特許第6138670号(P6138670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6138670手術中の蛍光透視検査のために備えられた形状を有する整列ガイド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138670
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】手術中の蛍光透視検査のために備えられた形状を有する整列ガイド
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20170522BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20170522BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B90/50
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-256023(P2013-256023)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-131724(P2014-131724A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2014年2月10日
【審判番号】不服2015-21571(P2015-21571/J1)
【審判請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/736,302
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/734,616
(32)【優先日】2013年1月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ステムニスキー
(72)【発明者】
【氏名】サラ・ランチアニーズ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・オーベルト
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 関谷 一夫
【審判官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−148597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 90/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の骨の加工された髄内管と骨の縦軸とを整列させるための手術用整列装置であって、
立体を含み、前記組立体は、放射線不透過性部分と放射線透過性部分とを有し、前記放射線不透過性部分と前記放射線透過性部分とは連結しており
記組立体の一部は、前記装置が位置することになる前記患者の骨や軟骨の解剖学的構造の表面と一致する表面形状を有し、
前記組立体は、前記骨に固定され、
前記放射線不透過性部分と前記放射線透過性部分とが、前記加工された髄内管及び前記骨の縦軸に関して位置指標を提供し、
前記放射線不透過性部分と前記放射線透過性部分とが整列されて照準視野が形成され、
前記照準視野の形成は、前記加工された髄内管の適切な視野を提供する、手術用整列装置。
【請求項2】
前記放射線不透過性部分は、前記骨の縦軸に並んで配置されて前記指標を提供する三つのキルシュナー鋼線をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【請求項3】
二つのキルシュナー鋼線は第一の平面に位置し、前記第一の平面と第三のキルシュナー鋼線は互いに平行であり、各々のキルシュナー鋼線は、他のキルシュナー鋼線と平行であることを特徴とする請求項2に記載の手術用整列装置。
【請求項4】
前記第三のキルシュナー鋼線は、前記骨の縦軸に並んで配置されることを特徴とする請求項3に記載の手術用整列装置。
【請求項5】
前記三つのキルシュナー鋼線は、前記照準視野を形成することを特徴とする請求項2に記載の手術用整列装置。
【請求項6】
前記放射線不透過性部分は、前記骨の縦軸および前記骨の縦軸に垂直な横方向のそれぞれに並んで配置されて前記指標を提供する複数の基準マーカーを含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【請求項7】
前記基準マーカーの個数が少なくとも三つであることを特徴とする請求項6に記載の手術用整列装置。
【請求項8】
前記基準マーカーが十字線を形成することを特徴とする請求項6に記載の手術用整列装置。
【請求項9】
前記放射線不透過性部分は、前記放射線不透過性部分の前記骨の縦軸に垂直な方向に沿って延在し、前記骨の縦軸方向に沿って整列する複数の空洞をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【請求項10】
前記指標は、前記骨の縦軸における前記加工された髄内管の整列、前記骨の縦軸に垂直な横方向における前記加工された髄内管の整列、切断面、穿孔位置、または穿孔方向を示すことを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【請求項11】
前記放射線透過性部分は、放射線透過性ナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【請求項12】
前記骨は、脛骨、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨で構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の手術用整列装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本願で参照として全体の内容が含まれている2012年12月12日付で出願された「手術中の蛍光透視検査のために備えられた形状を有する整列ガイド」という名称の米国仮特許出願第61/736,302号の米国の正規特許出願であり、予備出願日に対して優先権利益を主張している。
【0002】
開示されているシステム及び方法は、一般的に手術用ガイドに関するものである。より詳しく述べると、開示されているシステム及び方法は、整形外科の手術のための手術用ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0003】
人工関節の置換補綴物は、一般的に、補綴物を受け入れるために準備された関節の内部及びその周りで外科医が正確且つ精密な骨切除が可能なように、特殊に設計された治具または固定部を含む。任意の人工関節補綴物が有する究極の目的は、補綴物が置換される自然状態の健康な生体構造物の構造及び機能に近づくことである。補綴物が関節に適切に取り付けられなかったり、整列しなければ、患者の不快感、歩行障害、または補綴物の機能低下を起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手術の多くは、手術中の透視診断(intra-operative fluoroscopy、蛍光透視法)を使用し、人工関節の置換補綴物を受け入れるために準備された髄内腔(intramedullary cavities)のような患者の解剖学的構造に関する器具の整列を検査する。しかし、手術中の透視診断の使用は欠点がある。蛍光透視像(fluoroscopic images)を獲得して検討するのに時間がかかるため、手術中に形成された髄内腔の整列を検査するための透視診断の使用は、全体の手術時間を増長させることがこのような欠点の一つである。長時間の手術は、患者の止血帯の使用時間を増加させ、そのため、回復時間を長引かせ得る。
【0005】
透視診断の別の欠点は、手術室の患者及び他の人を電離放射線に露出させるという点である。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、手術中の透視診断の使用に関する幾つかの条項及び公衆衛生勧告を発表した。その結果、電離放射線から患者及び他の人を保護するための措置が取られたが、電離放射線に関するあらゆる危険を取り除くことは実質的に不可能である。
【0006】
従って、術前計画や評価の助力に関係なく、先行技術の限界を克服し、補綴物の整列の効率的な透視検査を提供することが好ましい。
【0007】
また、内部の解剖学的特徴を外部の放射線不透過性標識で評価するとき、適切な観点を得ることが重要である。例えば、物が各々の画像システムに合わせて適切に整列されなければ、外部の放射線不透過性標識の投影は不適切な評価結果を提供する。これは、視差(parallax)として知られている。また、視差はX線源からの非平行線であるため、投影された画像の歪みを生じる可能性がある。従って、ここで、本発明対象の適切な視野を確立することが鍵であり、ここで開示された実施例は、そのような適切な視野を得るのに役立つ形状を開示している。
【0008】
患者仕様の手術用整列ガイドに対し、インプラントの寸法測定と整列のための手術計画は、一般的に3D CAD環境でのコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像(MRI)や、その他3次元の医用画像データセットに基づき、手術前に行われる。各々のインプラントの計画された位置と整列に基づき、手術用整列ガイドは、患者の解剖学的表面形状(topography)に基づく特定の位置で、患者の骨及び/又は軟骨に合わせることによって、他の手術準備器具と共に計画されたインプラントの整列を模写するように設計され得る。更なる手術中の検査として、外科医が満足するよう整列ガイドの位置が達成されているということを確認するために蛍光透視画像(fluoro image)が有用である。整列ガイドの配置に完全に専念するのに先だって、手術初期にガイドの整列を検査することができる能力は、不適当に骨を準備するリスクを減らし、外科医の期待に応えるガイドの位置と整列を見つけることができる機会を与える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明対象の一実施例は、患者仕様の手術装置を提供し、その装置は患者の骨に手術用インプラントまたはその一部を配置するために使用される組立体を有し、その組立体は、放射線透過性部分と放射線不透過性部分とを含む。このような放射線透過性部分と放射線不透過性部分は、骨に関して器具の配置と整列の指標を提供する。代表的な放射線不透過性部分は、一連のキルシュナー鋼線、複数の基準マーカー(fiducial markers)及び/又は放射線不透過性部分の第一の長さ方向に沿って整列するようにする一つ以上の空洞(void)を有する放射線不透過性部分を含む。
【0010】
本発明対象の別の実施例は、患者仕様の整列ガイド器具を整列する方法を提供する。その方法は、放射線透過性部分と放射線不透過性部分とを有する組立体を手術用器具またはその一部分に取り付ける段階と、組立体の放射線透過性部分と放射線不透過性部分を用いて、器具を骨に合わせて整列する段階とを含む。代表的な放射線不透過性部分は、一連のキルシュナー鋼線、複数の基準マーカー及び/又は放射線不透過性部分の第一の長さ方向に沿って整列するようにする一つ以上の空洞を有する放射線不透過性部分を含む。一つの代表的な整列段階は、第二の平面にある第三のキルシュナー鋼線と共に、第一の平面にある第一のキルシュナー鋼線と第二のキルシュナー鋼線とを整列することを含み、これによって、第一の平面上に垂直軸に沿って第一の平面への第三のキルシュナー鋼線は、第一のキルシュナー鋼線と第二のキルシュナー鋼線との間で投影される。別の代表的な整列段階は、十字線を形成するために基準マーカーを整列することを含む。さらなる代表的な整列段階は、放射線不透過性部分の第一の長さ方向に沿って空洞を整列することを含み、第一の長さは、要求される投影角度と一致する。別の代表的な整列段階は、骨と共に器具の整列を助ける手術前の整列報告書を用いることを含む。
【0011】
このような実施例とその目的及び効果は、請求項、添付図、及び次の実施例の具体的な説明を通じて、本技術分野の当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】人体の足及び足首の骨を示す。
図2】背面の四分面の斜視図であり、本発明対象の実施例に沿って整列ガイドを備えた状態で、手術前に計画された位置にある脛骨インプラント(tibial implant)を同時に示す。
図3】本発明対象の実施例による脛骨の整列ガイドにおける正面の四分面の斜視図である。
図4A図2図3に図示された整列ガイドの斜視図である。
図4B図2図3に図示された整列ガイドの正面図である。
図5A】適切な位置における脛骨の整列ガイドの正面図であるが、true AP viewから少し外向きの不適切な視野から見たものである。
図5B図5Aの整列ガイドの詳細図である。
図6A】脛骨インプラントの整列がどのようになるか、及び適切に整列された視野から見た適切に整列された位置での図4A-4Bの整列ガイドを同時に示す正面図である。
図6B図6Aの整列ガイドの詳細図である。
図7A】true AP viewから少し内向きの不適切な視野から見た本発明対象の別の実施例による計画された脛骨インプラントの配置と整列及び整列ガイドを同時に示す正面図である。
図7B】適切な視野方向からの整列された位置で、図7Aに図示された整列ガイドと脛骨インプラントの正面図である。
図7C図7Bで図示された整列ガイドとインプラントの配置及び整列結果の斜視図である。
図7D図7Bで図示された整列ガイドとインプラントの配置及び整列結果の側面図である。
図8A】非整列位置における本発明対象の別の実施例による脛骨整列ガイドの正面図である。
図8B】整列された位置における図8Aに図示された整列ガイドを備えた脛骨インプラントの背面図である。
図8C図8Bの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための具体的な内容
図面を参考にして、類似する構成が本発明対象の理解のために参考番号として与えられ、手術中の蛍光透視検査のために備えられた形状を有する整列ガイド及びインプラントを整列する方法の多様な実施例が開示される。
【0014】
図は、縮尺通りである必要はなく、ある特徴は明確性及び簡潔性のために縮尺で誇張して、又は多少概略的な形態で図示され得る。本明細書において、「水平」、「垂直」、「上向き」、「下向き」、「上端」及び「下端」のような相対語だけでなく、その派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、説明されたり図に示されたように方向を示していることを理解されたい。前記相対語は、説明の便宜のためのものであり、一般的に特定方向を要求するように意図されたものではない。「内向きに」に対して「外向きに」、および「縦方向に」に対して「横方向に」等を含む用語は、互いに対して、または延長軸、または軸または回転中心に対して、適切に解釈され得る。「連結された」及び「相互連結された」のようなカップリング及び取り付け等に関する用語は、関係が明確に異なって説明されない限り、両方の移動が可能な、または固定された取り付けだけでなく、介在する構造物を通じて、構造物が互いに直接的または間接的に固定されたり取り付けられる関係を称する。また、単一機械のみが例示されるとき、「機械」という用語は、本願で論議されたいずれか一つ以上の方法論を個別にまたは共同で行うように一組(または複数組)の命令を実行する任意の機械コレクションを含むようにする。「手術により連結された」という用語は、関連の構造物がその関係により意図された通り作動するように許容する取り付け、カップリングまたは連結のようなものである。機能式請求項が使用される場合、構造的等価物だけでなく、均等構造物も含む引用された機能を行うために、記載された説明または図面により明確に説明、提案または提示される構造物を含むように意図されている。
【0015】
開示されたシステム及び方法は、患者の解剖学的構造に基づき、手術中に透視診断を使用するガイドの整列評価の正確性を最大にするようにオーダーメイドされた手術具、ガイド及び/又は固定部を有利に活用する。オーダーメイド器具、ガイド及び/又は固定部は、手術前にコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像(MRI)または類似する医療画像技術で患者の解剖学的構造を画像化し、患者仕様の器具、ガイド及び/又は固定部を考案するためにこのような画像を活用することによって製作され得る。これは、一般的に手術前の評価や計画と呼ばれ、このような計画を正確に行うために、手術中の道具と共に使用され得る。代表的な手術前の評価や計画は、外科医が手術前のCTやMRI画像に基づいて問題となる関節や骨内にある患者の解剖学的構成要素及び/又はその後のインプラントの構成要素の大きさ、位置及び方向を具体化させる。勿論、最終的な構成要素の大きさと位置は、透視診断の助力に関係なく、直接的な視覚化を通じて外科医により手術中に決定され得る。
【0016】
オーダーメイドの患者仕様の器具は、足10及び足首12に関して下記で説明されているが、本技術分野の当業者は、本発明のシステム及び方法が他の関節と膝、臀部、腕及び肩、その他同種のものを含むものの、それに限らない他の関節及び各々の骨と連結されて活用され得ることを理解されたい。ここに添付された請求項は、前記足首及びそれに連結された骨に限らない。図1に図示されたように、一般的な人体の足10は、踵骨20上に配置された距骨14と脛骨16及び腓骨18との間に形成された足関節12を含む。
【0017】
CTまたはMRI走査像或いは一連の画像は、患者の足首21(または他の関節及び各々の骨)を撮影し、その後、例えば、DICOM画像フォーマットから踵骨、距骨、脛骨、舟状骨及び腓骨を含む足首のコンピュータ立体模型に変換し、コンピュータソフトウェアでよく具現される専門的なモデリング方法を使用し、インプラントの整列、タイプ及び大きさの算定を決定するようにする。多くの場合、CTまたはMRI走査像のデータから得られたコンピュータ生成の立体模型は、画像化した構造、例えば、画像化した骨の表面形状または筋膜の輪郭を囲む表面輪郭に関して、精密且つ正確な情報を含む。表面形状は、位置、形状、大きさ及び凹部と凸部等のような表面形状の分布を意味することを理解されたい。その全体が本願で参照として含まれているSwaelens等により提出された米国特許第5,768,134号に開示された方法には、CTまたはMRI走査像のデータをコンピュータ立体模型へ適切に変換することが知られている。一部の実施例において、本技術分野の当業者が理解できる通り、CTまたはMRI装置、或いは他のデジタル画像取込み及び処理ユニットを使用して生成されたモデルを使用することにより、患者の足10、即ち踵骨20、距骨14、脛骨16及び腓骨18の画像が生成される。
【0018】
図2は、仮想の背面の四分面の斜視図であり、本発明対象の実施例による整列ガイドと共に手術前に決定された位置にある脛骨インプラントや補綴物を同時に示す。「仮想」という用語に関して、通常の整列ガイドが使用されたとき、インプラントは各々の骨にあるのではないことを留意されたい。さらに正確には、「仮想」ビュー(virtual view)は、各々の前記インプラントが配置される手術前の計画でのCADと適切なインプラントの位置を達成するために設計された整列ガイドを用いて作られる。図3は、本発明対象の実施例による脛骨の整列ガイドにおける正面の四分面の斜視図である。図2図3を参考にすると、脛骨インプラント22のような代表的なインプラントは、各々の骨、即ち脛骨16にのみ、ネジ、ドリル、リーマー及びその他除去道具を用いて、脛骨16、腓骨18及び/又は距骨14から骨物質を除去することを含む一般的な方法により挿入または移植(implant)され得る。 脛骨16、腓骨18及び/又は距骨14は、適切な脛骨固定物、腓骨固定物及び/又は距骨固定物やインプラントを受け入れるために、大きさを設定したり、形状を再設定したり及び/又は切断され得る。このような固定物は、機械的に各々の骨にネジ、くぎ、骨セメント等により取り付けられ、患者の解剖学的構造に合う表面一致の形状を有し得る。一つの代表的なインプラント22は、その全体が本願で参照として含まれている米国特許第7,534,246号に記載されたWright Medical Technologies, Inc. INBONE(登録商標)の足首関節システムであり得るが、それに限らない。脛骨インプラント22は、脛骨16の末端が適切に形状化し、切除された後に患者の脛骨末端に一致するように形状化し、側面に突出したトレーやベース24を含む。また、脛骨インプラントや補綴物22は、一般的に脛骨ベース24により形成された平面に垂直に延び、切断されたり切断されていないステムやプラグ26を含む。ステム26は、患者の髄内管28の中に延びた外科的に形成された開口に配置され得る。プラスチック、重合体の挿入物は、各々の関節の動きを連結する脛骨関節の表面を提供する脛骨ベース24に取り付けられる。限定されない代表的な足首関節のシステム及び方法は、2011年12月19日付で出願された同時係属出願の米国特許出願第13/330,091号、及び2010年2月24日付で出願された米国特許出願第12/711,307号に記載されており、各々はその全体が本願で参照として含まれる。
【0019】
図4A及び図4Bは、図2及び図3に図示された整列ガイドの各々の斜視図、正面図である。図2−4Bを参考にすると、本発明対象の一実施例による代表的な患者仕様の整列ガイド30は、骨16の外部や内部にある患者の解剖学的な構造の一部に摺動自在に取り付けられたり、堅固に固定される。例えば、骨上に整列ガイド30を取り付けるために、整列ガイド30は固定ピン(未図示)、ネジまたは他の特徴部を受け入れるように、対応する一つ以上の穴31を含む。整列ガイドを通じて骨に位置するピンやネジは、計画された整列でインプラント22のための適切な骨を準備するように、骨準備ガイド(カットガイド)、リーマーホルダー等を整列するのに使用される。また、整列ガイド30は、透視診断の助力に関係なく、直接的な視覚化を通じ、外科医が手術中にインプラント22の構成要素の大きさと位置を評価するのに用いられる。
【0020】
例えば、整列ガイド(30)は、放射線不透過性34a、34b、35部分と放射線透過性36部分を含み、それによって、前記放射線不透過性34a、34b、35部分及び/又は放射線透過性36部分は、骨の解剖学的構造または骨軸に関して、インプラント部分の指標を提供する。また、前記指標は、骨の縦軸におけるインプラント部分の位置または整列、骨の横軸におけるインプラント部分の位置、骨の切断面におけるインプラント部分の位置、骨の穿孔位置、骨の穿孔方向及び/又はインプラントのステム軸におけるインプラント部分の位置を示す。一実施例において、放射線不透過性部分34a、34b、35は、複数のキルシュナー鋼線を含み、二つのキルシュナー鋼線34a、34bは第一の平面に位置し、第三のキルシュナー鋼線35は第二の平面に位置し、第一の平面と第二の平面は互いに平行であり、各々のキルシュナー鋼線34a、34b、35は、他のキルシュナー鋼線に線形に平行である。そのような実施例において、第三のキルシュナー鋼線35は、骨やインプラントステム26の縦軸19(図2、3参照)に並ぶよう調整される。手術中の蛍光透視検査を用いて、外科医は照準視野を形成するために、三つのキルシュナー鋼線34a、34b、35を配置または整列し、これによって、外科医は第二の平面にある第三のキルシュナー鋼線35に並ぶよう第一の平面にある第一のキルシュナー鋼線と第二のキルシュナー鋼線34a、34bを整列することができ、第一の平面上の垂直軸に沿って第一の平面上への第三のキルシュナー鋼線35は、第一のキルシュナー鋼線34a、第二のキルシュナー鋼線34bとの間で投影される。「照準視野」の形成は、一般的に整列ガイドの適切な視野が得られたということを示す(透視診断または肉眼による)。獲得したガイドの適切な視野を確認した後は、ガイドの長波長の放射線不透過性の特徴は、骨の解剖学的構造に関して、整列ガイドの位置と整列の評価を可能にする。このような長波長の放射線不透過性の特徴は、最終的なインプラント22の位置及び整列結果がどのようになるかという面(中心線、切断高さ(level)、インプラントのプロフィール、大きさの標識等)に対応し、その例として脛骨トレーまたはベース24及びステム19がある。このような配置は例示であるだけであり、そのような整列した照準視野の形成は、骨の縦軸におけるインプラント部分、骨の横軸におけるインプラント部分、骨の切断面におけるインプラント部分、骨の穿孔位置及び/又は骨の穿孔方向が適切に配置または整列していることを示すものであって、添付された請求項の範囲で制限されてはならない。
【0021】
図5Aは、非整列の位置における図4A−4Bの整列ガイドの不完全な(斜線の)前面図であり、図5Bは、図5Aの整列ガイドの分解図である。図5A図5Bを参考にすると、透視診断の使用を通じ、外科医は第一の平面に位置する二つのキルシュナー鋼線34a、34bと第二の平面に位置する第三のキルシュナー鋼線35の誤整列により、図示されたように脛骨インプラント22のベース24や他の部分が、インプラントのステム軸19や骨軸に誤整列されたかを決定する。このようなキルシュナー鋼線の誤整列は、鋼線の整列された照準視野の形成の欠陥を引き起こす。逆に、図6Aは、適切な観点から、図4A−4Bの整列ガイドと共に脛骨インプラントの配置と整列の結果がどのようになるかを示す仮想の正面図であり、図6Bは、図6Aの整列ガイドの分解図である。図6A図6Bを参考にすると、透視診断の使用を通じ、適切な観点からの視野は、整列された照準視野の形成により確認される。適切な視野方向の形成は、視差効果を取り除き、外科医に患者仕様の整列ガイドの配置と整列を評価することができる適切な視野を提供する。例えば、外科医は、手術中の透視撮影法(fluoroscopic radiography)で確認することができる髄内管または骨軸19或いはその他解剖学的な参照事項に制限されないが、患者の解剖学的構造における対象の形状に関して、ガイドの配置を評価するために、第三のキルシュナー鋼線35を使用する。このようなキルシュナー鋼線の整列は、鋼線の整列された照準視野を形成することによって、手術中にインプラントのステム軸19及び/又は骨軸と共に脛骨インプラント22のベース24またはステム26或いはその他の部分の整列がどのようになるかを明らかに示す。また、このように整列された照準視野の形成は、骨縦軸におけるインプラント部分、骨横軸におけるインプラント部分、骨切断面におけるインプラント部分、骨の穿孔位置及び/又は骨の穿孔方向の適切な配置または整列を示す。
【0022】
図7Aは、不適切な観点からの本発明対象の他の実施例による整列ガイドと脛骨インプラントの仮想の正面図である。図7Bは、適切な観点から見たとき、図7Aで図示された整列ガイドの仮想の正面図である。図7C図7Dは、各々図7Bの仮想の斜視図及び側面図である。図7A−7Dを参考にすると、整列ガイド40は、放射線不透過性部分41と放射線透過性部分42とを含み、これによって、前記放射線不透過性部分41及び/又は放射線透過性部分42、48は、骨軸、インプラント軸19、切断面またはその他の形状に対するインプラントの一部整列結果がどのようになるかを示すのに使用される整列ガイド40の整列指標を提供する。このような図示された実施例において、放射線不透過性部分41は金属または他の放射線不透過性物質で構成され、放射線不透過性部分の側方向長さ45に沿って整列する空洞44を含む。この側方向長さ45は、整列ガイドの一部分が、いつインプラントが軸19に適切に整列されるかを示すとき、一般的に骨やインプラントのステム26の縦軸19に垂直な平面上にある。図7A−7Dに図示された実施例もまた、髄外(extra-medullary)整列ロッド48を用いて明らかに示している。しかし、本発明対象の代表的な実施例は、そのようなロッド48なくして用いられ得るということを構想している。図7Bの図示において、透視診断の使用を通じ、外科医はインプラントが移植される骨を準備した後の機器を実行させるとき、ガイドが示す整列と位置とに基づいてインプラントのベース24または脛骨インプラント22の整列の結果を評価する。外科医が整列の予想結果について満足していないことを決定すると、手術中に彼の判断に合うよう修正することができる。ガイド40内で観察できる空洞(図7A)44が不足している場合、これはガイドの適切な視野が達成されていないということを示すことによって、骨に対する相対的な評価を無意味にする。
【0023】
図8Aは、不適切に整列された視野における本発明対象の別の実施例による整列ガイドと脛骨インプラントの正面図である。図8Bは、整列された位置の図8Aに図示された整列ガイドと脛骨インプラントの正面図であり、図8Cは、図8Bの詳細図である。図8A−8Cを参考にすると、別の整列ガイド50は、放射線不透過性部分52と放射線透過性部分52を含み、それによって、前記放射線不透過性部分51及び/又は放射線透過性部分52は、骨軸またはインプラント軸19に関するインプラントの一部分整列指標を提供する。この実施例において、放射線不透過性51部分は、複数の基準マーカー(例えば、二つ、三つ、四つまたはそれ以上のマーカー)で構成される。一つ以上の基準マーカーは、平面外で適切な観点が達成されたことを示すために提供される。代表的な基準マーカーは、該当分野で用いられるピン、ロッド、球またはその他一般的な基準マーカーである。図8Aの図示において、透視診断の使用を通じ、外科医はまた、脛骨インプラント22のベース24や他の部分が、正しく整列された十字線の形成欠陥によって示されているように、インプラントのステム軸19、骨軸またはその他の形状に対して整列または誤整列しているかを決定することができる。従って、形成された十字線の欠陥は、一般的に脛骨インプラント22の一部、例えば、脛骨トレーまたはベース24がインプラントのステム軸19、骨軸またはその他の形状に対して誤整列していることを示す。別の例によると、放射線不透過性51部分と放射線透過性52部分は、この部分51、52に比べさらに前方または後方にある類似する基準と一列になると、適切な十字線が異なる平面に位置した前述のアイテムを通じて形成される。従って、そのような基準マーカーは、外科医が各患者の解剖学的構造に対して器具の整列を補助するために、本発明の実施例のいずれかの形態でも用いられる。図8B−8Cの図示において、透視診断の使用を通じ、外科医は複数の基準マーカーによる十字線55の形成によって図示されている通り、脛骨インプラント22のベース24または他の部分がインプラントのステム軸19または骨軸に対して適切に整列しているかを決定する。ガイド40における十字線55のこのような形成は、一般的にインプラントのステム軸19または骨軸と脛骨インプラント22の一部、例えば、脛骨トレーまたはベース24の適切な整列を示す。勿論、このような図示は例示であるだけであり、そのような整列した十字線の形成は、骨縦軸におけるインプラント部分、骨横軸におけるインプラント部分、骨切断面におけるインプラント部分、骨の穿孔位置及び/又は骨の穿孔方向が適切に配置または整列していることを示すものであって、添付された請求項の範囲で制限されてはならない。
【0024】
参照され図示された視野は一般的に冠状面に図示されているが、本技術分野の当業者は、本発明対象の実施例が側面像、横断面像及びその他斜位像を含む他の視野方向に対しても実行されることを理解しなければならない。
【0025】
患者の距骨、脛骨、腓骨及び足関節を参照したが、本技術分野の当業者は、本発明対象の実施例が膝、臀部、肩またはその他関節に位置する骨を含み、それに限らない他の各々の骨だけでなく、脊髄手術用患者仕様の整列ガイドと頭蓋顔面再建(craniofacial reconstruction)のために実行されることを理解しなければならない。従って、開示された装置及び方法は、患者の解剖学的構造に基づき、オーダーメイドの手術用器具、ガイド及び/又は固定部を有利に活用し、多数の関節と骨のための手術中の透視診断の使用を減少させる。
【0026】
前述の実施例、特にある「好ましい」実施例は、単に実行可能な例であるだけであり、単純に記載内容の原理の確実な理解のために提示したものであることを強調する。多くの変形及び修正は、開示の意味と原理から実質的に逸脱することなく、前述の実施例によりなされる。このような全ての変形及び修正は、本発明と本発明の範囲内に含まれ、下記の請求項により保護を受ける。
【0027】
本明細書は多くの具体的な事項を含んでいるが、これは請求する発明の制限として解釈されてはならず、それよりは特定の実施例の個別的な特徴として解釈されなければならない。別個の実施例の脈絡上、明細書に記載された特定の特徴は、単一実施例で結合して実行することも可能である。逆に、単一実施例の脈絡上、記載された多様な特徴はまた、多様な実施例で別に実行されたり、適する下位の結合で実行できる。また、特徴は、前記で特定した結合で実行されると記載され、さらには最初はそのように請求されたが、請求した結合での一つ以上の特徴は、幾つかの場合、前記結合で実行でき、前記請求された結合は、下位結合や下位結合の変形に適用される。
【0028】
図1−8Cに例示された多様な構成と実施例に図示された通り、手術中の蛍光透視検査のために備えられた形状を有する整列ガイドとインプラントの整列方法が記載されている。
【0029】
本発明対象の好ましい実施例が記載されているが、記載された実施例は例示的なものであるだけで、本発明対象の範囲は、本技術分野の当業者が精読して自然に得られる多くの変形と修正の全範囲が等価物と一致するとき、添付された請求項によってのみ定義されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C