(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略平行に配設される一対のフレーム、この一対のフレーム間に架け渡される複数のローラ、搬送方向の一端側においてこの一対のフレームに配設される被係止バー及び搬送方向の他端側に配設されるフックを有するローラコンベアと、
このローラコンベアの搬送方向の一端側に連結される支持部材と
を備え、
上記支持部材が、
上記一対のフレームを下方から支持する支持部と、
上記支持部の下方に連結される一対の脚部と
を有し、
上記支持部が、
上記ローラコンベアとの連結位置を搬送方向に調整する搬送方向位置調整手段と
上記ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段と、
を有する圃場内利用ローラコンベア搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、脚部数が少なく圃場の畝部で利用しやすく、傾斜畑にも対応した作業効率の良い圃場内利用ローラコンベア搬送装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた圃場内利用ローラコンベア搬送装置は、
略平行に配設される一対のフレーム、この一対のフレーム間に架け渡される複数のローラ、搬送方向の一端側においてこの一対のフレームに配設される被係止バー及び搬送方向の他端側に配設されるフックを有するローラコンベアと、
このローラコンベアの搬送方向の一端側に連結される支持部材と
を備え、
上記支持部材が、
上記一対のフレームを下方から支持する支持部と、
上記支持部の下方に連結される一対の脚部と
を有し、
上記支持部が、
上記ローラコンベアとの連結位置を搬送方向に調整する搬送方向位置調整手段と、
上記ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整する傾斜角度調整手段と
を有している。
【0010】
当該ローラコンベア搬送装置は、支持部とローラコンベアとの連結位置を搬送方向に調整する手段を有しているので、支持部に連結されている脚部の位置を畝溝部に維持したままローラコンベアの位置を作業効率の良い位置に調整できる。また、この搬送方向位置調整手段をフックと被係止バーとの係合いの位置調整に利用することができるので、複数のローラコンベア搬送装置を容易に連結することができる。
【0011】
また、当該ローラコンベア搬送装置は、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整する手段を有しているので、圃場の傾きや局所的な凹凸があっても、ローラコンベアが略水平となるように調整できる。従って、人力による介添等が不要となり、農作業の作業効率が高くなる。
【0012】
上記ローラコンベア搬送装置の脚部としては、車輪を有しているとよい。脚部に車輪を有していることで圃場内の移動が容易に行える。
【0013】
上記ローラコンベア搬送装置のフックとしては、溝状に形成される係止部を有し、上記係止部の幅と上記被係止バーの径とが略等しいとよい。このように係止部の幅と被係止バーの径とを略等しくすることで、ローラコンベア搬送装置を連結した際にローラコンベア間で生じる横動を抑えることができる。従って、地面の凹凸等の影響でローラコンベアに捻りが加わった際にもローラコンベアの連結部分に不整合が発生しにくく、荷物搬送時に荷物の滞留や脱線が発生しにくい。
【0014】
上記係止部は、逆U字状に形成されるとよい。係止部が逆U字状である場合、フック側のローラコンベア搬送装置を持ち上げるのみで係止を容易に外すことができる。従って、農作業中にローラコンベアを横切る必要がある場合、当該ローラコンベア搬送装置を持ち上げることで、大回りをすることなく容易にローラコンベアを横切ることができる。
【0015】
上記ローラコンベア搬送装置は、上記係止部の開口側を封止する封止手段を有しているとよい。上記開口側を封止することで、被係止バーが係止部に固定され、移動時の振動等で係止が外れることをより確実に防止できる。また、圃場の凹凸により脚部の片側が浮き上がってしまう場合においても、被係止めバーが係止部の開口側に移動しないため、ローラ面が不連続となりにくい。さらに、係止部のみを封じているので、2台のローラコンベアのローラ面の角度の調整には影響がなく、角度調整を自由に行うことができる。
【0016】
上記ローラコンベア搬送装置の支持部が、上記一対のフレームを下方から支持する横フレームと、この横フレームを支持する一対の縦フレームとを有し、上記傾斜角度調整手段として、上記横フレームが一端側において一方の縦フレームに軸支され、他端側において他方の縦フレームと複数の上下方向位置で固定可能に構成されるとよい。このように支持部を構成することで、他方の縦フレーム側の横フレームの固定位置が変更でき、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整することができる。
【0017】
上記ローラコンベア搬送装置の傾斜角度調整手段として、上記横フレームと上記他方の縦フレームとを位置調整可能に共締めする手段を有するとよい。傾斜角度調整手段を共締め構造とすることで、横フレームを縦フレームの任意の位置に固定できるので、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度調整を無段階で行うことができる。従って、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度をより最適な角度に調整できる。
【0018】
上記ローラコンベア搬送装置の搬送方向位置調整手段として、上記一対のフレームと上記横フレームとを共締めする手段を有するとよい。搬送方向位置調整手段を共締め構造とすることで、一対のフレームを横フレームの任意の位置に固定できるので、ローラコンベアの搬送方向の位置調整を無段階で行うことができる。従って、ローラコンベアの搬送方向の位置をより最適な位置に調整できる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のローラコンベア搬送装置は、2輪構成で実現でき上記公報のものよりも車輪数が少なく、さらにローラコンベアと支持部との連結位置を搬送方向に調整する手段を有しているので、畝部に応じた調整が行いやすく、作業効率が良い。また本発明のローラコンベア搬送装置は、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整する手段を有しているので、圃場の傾きや局所的な凹凸があっても、容易に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
[第一実施形態]
<ローラコンベア搬送装置>
図1のローラコンベア搬送装置1は、圃場内で畝部を跨いで利用するローラコンベア搬送装置である。ローラコンベア搬送装置1は、ローラコンベア2と、このローラコンベア2の搬送方向の一端側に連結される支持部材3とを備える。
【0023】
(ローラコンベア)
ローラコンベア2は、略平行に配設されている一対のフレーム21(以下、コンベアフレームという)と、コンベアフレーム21間に架け渡された複数のローラ22、ローラコンベア2の搬送方向の一端側において上記一対のコンベアフレーム21に配設される被係止バー23と、搬送方向の他端側に配設されるフック24とを有する。
【0024】
コンベアフレーム21は、ローラ22を架け渡すためのフレームであり、公知の物を用いることができる。コンベアフレーム21は、上壁211、側壁212、下壁213の三面を有し、正面(ローラコンベアの搬送方向)から見て、ローラ22側とは逆方向に開いた略Uの字状である(
図2)。コンベアフレーム21の材質としては、スチール、ステンレス、アルミニウム、樹脂等があるが、アルミニウムが好ましい。アルミニウム製のコンベアフレームは、軽量で持ち運びが容易であり、耐腐食性に優れることから、屋外で使用し移動を伴う当該ローラコンベア搬送装置1に好適である。
【0025】
コンベアフレーム21の幅としては、特に限定されないが、荷物の幅よりやや広いものが好ましく、例えば360mmのものを用いることができる。コンベアフレーム21の長さとしては、利用する圃場の広さや形、作業道の間隔等に応じて選定する必要があるが、例えば3000mmのものを用い、当該ローラコンベア搬送装置を複数連結して利用することができる。コンベアフレーム21の高さとしては、フレーム強度と取り扱いの容易性から選定されるが、例えば長さ3000mm、幅360mmのフレームであれば、65mmの高さのものが使える。
【0026】
ローラ22は、コンベアフレーム21に複数架け渡され、荷物を搬送する役割を担う。ローラ22の材質としては、コンベアフレーム21と同様のものが使われる。ローラ22の幅としては、コンベアフレーム21に合わせて決定される。ローラ22の径及び間隔としては、4本程度で荷物を支えることができ、ローラ1本の受ける荷重が許容荷重以下となるようなものがよいとされており、例えば径45mm、ピッチ100mm、ローラ長300mmとすることができる。
【0027】
(フック)
フックについて、
図3の一のローラコンベア搬送装置1aと他のローラコンベア搬送装置1bとを用いて説明する。上記2台のローラコンベア搬送装置は、一のローラコンベア搬送装置1aのフック24aと他のローラコンベア搬送装置1bの被係止バー23bとを係止することで、連結することができる。
【0028】
一対の被係止バー23bは、略円柱状で、一対のコンベアフレーム21bそれぞれについて、ローラとは反対側の面に各々固定されている。被係止バー23bの固定位置は、フック24aの係止部241aと係合った時に、コンベアフレーム21aとコンベアフレーム21bとの互いに近接位置にくるローラ221a及びローラ221bの車輪接地面を基準とした高さが略同一となるよう決められている。被係止バー23bのコンベアフレーム21bへの固定方法は、特に限定されないが、例えば溶接を用いることができる。被係止バー23bの材質としては、特に限定されないが、ステンレスやメッキされた鉄が使える。
【0029】
被係止バー23bの円柱の径の下限としては、4mmが好ましく、6mmがより好ましい。被係止バー23bの円柱の径が上記下限未満である場合、強度が不十分で被係止バー23bが変形してしまうおそれがある。一方、被係止バー23bの円柱の径の上限としては、15mmが好ましく、10mmがより好ましい。被係止バー23bの円柱の径が上記上限を超える場合、フック24aの係止部241aの溝幅が大きくなり、フック24aの強度が不足するおそれがある。
【0030】
被係止バー23bの円柱の高さの下限としては、10mmが好ましく、20mmがより好ましい。被係止バー23bの円柱の高さが上記下限未満である場合、フック24aとの係止が不十分となり、フック24aと被係止バー23bの係止が移動時の振動等で外れてしまうおそれがある。一方、被係止バー23bの円柱の高さの上限としては、40mmが好ましく、30mmがより好ましい。被係止バー23bの円柱の高さの上限が上記を超える場合、コンベアフレーム21bからの突出が大きくなり過ぎ、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0031】
フック24aは、平面視略方形の板状で、その一部がコンベアフレーム21aから突出して固定されている。フック24aの固定位置としては、特に限定されないが、例えばフック24aの下側が、コンベアフレーム21aの側壁212の下側と略一致する位置に固定することができる。フック24aの固定方法は、特に限定されないが、例えばボルトで留めることができる。フック24aは、2カ所以上をボルトで留めることで、堅牢に固定されてもよい。フック24aの材質としては、特に限定されないが、被係止バー23bと同様のものが使える。
【0032】
フック24aは、上記突出部に溝状の係止部241aを有している。上記係止部241aは、コンベアフレーム21bの被係止バー23bと係止めできる。
【0033】
フック24aの長さ(搬送方向の長さ)の下限としては、50mmが好ましく、70mmがより好ましい。フック24aの長さが上記下限未満である場合、コンベアフレーム21aに固定する部分の長さが短くなり、十分に固定できないおそれがある。一方、フック24aの長さの上限としては、130mmが好ましく、90mmがより好ましい。フック24aの長さ上記上限を超える場合、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0034】
フック24aの突出部分(コンベアフレームの搬送方向の前縁から突出している部分の長さ)の下限としては、20mmが好ましく、30mmがより好ましい。フック24aの突出部分の長さが上記下限未満である場合、コンベアフレーム21bに係止する部分の長さが短くなり、係止が難しくなるおそれがある。一方、フック24aの突出部分の長さの上限としては、60mmが好ましく、40mmがより好ましい。フック24aの突出部分の長さが上記上限を超える場合、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0035】
フック24aの高さ(コンベアフレームの高さ方向の長さ)の下限としては、20mmが好ましく、30mmがより好ましい。フック24aの高さが上記下限未満である場合、後述する係止部241aの長さが十分にとれず、移動時の振動等で係止が外れてしまうおそれがある。一方、フック24aの高さの上限としては、60mmが好ましく、40mmがより好ましい。フック24aの高さが上記上限を超える場合、フック24aの上端がコンベアフレーム21aの上端を超え、荷物の搬送時に衝突する等の障害物となるおそれがある。
【0036】
フック24aの厚さ(コンベアフレームの幅方向の長さ)の下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。フック24aの厚さが上記下限未満である場合、強度が不十分でフック24aが変形してしまうおそれがある。一方、フック24aの厚さの上限としては、10mmが好ましく、7mmがより好ましい。フック24aの厚さが上記上限を超える場合、重量の増加等により取り扱いにくくなるおそれがある。
【0037】
係止部241aは、溝状で、フック24aがコンベアフレーム21aから突出している部分の下側略中央位置から上方に向かってフック24aの途中まで逆U字状に設けられている。上記係止部241aの溝幅は、上記被係止バー23bの径と略等しい。また係止部241aは、被係止バー23bと係合った状態で、ローラコンベア搬送装置1aの連結部のローラピッチがローラコンベア搬送装置1aのローラピッチと略等しくなる位置にあることが好ましい。
【0038】
係止部241aの長さ(フック24aの下側を始点とした溝状部の長さ)とフック24aの高さとの差分の下限としては、5mmが好ましく、10mmがより好ましい。上記差分が上記下限未満である場合、フック24aの強度が不十分で、フック24aが変形してしまうおそれがある。一方、係止部241aの長さとフック24aの高さとの差分の上限としては、30mmが好ましく、20mmがより好ましい。上記差分の上限が上記を超える場合、係止部241aの長さが十分にとれず、移動時の振動等で係止が外れてしまうおそれがある。
【0039】
上記フック24aと被係止バー23bとを用いた一のローラコンベア搬送装置1a及び他のローラコンベア搬送装置1bの連結は、一のローラコンベア搬送装置1aのフック24aを有する側の端部を持ち上げ、フック24aの係止部241aの溝部が、他のローラコンベア搬送装置1bの被係止バー23bと係合うように上方から下ろすことで行える。
【0040】
フック24aの係止部宇241aに被係止バー23bを係止した後に、係止部241aの開口側を封止する封止手段を設けてもよい。例えば、フックが鉄製である場合、係止部241aに嵌め込み可能な形状のゴム等の軟質材にマグネットシートを貼り合わせたもの(以下係止封止材という)を用いて封止することができる。すなわち、2台のローラコンベア搬送装置を連結後、上記係止封止材を係止部241aが軟質材部分で封止されるように配設し、マグネットシートの磁力によりフックに固定することで、係止部241aが封止できる。このように係止部241aを封止することで、被係止バー23bが係止部241aに固定され、移動時の振動等で係止が外れることをより確実に防止できる。また、圃場の凹凸により脚部の片側が浮き上がってしまう場合においても、被係止めバー23bが係止部241aの開口側に移動しないため、ローラ面が不連続となりにくい。さらに、係止部241aのみを封じているので、2台のローラコンベアのローラ面の角度の調整には影響がなく、角度調整を自由に行うことができる。
【0041】
(支持部材)
支持部材3は、一対のコンベアフレーム21を下方から支持する支持部31と、上記支持部31の下方に連結される一対の車輪32を有する(
図2)。
【0042】
支持部31は、下部フレーム311、上記下部フレームより上側に位置し、このコンベアフレーム21を下方から支持する横フレーム312(以下、上部フレームという)、この上部フレーム312を支持する一対の縦フレームとして、上部フレーム312の一端側を軸支する軸支側支柱313及び上部フレーム312を任意の上下方向位置で共締め固定可能な共締め固定側支柱314を備えている。支持部31の材質としては、特に限定されないが、コンベアフレーム21と同様のものが使える。
【0043】
下部フレーム311は、軸支側支柱313、共締め固定側支柱314及び一対の車輪32を固定する。下部フレームの一端側に軸支側支柱313及び一方の車輪32が、他端側に共締め固定側支柱314及び他の車輪32が固定される。その際、軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314は下部フレームの上側位置に、一対の車輪32は下部フレームの下側位置に固定される。固定方法としては、特に限定されないが、例えばボルトによる締付けを用いることができる。
【0044】
下部フレームの長さとしては、軸支側支柱313と共締め固定側支柱314との間隔にコンベアフレーム21が収まる長さとする必要があり、例えば幅360mmのコンベアフレーム21を使用している場合、560mmの長さとできる。
【0045】
上部フレーム312は、フレーム部3121及びコンベアフレーム21との連結フランジ部3122とを備える。フレーム部3121は、軸支側支柱313と共締め固定側支柱314との間に架け渡され、共締め固定側支柱314の外側(軸支側支柱と反対側)に突出する。
【0046】
フレーム部3121が共締め固定側支柱314の外側へ突出する部分の長さの下限としては、50mmが好ましく、80mmがさらに好ましい。上記突出部の長さが上記下限未満である場合、コンベアフレームに傾斜をつけるためフレーム部を回転させた際に長さが不足し、共締め固定側支柱314で固定できないおそれがある。一方、フレーム部3121の共締め固定側支柱314の外側への突出部の長さの上限としては、150mmが好ましく、120mmがさらに好ましい。上記突出部の長さが上記上限を超える場合、共締め固定側支柱314からの突出が大きくなり過ぎ、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0047】
連結フランジ部3122は、平面視略方形の板状であり、コンベアフレーム21を下方から支持し、固定する。連結フランジ部3122の大きさは、コンベアフレーム21を固定できる大きさと強度があれば特に限定されないが、例えば幅400mm、長さ100mm、厚さ5mmのものを用いることができる。連結フランジ部3122をフレーム部3121に固定する方法としては、特に限定されないが、溶接あるいはボルトによる締付けを用いることができる。
【0048】
支持部31は、連結フランジ部3122への一対のコンベアフレーム21の固定に、シャコ万力を共締め部材として有している。万力とは、対象物を2つの口金の間に挟み固定する機構のことであり、シャコ万力とは、口金の形状がバーコ型又はC型となっているものを言う。シャコ万力を用いて固定する方法としては、一対のコンベアフレーム21のそれぞれの下壁213と連結フランジ部3122とが接する固定場所991をそれぞれシャコ万力で挟み込み共締め固定するとよい。固定にシャコ万力を用いているので、コンベアフレーム21は、任意の位置で連結フランジ部3122に固定でき、従ってコンベアコンベア2を搬送方向に無段階で位置調整できる。
【0049】
軸支側支柱313は、上部フレーム312の一端を支える。軸支側支柱313は、ローラコンベア21の搬送方向側に複数のボルト穴3131を有し、そのうちの1つに上部フレーム312の一端がボルトで連結される。
【0050】
また、上部フレーム312は、上記ボルト位置を回転軸として回転することができるように軸支側支柱313に連結されている。回転可能な連結方法としては、特に限定されないが、例えば軸支側支柱313を2枚の板状部で構成し(
図4)、上記軸支側支柱313の2枚の板状部が上部フレーム312をボルト3132で挟持固定する方法が利用できる。
【0051】
複数のボルト穴3131の間隔としては、特に限定されないが、例えば長さ3000mmのローラコンベアを用いている場合、50mmとすることができる。上記ボルト穴の位置を使い分けることで搬送面の高さを調節することができる。また、複数のローラコンベア搬送装置1を連結して使用する場合に、ボルト穴の位置をローラコンベア搬送装置1毎に変更することで搬送面に勾配をつけることができる。圃場がほぼ平坦である場合は、長さ3000mmにつき50mmの勾配をつけることで、荷物が重力により無人で搬送できることがある。圃場に大きな勾配がある場合は、多数のローラコンベア搬送装置1を連結せず、2、3台ずつ連結して使用し、不連続箇所では人手で積み替える作業をして対応することがある。そのような場合においても、ボルト穴の位置を変更することで、適切な勾配を持ったローラ面が形成できる。
【0052】
軸支側支柱313の高さ(車輪接地面からの高さ)は、作業者の体格や運送車両の荷台高さに応じて調整される他は特に限定されないが、軸支側支柱313の高さの下限としては、600mmが好ましく、800mmがより好ましい。軸支側支柱313の高さが上記下限未満である場合、ローラ22の高さが低くなりすぎ、荷物の上げ下ろしが中腰作業となり、農作業の負担が大きくなるおそれがある。一方、軸支側支柱313の高さの上限としては、1500mmが好ましく、1200mmがより好ましい。軸支側支柱313の高さが上記上限を超える場合、ローラ22の高さが高くなりすぎ、荷物をローラに載せる作業の負担が大きくなるおそれがある。
【0053】
共締め固定側支柱314は、上記上部フレーム312を挟持する2枚の板状部で構成され、上記上部フレーム312の他方の端部(軸支側支柱313が支える端部とは反対側の端部)を支える。上部フレーム312は、共締め固定側支柱314に挟持された状態で軸支側支柱312と連結された位置を中心として回転できる。このとき、上部フレーム312と共締め固定側支柱314とが交差する位置992(
図3及び
図4参照)は、上部フレーム312の軸支側支柱313との連結位置を中心とする回転に応じて上下方向に動く。任意の交差位置992で、シャコ万力で挟み込み共締め固定することで、上部フレーム312の傾斜を調整することができる。上部フレーム312は、コンベアフレーム21と連結されており、上部フレーム312の傾斜に応じて、ローラコンベア2の角度を変更することができる。従って、ローラコンベア2の傾きが所望の傾きとなる角度で上部フレーム312と共締め固定側支柱314の2枚の板状部を共締めすることで、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整することができる。
【0054】
共締め固定側支柱314の高さ(車輪接地面からの高さ)は、特に限定されないが、共締め固定側支柱314の高さの下限としては、軸支側支柱313の高さと同じ高さが好ましい。共締め固定側支柱314の高さが上記下限未満である場合、上部フレーム312の回転軸を軸支側支柱313の最も高い位置に設定した際にローラコンベアの傾きを調整できる範囲が限定され、必要な傾斜を設定できないおそれがある。一方、共締め固定側支柱314の高さの上限としては、共締め固定側支柱314の高さより150mm高い高さが好ましい。共締め固定側支柱314の高さが上記上限を超える場合、上部フレーム312の回転軸を軸支側支柱313の最も高い位置に設定した際であっても上記上限を超える部分で挟持すると転倒のおそれがあるばかりではなく、移設等の作業時に障害物となるおそれがある。
【0055】
一対の車輪32の連結位置としては、特に限定されないが、それぞれ軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314の下部に連結することができる。使用する車輪としては、特に限定されないが、公知の車輪、例えば自転車等に用いられるスポークスホイールで外周をゴム等の軟質材で作られたタイヤとチューブとで覆ったものを用いることができる。車輪32の径としては、特に限定されないが、例えば自転車で一般的に用いられている20インチ(約500mm)のものが利用可能である。
【0056】
車輪32の回転面は、その方向をそれぞれ任意の角度に調整し固定できる。車輪32の角度調整方法としては、自転車等で用いられている公知の方法が利用可能である。車輪32の回転面の角度を任意の方向に固定できることで、複雑な畝部形状を持つ圃場であっても容易に移動が可能となる。
【0057】
(利点)
当該ローラコンベア搬送装置1は、2輪構成で実現でき、さらにローラコンベア2と支持部31との連結位置を搬送方向に調整する手段を有しているので、畝部に応じた調整が行いやすく、作業効率が良い。また当該ローラコンベア搬送装置1は、ローラコンベアの幅方向の傾斜角度を調整する手段を有しているので、圃場の傾きや局所的な凹凸があっても、容易に利用することができる。
【0058】
当該ローラコンベア搬送装置1は、フック24の係止部241の溝幅が被係止バー23の径と略等しいので、ローラコンベア搬送装置1を連結した際にローラコンベア2間で生じる横動を抑えることができ、略一直線に敷設できる。それゆえ地面の凹凸等の影響でローラコンベア2に捻りが加わった際にもローラコンベア2の連結部分に不整合が発生しにくく、荷物搬送時に荷物の滞留や脱線が発生しにくい。従って、車輪数が少ない2輪構成であっても複数のローラコンベア搬送装置1を連結して荷物を搬送することができる。また、フックと被係止バーの係合いとの調整に利用することができるので、複数のローラコンベア搬送装置を容易に連結することができる。
【0059】
さらに、当該ローラコンベア搬送装置1のフック24の係止部241の形状は、逆U字状である。このため、農作業中にローラコンベアを横切る必要がある場合、フック24の側のローラコンベア搬送装置1を持ち上げるのみで、連結を容易に外すことができ、大回りをすることなく容易にローラコンベアを横切ることができる。
【0060】
当該ローラコンベア搬送装置1は、コンベアフレーム21のそれぞれの下壁213と連結フランジ部3122とが接する固定場所991をシャコ万力で挟み込み共締め固定できる手段を有しているので、ローラコンベア2を搬送方向に無段階で位置調整することができる。従って、好適な位置で支持部材3をローラコンベア2に固定でき、様々な畝部の形状や搬送経路に適応できる。
【0061】
当該ローラコンベア搬送装置1は、ローラコンベア2を支持する上部フレーム312が軸支側支柱313を中心に回転し、共締め固定側支柱314で挟み込み共締め固定することで、ローラフレーム2の幅方向の傾斜を無段階で調整する手段を有している。それにより、圃場の傾きや局所的な凹凸があっても、ローラコンベア2が略水平となるように好適な角度に調整できる。従って、人力による介添等が不要となり、農作業の作業効率が高くなる。
【0062】
[第二実施形態]
(支持部材)
本発明のローラコンベア搬送装置の支持部材の第二の実施形態として、支持部と脚部とが分離されている場合の構成について説明する。
【0063】
図5のローラコンベア搬送装置11の支持部材3は、一対のコンベアフレーム21を下方から支持する支持部31a(主支持台)と、上記支持部31aの下方に連結される脚部33a(従支持台)とを有する。
【0064】
主支持台31aにおいて、上記
図2の支持部31と同様である部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
主支持台31aの下部フレーム315は、フレーム部3151と連結フランジ部3152とを有する。
【0066】
下部フレーム315のフレーム部3151は、軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314を固定する。フレーム部3151の一端側に軸支側支柱313が、他端側に共締め固定側支柱314が固定される。その際、軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314は下部フレームの上側位置に固定される。固定方法としては、特に限定されないが、溶接あるいはボルトによる締付けを用いることができる。
【0067】
下部フレーム315の連結フランジ部3152は、平面視略方形の板状であり、下方に従支持部33aを固定する。連結フランジ部3152の大きさは、特に限定されないが、例えば幅400mm、長さ100mm、厚さ5mmのものを用いることができる。連結フランジ部3152をフレーム部3151に固定する方法としては、特に限定されないが、溶接あるいはボルトによる締付けを用いることができる。
【0068】
従支持台33aは、横フレーム331と、上記横フレーム331の下方に固定される一対の車輪32とを有する。
【0069】
従支持台33aの横フレーム331は、フレーム部3311と連結フランジ部3312とを有する。
【0070】
横フレーム331のフレーム部3311は、一対の車輪32を固定する。フレーム部3311の一端側に一方の車輪32が、他端側に他方の車輪32が固定される。その際、一対の車輪32は横フレームの下側位置に固定される。固定方法としては、特に限定されないが、溶接あるいはボルトによる締付けを用いることができる。
【0071】
横フレーム331の連結フランジ部3312は、平面視略方形の板状であり、主支持台31aを下方から支持し、固定する。連結フランジ部3312の大きさは、特に限定されないが、主支持台31aの下部フレーム315の連結フランジ部3152と略同一であることが好ましい。連結フランジ部3312をフレーム部3311に固定する方法としては、特に限定されないが、溶接あるいはボルトによる締付けを用いることができる。
【0072】
一対の車輪32の連結位置としては、特に限定されないが、それぞれ軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314の下部に連結することができる。使用する車輪としては、特に限定はされないが、
図1と同じものが利用できる。
【0073】
図5では、車輪32はローラコンベア搬送装置11の搬送方向に垂直に固定されている。車輪32が固定されることで、移動時の振動等で車輪32の方向が変わってしまうおそれがなくなり、安定した移動ができるようになる。ローラコンベア搬送装置11の搬送方向に対して垂直方向である車輪32は、畝部の形成方向が作業道と平行方向である場合に有効である。ローラコンベア搬送装置11は、作業道に向かって畝部の形成方向に垂直に設置され、一方、ローラコンベア搬送装置11の移動方向は畝部の形成方向に平行方向となるためである。逆に畝部の形成方向が作業道と垂直方向である場合は、車輪32の回転面の方向は、ローラコンベア搬送装置11の搬送方向に対して平行方向となる。この場合は、車輪が搬送方向に対して水平に固定されている従支持台(図示していない)を用いればよい。
【0074】
主支持台31aと従支持台33aとの連結方法としては、例えばボルトで留めることができる。あるいは、第一の実施形態の支持部31の連結フランジ部3122と一対のコンベアフレーム21とを固定した方法を利用してもよい。すなわち、主支持台31aのフランジ部3152と従支持台33aのフランジ部3312とをシャコ万力で固定することで、主支持台31aと従支持台33aとを連結できる。
【0075】
ローラコンベア搬送装置11では、主支持台31aとコンベアフレーム21との連結及び主支持台31aと従支持台33aとの連結にシャコ万力を用いているので、例えば主支持台31aとコンベアフレーム21とを斜めに連結する(
図6)こともできる。車輪32の回転面が固定されていても、主支持台31aとコンベアフレーム21とを斜めに取り付けられることで、畝部の形成方向に対し角度を持って設置する必要がある場合にも対応ができる。
【0076】
[第三実施形態]
本発明のローラコンベア搬送装置11の従支持台の他の実施形態について説明する。
図7の従支持台33bは、ローラコンベア搬送装置11に連結可能な従支持台である。
【0077】
従支持台33bは、主支持台31aを支持する横フレーム331と、横フレーム331とを支持する一対の縦フレーム333を有する。横フレーム331は
図5の横フレーム331と同様であり、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
従支持台33bの一対の縦フレーム333は、横フレーム331を支持する。一対の縦フレーム333は、それぞれ同数のボルト穴3331を有する。一対の縦フレーム間で対応する位置にあるボルト穴は、縦フレームの下面から同一の高さにある。一対の縦フレームは、対応する位置にあるボルト穴3331において、横フレーム331の一端と他端にそれぞれボルトで連結される。
【0079】
複数のボルト穴3331の間隔としては、特に限定されないが、例えば長さ3000mmのローラコンベアを用いている場合、50mmとすることができる。また、縦フレーム333の側面にも1/2ピッチずらして同数のボルト穴(図示せず)を設けてもよい。側面に1/2ピッチずらしたボルト穴を設けているので、縦フレーム331を90度回転して使用することで、25mm間隔での高さの調整が可能となる。また、正面に25mm間隔のボルト穴を設ける場合に比べ、各面でのボルト穴間のピッチが広くなるため、フレーム強度が強い。
【0080】
当該従支持台33bは、車輪を有していないので、省スペースで設置ができ、かつ、移設も容易である。従って、設置スペースが狭い場合や、広い範囲の移動を伴わない場合に好適に用いることができる。
【0081】
当該従支持台33bは、連結するボルト穴の位置を変えることで、横フレーム331の高さを変えることができ、ローラコンベアの高さ調整に利用できる。
【0082】
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
第一の実施形態では、被係止バー23として、一対のコンベアフレーム21にそれぞれ設ける方法を説明したが、被係止バー23は、一対のコンベアフレーム21に架け渡されていてもよい。コンベアフレーム21に架け渡すことで、被係止バー23及びコンベアフレーム21の強度が上がり、耐久性が向上する。
【0083】
第一の実施形態では、支持部31の上部フレーム312とコンベアフレーム21とを連結する方法として、シャコ万力によって挟み込み共締め固定する方法を説明したが、バイスによる固定等他の挟持固定方法を用いてもよい。
【0084】
第一の実施形態では、横フレーム312は、軸支側支柱313との連結をボルトで、共締め固定側支柱314との連結をシャコ万力による共締めで固定する方法を説明したが、横フレーム312は、軸支側支柱313及び共締め固定側支柱314共にシャコ万力による共締め固定で連結されてもよい。
【0085】
第一の実施形態では、ローラコンベアを幅方向に傾斜させる方法として、上部フレーム312を回転させ、共締め固定側支柱314の2枚の板状部と上部フレームが交差する位置をシャコ万力で挟み込み共締め固定する方法を説明したが、バイスによる固定等他の挟持固定方法を用いてもよい。また、1ないし2箇所をボルトナットで強固に固定する手段を併設してもよい。
【0086】
ローラコンベアを幅方向に傾斜させる他の方法として、一方のコンベアフレーム21と支持部31の連結フランジ部3122との間に板状物(例えば木の板等)を挟み、シャコ万力による三枚共締めで傾斜調整してもよい。板状物の厚みとしては、特に限定されないが、5mmから15mmのものが利用できる。このように板状物の厚みを利用して傾斜させるようにしたので、例えば
図7に示す従支持台33bの連結フランジ部3312の上に直接コンベアフレーム21を配設する場合においても傾斜させることができるようになる。
【0087】
第二の実施形態では、従支持台33aとして高さ調整機能を有さない構成を説明したが、高さ調整機能を有しても良い。高さ調整機能としては、例えば従支持台33bと同様の構成を用いることができる。上記高さ調整機能を有することで、ローラコンベアの高さ調整が行える。
【0088】
また、第三の実施形態では、従支持台33bとして高さ調整機能を有する構成を説明したが、高さ調整機能を有さなくてもよい。高さ調整機能を有さない場合、構成が簡単化され、安価で耐久性の高い支持台が実現できる。