(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1係止部(40.1、40.1´40.1´´)は、第1脚部(31)の下部D側に形成し、第2係止部(40.2、40.2´、40.2´´)は、第2脚部(32)の上部D側に形成し、または、
第1係止部(40.1、40.1´40.1´´)は、第2脚部(32)の上部D側に形成し、第2係止部(40.2、40.2´、40.2´´)は、第1脚部(31)の下部D側に形成した、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療用針安全装置(1、1´、1´´)。
固定部(5、5´)は、固定プレート(50、50´)を有し、当該固定プレート(50、50´)は、略中央部(50C)の末端DE側に、末端壁(52)を有し、当該末端壁(52)に嵌合溝(52M)を形成した、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医療用針安全装置(1、1´、1´´)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の針安全装置のように、単に前記〈A〉のみでは、針部材を上部方向に引き上げて(引き伸ばし)ても、再度脚部が元の位置(下部方向)に戻る(縮む)ケースがあった。
これに伴い針部材の鋭利な末端が、固定部材(固定プレート)よりも下部に露出してしまうケースがあった。
このため当該針部材の患者の病原体ウイルス等を含む可能性のある血液等で汚染された尖った先端が、下部から偶発的に飛び出して、医療従事者や作業者(医師、看護士等)の針刺し、ウイルス等の感染事故を起こすことが懸念される。
また当該尖った先端に、病原菌を含む患者の血液が付着している場合は、解放されている部分から汚染血液が飛散することもあり、衛生的でない。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の針安全装置の前記〈B〉のように、脚部の所定の箇所に、一対の係止部を設けるようにした。
これにより、針部材を上部方向に引き上げ(引き伸ばし)た後、一対の係止部の係止部分を相互に係止できるので、脚部が元の位置(下部方向)に戻る(縮む)のを防ぐことができる。
これにより、針部材の鋭利な末端は、脚部内に収納した後は、脚部より露出しない。
【0007】
しかしながら、これらの部材では、〈1〉針部材を上部方向に引き上げる(引き伸ばす)操作、さらに〈2〉一対の係止部の係止部分を相互に係止する操作、の二段階の操作が必要であった。
これにより針部材の鋭利な末端が、脚部の外部に露出するリスクは、解消した。
その反面、使用者(看護士等)に、一対の係止部の係止部分を相互に係止する操作が求められるので、使用者(看護士等)の負担になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特許文献1に代表される先行技術における医療用安全装置において、使用後の針の鋭利な末端(先端)が安全装置内に確実に封じこめ(contain or confine)られ、または装置内に固定され、血液等で汚染された尖った先端が、装置下部から偶発的に飛び出すことがない、また、付着血液の飛散することのない、医療用針安全装置を提供することである。
また本発明の目的は、特に、ワンアクション(ステップ)で、脚部を上部方向に引き上げて(引き伸ばして)、針部材の鋭利な末端を保護(シールド)することができる脚部と固定部材(プレート)の形態を改良した医療用針安全装置の改良に関する。
【0009】
本発明者らは、特許文献1に代表される先行技術における医療用針において、使用後の針の先端が安全装置内に確実に封じこめ(contain or confine)られ、または装置内に固定され、血液等で汚染された尖った先端が、装置下部から偶発的に飛び出すことがなん、また、付着血液の飛散することのない、医療用針安全装置を提供することである。
本発明者は、このような課題を達成するためになされたもので、本発明によれば、以下の新規な医療用針は安全装置が提供される。
【0010】
[1]本発明は、針部材(2)と、シールド部材(3)と、固定部材(5)とを有し、
前記針部材(2)は、末端(23)を有する針(21)を有し、当該針(21)は、基端(PE)側を針ハブ(22)に固定し、
前記シールド部材(3)は、シールドハブ(35)と、脚部(31・32)とを有し、
前記固定部材(5)は、固定プレート(50)を有し、
前記脚部(31・32)は、第1脚部(31)と第2脚部(32)とを有し、
当該第1脚部(31)と第2脚部(32)とは、第1側部S1側と第2側部S2側に対にして形成し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32)とは、第1脚部(31)の下部D側に位置し、かつ第2脚部(31)の上部U側に位置する中間ヒンジ(39)を介して接続し、
当該対に形成した第1脚部(31)と第2脚部(32)は、
第2側部S2側及び/又は第1側部S1側に係止部材(40)を有し、
前記係止部材(40)は、第1係止部(40.1)と第2係止部(40.2)とを有し、
前記脚部(31・32)は、第1の折り畳み位置から第2の伸張位置まで伸張でき、
前記脚部(31・32)が第一の折り畳み位置にあるときは、針の末端(23)は、前記固定プレート(50)よりも下部に位置し、
前記脚部(31・32)が第二の伸長位置まで伸長したときは、前記針(21)及び当該針(21)の末端(23)は、前記脚部(31・32)の内側に収納され、
前記第1係止部(40.1)と第2係止部(40.2)が係合することにより、前記脚部(31・32)が、前記第二の伸長位置を維持することができる医療用針安全装置(1)であり、
前記第1係止部(40.1)は、
前記第2係止部(40.2)と係合する側に係止端(40.1T)を形成し、
前記第2係止部(40.2)は、前記係止端(40.1T)と係合する側に複数の突部(40T)を形成し、当該突部(40T)の間に溝(40M)を形成し、
前記脚部(31・32)が完全に伸張された状態で見た場合、
前記第1係止部(40.1)は、第1脚部(31S2)の下部D側に形成し、
当該第1係止部(40.1)は、末端DE方向から基端PE方向に見て、略三角板状に形成し、当該第1係止部(40.1)は、下部D方向に先細りに形成した係止端(40.1T)を有し、
前記第2係止部(40.2)は、前記第2脚部(32)の上部U側で、かつ第1側部S1方向(第2側部方向)に突設し、末端DE方向から基端PE方向に見て、略L字状に形成し、
第1側部S1側
(第2側部S側)の一端がヒンジ(40H)により、前記第2脚部(32)の上部U側に繋がり、
第1側部S1側(第2側部S側)は、略半円周状に形成し、外周に複数の突部(40T)を断続的に形成し、各突部(40T)の間には、所定の間隔で溝(40M)を形成し、
前記脚部(31・32)が完全に折り畳まれた状態では、前記第1係止部(40.1)の係止端(40.1T)は、前記突部(40T)の第1側部S1側(第2側部S2側)で係止され、
前記脚部(31、32)が略垂直に伸びきった状態で、前記第1係止部(40.1)の係止端(40.1T)は、前記複数の突部(40T)と溝(40M)を、第1側部S1側(第2側部S2側)から第2側部S2側(第1側部S1側)に移動して、第2側部S2側(第1側部S1側)端部で係止することができるように形成した医療用針安全装置(1)を提供する。
【0011】
[2]本発明は、
針部材(2)と、シールド部材(3)と、固定部材(5´)とを有し、
前記針部材(2)は、末端(23)を有する針(21)を有し、当該針(21)は、基端(PE)側を針ハブ(22)に固定し、
前記シールド部材(3)は、シールドハブ(35´)と、脚部(31・32´)とを有し、
前記固定部材(5)は、固定プレート(50´)を有し、
前記脚部(31・32´)は、第1脚部(31)と第2脚部(32´)とを有し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32)とは、第1側部S1側と第2側部S2側に対にして形成し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32)とは、第1脚部(31)の下部D側に位置し、かつ第2脚部(31)の上部U側に位置する中間ヒンジ(39)を介して接続し、
当該対に形成した第1脚部(31)と第2脚部(32´)は、第2側部S2側及び/又は第1側部S1側に係止部材(40´)を有し、
前記係止部材(40´)は、第1係止部(40.1´)と第2係止部(40.2´)とを有し、
前記脚部(31・32´)は、第1の折り畳み位置から第2の伸張位置まで伸張でき、
前記脚部(31・32´)が第一の折り畳み位置にあるときは、針の末端(23)は、前記固定プレート(50´)よりも下部に位置し、
前記脚部(31・32´)が第二の伸長位置まで伸長したときは、前記針(21)及び当該針(21)の末端(23)は、前記脚部(31・32´)の内側に収納され、
前記第1係止部(40.1´)と第2係止部(40.2´)が係合することにより、前記脚部(31・32´)が、前記第二の伸長位置を維持することができる医療用針安全装置(1´)であり、
前記第1係止部(40.1´)は、前記第2係止部(40.2´)と係合する側に突設し、
前記第2係止部(40.2´)は、前記第1係止部(40.1´)と係合する側に突設し、
前記脚部(31・32)が完全に折り畳まれた状態から完全に伸張された状態で見た場合、
前記第2脚部(32´)は、上部U側に末端側の側壁(40.2WDE)と基端側の側壁(40.2WPE)を延設して一対形成し、
当該末端側の側壁(40.2WDE)と基端側の側壁(40.2WPE)との間に、空間(32SO´)を形成し、
前記第1係止部(40.1´)は、第1脚部(31)の基端PE方向から末端DE方向に突設し、当該第1係止部(40.1´)は、末端DE方向から基端PE方向に見て、略矩形状に形成し、
前記第2係止部(40.2´)は、前記末端側の側壁(40.2WDE)の第1側部S1方向(第2側部方向)に突設し、当該
第2係止部(40.2´)は、末端DE方向から基端PE方向に見て、略板状で略扇状に形成し、
前記脚部(31、32´)が略垂直に伸びきった状態で、前記第1係止部(40.1´)の下部D側端部は、前記第2係止部(40.2´)の上部U側端部と接触し、上部U側で係止することができるように形成し、
前記第1脚部(31)の下部D側は、前記第2脚部(32´)の上部Uの空間(32SO´)に、嵌合できるよう形成した医療用針安全装置(1´)を提供する。
【0012】
[3]本発明は、
針部材(2)と、シールド部材(3)と、固定部材(5´)とを有し、
前記針部材(2)は、末端(23)を有する針(21)を有し、当該針(21)は、基端(PE)側を針ハブ(22)に固定し、
前記シールド部材(3)は、シールドハブ(35´)と、脚部(31・32´)とを有し、
前記固定部材(5)は、固定プレート(50´)を有し、
前記脚部(31・32´)は、第1脚部(31)と第2脚部(32´)とを有し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32´
)とは、第1側部S1側と第2側部S2側に対にして形成し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32´)とは、第1脚部(31)の下部D側に位置し、かつ第2脚部(31)の上部U側に位置する中間ヒンジ(39)を介して接続し、
当該対に形成した第1脚部(31)と第2脚部(32´)は、第2側部S2側及び第1側部S1側に係止部材(40´´)を有し、
前記係止部材(40´´)は、第1係止部(40.1´´)と第2係止部(40.2´´)とを有し、
前記脚部(31・32´)は、第1の折り畳み位置から第2の伸張位置まで伸張でき、
前記脚部(31・32´)が第一の折り畳み位置にあるときは、針の末端(23)は、前記固定プレート(50´)よりも下部に位置し、
前記脚部(31・32´)が第二の伸長位置まで伸長したときは、前記針(21)及び当該針(21)の末端(23)は、前記脚部(31・32´)の内側に収納され、
前記第1係止部(40.1´´)と第2係止部(40.2´´)が係合することにより、前記脚部(31・32´)が、前記第二の伸長位置を維持することができる医療用針安全装置(1´´)であり、
前記係止部材(40´´)は、第1係止部(40.1´´)と第2係止部(40.2´´)とを有し、
前記第1係止部(40.1´´)は、前記第2係止部(40.2´´)と係合する位置に形成し、
前記第2係止部(40.2´´)は、前記第1係止部(40.1´´)と係合する位置に形成し、
前記脚部(31・32´)が完全に折り畳まれた状態から完全に伸張された状態で見た場合、
前記第2脚部(32´)は上部U側に末端側の側壁(40.2WDE)と基端側の側壁(40.2WPE)を延設して一対形成し、
当該末端側の側壁(40.2WDE)と基端側の側壁(40.2WPE)とを結合する第2側部側(第1側部S1側)の壁(40.3W)を形成し、
前記末端側の側壁(40.2WDE)、前記基端側の側壁(40.2WPE)及び前記第2側部側(第1側部S1側)の壁(40.3W)により、溝(40.2M)を形成し、
前記第1係止部(40.1´´)は、段部(40.1D)と下部壁(40.1DW)とを有し、
前記段部(40.1D)は、第1脚部(31)下部D側に形成し、
前記下部壁(40.1DW)は、前記段部(40.1D)よりも下部D側から下部D端部にわたって形成し、
前記下部壁(40.1DW)の厚みは、第1脚部(31)本体よりも薄肉に形成し、
前記下部壁(40.1DW)の下部D端部はヒンジ(40.1H)により、前記溝(40.2M)の下部D近傍と繋がっており、
前記第2係止部(40.2´´)は、前記末端側の側壁(40.2WDE)、前記基端側の側壁(40.2WPE)、前記第2側部側(第1側部S1側)の壁(40.3W)及び前記溝(40.2M)よりなり、
前記脚部(31、32´)が略垂直に伸びきった状態で、前記第2脚部(32´)上部Uの第1側部S1側の側壁(40.3W)の縁部(40.2F)は、前記第1係止部(40.1´´)の段部(40.1D)に当接し、
前記第1係止部(40.1´´)の下部壁(40.1DW)は、前記第2係止部(40.2´´)の溝(40.2M)に嵌合できるように形成した医療用針安全装置(1´´)を提供する。
【0013】
[4]本発明は、
第1係止部(40.1、40.1´40.1´´)は、第1脚部(31)の下部D側に形成し、第2係止部(40.2、40.2´、40.2´´)は、第2脚部(32)の上部D側に形成し、または、
第1係止部(40.1、40.1´40.1´´)は、第2脚部(32)の上部D側に形成し、第2係止部(40.2、40.2´、40.2´´)は、第1脚部(31)の下部D側に形成した[1]から[3]のいずれか1項に記載の医療用針安全装置(1、1´、1´´)を提供する。
【0014】
[
5]本発明は、固定部(5、5´)は、固定プレート(50、50´)を有し、当該固定プレート(50、50´)は、略中央部(50C)の末端DE側に、末端壁(52)を有し、当該末端壁(52)に嵌合溝(52M)を形成した[1]から[
4]のいずれか1項に記載の医療用針安全装置(1、1´、1´´)を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療用針安全装置によれば、
〈1〉(第一発明)
(第二の状態)で、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図6、
図8のように、第1側部S1側から第2側部S2側に移動して、複数の突部40Tを、逐次乗り越えて、第2側部S2側端部(上部U側)で係止する。
係止端40.1Tは、第1・第2脚部(31・32)の第二の状態(完全に伸びきった状態)と平行になって、突部40Tを逆に乗り越える方向(
図8では第1側部S1方向)に動くことはない。
これにより、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
【0016】
〈2〉(第二発明)
(第二の状態)で、
図12〜15に示すように、第1係止部40.1´の下部D側端部は、第2係止部40.2´の上部U側端部と接触し、上部U側で係止する。
加えて第1脚部31の下部D側は、第1側部S1側と第2側部S2側との両側で、
第2脚部32´の上部Uの空間32SO´に嵌合する。
これにより、第1・第2脚部(31・32´)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
【0017】
〈3〉(第三発明)
(第二の状態)で、
図18〜21に示すように、第2係止部40.2´´の溝40.2Mに、第1係止部40.1´´の下部壁40.1DWが嵌合し、第2係止部40.2´´の壁40.3Wの上部U側の縁部40.2Fと第1係止部40.1´´の下部D側の段部40.1Dは当接する。
加えて、第1側部S1側と第2側部S2側との両側で、第1係止部40.1´´の下部D側と第2係止部40.2´´上部U側は、嵌合する。
これにより、第1・第2脚部(31・32´)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
以上のように、本発明の医療用針安全装置によれば、ワンアクション(ステップ)で、脚部(31、32)を上部方向に引き上げて(引き伸ばして)、針部材の鋭利な末端を保護(シールド)することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明(第一発明〜第三発明)を詳細に説明する。
以下、本発明を明確に説明するため、次の定義をおく。
(定義1)本発明の医療用安全装置において「第一の状態」(第一の折り畳み位置)とは、
図3から
図5に示すように、シールド部材3の第1・第2脚部(31・32)が完全に折り畳まれた位置にある状態を意味する。換言すれば、第1・第2脚部(31・32)が完全に折り畳まれた状態であり、一方、針21は下方に延伸し、輸液等の操作に供されうる又は使用時の状態であり、さらに言えば、末端23が保護(シールド)されていない状態を意味する。
【0020】
(定義2)同様に、
図7から
図9に示すように、「第二の状態」(第二の伸長位置)とは、シールド部材3の第1・第2脚部(31・32)が完全に伸長された位置にある状態を意味する。換言すれば、針の使用(穿刺)が終了し第1・第2脚部(31・32)が完全に伸長された状態で、針21の末端23が本医療用安全装置内に閉じこめられ、保護(シールド)されている状態を意味する。
(定義3)「移行状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行する途中の状態を意味する。
(定義4)「移行開始状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行を開始する初期の状態を意味する。
【0021】
(定義5)「移行終了状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行を終了する間際の状態を意味する。
(定義6)本発明で、「基端PE(側または方向)」とは、
図5に示すように、針ハブ22のチューブTを接続する側の端部を意味する。
(定義7)「末端DE(側または方向)」とは、
図5に示すように、「基端PE(側または方向)」と反対側の端部を意味する。さらにいえば、針ハブ22のチューブTを接続しない側の端部、針21を装着した側の端部を意味する。
【0022】
(定義8)「水平軸線HL(方向)」とは、
図5に示すように、管状の針ハブ22の長手方向に延びる方向(図の破線参照)を意味する。なお説明で必要な場合は、長手L方向の水平軸線を「HLL」、側部S方向の水平軸線を「HLS」とそれぞれ区別して記載する。
(定義9)「垂直軸線VL(方向)」とは、
図5に示すように、針21の曲った末端23側が長手方向に垂下して延びる方向(図の破線参照)を意味する。
(定義10)「第1側部S1(側または方向)」とは、
図1、3〜7に示すように、例えば翼34の右側端部の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義11)「第2側部S2(側または方向)」とは、
図1、3〜7に示すように、例えば翼34の左側端部の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
【0023】
(定義12)「上部U(側または方向)」とは、
図1、3〜7に示すように、例えば針21の曲った末端23側と反対方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義13)「下部D(側または方向)」とは、
図1、3〜7に示すように、例えば針21の曲った末端23側方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義14)「長手方向」とは、「針安全装置」全体の長手方向[水平軸線HL(方向)]を意味する(各部材、例えば「翼部」の長手方向、すなわち長く形成した方向ではない)。
(各構成部品の名称の位置・配置等の方向性を示す符号の記載について)
本発明の図面及び発明の説明の中で、例えば
図1〜3、6〜8に例示するように、第1側部S1側の第2脚部32を「32S1」、第2側部S2側の第1脚部31を「31S1」と記載した。
なおこれらの脚部(31・32)並びにこれら以外の各構成部品の名称で、「第1側部S1側」等の位置・配置等の方向性を示す符号は、発明の理解ができ、必要と認められる範囲内で、図面及び発明の説明の中で一部のみについて記載した。
【0024】
[医療用針安全装置1、1´、1´´]
本発明(第一発明〜第三発明)の医療用針安全装置1(以下、単に「装置1、1´、1´´」という場合がある。)について、以下、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図9は、第一発明の医療用針安全装置1、
図10〜15は、第二発明の医療用針安全装置1´、
図16〜
図21は、第三発明の医療用針安全装置1´´を例示している。
第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´が、第一発明の医療用針安全装置1と主に異なる部材は、係止部材40´、40´´、第2脚部32´、固定部材5´(固定プレート50´)である。
【0025】
以下、発明の説明、図面において、説明、符号の煩雑化を防ぐために、主として第一発明の医療用針安全装置1について説明する。第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´は、第一発明の医療用針安全装置1と異なる部分のみ説明する。
第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´は、第一発明の医療用針安全装置1と異なる部材のみに、「´」、「´´」または異なる符号を記載した。共通する部材の符号はそのままとした。
本発明の医療用針安全装置1は、
図1、3〜7に示すように、針部材2と、シールド部材3と、及び固定部材5とを有する。
針部材2、シールド部材3、及び固定部材5の形態と機能は、以下のとおりである。
【0026】
[針部材2]
針部材2は、針21と針ハブ22を有する。
図4、5、7に例示するように、針21は、基端PE側から末端DE側へ向かう途中から、水平軸線HLに対して、垂直軸線VL側に所定の角度(例えば、略90度)で折れ曲がっている。
針21は、下部Dに末端23を有する。末端23は下部D側に、鋭利な尖端を有する。
【0027】
末端23は、垂直軸線VLに対して、若干の角度で、基端PE側へ向けて、わずかな所定の角度で折れ曲がっている。
針21の基端PE側は、管状の針ハブ22に装着(固定)している。
針21の末端23は、患者に植設した薬液注入ポート(図示せず)に穿刺する。針ハブ22の基端PE側に接続したチューブTより、末端23を経由して患者に薬液を注入する。チューブTは、通常、薬液バッグ等に接続され、当該バッグより薬液が供給される。
針21は、患者に薬液を注入し終えた後は、薬液注入ポート(図示せず)より引き抜かれる。
【0028】
[シールド部材3の概要]
シールド部材3とは、患者に薬液を注入し終えた後に、使用後の針21を収納する部材である。さらに針21の末端23が、外に露出しないように保護(シールド)する部材である。シールド部材3は、シールドハブ35、脚部(31・32)、及び係止部材40を有する。
シールドハブ35は、針ハブ22を固定する。
脚部(31・32)は、少なくとも二つ以上の脚部(31・32)より構成される。すなわち上部U側の第1脚部31と下部D側の第2脚部32とを、折り畳んだり、伸長することにより、第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長できるように形成している。
脚部(31・32)は、患者に薬液を注入し終えた後、第2脚部32の下部D側空間内に針21の末端23を収納し、封じ込め、保護(シールド)するものである。
【0029】
[固定部材5の概要]
固定部材5は、使用時(針穿刺時)患者の皮膚に固定する部材でもあり、そのため固定プレート50を有する。
固定プレート50は、第2脚部32の下部D側に配置している。
【0030】
[シールド部材3の各部材の説明]
シールド部材3は、シールドハブ35と、第1・第2脚部(31・32)及び係止部材40を有する。
シールドハブ35は、上部U側に形成している。
第1・第2脚部(31・32)は、上部U側のシールドハブ35と、下部D側の固定プレート50との間に形成している。
係止部材40は、第1脚部31の下部D側と第2脚部32の上部U側との間に形成している。
【0031】
[シールドハブ35]
シールドハブ35は、針ハブ22を固定するためのハブである。シールドハブ35は、針ハブ22を受け入れる部材として機能する。
シールドハブ35は、
図1、3から6等に例示するように、略管状(略角筒状ないし略円筒状ともいう場合がある)に形成している。
シールドハブ35は、略管状の針ハブ22を受け入れ、かつ、その状態で固定できる形状であれば、どのような形状でも良い。
シールドハブ35は、下部D側に、基端側ヒンジ37を介して第1脚部31の上部U側を接続している。
【0032】
シールドハブ35は、第1側部S1と第2側部S2に、それぞれ翼34S1、34S2を接続している。翼34S1、34S2は、(シールドハブ35が受け入れ固定化された)針21を 上部U方向にひきあげるときの取手として機能する。
翼34S1、34S2とシールドハブ35は、
図1、3、6等に例示するようにヒンジ34H(肉薄で板状)を介して接続している。これにより、翼34、34の第1側部S1と第2側部S2を指でつかんで、翼34S1、34S2を上部U方向に折り曲げて、第1・第2脚部(31・32)を第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長するときに針21を上部U方向に引き上げることができる。
【0033】
シールドハブ35は下部D側に突部35Tを突設している。突部35Tは、後述する固定プレート50の末端壁52の溝52Mに嵌合(係合)する。
なお第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´は、シールドハブ35´の下部D側に突部35Tを突設していない。図面上(
図10、
図16)では、突部35Tを突設していないが、第一発明と同様に突設することもできる。
シールドハブ35は、針ハブ22を固定でき、脚部(31・32)が第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長するときに、脚部(31・32)と連動して、針21を上部U方向に引き上げることができる形態であればよい。
【0034】
[第1・第2脚部(31・32)]
第1・第2脚部(31・32)は、第一の折り畳み位置(第一の状態)から第二の伸長位置(第二の状態)まで伸長できるように形成している。
第1・第2脚部(31・32)は、第一の折り畳み位置から第二の伸長位置に伸長するときに、針21が連動して動く。第1・第2脚部(31・32)は、固定プレート50と針21のいわゆる「引き綱」のような機能を有する。
第1・第2脚部(31・32)が、第二の伸長位置まで伸長し終えたときに、針21と末端23は、第2脚部32の下部D側空間内に引き込まれる(収納される。)
【0035】
第1・第2脚部(31・32)は、
図3〜9に例示するように、二つの部材を折り畳んだ形態から伸長できる形態に形成している。
第1脚部31は、上部U側に配置している。第2脚部32は、下部D側に配置している。
第1・第2脚部(31・32)は、それぞれ第1側部S1側と第2側部S2側とで、対で形成している。第1脚部31S1、31S2は、上部側ヒンジ37を介して、シールドハブ35の下部D側と接続している。
第2脚部32S1、32S2は、下部側ヒンジ38を介して、固定プレート50と接続している。
【0036】
第1脚部31と第2脚部32とは、第1脚部31の下部D側に位置し、かつ、第2脚部31の上部U側に位置する中間ヒンジ39を介して接続している。
以上の本発明の説明で、「脚部」は、「第1・第2脚部(31・32)」と記載し、二つの部材を使用して、これらを折り畳んだ形態から伸張できる形態について例示したが、二つ以上の部材を折り畳んだ形態から伸張できる形態にしてもよい。
【0037】
要するに、「第一の状態」(脚部が完全に折り畳まれた位置にある状態、換言すれば、脚部が完全に折り畳まれた状態で、針21の末端23が保護(シールド)されていない状態、例えば、
図4等参照)から「第二の状態」(脚部が完全に伸長された位置にある状態、換言すれば、脚部が完全に伸張された状態で、針21の末端23が保護(シールド)されている状態、例えば、
図7等参照)にできる形態(形状、構造、材料)に形成できればよい。
図3〜
図5の例示では、いわゆる「略板状」のものが記載されているが、いわゆる「紐状、棒状、帯状、鎖状」等のものでも良い。
【0038】
第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´は、第2脚部32´の上部U側に、側壁40.2Wを延設している。
さらにいえば、末端側の側壁40.2WDEと基端側の側壁40.2WPEを一対形成している。側壁40.2Wは、いわゆる「略矩形状」に形成している。
第二発明の医療用針安全装置1´は、末端側の側壁40.2WDEと基端側の側壁40.2WPEとの間に、空間32SO´を形成している。(
図13参照。)
空間32SO´に第1脚部31の下部D側を嵌入(嵌合)するようにしている。
【0039】
第三発明の医療用針安全装置1´´は、さらに末端側の側壁40.2WDEと基端側の側壁40.2WPEの第1側部S1側を閉じて結合する壁40.3Wを形成している。(
図19参照)壁40.3Wは、いわゆる「略板状」に形成している。
第三発明の医療用針安全装置1´´は、末端側の側壁40.2WDE、基端側の側壁40.2WPE及び第1側部S1側の壁40.3Wにより、溝40.2Mを形成している。(
図19参照)
溝40.2Mに、第1脚部31の下部D側(後述する第1係止部40.1´´)を嵌入(嵌合)するようにしている。
【0040】
[係止部材40]
係止部材40は、「第二の状態」にしたときに、「第二の状態」から「第一の状態」に戻ろうとする動きを阻止する機能を果たす部材である。
係止部材40は、第1係止部40.1と第2係止部40.2とを有する。
第1係止部40.1は、第2係止部40.2と係合する側に係止端40.1Tを形成している。
第2係止部40.2は、前記係止端40.1Tと係合する側の縁部に複数の突部40Tを形成している。当該突部40Tの間に溝40Mを形成している。
【0041】
以下、
図2の例示で詳述する。
第1係止部40.1は、第1脚部31S2の下部D側に形成している。
第1係止部40.1は、末端DE方向から基端PE方向に見て、(いわゆる)「略三角板状」に形成している。
第1係止部40.1は、下部D方向に先細りに形成している。
第1係止部40.1は、下部D端部が(いわゆる)「係止端40.1T」となっている。係止端40.1Tは、(以下、後述する)第2係止部40.2に係止する。
また第1係止部40.1は、(下部D方向に先細りの「係止端40.1T」にかえて)「フック状」、「鍵爪状」等に形成してもよい。
【0042】
第2係止部40.2は、[製造(成形)後の状態)は]、第2脚部32の上部U側で、かつ第1側部S1方向に突設している。
第2係止部40.2は、末端DE方向から基端PE方向に見て、(いわゆる)「略L字状」に形成している。
第2係止部40.2は、第2側部S2側の一端がヒンジ40Hにより、第2脚部32の上部U側に繋がっている。
第2係止部40.2は、第1側部S1側で、かつ下部U側の一端は、「略半円周状」に形成している。外周に複数の突部40Tを、断続的に形成している。
各突部40Tの間には、所定の間隔で溝40Mを設けている。
【0043】
図2の例示では、係止部材40は、第2側部S2側の第1脚部31と第2脚部32との間に形成しているが、第1側部S1側の第1脚部31と第2脚部32との間に形成してもよい。
また係止部材40は、第1側部S1側と第2側部S2側の第1脚部31と、第1側部S1側と第2側部S2側の第2脚部32との間に対となるよう形成してもよい。対となるよう形成することにより、第2状態での第1・第2脚部(31・32)が、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのをより確実に阻止することができる。
【0044】
図2の例示では、第1係止部40.1は、第1脚部31の下部D側に形成しているように記載したが、第2脚部31の上部U側に形成してもよい。
第1係止部40.1は、
図2に例示した形態に限定されることはなく、第2係止部40.2と係合でき、本願発明の目的を達成できる形態であればよい。
例えば「略三角板状」に代えて、いわゆる「略菱形」「略円形」「略楕円形」「略扇形」、「略矩形」等でもよい。要するに一端に前記係止端40.1Tに相当する部分を含み、第2係止部40.2と係合できる形態であれば何でもよい。
【0045】
図2の例示では、第2係止部40.2は、[(製造(成形)後の状態)は]、第2脚部32の上部U側に形成しているように記載したが、第1脚部31の下部D側に形成してもよい。
第2係止部40.2は、
図2に例示した形態「略L字状」、複数の突部40T、溝40Mに限定されることはなく、第1係止部40.1と係合でき、本願発明の目的を達成できる形態であればよい。例えば「略L字状」に代えて、「略V字状」、「略菱形」「略円形」「略楕円形」「略扇形」、「略矩形」等でもよい。
また第2係止部40.2は、第1係止部40.1にあわせて、「フック状」、「鍵爪状」等に形成してもよい。
【0046】
第二発明の医療用針安全装置1´は、前記係止部材40に代えて第二の係止部材40´を有する。以下、単に係止部材40´と記載する場合がある。
係止部材40´は、第1係止部40.1´と第2係止部40.2´とを有する。
第1係止部40.1´は、第2係止部40.2´と係合する側に突設している。第2係止部40.2´は、第1係止部40.1´と係合する側に突設している。
【0047】
以下、
図10〜15の例示で詳述する。
第1係止部40.1´は、第1脚部31S2の下部D側に形成している。
第1係止部40.1´は、基端PE方向から末端DE方向に突設している。
第1係止部40.1´は、末端DE方向から基端PE方向に見て、(いわゆる)「略矩形状」に形成している。
第1係止部40.1´は、第1側部S1方向から第2側部S2方向に見ても、第2側部S2方向から第1側部S1方向に見ても、(いわゆる)「略矩形状」に形成している。
第1係止部40.1´は、下部D端部が(以下、後述する)第2係止部40.2´に係止する。
【0048】
第2係止部40.2´は、第2脚部32´の末端DE側の側壁40.2WDE側で、第1側部S1方向に突設している。
第2係止部40.2´は、末端DE方向から基端PE方向に見て、(いわゆる)「略扇状」で「略板状」に形成している。
【0049】
第三発明の医療用針安全装置1´´は、前記係止部材40に代えて第三の係止部材40´´を有する。以下、単に係止部材40´´と記載する場合がある。
係止部材40´´は、第1係止部40.1´´と第2係止部40.2´´とを有する。
第1係止部(40.1´´)は、第2係止部(40.2´´)と係合する位置に形成している。
第2係止部(40.2´´)は、第1係止部(40.1´´)と係合する位置に形成している。
【0050】
以下、
図16〜21の例示で詳述する。
第1係止部40.1´´は、第1脚部31の下部D側に形成している。
第1係止部40.1´´は、段部40.1Dと下部壁40.1DWとを有する。
段部40.1Dは、第1脚部31下部D側に形成している。
下部壁40.1DWは、段部40.1Dよりも下部D側〜下部D端部にわたって形成している。
下部壁40.1DWの厚みは、第1脚部31本体(段部40.1Dよりも上部U側)
よりも薄肉に形成している。
下部壁40.1DWの下部D端部はヒンジ40.1Hにより、第2係止部40.2´´の下部D端部(溝40.2M)と繋がっている。
【0051】
第2係止部40.2´´は、前記した側壁40.2W、壁40.3W、溝40.2Mを有する。
壁40.3Wの上部U側端部、すなわち縁部40.2Fは、第1係止部40.1´´の段部40.1Dに当接する。
【0052】
[固定部材5の各部材の説明]
固定部材5は、前記したように使用時(針穿刺時)患者の皮膚に固定する部材でもあり、そのため平らな固定プレート50を有する。固定プレート50は、患者の皮膚に密着して固定しやすいように平らな接触面を有する。このため「平らな接触面」、「平らな接触面板」という場合がある。
固定プレート50は、
図6の例示ではいわゆる「略板状」に形成している。
固定プレート50は、略中央部50Cは、針の通路51を形成している。
【0053】
略中央部50Cは、第1側部S1側50S1と第2側部S2側50S2よりも、
幅(末端DE‐基端PE方向)を狭く形成している。
第1側部S1側50S1と第2側部S2側50S2は、略中央部50Cよりも幅(末端DE‐基端PE方向)を広く形成している。
固定プレート50は、前記形状以外にも円形、楕円形等でもよい。また固定プレート50は、例えば硬質プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)等の材料より形成する。
また固定プレート50は、
図6に例示するように、略中央部50Cの末端DE側に、略板状の末端壁52を立設している。針21の末端23を第2脚部32下部に収納するとき、末端23に付着した血液等が、末端壁52と第2脚部32下部D側により、
外部に飛散するのを妨げることができる。
末端壁52の上部U側に、溝52Mを形成している。溝52Mは、前記シールドハブ35の突部35Tと嵌合(係合)する。これにより第一の状態を維持しやすくしている。
【0054】
第二発明・第三発明の医療用針安全装置1´、1´´は、図面上(
図10、
図16)では、末端壁52、溝52Mを形成していないが、第一発明と同様に形成することもできる。
固定プレート50´は、全体を略矩形状に形成し、末端DE側に、末端壁52を形成していない。図面上(
図10、
図16)全体を略矩形状に形成しているが、第一発明と同形状に形成することもできる。
【0055】
医療用針安全装置1を構成する、シールド部材3、固定部材5は、同一材料で一体成形により形成しているので、製造が容易で引用文献1に記載の発明と比較して安価に製造できる。
シールド部材3は、シールドハブ35、脚部(31・32)を、同一材料で一体成形により形成することが好ましい。
固定部材5(固定プレート50)は、同一材料で一体成形により形成することが好ましい。
【0056】
シールド部材3や固定部材5の材料は、射出成形や注形成型できる合成樹脂で形成することが好ましく、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブチレン)、PS(ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVdC(ポリビニリデンクロライド)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PMA(ポリメチルアクリレート)、PC(ポリカーボネート)、PAm(ポリアミド)、ETFE共重合体等があげられるが、これに限定されるものではない。
【0057】
以下、第一発明〜第三発明の医療用針安全装置1、1´、1´´の使用例について説明する。
(第一発明の使用例)
[第一の状態への組み立て:シールド部材3と固定部材5との組み立て]
〈1〉
図1(
図2)の状態(成形後)から、第2係止部40.2をヒンジ40Hにより第2側部S2方向に回動させて、上部U方向に倒立させる。すなわち第2脚部32S2の上部U側空間32SO内に格納する。
〈2〉針ハブ22を、シールド部材3のシールドハブ35(の円筒形状空隙部35S)に差し込んで固定する。
【0058】
〈3〉
図3〜
図5に示すように、脚部(31、32)を折り畳んで、「第一の状態」(第一の折り畳み位置)にして、針21を、針の通路51に差し込む。
シールドハブ35の突起部35Tは、固定プレート50の末端壁52の溝52Mに嵌合する。
第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図3のように、突部40Tの第1側部S1側で係止されている。
〈4〉針21の末端23は、固定プレート50よりも下部D側に露出する。露出した針21に、針カバー(図示せず)を装着する。
【0059】
[針21の末端23の保護(シールド)]
〈5〉「移行開始状態」(
図6)
針部材21(
図6では図示せず)を、垂直軸線VLに沿って上部U側に持ち上げると、第1・第2脚部(31・32)がこれに連動して、垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始する。
さらにこれに連動して、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図3から
図6のように、突部40Tと溝40Mを交互に乗り越えて、第1側部S1側から第2側部S2側に移動する。
【0060】
〈6〉「移行終了状態」
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図8に示すように、第2脚部32が垂直方向に立ち上がるにつれて、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図8のように、第1側部S1側から第2側部S2側に移動する。
【0061】
〈7〉(第二の状態)(
図8)
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図8に示すように、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図8のように、第1側部S1側から第2側部S2側に移動して、複数の突部40Tを、逐次乗り越えて、第2側部S2側端部(上部U側)で係止する。
図8のように、第2係止部40.2は、第二の状態のときは、第1脚部31、第2脚部32の長手L方向に沿って立ち上がっているので、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、第2係止部40.2の上部U側で係止される。
係止端40.1Tは、第1・第2脚部(31・32)の第二の状態(完全に伸びきった状態)と平行になって、突部40Tを逆に乗り越える方向(
図8では第1側部S1方向)に動くことはない。
これにより、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
【0062】
さらに、患者への取付け、薬液の注入、患者からの取外しと廃棄までの使用例について説明する。
[患者への取り付け、薬液の注入]
〈1〉第一の状態において針先には針カバー(図示せず)が取り付けられ保護されている。使用に際しては、針カバー(図示せず)を、取り外して、針21の末端23を露出する。
〈2〉垂直軸線VLの下部D方向に垂下して、患者に埋め込まれたポート(図示せず)へ針21の末端23を穿刺する。固定部材5の固定プレート50(平らな接触面)を、テープ等で患者に固定する。
〈3〉抗癌等を含んだ薬液等を、針ハブ22の基端PE側に接続された薬液注入チューブ(図示せず)から薬液等を、針21の末端23、ポート(図示せず)を経由して、注入する。このように第一の状態で輸液等が行われる。
【0063】
[患者からの取外しと廃棄まで]
薬液の注入が終了したら、作業者(医師、看護士等)は、一方の手を患者の皮膚に当て、もう一方の手で翼部34を、つかんで上部Uに持ち上げる。
これにより、ポート(図示せず)から針21の末端23が引き出され、第1・第2脚部(31・32)を伸長させる。第1・第2脚部(31・32)が伸長中、針21の末端23は、上部方向に移動する。
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLに沿うように上部U側に伸びきろうとする。
図6に示すように、第2脚部32が垂直方向に立ち上がるにつれて、第1係止部40.1の係止端40.1Tは、
図8のように、第1側部S1側から第2側部S2側に移動して、複数の突部40Tを、逐次乗り越える。
【0064】
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図8に示すように、第1側部S1側から第2側部S2側に移動して、複数の突部40Tを、乗り越え、第2側部S2側(上部U側)で、係止される。
これにより、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
作業者(医師・看護士等)は、偶発的な針の露出による針刺事故を心配せずに針21を処分することができる。
【0065】
(第二発明の使用例)
[針21の末端23の保護(シールド)]
〈5〉´「移行開始状態」
針部材21(
図10〜
図15では図示せず)を、垂直軸線VLに沿って上部U側に持ち上げると、第1・第2脚部(31・32´)がこれに連動して、垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始する。
さらにこれに連動して、第1係止部40.1´と、第2係止部40.2´は、上部U側に移動し、お互いに接近する。
【0066】
〈6〉´「移行終了状態」
第1・第2脚部(31・32´)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図12〜13に示すように、第1脚部31と第2脚部32´が垂直方向に立ち上がるにつれて、第2係止部40.2´の上部U側端部は、第1係止部40.1´の下部D側端部に接近する。
【0067】
〈7〉´(第二の状態)
第1・第2脚部(31・32´)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図14〜15に示すように、第1係止部40.1´の下部D側端部は、第2係止部40.2´の上部U側端部と接触し、上部U側で係止する。
加えて第1脚部31の下部D側は、第1側部S1側と第2側部S2側との両側で、
第2脚部32´の上部Uの空間32SO´に、嵌合する。
これにより、第1・第2脚部(31・32´)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
【0068】
(第三発明の使用例)
[針21の末端23の保護(シールド)]
〈5〉´´「移行開始状態」
針部材21を、垂直軸線VLに沿って上部U側に持ち上げると、第1・第2脚部(31・32´)がこれに連動して、垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始する。
さらにこれに連動して、第1係止部40.1´´と、第2係止部40.2´´は、上部U側に移動し、お互いに接近する。
【0069】
〈6〉´´「移行終了状態」
第1・第2脚部(31・32´)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図18〜19に示すように、第1脚部31と第2脚部32´が垂直方向に立ち上がるにつれて、第2係止部40.2´´の上部U側の縁部40.2Fは、第1係止部40.1´´の下部D側の段部40.1Dと接近する。
【0070】
〈7〉´´(第二の状態)
第1・第2脚部(31・32´)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図20〜21に示すように、第2係止部40.1´´の溝40.2Mに、第1係止部40.1の下部壁40.1DWが嵌合し、第2係止部40.2の壁40.3Wの上部U側の縁部40.2Fと第1係止部40.1´´の下部D側の段部40.1Dは当接する。
加えて、第1側部S1側と第2側部S2側との両側で、第1係止部40.1´´の下部D側と第2係止部40.2´´上部U側は、嵌合する。
これにより、第1・第2脚部(31・32´)は、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。