特許第6138616号(P6138616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138616
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20170522BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G01C21/26 B
   G01C21/36
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-153764(P2013-153764)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2015-25681(P2015-25681A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年2月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬脇 光二
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−092521(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/040654(WO,A1)
【文献】 特開2006−250875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が道路外にあるときに、所定規則に従って道路上のルート始点を決定し、該ルート始点から目的地までのルートを地図と共に表示部に表示するナビゲーション装置であって、
車両が道路外を走行して、該車両の位置が前記表示部に表示されるルートのルート始点から第1所定距離の範囲を外れているか否かを判定する第1判定手段と、
該第1判定手段により、前記車両の位置が前記ルート始点から第1所定距離の範囲を外れていると判定されたときに、当該車両の位置と前記所定規則に従って新たなルート始点を決定するルート始点決定手段とを有し、
更に、道路外の建物内を走行している車両が該建物外に出たか否かを判定する建物外退出判定手段と、
前記建物外退出判定手段により、前記車両が建物外に出たと判定されたときに、前記車両の位置が前記表示部に表示されるルートのルート始点から第2所定距離の範囲を外れているか否かを判定する第2判定手段とを有し、
前記ルート始点決定手段は、該第2判定手段により、前記車両の位置が前記ルート始点から第2所定距離の範囲を外れていると判定されたときに、当該車両の位置と前記所定規則に従って新たなルート始点を決定し、
前記第2所定距離の範囲は、前記第1所定距離の範囲より短い距離の範囲であるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記所定規則に従ってルート始点を決定する際、車両の位置から最も近い道路上の位置をルート始点として決定すること、
を特徴とする請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1所定距離の範囲を、道路で囲まれた前記道路外の領域の広さに応じて可変設定する範囲設定手段を有する請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記範囲設定手段は、道路で囲まれた前記道路外の領域の平面多角形状における最大対角線の長さに応じて前記第1所定距離の範囲を可変設定する請求項3に記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の目的地までのルートを設定し、車両の位置及び該ルートを表示部に表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたナビゲーション装置では、道路外の領域である駐車場に停車した当該車両が発進する際に目的地までのルート設定の操作がなされると、例えば、図7に示すように、車両の現在位置Pcの近傍の道路上の位置がルート始点Prsとして決定される。そして、そのルート始点Prsから前記目的地までのルートRが、指定された条件(例えば、最短距離、高速道路優先、一般道優先等)のもと、所定のアルゴリズムに従って検索され、そのルートRが車両を案内すべきルートとして設定される。車両の現在位置Pc及び前記ルート始点Prsから始まる前記ルートRは表示部に表示される。これにより、利用者(運転者)は、車両が駐車場から道路に進入した際に、自車両の位置と走行すべきルートRとの相対的な関係を知ることができる。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、図7に示すように、車両が当初の現在位置Pcから広い駐車場EP内を出口に向かって走行する際に、当該車両が現在設定されているルートRのルート始点Prsから離れてしまう。その結果、特に、表示部に表示されるルートRを含む地図が拡大表示される場合、例えば、図7に示すその拡大表示される表示領域DPに、車両の位置は表示されるものの、前記設定されたルートRやそのルート始点Prsが表示されないことがあり得る。このような場合、利用者(運転者)は、車両が駐車場EPを出て道路に進入するときに、車両の位置と設定されたルートRとの相対的な位置関係が把握できず、車両が進入した道路をどの方向(例えば、右方向、または、左方向)に進めばよいか判断することができない。
【0004】
このような不具合を解決するために、駐車場を表す施設情報にその駐車場の出口の位置を表す出口情報を含めておき、車両の現在位置に近い出口近傍の道路上の位置をルート始点として決定し、そのルート始点から目的地までのルートを設定するようにしたナビゲーション装置が提案されている(特許文献1参照)。このナビゲーション装置によれば、道路外の広い駐車場を車両がどのように走行しても、その車両が最終的に出口から道路に進入する際には、当該車両の位置及びその道路上のルート始点から延びるルートが表示部に表示されるようになるので、利用者(運転者)は、車両が駐車場EPを出口から道路に進入するときに、その道路をどの方向(例えば、右方向、または、左方向)に進めばよいか判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−37275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のナビゲーション装置(特許文献1)は、各駐車場に対応させてその出口の位置を表す出口情報をデータベースとして備えていなければならない。このため、出口情報が定められていない駐車場については、依然、車両がその駐車場を出口から出て道路に進入するときに、表示部に表示された地図から、その出口に隣接する道路をどの方向に進めばよいか判断することができないという状況が改善されない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、道路外から道路に進入する位置(例えば、駐車場の出口の位置)についての情報を備えていなくても、車両が道路外から道路に進入する際に、車両の位置及び設定ルートのルート始点を含む地図を表示部に表示させておくことのできるナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るナビゲーション装置は、車両が道路外にあるときに、所定規則に従って道路上のルート始点を決定し、該ルート始点から目的地までのルートを地図と共に表示部に表示するナビゲーション装置であって、車両が道路外を走行して、該車両の位置が前記表示部に表示されるルートのルート始点から第1所定距離の範囲を外れているか否かを判定する第1判定手段と、該第1判定手段により、前記車両の位置が前記ルート始点から第1所定距離の範囲を外れていると判定されたときに、当該車両の位置と前記所定規則に従って新たなルート始点を決定するルート始点決定手段とを有し、更に、道路外の建物内を走行している車両が該建物外に出たか否かを判定する建物外退出判定手段と、前記建物外退出判定手段により、前記車両が建物外に出たと判定されたときに、前記車両の位置が前記表示部に表示されるルートのルート始点から第2所定距離の範囲を外れているか否かを判定する第2判定手段とを有し、前記ルート始点決定手段は、該第2判定手段により、前記車両の位置が前記ルート始点から第2所定距離の範囲を外れていると判定されたときに、当該車両の位置と前記所定規則に従って新たなルート始点を決定し、前記第2所定距離の範囲は、前記第1所定距離の範囲より短い距離の範囲である構成となる。
【0009】
このような構成により、車両が道路外を走行している際に、車両の現在位置が、表示部に表示されるルートのルート始点から第1所定距離の範囲を外れていると、車両の位置に基づいて新たなルート始点が決定される。そして、表示部に、地図と共に今まで表示されていたルートに代えて、前記新たに決定されたルート始点から始まる目的地までのルートが表示される。そして、建物内を走行していた車両が当該建物を出たと判定されたときに、該車両の現在位置が、表示部に表示されるルートのルート始点から第2所定距離の範囲を外れていると、車両の位置に基づいて新たなルート始点が決定される。そして、表示部に、地図と共に今まで表示されていたルートに代えて、前記新たに決定されたルート始点から始まる目的地までのルートが表示される。更に、車両が建物外を出たときに当該車両の位置に基づいて新たなルート始点を決定するための判定基準である第2所定距離の範囲が、車両が道路外を走行する際に当該車両の位置に基づいて新たなルート始点を決定するための判定基準である第1所定距離の範囲より短い距離の範囲であるので、車両が建物から出たときに、即ち、車両が建物から出て道路に進入する蓋然性がより高い状況において、新たなルート始点が決定され易くなる。
【0014】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記所定規則に従ってルート始点を決定する際、車両の位置から最も近い道路上の位置をルート始点として決定することができる。
【0015】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記第1所定距離の範囲を、道路で囲まれた前記道路外の領域の広さに応じて可変設定する範囲設定手段を有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、車両が道路外を走行する際に当該車両の位置に基づいて新たなルート始点を決定するための判定基準である第1所定距離の範囲が、道路で囲まれた当該道路外の領域の広さに応じて可変設定されるので、車両が走行する道路外の領域の広さに応じてより的確に新たなルート始点を決定することができる。
【0017】
前記第1所定距離の範囲は、例えば、道路で囲まれた前記道路外の領域の平面多角形状における最大対角線の長さに応じて可変設定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、車両が道路外を走行している際に、車両の現在位置が、表示部に表示されるルートのルート始点から第1所定距離の範囲を外れていると、車両の位置に基づいて新たなルート始点が決定され、そのルート始点から始まる目的地までの新たなルートが表示部に表示されるので、車両の現在位置とルート始点との間隔が高々第1所定距離の範囲程度に収まり得る。これにより、道路外から道路に進入する位置についての情報を備えていなくても、車両が道路外から道路に進入する際に、車両の位置及び設定ルートのルート始点を含む地図を表示部に表示させておくことができるようになる。従って、車両が道路外から道路に進入する際に、利用者(運転者)は、表示部に表示される車両の位置とルート始点から延びるルートとの相対的な関係から、当該車両を進める方向を把握することができる。
【0021】
また、建物内を走行していた車両が建物外に出たと判定されたときに、該車両の現在位置が、表示部に表示されるルートのルート始点から第2所定距離の範囲を外れていると、車両の位置に基づいて新たなルート始点が決定され、そのルート始点から始まる目的地までの新たなルートが表示部に表示されるので、建物を出た車両の現在位置とルート始点との間隔が高々第2所定距離の範囲程度に収まり得る。これにより、道路外から道路に進入る位置についての情報を備えていなくても、建物を出た車両が道路外から道路に進入する際に、車両の位置及び設定ルートのルート始点を含む地図を表示部に表示させておくことができるようになる。従って、建物を出た車両が更に道路に進入する際に、利用者(運転者)は、表示部に表示される車両の位置とルート始点から延びるルートとの相対的な関係から、当該車両を進める方向を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図2】屋外駐車場を車両が走行する際におけるルート設定に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図3】屋外駐車場において車両が発進する際に設定されるルートの表示例を示す図である。
図4】屋外駐車場を走行している車両の走行軌跡の例と、その際に設定されるルートの表示例を示す図である。
図5】立体駐車場(建物内)を車両が走行し、該立体駐車場から車両が出る際におけるルート設定に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図6】立体駐車場を走行している車両の走行軌跡の例と、その際に設定されるルートの表示例を示す図である。
図7】屋外駐車場を走行している車両の走行軌跡の例と、そのように車両が走行する際に、従来のナビゲーション装置において設定される設定されるルートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の実施の一形態に係るナビゲーション装置は、図1に示すように構成される。このナビゲーション装置は、車両に搭載される。
【0025】
図1において、ナビゲーション装置100は、コンピュータユニット(CPUを含む)によって構成される処理ユニット11を有している。処理ユニット11には、GPS受信器、加速度センサ、車輪速センサ、ジャイロ等のナビゲーション・センサ群17が接続され、また、記憶部14(例えば、ハードディスクドライブ)が接続されている。記憶部14には、処理ユニット11での処理に必要な各種情報、特に、道路リンクの情報を含む地図情報、施設に関する情報等の地図表示やナビゲーション処理に必要な情報が格納されている。
【0026】
処理ユニット11には、LCD等で構成され、各種情報を表示する表示部13、表示部13上のタッチパネルや操作ボタン等で構成され、処理に対する指示や各種情報を入力するために用いられる操作部12及びスピーカ16に接続される出力回路15が接続されている。処理ユニット11は、記憶部14に格納された地図情報や施設に関する情報等に基づいて表示部13に地図を表示させたり、操作部12の操作により目的地として指定された施設(目的地)までのルートを探索する処理を行ったり、更に、ナビゲーション・センサ群17からの各種検出信号に基づいて車両の位置を検出し、その検出位置情報や地図情報を用いて、前記探索により得られたルートに沿って車両を誘導するためのナビゲーション処理を行う。そして、処理ユニット11は、ナビゲーション処理により、表示部13に地図とともに車両の位置を表すマークを表示させ、車両を前記ルートに沿って誘導するための音声案内がスピーカ16から出力されるように、音声信号を出力回路15に出力する。
【0027】
処理ユニット11は、記憶部14に保存される地図情報、施設情報、及びナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて、車両が立体駐車場等の建物内にあるか否かの判定を行っている。この車両が立体駐車場等の建物内にあるか否かの判定には、例えば、GPS受信器での検出信号の受信状態、車輪速センサ及び加速度センサからの検出信号に基づいて演算される車両の相対高度差、及び車両の走行パターン(傾斜した状態での走行、踊り場での走行等を含む)に基づいて検出される車両の存在する駐車フロアの階数等の情報を用いることができる。
【0028】
車両が屋外駐車場にあり、当該車両が建物内にはないとの判定がなされている状況で、処理ユニット11は、車両の発進に際して、図2に示す手順に従って目的地までのルートの設定に係る処理を行う。
【0029】
図2において、処理ユニット11は、操作部12での操作に基づいて、目的地までのルート設定を行うべきであるか否かを繰り返し判定している(S11)。利用者(車両の乗員)が目的地までのルート設定を行うための操作を操作部12にて行うと(S11でYES)、処理ユニット11は、後述する第1基準距離rth1を設定(S12:範囲設定手段)した後、図3に示すように、ナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて検出される駐車場EP内の車両の現在位置Pcs(初期位置)に最も近い道路上の位置をルート始点Prs0(初期ルート始点)として決定する(S13)。なお、前記第1基準距離rth1の詳細な設定手法については後述する。前記ルート始点Prs0を決定した後、処理ユニット11は、操作部12での操作によって指定された条件(例えば、最短距離、高速道路優先、一般道優先等)のもと、所定のアルゴリズムに従って、前記ルート始点Prs0から目的地までのルートR0を検索し、そのルートR0を、車両を案内すべきルートとして設定する(S14)。そして、処理ユニット11は、車両の位置Pcs(車両マーク)及び前記ルート始点Prs0から始まる前記ルートR0を、図3に示すように、地図とともに表示部13に表示させる(S15)。
【0030】
その後、処理ユニット11は、ナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて車両の現在位置Pcを検出し(S16)、その現在位置Pcが道路マッピングの条件に適合する位置であるか否かを判定する(S17)。車両が駐車場EP内を走行しており、該車両の現在位置Pcが道路マッピングの条件に適合していない場合(S17でNO)、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcと表示部13に表示されたルートR0のルート始点Prs0との差の絶対値が前記第1基準距離rth1を越えているか否かを判定する(S18:第1判定手段)。即ち、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示される前回設定されたルートR0のルート始点Prs0から第1基準距離rth1の範囲(第1所定距離の範囲)を外れているか否かが判定される。
【0031】
前記第1基準距離rth1は、駐車場EPの広さに応じた距離に設定されるもので、例えば、地図情報に基づいて、道路に囲まれる駐車場EPの平面四角形状(多角形状)における最大対角線の長さL(図3参照)の、所定割合の距離、例えば、1/2の距離に設定される。
【0032】
そして、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示される前回設定されたルートR0のルート始点Prs0から第1基準距離rth1の範囲を外れていなければ(S18でNO)、即ち、車両の現在位置Pcとルート始点Prs0との間の距離が第1基準距離rth1以下であれば、処理ユニット11は、検出される車両の現在位置Pc(車両マーク)及び前記ルートR0を地図とともに表示部13に表示させる(S15)。以後、前記ルートR0のルート始点Prs0から第1基準距離rth1の範囲内の位置を車両が走行している間、処理ユニット11は、同様の処理(S1〜S18でNO)を実行して、検出される車両の現在位置Pc(車両マーク)及び前記ルートR0を地図とともに表示部13に表示させる状態(図3参照)を維持する。
【0033】
このような処理の過程で、図4に示すように、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示される前回設定されたルートR0のルート始点Prs0から第1基準距離rth1の範囲を外れると(S18でYES)、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcに最も近い道路上の位置を新たなルート始点Prs1として決定する(S19:ルート始点決定手段)。そして、処理ユニット11は、新たに設定したルート始点Prs1から目的地までの新たなルートR1を検索し、そのルートR1を、車両を案内すべきルートとして設定する(S14)。そして、処理ユニット11は、前記ルート始点Prs1から始まる前記ルートR1を、図4に示すように、前回設定されたルートR0に代えて、表示部13に表示させる(S15)。
【0034】
以後、同様にして、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcを検出し(S16)、その車両の現在位置Pcが表示部13に表示されるルートRのルート始点Prsから第1基準距離rth1の範囲から外れる毎に(S18でYES)、その車両の現在位置Pcに最も近い道路上の位置が新たなルート始点Prsとして決定し(S19)、そのルート始点Prsから目的地までの新たなルートRを設定する。そして、今まで表示部13に表示されていたルートRに代えて、新たなに設定されたルートRが表示部13に表示される。
【0035】
上記の処理の過程で、道路に向かって進む車両の現在位置Prsが道路マッピングの条件に適合すると(S17でYES)、処理ユニット11は、道路上の位置にマッピングされた車両の現在位置Pcを新たなルート始点に決定し、そのルート始点から目的地までのルートRを設定した(リルート)後に、そのルートRに沿って車両が走行するように案内する処理(ルート案内処理)を開始する(S20)。
【0036】
車両が屋外駐車場にあって、当該車両が建物内にはないとの判定がなされている状況で、処理ユニット11が上述したようなルート設定に係る処理(図2参照)を行うナビゲーション装置では、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示されるルートRのルート始点Prsから第1基準距離rth1の範囲を外れていると、車両の現在位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsが決定され、そのルート始点Prsから始まる目的地までの新たなルートRが表示部13に表示される。このため、車両の現在位置Pcとルート始点Prsとの間隔が高々第1基準距離rth1の範囲程度に収まり得る(図4参照)。これにより、屋外駐車場の出口情報を備えていなくても、車両が駐車場の出口から道路に進入する際に、車両の現在位置Pc(車両マーク)及び設定ルートRのルート始点Prsを含む地図を表示部13に表示させておくことができるようになる。従って、車両が屋外駐車場から道路に進入する際に、利用者(運転者)は、表示部13に表示される車両の位置Pcとルート始点Prsから延びるルートRとの相対的な関係から、当該車両を進める方向を把握することができる。
【0037】
次に、車両が建物内、例えば、立体駐車場内にあると判定されている状況で、処理ユニット11は、車両の発進に際して、図5に示す手順に従って目的地までのルートの設定に係る処理を行う。なお、図5において、図2に示す参照符号と同じ参照符号は、同じ処理を示している。
【0038】
図5において、処理ユニット11は、利用者(車両の乗員)により目的地までのルート設定を行うための操作が操作部12にてなされると(S11でYES)、図6に示すように、自律航法等を用いて検出される立体駐車場EPin内の車両の現在位置Pcsに最も近い道路上の位置をルート始点Prs0として決定し(S13)、操作部12での操作によって指定された条件(例えば、最短距離、高速道路優先、一般道優先等)のもと、所定のアルゴリズムに従って、前記ルート始点Prs0から目的地までのルートR0を検索し、そのルートR0を、車両を案内すべきルートとして設定する(S14)。そして、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcs(車両マーク)及び設定されたルートR0を、図6に示すように、地図とともに表示部13に表示させる(S15)。
【0039】
処理ユニット11は、引き続き自律航法等を用いて車両の現在位置Pcを検出し(S16)、ナビゲーション・センサ群17からの検出信号に基づいて車両が立体駐車場EPinから出たか否かを判定する(S17a:建物退出判定手段)。なお、前述したように、GPS受信器での検出信号の受信状態、車輪速センサ及び加速度センサからの検出信号に基づいて演算される車両の相対高度差、車両の走行パターン(傾斜した状態での走行、踊り場での走行等を含む)に基づいて検出される車両の存在する駐車フロアの階数等の情報を用いて、車両が立体駐車場EPinから出たか否かを判定することができる。車両が立体駐車場EPinから出ていない状態(S17aでNO)では、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcを検出しつつ(S16)、当該車両の現在位置Pc及び設定した前記ルートR0を表示部13に表示させた状態を維持する(S15〜S17aNO)。
【0040】
このような処理の過程で、車両が立体駐車場EPinから出たと判定すると(S17aでYES)、処理ユニット11は、検出される車両の現在位置Pcが道路マッピングの条件に適合する位置であるか否かを判定する(S17)。立体駐車場EPinから出たと判定された車両の現在位置Pcがまだ道路マッピングの条件に適合していない場合(S17でNO)、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcと表示部13に表示されたルートR0のルート始点Prs0との差の絶対値が第2基準距離rth2(第2所定距離:例えば、50m)を越えているか否かを判定する(S18:第2判定手段)。即ち、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示される前回設定されたルートR0のルート始点Prs0から第2基準距離rth2の範囲(第2所定距離の範囲)を外れているか否かが判定される。この第2基準距離rth2は、前述した第1基準距離rth1より小さい値(例えば、50m)になるように予め設定されている。
【0041】
図6に示すように、車両の現在位置Pcが、表示部13に表示されるルートR0のルート始点Prs0から前記所定距離rth2(例えば、50m)の範囲を外れていると(S18でYES)、処理ユニット11は、車両の現在位置Pcに最も近い道路上の位置を新たなルート始点Prs1として決定する(S19:ルート始点決定手段)。そして、処理ユニット11は、新たに設定したルート始点Prs1から目的地までの新たなルートR1を検索し、そのルートR1を、車両を案内すべきルートとして設定する(S14)。そして、処理ユニット11は、前記ルート始点Prs1から始まる前記ルートR1を、図6に示すように、前回設定されたルートR0に代えて、表示部13に表示させる(S15)。
【0042】
以後、立体駐車場を出た車両が、新たに設定されたルートR1のルート始点Prs1から第2基準距離(例えば、50m)の範囲内を走行している間では、車両の現在位置Pc及び前記ルートR1が地図とともに表示部13に表示される状態が維持される(S15、S16、S17a、S17、S18)。その過程で、立体駐車場を出て道路に向かって進む車両の現在位置Pcが道路マッピングの条件に適合すると(S17でYES)、処理ユニット11は、道路上の位置にマッピングされた車両の現在位置Pcを新たなルート始点に決定し、そのルート始点から目的地までのルートRを設定した(リルート)後に、そのルートRに沿って車両が走行するように案内する処理(ルート案内処理)を開始する(S20)。
【0043】
車両が立体駐車場にあって、当該車両が建物内にあるとの判定がなされている状況で、処理ユニット11が上述したようなルート設定に係る処理(図5参照)を行うナビゲーション装置では、立体駐車場内を走行していた車両がその立体駐車場を出たと判定された(S17aでYES)ときに、該車両の現在位置Pcが、表示部13に表示されるルートR0のルート始点Prsから第2基準距離rth2(例えば、50m)の範囲を外れている(S18でYES)と、車両の現在位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsが決定され、そのルート始点Prsから始まる目的地までの新たなルートRが表示部13に表示されるので、立体駐車場を出た車両の現在位置Pcとルート始点Prsとの間隔が高々第2基準距離rth2(例えば、50m)の範囲程度に収まり得る。これにより、立体駐車場の出口情報を備えていなくても、立体駐車場を出た車両が道路外から道路に進入する際に、車両の位置Pc及び設定ルートRのルート始点Prsを含む地図を表示部13に表示させておくことができるようになる。従って、立体駐車場を出た車両が更に道路に進入する際に、利用者(運転者)は、表示部13に表示される車両の位置Pcとルート始点Prsから延びるルートRとの相対的な関係から、当該車両を進める方向を把握することができる。
【0044】
前述したナビゲーション装置では、車両が立体駐車場(建物)を出たときに当該車両の位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsを決定するための判定基準である第2基準距離rth2(例えば、50m)の範囲が、車両がもともと屋外駐車場を走行する際に当該車両の位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsを決定するための判定基準である第1基準距離rth1の範囲より短い距離の範囲であるので、車両が立体駐車場(建物)から出たときに、即ち、車両が建物から出て道路に進入する蓋然性がより高い状況において、新たなルート始点Prsが決定され易い。
【0045】
また、車両が道路外(屋外駐車場)を走行する際に当該車両の位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsを決定するための判定基準である第1基準距離rth1の範囲が、道路で囲まれた当該道路外の領域(屋外駐車場)の広さに応じて可変設定されるので、車両が走行する道路外の領域(屋外駐車場)の広さに応じてより的確に新たなルート始点Prsを決定することができる。
【0046】
なお、車両が立体駐車場から出る場合について説明したが、車両が地下駐車場や他の建物から出る場合についても、同様の手順(図5参照)に従って処理を行うことができる。
【0047】
車両が道路外(屋外駐車場)を走行する際に当該車両の位置Pcに基づいて新たなルート始点Prsを決定するための判定基準である第1基準距離rth1は、道路外の領域の広さに応じて可変設定されるものであったが、ある程度の広さの駐車場等を想定して定めた固定値であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上、説明したように、本発明に係るナビゲーション装置は、道路外から道路に進入する位置(例えば、駐車場の出口の位置)についての情報を備えていなくても、車両が道路外から道路に進入する際に、車両の位置及び設定ルートのルート始点を含む地図を表示部に表示させておくことができるという効果を有し、車両の目的地までのルートを設定し、車両の位置及び該ルートを表示部に表示するナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0049】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 ナビゲーション・センサ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7