特許第6138785号(P6138785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6138785オルガニルオキシシラン末端ポリマーに基づく架橋性材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138785
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】オルガニルオキシシラン末端ポリマーに基づく架橋性材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/10 20060101AFI20170522BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C08L101/10
   C08L83/04
【請求項の数】10
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-525386(P2014-525386)
(86)(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公表番号】特表2014-521819(P2014-521819A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012064889
(87)【国際公開番号】WO2013026654
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年3月28日
【審判番号】不服2015-12750(P2015-12750/J1)
【審判請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】102011081264.4
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタンイェーク,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】バッハマイヤー,ベルント−ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ツァンダー,ラルス
【合議体】
【審判長】 小柳 健悟
【審判官】 原田 隆興
【審判官】 小野寺 務
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−15676(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/111174(WO,A1)
【文献】 特開2003−268295(JP,A)
【文献】 特開2000−167993(JP,A)
【文献】 特表2007−536418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L101/10
C08L 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)100重量部の式
Y−[(CR−SiR(OR3−a (I)
(式中、
Yは、窒素、酸素、硫黄または炭素を介して結合されているx価の有機ポリマー基であって、ポリマー鎖として、ポリオキシアルキレンまたはポリウレタンを含むx価の有機ポリマー基であり、
Rは、同じであっても異なってもよく、一価の、場合によって置換されているSiC−結合した炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、または炭素原子に窒素、リン、酸素、硫黄もしくはカルボニル基が結合することができる一価の、場合によって置換されている炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、または一価の、場合によって置換されている炭化水素基であり、
Xは、1から10までの整数であり、
aは、同じであっても異なってもよく、0、1、もしくは2であり、および
bは、同じであっても異なってもよく、1から10までの整数である。)
の化合物A、並びに
(B)50重量部を超える式
(RO)SiO(4−c−d−e)/2 (II)
(式中、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、一価の、SiC−結合した、場合によって置換されている脂肪族炭化水素基、または式(II)の2つの単位を橋かけしている二価の、場合によって置換されている脂肪族炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、メチル基またはエチル基であり、
は、同じであっても異なってもよく、一価の、SiC−結合した、場合によって置換されている芳香族炭化水素基であり、
cは、0、1、2、もしくは3であり、
dは、0、1、2、もしくは3であり、および
eは、0、1、もしくは2であり、
ただし、c+d+eの合計は、3以下である。)
の単位を含むシリコーン樹脂
を含み、
成分(A)の濃度が10重量%以上40重量%以下であり、
成分(B)のシリコーン樹脂は、式(II)の単位の総数に基づいて、式(II)の単位の少なくとも20%においてeが1かつcが0であり、式(II)の単位の総数に基づいて、dが値0を表す式(II)の単位が97%以下であり、かつ式(II)の単位の少なくとも40%においてc+eの合計は0もしくは1である
ことを特徴とする、架橋性組成物。
【請求項2】
化合物(A)の末端基が、一般式
−O−C(=O)−NH−(CR−SiR(OR3−a (III)
または
−NH−C(=O)−NR’−(CR−SiR(OR3−a (IV)
(式中、基および添字はそれらに対して上で特定された定義の一つを有する。)
の基であることを特徴とする、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
100重量部の成分(A)に基づいて少なくとも60重量部の成分(B)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
シリコーン樹脂(B)が、少なくとも400g/モルであって400,000g/モル以下の平均モル質量(数平均)Mを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)60から1,000重量部の、式(II)の単位を含むシリコーン樹脂、
場合によって
(C)0.5から10重量部の、塩基性窒素を含む有機ケイ素化合物、
場合によって、
(D)充填剤、
場合によって
(E)触媒、
場合によって
(F)接着促進剤、
場合によって
(G)水捕捉剤、
場合によって
(H)添加剤、および
場合によって
(K)補助剤
を含む組成物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
個々の成分を任意の順序で混合することによる、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物または請求項6に記載されたようにして製造された組成物を架橋することによって製造される成型品。
【請求項8】
標準条件下、すなわち、1,000hPaおよび23℃において、7日間の保存後に、DIN EN 204に基づく引張り剪断強さが少なくとも7MPaであることを特徴とする請求項7に記載の成型品。
【請求項9】
基材の接着またはシーリングのための方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物もしくは請求項6に記載されたようにして製造された組成物を、少なくとも1つの基材の表面に塗布するステップ、次いで、その表面を、接着すべき第2の基材と接触させるステップ、および続いて、架橋させるステップを含む、方法。
【請求項10】
コーティングまたはカプセル化材を製造するための方法であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物もしくは請求項6に記載されたようにして製造した組成物を、少なくとも1つの基材に塗布するステップ、および続いて架橋させるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン架橋性プレポリマーの架橋性組成物、それらを製造する方法、ならびに接着剤およびシーリング材、より詳しくは、木材接着を含めた接着に適用するための高い引張り剪断強さを有する接着剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
木材に接着を施すための既知の系には、一般的にはポリ酢酸ビニル分散液に基づいて配合されているウッドグルー(wood glue)がある。これらのグルーは、木材への効果的な接着性を示すが、それらの硬化速度、すなわち、耐力結合が形成されるまでにかかる時間はやはり非常に長く、接着されるべきワークピースを長時間機械的に固定することが一般に不可避であることを意味する。その上、ウッドグルーは一般的に耐水性が限られているので、このタイプの接着剤(adhesive)の使用は、その接着剤(bond)が湿気にさらされた場合、問題が生じる。構成材の機械的強度に関する要件が厳しく、風化の影響下で長い年月を経てもなお接着強度(bond strength)が十分に高くなければならない高荷重を受ける木製構造物の場合、この種のウッドグルーは通常、不適切である。
【0003】
この場合、一般的には、イソシアネート架橋性PU接着剤が使用される。これらの接着剤は通常、芳香族ポリイソシアネートを含む。この種の系は、イソシアネート基が(大気中の)水分と反応することによって架橋する。PU接着剤は、化学架橋反応によって硬化し、また木材基体に化学的に結合することもできるので、かなり良好な機械的特性を示し、また、外部(風化)の影響、例えば、湿気または水との直接接触などに対して実質的により大きな耐性を示す。
【0004】
接着剤の一般的性能は、例えばDIN EN 204、耐久性クラスD1−D4等の標準への適合性よって確認される。これらの標準は、イソシアネート架橋性接着剤によって一般に適合され得る。
【0005】
それでも、一部のイソシアネート架橋性接着剤でさえ、その系に固有の大きな欠点を有している。例えば、一成分型PU接着剤系は一般に、中程度以下の硬化速度しか有していない。このイソシアネート架橋は、原則として、触媒作用によって急激に促進され得る。しかし、そのような触媒作用は原則としてイソシアネート基の望ましくない副反応(例えば、アロファネート、ウレトジオン、イソシアヌレートなどの形成)にも触媒作用を及ぼすので、そのとき、問題になっているその系は十分な保存寿命をもはや有していない。
【0006】
イソシアネート架橋接着剤の別の欠点は、感作性から毒性にまで及ぶ健康に関連する部類のものである。ここでの重要な因子は、残留しているものや、苦労してしか除去することができないモノマー状イソシアネートの量である。これはエンドユーザー、すなわち、職人または日曜大工としてのユーザーに対して問題を生じるが、完全に硬化しており従ってイソシアネートを含まない、完全に問題のない製品とだけでなく、イソシアネートを含有する接着剤またはモノマー状イソシアネートとも、エンドユーザーは接触する。経験の乏しい日曜大工愛好者にとっては、熟練しておよび/または適切に製品が使用され得ないという特別な危険性がここには存在する。例えば子供の手の届く範囲内で保管するという誤った保管で、さらなる危険が同じ様にここで生じる。他方で、専門の職人については、適切な使用および保存が想定され得る。しかし、ここで、プロのユーザーは、非常に定期的に、おそらくは一日に何回もイソシアネート含有材料を扱う仕事をする必要があり、このことは前述のイソシアネートの感作性や発癌性作用の可能性があるという観点で潜在的に危険であるという問題が存在する。
【0007】
この点において幾分より有利なのは、揮発性イソシアネートを非常に低レベルでしか含まず、従って少なくとも表示義務のないイソシアネート架橋性接着剤である。しかし、これらの接着剤は、ほぼ脂肪族イソシアネートに基づいており、言い換えると反応性がより低い。したがって、接着剤の迅速な硬化が要因となる用途に対しては、これらの接着剤は従来のPU接着剤よりさらに好ましくない。
【0008】
接着剤分野においてますます用途を見出しつつある別の硬化技術は、アルコキシシラン官能性プレポリマーが、大気中の水分と接触すると、最初に加水分解を受け、次に縮合反応によって硬化するシラン架橋のものである。対応するシラン官能性、通常はシラン末端のプレポリマーは、毒性学的観点からは全く問題がない。
【0009】
反応性アルコキシシリル基を有するポリマー系は長年知られている。これらのアルコキシシラン末端のポリマーは、水または大気中の水分と接触すると、室温においてさえも、互いに縮合することができ、アルコキシ基の放出を伴う。したがって、アルコキシシラン架橋性ポリマーに基づく接着剤は、完全に硬化した状態で、多くの基材に対して良好な接着特性を示すのみでなく、引張り強さだけでなく高い弾性も有することができるので、非常に良好な機械的特性も同様に示す。
【0010】
多くの用途において、大気中の水分と接触すると硬化する一成分系(1Kシステム)がここでは好まれる。一成分系の決定的な利点としては、特に、この場合、使用者がさまざまな接着剤成分を混合する必要がないので、塗布が非常に容易であることが挙げられる。一成分系では、時間/作業の節約および可能性のある計量誤差の信頼性のある回避に加えて、多成分系で2つの成分の混合が起った後の場合のような、通常明らかに狭い時間枠内で接着剤/シーラントを処理する必要もない。
【0011】
従来技術に沿ったこれらの系の欠点は、特に、積極的な触媒作用を必要とする、対応するMSポリマーまたはSPURポリマーの水分に対する低い反応性である。したがって、当該混合物は一般的に、毒性学的に好ましくないスズ触媒をかなりの量で含む。
【0012】
ここでの利点は、メチレンスペーサーを介して隣接するウレタン単位に結合している反応性アルコキシシリル基を有するいわゆるα−シラン−末端プレポリマーの使用である。このクラスの化合物は、高度に反応性であり、空気と接触した際の高い硬化速度を達成するために、スズ触媒も強酸や強塩基も必要とはしない。市販のα−シラン末端プレポリマーは、Wacker−Chemie AGからのGENIOSIL(登録商標)STP−E10または−E30である。
【0013】
しかし、通常の一般的なシラン架橋系の欠点は、比較的低い引張り剪断強さである。したがって、この新しいタイプの接着剤に対する典型的な用途は一般に、高い引張り強さの接着剤よりも弾性接着剤が必要とされている領域に限定される。
【0014】
欧州DIN EN 204標準、耐久性クラスD4を満たす接着剤の場合、シラン架橋性接着剤は、例えばWO 2011/026658に記載されている種類のシランを末端基とするポリウレタンで原則として同様に達成可能である。ここでの高い引張り剪断強さは、一方において、水素結合が可能である非常に高い密度の尿素単位および/またはウレタン単位を有しており、他方では比較的短鎖であり、したがって、対応する多数の架橋可能なシラン基を有しているプレポリマーの使用によって達成される。しかし、この種の系は必然的に2つの固有の欠点を有する。第一に、高濃度のシラン架橋基を有するポリマーの調製にはそれに応じた大量のシランを必要とする。しかし、これらのシランは、最もコストの高いプレポリマー成分を一般に構成し、したがって、これらの製品の原料コストを引き上げる。第二に、高い引張り剪断強さを達成するために同様に必要である高濃度のウレタン基および/または尿素基は、非常に高いプレポリマー粘度をもたらす。同様の問題が、完全に配合された接着剤を形成するためのこれらのプレポリマーの配合および通常同様に比較的高粘度のものであるこれらの最終製品の両方に影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2011/026658号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、
(A)100重量部の式
Y−[(CR−SiR(OR3−a (I)
(式中、
Yは、窒素、酸素、硫黄、または炭素を介して結合されたx価のポリマー基であり、
Rは、同じであっても異なってもよく、一価の、場合によって置換されているSiC−結合した炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、または炭素原子に窒素、リン、酸素、硫黄またはカルボニル基が結合することができる一価の、場合によって置換されている炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、または一価の、場合によって置換されている炭化水素基であり、
Xは、1から10までの整数、好ましくは1、2、または3、より好ましくは1または2であり、
aは、同じであっても異なってもよく、0、1もしくは2、好ましくは0または1であり、およびbは、同じであっても異なってもよく、1から10までの整数、好ましくは1、3、または4、より好ましくは1または3、より特定すれば1である。)
の化合物A、並びに
(B)50重量部を超える式
(RO)SiO(4−c−d−e)/2 (II)
(式中、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子、一価の、SiC−結合した、場合によって置換されている脂肪族炭化水素基、または式(II)の2つの単位を橋かけしている二価の、場合によって置換されている脂肪族炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子または一価の、場合によって置換されている炭化水素基であり、
は、同じであっても異なってもよく、一価の、SiC−結合した、場合によって置換されている芳香族炭化水素基であり、
cは、0、1、2、もしくは3であり、
dは、0、1、2、もしくは3、好ましくは0、1、または2、より好ましくは0または1であり、
eは、0、1、もしくは2、好ましくは0または1であり、
ただし、c+d+eの合計は、3以下であり、式(II)の単位の少なくとも40%においてc+eの合計は0もしくは1である。)
の単位を含むシリコーン樹脂
を含む架橋性組成物を提供する。
【0017】
基Rの例は、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1−n−ブチル、2−n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えば、n−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基、イソオクチル基および2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えば、n−ノニル基;デシル基、例えば、n−デシル基;ドデシル基、例えば、n−ドデシル基;オクタデシル基、例えば、n−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えば、ビニル、1−プロペニルおよび2−プロペニル基;アリール基、例えば、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル基;アルカリール基、例えば、o−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基、ならびにアラルキル基、例えば、ベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0018】
置換された基Rの例は、ハロアルキル基、例えば、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル基およびヘプタフルオロイソプロピル基、ならびにハロアリール基、例えば、o−、m−およびp−クロロフェニル基である。
【0019】
基Rは、好ましくは場合によってハロゲン原子によって置換されており1から6個の炭素原子を有している一価の炭化水素基を、より好ましくは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基、より特定的にはメチル基を含む。
【0020】
基Rの例は、水素原子、Rに対して特定した基、また炭素原子に、窒素、リン、酸素、硫黄、炭素、またはカルボニル基によって結合されている、場合によって置換されている炭化水素基である。
【0021】
好ましくは、Rは、水素原子および1から20個までの炭素原子を有する炭化水素基であり、より特定的には水素原子である。
【0022】
基Rの例は、水素原子または基Rに対して特定した例である。
【0023】
基Rは、好ましくは、水素原子、または場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から10個までの炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1から4個までの炭素原子を有するアルキル基、より特定的にはメチルおよびエチル基である。
【0024】
ポリマー基Yのベースとなるポリマーは、本発明においては、主鎖中の全結合の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%が炭素−炭素、炭素−窒素、または炭素−酸素結合である全てのポリマーであることが理解されるべきである。
【0025】
ポリマー基Yは、有機ポリマー基を好ましくは含み、それは、ポリマー鎖として、ポリオキシアルキレン、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレンコポリマー;炭化水素ポリマー、例えば、ポリイソブチレン、ポリエチレン、またはポリプロピレンおよびポリイソブチレンのイソプレンとのコポリマー;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル、ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;およびポリカーボネートを含み、それらは、好ましくは、−O−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)O−、−NH−C(=O)−NH−、−NR’−C(=O)−NH−、NH−C(=O)−NR’−、−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−S−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−S−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−S−C(=O)−S−、−C(=O)−、−S−、−O−および−NR’−によって1つの基または複数の基−[(CR−SiR(OR3−a]に結合され、ただし、R’は、同じであっても異なってもよく、Rに対して与えられた定義を有し、または基−CH(COOR”)−CH−COOR”であり、ここでR”は同じであっても異なってもよく、Rに対して与えられた定義を有する。
【0026】
基R’の例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−プロピルおよびイソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル、ペンチル基、ヘキシル基、またはヘプチル基のさまざまな立体異性体、およびまたフェニル基である。
【0027】
基R’は、好ましくは、基−CH(COOR”)−CH−COOR”または1から20個までの炭素原子を有する、場合によって置換されている炭化水素基、より好ましくは1から20個までの炭素原子を有する直鎖の基、分枝した基もしくはシクロアルキル基、または6から20個の炭素原子を有しており、場合によってハロゲン原子によって置換されているアリール基である。
【0028】
基R”は、好ましくは1から10個までの炭素原子を有するアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基、またはプロピル基である。
【0029】
より好ましくは、式(I)中の基Yは、ポリウレタン基およびポリオキシアルキレン基を、より好ましくはポリオキシプロピレン含有ポリウレタン基またはポリオキシプロピレン基を含む。
【0030】
ここで成分(A)は、ポリマー中の任意の望ましい位置、例えば、鎖内および/または末端に、好ましくは鎖内および末端に、より好ましくは末端に、記載されている様式で結合している基−[(CR−SiR(OR3−a]を有することができる。
【0031】
本発明に従って使用される化合物(A)の末端基は、好ましくは、一般式
−O−C(=O)−NH−(CR−SiR(OR3−a (III)
および
−NH−C(=O)−NR’−(CR−SiR(OR3−a (IV)
(式中、基および添字はそれらに対して上で特定された定義の一つを有する。)
である。
【0032】
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、化合物(A)は、いずれの場合も、−O−C(=O)−NH−(CR基または−NH−C(=O)−NR’−(CR基(R’、Rおよびbは、上で特定した定義の1つを有する。)によって結合されているジメトキシメチルシリル、トリメトキシシリル、ジエトキシメチルシリル、またはトリエトキシシリル末端基を有するシラン末端ポリエーテルおよびシラン末端ポリウレタン、より特定的にはシラン末端ポリプロピレングリコールおよびシラン末端ポリウレタンを含む。
【0033】
化合物(A)の平均分子量Mは、好ましくは少なくとも400g/モル、より好ましくは少なくとも600g/モル、より特定的には少なくとも800g/モルであり、好ましくは30,000g/モル未満、より好ましくは19,000g/モル未満、より特定的には13,000g/モル未満である。
【0034】
化合物(A)の粘度は、いずれの場合にも20℃で測定されて、好ましくは少なくとも0.2Pas、より好ましくは少なくとも1Pas、非常に好ましくは少なくとも5Pasであり、好ましくは1,000Pas以下、より好ましくは700Pas以下である。
【0035】
本発明に従って使用される化合物(A)は、商業製品であるかまたは化学においては一般的な方法によって調製され得る。
【0036】
ポリマー(A)は、例えばヒドロシリル化、マイケル付加、ディールス−アルダー付加のような付加反応、またはイソシアネート官能性化合物とイソシアネート反応性の基を含む化合物との間の反応等のさまざまな既知の製造方法によって調製され得る。
【0037】
本発明の第一の特に好ましい実施形態の場合において、成分(A)は、ポリマー基Yとして、線状のまたは分枝したポリオキシアルキレン基、より好ましくはそれらの鎖末端が好ましくは−O−C(=O)−NH−によって基および添字が上に記載されている定義の1つを有する1つの基または複数の基−[(CR−SiR(OR3−a]に結合されているポリオキシプロピレン基を含む。ここでは、全鎖末端の好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より特定的には少なくとも95%が、−O−C(=O)−NH−によって基−[(CR−SiR(OR3−a]に結合されている。このポリオキシアルキレン基Yは、4,000から30,000ダルトン、好ましくは8,000から20,000ダルトンの平均モル質量Mを好ましくは有する。そのような成分(A)を調製するための適切な製造方法および成分(A)の例それ自体も、既知であり、本明細書の開示内容に含まれるEP 1 535 940 B1(段落[0005]−[0025]および同様に発明の実施例1−3および比較例1−4)またはEP 1 896 523 B1(段落[0008]−[0047])を含めた出版物に記載されている。対応するシラン末端ポリマーは、例えば、Wacker ChemieからGENIOSIL(登録商標)STP−Eの名称の下で市販されてもいる。
【0038】
第二に、本発明の特に好ましい実施形態と同様に、化合物(A)は、ポリマー基Yとして、好ましくは200から20,000ダルトンの平均モル質量を有するポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールY1から出発して調製される線状または分枝したポリウレタン基を含む。ここで使用されるポリオールは、より好ましくはポリエーテルポリオール、より特定的には300から10,000ダルトンの、より特定的には400から5,000ダルトンの平均モル質量を有するポリプロピレングリコールである。このポリオールY1は、分枝していてもよくまたは分枝していなくてもよい。特に好ましいのは、分枝していないポリオールまたは1つの分枝部位を有するポリオールである。分岐しているポリオールと分岐していないポリオールとの混合物もまた、使用され得る。
【0039】
成分(A)の調製において、ポリオールY1は、少なくとも1つのイソシアネート官能性化合物Y2と好ましくは反応させられる。Y2は、ジまたはポリイソシアネートを好ましくは含む。慣例的なジイソシアネートの例は、粗製のまたは工業的なMDIの形態と純粋な4,4’および/または2,4’異性体またはそれらの混合物の形態の両方のジイソシアナートジフェニルメタン(MDI)、さまざまな位置異性体の形態のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアナートナフタレン(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、または他に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。ポリイソシアネートの例は、ポリマー状のMDI(P−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、または他に、上記のジイソシアネートの三量体(ビウレットまたはイソシアヌレート)である。
【0040】
イソシアネート基対ポリオールのヒドロキシル基の比に関して、これらのイソシアネートY2は、不足状態(変形1)または過剰状態(変形2)で使用され得る。変形1の場合、ポリウレタンポリマーは、その鎖末端がヒドロキシル基で終結されたものが得られ、変形2の場合は、鎖末端がイソシアネート基からなるポリマーが得られる。
【0041】
変形1の場合に得られたヒドロキシル基官能性ポリウレタンポリマーは次に好ましくは、一般式
OCN−(CR−SiR(OR3−a (V)
(式中、基および添字はそれらに対して上で特定されている定義の1つを有する。)
のシランY3と反応させられる。式(III)の鎖末端を有するポリウレタンが得られる。
【0042】
しかし、特に好ましいのは変形2である。この場合に得られるイソシアネート官能性ポリウレタンポリマーは、次に好ましくは、第2の反応ステップで、一般式
Z−(CR−SiR(OR3−a (VI)
(式中、Zはイソシアネート反応性の基であり、全てのその他の基および添字は、それらに対して上で特定されている定義の1つを有する。)
のイソシアネート反応性シランY3’と反応させられる。
【0043】
このイソシアネート反応性の基Zは、好ましくはヒドロキシル基またはアミノ基、より好ましくはR’が上記の定義の1つと等しい式NHR’のアミノ基である。式(IV)の鎖末端を有するシラン末端ポリウレタンが得られる。
【0044】
最後に、前述の成分Y1からY3までと同様に、単量体アルコールY4成分について、化合物Aの調製において使用されることも可能である。このアルコールY4は、1つまたは2つ以上のヒドロキシル基を有することができる。アルコールY4のモル質量および分枝の程度に関しては、好ましくは制約がない。
【0045】
アルコールY4が、化合物(A)を調製するために使用される場合、その問題のアルコールは、好ましくは、一般式
OH (VII)
(式中、Rは、基Rに対して特定されている定義の1つを有する。)
を有するものである。
【0046】
基Rは、好ましくは、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキルまたはアルケニル基であり、少なくとも8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、より特定的には少なくとも10個の炭素原子を有する直鎖アルキル基が特に優先される。Rは、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下の炭素原子を有する。
【0047】
これらのアルコールも同様にジイソシアネートまたはポリイソシアネートY2と反応することができる。これは、鎖末端が式(IV)の鎖末端でのみ停止されているのではなく、その代わり、ある割合、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも4%であり、好ましくは40%以下、より特定的には20%以下の一般式
−NH−C(=O)−O−R (VIII)
(式中、ここでRは、上で記載した定義を有する。)の鎖末端をも有する
化合物(A)をもたらす。
【0048】
これらのアルコールY4は、別の反応ステップにおいて、例えば、ポリオールY1のイソシアネートY2との反応の前または後に、化合物(A)の中に混和されてもよい。しかしながら、別法では、この混和は、また、別の反応ステップと同時に、例えば、ポリオールY1とアルコールY4の混合物をイソシアネートY2と反応させることによっても起り得る。
【0049】
室温および周囲大気圧、すなわち900から1,100hPaで液体であり、したがって、反応混合物中に容易に測り入れることができるアルコールY4、種々のアルコールY4の混合物、またはポリオールY1およびアルコールY4の混合物を使用することがここでは好ましい。
【0050】
ここでの一連の合成ステップも、原則として、置き換え可能である。かくして、第一の合成ステップは、原則として、また、イソシアネートY2のシランY3’との反応であり得、ポリオールY1との反応は、第2の反応ステップまで起こり得ない。両方の反応ステップが同時に行なわれることも考えられる。
【0051】
成分(A)を調製するための全ての反応は、バッチ式および連続式の両方で行なわれ得る。
【0052】
成分(A)の調製は、場合によって、触媒の存在下で行なわれる。適切な触媒は、例えばビスマスを含む、例えば、Borchers GmbHからのBorchi(登録商標)Kat 22、Borchi(登録商標)Kat VP 0243、Borchi(登録商標)Kat VP 0244等の触媒、または本発明の架橋可能な組成物に硬化触媒(E)として加えられ得るそのような化合物である。
【0053】
この成分(A)は、好ましくは少なくとも0℃、より好ましくは少なくとも60℃であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下の温度で調製される。調製は、連続式またはバッチ式であり得る。
【0054】
化合物(A)を調製するための全ての成分は、イソシアネート基1個当り、好ましくは少なくとも0.6個、より好ましくは少なくとも0.8個であり、好ましくは1.4個以下、より特定的には1.2個以下のイソシアネート反応性の基が存在する比率で好ましくは使用される。
【0055】
この化合物(A)は、好ましくはイソシアネートを含んでいない。このイソシアネートを完全になくすことは、NCO反応性の基に対してわずかに過剰のNCO基を使用することによっても達成することができ、その過剰のNCO基は、例えば、形成されたウレタン単位および/または尿素単位と、それぞれアロファネートおよび/またはビウレットの形成を伴って反応することもできるためである。
【0056】
本発明に従って使用される成分(A)は、1種類の式(I)の化合物のみを含むことができ、また異なる種類の式(I)の化合物の混合物を含むこともできる。この場合、この成分(A)は、式(I)の化合物を排他的に含むことができ、ポリマー基Yに結合されたシリル基全体の90%超、好ましくは95%超、より好ましくは98%超は同一である。しかしながら、その場合、少なくとも一部分において、異なるシリル基がポリマー基Yに結合している式(I)の化合物を含む化合物(A)を使用することも可能である。最後に、化合物(A)として、合計で少なくとも2つの異なる種類のシリル基が存在するが、それぞれのポリマー基Yに結合されている全てのシリル基については同じである式(I)の異なる化合物の混合物を使用することも可能である。
【0057】
成分(A)が、異なる種類の式(I)の化合物を含む場合、好ましい混合物は、bが1であり、RがHであり、aが0または1である式(III)または(IV)の末端基を有する化合物(A1)のみでなく、bが3であり、RがHであり、aが0である式(IV)または(V)の末端基を有する化合物(A2)を含むものであり、特に好ましい混合物は、(A1)対(A2)の重量比が、0.1から10まで、好ましくは0.2から5までであるものである。
【0058】
本発明の組成物は、化合物(A)を、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下であり、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%の濃度で含む。
【0059】
本発明の組成物は、100重量部の成分(A)に基づき、好ましくは少なくとも60重量部の、より好ましくは、少なくとも80重量部の、より特定的には少なくとも100重量部の成分(B)を含む。本発明の組成物は、100重量部の成分(A)に基づき、好ましくは1,000重量部以下、より好ましくは500重量部以下、より特定的には300重量部以下の成分(B)を含む。
【0060】
成分(B)は、好ましくは、少なくとも90重量%程度の式(II)の単位からなる。特に好ましくは、成分(B)は、式(II)の単位のみからなる。
【0061】
基Rの例は、Rに対して上で特定した脂肪族の例である。しかしながら、基Rは、また、例えば、式(II)の2つのシリル基を互いに結び付けている、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレン基等の1から10個の炭素原子を有するアルキレン基等の二価の脂肪族基を含むこともできる。二価の脂肪族基の1つの特に現時点の例は、エチレン基である。
【0062】
しかしながら、基Rは、好ましくは、ハロゲン原子により場合によって置換されており、1から18個までの炭素原子を有する一価のSiC−結合した脂肪族炭化水素原子群、より好ましくは1から6個までの炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、より特定的にはメチル基を含む。
【0063】
基Rの例は、水素原子、または、基Rに対して特定されている例である。
【0064】
基Rは、水素原子、または場合によりハロゲン原子によって置換されており、1から10個までの炭素原子を有するアルキル基、より好ましくは1から4個までの炭素原子を有するアルキル基、より特定的にはメチルおよびエチル基を含む。
【0065】
基Rの例は、Rに対して上で特定されている芳香族基である。
【0066】
基Rは、好ましくは、場合によってハロゲン原子によって置換されており1から18までの炭素原子を有するSiC−結合した芳香族炭化水素基、例えば、エチルフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ナフチル、またはスチリル基、より好ましくはフェニル基を含む。
【0067】
成分(B)としての使用が好ましいのは、全ての基Rの少なくとも90%がメチル基であり、全ての基Rの少なくとも90%がメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基であり、全ての基Rの少なくとも90%がフェニル基であるシリコーン樹脂である。
【0068】
本発明に従えば、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、cが0である式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%有するシリコーン樹脂(B)を使用することが優先される。
【0069】
本発明の1つの実施形態は、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、cが値2を表す式(II)の単位を少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%であり、80%以下、より好ましくは60%以下有するシリコーン樹脂(B)を使用する。
【0070】
優先的に使用されるシリコーン樹脂(B)は、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、dが値0または1を表す式(II)の単位を少なくとも80%、より好ましくは少なくとも95%有するものである。
【0071】
それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、dが値0を表す式(II)の単位を少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%であり、好ましくは99%以下、より好ましくは97%以下有するシリコーン樹脂(B)を使用することが優先される。
【0072】
成分(B)としてより優先的に使用されるのは、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、eが0以外の値を表す式(II)の単位を少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%、より特定的には少なくとも20%有するシリコーン樹脂である。eが0以外である式(II)の単位のみを有するシリコーン樹脂(B)が使用され得るが、より好ましくは式(II)の単位の少なくとも10%、非常に好ましくは少なくとも20%であり、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下は、0のeを有する。
【0073】
それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、eが値1を表す式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%有するシリコーン樹脂(B)を使用することが優先される。eが1である式(II)の単位のみを有するシリコーン樹脂(B)が使用され得るが、より好ましくは式(II)の単位の少なくとも10%、非常に好ましくは少なくとも20%であり、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下は、0のeを有する。
【0074】
優先的に使用されるのは、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、c+eの和が0または1である式(II)の単位を少なくとも50%有するシリコーン樹脂(B)である。
【0075】
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、それぞれの場合に、式(II)の単位の総数に基づいて、eが値1を表し、cが値0を表す式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%有するシリコーン樹脂が成分(B)として使用される。この場合、式(II)の総単位の好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下は、0以外のdを有する。
【0076】
本発明の別の特に好ましい実施形態において、成分(B)として使用されるシリコーン樹脂は、それぞれの場合に式(II)の単位の総数に基づいて、eが値1を表し、cが値0を表す式(II)の単位を少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%有しており、さらに、cが1または2、好ましくは2を表し、eが0を表す式(II)の単位を少なくとも1%、好ましくは少なくとも10%有する樹脂である。この場合、式(II)の全単位の好ましくは70%以下、より好ましくは40%以下は、0以外のdを有しており、式(II)の全単位の少なくとも1%は、0のdを有する。
【0077】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)の例は、実質的に、好ましくは排他的に、(Q)式SiO4/2、Si(OR)O3/2、Si(OR2/2およびSi(OR1/2の単位、(T)式PhSiO3/2、PhSi(OR)O2/2およびPhSi(OR1/2の単位、(D)式MeSiO2/2およびMeSi(OR)O1/2の単位、ならびに(M)式MeSiO1/2の単位からなる(式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、Rは、水素原子または場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から10個の炭素原子を有しているアルキル基、より好ましくは水素原子または1から4個の炭素原子を有しているアルキルである。)オルガノポリシロキサン樹脂であり、樹脂は好ましは、(T)単位のモル当り、0−2モルの(Q)単位、0−2モルの(D)単位、0−2モルの(M)単位を含む。
【0078】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)の好ましい例は、実質的に、好ましくは排他的に、式PhSiO3/2、PhSi(OR)O2/2およびPhSi(OR1/2のT単位、およびまた、式MeSiO2/2およびMeSi(OR)O1/2のD単位からなる(式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、Rは、水素原子または場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から10個の炭素原子を有しているアルキル基、より好ましくは、水素原子または1から4個の炭素原子を有しているアルキル基であり、0.5対2.0の(T)単位対(D)単位のモル比を有する。)オルガノポリシロキサン樹脂である。
【0079】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)のさらなる好ましい例は、実質的に、好ましくは排他的に、式PhSiO3/2、PhSi(OR)O2/2およびPhSi(OR1/2のT単位、ならびにまた、式MeSiO3/2、MeSi(OR)O2/2およびMeSi(OR1/2のT単位、ならびにまた、場合によって、式MeSiO2/2およびMeSi(OR)O1/2のD単位からなる(式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、Rは、水素原子または場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から10個の炭素原子を有しているアルキル基、より好ましくは、水素原子または1から4個の炭素原子を有しているアルキル基であり、0.5対4.0のフェニルシリコーン単位対メチルシリコーン単位のモル比を有する。)オルガノポリシロキサン樹脂である。これらのシリコーン樹脂中のD単位の量は、好ましくは10重量%未満である。
【0080】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)のさらに好ましい例は、実質的に、好ましくは排他的に、式PhSiO3/2、PhSi(OR)O2/2およびPhSi(OR1/2のT単位からなる(式中、Phはフェニル基であり、Rは、水素原子または場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から10個の炭素原子を有しているアルキル基、より好ましくは、水素原子または1から4個の炭素原子を有しているアルキル基である。)オルガノポリシロキサン樹脂である。これらのシリコーン樹脂中のD単位の量は、好ましくは10重量%未満である。
【0081】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)は、好ましくは少なくとも400g/モルの、より好ましくは少なくとも600g/モルの平均モル質量(数平均)Mnを有する。この平均モル質量Mは、好ましくは400,000g/モル以下、より好ましくは100,000g/モル以下、より特定的には50,000g/モル以下である。
【0082】
本発明に従って使用されるシリコーン樹脂(B)は、23℃および1,000hPaにおいて固体または液体のいずれかであり得、シリコーン樹脂(B)は、好ましくは液体である。このシリコーン樹脂(B)は、10から100,000mPasまで、好ましくは50から50,000mPasまで、より特定的には100から20,000mPasまでの粘度を好ましくは有する。このシリコーン樹脂(B)は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下の多分散性(M/M)を有する。
【0083】
このシリコーン樹脂(B)は、純粋な形、または適当な溶媒中の溶液の形のいずれかで使用され得る。
【0084】
この場合に使用され得る溶媒としては、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、グリコールのエーテル誘導体、THF)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、グリコールエステル)、炭化水素(例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、または他の長鎖の、分枝したおよび分枝していないアルカン)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン)、または他のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、グリコール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール)が挙げられる。
【0085】
しかしながら、有機溶媒を含まないシリコーン樹脂(B)を使用することが好ましい。
【0086】
本発明に従って使用されるこのシリコーン樹脂(B)は、市販品である、またはケイ素化学において慣例的な方法によって調製され得る。
【0087】
使用される成分(A)および(B)に加えて、本発明の組成物は、架橋性組成物中で今日まで使用されてきて、成分(A)および(B)とは異なる、例えば、塩基性窒素を含む有機ケイ素化合物(C)、充填剤(D)、触媒(E)、接着促進剤(F)、水捕捉剤(G)、添加剤(H)および補助剤(K)等の全てのその他の物質を含むことができる。
【0088】
化合物(C)は好ましくは、式
Si(OR(4−f−g−h)/2 (IX)
(式中、
は、同じであっても異なってもよく、水素原子または場合によって置換されている炭化水素基を示し、
Dは、同じであっても異なってもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC−結合した基を示し、
は、同じであっても異なってもよく、塩基性窒素を含んでいない場合によって置換されている一価のSiC−結合した有機基を示し、
fは、0、1、2、または3、好ましくは1または0であり、
gは、0、1、2、または3、好ましくは1、2、または3、より好ましくは2または3であり、
hは、0、1、2、3、または4、好ましくは1であり、
ただし、f+g+hの合計は、4以下であり、分子当り少なくとも1つの基Dが存在する。)
の単位を含む有機ケイ素化合物を含む。
【0089】
本発明の1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、特に成分(A)が式(IV)の末端基を有するシラン末端のウレタンを含むときに、成分(A)および(B)に対してさらに、式(IX)に相当する少なくとも1つのさらなる成分(C)も含む。互いに不溶性またはやや溶けにくい成分(A)および(B)を本発明に従う好ましい割合で使用するとき、成分(C)を加えることによって、ほぼ均一であり、好ましくは完全に均一である混合物を得ることが可能であることは意外なことであった。
【0090】
一方、以下で特定されている好ましい量で成分(C)をさらに含む本発明によるそのような混合物は、通常は、有利には均一な溶液を形成する。
【0091】
本発明に従って場合によって使用される有機ケイ素化合物(C)は、シラン、すなわち、f+g+h=4である式(IX)の化合物ばかりでなく、シロキサン、すなわち、f+g+h≦3である式(IX)の単位も、含むことができるが、シランが優先される。
【0092】
場合によって置換されている炭化水素基Rの例は、基Rに対して特定されている例である。
【0093】
基Rは、好ましくは水素原子、および場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から18個までの炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは、水素原子および1から10個までの炭素原子を有する炭化水素基、より特定的には、メチル基およびエチル基である。
【0094】
の例は、基Rに対して特定された例である。
【0095】
基Rは、好ましくは、場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から18個までの炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは1から5個までの炭素原子を有する炭化水素基、より特定的にはメチル基を含む。
【0096】
基Dの例は、式
N(CH−、HN(CHNH(CH−、HN(CHNH(CHNH(CH−、HCNH(CH−、CNH(CH−、CNH(CH−、CNH(CH−、C11NH(CH−、C13NH(CH−、C15NH(CH−、HN(CH−、HN−CH−CH(CH3)−CH−、HN(CH−、シクロ−CNH(CH−、シクロ−C11NH(CH−、フェニル−NH(CH−、(CHN(CH−、(CN(CH−、(CNH(CH−、(CNH(CH−、(C11NH(CH−、(C13NH(CH−、(C15NH(CH−、HN(CH)−、HN(CHNH(CH)−、HN(CHNH(CHNH(CH)−、HCNH(CH)−、CNH(CH)−、CNH(CH)−、CNH(CH)−、C11NH(CH)−、C13NH(CH)−、C15NH(CH)−、シクロ−CNH(CH)−、シクロ−C11NH(CH)−、フェニル−NH(CH)−、(CHN(CH)−、(CN(CH)−、(CNH(CH)−、(CNH(CH)−、(C11NH(CH)−、(C13NH(CH)−、(C15NH(CH)−、(CHO)Si(CHNH(CH−、(CO)Si(CHNH(CH−、(CHO)(CH)Si(CHNH(CH−、および(CO)(CH)Si(CHNH(CH−の基、ならびにまた、エポキシド基または第一級アミノ基に対して反応性である二重結合を含む化合物と上記の第一級アミノ基との反応生成物である。
【0097】
基Dは、HN(CH−、HN(CHNH(CH−およびシクロ−C11NH(CH−基を好ましくは含む。
【0098】
本発明に従って場合によって使用される式(IX)のシランの例は、
N(CH−Si(OCH
N(CH−Si(OC、HN(CH−Si(OCHCH
N(CH−Si(OCCH、HN(CHNH(CH−Si(OCH
N(CHNH(CH−Si(OC、HN(CHNH(CH−Si(OCHCH
N(CHNH(CH−Si(OCCH、HN(CHNH(CH−Si(OH)
N(CHNH(CH−Si(OH)CH、HN(CHNH(CHNH(CH−Si(OCH
N(CHNH(CHNH(CH−Si(OC、シクロ−C11NH(CH−Si(OCH
シクロ−C11NH(CH−Si(OC、シクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH
シクロ−C11NH(CH−Si(OCCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OH)
シクロ−C11NH(CH−Si(OH)CH、フェニル−NH(CH−Si(OCH、フェニル−NH(CH−Si(OC、フェニル−NH(CH−Si(OCHCH
フェニル−NH(CH−Si(OCCH、フェニル−NH(CH−Si(OH)、フェニル−NH(CH−Si(OH)CH、HN((CH−Si(OCH
HN((CH−Si(OC HN((CH−Si(OCHCH
HN((CH−Si(OCCH、シクロ−C11NH(CH)−Si(OCH、シクロ−C11NH(CH)−Si(OC、シクロ−C11NH(CH)−Si(OCHCH、シクロ−C11NH(CH)−Si(OCCH、シクロ−C11NH(CH)−Si(OH)、シクロ−C11NH(CH)−Si(OH)CH、フェニル−NH(CH)−Si(OCH、フェニル−NH(CH)−Si(OC、フェニル−NH(CH)−Si(OCHCH、フェニル−NH(CH)−Si(OCCH、フェニル−NH(CH)−Si(OH)、およびフェニル−NH(CH)−Si(OH)CH、ならびにまたそれらの部分的水解物であるが、HN(CHNH(CH−Si(OCH、HN(CHNH(CH−Si(OC、HN(CHNH(CH−Si(OCHCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OCが優先され、およびシクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH、ならびにまた、それぞれの場合に、それらの部分水解物でもあり、HN(CHNH(CH−Si(OCH、HN(CHNH(CH−Si(OCHCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OCH、シクロ−C11NH(CH−Si(OCHCH、およびまた、それぞれの場合に、それらの部分水解物でもあるが特に優先される。
【0099】
本発明の組成物において、本発明に従って場合によって使用される有機ケイ素化合物(C)は、硬化触媒または硬化共触媒の機能をもつこともできる。
【0100】
さらに、本発明に従って場合によって使用される有機ケイ素化合物(C)は、接着促進剤としておよび/または水捕捉剤として作用することもできる。
【0101】
本発明に従って場合によって使用されるこの有機ケイ素化合物(C)は、商品でありおよび/または化学において一般的である方法によって調製され得る。
【0102】
本発明の組成物が、成分(C)を含む場合、問題のその量は、それぞれの場合、100重量部の成分(A)に基づいて、好ましくは0.1から25重量部、より好ましくは0.5から10重量部である。本発明の組成物は好ましくは、成分(C)を含む。
【0103】
本発明の組成物中に場合によって使用される充填剤(D)は、今までに知られている任意の望ましい充填剤であり得る。
【0104】
充填剤(D)の例は、非補強性充填剤、好ましくは、最大50m/gのBET表面積を有する充填剤、例えば、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、または酸化亜鉛および/またはそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、セッコウ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末およびポリマー粉末、例えば、ポリアクリロニトリル粉末;補強性充填剤、50m/gを超えるBET表面積を有する充填剤、例えば、熱分解により調製されたシリカ、沈降シリカ、沈降炭酸カルシウム、カーボンブラック、例えばファーネスブラックおよびアセチレンブラックおよび高いBET表面積の混合ケイ素/アルミニウム酸化物;三水酸化アルミニウムの中空ビーズの形の充填剤、例えば、ドイツ、ノイスの3M Deutschland GmbHから商標名Zeeospheres(商標)の下で入手できるものが例である磁性マイクロビーズ、例えば、スウェーデン、スンツバルのAKZO NOBEL,Expancelから商標名EXPANCEL(登録商標)の下で入手できるその種の弾性ポリマービーズ、またはガラスビーズ;繊維形状の充填剤、例えば、アスベストおよびまたポリマー繊維である。上記の充填剤は、例えば、オルガノシランおよび/もしくはオルガノシロキサンによる、または、ステアリン酸による処理によって、またはヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化によって疎水化されていてもよい。
【0105】
場合によって使用される充填剤(D)は、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、三水酸化アルミニウムおよびシリカであり、三水酸化アルミニウムが特に好ましい。好ましい炭酸カルシウムのグレードは、粉砕または沈降であり、ステアリン酸等の脂肪酸またはそれらの塩により場合によって表面処理されている。好ましいシリカは、好ましくは、熱分解された(ヒュームド)シリカである。
【0106】
場合によって使用される充填剤(D)は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の水分含量を有する。
【0107】
本発明の組成物が充填剤(D)を含む場合、問題のその量は、いずれの場合にも100重量部の成分(A)に基づいて、好ましくは10から1,000重量部まで、より好ましくは50から500重量部まで、より特定的には80から300重量部までである。本発明の組成物は、好ましくは充填剤(D)を含む。
【0108】
本発明の1つの特定の実施形態において、本発明の組成物は、充填剤(D)として、
a)シリカ、より特定的には、ヒュームドシリカ、および
b)炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウムおよび/またはタルク、
の組合せを含む。
【0109】
本発明の組成物が、異なる充填剤(D)のこの特定の組合せを含む場合、それらは、それぞれの場合、100重量部の成分(A)に基づいて、好ましくは1から80重量部まで、より好ましくは5から40重量部までのシリカ、より好ましくはヒュームドシリカ、および好ましくは10から500重量部までの、より好ましくは50から300重量部までの炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、タルク、またはこれらの材料の混合物を含む。
【0110】
本発明の組成物において場合によって使用される触媒(E)は、シラン縮合によって硬化する組成物に対して今までに知られている任意の望ましい触媒であり得る。
【0111】
金属を含む硬化触媒(E)の例は、有機チタンおよび有機スズ化合物であり、例は、チタン酸エステル、例えば、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピルおよびチタンテトラアセチルアセトネート;スズ化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキシドおよび対応するジオクチルスズ化合物である。
【0112】
金属を含まない硬化触媒(E)の例は、塩基性化合物、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミンおよびN−エチルモルホリニン(ethylmorpholinine)である。
【0113】
触媒(E)として、酸性化合物、例えば、リン酸およびそのエステル、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸、またはその他の有機カルボン酸、例えば、酢酸および安息香酸を使用することが同様に可能である。
【0114】
本発明の組成物が、触媒(E)を含む場合、含まれるその量は、それぞれの場合、100重量部の成分(A)に基づいて、好ましくは、0.01から20重量部まで、より好ましくは、0.05から5重量部までである。
【0115】
本発明の1つの実施形態において、場合によって使用される触媒(E)は、金属を含む硬化触媒、好ましくはスズを含む触媒である。本発明のこの実施形態は、成分(A)が、完全に、または少なくともある程度、言い換えれば、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95%が、bが1以外である式(I)の化合物からなるときが特に好ましい。
【0116】
本発明の組成物において、成分(A)が、完全に、または少なくともある程度、言い換えれば、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%の程度まで、bが1であり、Rが水素原子の定義を有する式(I)の化合物からなるときは、金属を含む触媒(E)なしで、より特定的にはスズを含む触媒なしで済ませることが可能であることが好ましい。金属を含む、より特定的には、スズを含む触媒なしの本発明のこの実施形態は、特に好ましい。
【0117】
本発明の組成物において場合によって使用される接着促進剤(F)は、シラン縮合によって硬化する系に対してこれまでに記載されている任意の望ましい接着促進剤であり得る。
【0118】
接着促進剤(F)の例は、エポキシシラン、例えば、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、またはグリシジルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、2−(3−トリエトキシシリルプロピル)無水マレイン酸、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)尿素、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)尿素、N−(トリメトキシシリルメチル)尿素、N−(メチルジメトキシシリルメチル)尿素、N−(3−トリエトキシシリルメチル)尿素、N−(3−メチルジエトキシシリルメチル)尿素、O−メチルカルバメートメチル−メチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチル−トリメトキシシラン、O−エチルカルバメートメチル−メチルジエトキシシラン、O−エチルカルバメートメチル−トリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシランおよびアクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、およびまた、それらの部分的な縮合物である。
【0119】
本発明の組成物が、接着促進剤(F)を含む場合、含まれるその量は、それぞれの場合、架橋性組成物の100重量部に基づいて、好ましくは、0.5から30重量部まで、より好ましくは、1から10重量部までである。
【0120】
本発明の組成物中に場合によって使用される水捕捉剤(G)は、シラン縮合によって硬化する系に対して記載されている任意の望ましい水捕捉剤であり得る。
【0121】
水捕捉剤(G)の例は、シラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチル−メチルジメトキシシラン、O−メチルカルバメートメチル−トリメトキシシラン、O−エチルカルバメートメチル−メチルジエトキシシラン、O−エチルカルバメートメチル−トリエトキシシランおよび/またはそれらの部分縮合物、およびまた、オルトエステル、例えば、1,1,1−トリメトキシエタン、1,1,1−トリエトキシエタン、トリメトキシメタンおよびトリエトキシメタンである。
【0122】
本発明の組成物が水捕捉剤(G)を含む場合、含まれるその量は、それぞれの場合、100重量部の架橋性組成物に基づいて、好ましくは、0.5から30重量部、より好ましくは、1から10重量部である。本発明の組成物は、好ましくは、水捕捉剤(G)を含む。
【0123】
本発明の組成物中に場合によって使用される添加剤(H)は、今までに知られており、シラン架橋系に対して典型的な任意の望ましい添加剤であり得る。
【0124】
本発明に従って場合によって使用される添加剤(H)は、好ましくは、酸化防止剤、紫外線安定剤、例えば、HALS化合物、殺菌剤および顔料である。
【0125】
本発明の組成物が添加剤(H)を含む場合、含まれるその量は、それぞれの場合、100重量部の成分(A)に基づいて、好ましくは、0.01から30重量部、より好ましくは、0.1から10重量部である。本発明の組成物は、好ましくは、添加剤(H)を含む。
【0126】
本発明に従って場合によって使用される補助剤(K)は、好ましくは、例えばテトラエトキシシランのようなテトラアルコキシシランおよび/またはそれらの部分縮合物、反応性可塑剤を含めた可塑剤、レオロジー添加剤、難燃剤および有機溶媒である。
【0127】
可塑剤(K)の例は、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルおよびフタル酸ジウンデシル)、ペルヒドロ化フタル酸エステル(例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルおよび1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチルエステル)、アジピン酸エステル(例えば、アジピン酸ジオクチル)、安息香酸エステル、グリコールエステル、飽和アルカンジオールのエステル(例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートおよび2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート)、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル(例えば、好ましくは1,000から10,000ダルトンのモル質量を有するポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、パラフィン炭化水素および分枝した高分子質量の炭化水素であり、好ましくは可塑剤(K)は使用されない。
【0128】
反応性可塑剤(K)の例は、式
10Si(OR11(4−k−l−m)/2 (X)
(式中、
は、同じであるか異なってもよく、水素原子または場合によって置換されている炭化水素基を示し、
10は、同じであるか異なってもよく、一価の場合によって置換されているSiC−結合した3から40個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、
11は、同じであるか異なってもよく、一価の場合によって置換されているSiC−結合した1または2個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、
kは、0、1、2または3、好ましくは0または1であり、
lは、0、1、2または3、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、
mは、0、1、2、3または4、好ましくは1であり、
ただし、k+l+mの和は4以下であり、分子当り少なくとも1つの基R10が存在する。)
を有するものである。
【0129】
場合によって置換されている炭化水素基Rの例は、基Rに対して特定されている例である。
【0130】
基Rは、好ましくは水素原子および場合によってハロゲン原子によって置換されており、1から18個までの炭素原子を有している炭化水素基;より好ましくは、水素原子および1から10個までの炭素原子を有している炭化水素基;より特定的には、メチル基およびエチル基である。
【0131】
場合によって置換されている炭化水素基R10の例は、少なくとも3個の炭素原子を有している炭化水素基Rに対して特定されている例である。
【0132】
基R10は、偶数の炭素原子を好ましくは有する。
【0133】
基R10は、好ましくは6から40個の炭素原子を有する炭化水素基、より好ましくは、ヘキシル、イソヘキシル、イソオクチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシルおよびヘキサデシル基、非常に好ましくは、ヘキサデシル基を含む。
【0134】
本発明に従って場合によって使用される式(X)の有機ケイ素化合物(K)の例は、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、N−オクチルトリメトキシシラン、N−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシランおよびヘキサデシルトリエトキシシランである。
【0135】
基R11は、メチル基を好ましくは含む。
【0136】
本発明に従って場合によって使用される式(X)の有機ケイ素化合物(K)は、商品でありおよび/または化学において慣例である方法によって調製可能である。
【0137】
レオロジー添加剤(K)は、好ましくは、ポリアミドワックス、水素化ヒマシ油またはステアレートである。
【0138】
有機溶媒(K)の例は、溶媒として上で既に特定されている化合物、好ましくはアルコールである。
【0139】
本発明の組成物には有機溶媒(K)は添加されないことが好ましい。
【0140】
本発明の組成物が、1種以上の成分(K)を含む場合、含まれるその量は、それぞれの場合、成分(A)の100重量部に基づいて、好ましくは0.5から200重量部まで、より好ましくは1から100重量部まで、より特定的には2から70重量部までである。
【0141】
本発明の組成物は、好ましくは、
(A)100重量部の式(I)の化合物、
(B)60から1,000重量部の式(II)の単位を含むシリコーン樹脂、
場合によって
(C)0.5から10重量部の塩基性窒素を含む化合物、
場合によって、
(D)充填剤、
場合によって
(E)触媒、
場合によって
(F)接着促進剤、
場合によって
(G)水捕捉剤、
場合によって
(H)添加剤、および
場合によって
(K)補助剤
を含む組成物である。
【0142】
本発明の組成物は好ましくは、成分(A)から(K)まで以外のさらなる構成成分を含まない。
【0143】
本発明に従って使用される成分は、それぞれの場合、上記の成分の1種類、または他にそれぞれの成分の少なくとも2種類の混合物を含むことができる。
【0144】
本発明の組成物は、それぞれの場合、25℃で、好ましくは500から1,000,000mPasまでの、より好ましくは1,000から500,000mPasまでの、より特定的には1,000から20,000mPasまでの粘度を好ましくは有する配合物である。
【0145】
本発明の組成物は、それ自体知られている任意の望ましい方法、例えば、湿気硬化性組成物製造に対して通例のような方法および混合技術によって製造され得る。さまざまな構成成分が互いに混合される順序は、適宜変動されてもよい。
【0146】
本発明は、個々の成分を任意の順序で混合することによる、本発明の組成物を製造するための方法をさらに提供する。
【0147】
この混合は、周囲外気の圧力の下で、言い換えると、900から1,100hPa付近で、行なうことができる。しかしながら、必要に応じて、この混合は、例えば、30から130℃までの範囲の温度のようなより高い温度で行なうこともできる。さらに、揮発性成分および/または空気を除去するために、時々または持続的に、減圧下、例えば、30から500hPaの絶対圧力で混合を行なうことが可能である。
【0148】
本発明によるこの混合は、好ましくは水分なしで行なわれる。
【0149】
本発明のこの方法は、連続してまたは不連続的に行なわれ得る。
【0150】
本発明のこの組成物は、好ましくは、水が存在しない貯蔵でき、水を受け入れると室温で架橋する一成分組成物である。本発明のこの組成物は、別法では、OHを含む化合物、例えば水が第2の成分に加えられる二成分架橋系の一部である。
【0151】
空気の一般的な水含量が、本発明の組成物を架橋させるために十分である。本発明の組成物の架橋は、好ましくは、室温で生じる。必要に応じて、例えば、−5℃から15℃または30℃から50℃のような室温より高いかより低い温度で、および/または空気の通常の水含量を超える水の濃度を用いて行なわれ得る。
【0152】
この架橋は、好ましくは、100から1,100hPaの圧力下で、より特定的には周囲大気圧、言い換えると、約900から1,100hPaの圧力の下で行なわれる。
【0153】
本発明は、本発明の組成物を架橋させることによって製造した成型品をさらに提供する。この本発明の成型品は、任意の望ましい成型品、例えば、シール、圧縮製品、押出形材、コーティング、含浸系、カプセル化品、レンズ、プリズム、多角形構造体、ラミネート層または接着層であり得る。
【0154】
硬化後、本発明の組成物は、標準条件下、すなわち、1,000hPaおよび23℃において7日間保存後、DIN EN 204に従って測定して、非常に大きい、少なくとも7MPa、好ましくは少なくとも8MPa、より好ましくは少なくとも10MPaの引張り剪断強さを有する。
【0155】
それらは、硬化後少なくとも7mPa、好ましくは少なくとも8mPa、より好ましくは少なくとも10mPaの引張り剪断強さを有する接着剤として好ましくは使用される。好ましくは、それらは、木材の接着のため、すなわち、接着される基材の少なくとも1つが−好ましくは接着される基材の両方共が−木材のものである接着のために使用される。本発明の組成物は、これに関連して、任意のタイプの木材を接着するために適している。特に好ましくは、それらは、硬化後、DIN EN 204 DI、D2、D3および/またはD4の標準を満たす接着のために使用される。
【0156】
本発明によってさらに提供されるのは、本発明の組成物を少なくとも1つの基材の表面に塗布し、次に、前記表面を接着すべき第2の基材と接触させ、その後そのまま架橋が起るままにすることを含む基材の接着またはシーリングのための方法である。
【0157】
本発明に従って接着またはシールすることができる基材の例は、特に木材であるが、また、PVCを含めたプラスチックス、コンクリート、鉱物基材、金属、ガラス、セラミック、および塗装した表面も、である。似ている材料および異なる材料の両方が、この場合互いに接着され得る。
【0158】
本発明に従って使用される基材は、好ましくは木材である。
【0159】
本発明によってさらに提供されるのは、本発明の組成物を少なくとも1つの基材に塗布し、次に、架橋が起るままにすることを含むコーティングまたはカプセル化材を製造するための方法である。
【0160】
これの例は、発光ダイオードまたはその他の電子部品、成型品、複合材料および複合成型物の製造のためのカプセル化組成物である。複合成型品とは、ここでは、本発明の組成物の架橋性製品および2つの成分の間に堅固な耐久性のある結合が存在するような少なくとも1つの基材から構成されている複合材料から製造された均一な成型品を意味する。
【0161】
本発明の組成物は、それらが製造するのに容易であるという利点を有する。
【0162】
本発明の架橋性組成物は、それらが保存に対する非常に高い安定性および高い架橋速度を有するという利点を有する。
【0163】
本発明の架橋性組成物は、それらが優れた接着側面を示すという利点をさらに有する。
【0164】
その上、本発明の架橋性組成物は、それらが処理するのが容易であるという利点を有する。
【0165】
その上、本発明の架橋性組成物は、それらが高い引張り剪断強さを有する接着剤を得るために使用され得るという利点を有する。
【0166】
本発明の組成物の別の利点は、低粘度を有する、すなわち、非常に良好な処理特性を有する組成物を、この目的のために多量の多くの場合望ましくない溶媒および/または可塑剤を添加する必要なく、低粘度成分(B)の選択を通して得ることの選択肢にある。
【0167】
以下に記載されている実施例において、全ての粘度の数字は、25℃の温度に基づいている。別段の断りのない限り、以下の実施例は、周囲の外気の圧力の下、言い換えれば、約1,000hPaで、および室温で、言い換えれば、約23℃で、または反応物が付加的な加熱または冷却なしで、室温で組み合わされるときになる温度で、およびまた、約50%の相対大気湿度で行なわれる。さらに、部および百分率に関する全ての記述は、特に示さなければ重量に基づく。
【実施例】
【0168】
[発明の実施例1]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
100gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)を、150gのフェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.: 129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、242.5gの3−5m/gのBET表面積および1.7−2.1μmのd50を有する三水酸化アルミニウム(Albemarle Corp.から「Martinal OL 104」の名前で市販されている。)を、600rpmでの1分間の撹拌により混和させる。その三水酸化アルミニウム混和に続いて、7.5gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを200rpmで1分間混合させる。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0169】
この配合物を310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0170】
[発明の実施例2]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
125gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)を、125gのフェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.: 129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、242.5gの3−5m/gのBET表面積および1.7−2.1μmのd50を有する三水酸化アルミニウム(Albemarle Corp.から「Martinal OL 104」の名前で市販されている。)を、600rpmでの1分間の撹拌により混和させる。その三水酸化アルミニウム混和に続いて、7.5gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを、200rpmで1分間混合させる。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0171】
この配合物を310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0172】
[比較例1]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
75gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)および50gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−(CH−Si(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E15の名前で市販されている。)を、7.5gのビニルトリメトキシシラン、45gのフェニル官能性T単位(50−75重量%)とジメチル官能性D単位(25−50重量%)とから構成されており、10−30重量%のアルコキシ基含量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)SY 231の名前で市販されている。)、2.5gの架橋触媒(Metatin 740)および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中で混合し、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、155gの15m/gのBET表面積および0.45μmのd50を有するチョーク(Solvayから「Socal U1S2」の名前で市販されている。)および155gの3m/gのBET表面積および0.45μmのd50を有するチョーク(Imerysから「Imerseal 50」の名前で購入可能)を、600rpmで1分間撹拌して混和させる。そのチョーク混和に続いて、10gのアミノプロピル−トリメトキシシラン−を200rpmで1分間混合する。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0173】
この配合物を310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0174】
[実施例3]
発明の実施例1および2からのおよび比較例1からの接着剤配合物の引張り剪断強さは、DIN EN 204に記載されているようにして測定される。この測定において、接着剤は、接着されるべき両方のブナ材試験片に塗布され、次いで100μmのバーコーターを用いてドローダウンされる。その2つの木材の試験片は、次に1cm×2cmの面積の上に5kgの加圧をすることにより接合される。24時間にわたる加圧に続いて、その試験片は、記載されている時間、標準条件下で保存される。D1値の測定のためには、2つの接合された試験片の引張り剪断強さは、保存後直接測定される。D4測定の場合には、保存期間の後に沸騰水中での6時間のさらなる保存が続けられる。その試験片は、その水からその後除去され、水切りされ、1時間室温で保存される。この後引張り剪断強さの測定が続けられる。得られた値は、表1に報告されている:
【0175】
【表1】
【0176】
[発明の実施例4]
シラン末端ポリウレタンの調製
撹拌、冷却および加熱手段を有する6,000mlの反応容器に、1,098g(6,305ミリモル)のトルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)を装入し、この最初の装入材料を60℃に加熱する。次に、207g(854ミリモル)のヘキサデシルアルコールおよび1,248g(2,936ミリモル)の425g/モルの平均モル質量を有するポリプロピレングリコールの混合物を加える。この反応混合物の温度は、80℃より上に上昇しない。次いで、その後の撹拌を60℃で60分間行なう。
【0177】
この混合物を、次に約50℃に冷却し、75mlのビニルトリメトキシシランを加える。その後、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテルを含む4.2gの触媒配合物(Huntsmanから品名Jeffcat(登録商標)DMDLSの下で市販されている。)および1,200g(567.8ミリモル)のN−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシラン(Wacker Chemie AG、Munich、DEから品名GENIOSIL(登録商標)XL 972の下で市販されている。)を加え、その温度は、80℃より上には上昇しない。この後、60℃60分間超、その後の撹拌を続ける。結果として得られるプレポリマー混合物中には、イソシアネート基が赤外分光法によってもはや検出不可能である。50℃で13.5Pasの粘度を有する明るく透明なプレポリマー混合物が得られる。それはさらにまた容易に処理することができる。
【0178】
一成分(1C)接着剤配合物の調製
210gの上で調製したシラン末端のポリウレタンおよび25gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−(CH−Si(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E15の名前で市販されている。)を、245gの、フェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、10gのビニルトリメトキシシランおよび2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、10gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを200rpmで1分間混合させる。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0179】
その配合物は、25℃で17Pasの粘度を有する。310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0180】
[比較例2]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
発明の実施例4からの340gのシラン末端ポリウレタンおよび25gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−(CH−Si(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E15の名前で市販されている。)を、100gの、フェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、10gのビニルトリメトキシシランおよび2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、10gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを200rpmで1分間混合させる。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0181】
25℃で51Pasの粘度を有するこの配合物は、非常に粘稠であり、比較的不十分にしか扱うことができない。310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0182】
[実施例5]
発明の実施例4からおよび比較例2からの接着剤配合物の引張り剪断強さは、DIN EN 204に記載されているようにして測定される。この測定において、接着剤は、接着されるべき両方のブナ材試験片に塗布し、次いで100μmのバーコーターを用いてドローダウンさせる。次に、5kgの加圧をすることにより、2つの木材の試験片を1cm×2cmの面積にわたり接合させる。24時間にわたる加圧に続いて、試験片を、記載した期間、標準条件下で保存する。D1値の測定のためには、2つの接合された試験片の引張り剪断強さを保存後直接測定する。D4測定の場合には、保存期間後に沸騰水中で6時間さら保存する。次いで、試験片を水から取り出し、水切りし、1時間室温で保存する。この後、引張り剪断強さの測定を行う。得られた値は、表2に報告されたものである:
【0183】
【表2】
【0184】
[発明の実施例6]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
100gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)を、387.5gの、フェニル官能性T単位のみから成り、10−30重量%のメトキシ基含量および1,000−2,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 678の名前で市販されている。)および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツからTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、11.5gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランを200rpmで1分間混合する。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0185】
この配合物は、25℃で1.0Pasの粘度を有する。この配合物は、310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0186】
[発明の実施例7]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
150gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)を、337.5gのフェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツからTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、12.5gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランを200rpmで1分間混合する。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0187】
その配合物は、25℃で1.6Pasの粘度を有する。その配合物は、310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0188】
[発明の実施例8]
一成分(1C)接着剤配合物の調製
250gの平均モル質量(M)12,000ダルトンおよび式−O−C(=O)−NH−CH−SiCH(OCHの末端基を有するシラン末端ポリプロピレングリコール(Wacker Chemie AG、Munich、DEからGENIOSIL(登録商標)STP−E10の名前で市販されている。)を237.5gのフェニル官能性T単位(60−65重量%)とメチル官能性T単位(18−22重量%)とジメチル官能性D単位(2−4重量%)とから構成されており、12−16重量%のメトキシ基含量および800−13,000ダルトンの平均モル質量を有する溶媒を含まない液体フェニルシリコーン樹脂(Wacker Chemie AG、Munich、DEからSILRES(登録商標)IC 368の名前で市販されている。)、および2.5gの安定剤(BASF AG、ドイツ、からTINUVIN(登録商標)123の名前で市販されている;CAS No.:129757−67−1)と共に、PC−Laborsystemが提供している2つのバーミキサーが取り付けられている実験室用遊星型ミキサー中、約25℃で2分間、200rpmで均質化させる。その後、12.5gのN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル−トリメトキシシランを200rpmで1分間混合する。最後に、その混合物を600rpmで2分間、200rpmで1分間、100mbarの圧力下で均質化させ、泡が消えるまで撹拌する。
【0189】
その配合物は、25℃で2.9Pasの粘度を有する。その配合物を310mlのポリエチレンカートリッジ中に分注し、検査の前の1日間25℃で保存する。
【0190】
[実施例9]
発明の実施例6、7および8からの接着剤配合物の引張り剪断強さは、DIN EN 204に記載されているようにして測定される。この測定において、接着剤は、接着されるべき両方のブナ材試験片に塗布し、次いで100μmのバーコーターを用いてドローダウンされる。その2つの木材の試験片は、次に1cm×2cmの面積の上に5kgの加圧をすることにより接合される。24時間にわたる加圧に続いて、その試験片は、記載されている間、標準条件下で保存される。D1値の測定のためには、2つの接合された試験片の引張り剪断強さは、保存後直接測定される。D4測定の場合には、保存期間の後に沸騰水中での6時間のさらなる保存が続けられる。その試験片は、その水からその後除去され、水切りされ、1時間室温で保存される。この後引張り剪断強さの測定が続けられる。得られた値は、表3に報告されている:
【0191】
【表3】