(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138623
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】トイレブースのパネル体取り付け構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/00 20060101AFI20170522BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20170522BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
E06B3/00 D
E04B2/74 501B
A47K17/00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-165977(P2013-165977)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-34419(P2015-34419A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】中川 昌美
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−92425(JP,A)
【文献】
特開2010−150880(JP,A)
【文献】
特開2003−105908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/00
A47K 17/00
E04B 2/74−2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する仕切りパネルで仕切られ、仕切りパネルの左右先端部間に形成される出入り口をドア体で開閉するように構成されたトイレブースにおいて、前記仕切りパネルを天井部に至るまで長いものとし、ドア体の上方に配設のドア上枠と天井部とのあいだの隙間を閉鎖するためのパネル体を取り付けるにあたり、前記仕切りパネルの左右先端部に、出入り口側面が開口した凹溝を有するエッジ材を天井部にまで至るようにして取り付け、前記ドア上枠のパネル厚方向の幅をエッジ材凹溝の溝幅に対応させたものとして該エッジ材凹溝にドア上枠の左右両端部を嵌入組み込みすると共に、該ドア上枠をあいだに挟んでエッジ材の下側部位には、エッジ材凹溝を塞いでドア体の左右両端縁と対向する塞ぎ体を嵌入取り付けし、エッジ材の上側部位には、パネル体取り付け部が形成された補助エッジ材をエッジ材凹溝を塞ぐようにして嵌入取り付けしたことを特徴とするトイレブースのパネル体取り付け構造。
【請求項2】
補助エッジ材の出入り口側端縁部が、エッジ材のドア体側端と面一か該ドア体側端よりも仕切りパネル側になるよう内嵌していることを特徴とする請求項1記載のトイレブースのパネル体取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅や学校等の建物に建て付けられるトイレブースのパネル体取り付け構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、このようなトイレブースは、複数のトイレが一連状に連結したものとして建て付けられる場合が多いが、このようなトイレブースは、壁から突出した一対のT字形またはL字形をした仕切りパネルで仕切られた空間に便具を配置するとともに、両仕切りパネルの先端間に形成される出入り口にドアを開閉自在に設けて構成されるが、このようなトイレブース用のドアは、ドア上端縁と天井面とのあいだに隙間を設け、これにより閉塞感がないように設けられたものがある。ところが近時、この隙間からの覗きや盗撮をするというような不心得者の発生が問題視されてきており、そこでこの隙間にパネル体を取り付けて塞ぐようにしたものが試みられている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−129364号公報
【特許文献2】特開平8−158748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記特許文献1のものは、天井まで延びた仕切りパネルと天井およびドア上端縁とのあいだにパネル体を取り付ける旨の記載はあるが、具体的にどのようにして取り付けるかについての具体的説明はない。
これに対し特許文献2のものは、隣接するトイレブース同士の仕切りパネルを天井にまで至る上下方向に長いものとし、そして仕切りパネルに組み込まれる戸先側及び戸尻側のドア体側エッジ材の上端部から天井に至るようパネル体側エッジ材を組み付け、このパネル体側エッジ材にパネル体を組込むようにすることが提唱されるが、このようにすると、ドア体の上方に配されるドア上枠でドア体側エッジ材とパネル体側エッジ材とを分断するようになってエッジ材の連続性が損なわれて不自然さが残り、外観を損なうだけでなく、後付けも難しくなるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、隣接する仕切りパネルで仕切られ、仕切りパネルの左右先端部間に形成される出入り口をドア体で開閉するように構成されたトイレブースにおいて、前記仕切りパネルを天井部に至るまで長いものとし、ドア体の上方に配設のドア上枠と天井部とのあいだの隙間を閉鎖するためのパネル体を取り付けるにあたり、前記仕切りパネルの左右先端部に、出入り口側が開口した凹溝を有するエッジ材を天井部にまで至るようにして取り付け、前記ドア上枠のパネル厚方向の幅をエッジ材凹溝の溝幅に対応させて該エッジ材凹溝にドア上枠の左右両端部を嵌入組み込みすると共に、該ドア上枠をあいだに挟んでエッジ材の下側部位には、エッジ材凹溝を塞いでドア体の左右両端縁と対向する塞ぎ体を嵌入取り付けし、エッジ材の上側部位には、パネル体取り付け部が形成された補助エッジ材をエッジ材凹溝を塞ぐようにして嵌入取り付けしたことを特徴とするトイレブースのパネル体取り付け構造である。
請求項2の発明は、補助エッジ材の出入り口側端縁部が、エッジ材のドア体側端と面一か該ドア体側端よりも仕切りパネル側になるよう内嵌していることを特徴とする請求項1記載のトイレブースのパネル体取り付け構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、仕切りパネル端部に設けられるエッジ材が天井部にまで至る構造になり、そしてドア上枠の左右両端部がエッジ材に飲み込まれる構造となるためエッジ材に連続性がでることになって外観が損なわれることがなく、しかも後付けも可能となる。
請求項2の発明とすることにより、パネル体を取り付けるための補助エッジ材がエッジ材から突出することがないことになって一段と外観が優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】(A)(B)はエッジ材のドア体側部位の分解平面図、パネル体側部位の分解平面図である。
【
図8】第二の実施の形態のパネル体側部位の横断面図である。
【
図9】第二の実施の形態のパネル体側部位の縦断面図である。
【
図10】第二実施の形態のパネル体部位の分解横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において1はトイレブースであって、該トイレブース1の隣接するもの同士は、躯体壁面から突出した平面視T字形の仕切りパネル2によって仕切り形成されているが、仕切りパネル2は天井部にまで至る上下方向に長いものになっており、そして隣接する仕切りパネル2の先端縁2a間にはトイレブース1の出入り口1aが形成されるが、仕切りパネル2の先端縁2aにはエッジ材3が床部から天井部に至るようにして組み込まれ、ビス4を介して仕切りパネル先端縁2aに固定されている。
【0009】
エッジ材3は、仕切りパネル体先端縁2aに形成される凹溝2cに嵌入する凹溝状をした本体部3aと、該本体部3aの一端縁からパネル厚方向に外側に向けて折曲形成される平板状の一端片3bと、本体部3aの他端縁から一端片3bとは逆側外方に向けて折曲形成される角筒状の他端片3cとによって形成されており、そしてエッジ材3は、仕切りパネル凹溝2cに嵌入した本体部3aの底面部から螺入したビス4により仕切りパネル2に固定した場合に、一端片3b、他端片3cのブース内外方向先端部は仕切りパネル2の表裏面板2bと面一状になるように設定される。さらにエッジ材3は、ビス4を介して固定された本体部3aの凹溝3gに冂字形をした塞ぎ材3dを係止爪3eにより抜け止め状に嵌入組み込みすることで該本体部凹溝3gの開口を塞ぐことができるようになっている。そしてエッジ材3の出入り口内面は、吊元側ではブース外側半部が平面状でブース内側半部が凹円弧状となり、戸先側ではブース外側半部が凹円弧状でブース内側半部が平板状となるよう点対称の状態で組み付けられている。
【0010】
前記ドア体5は、表裏面板5aとコア材5bを用いて構成されているが、ドア体5の吊元側および戸先側の両端部には縦框材6が組み付けられている。該縦框材6は、凵字形をした本体部6aの底面部からビス4aを螺入することにより、ドア体5の吊元側および戸先側の両端部に取り付けられ、このものに塞ぎ体6bを係止爪6cにより抜け止め状に嵌入組み込みすることで本体部6aの開口を塞ぐことができるようになっている。そして吊元側の縦框材6は、ブース内側半部が凸円弧状でブース内側半部が平板状となり、戸先側の縦框材6は、ブース外側半部が凸円弧状でブース内側半部が平板状となる点対称の状態で組み付けられていてそれぞれ対応するエッジ材3に対向している。
尚、ドア体5は、仕切りパネル体先端部2aに固定の支持金具5cに支持されるドア軸5dにより開閉揺動自在に中心吊りされているが、ドア体としては蝶番吊り式のもの等、通常知られたものを採用することができる。また図中、5eは施錠用のラッチ、5fはラッチ受けである。
【0011】
7はドア上枠(笠木)であって、該ドア上枠7は、本実施の形態では天面が開口した凵字形の型材で構成される本体部7aと、逆に底面が開口した冂字形をし、本体部7aに対して上下方向移動自在に嵌入して本体部7aの天面を塞ぐ補助部7bとで構成されるが、ドア上枠7は、本体部7aのパネル厚方向の幅が前記エッジ材本体部3aの凹溝3gの溝幅と対応しており、これによりドア上枠7の両端縁部7cがエッジ材本体部凹溝3gに嵌入する構成になっており、そしてエッジ材塞ぎ体3dは、上端部3fがドア上枠本体部7aの底面板7dに当接するまでの寸法設定となっている。因みに、ドア上枠7は、L字形をした取り付け金具15を介してエッジ材3側に固定されている。
【0012】
8はドア上枠7と天井部Hとのあいだの空隙に組み込まれるパネル体であって、該パネル体8はガラス板、樹脂板、格子板等、各種の板材を採用することができるが、パネル板8は、前記左右のエッジ材3、ドア上枠7、そして天井側枠材9によって四周が組み付けられるが、以降、この組付け構成について詳述する。
【0013】
天井側枠材9は、ドア上枠7とは天地逆の構造、つまり下面が開口した冂字形の型材で構成される本体部9aと、逆に上面が開口した凵字形をし、本体部9aに対して上下方向移動自在に嵌入して本体部9aの下面を塞ぐ補助部9bとで構成されるが、天井側枠材9もドア上枠7と同様、本体部9aのパネル厚方向の幅が前記エッジ材本体部3aの凹溝3gの溝幅と対応していて天井側枠材9の両端縁部9cがエッジ材本体部凹溝3gに嵌入する構成になっている。天井側枠材9についてもL字形をした取り付け金具15を介してエッジ材3側に固定されている。
【0014】
エッジ材本体部凹溝3gのドア上枠7よりも上方部位には、補助エッジ材10が嵌入組み込みされているが、該補助エッジ材10は、冂字形に形成され、エッジ材本体部凹溝3gに嵌入する寸法設定になっており、該エッジ材本体部凹溝3gに嵌入した補助エッジ材10は、両端部に形成の係止爪10aがエッジ材本体部3aに係止することで抜け止め支持されるが、補助エッジ材10の跨部10bには、凹溝10cが形成され、該凹溝10cと同じ形状の凹溝7f、9dがドア上枠補助部7bの天面板7e、天井側枠材補助部9bの下面板9eにそれぞれ形成されており、以下、補助エッジ材凹溝10cにパネル体8を組み付ける手順について詳述し、残りの凹溝7f、9dへのパネル体8の組み付け手順については省略する
【0015】
補助エッジ材凹溝10cは、溝開口部が幅狭となって蟻溝状になるよう一対の係止片10dが突出している。そしてパネル体8は、第一、第二の取り付け金具11、12を用いて補助エッジ材凹溝10cに取り付けられることになるが、第一取り付け金具11は、前記係止片10dにそれぞれ抜け止め状に嵌入係止する第一、第二の係止脚片11a、11bと、パネル体8の一側面(例えば室内面)に対向する面対向部11cと、該対向面部11c側からパネル体8を越えてパネル体8の他面側にまで至る第三の係止脚片11dとを備えて構成されている。
そして第一取り付け金具11は、第一、第二脚片11a、11bを補助エッジ材凹溝10cの開口に無理嵌め状に嵌入して係止片10dに抜け止め状に係止することで補助エッジ材10に組み込み固定されるようになっている。
【0016】
一方、第二取り付け金具12は、第一取り付け金具第三係止脚片11dに抜け止め状に係止する係止脚片12aと、パネル体8の他側面に対向する面対向部12bとを備えて構成されている。
そして、前述したように第一取り付け金具11を補助エッジ材10に組み込んだ後、パネル体8の一側面を第一取り付け金具面対向部11cに対向するよう組み付けた状態で第二取り付け金具12をパネル体8の他側面側から係止脚片12cを第一取り付け金具第三係止脚片11dに抜け止め状に組み込むことでパネル体8の左右両縁の組込みができるようになっている。
尚、13、14は面対向部11c、12bとパネル体8とのあいだに介装されるパッキン(シール材)である。
【0017】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、仕切りパネル2は天井部Hにまで至る長いものとし、その先端縁2aに同じく天井部Hにまで至る長いエッジ材3を取り付けたものとしているが、このエッジ材3の出入り口1a側面に形成される凹溝3gには、ドア上枠7の左右両端縁部7cが嵌入取り付けされ、そして該ドア上枠7をあいだに挟んでエッジ材凹溝3gの下側部位には、エッジ材凹溝3gを塞いでドア体5の左右両端縁と対向する塞ぎ体3dを嵌入取り付けし、エッジ材凹溝3gの上側部位には、パネル体8取り付け用凹溝10cが形成された補助エッジ材10をエッジ材凹溝3gを塞ぐようにして嵌入組み込みしているため、ドア上枠7と天井部Hとのあいだの間隙をパネル体8で塞ぐものでありながら、エッジ材3は、ドア上枠7部位で途切れてしまうことなくドア体5対向部から天井部Hに至るまで連続したものとなって直線性が備えられ、この結果、外観を損なうことがないうえ、後付けすることも問題なくできる。
【0018】
しかもこのものでは、パネル体8を取り付けるための補助エッジ材10がエッジ材3から突出することがないため、正面視したとき補助エッジ材10が目視されることがなく、外観性が向上する。
【0019】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であって、パネル体としては、前述したガラス板等の薄板状の板材を採用することに限定されず、
図8に示す第二の実施の形態のように、肉厚のパネル体16を組み込むことができる。つまりこのものでは、ドア上枠7よりも上側のエッジ材3の凹溝3gに、パネル体16を嵌入する凹溝状の補助エッジ材17を嵌入組み込みするようにしてもよい。この場合に、補助エッジ材17はビス4bを介して仕切りパネル2側に固定され、該固定された補助エッジ材17にパネル体16が嵌合組み込みされており、該嵌合組み込みされたパネル体16は、ビス4cを介してドア上枠7a、天井側枠材本体部9aに固定されている。因みにこのものでは、ドア上枠、天井側枠材は何れも本体部7a、9aのみとし、ここにパネル体16を直接組み込むようにしており、このように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、駅や学校等の建物に建て付けられるトイレブースに利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 トイレブース
1a 出入り口
2 仕切りパネル
3 エッジ材
5 ドア体
7 ドア上枠
8 パネル体
10 補助エッジ材
16 パネル体