特許第6138747号(P6138747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コヴィディエン リミテッド パートナーシップの特許一覧

<>
  • 特許6138747-針生検装置 図000002
  • 特許6138747-針生検装置 図000003
  • 特許6138747-針生検装置 図000004
  • 特許6138747-針生検装置 図000005
  • 特許6138747-針生検装置 図000006
  • 特許6138747-針生検装置 図000007
  • 特許6138747-針生検装置 図000008
  • 特許6138747-針生検装置 図000009
  • 特許6138747-針生検装置 図000010
  • 特許6138747-針生検装置 図000011
  • 特許6138747-針生検装置 図000012
  • 特許6138747-針生検装置 図000013
  • 特許6138747-針生検装置 図000014
  • 特許6138747-針生検装置 図000015
  • 特許6138747-針生検装置 図000016
  • 特許6138747-針生検装置 図000017
  • 特許6138747-針生検装置 図000018
  • 特許6138747-針生検装置 図000019
  • 特許6138747-針生検装置 図000020
  • 特許6138747-針生検装置 図000021
  • 特許6138747-針生検装置 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138747
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】針生検装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20170522BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20170522BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20170522BHJP
   A61B 1/00 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
   A61B10/02 110K
   A61B10/04
   A61B8/12
   !A61B1/00 334D
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-236354(P2014-236354)
(22)【出願日】2014年11月21日
(62)【分割の表示】特願2011-530227(P2011-530227)の分割
【原出願日】2009年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-107324(P2015-107324A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】12/243,367
(32)【優先日】2008年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ミューガン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マクウィーニー、ジョン
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−513692(JP,A)
【文献】 特開2005−058431(JP,A)
【文献】 特開2004−181095(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/138674(WO,A1)
【文献】 特開2002−136040(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132538(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0228312(US,A1)
【文献】 国際公開第2004/107988(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/013130(WO,A1)
【文献】 特開平09−122067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00 − 10/06
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針生検用の装置であって、
近位部および遠位部を有するハンドル部材と、
前記ハンドル部材の前記近位部に配置された近位ハンドル部材であって、解放部材を含む近位ハンドル部材と、
前記ハンドル部材の前記遠位部に配置された遠位ハンドル部材
前記ハンドル部材内に配置され、前記ハンドル部材の前記遠位部から延出するシースルーメンと、
前記近位ハンドル部材に着脱可能に配置された針収容部材であって、前記解放部材の作動は、前記近位ハンドル部材からの前記針収容部材の離脱を引き起こし、これにより、前記装置から前記針収容部材を解放する、針収容部材と、
前記シースルーメン内に配置された針であって、前記針の少なくとも一部は、ポリマーによって取り囲まれている、針と
を含む、装置。
【請求項2】
前記ポリマーは、滑らかな材料から成る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポリマーは、前記針の全体的寸法を増大させることで前記針が前記シースルーメンを通過し前記シースルーメンから取り外される際に前記針に安定性をもたらす、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記針の少なくとも一部は、エコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記針は、前記針の内部に配置されたスタイレットを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
針生検用の装置であって、
近位部および遠位部を有するハンドル部材と、
前記ハンドル部材の前記近位部へ摺動により係合可能に構成され、摺動による移動を制約するために第一の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する摩擦部材を含む、前記ハンドル部材の前記近位部に配置された近位ハンドル部材であって、前記第一の一連の凹部は、前記ハンドル部材の前記近位部上に形成されており、かつ、前記ハンドル部材の前記近位部に沿って配置されている、近位ハンドル部材と、
前記ハンドル部材の前記遠位部へ摺動により係合可能に構成され、摺動による移動を制約するために第二の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する摩擦部材を含む、前記ハンドル部材の前記遠位部に配置された遠位ハンドル部材であって、前記第二の一連の凹部は、前記ハンドル部材の前記遠位部上に形成されており、かつ、前記ハンドル部材の前記遠位部に沿って配置されている、遠位ハンドル部材と、
前記ハンドル部材内に配置され、前記ハンドル部材の前記遠位部から延出するシースルーメンと、
前記近位ハンドル部材に着脱可能に配置された針収容部材と、
前記シースルーメン内に配置された針であって、前記針は、前記針の表面上に配置された複数の突出部を含む、針と、
ポリマーに取り囲まれた前記針の少なくとも一部と
を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に生検装置、より詳細には超音波内視鏡検査または超音波気管支内視鏡検査のような処置と併せて組織、流体および細胞試料を収集するための針生検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡検査は医学分野内で25年以上用いられている。これらの処置は臨床医が胃腸(GI)管の個々の層をスキャンし、位置づけ、同定し、個々の粘膜層および粘膜下層の位置を判定することを可能にする。その結果、悪性腫瘍および種々の異常に対する処置の適切な治療法が決定され得る。
【0003】
超音波内視鏡処置は複数のステップから成る。第一に、臨床医は患者を鎮静状態にし、食道胃十二指腸内視鏡検査によってプローブを患者の胃および十二指腸に挿入する。第二に、内視鏡が患者の口に通され、十二指腸レベルまで進められる。第三に、食道と十二指腸との間の種々の位置から異常を判定するために胃腸管の外側の器官または塊が撮像される。第四に、何らかの異常が存在する場合、器官または塊は「細針吸引」(FNA)のプロセスを通じて生検される。
【0004】
現在、細針吸引を通じた超音波内視鏡検査および超音波気管支内視鏡検査は胃腸管内視鏡検査および気管支鏡検査分野で標準的な処置法である。従来、これらの処置は、食道癌、膵臓癌、肝腫瘤、非小細胞肺癌、膵腫瘤、気管支内腫瘤および腹腔内リンパ節のような疾患の徴候の管理において高率の感受性および特異性をもたらす。
【0005】
細針吸引を通じた超音波内視鏡検査は、典型的な超音波内視鏡のルアーポートまたはワーキングチャネルに取り付けられた装置を必要とする。従来技術の装置は装置のカテーテルシャフトの軸方向移動および針貫通の深さを制御するために一連のプッシュ・プル・ハンドルを用いる。しかし、これらの装置にはいくつかの欠点がある。
【0006】
第一に、装置を超音波内視鏡に取り付ける手段が難しい。例えば、現在、これらの装置は内視鏡の雌ルアーポートにねじ込まれねばならない雄フィッティングアダプタを用いる。第二に、従来技術の装置は人間工学的に最適ではない。具体的には、臨床医は多くのハンドルを独立して作動させ、装置を固定するためにキャップスクリュー配置を介してそれぞれのハンドルを所定位置にロックせねばならない。臨床医に必要とされる累積的な動作は有意に長引く処置をもたらす。第三に、一般的に、針は装置からの取外し時にねじれ、あるいは変形し、多くの遅延および障害を引き起こす。第四に、処置毎に複数回針を通過させる必要があり、これは処置を長引かせ、臨床医は各々の新たな通過の際に関して所望の吸引部位に対する針の位置を再確認する必要が生じる。
【0007】
加えて、従来技術の装置は種々の径の針を個々に収容するように設計されていない。具体的には、臨床医が複数の針サイズを用いることを選択する場合、装置は処置時に内視鏡から取り外されねばならない。例えば、臨床医は、1)19 AWGの径を有する針を有する装置で超音波内視鏡処置を開始し、2)吸引し、3)針収容部材を装置から取り外し、4)装置を内視鏡から取り外し、5)新たな装置を内視鏡に取り付け、22 AWGの径を有する針を挿入し、6)装置のシースルーメンを通じて針を通し、処置を継続する。この場合、装置を内視鏡から取り外さないと、大きい針からより小さい針に移行する際、シースの内径と針の外径との間の隙間の差異は増大する。その結果、針が所望の病変または嚢胞を穿刺する能力が不安定になり、臨床医の操作時間の増大および処置効率の喪失を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、超音波内視鏡処置に使用するには、装置を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、超音波内視鏡検査または超音波気管支内視鏡検査のような処置と併せて組織、流体および細胞試料を収集するための針生検用の装置が提供される。
【0010】
第一の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。シース(鞘状)ルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。加えて、針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置される。また、針がシースルーメン内に配置され、複数の突出部がそこに配置される。
【0011】
一実施形態では、複数の突出部が針の長さ方向に沿って分布され得る。あるいは、複数の突出部は針の長さ方向にわたって一定の増分にて配置され得る。加えて、突出部は針の長さ方向の少なくとも一部に分布され得る。
【0012】
別の実施形態では、針の少なくとも一部は針の全体的寸法を増大させるためのテーパ状領域を含み得る。テーパ状領域およびシースルーメンは、針がシースルーメンを通過する際に針を安定させるための干渉を付与し得る。前記干渉は針の外径とシースルーメンの内径との間に摩擦抵抗を生じさせる牽引力であり得る。別の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴をも含み得る。更なる実施形態では、スタイレット(探り針)が針内に配置される。
【0013】
第二の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。加えて、針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置される。更に、針がシースルーメン内に配置され、針の少なくとも一部がポリマーに取り囲まれる。
【0014】
一実施形態では、ポリマーは滑らかな(lubricious)材料であってよい。ポリマーは針の全体的寸法を増大させ、針がシースルーメンを通過する際に針を安定させ得る。別の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴をも含み得る。更なる実施形態では、スタイレットが針内に配置される。
【0015】
第三の態様では、針生検用の装置は、近位部、遠位部およびストップ部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。近位ハンドル部材はハンドル部材の近位部へ摺動して係合可能に構成され、摩擦部材を含む。摩擦部材は、摺動による移動を制約するためにハンドル部材の近位部に沿った第一の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する。遠位ハンドル部材はハンドル部材の遠位部へ摺動して係合可能に構成され、摩擦部材を含む。摩擦部材は、摺動による移動を制約するためにハンドル部材の遠位部に沿った第二の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する。シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置され、シースルーメン内に配置される針を含む。
【0016】
一実施形態では、第一の一連の凹部の少なくとも1つの凹部は、針がシース部材の遠位部を超えて延びる長さを表し得る。加えて、第二の一連の凹部の少なくとも1つの凹部は、シース部材が遠位ハンドル部材の遠位部を超えて延びる長さを表し得る。
【0017】
別の実施形態では、ハンドル部材のストップ部が近位および遠位ハンドル部材間に配置される。ストップ部は、近位ハンドル部材の遠位ハンドル部材への軸方向移動および遠位ハンドル部材の近位ハンドル部材への軸方向移動を防止し得る。
【0018】
別の実施形態では、摩擦部材は雌凹部に係合するように構成された嵌合端部を有する雄凹部を含み得る。摩擦部材は雄凹部に係合するように構成された嵌合端部を有する雌凹部をも含み得る。別の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴も含み得る。更なる実施形態では、スタイレットが針内に配置される。
【0019】
第四の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。遠位ハンドル部材は、医療装置に軸方向に結合し、かつ医療装置のチャネルポートに対して係合・離脱する、解放部材を有するコネクタを含む。加えて、シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。更に、針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置され、シースルーメン内に配置される針を含む。
【0020】
一実施形態では、チャネルポートは医療装置のルアーポートであってよい。別の実施形態では、コネクタは医療装置に結合するための少なくとも2つのアダプテーション(適合部)を含み得る。2つのアダプテーションは医療装置の長手軸に対しても結合し得る。別の実施形態では、コネクタは遠位ハンドル部材の遠位部に配置される。解放部材は押下可能であってもよい。別の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴も含み得る。更なる実施形態では、スタイレットが針内に配置される。
【0021】
第五の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。近位ハンドル部材は少なくとも1つのアダプテーション部材を含む。シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。ハンドル部材の長手軸に対して実質的に横方向に移動可能な針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置される。針収容部材はシースルーメン内に配置される針および歪み緩和部材を含む。
【0022】
一実施形態では、針収容部材は少なくとも1つのアダプテーション部材に係合するための少なくとも1つの凹部を含み得る。別の実施形態では、針収容部材は針収容部材を実質的に横方向に移動させることによって近位ハンドル部材から取り外され得る。この移動は少なくとも1つの凹部を少なくとも1つのアダプテーション部材から離脱させ得る。
【0023】
別の実施形態では、近位ハンドル部材は針収容部材を係合・離脱する解放部材を含み得る。加えて、解放部材は押下可能であってもよい。他の実施形態では、歪み緩和部材は、近位ハンドル部材からの取外し時に針の変形を低減するために少なくとも1つのアダプテーション部材と針との間に半柔軟な移行を提供し得る。別の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴も含み得る。更なる実施形態では、スタイレットが針内に配置される。
【0024】
第六の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。ハンドル部材の長手軸に対して実質的に横方向に移動可能な針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置される。複数の突出部が配置された針がシースルーメン内に配置される。
【0025】
一実施形態では、複数の突出部が針の長さ方向に沿って分布され得る。複数の突出部は針の長さ方向にわたって一定の増分にて配置され得る。加えて、突出部は針の長さ方向の少なくとも一部に分布され得る。
【0026】
別の実施形態では、針の少なくとも一部は針の全体的寸法を増大させるためのテーパ状領域を含み得る。テーパ状領域およびシースルーメンは、針がシースルーメンを通過する際に針を安定させるための干渉を付与し得る。この干渉は針の外径とシースルーメンの内径との間に摩擦抵抗を生じさせる牽引力であり得る。
【0027】
別の実施形態では、針収容部材は少なくとも1つのアダプテーション部材に係合するための少なくとも1つの凹部を含み得る。針収容部材は針収容部材を実質的に横方向に移動させ、これにより、少なくとも1つの凹部を少なくとも1つのアダプテーション部材から離脱させることによって近位ハンドル部材から取り外され得る。近位ハンドル部材は針収容部材を係合・離脱する解放部材も含み得る。加えて、解放部材は押下可能でもよい。別の実施形態では、歪み緩和部材は、針がシースルーメンから取り外される際の針とシースルーメンとの間の牽引力を低下させる。他の実施形態では、針の少なくとも一部はエコー輝度および超音波可視性を高める材料または設計特徴も含み得る。更なる実施形態では、スタイレットが針内に配置される。
【0028】
第七の態様では、針生検用の装置は、近位部および遠位部を有するハンドル部材と、ハンドル部材の近位部に配置された近位ハンドル部材と、ハンドル部材の遠位部に配置された遠位ハンドル部材と、を含む。近位ハンドル部材はハンドル部材の近位部への摺動して係合可能に構成され、摩擦部材を含む。摩擦部材は摺動による移動を制約するためにハンドル部材の近位部に沿った第一の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する。遠位ハンドル部材はハンドル部材の遠位部への摺動可能な係合のために構成され、摩擦部材を含む。摩擦部材は、摺動による移動を制約するためにハンドル部材の遠位部に沿った第二の一連の凹部の少なくとも1つの凹部に係合する。シースルーメンがハンドル部材内に配置され、ハンドル部材の遠位部から延出する。針収容部材がハンドル部材の近位部に部分的に配置される。複数の突出部を配置されて含む針がシースルーメン内に配置される。針の少なくとも一部はポリマーに取り囲まれる。
【0029】
新規であると考えられる本発明の目的および特徴は添付の特許請求の範囲に詳細に示される。本開示は、更なる目的および利点とともに、その構成および作動方法に関し、以下に示される図面と関連づけて以下の説明を参照することによって最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】針生検装置を示した斜視図である。
図2】ハンドル部材を示した斜視図である。
図3】ハンドル部材の近位部を示した断面図である。
図4】ハンドル部材の近位部および近位側ハンドル部材を示した断面図である。
図5】針生検装置の組立てられた近位部を示した断面図である。
図6】針生検装置の組立てられた遠位部を示した部分断面図である。
図7】針生検装置の組立てられた遠位部を示した斜視図である。
図8】本発明の別の実施形態によるコネクタを示した断面図である。
図9】本発明の別の実施形態によるコネクタを示した斜視図である。
図10】本発明の別の実施形態によるコネクタを示した断面図である。
図11】本発明の分解遠位部を示した部分断面図である。
図12】針収容部材を示した斜視図である。
図13】本発明の別の実施形態による針収容部材を示した斜視図である。
図14】本発明の別の実施形態による針収容部材を示した斜視図である。
図15】本発明の別の実施形態による針収容部材を示した斜視図である。
図16】本発明の別の実施形態による針収容部材を示した断面図である。
図17】シースルーメンを示した斜視図である。
図18】本発明の別の実施形態による針を示した断面図である。
図19】本発明の別の実施形態による針を示した断面図である。
図20】本発明の別の実施形態による針を示した断面図である。
図21】本発明の別の実施形態による針を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
開示される針生検装置の例示的な実施形態および操作方法を、音波内視鏡検査または超音波気管支内視鏡検査と併せて身体由来の組織、流体および細胞試料を収集するための針生検装置の点から説明する。しかし、本開示は被験者からの試料の収集のための広範な生検装置に適用できることが想定される。本開示は、静脈切開、消化器、腸管、泌尿器、動物などに関連する処置時のものを含む体液の収集のために用いられることも想定される。針生検装置は、限定されないが、流体収集、カテーテル、カテーテルイントロデューサ、脊髄および硬膜外生検、アフェレーシス(血液浄化療法)、透析などを含む他の針生検適用で用いられ得ることが考えられる。
【0032】
以下の考察では、「近位」という用語は臨床医により近い構造物の部分を指し、「遠位」という用語は臨床医からより遠い部分を指す。本発明によれば、「臨床医」という用語は、試料収集を行い、針生検装置を設置し、あるいは針生検装置から針を取り外す個人を指し、支援要員を含み得る。これより、添付図に示される本開示の典型的な実施形態を詳細に言及する。
【0033】
図1を参照すると、超音波内視鏡検査のような処置時の細針吸引のための装置10が示されている。装置10は一般にハンドル12と、近位ハンドル部材14と、遠位ハンドル部材16と、シースルーメン18と、針収容部材20と、スタイレット21と、針22と、コネクタ24とから成る。
【0034】
一実施形態では、臨床医はコネクタ24を介して装置10を別の医療装置に連結する。引き続き臨床医はスタイレット21および針22を含む針収容部材20を近位ハンドル部材14の近位部に挿入する。スタイレット21は、限定されないが、針22のルーメン内に通される着脱可能な細い同軸ワイヤであってよい。スタイレット21は針22に剛性および安定性を付与し得るものとされる。加えて、スタイレット21は針22を損傷または不注意な試料の収集から保護し得るものと意図される。
【0035】
針22をシースルーメン18に通すと、臨床医はハンドル12の軸に沿って近位ハンドル部材14および遠位ハンドル部材16を摺動可能に操作し得る。このとき、臨床医は近位ハンドル部材14および遠位ハンドル部材16をハンドル12に沿って様々な深さに固定し得る。近位ハンドル部材14の移動は針22をシース18の遠位部から延出させる。加えて、遠位ハンドル部材16の移動はシース18の露出の深さを調節する。臨床医は引き続いてスタイレット21を針収容部材20から引き抜き、針吸引を開始する。
【0036】
図2を参照すると、ハンドル12は、近位部26と、遠位部30と、ストップ部28とを含む。ハンドル12は単一の部材で形成され、硬質ポリマー、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、エーテルブロックアミド共重合体、ポリアセタール、およびこれらの誘導体から射出成形され得る。ハンドル12は複数の部分で組み立てられ、実質的に透明であっても不透明であってもよいと意図されている。ハンドル12は、例えば、長方形、球形、テーパ状などのような様々な構成および寸法であってもよい。
【0037】
ハンドル12は、例えば、スナップフィット、接着剤、溶剤接着、熱溶接、超音波溶接、ねじ、リベットなどのようなあらゆる適切なプロセスによって結合され得る。この構成では、近位部26、遠位部30およびストップ部28がスナップフィットプロセスを通じて結合されるハンドル12が提示されている。一実施形態では、ハンドル12はストップ部28を近位部26に挿入し、続いて遠位部30をストップ部28に挿入することによって組み立てられる。ストップ部28は、図1に示されるように、近位ハンドル部材14および遠位16ハンドル部材の互いに対する軸方向移動を防止するために近位部26と遠位部30との間に配置される。
【0038】
ストップ部28は成形に組み込まれる細部34を有する円形リングの形状をとる。細部34はハンドル12の近位部26および遠位部へのストップ部28の挿入を容易にする。細部34は近位部26、ストップ部28および遠位部30間の恒久的な結合を生じさせ得るものとされる。
【0039】
図3を参照すると、細部36が雄・雌嵌合構成から成る別の実施形態が提示されている。細部36はハンドル40の近位部における雌型凹部38に嵌合する円形雄隆起部から成る。細部36とハンドル40の遠位部(図示せず)との間に同一の構成が存在し得るものとされる。ストップ部42が雌型凹部である細部36を含み、ハンドル40の近位および遠位部が円形雄隆起部を含む構成が更に考えられる。
【0040】
図4を見ると、近位ハンドル部材44がその上に配置されたハンドル46の近位部が提示されている。ハンドル46はハンドル46の軸に沿った摺動可能な係合を容易にするために凹部48を含む。凹部48は、リブ、隆起部または他の形態の戻り止めの形態をとり得る。好ましい実施形態では、凹部48はハンドル46に沿って約1センチメートルの間隔で配置づけられる。
【0041】
この構成では、近位ハンドル部材44は細部部材50を含む。細部部材50は近位ハンドル部材44が凹部48に係合するための手段を提供する。図3に先に提示されたように、細部部材50はスナップフィット係合プロセスを容易にするために雄嵌合構成を同様に含む。細部部材50は、雌凹部54に嵌合し、その間の恒久的結合を形成し得る雄隆起部材52を含む。
【0042】
細部部材50は、ハンドル46の近位部に沿った第一の一連の凹部48の少なくとも1つの凹部48との係合を容易にする摩擦部材56を含む。第一の一連の凹部48の少なくとも1つの凹部48に係合する摩擦部材56間に摩擦牽引力が生じる。近位ハンドル部材44および細部部材50が別のプロセス、例えば、接着剤、溶剤接着、熱溶接、超音波溶接などによって結合され得るものと意図される。
【0043】
摩擦部材56は、限定されないが、半円形掛部(barb)のような突出部でよい。好ましい実施形態では、摩擦部材56は第一の一連の凹部48の少なくとも1つの凹部48に係合し、臨床医に近位ハンドル部材44の確実な深さ測定を提供する。加えて、摩擦部材56は近位ハンドル部材44を所定位置にしっかりと固定し、臨床医に一貫した基準点を提供するのに役立つ。複数の摩擦部材56が用いられ得ることが考えられる。複数の摩擦部材56はハンドル46の特定の要件に従って種々の可撓性であってよい可撓部を有し得ることも考えられる。
【0044】
図5を参照すると、完全に組み立てられた近位はんどる部材60の近位部が示され、近位ハンドル部材60は針66をシース68内に摺動可能に進入させることができる。この構成では、摩擦部材58は半円形掛部として近位ハンドル部材60の遠位部に配置される。図示されているように、摩擦部材58は、近位ハンドル部材60がハンドル部材64の軸に沿って任意の複数の位置における凹部62に係合可能になっている。各凹部62は針66がシース68に対して延長する特定の長さを表し得ることが意図されている。より具体的には、係合位置では、臨床医は針66がシース68の遠位端を超えて延長し得る最大長さを設定し得る。臨床医は近位ハンドル部材60の遠位部に圧力を加えることによって針66の位置を容易に操作し得る。近位ハンドル部材60を移動させるのに過度の圧力レベルは必要ではないものとされる。しかし、その圧力は摩擦部材58と少なくとも1つの凹部62との間に生じる摩擦抵抗を克服するのに十分でなければならない。
【0045】
図6〜7を参照すると、図5に記載された近位ハンドル部材と類似の構成の遠位ハンドル部材70が示されている。遠位ハンドル部材70は、ハンドル74の遠位部に沿った第二の一連の凹部73の少なくとも1つの凹部73との係合を容易にする摩擦部材71を含む。ハンドル74に沿った第二の一連の凹部73の少なくとも1つの凹部73に係合する摩擦部材71間に摩擦牽引力が生じる。
【0046】
近位ハンドル部材(図示せず)および遠位ハンドル部材70はハンドル74に沿った途切れのない移動を容易にする構造的アダプテーション72を更に含む。本構成では、構造的アダプテーション72は遠位ハンドル部材70の他の部分より大きい外径を有する。加えて、構造的アダプテーション72は臨床医の指または親指の配置位置として機能するように人間工学的に構成される。構造的アダプテーション72はハンドル74に沿った遠位ハンドル部材70の移動を容易にする表面を提供し得ることが意図される。その表面はゴムまたは他のポリマー材料のような材料からなっていてよいものとされる。構造的アダプテーション72はハンドル74に対するシース76の位置を測定するための感触測定システムも提供し得る。
【0047】
遠位ハンドル部材70は針生検装置を別の医療装置に係合するための手段も提供する。図7を参照すると、遠位ハンドル部材70は装置の別の医療装置への取付けを容易にするコネクタ78を提供する。コネクタ78は別の医療装置におけるコネクタ、例えば、チャネルまたはルアーポートと構造的に相互作用することができる。コネクタ78と別の医療装置におけるコネクタ(図示せず)との相互作用は、限定されないが、嵌合または固定結合であってよい。
【0048】
図8を参照すると、コネクタ78の別の実施形態が示されている。コネクタ78は医療装置84のチャネルポート82からの装置80の迅速な結合および結合解除のための機構を提供する。コネクタ78は医療装置の長手軸に対する結合を提供するアダプテーションを含む。そのアダプテーションは雌嵌合構成であってよく、チャネルポート82からの装置80の側方負荷による取外し動作(side loading removal motion)を更に提供
し得るものと意図される。コネクタ78は更に、装置80が軸および垂直方向にチャネルポート82にしっかりと固定されるような大きさであるものと意図される。
【0049】
図9を参照すると、クイック結合コネクタ86の別の実施形態が示されている。クイック結合コネクタ86は医療装置の長手軸に対する結合を提供する2つのアダプテーション88を含む。2つのアダプテーション88は別の医療装置の雌嵌合チャネルポートに係合する雄嵌合構成を表し得るものとされる。2つのアダプテーションにより医療装置へ更に確実に結合可能になるものと想定される。
【0050】
図10を参照すると、コネクタ90の別の実施形態が示されている。コネクタ90は異なるチャネルポートを有する他の医療装置への結合を容易にするばね仕掛け機構である。本構成では、臨床医は装置96を別の医療装置100のチャネルポート98に軸方向に迅速に装着することができる。ばね94と協調して動作するボタン92が提供され、装置96と別の医療装置100との間にばね荷重張力を付与する。また、ボタン92は押し下げられることで、ばね荷重張力を解放して装置96を外すことができる。ボタン92は臨床医が装置96の所望の構成を妨害することなく、指または親指を用いてボタン92を押し下げることを可能にする位置にあってよいことが意図される。
【0051】
図11を参照すると、ハンドル102の遠位部が提示され、コネクタ104はスナップフィットプロセスによって結合される。コネクタ104は雌嵌合部材108に係合する雄嵌合構成であり得るスナップフィット細部106を用い得ることが考えられる。一実施形態では、スナップフィット細部106は雌嵌合部材108に恒久的に固定される。コネクタ104は迅速結合機構の必要性を満たすために、2つの突出雄嵌合アダプテーション、雌嵌合アダプテーション、ばね荷重機構などの形態のアダプテーション等であってよいことが更に考えられる。
【0052】
図1,4および11を参照すると、針生検装置はコネクタ104を遠位ハンドル部材110に係合し、続いて遠位ハンドル部材110をストップ部112に取り付けることによっても組み立てられ得る。ストップ部112は図1に示されるようにハンドル12の組立てを完了するために図4に示されるようにハンドル46に取り付けられ得る。
【0053】
図12および13を見ると、針生検装置の組立ては針収容部材114を近位ハンドル部材122に挿入することによって完了し得る。針収容部材114は、吸引試料が病変または異常の部位において採取された後、臨床医が針116を迅速に途切れなく(シームレスに)取り外すことを可能にするように設計される。
【0054】
針収容部材114は、針116、ハブ118および歪み緩和部120を含む。超音波内視鏡処置の様々な要件により、針116は50cm〜250cmの長さに及ぶように設計され得る。加えて、針116は臨床医が吸引試料の収集に備えて組織を貫通するのに役立つようにその遠位端の片方又は両方が傾斜されて面取りされ得る。針116はいくつかの金属ベースの材料、例えば、ステンレス鋼またはその合金ならびにニチノールまたはその合金から製造され得ることが考えられる。あるいは、針116は、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、エーテルブロックアミド共重合体、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレンおよびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されないポリマー材料から製造され得る。更に、金属ベースの材料とポリマー材料との組合せもまた本発明の目的に適し得る。当業者は本開示による製造に適した他の材料も適切であることを理解するものと考えられる。
【0055】
針116は針収容部材114に確実に結合されることを必要とする。一実施形態では、針は接着によって針収容部材114に取り付けられる。接着はこの目的のために適するが、直接噴射オーバーモールド(direct injection over-molding)のような代替的な好ま
しい方法も用いられ得る。
【0056】
オーバーモールド法は2つの構成部品の二段階成形作業から成る。第一に、内側部品(図示せず)は剛性ポリマーから成る。内側部品の目的はハブ118と針116との間に一次結合を付与することにある。内側部品は40〜85の範囲のショアデュロメータDのショア硬度を有することが考えられる。しかし、70〜85の範囲のショアデュロメータDのショア硬度が一般に好ましい。ショア硬度はショアデュロメータDに加えてショアデュロメータAのスケールを含み得ることが考えられる。
【0057】
第二に、針収容部材114は歪み緩和部120から成る外側部品を含む。従来技術文献に関連する一般的な問題は、装置に対する挿入・取外し時の針のねじれおよび変形である。歪み緩和部120は、近位ハンドル部材122に対する挿入・取外し時に針収容部材114に円滑な移行および曲げ半径を付与することによってこの問題に対処するように設計される。歪み緩和部120は10〜55デュロメータの範囲のショア硬度を有する比較的軟質のポリマーから成る。しかし、30〜45デュロメータの範囲のショア硬度が好ましいものと考えられる。
【0058】
図14を参照すると、針収容部材124の別の実施形態が示されている。本構成では、針収容部材124は近位ハンドル部材126の近位部における開口部に装着される。臨床医が装置から手を離す必要性を制限するため、針収容部材124は針収容部材124の挿入・取外しを容易にするために歪み緩和部120のすぐ近位側にある結合細部128を提供する。より具体的には、結合細部128は近位ハンドル部材126に対する針収容部材124の迅速な結合・離脱のための手段を提供する。針収容部材124を近位ハンドル部材126に挿入すると、雌結合細部130は近位ハンドル部材126に収容された雄結合細部132に係合する。雌結合細部130と雄結合細部132との係合によって針収容部材124は軸方向に確実に固定される。この固定は確実に針サブアセンブリが使用中に移動あるいは変形し得ないようにする。
【0059】
本構成は臨床医が針収容部材124を近位ハンドル部材126から容易に離脱させることを可能にするように設計される。例えば、臨床医は針吸引を通じて所望の組織または流体試料を取得すると、針収容部材124に実質的に横方向に力を加えることができる。針収容部材124は続いて針に含まれる試料を処理するために引き込まれ得る。その結果、臨床医は近位ハンドル部材126の位置を再構成することなく、途切れなく試料を取得し、別の針収容部材124を挿入することができるものとされる。
【0060】
図15および16を参照すると、装置136からの針収容部材134の取外しを容易にするためにばね仕掛け機構が提供され得ることが考えられる。本構成では、レバー140と協調して機能する解放部材138が提供される。レバー140は針収容部材134を装置136に確実に取り付けるためにばね142の荷重張力下で作動する。レバー140は解放部材138を押し下げることによって作動される。解放部材138を押し下げると、ばね142によって解放される張力はレバー140に針収容部材134を装置136から解放させる。
【0061】
図17を見ると、図1に示されるように近位ハンドル部材14から遠位ハンドル部材16を通じて針22を収容するために、シースルーメン144が提供される。シースルーメン144は、これに限定されないが、熱可塑性プラスチック材料から成る。熱可塑性プラスチック材料は、ポリウレタン、ポリアミドおよびそれらの誘導体、エーテルブロックアミドコポリマー、ポリイミド、胎盤(placental)、ポリエチレンおよびそれらの誘導体、ポリテトラフルオロエチレンなどであってよいことが考えられる。好ましい実施形態では、シースルーメン144は滑らかな(lubricious)内核部(インナーコア)148を有する外側熱可塑性プラスチック材料のらせん状に編まれた構成146から成る。
【0062】
内核部148は、針22がシースルーメン144に通される際に、図1に示されるように針22に滑らかな表面を提供するためにポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンまたはそれらの誘導体から作製され得る。シースルーメン144は3フレンチ〜12フレンチの範囲の外径を有し得るものと意図される。シースルーメン144は更に2フレンチ〜10フレンチの範囲の内径を有し得るものと意図される。好ましい実施形態では、シースルーメン144の内径および外径は3フレンチ〜6フレンチである。
【0063】
図18を参照すると、針150の遠位端におけるテーパ152は、針前進時にシース154と針150との間にあるレベルの干渉を付与するために提供され得る。テーパ152は、牽引力の形態の摩擦抵抗を付与する拡大部を付与することによって針安定性の問題に対処する。テーパ152は芯なし研削または冷間引抜法を通じて針150に組み込まれ得るものとされる。
【0064】
図19を参照すると、針156が針156の長さ方向にわたって一定の増分にて位置する安定化球部158を含む別の実施形態が示されている。これらの安定化球部158は2mm〜cmまで任意に間隔を置かれることができ、針156の全長にわたり、あるいは針156の一部にわたって配置され得る。安定化球部158は形状が円形または楕円形であってもよく、はんだ付けまたはレーザ溶接または針156の研削プロファイルに組み込むことによって針156に組み込まれ得るものとして意図される。安定化球部158は更に針156とシース160との間に十分な摩擦抵抗を付与するものと意図される。
【0065】
図20を参照すると、一連の有刺部162が針164の長さに沿って様々な間隔で配置された別の実施形態が提案されている。有刺部162の目的は、針164の外径とシース166の内径との間の有効な隙間を減少させることにある。有刺部162は針164の遠位端に配置されることができ、あるいは針164の全長にわたって間隔を置かれることができるものと意図される。
【0066】
針164がシース166に対して完全に延ばされると、「テーパ」、「球部」または「有刺部」細部を含むあらゆる形態の突出部はシース166中に延びるものと意図される。これにより最大針挿入深さにおいて針164がアセンブリにおいて安定性が保たれ、確実に所望の設計意図を成すことができる。
【0067】
図21を参照すると、臨床医は、処置時に針168の鮮明度および針168の識別能力を高めることにより、超音波内視鏡検査時に針168のエコー輝度および超音波可視性を向上させる利益を得ることができる。針168は超音波可視性を提供するために音響的に反射する粒子を含浸されたポリマーのようなエコー源性材料に取り囲まれることが考えられる。超音波可視性は、限定されないが、X線、超可聴音、超音波などでよいことが更に考えられる。そのポリマーは、これに限定されないが、熱可塑性または熱硬化性コーティングでよいものとされる。針168のエコー源性特性は、サンドブラスト、レーザエッチング、粗面処理、針の表面への種々のパターン化形状の導入などのような技法を通じて向上し得ることが更に考えられる。
【0068】
本構成では、遠位側にシース172から針収容部材174におけるハブまで延びるポリマースリーブまたはジャケット170が針168の近位部を覆う別の構成が考えられる。シース172の目的は、針168の外径とシース172の内径との間の「緩衝層」として機能することにある。このようにして、より小さい径の針の前進は針168とシース172との間の摩擦抵抗の結果として安定化する。ジャケット170に用いられる材料は、好ましくは、熱可塑性プラスチック材料、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはそれらの共重合体、ポリアミド、ポリイミドおよびポリエーテルブロックアミドあるいはそれらの共重合体から押出成形される。あるいは、より好ましくは、ジャケット170は非常に滑らかな材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレンまたはフッ素化エチレンプロピレンから押出成形され得る。針168の外壁において低摩擦係数材料を用いることにより、摩擦抵抗または、吸引に対して所望の解剖学的位置までシース172を通じて針168を挿入するのに必要な挿入力は最小化されるものと意図される。
【0069】
本構成では、ポリマージャケットまたはジャケット170は、針収容部材174にて開始し、特定の位置まで針168の全長に及ぶように位置する。この方法は、シース172から延びる針168の遠位部を確実に露出させ、ジャケット170は評価中の臨床解剖学的塊を通じた針168の通過に干渉しない。ジャケット170は針収容部材174のインサート成形時に近位端に捕捉され得、あるいは針収容部材174に当接し得る。
【0070】
針168の近位部を収容するこのようなジャケット170を備えることは、近位ハンドルハウジングからの針168の取外し時に臨床医に受動的フィードバックを与えるのにも役立つ。試料が取得されると、装置からの針168の取外し時に、臨床医は針168の鋭端に接近している場合に気付くことが重要である。ジャケット170が針168の鋭い斜角から一定の距離に位置する状態で、臨床医が針168におけるジャケット170の端部を認めると、鋭い斜角176がジャケット170の端部から特定の距離に位置することに受動的に気付く。臨床医が不注意に針168で自身を突き刺したり、あるいは針168をからまらせたり、収集試料の診断価値を危うくしたりしないように更に注意することができるため、この受動的フィードバックは重要である。
【0071】
これらの概念は、特に、針168の外径とシース172の内径との間の間隙がより顕著である、22または25AWGの針168の場合、針前進時の安定性の維持に関連することが考えられる。ジャケット型の配置を19 AWG針部の設計に組み込むことも望ましい。19AWGの針168の場合、シース172の内径と針168の外径との間に得られる同心の隙間量が減少し、ジャケット170は針168の外径に熱的にラミネートされるポリテトラフルオロエチレンまたは他の熱可塑性プラスチック材料の熱収縮の形態をとり得る。あるいは、19AWGの針168はテフロン(登録商標)のような滑らかな材料をスプレーコーティングされ得ることが更に考えられる。針168の遠位端において、熱収縮材料または被覆材料は針168の鋭端から特定の距離で終了する。この方法は、臨床医に針168の引抜き時に遠位端における鋭い斜角に接近している場合にフィードバックを与えるものとされる。
【0072】
本明細書で開示される実施形態に対して様々な改変が成され得ることが理解されるであろう。従って、上記説明は限定的ではなく単に本発明の種々の実施形態の例示と見なされるべきである。当業者は本明細書に添付された特許請求の範囲およびその精神の範囲内で他の改変を想定できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21