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特許6138577Flexrayゲートウェイ及びFlexrayゲートウェイを操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138577
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】Flexrayゲートウェイ及びFlexrayゲートウェイを操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20170522BHJP
   G06F 13/36 20060101ALI20170522BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170522BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H04L12/46 100C
   G06F13/36 320A
   B60R16/02 660B
   G05B19/042
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-105257(P2013-105257)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-258690(P2013-258690A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2016年2月3日
(31)【優先権主張番号】12003938.3
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502013872
【氏名又は名称】ベクター インフォマティク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ゴスナー
(72)【発明者】
【氏名】オラヴ アウグスティン
(72)【発明者】
【氏名】ジョヘン ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス フィスヘル
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0041047(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/005427(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0175290(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0293311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
B60R 16/02
G05B 19/042
G06F 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1Flexrayバス(80)を接続するための第1バスインタフェース(31)と、第2Flexrayバス(90)を接続するための第2バスインタフェース(32)と、を備えるFlexrayゲートウェイであって、
前記Flexrayゲートウェイ(30)は、第1Flexrayバス(80)を第2Flexrayバス(90)に結合し、前記第1及び前記第2Flexrayバス(90)間でバスメッセージ(60,61)を伝送するための結合手段(33)を備え、
前記Flexrayゲートウェイ(30)は、Flexrayバス(80,90)の第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を送受信するための第1チャネルインタフェース(41)と、Flexrayバス(80,90)の第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)を送受信するための第2チャネルインタフェース(42)と、を有するFlexrayコントローラ(40)を備え、
前記結合手段(33)は、前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を伝送するために設けられた前記第1バスインタフェース(31)のチャネル接続部(31a)を、前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を伝送するために同様に設けられた前記第2バスインタフェース(32)のチャネル接続部(32a)に結合するように構成され、
前記結合手段(33)は
前記第2バスインタフェース(32)で受信された前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を前記第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)に適合させ、それらを前記Flexrayコントローラ(40)の前記第2チャネルインタフェース(42)に中継する処理、及び、前記Flexrayコントローラ(40)の前記第2チャネルインタフェース(42)を介して伝送される前記第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)を、前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)に適合させ、それらを前記第2バスインタフェース(32)に中継する処理の少なくとも一方を行うための少なくとも1つの適合モジュール(43,44
を備えること
を特徴とするFlexrayゲートウェイ。
【請求項2】
前記Flexrayコントローラ(40)は、前記第1又は第2バスインタフェース(31,32)で送出するためのシミュレーションバスメッセージ(65,66)を、前記Flexrayゲートウェイ(10)の送入インタフェース(49)で提供されたデータ(S4−S6)を用いて生成するように設計されていること
を特徴とする請求項1記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項3】
前記Flexrayコントローラ(40)は、前記シミュレーションバスメッセージ(65,66)を、その第2チャネルインタフェース(42)で前記第2チャネル型(B)バスメッセージとして出力するように設計され、前記少なくとも1つの適合モジュール(43,44)は、前記シミュレーションバスメッセージ(65,66)を前記第1チャネル型(A)のバスメッセージに適合させるように設計されていること
を特徴とする請求項2記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項4】
前記結合手段(33)が、前記第2バスインタフェース(32)で前記第1Flexrayバス(80)によって受信されたバスメッセージ(60,61)を変更することなく出力する処理、及び、前記第1バスインタフェース(3)で前記第2Flexrayバス(90)によって受信されたバスメッセージ(60,61)を変更することなく出力する処理の少なくとも一方を行うバイパスモードと、
前記結合手段(33)が、前記Flexrayコントローラ(40)によって使用可能に生成されたシミュレーションバスメッセージ(65,66)を前記第1又は第2バスインタフェース(31,32)で出力するシミュレーションモードと
の間で切り替えを行うための少なくとも1つの切替モジュール(58,59)を備えること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項5】
前記シミュレーションモードは、前記結合手段(33)が、前記Flexrayゲートウェイ(30)の前記バスインタフェース(31,32)のうちの一方で受信されるバスメッセージ(60,61)の代わりに、前記Flexrayコントローラ(40)によって使用可能に生成されたシミュレーションバスメッセージ(65,66)を前記第1又は第2バスインタフェース(31,32)で出力するモードであること
を特徴とする請求項記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの切替モジュール(58,59)は、前記少なくとも1つの適合モジュール(43,44)と前記第2バスインタフェース(32)との間に位置すること
を特徴とする請求項4又は5記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項7】
前記送入インタフェース(49)は、データ(S4−S6)を少なくとも1つのシミュレーションバスメッセージ(65,66)に利用可能に供することができるバッファ(53)を備え、前記データ(S4−S6)に割り当てられた制御情報(C4−C6)は、前記バッファ(53)に記憶可能であり、
前記切替モジュール(58,59)が、前記バッファ(53)内の前記データ(S4−S6)から生成されたシミュレーションメッセージの中継を阻止する前記バイパスモードと、前記少なくとも1つの切替モジュール(58,59)が、前記バッファ(53)内の前記データ(S4−S6)から生成されたシミュレーションメッセージ(65)を中継する前記シミュレーションモードと、の間で切り替えを行うための前記少なくとも1つの切替モジュール(58,59)を選択する制御手段が設けられること
を特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項8】
前記Flexrayコントローラ(40)は、前記第1及び第2バスインタフェース(31,32)間で伝送されるバスメッセージ(60,61)を出力するための監視インタフェース又は検査インタフェース(50)を備えること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項9】
前記結合手段(33)は、前記第1バスインタフェース(31)で受信されたバスメッセージ(60,61)を前記第2バスインタフェース(32)へと中継するが、前記第2バスインタフェース(32)で受信されたバスメッセージ(60,61)の前記第1バスインタフェース(31)への中継を阻止してフィードバックを回避する、又は、前記結合手段(33)は、前記第2バスインタフェース(32)で受信されたバスメッセージ(60,61)を前記第1バスインタフェース(31)へと中継するが、前記第1バスインタフェース(31)で受信されたバスメッセージ(60,61)の前記第2バスインタフェース(32)への中継を阻止してフィードバックを回避すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項10】
前記第1チャネル型(A)は、Flexrayバス(80,90)のAチャネル又はBチャネルに対応することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項11】
記少なくとも1つの適合モジュール(43,44)は、適合される前記バスメッセージ(60,61)の検査情報(64)を変更若しくは置換するために設けられていること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項12】
前記Flexrayコントローラ(40)は、前記第1バスインタフェース(31)を前記第2バスインタフェース(32)に時刻同期させるように設計されていること
を特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項13】
前記Flexrayコントローラ(40)は、バススタートアップ段階において、前記第1バスインタフェース(31)を前記第2バスインタフェース(32)に時刻同期させるように設計されていること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項14】
前記第1及び第2Flexrayバス間での通信をシミュレーションすること、操作すること、び、検することの少なくとも一つを行うことが可能である検査ツール(10)の一部を形成すること
を特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項15】
前記検査ツール(10)は、自動車(70)に対して設けられること
を特徴とする請求項14記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項16】
前記検査ツール(10)は他のバスメッセージ(60,61)に格納して前記第1バスインタフェース(31)で受信されるデータを、前記第2バスインタフェース(32)に送信する処理、及び、他のバスメッセージ(60,61)に格納して前記第2バスインタフェース(32)で受信されるデータを、前記第1バスインタフェース(31)に送信する処理の少なくとも一方を実行するためのシミュレーション手段を備えること
を特徴とする請求項14又は15記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項17】
前記検査ツール(10)は、他のタイムスロットにおいて、他のバスメッセージ(60,61)に格納して前記第1バスインタフェース(31)で受信されるデータを、前記第2バスインタフェース(32)に送信する処理、及び、他のタイムスロットにおいて、他のバスメッセージ(60,61)に格納して前記第2バスインタフェース(32)で受信されるデータを、前記第1バスインタフェース(31)に送信する処理の少なくとも一方を実行するためのシミュレーション手段を備えること
を特徴とする請求項14又は15記載のFlexrayゲートウェイ。
【請求項18】
第1Flexrayバス(80)を接続するための第1バスインタフェース(31)と、第2Flexrayバス(90)を接続するための第2バスインタフェース(32)と、を備えるFlexrayゲートウェイ(30)を操作する方法であって、
前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を伝送するために設けられた前記第1バスインタフェース(31)のチャネル接続部(31a)を、同様に前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を伝送するために設けられた前記第2バスインタフェース(32)のチャネル接続部に結合し、前記チャネル接続部間でバスメッセージ(60,61)を伝送するステップ、
Flexrayバス(80,90)の第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を、Flexrayコントローラ(40)の第1チャネルインタフェース(41)で送受信する手順、及び、Flexrayバス(80,90)の第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)を、前記Flexrayコントローラ(40)の第2チャネルインタフェース(42)で送受信する手順の少なくとも一方を含むステップ、並びに、
前記第2バスインタフェース(32)で受信された前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)を、前記第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)に適合させ、それらを前記Flexrayコントローラ(40)の前記第2チャネルインタフェース(32)に中継する手順、び、前記Flexrayコントローラ(40)の前記第2チャネルインタフェース(42)を介して送信された前記第2チャネル型(B)のバスメッセージ(60,61)を前記第1チャネル型(A)のバスメッセージ(60,61)に適合させ、それらを少なくとも1つの適合モジュール(43,44)を用いて前記第2バスインタフェース(32)に中継する手順の少なくとも一方を含むステップを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、第1Flexrayバスを接続するための第1バスインタフェースと、第2Flexrayバスを接続するための第2バスインタフェースと、を備えるFlexrayゲートウェイであって、第1Flexrayバスを第2Flexrayバスに結合し、第1及び第2Flexrayバス間でバスメッセージを伝送するための結合手段を備え、Flexrayバスの第1チャネル型のバスメッセージを送受信するための第1チャネルインタフェースと、Flexrayバスの第2チャネル型のバスメッセージを送受信するための第2チャネルインタフェースと、を有するFlexrayコントローラを備えるFlexrayゲートウェイに関する。本発明は更に、この種のFlexrayゲートウェイを操作(operating)するための方法に関する。
【0002】
所謂Flexrayバスは、互いに物理的に分離されているAチャネルとBチャネルとを有する。データをFlexrayバスで伝送するために、通信コントローラとも称される適切なFlexrayコントローラは、例えばAチャネル及びBチャネルのような第1チャネル及び第2チャネル上でデータを送受信するための2つのチャネルインタフェースを有する。Flexrayコントローラを、Flexrayバスに直接接続するためには、言わば物理レベル又は物理層を供する所謂バストランシーバが更に必要である。
【0003】
所謂フレームであるバスメッセージは、原則的にはAチャネル及びBチャネル上で同じ様に構築され得るが、それらは異なるチェックサムを有する。このため、あるFlexrayバスのAチャネルは、別のFlexrayバスのBチャネルとは直接通信ができない。このような状態なので、Flexrayコントローラは、別々のFlexrayバスにある2つのAチャネルとは通信できない。従って、例えばFlexrayバスに対する所謂レストバスシミュレーションを行うために、2つのFlexrayバスを、ゲートウェイを用いて連結しようとする場合には、少なくとも2つのFlexrayコントローラが必要とされる。
【0004】
よって、本発明は、できるだけ単純に構築されたFlexrayゲートウェイと、できるだけ単純に構築されたFlexrayゲートウェイを操作するための適切な方法を提供するという問題に基づいている。
【0005】
この問題を解決するために、上記で参照された種類のFlexrayゲートウェイにおいて、結合手段は、第1チャネル型のバスメッセージを伝送するために設けられた第1バスインタフェースのチャネル接続部を、第1チャネル型のバスメッセージを伝送するために同様に設けられた第2バスインタフェースのチャネル接続部に結合するように構成され、結合手段は、第2バスインタフェースで受信された第1チャネル型のバスメッセージを第2チャネル型のバスメッセージに適合させ、それらをFlexrayコントローラの第2チャネルインタフェースに中継し、及び/又は、Flexrayコントローラの第2チャネルインタフェースを介して送信された第2チャネル型のバスメッセージを、第1チャネル型のバスメッセージに適合させ、それらを第2バスインタフェースに中継するための少なくとも1つの適合モジュールを備えるように設けられている。
【0006】
第1Flexrayバスを接続するための第1バスインタフェースと、第2Flexrayバスを接続するための第2バスインタフェースと、を備えるFlexrayゲートウェイを操作するための本発明に係る方法は、
第1チャネル型のバスメッセージを伝送するために設けられた第1バスインタフェースのチャネル接続部を、同様に第1チャネル型のバスメッセージを伝送するために設けられた第2バスインタフェースのチャネル接続部に結合し、チャネル接続部間でバスメッセージを伝送するステップ、
Flexrayバスの第1チャネル型のバスメッセージを、Flexrayコントローラの第1チャネルインタフェースで送受信し、及び/又は、Flexrayバスの第2チャネル型のバスメッセージを、Flexrayコントローラの第2チャネルインタフェースで送受信するステップ、並びに、
第2バスインタフェースで受信された第1チャネル型のバスメッセージを、第2チャネル型のバスメッセージに適合させ、それらをFlexrayコントローラの第2チャネルインタフェースに中継するステップ、
及び/又は、Flexrayコントローラの第2チャネルインタフェースを介して送信された第2チャネル型のバスメッセージを第1チャネル型のバスメッセージに適合させ、それらを少なくとも1つの適合モジュールを用いて第2バスインタフェースに中継するステップを備える。
【0007】
本発明の基本概念は、単一のFlexrayコントローラ又は通信コントローラを用いて、2つのFlexrayバスを接続するゲートウェイを提供できるということである。よって、最小限の労力で、例えば既に自動車内に構築されていてもよい既存のFlexrayバスに、バスクラスタとしても知られる新たなバス分岐を接続可能であるとともに、その機能性をチェック可能である。本発明に係る手順により、単一のFlexrayコントローラが行う働きで、その設備を最大限活用することが可能になり、なおかつ2つの同様なチャネル、又は異なるFlexrayバスの同種のチャネルを、ゲートウェイ内に存在する又は必要とされる1つのFlexrayコントローラを用いて結合することが可能になる。
【0008】
「第1チャネル型」及び「第2チャネル型」と一般的な形で記述することを選んだのは、第1チャネル型及び第2チャネル型は、Aチャネルであってもよいし、Bチャネルであってもよいためである。これはどちらでも構わない。
【0009】
本発明に係るゲートウェイは、複数のFlexrayコントローラを備えてもよいのは当然であり、例えば、第1Flexrayコントローラが2つのFlexrayバスの2つのAチャネルを結合するために設けられている場合、第2Flexrayコントローラは、2つのFlexrayバスの2つのBチャネルを結合するために使用される。Flexrayコントローラは、例えばFPGAの一部、又は他のプログラム可能な回路要素であってもよい。
【0010】
この場合にも、2つのFlexrayバスの同種のチャネルを結合するために、1つのゲートウェイ内に数個の、例えば2つのFlexrayコントローラを必要としないのは有益である。Flexrayコントローラが1つの場合には、Flexrayコントローラが2つの場合よりも、プログラム可能な回路要素内で、より少量の空間あるいは容積しか必要としないことは明らかである。
【0011】
単一のFlexrayコントローラの使用は、ハードウェア又はソフトウェアにおける検査及び認証された構成要素が本発明に係るゲートウェイに使用されるという更なる利点をもたらすので、ゲートウェイは、接続されたFlexrayバスにおける規格に従って、確実に動作する。
【0012】
ここで、本発明に係るFlexrayゲートウェイは、ハードウェア又はソフトウェア又はその両方に実装可能であることに注目すべきである。特に好適なのは、非常に効率的に使用できるプログラム可能な回路要素内への実装である。その結果、ゲートウェイは、高速応答し、シンプルな構造を有する。
【0013】
本発明に係るFlexrayゲートウェイは、好適には、シミュレーション目的、検査目的、又は、単に2つのFlexrayバスの連結(又は前述手段の任意の組み合わせ)のために用いられる。
【0014】
特に好適な用途は、例えば具体的には制御装置のような、バスノードに対するバスメッセージ、又は、Flexrayクラスタのセグメントに対するバスメッセージへの介入である。例えば、バスメッセージは、バスメッセージの内容を交換することによって変更可能である。この方法では、例えば、制御装置であってもよい受信バスノードを、このバスノードがどのように応答するかをチェックするために、変更した情報と突き合わせる。それゆえ、例えば、Flexrayバスで動作する制御装置を検査することが可能である。
【0015】
検査目的で既存のFlexrayバスに新たな制御装置を組み込むことは、本発明に係るゲートウェイを用いることによって簡単に実現できる。例えば、Flexrayゲートウェイが、新たな制御装置からのバスメッセージを、Flexrayゲートウェイによって結合された既存バスの他の制御装置によって理解されるように、変更することが可能である。本発明に係るFlexrayゲートウェイは、例えば、新たな制御装置によって受信されたあるフレームからのデータを、別のフレームに転送し、それから、これを「古い」FlexrayバスでこのFlexrayバスに接続された他の制御装置に送信する。それゆえ、本発明に係るFlexrayゲートウェイは、好適には、あるバスメッセージ又はフレームからのデータを、別のバスメッセージ又は別のフレームに転送するように構成される。
【0016】
本発明に係るFlexrayゲートウェイは、非常に柔軟性があり、少しのフレーム、例えば4〜5個のフレームへの介入や変更だけでなく、結果的に、多数のフレームやバスメッセージを変更することも可能にする。よって、Flexrayゲートウェイは非常に柔軟性があり、例えば既存技術と比較して検査能力を大幅に広げることができる。
【0017】
Flexrayコントローラは、第1又は第2バスインタフェースで送出するためのシミュレーションバスメッセージを、Flexrayゲートウェイの送入インタフェースで提供されたデータを用いて生成するのに好都合に設計される。送入インタフェースは、例えばFlexrayコントローラの一部であってもよい。送入インタフェースは、バッファ及び/又はデータインタフェース等を含んでいてもよく、シミュレーションバスメッセージを生成するために、Flexrayコントローラによって読み込まれ得る。ここで、シミュレーションバスメッセージは、介入メッセージであってもよく、一方のFlexrayバスで受信される情報を含むバスメッセージ等の、他方のFlexrayバス上でFlexrayコントローラによって送出するために情報が処理され利用可能となった他のメッセージであってもよいことは注目すべきである。このように、第1Flexrayバスによって受信されるフレームからの情報は、例えば、他のバスメッセージに「再パッケージ化」され、他のFlexrayバスでシミュレーションバスメッセージとして伝送される。Flexrayコントローラは、データを処理してバスメッセージを形成する、又は第2Flexrayバスに対するバスメッセージを用意するので、ゲートウェイは、第2Flexrayバスにおける規格に従って動作する。
【0018】
Flexrayコントローラは、シミュレーションバスメッセージを第2チャネルインタフェースで第2チャネル型のバスメッセージとして出力するのに好都合に設計されており、少なくとも1つの適合モジュールは次に、このシミュレーションバスメッセージを第1チャネル型のバスメッセージに適合させるように設計されている。それゆえ、Flexrayコントローラは、例えば、Bチャネルに適したバスメッセージを出力し、その後、バスメッセージは、適合モジュールによってAチャネルに適したバスメッセージへと変換される。適合モジュールは、例えばバスメッセージのチェックサムを置換してもよい。
【0019】
本発明に係るゲートウェイは、第1Flexrayバスで受信したバスメッセージを、準透過的に、結合手段を介して、第2Flexrayバス上のバスメッセージとして出力可能である。その結果、ゲートウェイは、非常に効率的かつ高速に動作する。この構成は、逆も可能であることは明らかである。即ち、ゲートウェイは、第2Flexrayバス上で受信されたバスメッセージ又はフレームを、第1Flexrayバスに対するバスインタフェースに直接中継することができる。Flexrayコントローラは、このプロセスには加わらず、好都合にも受動的なままである。数ある利点の中で特に、これが格段に速いメッセージのスイッチングを促進する。この動作モードは、バイパスモードと称することも可能である。
【0020】
しかしながら、Flexrayコントローラは、バスメッセージを第1又は第2Flexrayバスへと送入するために効率的に使用され得る。例えば、Flexrayコントローラは、送入インタフェースで提供されたデータを処理してバスメッセージとし、バスメッセージは、次に、適合モジュールによって適合化された後に、ゲートウェイによって第1又は第2バスインタフェースで出力され得る。この動作モードは、シミュレーションモードと称することも可能である。
【0021】
シミュレーションモードとバイパスモードとの間の切り替えは、以下の手順によって容易にできる。本発明に係るFlexrayゲートウェイは、好適には、結合手段が第2バスインタフェースで第1Flexrayバスによって受信されたバスメッセージ、及び/又は、第1バスインタフェースで第2Flexrayバスによって受信されたバスメッセージを変更することなく出力するバイパスモードと、結合手段が特にFlexrayゲートウェイのバスインタフェースのうちの一つで受信されるバスメッセージの代わりに、Flexrayコントローラによって使用可能に生成されたシミュレーションバスメッセージを第1又は第2バスインタフェースで出力するシミュレーションモードと、の間で切り替えを行うための少なくとも1つの切替モジュールを備える。このように、バスメッセージは、一方のFlexrayバスから他方のFlexrayバスへ中継されることができ、又は、他のバスメッセージ又は他のフレームによって置換されることができる。
【0022】
動作が、可能な限り問題なく高速であるようにする場合、少なくとも1つの切替モジュールが少なくとも1つの適合モジュールと第2バスインタフェースとの間に位置すると有益である。この方法において、例えばFlexrayコントローラによって提供されてもよいシミュレーションバスメッセージは、適合モジュールを通り、そこで例えば第1チャネル型のシミュレーションバスメッセージ(例えばAチャネルバスメッセージ)に変換された後、少なくとも1つの切替モジュールによって第2バスインタフェースへ直接中継され得る。
【0023】
送入インタフェースは、データをシミュレーションバスメッセージに利用可能に供することができるバッファを好都合には備える。1つ以上のシミュレーションバスメッセージに対するデータが、例えば提供され得る。それゆえ、例えばバッファには、フレームのシーケンス全体又はシーケンスの少なくとも一部に対して、データが備えられ得る。本発明の有益な更なる発展は、切替モジュールがシミュレーションバスメッセージを中継することを阻止するバイパスモードと、少なくとも1つの切替モジュールがバッファ内のデータを用いて生成されたシミュレーションメッセージを中継するシミュレーションモードと、の間で少なくとも1つの切替モジュールの切り替えを行うために、例えば切替モジュールや切替モジュールを選択(select)する制御モジュールのような切替手段によって読み取られる制御情報が、それぞれのシミュレーションバスメッセージに対するデータに割り当てられることである。バイパスモードにおいて、切替モジュールは、例えばバスメッセージを一方のFlexrayバスから他方のFlexrayバスへと中継する。一方、シミュレーションモードにおいて、例えばこのようなバスメッセージは、阻止され、このバスメッセージの代わりには、シミュレーションメッセージがバスインタフェースへ伝送される。
【0024】
Flexrayコントローラは、好適には、第1及び第2バスインタフェースの間で伝送されるバスメッセージを出力するための監視インタフェースを備える。当然ながら、監視インタフェースは、単方向も双方向も可能である。即ち、第1から第2バスインタフェースに伝送されるバスメッセージだけを出力し、又はその逆も可能であるし、両伝送方向において動作することも可能である。シミュレーションモジュール又は検査ツールは、監視インタフェース、例えばパーソナルコンピュータや、例えばディスプレイやスピーカー等の出力インタフェースを有する他の装置に、例えば接続可能である。
【0025】
この場合、上述の送入インタフェースがこのような検査ツールに接続され得ることに注目すべきである。
本発明に係るゲートウェイを挟む2つの同様なチャネルを結合すると、結果としてフィードバック効果が得られる。このことを背景に、以下を提案する。結合手段は、有利には、第1バスインタフェースで受信されたバスメッセージを第2バスインタフェースへと中継するが、第2バスインタフェースで受信されたバスメッセージの第1バスインタフェースへの中継を阻止して、フィードバックを回避する。この状況は逆も可能であることは明らかである。即ち、結合手段は、第2バスインタフェースで受信されたバスメッセージを第1バスインタフェースへと中継するが、第1バスインタフェースで受信されたバスメッセージの第2バスインタフェースへの中継を阻止してフィードバックを回避する。
【0026】
上で言及したように、第1チャネル型は、FlexrayバスのAチャネルに対応し、あるいはBチャネルに対応してもよい。好適には、適合モジュールは、例えばチェックサムといった、適合されるべきバスメッセージの検査情報を変更するように設けられる。必要に応じて異なる適合が存在してもよいことは当然である。
【0027】
Flexrayコントローラは、第1バスインタフェースを第2バスインタフェースに時刻同期させるように好都合には設計される。このため、Flexrayコントローラは、同期機能を有して、第1及び第2Flexrayバスの両方が同期動作できるようにする。Flexrayコントローラは、例えば2つのFlexrayバスの同期スタートアップ、すなわち起動するFlexrayバスの同期化を提供する。好適には、Flexrayコントローラは、第1Flexrayバスによってプリセットされた時間情報、例えばバスクロックサイクルを、第2Flexrayバスを同期若しくは起動するために取得するか、又は、第2Flexrayバスを、この所謂クラスタ情報と第1Flexrayバスのタイミングとを用いて起動するように定められる。Flexrayゲートウェイは、例えば、一方のFlexrayバスから受信された同期メッセージ(所謂同期フレーム等)を他方のFlexrayバスに伝送する、又は、受信された同期メッセージから他方のFlexrayバスに対する新たな同期メッセージを生成する。
【0028】
本発明に係るゲートウェイは、第1及び第2Flexrayバス間での通信を検査可能な検査ツールの一部を、好都合には構成する。第1及び第2Flexrayバス間での通信は、例えばシミュレーション可能である。検査ツールは、例えば、所謂レストバスをシミュレーションするために設けられ得る。あるいは、検査ツールは、既存のFlexrayバスに接続される新たな構成要素、例えば新たなエンジン制御装置を接続するために設けられ得る。従って、検査ツールは、好適には、「古い」Flexrayバスからのメッセージを、それらが第2の新たなFlexrayバスに中継される前に変更するように設計され、逆の場合も同様に設計される。よって、同様に通信を操作できることも、このような検査ツールの有利な機能である。上で言及したように、チェック機能も同様に有益である。即ち、検査ツールは、第1及び第2Flexrayバス間での通信をチェックするために設けられる。
【0029】
有利な機能は、検査ツールが、第1バスインタフェースで受信される他のバスメッセージ内のデータを第2バスインタフェースへと送信し、逆の場合も同様に送信するためのシミュレーション手段を備えることである。シミュレーション手段又はシミュレーションモジュールは、例えば、ある意味ではメッセージを符号化するように、即ち、例えばあるタイムスロットから別のタイムスロットまでのユーザデータを、例えば、それらが一方のFlexrayバスから他方のFlexrayバスへと中継される前に、再符号化するように設けられてもよい。
【0030】
本発明に係るゲートウェイは、接続されるFlexrayバスの言わば物理レベル又は物理層を供する少なくとも1つのバストランシーバを好都合には備える。
本発明の一実施形態は、図面を参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】図示された本発明に係るゲートウェイによって第2Flexrayバスが接続されたFlexrayバスを有する自動車の線図である。
図2】自動車のFlexrayバス上で伝送されるバスメッセージの図表示である。
図3】検査ツールと組み合わせられる、又は検査ツールの一部としての、本発明に係るFlexrayゲートウェイの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
自動車70、例えば四輪自動車は、例えば内燃機関や電動モータのような駆動原動機71、更には、パワーウインドウ、空調システム、照明装置等の他の様々な構成要素を有する。これらの構成要素は、例えば、駆動原動機71用のエンジン制御装置等の、電気制御装置72,73,74、及び、図示された更なる制御装置75によって制御及び監視される。これらは、Flexrayバス80に接続される。Flexrayバス80は、所謂Aチャネル81及び所謂Bチャネル82を有する。
【0033】
しかしながら、自動車70では、2つのチャネル81,82のうちの一方しか通常の方法では使用されず、本例の場合、これはAチャネルである。このため、Bチャネルは、破線のみで表わされる。
【0034】
Flexrayバス80に接続される制御装置72〜75の夫々は、Flexrayバス80との通信のためのFlexrayバスカプラ76を有する。Flexrayバスカプラ76は、例えば、Flexrayコントローラやトランシーバ等を既知の手法で備えている。
【0035】
Flexrayバス80は、Flexrayバス90、即ち、更なるバスクラスタによって補完されるようになっている。制御装置72〜75と直接通信するために設けられた制御装置95がFlexrayバス90に接続されている。後の開発段階では、制御装置95は、Flexrayバスカプラ76のタイプのFlexrayバスカプラ96を備え、既設のFlexrayバス80に接続されるようになっている。しかしながら、これらがなされる前に、制御装置95が他の制御装置72〜75と調和して通信することを確認しておかなければならない。これらの検査やチェックは、詳細が以下に記載された検査ツール10であって、ゲートウェイ30を備えた検査ツール10によって簡素化される。
【0036】
例えば、Flexrayバス80が第1Flexrayバスを形成しているとき、Flexrayバス90は、第2Flexrayバスであり、第1及び第2バス80,90は、ゲートウェイ30によって結合される。制御装置72〜75はFlexrayバス80のAチャネル81と通信する。制御装置95もまたAチャネル、本例ではFlexrayバス90のAチャネル91に接続されている。Flexrayゲートウェイ30は2つのチャネル81,91を結合する。従って、2つのチャネル81,91は、第1チャネル型Aのチャネルである。
【0037】
Flexrayバス80の第2チャネル82、及び、必要に応じて第2Flexrayバス90に設けられる第2チャネル92は、第2チャネル型Bのチャネルである。
ゲートウェイ30は、第1及び第2バスインタフェース31,32を備える。第1及び第2バスインタフェース31,32は、第1チャネル81,91(Aチャネル)を例えばチャネル接続部31a,32aに接続するようにして、Flexrayバス80,90に接続される。チャネル接続部31a,32aは、例えばトランシーバを含んでいてもよい。インタフェース31,32は、結合手段33によって結合されているので、例えば、Flexrayバス80からのバスメッセージ60は、インタフェース31に到達し、バイパスモードでは、結合手段33によってもう一方のバスインタフェース32に直接中継又は転送される。
【0038】
バスメッセージ60は、例えば、バスインタフェース31に割り当てられた結合手段33の受信モジュール34によって受信され、矢印35で示されるように、バスインタフェース32に割り当てられた送信モジュール36へと中継される。送信モジュール36は次に、バスメッセージ60を、第2Flexrayバス90での送信のために、第2バスインタフェース32へと中継する。
【0039】
逆方向、即ち、Flexrayバス90からFlexrayバス80へは、通信は反対方向に行われる。即ち、第2バスインタフェース32で受信されたバスメッセージ61は、受信モジュール37によって受信され、矢印38で示されるように、送信モジュール39に中継され、送信モジュール39は、その後、第1バスインタフェース31でバスメッセージ61を第1Flexrayバス80上に出力する。
【0040】
バスメッセージ60が言わばFlexrayバス90上の受信モジュール37に返され、その後、受信モジュール37が、既に一度第1Flexrayバス80経由で送信された全く同一のバスメッセージ60をこの第1Flexrayバス80に返す場合、バスメッセージ60が第1Flexrayバス80から第2Flexrayバス90へ送信された結果、望ましくないフィードバックあるいは正のフィードバックが生じ得る。このフィードバックの影響は、受信モジュール37が矢印38で示されるような接続を介してバスメッセージ60を戻さず、この接続が既に第2バスインタフェース32に送信されたバスメッセージ60を言わば阻止すると規定することによって排除される。
【0041】
ゲートウェイ30は更に上述のバイパスモードではアクティブではないFlexrayコントローラ40を備える。
Flexrayコントローラ40は、本例では、ハードウェア及び/又はソフトウェアから構成される認証及び検査済の構成要素を備える。Flexrayコントローラ40は、同期機能等の、Flexrayバスの動作に必要な必須機能を提供する。この意味では、Flexrayコントローラ40は、ゲートウェイ30の必須の構成要素である。例えば、Flexrayコントローラ40は、ゲートウェイ30のスタートアップ段階、即ち、Flexrayバス80,90が起動する時において、バス80,90の同期又は適合、並びに、バス80及び/又は90のバスサイクルへのゲートウェイ30の適合に関わる。
【0042】
従って、Flexrayコントローラ40は、全てのFlexrayコントローラのように、2つのチャネルインタフェース、即ち、第1チャネル型Aのチャネル及び第2チャネル型Bのチャネルの機能を果し得る第1及び第2チャネルインタフェース41,42を有する、共通化された構成要素となり得る。例えば、第1チャネルがAチャネルで、第2チャネルがBチャネルであってもよく、このため、第1チャネルインタフェース41は、Aチャネル又は第1チャネル型Aのチャネルの機能を果たすのに適しており、一方、第2チャネルインタフェース42は、Bチャネル、つまり第2チャネル型Bのチャネルの機能を果たすように設計される。従って、チャネルインタフェース41は、Aチャネル81又は第1Flexrayバス80の第1チャネル型Aのチャネルに接続されるバスインタフェース31に直接接続され得る。第2チャネルインタフェース42は、第2又はBチャネル型に割り当てられ、第2Flexrayバス90のAチャネル91の機能を果たす第1チャネル型Aに割り当てられたバスインタフェース32に簡単に接続することはできない。
【0043】
この点においては、結合手段33の適合モジュール43、44によって解決法が提供される。Flexrayコントローラ40は、第2チャネル型(Bチャネル型)のバスメッセージを結合手段33による中継に利用できるようにするために、送入インタフェース49で提供されるバスメッセージや、バスメッセージを供給するために提供されたデータを、第2チャネルインタフェース42で編集することができる。バスメッセージは、それらをゲートウェイ30のバスインタフェース32で送信モジュール16によって出力することができるように、適合モジュール43によって第1チャネル型(Aチャネル型)のバスメッセージに変換される。
【0044】
受信方向では、適合モジュール44がアクティブである。即ち、例えば、受信モジュール37によって受信されたバスメッセージ61は、第1チャネル型(Aチャネル型)のバスメッセージであるが、適合モジュール44によって第2チャネル型(Bチャネル型)のバスメッセージに変換される、又は、Flexrayコントローラ40が第2チャネルインタフェース42でバスメッセージ61bを受信できるように適合される。
【0045】
バスメッセージ60,61は、例えばヘッド62、ユーザーコンテンツ63、及び、チェック情報64で構成されていてもよい。
バスメッセージ61において、例えば、適合モジュール44は、第1チャネル型(Aチャネル)に割り当てられたチェック情報64aを、第2チャネル型(Bチャネル)に割り当てられたチェック情報64bに置換することによって、Flexrayコントローラ40の第2チャネルインタフェース42がこの変更されたバスメッセージ61bを「理解」できるようにする。
【0046】
ゲートウェイ30は、検査インタフェース50を有する。これにより、例えば、2つのFlexrayバス80,90間の通信の監視又は抜き出しや、シミュレーションバスメッセージの送入や、通信のチェック等が可能になり得る。
【0047】
例えば検査ツール10のパーソナルコンピュータ11は、検査インタフェース50であるか、又は検査インタフェース50に接続可能である。従って、検査ツール10には、コンピュータ11のディスプレイのような出力手段12、及び、コンピュータ11のキーボード、マウス、音声認識等のような入力手段13が設けられることにより、オペレータが検査インタフェース50を用いてゲートウェイ30のデータ交換に操作を加える、及び/又は、このデータ交換を監視することが可能になる。コンピュータ11は更に、プロセッサ14、メモリ15及び検査モジュール16を備え、プロセッサ14が実施可能なプログラムコードがメモリ15内に記憶される。
【0048】
ゲートウェイ30は例えば、コンピュータ11のプロセッサ14や他の構成要素との通信のために、コンピュータ11のモジュールスロット内に配置されるプラグインカードとして設計されてもよい。本例において、検査インタフェース50は、例えば、PCMIAインタフェース又はPCIインタフェース等を備える。あるいは、ゲートウェイ30はもちろん検査ツールと一体の要素であってもよい。即ち、ゲートウェイ30は、コンピュータ11等に統合されてもよい。しかしながら、構造的な詳細は、この文脈においては重要ではない。重要なのは、データ交換の監視及び操作等を、コンピュータ11又は検査モジュール16の力を借りてゲートウェイ30を介して行うことである。このことについては後述する。
【0049】
Flexrayコントローラ40は、例えば、Aチャネル受信モジュール46を備える。Aチャネル受信モジュール46は、Aチャネル又は第1チャネルインタフェース41で受信されたバスメッセージ、例えばバスメッセージ60を受信して、検査インタフェース50のAチャネル受信バッファ52に書きこむことができる。検査モジュール16は、検査インタフェース60と通信することによって、例えば受信バッファ52を読み出すことができる。受信バッファ52には、例えばバスメッセージ60又は図示されていないバスメッセージから生じ得るE1,E2,E3等の入力データが書き込まれる。
【0050】
Flexrayバス90も同様にこのような受信バッファ、即ち、第2チャネルインタフェース42に割り当てられ、Bチャネル受信モジュール48によって書きこまれるようになっているBチャネル受信バッファ54が割り当てられる。受信バッファ54へは、受信モジュール48が、例えば、第2Flexrayバス90上で受信されたバスメッセージ、又は、これらのバスメッセージに含まれている、ここでは入力データE4,E5,E6が一例として示されているデータを書き込んでもよい。検査モジュール16が同様にこの入力又は受信バッファ54を読み込み可能であることは当然である。
【0051】
ここで、一例として監視プロセスを示す。他の構造的な解決方法も同様に実現可能であることは明らかである。
シミュレーションバスメッセージに挿入するために、又は、受信されたバスメッセージからの送信されることになっている他のバスメッセージへのデータを記録するために、Aチャネル送信バッファ51及びBチャネル送信バッファ53が設けられている。即ち、これらのメッセージやデータは、検査モジュール16によって提供されたデータを、第1Flexrayバス80又は第2Flexrayバス90上にFlexrayバスメッセージとして送信するために、Flexrayコントローラ40のA及びBチャネル送信モジュール45,47によって読み出される。
【0052】
データS1,S2,S3及びデータS4,S5,S6は、夫々、例えば、送信バッファ51,53内に保存される。これらのデータS1〜S6に対しては、制御情報C1〜C6が送信バッファ51,53内に記憶され、これらの情報を用いて、制御モジュール55,56が送信モジュール45,47に対して各々のデータレコードS1,S2,S3又はS4,S5,S6を読み出すように命令する。これは、このデータレコードを用いて、Flexrayバス80又は90上に送信するためのバスメッセージを用意するためである。制御モジュール55,56は、制御手段57を形成する。
【0053】
バスメッセージは、例えば以下のように送入される。制御モジュール56がFlexrayコントローラ40の送信モジュール47を選択し、データS4を、制御情報C4がこれを備えていれば読み出す。制御情報C4は例えばロジック「1」であってもよい。データS4を用いて、Flexrayコントローラ40、即ち送信モジュール47は、チェック情報64bを有するシミュレーションバスメッセージ65を形成し、これを第2チャネルインタフェース42へ出力する。適合モジュール43は、チェック情報64bをAチャネルチェック情報64aへと置換する。次に、制御モジュール56は、結合手段33の送信モジュール36を選択して、例えばバスメッセージ60の代わりにシミュレーションバスメッセージ65を送信する。送信モジュール36は、例えば、送信モジュール36の一体部分であってもよい上流側切替モジュール59を備えていてもよい。切替モジュール59は、送信モジュール36にシミュレーションバスメッセージ65を送信するように命令する。
【0054】
Flexrayバス80において、別のチャネル型への適合は必要ない。例えば、制御モジュール55は、Flexrayコントローラ40、即ちAチャネル送信モジュール45を直接選択し、データレコードS1又はS2からシミュレーションバスメッセージ66を生成して、それをチャネルインタフェース41で出力することができる。制御モジュール55は更に、切替モジュール58を選択する。切替モジュール58は、例えばバスメッセージ61の代わりにシミュレーションバスメッセージ66をバスインタフェース31で出力するために、結合手段33の送信モジュール39に搭載されていてもよい。
【0055】
制御情報C2,C3又はC5,C6は、例えば、データレコードS2,S3又はS5,S6がデータレコードS1,S4とは異なり、バスメッセージへと変換されるものではないことを示すことが可能である。
【0056】
制御情報C1〜C6を用いて、ゲートウェイ30は、例えば、送信サイクルのうちの数フレームを操作する、即ち、受信フレームの代わりにシミュレーションフレームを生成し、これを送信することができる。又は、ゲートウェイ30は、バイパスモードにおいて使用者が気付くことなく、バスメッセージを一方のFlexrayバスから他方のFlexrayバスへ転送することができる。
【0057】
ゲートウェイ上でのバス通信やデータ交換が影響を受けない排他的データ抜き出しモードや排他的監視モードも実現可能であることは明らかである。
図示されている実施形態についての上述の説明は、ゲートウェイの個々のモジュールについて述べている。このようなモジュールはロジック部品やソフトウェア機能等であってもよいことは明らかである。しかしながら、上述の説明は、本発明に係るゲートウェイを構成可能な方法を原理的に示したものである。
図1
図2
図3