【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の空気調和装置の実施例1を示す冷凍サイクル構成図である。この
図1に示す空気調和装置は、1台の室外機1と1台の室内機2により構成されている。前記室外機1は、圧縮機3、冷房運転と暖房運転を切替えるための四方弁(切替弁)4、室外熱交換器5、室外膨張弁6、前記室外機1と前記室内機2を接続する冷媒液配管19側の液阻止弁7、前記室外機1と前記室内機2を接続する冷媒ガス配管20側のガス阻止弁8、アキュムレータ9を備えており、これらの機器は冷媒配管で接続されている。
【0014】
前記室内機2は、室内熱交換器21と室内膨張弁22を備え、これらの機器は冷媒配管で接続されている。また、前記室内機2は、前記室外機1と前記冷媒液配管19を介して前記液阻止弁7と接続され、また冷媒ガス配管20を介して前記ガス阻止弁8に接続されている。これにより冷媒回路が形成されている。
【0015】
前記室外機1には、前記室外熱交換器5に室外空気を供給するための室外ファン10と、この室外ファン10を駆動するための室外ファンモータ11が設けられ、前記室外熱交換器5内を流れる冷媒と前記室外ファン10により供給される空気とが熱交換されるように構成されている。前記室内機2にも、前記室内熱交換器21に室内空気を供給するための室内ファン23と、該室内ファン23を駆動するための室内ファンモータ24が設けられ、前記室内熱交換器21内を流れる冷媒と前記室内ファン23により供給される空気とが熱交換されるように構成されている。
【0016】
また、前記室外機1には、前記圧縮機3の吐出側と前記四方弁4を接続している配管から分岐して、前記室外熱交換器5と前記室外膨張弁6を接続している配管にバイパスさせる除霜バイパス回路15が設けられ、この除霜バイパス回路15には、除霜用膨張弁12が設けられている。前記除霜用膨張弁12は、暖房運転中は前記除霜バイパス回路15を閉止させるように動作し、除霜運転時には所定開度に開かれて圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒を前記除霜バイパス回路15に流すように動作する。
【0017】
更に、前記室外機1には、前記室外膨張弁6と前記液阻止弁7を接続する配管の途中に、主流部と副流部を備えた過冷却熱交換器13が設けられている。この過冷却熱交換器13の前記主流部は、その一端を前記室外膨張弁6側に、その他端を前記液阻止弁7側に冷媒配管で接続されている。また、前記過冷却熱交換器13の副流部は、その一端を、前記過冷却熱交換器13と前記室外膨張弁6を接続している冷媒配管から分岐して設けた過冷却バイパス回路16に接続され、前記副流部の他端側は、前記四方弁4と前記アキュムレータ9を接続している圧縮機吸入側の冷媒配管25に合流するように接続されている。
【0018】
前記過冷却バイパス回路16には過冷却膨張弁14が設けられており、この過冷却膨張弁14により、前記過冷却バイパス回路16を流れる冷媒の量を調節すると共に減圧した後、前記過冷却熱交換器13の副流部に流入するように構成されている。
なお、前記過冷却バイパス回路16は前記過冷却熱交換器13と前記液阻止弁7を接続している冷媒配管から分岐させるようにしても良い。
【0019】
また、前記圧縮機3の吐出側の冷媒配管26には、該圧縮機3の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ(吐出圧力検出手段)18が設けられている。前記圧縮機3、四方弁4、室外膨張弁6、室外ファンモータ11、除霜用膨張弁12、過冷却膨張弁14、吐出圧力センサ18、室内機2に設けられている室内膨張弁22及び室内ファンモータ24などの各々のアクチュエータは、マイコン(制御装置)17とそれぞれ通信可能に接続されており、前記各アクチュエータは、冷凍サイクルの運転状態に応じて前記マイコン17からの指令により制御されるように構成されている。
【0020】
上述したように構成されている本実施例の空気調和装置において、室外機1の周囲空気温度が低い状況で暖房運転を継続した場合、室外熱交換器5は蒸発器として作用しているため、その伝熱面が零度以下になると、伝熱面に空気中の水分が凝縮・氷結して霜が生じる。この伝熱面に付着した霜の厚みが次第に増加していくと、前記室外熱交換器5を通過する空気の流路が狭くなっていく。このため、風量が低下し、空気から冷媒への伝熱が阻害されるので、室外熱交換器5の熱交換効率は低下し、空気調和装置としての性能が低下する。
【0021】
そこで、本実施例の空気調和装置においては、室外熱交換器5に付着した霜を取り除くための除霜運転を実施するように構成されている。以下、この除霜運転について、
図1を参照しつつ
図2を用いて説明する。
【0022】
図2は、
図1に示す空気調和装置における除霜運転時の処理フローを説明するフローチャートである。この
図2における演算処理は、
図1に示すマイコン(制御装置)17内で行われる。まず、マイコン17から除霜運転の指令が為されると、室外機1に設けられている室外ファン10を停止、室外膨張弁6を開度A(全閉状態)に設定し、過冷却膨張弁14を開度C(全開状態若しくは微開状態の所定開度)、除霜用膨張弁12を開度D(全開状態若しくは圧縮機運転容量に応じた開度(所定開度))に設定する制御が行われる(ステップS1)。本実施例では、後述するステップS3に示すように、除霜運転時は圧縮機を最大周波数で運転するので、その容量に合わせて、除霜用膨張弁12の初期開度が予め定めた所定の開度に設定される。なお、圧縮機運転容量に応じた開度とは、搭載される圧縮機の大きさ(容量)に応じて、或いは本実施例では圧縮機3として回転数制御が可能なインバータ圧縮機を用いているので、除霜運転開始時の圧縮機運転容量(運転周波数)に応じて設定される初期開度である。
【0023】
ステップS2では、室内機2に設けられている室内ファン23を停止させ、室内膨張弁22を開度B(室内機側に冷媒が流通できる所定開度)に設定される。
ステップS3では、十分な除霜熱源を確保するため、圧縮機3の電気入力量を最大にするように、圧縮機運転周波数を最大にする制御が行われる。なお、本発明は、除霜運転時の運転周波数は、最大にするものに限定されるものではない。
【0024】
上記S1からS3までのステップが実行されると、
図1において、実線矢印で示すように冷媒が流れる。即ち、圧縮機3で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、除霜バイパス回路15に流入する流れと、四方弁4側に流れる流れとに分配され、四方弁4側に流れる高温高圧のガス冷媒は、四方弁4を通過後、ガス阻止弁8、冷媒ガス配管20を通過して室内熱交換器21に流入する。室内膨張弁22は、冷媒が流通可能な開度に調整されているため、前記高温高圧のガス冷媒は、室内熱交換器21、室内膨張弁22を通り、冷媒液配管19、液阻止弁7を通過して室外機1に流入する。前記室内熱交換器21側に流れる冷媒は、高温高圧の冷媒であるため、暖房運転復帰と同時に室内機2が設置されている空調場を暖房することができる。
【0025】
一方、除霜バイパス回路15に流れた高温高圧の冷媒は、除霜用膨張弁12を通過後、前記室外熱交換器5と前記室外膨張弁6を接続している冷媒配管27に流入する。ここで、前記室外膨張弁6は全閉状態となっているため、前記冷媒配管27に流入した冷媒は全て室外熱交換器5内に流れる。室外熱交換器5に付設されている室外ファン10は停止しているため、室外熱交換器5内に流入した前記冷媒は、室外熱交換器5に付着している霜と熱交換し、霜を融解させながら自らは気液二相化して、室外熱交換器5から流出する。室外熱交換器5から流出した前記気液二相となった冷媒は、四方弁4を通過しアキュムレータ9内に流入する。このアキュムレータ9により所定の冷媒かわき度に調整されて前記圧縮機3の吸入側に流入し、この圧縮機3で圧縮されることにより除霜運転中の冷凍サイクルが形成される。
【0026】
ここで、上記除霜運転により、室外熱交換器5における霜の融解が進むにつれて、融解する霜の量は減少していくこと、また霜の温度も高くなるため、圧縮機3の吸入側圧力が高くなり、冷媒の密度大きくなる。このため冷媒循環量が増加し、室外熱交換器5から流出する冷媒かわき度が大きくなり、圧縮機3の温度が上昇する。このため、圧縮機3で発生している電気入力量の内、圧縮機3の温度を上げるため(圧縮機の熱容量の増加)に用いられる比率が大きくなり、霜を融解するために用いられる圧縮機3の電気入力量が減少するので、除霜運転時間が長くなる。
【0027】
本実施例では、前記過冷却膨張弁14を予め定めた所定開度(全開状態もしくは微開状態)に設定しているため、前記室外膨張弁6と前記室内膨張弁22の間の配管内の液冷媒は、前記過冷却バイパス回路16から前記過冷却熱交換器13を通過して、前記四方弁4と前記アキュムレータ9とを接続している冷媒配管25の部分に流れる。これにより、前記アキュムレータ9内に流入する冷媒のかわき度を小さくすることができるので、圧縮機3の温度を下げることが可能となり、霜を融解するために用いられる圧縮機3の電気入力量を増加させることができる。また、圧縮機3が保有している熱容量分も霜を融解する熱量として利用できるため、除霜運転時間の短縮を図ることができる。
【0028】
図2に戻り、ステップS4では、圧縮機3の吐出圧力Pdの状態を吐出圧力センサ18で検出し、この検出された吐出圧力Pdを予め定めた所定の圧力値Pc1(この圧力値は圧縮機3の電気入力量が低下して除霜熱源として不十分になってしまうような圧力、例えばPc1=2.2MPaGなどの値に設定される)と比較する。このステップS4で、「吐出圧力Pd<所定の圧力Pc1」が成立した場合(YESの場合)には、圧縮機3への電気入力量が低下し除霜熱源として不十分なため、前記除霜用膨張弁12の開度Dを予め定めた所定開度ΔPLSだけ閉じるように制御する(ステップS5)。この制御により、前記除霜用膨張弁12の抵抗が大きくなり、圧縮機3の吐出圧力Pdが上昇するから、圧縮機電気入力量が増大し、除霜熱源を常に高く確保することができるようになる。
【0029】
そして、ステップS6に移り、除霜終了判定条件が成立するかどうかを判定する。このステップS6では、例えば、室外熱交換器5の温度が所定の値(例えば3℃)以上か否か、圧縮機3の吸入圧力が所定の値(例えば0.7MPaG)以上か否か、などで除霜運転を終了して良いかどうかを判定する。
【0030】
なお、前記ステップS4において、検出された吐出圧力値Pdが所定の圧力値Pc1以上となっている場合(NOの場合)には上述したステップS6に移り、除霜終了判定条件が成立するかどうかを判定する。
【0031】
ステップS6で除霜判定条件が成立していない場合(NOの場合)には、前記ステップS4に戻り、上記ステップS4〜S6を繰り返す。ステップS6で除霜判定条件が成立した場合(YESの場合)には、除霜運転を終了し、再び暖房運転を開始する。即ち、室外膨張弁6を所定の開度に設定すると共に室外ファン10を暖房運転に適した所定の回転数で駆動し、除霜用膨張弁12については閉に設定し、室内膨張弁22を暖房ができる所定の開度に設定すると共に室内ファン23を所定の回転数で駆動するように制御する。これにより、直ちに正常な暖房運転を開始することが可能となる。
【0032】
以上のように、本実施例では、圧縮機3の吐出圧力Pdを吐出圧力センサ18で検出し、前記圧縮機3の吐出圧力Pdを予め定めた所定の圧力値Pc1以上になるように除霜用膨張弁12の開度を制御するため、除霜熱源である圧縮機電気入力量を常に高く維持することが可能となり、除霜時間を短縮できる空気調和装置を得ることができる。
【0033】
また、本実施例では、空気調和装置に過冷却熱交換器13、過冷却膨張弁14及び過冷却バイパス回路16を付設しているので、除霜運転中に、前記過冷却膨張弁14を、前記圧縮機3から吐出される冷媒の過熱度に応じて制御するように構成することもできる。このように構成すれば、圧縮機3の信頼性を確保できる範囲において、かわき度のできるだけ小さい冷媒を圧縮機3に供給できるから、圧縮機3の保有している熱容量を十分に抽出して除霜熱源として利用できる。従って、圧縮機3の信頼性を確保しつつ除霜運転時間を短縮することが可能となる。なお、圧縮機から吐出される冷媒過熱度は、圧縮機吐出側温度を検出する温度センサ(図示せず)を設け、この吐出側温度と、前記吐出圧力センサ18で検出される吐出圧力から求めることができる。
【0034】
また、本実施例では、室内機2側の冷媒状態は、高温高圧の冷媒が流通している状態となっているため、除霜終了後は直ちに暖房運転に復帰させることが可能となる。従って、除霜運転終了後の暖房運転の立ち上りを迅速に行えるから、室内を暖房する積算暖房能力も向上させることができ、室内の快適性をより向上することができる。
【0035】
更に、本実施例では、前述した過冷却熱交換器13を備えているので、通常の暖房運転時にも、この過冷却熱交換器13と前記過冷却バイパス回路16を用いることにより、蒸発器として作用する室外交換器5に流入する冷媒循環量を低減できる。このため、蒸発器として作用している室外熱交換器5での圧力損失を低減でき、空気調和装置の性能を更に向上できる効果も得られる。
【0036】
図3は
図1に示す空気調和装置における除霜運転時の他の処理フローを説明するフローチャートで、この
図3により、除霜運転における他の処理フローの例を説明する。この例による演算処理も、
図2で説明した場合と同様に、
図1に示すマイコン(制御装置)17内で行われる。
【0037】
この
図3に示す例でも、マイコン17から除霜運転の指令が為されると、
図2で説明した制御と同様にステップS1からステップS4が実行される。ステップS1〜S4は
図2で説明したものと同様の制御が行われるので、それらの説明については省略する。
【0038】
この例においては、上記ステップS4において、「吐出圧力Pd<所定の圧力Pc1」が成立した場合(YESの場合)、ステップS5に移り、除霜用膨張弁12の開度Dを予め定めた所定開度ΔPLSだけ閉じるように制御することは同じである。そして、この例では、更に前記ステップS5の処理後、或いは前記ステップS4において、検出された吐出圧力値Pdが所定の圧力値Pc1以上となっている場合(NOの場合)には、ステップS7を実行するように制御される。このステップS7では、吐出圧力センサ18で検出された吐出圧力Pdを予め定めた所定の圧力値Pc2と比較する。この圧力値Pc2はステップS4における所定の圧力値Pc1よりも大きな値であり、圧縮機3の信頼性が損なわれるような圧力、例えばPc2=3.5MPaGなどの値に設定される。
【0039】
上記ステップS7において、「吐出圧力Pd>所定の圧力Pc2」が成立した場合(YESの場合)には、吐出圧力が高くなり過ぎて圧縮機3の信頼性が損なわれ可能性があるため、ステップS8に移り、前記除霜用膨張弁12の開度Dを予め定めた所定開度ΔPLSだけ開くように制御する。この制御により、前記除霜用膨張弁12の抵抗が小さくなり、圧縮機3の吐出圧力Pdが低下し、圧縮機の信頼性を確保できる方向に制御される。
【0040】
上記ステップS8を実行した後、或いは前記ステップS7で、検出された吐出圧力値Pdが所定の圧力値Pc2以下となっている場合(NOの場合)にはステップS6に移り、除霜終了判定条件が成立するかどうかを判定する。このステップS6の判定は
図2で説明したものと同様に行う。
【0041】
ステップS6で除霜判定条件が成立していない場合(NOの場合)には、前記ステップS4に戻り、上記ステップS4、S5、S7、S8、S6を繰り返す。ステップS6で除霜判定条件が成立した場合(YESの場合)には、除霜運転を終了し、再び暖房運転を開始する。
他の制御は上記
図2で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0042】
以上のように、この
図3に示す除霜運転時の処理フローとしても、
図2で説明した処理フローの場合と同様の効果を得ることができる。また、この
図3に示す例では、除霜運転中において圧縮機3の吐出圧力Pdの値が低い場合には、除霜用膨張弁12を閉じて圧縮機3の吐出圧力Pdを高く維持するように制御すると共に、前記圧縮機3の吐出圧力Pdが高い場合には、圧縮機の信頼性を維持するように除霜用膨張弁12を開いて圧縮機3の吐出圧力Pdを下げるように制御するので、圧縮機3の信頼性を更に向上しつつ、大きな除霜熱源を確保することができる。このため、高い信頼性を維持しながら除霜時間の短縮を図れる空気調和装置を得ることができる効果がある。
【実施例2】
【0043】
図4は本発明の空気調和装置の実施例2を示す冷凍サイクル構成図、
図5は
図4に示す空気調和装置における除霜運転時の処理フローを説明するフローチャートである。これら
図4及び
図5を用いて、本発明の空気調和装置の実施例2を説明する。これらの図において、
図1〜
図3と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
【0044】
本実施例2の空気調和装置が前述した実施例1と異なる点は、室外機1に搭載されている圧縮機が、第1圧縮機3aと第2圧縮機3bの複数台の圧縮機で構成されている点、これら第1、第2の圧縮機3a,3bもマイコン(制御装置)17に通信可能に接続され、前記マイコン17からの指令により制御されるように構成されている点である。
図4において、それ以外の構成については、
図1と同様であるので、それらの説明については省略する。
【0045】
次に、
図5により、本実施例2の空気調和装置における除霜運転時の処理フローを説明する。この
図5における演算処理も、
図2及び
図3で説明したものと同様に、
図4に示すマイコン(制御装置)17内で行われる。まず、マイコン17から除霜運転の指令が為されると、室外機1に設けられている室外ファン10を停止、室外膨張弁6を開度A(全閉状態)に設定し、過冷却膨張弁14を開度C(全開状態もしくは微開状態)に設定する制御が行われる(ステップS9)。
【0046】
次に、ステップS10に移り、圧縮機運転台数が1台か否かを判定し、圧縮機運転台数が1台の場合は、ステップS11に移り、除霜用膨張弁12を開度D1(除霜用膨張弁12の全開よりは小さい値で圧縮機運転容量に見合った開度)に設定する制御が行われる。前記ステップS10で、圧縮機運転台数が1台でない場合(即ち、本実施例では2台の場合)は、ステップS12に移り、前記除霜用膨張弁12の開度をD2(全開、または全開よりも小さく且つ前記開度D1よりも大きい開度)に設定する制御が行われる。
【0047】
そして、その後は
図3に示す除霜運転時の処理フローと同様に、ステップS2〜S5、S7、S8、S6の制御が順次行われることにより、除霜運転が実行される。
【0048】
本実施例2のように、暖房運転から除霜運転に切り替える時の前記除霜用膨張弁12の設定開度を、圧縮機運転台数に応じて設定することにより、除霜運転への切り替え直後の圧縮機吐出側の圧力低下による除霜熱源の低下や、圧力の異常上昇による圧縮機の信頼性低下を抑制することが可能となり、延いては除霜運転に切り替え直後から、圧縮機吐出側の圧力を適正な圧力に設定できるため、除霜運転時間を短縮できると共に、空気調和装置の信頼性を確保することも可能となる。
【0049】
なお、本実施例2では、圧縮機が2台の例で説明したが、3台以上の場合にも運転台数に応じて除霜用膨張弁12の初期開度を設定することで同様に実施できる。
【0050】
以上述べた本発明の各実施例によれば、圧縮機の吐出圧力を吐出圧力センサで検出し、前記圧縮機の吐出圧力を所定の圧力以上となるように除霜用膨張弁の開度を制御するため、除霜熱源である圧縮機電気入力量を常に高く維持することが可能となり、除霜時間を短縮できる空気調和装置を得ることができる。
【0051】
また、空気調和装置に過冷却熱交換器、過冷却バイパス回路及び過冷却膨張弁を設け、除霜運転時に、前記過冷却膨張弁の開度を圧縮機吐出ガス過熱度に応じて制御することにより、圧縮機の運転信頼性を維持しつつ、
アキュムレータに冷媒液をより多く戻すことが可能となる。この結果、圧縮機にかわき度の小さい冷媒を供給することができ、圧縮機に保有されている熱容量をより多く抽出して除霜熱源として利用することができる。このため、圧縮機に保有されている熱容量と、圧縮機で消費される電気入力量の二つの熱源を、室外熱交換器に付着した霜の融解熱として最大限利用することができ、除霜運転時間の短縮を図ることができる。
【0052】
更に、除霜運転において、圧縮機の吐出圧力が高い場合には除霜用膨張弁の開度を大きくして圧縮機の吐出圧力を下げるように制御することにより、圧縮機の信頼性をより向上しつつ除霜熱源を最大限確保することが可能となり、高い信頼性を維持しつつ除霜時間の短縮を図れる空気調和装置を得ることができる。
【0053】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例では、過冷却熱交換器、過冷却バイパス回路及び過冷却膨張弁を備える例で説明したが、本発明はこれらの機器を備えるものに限定されるものではなく、過冷却熱交換器などを備えていないものであっても、上記除霜用膨張弁により除霜運転時の圧縮機吐出側圧力を所定値以上になるように制御することにより、除霜熱源を確保して除霜運転の短縮を図ることができるものである。
【0054】
また、除霜用膨張弁の初期開度は、全開状態若しくは圧縮機運転容量に応じた所定開度に設定するように制御する例を説明したが、除霜用膨張弁の開度は予め定めた任意の開度に設定しても良い。
更に、本発明は、暖房と冷房を切替える切替弁(例えば四方弁)をもつ空気調和装置には限定されず、暖房専用機であっても同様に適用可能である。また、上述した実施例は、室外機と室内機が1台づつのもので説明したが、室外機が複数台の空気調和装置や、室内機が複数台の空気調和装置にも同様に適用できる。
【0055】
なお、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。