(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138622
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】操作チェーンの連結構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/326 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
E06B9/326
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-159124(P2013-159124)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-30992(P2015-30992A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−006923(JP,A)
【文献】
特開2004−024807(JP,A)
【文献】
実開昭59−074787(JP,U)
【文献】
特開2007−177440(JP,A)
【文献】
実開平06−020888(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0194895(US,A1)
【文献】
特開2004−028150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 − 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状に形成された単一のコード部(12)とこのコード部(12)の長手方向に間隔をあけて固着された複数のボール部(13)とを有する操作チェーン(11)と、この操作チェーン(11)の両端を連結して無端のリング状に形成する連結部材(20)とを備えた操作チェーンの連結構造において、
前記連結部材(20)は、外周面が円弧状に形成された略U字状の第1連結本体(21a)を有し基部が前記操作チェーン(11)の一端に取付けられた第1連結片(21)と、外周面が円弧状に形成された略U字状の第2連結本体(22a)を有し基部が前記操作チェーン(11)の他端に取付けられかつ前記第1連結片(21)と同一形状に形成された第2連結片(22)とからなり、
前記第1及び第2連結片(21,22)の先端を互いに対向させ、前記第1又は第2連結片(21,22)のいずれか一方を前記コード部(12)の軸線を中心に90度回転させた状態で、前記第1及び第2連結片(21,22)を係合させて合体させたときに、前記第1及び第2連結片(21,22)の外形が前記ボール部(13)の外形と略同一形状になるように構成された
ことを特徴とする操作チェーンの連結構造。
【請求項2】
前記第1連結片(21)が、前記第1連結本体(21a)の基部に形成され前記コード部(12)の一端に遊嵌可能な第1通孔(21b)と、前記第1連結本体(21a)の先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第1係止部(21c,21c)とを更に有し、
前記第2連結片(22)が、前記第2連結本体(22a)の基部に形成され前記コード部(12)の他端に遊嵌可能な第2通孔(22b)と、前記第2連結本体(22a)の先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第2係止部(22c,22c)とを更に有し、
前記第1連結片(21)に前記一対の第2係止部(22c,22c)が弾性変形して係止可能な一対の第1被係止部(21d,21d)がそれぞれ形成され、
前記第2連結片(22)に前記一対の第1係止部(21c,21c)が弾性変形して係止可能な一対の第2被係止部(22d,22d)がそれぞれ形成された請求項1記載の操作チェーンの連結構造。
【請求項3】
前記第1連結片(21)の第1通孔(21b)が遊嵌された前記コード部(12)の一端に、前記第1連結片(21)が前記コード部(12)の一端から離脱するのを阻止する第1抜止め部(12a)が形成され、前記第2連結片(22)の第2通孔(22b)が遊嵌された前記コード部(12)の他端に、前記第2連結片(22)が前記コード部(12)の他端から離脱するのを阻止する第2抜止め部(12b)が形成された請求項2記載の操作チェーンの連結構造。
【請求項4】
前記操作チェーン(11)のうち少なくとも前記コード部(12)が熱可塑性樹脂により形成され、前記第1抜止め部(12a)が前記コード部(12)の一端を熱変形させて前記コード部(12)より大径に形成された第1フランジ部であり、前記第2抜止め部(12b)が前記コード部(12)の他端を熱変形させて前記コード部(12)より大径に形成された第2フランジ部である請求項3記載の操作チェーンの連結構造。
【請求項5】
前記第1抜止め部が前記コード部の一端に形成された第1結び目であり、前記第2抜止め部が前記コード部の他端に形成された第2結び目である請求項3記載の操作チェーンの連結構造。
【請求項6】
前記第1抜止め部が前記コード部の一端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第1カシメ部であり、前記第2抜止め部が前記コード部の他端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第2カシメ部である請求項3記載の操作チェーンの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーン、横型ブラインド、縦型ブラインド等を開閉するときに操作する操作チェーンの両端を連結して無端のリング状にするための連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コードの両端部を連結部で連結することにより無端状に構成されたボールチェーンが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このボールチェーンはポリエステルのコード上に等間隔に合成樹脂のボールが成形される。これらのボールは、コードの表面上に成形機で長球状の充実体を成形することにより形成され、コードに対し移動不能に固着される。また連結部は第1連結部材と第2連結部材とにより構成される。第1連結部材は、コードと同一材料により形成された連結コードと、この連結コードの一端にアウトサート成型されコード上のボールの半分よりやや大きい形状の半球部と、連結コードの他端にアウトサート成型され先端まで充実体となる第1嵌合部とを有する。ここで、半球部と第1嵌合部の間隔はコード上のボールの間隔と同一である。更に第1嵌合部の基端部はコード上のボールの端部と同様の半球状に形成され、第1嵌合部の先端部には丸軸状の嵌合突部が形成される。この嵌合突部の先端部にはフランジ状の膨径部が形成され、その膨径部の外形は半球状の基端部の最大径より小さい径となっている。
【0003】
第2連結部材は、コードと同一材料により形成された連結コードと、この連結コードの一端に形成されコード上のボールの半分の形状の半球部と、連結コードの他端に形成された第2嵌合部とを有する。ここで、半球部と第2嵌合部の間隔はコード上のボールの間隔と同一である。また第2嵌合部の基端部はコード上のボールの端部と同様の半球状に形成され、第2嵌合部の先端部には嵌合孔が形成される。この嵌合孔の奥部の径は開口部の径より大きく形成されて、嵌合突部の膨径部を弾性的に嵌合し、かつ保持可能に構成される。またボールチェーンに通常の引張り力を越える引張り力が作用したときに限り、合成樹脂の弾性により嵌合突部と嵌合孔の嵌合が外れるようになっている。更に嵌合突部を嵌合孔に嵌合した状態では、第1及び第2嵌合部の外形はコード上のボールと同一形状となるように構成される。
【0004】
このように構成されたボールチェーンでは、第1連結部材の半球部と第2連結部材の半球部を、コードの両端に形成された半球部にそれぞれ溶着固定することにより、コード上のボールと同一形状のボールがそれぞれ形成される。そして嵌合突部を嵌合孔に嵌合すると、無端状のボールチェーンが形成される。この結果、ボールチェーンのコードと第1連結部材の連結コードと第2連結部材の連結コードの全長にわたって同一形状のボールが同一間隔で形成されるので、ボールチェーンがプーリーに対し制限なく周回できるようになっている。
【0005】
一方、無端状のボールチェーンを構成するために、両端部が連結部で連結されたコードが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このボールチェーンはポリエステルのコード上に等間隔に合成樹脂のボールが成形される。これらのボールは、コードの表面上に成形機で長球状の充実体を成形することにより形成され、コードに対し移動不能に固着される。また上記連結部は、同一に構成された2つの第1連結部材と、これらの第1連結部材を連結する筒状の第2連結部材(第2嵌合部)とを備える。第1連結部材は、コードと同一の材料で形成された連結コードと、この連結コードの一端にアウトサート成型されたボールの半分の形状の半球部と、連結コードの他端に形成された第1嵌合部と、半球部及び第1嵌合部間に固着されコードのボールと同一形状に形成されたボールとを有する。ここで、第1嵌合部と上記ボールの間隔と、上記ボールと半球部の間隔は、コード上のボールの間隔とそれぞれ同一である。また第1嵌合部の基端部は、コード上のボールの端部と同様の半球状に形成され、第1嵌合部の先端部には、丸軸状の嵌合突部がアウトサート成型される。この嵌合突部の先端部の外周面上には、丸軸の中心に対し線対称状に膨径部が形成される。
【0006】
第2連結部材は、第1嵌合部及びボールと同一の合成樹脂で円筒状に成形されて嵌合孔を有する第2嵌合部として形成され、この第2嵌合部の両側の開口部は嵌合突部の膨径部を含む先端部を挿入可能とした俵形に形成される。またボールチェーンに通常の引張り力を超える大きな引張り力が作用したときに限り、第2連結部材の合成樹脂の弾性により、嵌合突部の膨径部により第2連結部材の開口部が押し広げられて、嵌合突部が第2連結部材から外れるようになっている。更に第2連結部材の両端に第1嵌合部の嵌合突起をそれぞれ嵌合した状態での外形形状は、コード上のボールと同一形状になるように構成される。
【0007】
このように構成されたコードでは、2つの第1連結部材の半球部を、コードの両端にアウトサート成型された半球部にそれぞれ溶着固定することにより、コード上のボールと同一形状のボールが形成される。そして2つの第1連結部材(第1嵌合部の嵌合突起)を筒状の第2連結部材(第2嵌合部)で連結すると、無端状のボールチェーンが形成される。この結果、ボールチェーンのコードと2つの第1連結部材の連結コードの全長にわたって同一形状のボールが同一間隔で形成されるので、ボールチェーンがプーリーに対し制限なく周回できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−6923号公報(段落[0022]〜[0024]、[0026]〜[0030]、[0032]、[0033]、
図2〜
図6)
【特許文献2】特開2011−6925号公報(段落[0020]〜[0024]、[0026]、[0030]〜[0032]、
図2〜
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたボールチェーンでは、嵌合突起が形成された雄形状の第1連結部材と、上記嵌合突起に嵌合される嵌合孔が形成された雌形状の第2連結部材との2種類の連結部材を必要とするため、これらの連結部材の成形金型を別々に作製しかつ上記2種類の連結部材を別々に成形しなければならず、加工工数が増大するとともに、部品点数が多くなって部品管理が煩わしくなる不具合があった。また、上記従来の特許文献2に示されたコードでは、嵌合突起がそれぞれ形成された同一の2つの第1連結部材と、これらの嵌合突起が嵌合される嵌合孔が形成された筒状の単一の第2連結部材との2種類の連結部材を必要とするため、第1及び第2連結部材の成形金型を別々に作製しかつ上記3つの連結部材を上記2種類の成形金型で別々に成形しなければならず、加工工数が増大するとともに、部品点数が多くなって部品管理が煩わしくなる問題点があった。更に、上記従来の特許文献1に示されたボールチェーンでは、第1連結部材の半球部と第2連結部材の半球部を、コードの両端に形成された半球部にそれぞれ溶着固定しているため、これらの溶着固定後にボールチェーンの長さを短くする必要が生じた場合、上記2つの溶着固定部のうちいずれか一方を割って再び半球部とする必要があり、その後ボールチェーンを所定の寸法に切断してボールチェーンの端部に半球部を形成し、更に上記半球部同士を再び溶着固定しなければならず、ボールチェーンの長さを短くするのに多くの工数を要し、作業の難易度も高いという問題点があった。従来の特許文献2に示されたコードにおいても、コードの長さを短くするのに多くの工数を要する問題点があった。
【0010】
本発明の第1の目的は、同一形状にそれぞれ形成されかつ合体してボール部と略同一外形になる第1及び第2連結片を単一の成形金型で作製でき、金型による加工工数及び部品点数を低減できる、操作チェーンの連結構造を提供することにある。本発明の第2の目的は、第1及び第2連結片を係合させて無端のリング状にした後であっても、比較的容易に長さを短くすることができる、操作チェーンの連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、
図1〜
図4に示すように、紐状に形成された単一のコード部12とこのコード部12の長手方向に間隔をあけて固着された複数のボール部13とを有する操作チェーン11と、この操作チェーン11の両端を連結して無端のリング状に形成する連結部材20とを備えた操作チェーンの連結構造において、連結部材20は、外周面が円弧状に形成された略U字状の第1連結本体21aを有し基部が操作チェーン11の一端に取付けられた第1連結片21と、外周面が円弧状に形成された略U字状の第2連結本体22aを有し基部が操作チェーン11の他端に取付けられかつ第1連結片21と同一形状に形成された第2連結片22とからなり、第1及び第2連結片21,22の先端を互いに対向させ、第1又は第2連結片21,22のいずれか一方をコード部12の軸線を中心に90度回転させた状態で、第1及び第2連結片21,22を係合させて合体させたときに、第1及び第2連結片21,22の外形がボール部13の外形と略同一形状になるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に
図1〜
図3に示すように、第1連結片21が、第1連結本体21aの基部に形成されコード部12の一端に遊嵌可能な第1通孔21bと、第1連結本体21aの先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第1係止部21c,21cとを更に有し、第2連結片22が、第2連結本体22aの基部に形成されコード部12の他端に遊嵌可能な第2通孔22bと、第2連結本体22aの先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第2係止部22c,22cとを更に有し、第1連結片21に一対の第2係止部22c,22cが弾性変形して係止可能な一対の第1被係止部21d,21dがそれぞれ形成され、第2連結片22に一対の第1係止部21c,21cが弾性変形して係止可能な一対の第2被係止部22d,22dがそれぞれ形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に
図1及び
図2に示すように、第1連結片21の第1通孔21bが遊嵌されたコード部12の一端に、第1連結片21がコード部12の一端から離脱するのを阻止する第1抜止め部12aが形成され、第2連結片22の第2通孔22bが遊嵌されたコード部12の他端に、第2連結片22がコード部12の他端から離脱するのを阻止する第2抜止め部12bが形成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に
図1及び
図2に示すように、操作チェーン11のうち少なくともコード部12が熱可塑性樹脂により形成され、第1抜止め部12aがコード部12の一端を熱変形させてコード部12より大径に形成された第1フランジ部であり、第2抜止め部12bがコード部12の他端を熱変形させてコード部12より大径に形成された第2フランジ部であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に第1抜止め部がコード部の一端に形成された第1結び目であり、第2抜止め部がコード部の他端に形成された第2結び目であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に第1抜止め部がコード部の一端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第1カシメ部であり、第2抜止め部がコード部の他端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第2カシメ部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の観点の操作チェーンの連結構造では、第1及び第2連結片を同一形状にそれぞれ形成し、かつこれらの連結片を合体してボール部と略同一外形になるように構成したので、第1及び第2連結片を単一の成形金型で作製できるとともに、金型による加工工数を低減でき、部品点数も低減できる。
【0018】
本発明の第2の観点の操作チェーンの連結構造では、第1連結片の一対の第1被係止部に第2連結片の一対の第2係止部を弾性変形させて係止すれば、必然的に第2連結片の一対の第2被係止部に第1連結片の一対の第1係止部が弾性変形して係止するので、極めて簡単にボール部と略同一外形になるように第1及び第2連結片を合体させることができる。
【0019】
本発明の第3の観点の操作チェーンの連結構造では、第1連結片の第1通孔が遊嵌されたコード部の一端に第1抜止め部を形成し、第2連結片の第2通孔が遊嵌されたコード部の他端に第2抜止め部を形成したので、この状態で第1被係止部に第2係止部を弾性変形させて係止し、第2被係止部に第1係止部を弾性変形させて係止すれば、第1及び第2連結片が係合して操作チェーンを無端のリング状にすることができる。また第1及び第2連結片を係合させて無端のリング状にした後であっても、次のような簡単な作業で比較的容易に操作チェーンの長さを短くすることができる。先ず第1及び第2連結片の係合を解除し、上記第1又は第2抜止め部のいずれか一方をコード部から切断して第1又は第2連結片を取外し、次いで操作チェーンの全長が所望の長さになるように、除去側のボール部を砕いて取除いた後にコード部を切断し、次に上記取外した第1又は第2連結片の第1又は第2通孔を除去側のコード部に遊嵌してこの除去側のコード部の先端に第1又は第2抜止め部を形成し、更に第1被係止部に第2係止部を弾性変形させて係止し、第2被係止部に第1係止部を弾性変形させて係止する。この結果、第1及び第2連結片が係合して操作チェーンを再び無端のリング状にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)は本発明実施形態の操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させる前の状態を示す
図3のA−A線断面図であり、(b)は操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させた後の状態を示す
図3のA−A線断面図である。
【
図2】(a)は操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させる前の状態を示す
図3のB−B線断面図であり、(b)は操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させた後の状態を示す
図3のB−B線断面図である。
【
図3】その操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させる前の状態を示す要部斜視図である。
【
図4】その操作チェーンの第1連結片と第2連結片とを係合させた後の状態であってコード部及びボール部を含む操作チェーンの要部斜視図である。
【
図5】操作チェーンの製造工程において操作チェーンの端部に第1又は第2連結片を取付ける手順を示す要部断面図である。
【
図6】無端のリング状にした操作チェーンの長さを短くするために操作チェーンを切断して短くし再び操作チェーンの端部に第1又は第2連結片を取付ける手順を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図4に示すように、操作チェーン11の連結構造は、紐状に形成された単一のコード部12とこのコード部12の長手方向に間隔をあけて固着された複数のボール部13とを有する操作チェーン11と、この操作チェーン11の両端を連結して無端のリング状に形成する連結部材20とを備える。上記コード部12は、ポリエステル等の熱可塑性樹脂により形成され、ボール部13は、ポリアセタール、アクリル等の熱可塑性樹脂により形成される。上記のようにコード部12をポリエステル等の熱可塑性樹脂にて形成することにより、コード部12の両端を容易に熱変形させることができる。またボール部13は、コード部12の長手方向に延びる略回転楕円体状に形成される。即ち、ボール部13は、楕円の長軸を回転軸として得られる回転体状であって、上記長軸をコード部12の軸線に一致させた形状に形成される。更に操作チェーン11は、先ずコード部12を成形し、次にこのコード部12にボール部13を成形して熱融着することにより形成される(
図1及び
図2)。このため操作チェーン11のボール部13のみを砕いて除去し、コード部12のみを残すことができるようになっている。
【0022】
一方、連結部材20は、基部が操作チェーン11の一端に取付けられた第1連結片21と、基部が操作チェーン11の他端に取付けられた第2連結片22とからなる(
図1〜
図4)。第1連結片21は、外周面が円弧状に形成された略U字状の第1連結本体21aと、第1連結本体21aの基部に形成されコード部12の一端に遊嵌可能な第1通孔21bと、第1連結本体21aの先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第1係止部21c,21cとを有する(
図1及び
図2)。第2連結片22は、外周面が円弧状に形成された略U字状に形成された第2連結本体22aと、第2連結本体22aの基部に形成されコード部12の他端に遊嵌可能な第2通孔22bと、第2連結本体22aの先端の双方にそれぞれ形成された弾性変形可能な一対の第2係止部22c,22cとを有する。第1連結片21と第2連結片22とは全く同一形状に形成される。このため第1連結片21と第2連結片22は、単一の成形金型により成形される。ここで、第1及び第2連結本体21a,22aの外周面が円弧状に形成されるとは、第1及び第2通孔21b,22bの孔心に対して直交する面で切った断面における第1及び第2連結本体21a,22aの外周面が円弧状に形成されることをいう(
図3及び
図4)。
【0023】
また第1連結片21には、一対の第2係止部22c,22cが弾性変形して係止可能な一対の第1被係止部21d,21dがそれぞれ形成され、第2連結片22には、一対の第1係止部21c,21cが弾性変形して係止可能な一対の第2被係止部22d,22dがそれぞれ形成される(
図1〜
図3)。上記第2係止部22cは所定の幅を有するフック状に形成され、第1被係止部21dは所定の幅を有し上記フック状の第2係止部22cが係止する凹状に形成される(
図1及び
図2)。また第1係止部21cは所定の幅を有するフック状に形成され、第2被係止部22dは所定の幅を有し上記フック状の第1係止部21cが係止する凹状に形成される。そして第2係止部22cと第1係止部21cは同一形状に形成され、第1被係止部21dと第2被係止部22dは同一形状に形成される。
【0024】
一方、第1連結片21の第1通孔21bが遊嵌されたコード部12の一端には第1抜止め部12aが形成され、この第1抜止め部12aは第1連結片21がコード部12の一端から離脱するのを阻止する機能を有する(
図1及び
図2)。また第2連結片22の第2通孔22bが遊嵌されたコード部12の他端には第2抜止め部12bが形成され、この第2抜止め部12bは第2連結片22がコード部12の他端から離脱するのを阻止する機能を有する。この実施の形態では、コード部12が上述したように熱可塑性樹脂により形成されるため、第1抜止め部12aは、コード部12の一端を熱変形させてコード部12より大径に形成された第1フランジ部であり、第2抜止め部12bは、コード部12の他端を熱変形させてコード部12より大径に形成された第2フランジ部である。
【0025】
このように構成された操作チェーン11の連結構造では、第1及び第2連結片21,22を同一形状にそれぞれ形成し、かつこれらの連結片21,22を合体してボール部13と略同一外形になるように構成したので、第1及び第2連結片21,22を単一の成形金型で作製できるとともに、金型による加工工数を低減でき、部品点数も低減できる。また第1連結片21の一対の第1被係止部21d,21dに第2連結片22の一対の第2係止部22c,22cを弾性変形させて係止すれば、必然的に第2連結片22の一対の第2被係止部22d,22dに第1連結片21の一対の第1係止部21c,21cが弾性変形して係止するので、極めて簡単にボール部13と略同一外形になるように第1及び第2連結片21,22を合体させることができる。
【0026】
次に操作チェーン11の製造工程における連結方法を
図5に基づいて説明する。先ず所定の長さで作製された操作チェーン11を用意する。次いでコード部12の一端のボール部13を砕いて取除き、この取除いたボール部13の略中央となる位置でコード部12を切断する(
図5(a))。次に操作チェーン11のコード部12の一端に第1連結片21の第1通孔21bを遊嵌する(
図5(b))。更に第1通孔21bから突出したコード部12の一端を熱変形させてコード部12の直径を大径の第1フランジ部12a(第1抜止め部)を形成する(
図5(c))。これにより第1連結片21がコード部12から抜けなくなる(
図5(d))。このとき、第1連結片21とこの第1連結片21に隣接するボール部13との間隔が、他の隣接するボール部13同士の間隔と略同一になる。上記と同様に、コード部12の他端のボール部13を砕いて取除き、この取除いたボール部13の略中央となる位置でコード部12を切断した後に(
図5(a))、操作チェーン11のコード部12の他端に第2連結片22の第2通孔22bを遊嵌し(
図5(b))、更に第2通孔22bから突出したコード部12の他端を熱変形させてコード部12の直径を大径の第2フランジ部12b(第2抜止め部)を形成する(
図5(c))。これにより第2連結片22がコード部12から抜けなくなる(
図5(d))。このとき、第2連結片22とこの第2連結片22に隣接するボール部13との間隔が、他の隣接するボール部13同士の間隔と略同一になる。そして、第1及び第2連結片21,22の先端を互いに対向させ、第1又は第2連結片21,22のいずれか一方をコード部12の軸線を中心に90度回転させた状態で、第1被係止部21dに第2係止部22cを弾性変形させて係止し、第2被係止部22dに第1係止部21cを弾性変形させて係止することにより、第1及び第2連結片21,22を係合して合体させる(
図1〜
図4)。この結果、操作チェーン11を無端のリング状にすることができるとともに、第1及び第2連結片21,22の外形がボール部13の外形と略同一形状になる。
【0027】
次に無端のリング状にした操作チェーン11の全長を短くする手順を
図6に基づいて説明する。先ず第1及び第2連結片21,22の係合を解除し、上記第1又は第2抜止め部12a,12bのいずれか一方をコード部12から切断して第1又は第2連結片21,22を取外す。この実施の形態では、コード部12の一端から第1連結片21を取外す例を示す。次いで操作チェーン11の全長が所望の長さになるように、コード部の一端側のボール部を砕いて取除いた後にコード部を切断する。具体的には、操作チェーン11の全長が所望の長さとなる位置に存在するボール部13を砕いて取除き(
図6(a)及び(b))、この取除いたボール部13の略中央となる位置でコード部12を切断する(
図6(c))。次に上記取外した第1連結片21の第1通孔21bをコード部12の一端に遊嵌する(
図6(d))。更に第1通孔21bから突出したコード部12の一端を熱変形させてコード部12の直径を大径の第1フランジ部12a(第1抜止め部)を形成する(
図6(e))。これにより第1連結片21がコード部12から抜けなくなる(
図6(f))。このとき、第1連結片21とこの第1連結片21に隣接するボール部13との間隔が、他の隣接するボール部13同士の間隔と略同一になる。そして、第1及び第2連結片21,22の先端を互いに対向させ、第1又は第2連結片21,22のいずれか一方をコード部12の軸線を中心に90度回転させた状態で、第1被係止部21dに第2係止部22cを弾性変形させて係止し、第2被係止部22dに第1係止部21cを弾性変形させて係止することにより、第1及び第2連結片21,22を係合して合体させる(
図1〜
図4)。この結果、第1及び第2連結片21,22が係合して操作チェーン11を再び無端のリング状にすることができる。このように、第1及び第2連結片21,22を係合させて無端のリング状にした後であっても、簡単な作業で比較的容易に操作チェーン11の長さを短くすることができる。
【0028】
なお、上記実施の形態では、ボール部を略回転楕円体状に形成し、第1及び第2連結片を合体したものもボール部と同一外形になるように構成したが、ボール部を略球状に形成し、第1及び第2連結片を合体したものもボール部と同一外形になるように構成してもよい。また、上記実施の形態では、第1抜止め部として、コード部の一端を熱変形させコード部より大径に形成された第1フランジ部を挙げ、第2抜止め部として、コード部の他端を熱変形させコード部より大径に形成された第2フランジ部を挙げたが、第1抜止め部がコード部の一端に形成された第1結び目であり、第2抜止め部がコード部の他端に形成された第2結び目であってもよく、或いは第1抜止め部がコード部の一端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第1カシメ部であり、第2抜止め部がコード部の他端に金属板又は金属リングをかしめることにより形成された第2カシメ部であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
11 操作チェーン
12 コード部
12a 第1フランジ部(第1抜止め部)
12b 第2フランジ部(第2抜止め部)
20 連結部材
21 第1連結片
21a 第1連結本体
21b 第1通孔
21c 第1係止部
21d 第1被係止部
22 第2連結片
22a 第2連結本体
22b 第2通孔
22c 第2係止部
22d 第2被係止部