【実施例1】
【0026】
まず、
図1から
図6を用い、実施例1の誘導加熱調理器を説明する。ここでは、トッププレート2上に三口の鍋載置部90(90a、90b、90c)を設け、トッププレート2の下方の本体1内には、食品をヒータ加熱するロースター部10を備えた、キッチンに組み込むタイプのビルトイン型IHクッキングヒータを例に説明するが、キッチン台に載置して使用する据置型IHクッキングヒータであっても良い。
【0027】
図1は、ビルトイン型IHクッキングヒータ上面のトッププレート2を外し、スパイラル状の加熱コイル22a、22b、22cと、これらに冷却風を供給する通風ダクト7、及び、その吹出し口7a、7b、7cを示す斜視分解図である。
【0028】
図2は
図1のIHクッキングヒータの斜視図における基板ケース5側の鍋載置部90aの側面断面図、
図3は前方の操作パネル60側から見た左右の加熱コイル22a、22b中心位置における正面断面図、
図4は本体1内の空気の流れを示す上面図である。
【0029】
また、
図5は右側の加熱コイル22aと、加熱コイル22aを載置するコイルベース21、温度センサ23の配置構成を示す斜視分解図、
図6は
図5の加熱コイル22a周辺の部品配置を示した側面断面図である。
【0030】
尚、本実施例では、三口の鍋載置部90に対応する三個の加熱コイルを設けた例を示すが、中央奥の加熱コイル90cに代えて、輻射熱で加熱する電熱ヒータ(ラジエントヒータ)を配置してもよい。
【0031】
また、本実施例では、本体1の正面左側にロースター部10の投入口、正面右側に操作パネル60を配し、操作パネル60の後方に基板ケース5を設けたが、ロースター部10は左右何れの位置であっても良いし、中央位置であっても良い。
【0032】
図1等に示すように、IHクッキングヒータの本体1上面にはトッププレート2と、本体1内部の空気を排気する排気口9bと、金属鍋の火加減などを操作する操作部69が設けられている。トッププレート2の鍋載置部90a、90b、90cの略下側位置には、加熱コイル22a、22b、22cがそれぞれ設けられ、金属鍋を誘導加熱できる。
【0033】
また、図示したIHクッキングヒータでは、本体1の正面左側には魚などを焼くロースター部10の投入口、及び正面右側には金属鍋の火加減やロースター部10の加熱具合を操作する操作パネル60を備えており、その火力調整量は表示部65に表示され、耐熱ガラス製のトッププレート2上から透過して確認できる。ここで、ロースター部10は、例えば、魚などを輻射熱でグリル加熱するものでも良く、温度調節器を備えてオーブン加熱するものでもよい。
【0034】
また、加熱コイル22a、22b、22cに高周波電流を供給させる電子部品などが実装されたインバータ基板51aや制御基板51b、該基板上の電子部品52、59を冷却するファン装置4を収納する基板ケース5は、操作パネル60の後方となるロースター部10の側方に配置される。
【0035】
このように、インバータ基板51aや制御基板51b、ファン装置4を収納する基板ケース5は、本体1内の上方に配置する加熱コイル22a、22b、22cとロースター部10を除いた余剰空間に配置され、その余剰空間を用い、通風ダクト7など、本体1内の各部品に冷却空気を供給する風路が構成される。
【0036】
また、本実施例では、ロースター部10と基板ケース5が、左右に並んで配置される。このため、大きな被加熱物を加熱調理できるように、ロースター部10の横幅寸法を拡大すると、基板ケース5の横幅寸法が狭くなる。これは、組み込まれるキッチン台の寸法によって本体外郭1aの寸法が規定されるためである。
【0037】
次に冷却空気の流れについて説明する。
【0038】
本実施例のIHクッキングヒータでは、基板ケース5に供給する冷却空気の吸気口9aを、本体外郭1aの背面側に設けた。また、基板ケース5内部や加熱コイルなどを冷却し温められた排気の排気口9bをトッププレート2の後方に設けた。
【0039】
本構造において、加熱コイル22aを冷却する空気は、ファン装置4により、吸気口9aから空気を吸い込み、まずインバータ基板51aの高発熱素子を設置したヒートシンク55に向かって吹き出される。
【0040】
ヒートシンク55は、発熱量の大きい電子部品である高発熱素子59の熱を伝熱し、ヒートシンク55のフィンによる広い表面積を利用して放熱するものである。
【0041】
インバータ基板51aや制御基板51bを冷却した空気は、基板ケース5上方の通風ダクト7の吹出し口7aから、右側の加熱コイル22aを冷却する。また同様に、基板ケース5に連通した通風ダクト7から、該ダクト7の吹出し口7b、7cを介して加熱コイル22b、22cに冷却空気が供給される。ここで、トッププレート2の正面下方の表示部65などの冷却を、通風ダクト7の一部の空気を利用してもよい。
【0042】
加熱コイル22a、22b、22cを冷却した空気は、トッププレート2下方の加熱コイルが配置された空間を本体1背面方向に向かって流れ、電源基板51cを冷却し、排気口9bから機外へ排気される。
【0043】
以下、実施例1の詳細構成を右側の加熱コイル22aを用いて説明する。
【0044】
図5に示すように、加熱コイル22aはコイルベース21上に載置されている。そして、このコイルベース21は、放射状に配置されたフェライト24を内蔵するとともに、外周に設けられた複数の支持孔21aと、中心に設けられた支持孔21bを有している。フェライト24は、加熱コイル22aに供給される高周波電流によって生じる磁束が、金属鍋に向かうように配置されるものである。
【0045】
また、
図6に示すように、加熱コイル22aは、外側リッツ線220aと内側リッツ線220bに分割されており、コイルベース21は、支持孔21aに対応して設けられた支持部27で支持されている。この支持部27は、基板ケース5の上面やロースター部10の上方の仕切り壁に設けられるものであり、支持孔21aの下方に設けられたバネ27aによってコイルベース21を上向きに押し上げて付勢し加熱コイル22aをトッププレート2に近接させるとともに、支持孔21aを貫通する複数の軸27bによってコイルベース21の配置を規定し、その移動を上下方向のみに制限している。
【0046】
また、コイルベース21の中央付近にはセンサ台29aを介して、トッププレート2との接触温度から間接的に金属鍋の温度を検知する例えばサーミスタなどの接触式の温度センサ23が配置される。センサ台29aはコイルベース21中央の支持孔21bに貫通する軸部を有しており、該軸部に設けたバネ29bにより、センサ台29a上の温度センサ23をトッププレート2に押し付ける構成となっている。つまり、センサ台29aの厚さとバネ27a、29bの特性によって、加熱コイル22aとトッププレート2の間隙Hbが定まり、また、支持部27のバネ27aと、温度センサ23のバネ29bによって、金属鍋と加熱コイル22aの距離が一定に保持されるため、安定した誘導加熱を実現できる。なお、加熱コイル22aとトッププレート2の間隙Hbは小さいほど、金属鍋との電気的な結合が良好になるので、Hbは小さいほど効率の良い加熱ができる。
【0047】
ここで、本実施例の加熱コイル22aは、アルミ製の素線(例えばエナメル被覆アルミ線)を複数撚り合わせたリッツ線を、本体1の上下方向に複数段重ねた構成にしている。また、アルミ製リッツ線を用いた加熱コイル22aを、ロースター部10から最も遠い位置となる右側に配置した。
【0048】
まず、リッツ線を本体1の上下方向に複数段重ねて巻く構成の利点を、
図7を用いて説明する。
【0049】
図7はリッツ線の上下方向のバネ定数を、リッツ線の材質及び撚り本数Nに対して相対的に示した計算結果である。ここで、素線1本のバネ定数kは、ヤング率E、断面二次モーメントI、長さLとした場合、k∽E・I/L
3であるので、E=約110GPaの銅と、E=約70GPaのアルミでは、リッツ線におけるバネ定数と撚り本数Nの関係が異なってくる。
【0050】
図7はエナメル被覆銅線で構成される従来の加熱コイルの一例として、N=25本の銅製リッツ線を基準の1(図中の黒丸)としている。銅製リッツ線を用いた場合、Nが増えるにつれ、リッツ線は太くなるので、
図7にも示されるように、バネ定数が大きく、硬いバネになっていく。一方、アルミ製リッツ線では、同一撚り本数であれば、銅製リッツ線に比べ、ヤング率の比率(70/110=約0.64)でバネ定数が下がる(図中の白四角)。
【0051】
但し、加熱コイルで高周波電流を流して金属鍋を誘導加熱するには、同等の電気抵抗のリッツ線を構成する必要がある。従って、同じ径の素線を用い、エナメル被覆アルミ線でエナメル被覆銅線と同等の電気抵抗を得るには、撚り本数を1.64倍にしなければならない。
図7の計算で基準として用いたN=25の1.64倍はN=41である(図中の白三角)から、図示したグラフ上、誘導加熱をする上で両者のバネ定数がほぼ同一となる。
【0052】
つまり、単に、銅製リッツ線をアルミ製リッツ線に代えただけでは、実際に採用可能な加熱コイル同士で比べたときのバネ定数は同等となるため、本体の落下時等に加熱コイル上面の凹凸に起因してトッププレート2に局所的に与えられる衝撃も同等となるため、銅製リッツ線をアルミ製リッツ線に代えることは、トッププレート2の割れ防止等に寄与しない。
【0053】
そこで、実施例1では
図6に示すように、リッツ線を本体1の上下方向に略格子状に複数段重ねて巻いた構成とし、上記リッツ線によるバネ定数kを直列に二段に繋げることで、バネ定数を半減させるものである。ここで、上下方向の巻き段数を増やせば容易にバネ定数を低減できることは言うまでもない。
【0054】
しかし、三段以上重ねて巻いた加熱コイルは、金属鍋と加熱コイルとの相対距離が離れ、加熱効率が低下する傾向が生じるので、二段程度が適している。
【0055】
尚、
図7の計算はN=25本の銅製リッツ線を基準としたが、上記のようにバネ定数はEとNの比率で求められるので、基準のNが幾つであっても結果は同じである。ただ、銅やアルミの素線の材質により、ヤング率Eは多少変化する。しかし、計算上、バネ定数の値が数十%以上変わることが無いことは確認済みであり、実施例1の構成が課題解決に有効であることは揺るがない。
【0056】
また、実施例1の構成による高弾力かつ軽量の加熱コイル22aであれば、本体落下時等に瞬間的に発生する荷重を小さくできるので、
図8に示すような荷重が集中し易いコ字断面形状のようなフェライト24を搭載しても、フェライトの24の割れや損傷が抑えられる。図示したコ字形状のフェライト24では、加熱コイル22aと金属鍋の間の磁束漏れを抑制し、金属鍋の加熱効率をより向上させることができる。尚、このフェライト24形状は、コ字形状に比べて製作が容易なL字形状を用いた場合でも同様の効果がある。
【0057】
ここで、アルミ製リッツ線を用いた例として、リッツ線の撚り本数Nを38本、外側リッツ線220aの巻き数を10〜15ターン、内側リッツ線220bの巻き数を4〜8ターンでニ段に積層した加熱コイルの検証を行い、磁性金属、非磁性金属の何れの金属鍋に対しても従来の銅製リッツ線による加熱コイルと同等の火力仕様をより軽量の加熱コイルで実現できることが確認できた。即ち、アルミ製リッツ線の撚り本数Nを略38本、外側リッツ線220aの巻き数を10〜15ターン、内側リッツ線220bの巻き数を4〜8ターンでニ段に積層した加熱コイルを使用することにより、従来製品と同等の火力の実現と、トッププレート2やフェライト24の損傷低減が可能となった。
【0058】
なお、
図5、
図6では、右側の加熱コイル22aにアルミ製リッツ線を採用した例を示したが、左側の加熱コイル22bや中央の加熱コイル22cにアルミ製リッツ線を採用しても同等の効果を得ることができる。更に、トッププレート2上の鍋載置部90の下方全てに、実施例1の加熱コイルを適用すれば、本体1が軽量化され、よりトッププレート2やフェライト24の損傷を抑えられる。
【0059】
図6に示す上下に二段重ねてリッツ線を巻いた加熱コイル22aは、上記のように従来の加熱コイルに比べ低弾性になっており、課題に挙げた落下時のトッププレート2との衝突を緩和することにより、トッププレート2の割れや損傷を低減できる。また、同様に、加熱コイル22aが衝撃力の一部を吸収することにより、コイルベース21に配置されるフェライト24にかかる荷重も低減でき、フェライト24の亀裂や破壊を防止できる。
【0060】
また、図示したように、加熱コイル22aを外側リッツ線220aと内側リッツ線220bに、半径方向に二重に分割した構成であれば、さらに加熱コイル22aのバネ定数を低減させ、より衝撃に強い信頼性の高いIHクッキングヒータを実現できる。
【0061】
また、上記のような構成は、金属鍋を均一に加熱するために有効な配置であるし、その外側リッツ線220aと内側リッツ線220bの間に別途、温度センサ23を配置すれば、金属鍋底面の最高温度部位に近い位置にセンサを配置でき、金属鍋温度を適切に制御できる火力設定が可能となる。温度センサ23は、サーミスタで無く、赤外線センサのような非接触センサを用いてもよい。
【0062】
尚、加熱コイル22aは半径方向に二重でなく、三重、四重とすれば、よりバネ定数を小さくできることは言うまでも無い。また、コイルベース21上に小径の加熱コイルを複数配置する構成であっても同様の効果がある。
【0063】
次に、アルミ製リッツ線による加熱コイルを、ロースター部10から最も遠い位置となる右側の加熱コイル22aに適用する利点を、IHクッキングヒータの重量バランスとともに説明する。
【0064】
図3に示すように、本実施例のロースター部10は、被加熱物を載置する焼き網14と、焼き網14を載せ被加熱物の油や水分等を受ける受け皿13と、被加熱物を加熱する上ヒータ11と下ヒータ12と、で構成されており、その庫内に大きな重量物は存在しない。
【0065】
一方、インバータ基板51aと制御基板51bが上下方向に積層して配置される基板ケース5には、インバータ基板51a上の電子部品52や高発熱素子59とともに、該高発熱素子59に設置したアルミ製のヒートシンク55など重量物が多数収納される。このため、本体1の重心は中心より基板ケース5側(右側)に偏心することになる。
【0066】
つまり、図示したIHクッキングヒータの本体1を正面から持った場合、右手にかかる荷重が左手の数倍になり得る。
【0067】
ここで、従来製品において、本体1の収納される重量の大きな部品は、比重の大きな金属が高密度に集中する部品である。例えば、エナメル被覆銅線を複数本撚り合わせたリッツ線を巻いた加熱コイル、銅箔層の配線パターンを有する各基板、各基板上のチョークコイルやヒートシンクなどがこれらに相当する。
【0068】
上記部品の中で最も重い部品は、リッツ線で構成される加熱コイルであり、インバータ基板51a上方の加熱コイルのリッツ線としてアルミ製のものを用いることにより重心の偏りを緩和できる。
【0069】
銅の比重は8.96、アルミの比重は2.7であり、銅はアルミの約3.3倍重い材料である。従って、
図7に示す同一電気抵抗にする撚り本数の比率1.64に比べ、約2倍の値である。つまり、同一電気抵抗で構成したアルミ製のリッツ線と、銅製のリッツ線では約2倍の重量差があり、従来の銅製リッツ線による加熱コイルを、アルミ製リッツ線で構成することにより、局所的にかかるコイル重量を半減できる。
【0070】
そこで、実施例1ではアルミ製の素線を撚り合わせたリッツ線で構成される加熱コイル22aを、少なくともロースター部10から最も遠い右側の鍋載置部90に配する構成にした。
【0071】
本構成により、本実施例に示すIHクッキングヒータの場合、ロースター部10と左側の加熱コイル22bの重量和に、基板ケース5と右側の加熱コイル22aの重量和に近づけることができ、重心位置を従来構成から、中心側に移動できる。
【0072】
また、上記の加熱コイル22aは、加熱コイルの中で最もファン装置4に近い上流側、或いは吸気口9aに近い位置に配置されるので、他の加熱コイルよりも多くの冷却風を供給することができ、コイル冷却が容易になる。
【0073】
上記のようにアルミ製リッツ線を用いた加熱コイルは、右側のみに限らず、ロースター部10が右側の時は逆に左側22b、或いは右側22aと左側22bの両方、或いは右側22aと中央22c、或いは全て22a、22b、22cに搭載しても、重心位置は従来構造よりも本体1中心に近寄ることになる。
【0074】
このように、アルミ製の素線を撚り合わせたリッツ線を巻いた加熱コイル22aにより、本体1の左右の重量バランスを均等に近づけることで、製品の搬送やキッチンへの据付け時に、落下などの衝撃を本体1に与える状況を未然に防止することができる。
【実施例2】
【0075】
図10及び
図11を用い、実施例2の誘導加熱調理器における加熱コイル部の構成について説明する。なお、実施例1と共通する点は説明を省略するものとする。
【0076】
実施例2では、コイルベース21の外周3箇所に加熱コイル22aを覆うスペーサ20を配したものである。該スペーサ20の配置により、支持部27のバネ27aで均等にコイルベース21をトッププレート2に押し付けることができ、加熱コイル22aとトッププレート2の間隙Hbを更に安定して保持できる。
【0077】
また、実施例2の構成では、製品落下時にいずれか二つのスペーサ20を軸にコイルベース21が斜めに傾き、加熱コイル22aの外周端がトッププレート2に局所的な荷重を与える原因となるので、アルミ製リッツ線を用いた高弾力かつ軽量の加熱コイルが瞬間的に発生する荷重の低減に寄与する。
【0078】
このように、従来以上の弾力性を加熱コイルに持たせることで、トッププレート2やフェライト24の割れや損傷を低減できる。
【0079】
ここで、
図6に示した加熱コイル部を例に、本体1の高さ方向の間隙について記載する。上記構成により、加熱コイル22aとトッププレート2の接触によるトッププレート2やフェライト24の割れを抑制することができたので、当然トッププレート2と加熱コイル22aの間隙Hbを小さくできるし、トッププレート2の厚さHaも薄くすることができる。ここで、一般的に使用されるトッププレート2の厚さHaはHa=4mmが多いが、4mm以下にして金属鍋と加熱コイル22aの距離を縮め、加熱コイルと金属鍋の磁気結合を高めて金属鍋を効率よく誘導加熱させることで加熱時間を短縮し、消費電力を低減させることも可能である。
【0080】
ここで、材料力学では、最大曲げ応力が厚さの二乗に反比例する。よって、実施例2の構成により、例えば衝撃荷重を半減できれば、厚さを1/1.4に低減できる。つまり、Ha=約3mmが計算上実現可能である。
【0081】
ただ、上下二段に巻いた加熱コイルが、
図6の断面のような略格子状の整列でなく、
図8の断面のような略千鳥状の整列であれば、バネ定数は半減まで行かないため、Ha=3.5mmが設計上、望ましい値と思われる。
【0082】
あるいは、
図9に示す加熱コイル22aのようにリッツ線を上下交互に配置させれば、千鳥状の配列に比べてバネ定数を小さくでき、より衝撃に対して弾力を持たせることができる。また、
図9では、加熱コイルの厚さHcを薄く構成でき、加熱コイル周りに構成する冷却風路の空間を確保し易くなる。
さらに、
図9の加熱コイルは上下面の凹凸が大きくなり、放熱面積が増加するため、加熱コイル22aの冷却も良好となる。
【0083】
また、トッププレート2と加熱コイル22aの間隙Hbは、特にトッププレート2の割れが生じ難いように、近接させることも可能である一方、加熱コイル22a表面を冷却する空気の風路が必要となるため、加熱効率と冷却を考慮したHb=2.5〜3mmとすることが望ましい。
【0084】
また、加熱コイル22aの厚さHcは、薄いほど金属鍋と加熱コイル22aの結合が良くなり効率よく誘導加熱できるので、Hc=4〜5mmで構成することが望ましい。