(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138631
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】タイヤの振動を予測する装置、方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20170522BHJP
G06F 17/50 20060101ALI20170522BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
B60C19/00 Z
G06F17/50 612H
G06F17/50 680Z
G01M17/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-176752(P2013-176752)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-44484(P2015-44484A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名塩 博史
【審査官】
松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−30702(JP,A)
【文献】
特開2011−235758(JP,A)
【文献】
特開2012−136106(JP,A)
【文献】
特開2011−196984(JP,A)
【文献】
特開2004−322971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
G01M 17/02
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、前記トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出する転動解析部と、
踏面を形成するゴム部材に設定される観測ラインであって、前記踏面から内側へ離れた位置に設定される観測ライン上の節点の変位データを、前記転動解析結果に基づき抽出する変位データ取得部と、
振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行う固有値解析部と、
前記変位データ取得部により得た変位データを、前記振動応答解析用モデルにおける前記観測ラインに対応する入力ライン上の節点の変位データに変換する変位データ変換部と、
境界条件として踏面を拘束しつつ前記入力ラインに前記変位データを設定し、前記振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行う振動応答解析部と、
を備えるタイヤ振動予測装置。
【請求項2】
前記観測ラインは、前記トレッドパターンを形成する各溝の溝底を結ぶデッキラインである請求項1に記載のタイヤ振動予測装置。
【請求項3】
前記振動応答解析用モデルは、ノンパターンのタイヤモデルである請求項1又は2に記載のタイヤ振動予測装置。
【請求項4】
コンピュータが実行する方法であって、
所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、前記トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出するステップと、
踏面を形成するゴム部材に設定される観測ラインであって、前記踏面から内側へ離れた位置に設定される観測ライン上の節点の変位データを、前記転動解析結果に基づき抽出するステップと、
振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行うステップと、
前記抽出した変位データを、前記振動応答解析用モデルにおける前記観測ラインに対応する入力ライン上の節点の変位データに変換するステップと、
境界条件として踏面を拘束しつつ前記入力ラインに前記変位データを設定し、前記振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行うステップと、
を含むタイヤ振動予測方法。
【請求項5】
前記観測ラインは、前記トレッドパターンを形成する各溝の溝底を結ぶデッキラインである請求項4に記載のタイヤ振動予測方法。
【請求項6】
前記振動応答解析用モデルは、ノンパターンのタイヤモデルである請求項4又は5に記載のタイヤ振動予測方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載のタイヤ振動予測方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面を転動するタイヤに発生する振動を予測する装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが路面上を転動する際には、路面及びトレッドパターンの接触により力が発生し、タイヤ表面が隆起され、タイヤが振動する。このようなタイヤの振動は、当該振動により生じるロードノイズや車体に伝達する振動等を解析するうえで、精度良く予測できることが望ましい。
【0003】
一つのタイヤモデルを用い、慣性力を考慮してタイヤの振動応答解析を行うことは可能ではあるが、計算コストが莫大となると共に解析内容が複雑化してしまい、実用的ではない。
【0004】
非特許文献1には、タイヤの転動時においてトレッドパターンと路面で生じる力によりどのようにタイヤが加振されるか、すなわちタイヤへの入力を算出する転動解析を行い、その転動解析の後に、転動解析で得られた入力に起因する振動応答解析を行うことが開示されている。このように、転動解析と振動応答解析とをそれぞれ別のタイヤモデルで別個に行えば、計算コストの低減と解析の複雑さを低減するうえで有用と考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"Radiation Noise Simulation of a Rolling Tire Excited by Tread Pattern"、The Yokohama Rubber Co.,Ltd, Kanagawa, Japan、Masataka Koishi, Toshiyuki Ikeda and Hiroshi Fujii、2011 SIMULIA Customer Conference.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記非特許文献1は、具体的に次のように解析を行うことが開示されているようである。まず、慣性力を考慮しない状態でパターン付きタイヤモデルを転動させる準静的転動解析を行い、タイヤの踏面の接地圧力変動を得る。次に、振動応答解析用のタイヤモデルを用いて接地固有値解析を行い、振動応答解析に必要なモーダルパラメータ(固有値、振動モード)を得る。次に、前記接地圧力変動を、振動応答解析用モデルの各接点における変位情報へ変換する。次に、上記で得たタイヤの踏面の変位情報を境界条件に設定し、上記振動応答解析モデルを用いたモーダル応答解析を実施する。
【0007】
しかしながら、上記方法では、タイヤの踏面の変位情報を境界条件に設定しているので、現実では路面に拘束され変動しないタイヤの踏面を変位させて、転動によるパターン加振を入力しているので、現象が現実とは異なり、正確な振動応答を得られているとは言い難い。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、タイヤの振動態様を現実に合わせて精度を向上させたタイヤ振動予測装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0010】
すなわち、本発明のタイヤ振動予測装置は、所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、前記トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出する転動解析部と、踏面を形成するゴム部材に設定される観測ラインであって、前記踏面から内側へ離れた位置に設定される観測ライン上の節点の変位データを、前記転動解析結果に基づき抽出する変位データ取得部と、振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行う固有値解析部と、前記変位データ取得部により得た変位データを、前記振動応答解析用モデルにおける前記観測ラインに対応する入力ライン上の節点の変位データに変換する変位データ変換部と、境界条件として踏面を拘束しつつ前記入力ラインに前記変位データを設定し、前記振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行う振動応答解析部と、を備える。
【0011】
本発明のタイヤ振動予測方法は、コンピュータが実行する方法であって、所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、前記トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出するステップと、踏面を形成するゴム部材に設定される観測ラインであって、前記踏面から内側へ離れた位置に設定される観測ライン上の節点の変位データを、前記転動解析結果に基づき抽出するステップと、振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行うステップと、前記抽出した変位データを、前記振動応答解析用モデルにおける前記観測ラインに対応する入力ライン上の節点の変位データに変換するステップと、境界条件として踏面を拘束しつつ前記入力ラインに前記変位データを設定し、前記振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行うステップと、を含む。
【0012】
解析を容易にするためには、前記観測ラインは、前記トレッドパターンを形成する各溝の溝底を結ぶデッキラインであることが好ましい。
【0013】
計算コストを低減させるためには、前記振動応答解析用モデルは、ノンパターンのタイヤモデルであることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記方法を構成するステップを、プログラムの観点から特定することも可能である。すなわち、本発明のコンピュータプログラムは、上記タイヤ振動予測方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させるものである。このプログラムを実行することによっても、上記方法が奏する作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のタイヤ振動予測装置を示すブロック図。
【
図2】タイヤを構成する部材を示すタイヤ子午線断面図。
【
図3】本発明に係る路面とタイヤの接触部における処理に関する説明図。
【
図5】従来方法に係る路面とタイヤの接触部における処理に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
[タイヤ振動予測装置]
本発明に係るタイヤ振動予測装置1は、路面を転動するタイヤに発生する振動を予測する装置である。具体的に、
図1に示すように、装置1は、タイヤモデル記憶部10と、転動解析部11と、変位データ取得部12と、固有値解析部13と、変位データ変換部14と、振動応答解析部15と、を有する。これら各部11〜15は、CPU、メモリ、各種インターフェイス等を備えたパソコン等の情報処理装置においてCPUが予め記憶されている図示しない処理ルーチンを実行することによりソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。
【0018】
図1に示すタイヤモデル記憶部10は、転動解析に用いるトレッドパターンを有するタイヤ有限要素モデルと、振動応答解析に用いるノンパターンのタイヤモデルと、を記憶する。これらのタイヤモデルは、本装置にて生成して記憶部10に記憶してもよいし、外部から入力されて記憶部10に記憶してもよい。なお、本実施形態では、振動応答解析に用いるタイヤモデルは、トレッド部に溝が形成されていないノンパターンのモデルであるが、トレッド部に溝が形成されたトレッドパターンを有するタイヤモデルであってもよい。
【0019】
図1に示す転動解析部11は、予め定められた所定条件のもとで、記憶部10に記憶されるトレッドパターンを有するタイヤ有限要素モデルを転動させ、トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出する準静的転動解析を行う。所定条件には、所定荷重、所定回転速度及び所定内圧を含む。この転動解析によって、路面との接触により生じる接地圧力が算出され、その圧力値によるタイヤの変形が時間軸に沿って算出される。
【0020】
図2は、一般的なタイヤを構成する部材を示すタイヤ子午線断面図である。
図2に示すように、トレッドゴム20が踏面20aを形成し、トレッドゴム20のタイヤ径方向内側にベルト層21、カーカスプライ22、インナーライナー23が存在する。ベルト層21及びカーカスプライ22は、コードをゴムでトッピングした部材である。インナーライナー23がタイヤ内面23aを形成する。
【0021】
図1に示す変位データ取得部12は、
図2及び
図3に示すように、踏面20aを形成するゴム部材20に設定される観測ラインLiであって、踏面20aから内側へ離れた位置に設定される観測ラインLi上の節点の変位データを、転動解析部11による転動解析結果に基づき抽出する。得られる変位データは、各節点の変位を時間軸に沿って表したデータとなる。本実施形態において観測ラインLiは、溝3の溝底を結ぶデッキラインとしているが、これに限定されない。ゴム部材20であって踏面20aを避けた位置であれば、いずれに配置してもよい。すなわち、観測ラインLiを、踏面20aとベルト層21との間であってゴム部材20上に設定すれば、いずれの部位でもよい。好ましくは、踏面20aに近い方がベルト層21の影響を受けにくいので、好適である。
【0022】
図1に示す固有値解析部13は、モーダル応答解析に必要となるモーダルパラメータを取得する。具体的には、固有値解析部13は、タイヤモデル記憶部10に記憶されている振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行う。固有値解析に用いるパラメータは、上記転動解析で用いたパラメータ(所定荷重、内圧)を同じ値を用いる。
【0023】
図1に示す変位データ変換部14は、転動解析用モデルに基づく変位データを、振動応答解析用モデルにおける変位データに変換する。具体的には、変位データ変換部14は、
図3に示すように、変位データ取得部12により得た観測ラインLi上の変位データを、振動応答解析用モデルにおける観測ラインLiに対応する入力ラインLi2上の節点の変位データに変換する。変位データは、モデルを構成する各節点の動きを示すデータであるが、両モデルはメッシュ(又は節点)が共通しているとは限らないために節点同士のマッピングが必要だからである。観測ラインLi及び入力ラインLi2は、踏面20aからの距離等により予め定義されている。
【0024】
図1に示す振動応答解析部15は、
図3に示すように、境界条件として踏面20aを拘束しつつ入力ラインLi2に変位データを設定し、振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行う。モーダル解析には、上記固有値解析部13で取得したパラメータを用いる。モーダル解析の結果により、タイヤの振動を予測できる。
【0025】
[タイヤ振動予測方法]
上記装置1を用いて、タイヤの振動を予測する方法を、
図4を用いて説明する。
【0026】
まず、ステップS100において、転動解析部11は、所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、トレッドパターンと路面の接触により加振されるタイヤの変形を算出する。
【0027】
次のステップS101において、変位データ取得部12は、踏面20aを形成するゴム部材20に設定される観測ラインLiであって、踏面20aから内側へ離れた位置に設定される観測ラインLi上の節点の変位データを、転動解析結果に基づき抽出する。
【0028】
次のステップS102において、固有値解析部13は、振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行う。
【0029】
次のステップS103において、変位データ変換部14は、変位データ取得部12が抽出した変位データを、振動応答解析用モデルにおける観測ラインLiに対応する入力ラインLi2上の節点の変位データに変換する。
【0030】
次のステップS104において、振動応答解析部15は、境界条件として踏面20aを拘束しつつ入力ラインLi2に変位データを設定し、振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行う。
【0031】
ここで本発明の効果を確認するために下記の実験を行った。基礎パターンを形成した試験タイヤ(サイズ195/65R15)を平滑なドラム上で所定内圧(200kPa)、一定荷重(4.41kN)、一定速度(40km/h)で転動させ、その際のタイヤの軸に対して発生する上下方向の振動の振幅値を計測した。非特許文献1に記載の従来方法を用いて振動を予測した結果よりも、本実施形態の方法を用いて振動を予測した結果の方が、実測値に近かった。
【0032】
非特許文献1の方法によれば、
図5に示すように、転動解析用モデルにおいて転動により踏面20aが加振され、踏面20aに生じる接触圧力を踏面20aの変位データに変換し、当該変位データを振動応答解析用モデルの踏面20aに入力している。この方法では、振動応答解析用モデルの踏面20aが変位することになるので、現実では路面rsに拘束され変動しないはずの踏面20aが変形してしまうことになり、正確な振動応答を得られているとは言えない。
【0033】
これに対し、本発明では、
図3に示すように、転動解析モデルを用いて、踏面20aよりもタイヤ内側に離れた位置に設定された観測ラインLiの変位データを取得し、この変位データを振動応答モデルの入力ラインLi2に入力しているので、タイヤの踏面20aを拘束でき、現実同様のタイヤの踏面20aの状態が再現でき、予測精度を向上させることが可能となる。
【0034】
以上のように、本実施形態のタイヤ振動予測装置1は、所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、トレッドパターンと路面rsの接触により加振されるタイヤの変形を算出する転動解析部11と、踏面20aを形成するゴム部材20に設定される観測ラインLiであって、踏面20aから内側へ離れた位置に設定される観測ラインLi上の節点の変位データを、転動解析結果に基づき抽出する変位データ取得部12と、振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行う固有値解析部13と、変位データ取得部12により得た変位データを、振動応答解析用モデルにおける観測ラインLiに対応する入力ラインLi2上の節点の変位データに変換する変位データ変換部14と、境界条件として踏面20aを拘束しつつ入力ラインLi2に変位データを設定し、振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行う振動応答解析部15と、を備える。
【0035】
また、本実施形態のタイヤ振動予測方法は、コンピュータが実行する方法であって、所定荷重及び所定回転速度を含む所定条件のもとで、トレッドパターンを有するタイヤ有限要素法モデルを転動させ、トレッドパターンと路面rsの接触により加振されるタイヤの変形を算出するステップ(S100)と、踏面20aを形成するゴム部材20に設定される観測ラインLiであって、踏面20aから内側へ離れた位置に設定される観測ラインLi上の節点の変位データを、転動解析結果に基づき抽出するステップ(S101)と、振動応答解析用モデルを用いて固有値及び振動モードを取得する接地固有値解析を行うステップ(S102)と、抽出した変位データを、振動応答解析用モデルにおける観測ラインLiに対応する入力ラインLi2上の節点の変位データに変換するステップ(S103)と、境界条件として踏面20aを拘束しつつ入力ラインLi2に変位データを設定し、振動応答解析用モデルを用いてモーダル応答解析を行うステップ(S104)と、を含む。
【0036】
このように、タイヤの踏面20aよりも内側に設定した観測ラインLiの変位データを取得し、振動応答解析モデルの対応する入力ラインLi2に変位データを入力するので、踏面20aを拘束するという現実の現象に合致した境界条件を設定でき、予測精度を向上させることが可能となる。
【0037】
本実施形態では、観測ラインLiは、トレッドパターンを形成する各溝3の溝底を結ぶデッキラインである。観測ラインLiは可能な限り踏面20aに近い方が精度が高くなると考えられるが、デッキラインよりも踏面20aに近ければ、溝3によりゴム部材20の存在しない領域があり、当該領域の変位データを補間しなければならず、解析をするうえで特殊な処理が必要となることが考えられる。デッキラインであれば、全領域にゴム部材20があるので、解析をしやすいという面で好ましい。
【0038】
本実施形態では、振動応答解析用モデルは、ノンパターンのタイヤモデルであるので、トレッドパターンを有するタイヤモデルに比較して計算コストを低減することが可能となる。
【0039】
本実施形態に係るコンピュータプログラムは、上記タイヤ振動予測方法を構成する各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
これらプログラムを実行することによっても、上記方法の奏する作用効果を得ることが可能となる。言い換えると、上記方法を使用しているとも言える。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0042】
11…転動解析部
12…変位データ取得部
13…固有値解析部
14…変位データ変換部
15…振動応答解析部
20…ゴム部材
20a…踏面
3…溝
rs…路面
Li…観測ライン
Li2…入力ライン