ色、グレー色の各色に対応して7台の記録ヘッド、すなわちシアン色用記録ヘッド22、マゼンタ色用記録ヘッド23、イエロー色用記録ヘッド24、ブラック色用記録ヘッド25、ライトシアン色用記録ヘッド26、ライトマゼンタ色用記録ヘッド27、グレー色用記録ヘッド28がキャリッジベース21に固定されている。R検出手段18、G検出手段19、B検出手段20の順に記録ヘッドの長手方向に沿って並べて配置されている。R検出手段18はシアン色とライトシアン色の検出を行う。この2色は同じ顔料を色材として濃度を変えて使用しているので、検出手段が同一のもので検出できる。マゼンタ色とライトマゼンタ色に対するG検出手段19も同様である。B検出手段20はイエロー色の検出を行う。また、ブラック色とグレー色も光源の色の中でB検出手段20の反応が良いのでこれを検出用に使用する。ブラック色とグレー色も同じ顔料を色材で、濃度が異なる。
【0025】
図3は、テストパターンと検出手段による検出範囲を説明する図である。キャリッジベース21に固定されているB検出手段20は、記録媒体に記録された帯状のテストパターン30の記録範囲内に検出範囲31が入る。B検出手段20は、主走査方向に沿った線32上に検出範囲31がある。一つのテストパターンに対して複数回場所を変えて濃度を検出する。図では6カ所の濃度を検出する。この平均値をとって濃度の値とすることができる。テストパターンはブラック色用記録ヘッド25によって黒色で形成する。通常白色の記録媒体上にテストパターンを記録するので、コントラストが高くなり、検出誤差が小さくなる。
【0026】
図4は、ノズル位置と第1のテストパターンの関係を説明する図である。記録ヘッド40のノズル面には、インクを吐出する多数のノズル41が備わる。副走査方向のノズルの間隔49は全て同じ間隔である。キャリッジ3の移動方向、すなわち主走査方向に移動しながらインクを吐出することで、直線が描ける。例えば、ノズル42の走査位置を示す点線43上に吐出することができる。他のノズルも同様であり、点線43に平行な直線を描ける。
【0027】
複数のノズル41の副走査方向すなわち記録媒体の搬送方向における間隔が等しいので、この間隔を利用して搬送量のズレ量を検出する。この原理を説明する。予め決められたパターンを記録媒体に記録する。例えば、キャリッジ3を走査させ、まずノズル42を先頭にして3つのノズルから第1基礎パターン44を記録する。これは決められたドット数分の連続するドットによる線分である。少し間隔を空け、ノズル42の次のノズルを先頭にして3つのノズルから同様にドットを形成し、第2基礎パターン45を記録する。少し間を空け、ノズルを一つずらして、同様に第3基礎パターン46を記録する。同様にズラしながら、第4基礎パターン47、第5基礎パターン48を記録する。次に記録媒体を搬送する。搬送量は、基礎パターンの中心となる第3基礎パターン46を記録する先頭のノズル56と、基礎パターンを評価する評価線50を記録する先頭のノズル57との間隔である。評価線50は、基礎パターンの幅と同様に3つのノズルよって形成する。
【0028】
実際の搬送が、理論上の搬送量と等しければ、第3基礎パターン46の上にノズル57を先頭とした3つのノズルによるドットが重なることになる。しかし、実際には、ズレ58が生じることが大多数である。
【0029】
各基礎パターン上には評価線50が記録され、第1評価パターン51、第2評価パターン52、第3評価パターン53、第4評価パターン54、第5評価パターン55が記録される。これら評価パターンの濃度を、検出手段で検出する。検出結果から濃度の高低の傾向が分かる。例えば、一番低い濃度のパターンが、基礎パターンと評価線が重なっていることを示す。これが、第3基礎パターン46なら、理論値と実際がほぼ一致していることを示すが、図のように、第2基礎パターン45と評価線とによる第2評価パターン52が、一番濃度が低いので、搬送量がずれていることが分かる。これらの基礎パターンと評価パターンの濃度の値から近似曲線を求める、その極値を求めることでズレ量を推定することができる。これは、理論上の搬送量とノズルピッチが既知であるので、近似曲線の極値が、理論上の搬送量から、どの位ズレたかが分かる。ズレ量が分かれば、理論上の搬送量に対してするズレ量分の補正をして搬送することで、理論上の搬送量と実際の搬送量が一致することになる。近似曲線は最小二乗法などの統計的な手法を使って演算して導き出し、値または式を記憶し、他の演算に利用する。
【0030】
ここでの例は一列にノズルが並んでいるものを例としたが、必ずしも1列でなくともよく、複数列に並んでいたとしても、隣り合うノズルの記録媒体の搬送方向における間隔が等しい記録ヘッドであれば同様に扱うことができる。例えば、ノズルの先頭を1番目、その隣を2番目、以降3、4、・・・最後番目としたばあいに、奇数番目と偶数番目を夫々一列に直線上に並べ、1番目と2番目、2番目と3番目、3番目と4番目、と隣り合うノズル間の記録媒体の搬送方向における間隔が等しければよい。
【0031】
図5は、テストパターンを説明する図である。更に詳細にズレ量を求めるために、テストパターンを2種類用いる。
図5(a)は第2のテストパターンであり、
図5(b)は先に説明した第1のテストパターンである。
【0032】
第1のテストパターンは、ドットを記録する記録部とドットを記録しない非記録部が、記録媒体の搬送方向に交互に複数回並んだパターンである。第2のテストパターンは、ドットを記録する記録部とドットを記録しない非記録部が、記録媒体の搬送方向に交互に複数回並んだパターンであるが、第1のテストパターンに比べ記録部と被記録部とで構成する周期が短い。
【0033】
図6は、記録媒体に記録されたテストパターンの第1の例を説明する図である。先ず、主走査方向に第1のテストパターンを記録する。第1のテストパターンは、図中パターン1と書かれているエリアに記録される。隣り合うノズル間隔が理論上のテスト時の単位搬送量に対して0.3%の長さになる搬送量を用いる。中央が理論上±0となり、パターンが離れるに従い記録に使用するノズルを1ノズルずつシフトさせる。こうすることで、1ノズル離れる毎に、単位搬送量に対して0.3%ずつ離れたパターンとなる。そして、これらのパターンに対して理論上の単位搬送量に対応するノズルによって評価線を記録する。0.3%刻みで離れたパターンに対する濃度の値を取得でき、ここから、搬送量のズレ量を演算する。
【0034】
更に、先に求めたズレ量を中心値として、実際の搬送量を所定量ズラしてテストパターンを記録する。ここには、第2のテストパターンを用いる。すなわち、図中のパターン2と書かれているエリアに第2のテストパターンを記録する。搬送した後に記録し、パターンの濃度を検出する。まず基礎となるパターンを記録し、記録媒体をテスト時の単位搬送量に対して所定の率変えた搬送量の搬送をおこない、評価のためにパターンを記録する。このパターンは第1のテストパターンより周期の短い第2のテストパターンを用いる。
【0035】
具体的には、先に求めたズレ量を中心値として、実際の搬送量をズラして搬送する場合に、例えば、0.3%刻みで求めた中心値のズレ量が仮に+0.3%の場合であったら、この+0.3%の値に対して、プラスとマイナスの方向に0.1%刻みで第2のテストパターンを記録する。図では6段階の第2のテストパターンを記録してあり、仮に中心値が0.3%であった場合に、実際に搬送量を0.0〜+0.6%まで0.1%刻みで記録することになる。これらのパターンの濃度を検出手段で検出し、単位搬送量に対してのズレ量を演算できる。こうすることで、更に詳細にズレ量を取得することができる。
【0036】
図7は、記録媒体に記録されたテストパターンの第2の例を説明する図である。第1の例では、記録媒体の搬送方向に多く記録する必要があり、記録媒体の使用する量が多いが、第2の例ではこれを少なくできる。
【0037】
第1のテストパターンを、搬送量を変えて3回記録する。図中パターンAと書かれている領域には、第1のテストパターンを記録する。記録の際、基礎パターンを記録して、記録媒体を搬送させる際に、理論上の記録媒体のテスト時の単位搬送量に対して−0.2%となる搬送を行い、搬送後に理論上のテスト時の単位搬送量に対応するノズルによって評価線を記録する。理論上の搬送量は、搬送時の補正等を行わずに搬送させた場合の搬送量のことである。
【0038】
また、図中パターンBと書かれている領域には、第1のテストパターンを記録する。記録の際、基礎パターンを記録して、記録媒体を搬送させる際に、理論上の記録媒体のテスト時の単位搬送量に対して−0.1%となる搬送を行い、搬送後に理論上のテスト時の単位搬送量に対応するノズルによって評価線を記録する。図中パターンCと書かれている領域には、第1のテストパターンを記録する。記録の際、基礎パターンを記録して、記録媒体を搬送させる際に、理論上の記録媒体のテスト時の単位搬送量に対して±0.0%となる搬送を行い、搬送後に理論上の搬送量に対応するノズルによって評価線を記録する。
【0039】
このようにテストパターンを記録することで、テスト時の単位搬送量に対して0.1%刻みで可変させた搬送と同等の搬送を行ったテストパターンを記録することができる。
【0040】
記録したテストパターンの濃度を検出手段で検出し、検出結果から濃度の近似曲線を演算し、極値を求めることで、濃度の最低となるテスト時の単位搬送量に対するズレ量を推定できる。この推定値を使って、搬送量を補正することで、搬送の前後のドットを重ねることができ、画質の良い画像を得ることができる。また、この様にテストパターンを記録することで、記録する行を少なくできるので、記録媒体を節約できる。
【0041】
また更に検出時間を短くすることができる。それは、先ずパターンAの領域のテストパターンの濃度を検出し、検出結果から濃度の近似曲線を演算し、極値を求め、濃度の最低となる搬送量を推定する演算を行う。ここで推定した搬送量が、例えば、+0.4%であった場合に、その前後の所定の範囲である+0.2%、+0.3%、+0.5%、+0.6%のテストパターンの濃度の検出をする。このように、予め搬送量を推定した後に、その前後のテストパターンの濃度だけを検出することで、より詳細なデータから搬送量を演算できる。全部のテストパターンの濃度を検出せずに済むので、効率的にテスト時の単位搬送量に対する最適なズレ量を演算でき、そこから、理想的な搬送量に対しての補正量を演算することができる。
【0042】
図8は、記録媒体に記録されたテストパターンの第3の例を説明する図である。第2の例では、記録媒体に多くのテストパターンを記録する必要があり、インクの使用する量が多いが、第3の例ではこれを少なくできる。
【0043】
まず、テストパターンにより検出するズレ量の最大範囲に対して、その最大範囲に満たない所定範囲に対応するテストパターンを記録し、検出を行う。その後の詳細な検出範囲によって、最大範囲内の検出を可能とする。まず、周期の大きなテストパターンを記録し、濃度を検出する。検出結果から濃度の近似曲線を演算し、極値を求め、濃度の最低となる搬送量のズレ値を推定する演算を行う。その結果のテスト時の単位搬送量のズレ量の値に一番近い、実際に搬送制御できる単位搬送量に対するズレ量の値を中心値として、その前後の搬送量のズレ量に対応するテストパターンを記録し、その濃度を検出する。検出結果から濃度の近似曲線を演算し、極値を求め、濃度の最低となるテスト時の搬送量に対するズレ量を推定する演算を行う。演算したズレ量の値に対して、実際に制御可能な一番近いテスト時の単位搬送量に対するズレ量の値を最終的なズレ量の値として記憶し、この値に基づいて記録媒体の搬送量の補正を行い搬送制御する。パターンBを記録する場合は、テスト時の単位搬送量に対してノズル間の3分の1の距離、パターンCの場合は3分の2の距離をズラした搬送を行う。ノズル間距離を等分した値が単位搬送量に対するズレ量となり、詳細な検出を可能とする。例えば、ノズル間の3分の1の距離が、単位搬送量の0.1%に相当するように単位搬送量が決められている。ノズル間の距離を等分して、その間隔が求めたい搬送量の分解能に相当するように設定されていると容易にテストパターンを用いた検出が可能となる。
【0044】
第2の例では、
図7あるように、21パターンの記録が必要である。これに対して、第3の例では、
図8の実線で示された12パターンの記録で補正値を決めることができる。点線で示された部分にも場合によりテストパターンを記録することができる。このようにすることで、テスト時のインクの節約になる。また、第3の例では、第2の例よりも記録に用いる搬送量が多くなるが第1の例よりは少なくて済む。また、
図8では、パターンA1を記録後に、搬送させてパターンA2〜パターンCを記録するが、搬送させずにパターンA1を記録後に、その主走査方向にパターンA2を記録し、搬送させパターンB、搬送させバターンCを記録させれば、第2の例と同様に3段のテストパターンの記録で済ますことができる。
【0045】
図9は、テストパターンの記録とその検出の第1の例の動作を説明するフローチャートである。制御手段11がプログラムに従って動作の制御を行う。
まず、ステップS1で、第1のテストパターンを記録するための初期値をセットする。理論上の搬送量に対しての調査する範囲に基づいて、第1のテストパターンの記録するパターン数、使用ノズルをセットする。記録紙の幅によっては、1行に記録できるテストパターンに限りがあり、複数行に亘って記録する必要がある。
【0046】
次に、ステップS2で、第1のテストパターンを記録する。これは、基礎パターンと評価線を含む。
次に、ステップS3で、第1のテストパターンをパターン毎に、検出手段で濃度を測定し、その結果をRAM13に記憶する。
【0047】
次に、ステップS4で、新しくテストパターンを記録できる位置に、記録媒体をフィードさせる。
次に、ステップS5で、全てのパターンを記録し、検出したか確認する。場合によっては、第1のテストパターンを複数行に分けて記録するからである。全て終われば、ステップS6に移行し、終わっていなければステップS1に移行する。
【0048】
次に、ステップS6で、RAM13に記憶した濃度のデータに基づいて、近似曲線を演算し、極値を求め、濃度が最低となる理論上の搬送量からのズレ量を演算する。テストパターンを記録した中で一番近いものを仮のズレ量の中央値とする。または、制御可能な記録媒体の搬送量のズレ量に一番近いものを仮のズレ量の中央値としてもよい。
【0049】
次に、ステップS7で、仮のズレ量の中央値を中心に、第2のテストパターンを記録するための設定値をセットする。すなわち、中央値と、調査する範囲および第2のテストパターンの記録するパターン数、搬送量、使用ノズルをセットする。
次に、ステップS8で、第2のテストパターンを記録する。パターンを記録した後に、所定の搬送量を搬送させ、さらにパターンを記録する。
【0050】
次に、ステップS9で、パターンの重なり具合を検出するため、検出手段によって濃度を検出する。検出した値は、変えた搬送量毎にRAM13に記憶する。
次に、ステップS10で、新しくテストパターンを記録できる位置に、記録媒体をフィードさせる。
次に、ステップS11で、全調査範囲が済んだか否かを判断する。済んでいなければ、ステップS8に移行して次の段階の搬送量を用いて第2のテストパターンを記録する。済んでいれば、ステップS12に移行する。
【0051】
次に、ステップS12では、第2のテストパターンの各パターンの濃度値に基づいて近似曲線を演算し、極値を求める。濃度が最低となる理論上の搬送量に対するズレ量を求める。このズレ量に対して、第2のテストパターンを記録した中で一番近いものを補正値とする。この補正値を用いて、搬送量を補正演算して搬送することで、理論値に近い搬送ができる。
次に、ステップS13では、この補正値をセットして、確認のために第1のテストパターンと第2のテストパターンと補正値を記録する。処理を終了する。
【0052】
さらに、確認のためのテストパターンをユーザーが確認して、さらに、好みに合わせて手動で、操作パネルから搬送量の補正値を入力し、その入力に基づいて搬送量を補正しても良い。副走査方向に記録を制御できる最低解像度単位のズレ量でテストパターンを印刷し、最終的な設定値もこの最低解像度単位で設定値を決め、確認用のテストパターンを印刷する。ユーザーは、このテストパターン見て、修正したい場合は、操作パネルから再補正値を入力でき、その再補正値を最終的な設定値とすることができるようにしても良い。
【0053】
図10は、テストパターンの記録とその検出の第2の例の動作を説明するフローチャートである。制御手段11がプログラムに従って動作の制御を行う。
まず、ステップS20で、第1のテストパターンを記録するための初期値をセットする。理論上の搬送量に対しての調査する範囲に基づいて、第1のテストパターンの記録するパターン数、使用ノズルをセットする。記録紙の幅によっては、1行に記録できるテストパターンに限りがあり、複数行に亘って記録する必要がある。
【0054】
次に、ステップS21で、第1のテストパターンを記録する。これは、基礎パターンと評価線を含む。
次に、ステップS22で、第1のテストパターンをパターン毎に、検出手段で濃度を測定し、その結果をRAM13に記憶する。
【0055】
次に、ステップS23で、新しくテストパターンを記録できる位置に、記録媒体をフィードさせる。
次に、ステップS24で、全てのパターンを記録し、検出したか確認する。場合によっては、第1のテストパターンを複数行に分けて記録するからである。全て終われば、ステップS25に移行し、終わっていなければステップS20に移行する。
【0056】
次に、ステップS25で、RAM13に記憶した濃度のデータに基づいて、近似曲線を演算し、極値を求め、濃度が最低となる理論上の搬送量からのズレ量を演算する。テストパターンを記録した中で一番近いものを補正値とする。この補正値を用いて、搬送量を補正演算して搬送することで、理論値に近い搬送ができる。
次に、ステップS26では、この補正値をセットして、確認のために第1のテストパターンと補正値を記録する。処理を終了する。
【0057】
ここで、ステップS22とステップS23との間に、検出した濃度のデータに基づいて近似曲線を演算し、極値を求める。そして、求めた極値の前後のテストパターンのみを記録するために次のステップに移行する。ここで、新たにテストパターンを記録し検出する調整量以外は終了したものとみなす。またみなされたものは演算に用いない処理をする。ステップS20に処理が移行したら、求めた極値の前後の第1のテストパターンを記録するための調整量をセットし、ステップS21で記録する。次に記録したテストパターンの濃度を検出し記憶する。少なくとも仮に求めた補正値の前後のテストパターンを記録し、濃度の検出を行う。更に1段離れたテストパターンを記録し、濃度の検出を行ってもよい。データが多ければ、後の近似曲線の演算の精度が高まる。このようにすることで、テストパターンの印刷とセンサーによる検出の数が減り、短い時間で補正値を得ることができる。
【0058】
また、さらに、確認のためのテストパターンをユーザーが確認して、さらに、好みに合わせて手動で、操作パネルから搬送量の補正値を入力し、その入力に基づいて搬送量を補正しても良い。副走査方向に記録を制御できる最低解像度単位のズレ量でテストパターンを印刷し、最終的な設定値もこの最低解像度単位で設定値を決め、確認用のテストパターンを印刷する。ユーザーは、このテストパターン見て、仮に、修正したい場合は、操作パネルから再補正値を入力でき、その再補正値を 最終的な設定値とすることができるようにしても良い。
【0059】
また、測定した値が最も濃度が低い場合であっても、必ずしもそれが極値となることはない。測定にはノイズが含まれるからである。そのため、近似曲線を演算することで、取得した全体の値から測定値の傾向を判断する必要がある。また、補正値は、記録したテストパターンの条件の搬送量から、最終的に選択することになる。これは、実際の搬送制御できるものから選ぶ必要があるからである。演算で求めた最低値に対してそれを実現する制御ができない場合があるからである。通常の印刷では、ここで求めた一番ドットの重なる搬送量を用いることで、実際に制御できる量で搬送が可能となり、実現できる範囲で最も画像品質の高い印刷ができる。
【0060】
図11は、テストパターンの記録とその検出の第3の例の動作を説明するフローチャートである。制御手段11がプログラムに従って動作の制御を行う。
まず、ステップS30で、第1のテストパターンを記録するための初期値をセットする。理論上の搬送量に対しての調査する範囲に基づいて、第1のテストパターンの記録するパターン数、使用ノズルをセットする。記録紙の幅によっては、1行に記録できるテストパターンに限りがあり、複数行に亘って記録する必要がある。
【0061】
次に、ステップS31で、第1のテストパターンを記録する。これは、基礎パターンと評価線を含む。
次に、ステップS32で、第1のテストパターンをパターン毎に、検出手段で濃度を測定し、その結果をRAM13に記憶する。
【0062】
次に、ステップS33で、新しくテストパターンを記録できる位置に、記録媒体をフィードさせる。ここで、フィードさせずに第1のテストパターンの隣に第2のテストパターン記録する場合はこのステップS33は不要である。
次に、ステップS34で、全てのパターンを記録し、検出したか確認する。場合によっては、第1のテストパターンを複数行に分けて記録するからである。全て終われば、ステップS35に移行し、終わっていなければステップS30に移行する。
【0063】
次に、ステップS35で、RAM13に記憶した濃度のデータに基づいて、近似曲線を演算し、極値を求め、濃度が最低となる理論上の搬送量からのズレ量を演算する。記録したテストパターンの中で一番近いものを詳細検出パターンの中心の搬送量のズレ量の値とする。または、制御可能な記録媒体の搬送量のズレ量に一番近いものをズレ量の値としてもよい。この値を用いて、詳細なテスト時の単位搬送量に対するズレ量の値の演算を行うための第2のテストパターンの記録範囲を演算する。
【0064】
次に、ステップS36では、第2のテストパターンを記録するための初期値をセットする。理論上の搬送量に対しての調査する範囲に基づいて、第2のテストパターンを記録するために必要なパターン数、使用ノズル、単位搬送量に対してのズレ量を含む第2のテストパターンを記録する時の搬送量、などの値をセットする。記録媒体の幅によっては、1行に記録できるテストパターンに限りがあり、複数行に亘って記録する必要がある。また、テストする分解能毎に第2のテストパターンを記録する必要があるので、分解能毎に値をセットする必要がある。例えば
図8では、テストパターンA1、テストパターンA2、テストパターンB、テストパターンCで夫々セットする必要がある。第1のテストパターンと第2のテストパターンを同じ形状にしても良い。また、第1のテストパターンより第2のタスとパターンの方が、記録と非記録部分の周期を短いものにしてもよい。
【0065】
次に、ステップS37で、第2のテストパターンを記録する。これは、基礎パターンと評価線を含む。
次に、ステップS38で、第2のテストパターンをパターン毎に、検出手段で濃度を測定し、その結果をRAM13に記憶する。
【0066】
次に、ステップS39で、新しくテストパターンを記録できる位置に、記録媒体をフィードさせる。
次に、ステップS40で、全ての第2のパターンを記録し、検出したか確認する。
全て終われば、ステップS41に移行し、終わっていなければステップS36に移行し残りのテストパターンを記録する。
【0067】
ステップS41では、検出した濃度のデータに基づいて近似曲線を演算し、極値を求め、濃度が最低となる理論上のテスト時の単位搬送量からのズレ量を演算する。そして、求めた極値に最も近い、実際に搬送制御可能なズレ量の値を演算する。すなわち、近似曲線を演算して求め、極値を求め、テストパターンを記録した中で一番近い値を選択しRAM13に補正値として記憶する。この値に基づいて、搬送量を補正演算し、記録媒体の搬送制御を行う。こうすることで、理論値に近い搬送ができる。
次に、ステップS26では、この補正値をセットして、確認のために第1のテストパターンと補正値を記録する。その後処理を終了する。