特許第6138800号(P6138800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138800
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ロードマーカーまたはライト式警告装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/40 20160101AFI20170522BHJP
   E01F 9/506 20160101ALI20170522BHJP
   E01F 9/559 20160101ALI20170522BHJP
   G09F 19/22 20060101ALI20170522BHJP
   G09F 13/20 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   E01F9/40
   E01F9/506
   E01F9/559
   G09F19/22 H
   G09F13/20 J
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-531753(P2014-531753)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-528035(P2014-528035A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】NZ2012000118
(87)【国際公開番号】WO2013043061
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年6月29日
(31)【優先権主張番号】595342
(32)【優先日】2011年9月11日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】595950
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】596762
(32)【優先日】2011年11月30日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】514069403
【氏名又は名称】ソーラー ブライト リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLAR BRIGHT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ジョン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ポール シニア
【審査官】 石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−256520(JP,A)
【文献】 特開平06−088314(JP,A)
【文献】 特開昭52−066478(JP,A)
【文献】 特開2002−212925(JP,A)
【文献】 特表2007−536446(JP,A)
【文献】 特開平09−003839(JP,A)
【文献】 特開平04−222708(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3004992(JP,U)
【文献】 特開2009−221818(JP,A)
【文献】 特開平08−251818(JP,A)
【文献】 実開平05−003321(JP,U)
【文献】 特開2006−274685(JP,A)
【文献】 特開平09−203015(JP,A)
【文献】 特開2002−163764(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0135386(US,A1)
【文献】 米国特許第05897271(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0297264(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/052262(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公告第1123354(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
G09F 13/20
G09F 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを含むロードマーカーであって、前記ハウジングが電気構成部品を包囲し、これらの電気構成部品が、少なくとも1つの熱センサに結合された少なくとも1つの発光ダイオードを含み、
前記少なくとも1つの熱センサが、少なくとも0.5℃のヒステリシスを有して、少なくとも1つの発光ダイオードの急速なオン/オフ・サイクルを防止し、
前記少なくとも1つの発光ダイオードは、前記熱センサが所定温度を検出すると点灯することを特徴とするロードマーカー。
【請求項2】
前記ハウジングの表面が透明であることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱センサ及び前記少なくとも1つの発光ダイオードに結合された回路ボードをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項4】
太陽電池(PV)モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項5】
少なくとも1つのエネルギー蓄積要素をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱センサ及び前記少なくとも1つの発光ダイオードが前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング外に外付け部品が存在しないことを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱センサが、少なくとも1つのバイメタルスイッチであることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、前記所定温度より少なくとも0.5℃以上高い温度まで点灯したままであるように、前記ヒステリシスの度合いを高めて、温度条件が、危険と考えられる温度より適度に高温であることを保証することを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項9】
前記ハウジングが、当該ハウジング内の前記少なくとも1つの発光ダイオードが前記ロードマーカーを取り付けた表面から出る位置までかさ上げされ、このかさ上げの向きに対する力が加わると、前記ハウジングが前記表面内に押し込まれることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項10】
前記少なくとも1つの熱センサ及び前記少なくとも1つの発光ダイオードのうちの少なくとも1つに結合された回路ボードと、
太陽電池(PV)モジュールと、
少なくとも1つのエネルギー蓄積要素と、
前記PVモジュールと前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置との間に配置され、光エネルギーが前記PVモジュールを作動させるには不十分である際に、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置からのエネルギー漏出を防止する順方向バイアスダイオードと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項11】
前記少なくとも1つの熱センサが所定温度を検出すると、前記少なくとも1つの発光ダイオードが点滅することを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項12】
前記少なくとも1つの発光ダイオードが、1〜5Hzの周波数で点滅することを特徴とする請求項11に記載のロードマーカー。
【請求項13】
前記所定温度が、5℃の周囲温度または表面温度以下の温度であることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項14】
前記ロードマーカーがキャットアイロードマーカーであることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項15】
前記ロードマーカーが、路面に配置または固定されることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【請求項16】
前記ロードマーカーが、中間構造に配置または固定されることを特徴とする請求項1に記載のロードマーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、ニュージーランド国特許出願第595342号(特許文献1)、第595950号(特許文献2)、及び第596762号(特許文献3)から優先権を導出し、これらの特許出願を参照する形で本明細書に含める。
【0002】
技術分野
本願は、ロードマーカーまたはライト式警告装置に関するものである。より具体的には、本願は、少なくとも1つの発光ダイオードを有するロードマーカーまたは装置に関するものであり、この発光ダイオードを用いて、氷の生成のような温度に関係する危険な道路状態を運転者に警告する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
キャッツアイ(猫の目)として一般に知られている反射型ロードマーカーは、交通を管理し道路の安全を維持するために世界中で使用されている。これらのマーカーは一般に、日中及び夜間共に、街路灯または車両のヘッドライトからの光の露光時に目立つ反射材を含む。ロードマーカーは、廉価に生産され、簡単に設置され、しかも保守をわずかしか、あるいは全く必要としないが、運転者にとって非常に役立つ機能を果たすので、広範に使用されている。反射型ロードマーカーは、交通を管理するには有効であり得るが、周囲温度、及び運転条件に対する周囲温度の影響を運転者が判断するためには役立たない。
【0004】
氷、特に薄氷(ブラックアイス)の存在下では、運転条件が危険になり得る。薄氷は一般に、道路または歩道上のガラス状の氷の薄層として知られ、透明であり、従って見えないことがある。薄氷は、道路状態が危険であり、運転速度を低下させるべきことを示す凍雨、雪、またはみぞれ(霙)がない。橋及び陸橋は、これらの構造物の上側及び下側の両方の冷気流により、薄氷がまずこれらの構造物上に生成されるので、特に危険である。
【0005】
反射型ロードマーカーであると共に、氷の生成のような周囲温度に関連して生じ得る安全阻害を運転者に警告する二重目的を果たすキャッツアイ装置を有することが有用であり得ることは明らかである。
【0006】
太陽電池によって給電される点灯型ロードマーカーに関係する1つの既存技術は、米国特許出願公開第2011/135386号明細書(特許文献4)に記載されているソーラー・ロードスタッド(道路の鋲)と称することができる。これらのマーカーまたはスタッドは連続的に点滅して、道路の危険区間または危険状態を運転者に警告する。これら既存のソーラー・ロードスタッドの1つの欠点は、点滅光が状態の変化に応じて自動的にスイッチオンまたはスイッチオフされないことにある。また、これらは、遠隔的に作動させなければならない。従って、これらは、間欠的に危険になる道路区間、及び/または監視場所から離れた道路区間ではなく、運転が常に危険であり、かつ監視することのできる道路区間のみで有用である。
【0007】
他の既存技術は、ロードマーカーまたはサインを、道路状態センサ、及びネットワークまたはデータ伝送システムに接続することによって、ロードマーカーまたはサインの点灯を制御する課題を克服している。このネットワークは、自動的に、運転者への警告信号を制御するか、遠隔制御を要求することができる。これらのシステムの欠点は、高価であり、設置、動作、保守、及び修理が複雑であり、従って、その実現が非常に高価になり得ることにある。これらは、外部データ収集点の最寄りに設置しなければならないので、場所の柔軟性にも欠ける。
【0008】
1つの特許文献である特開第2002−256520号公報(特許文献5)は、温度に応じて色を変えながら連続的に点灯するロードマーカーを記載して、代案の解決法を提案している。この様式の連続点灯は、部品の損耗を意味し、かつ必要であり得る以上のエネルギーを使用するので、理想的ではない。これに加えて、記載された装置は、発生し得る急速なオン−オフ・サイクルを取り巻く問題を認識しておらず、このため、回路及び装置全体の寿命に問題が生じる。
【0009】
本明細書の目的のために、「具える」及びその文法的変化は、包括的な意味を有し、即ち、直接的に参照する列挙された構成要素のみを包含するのではなく、明記しない他の構成要素または要素も包含する意味に解すべきである。
【0010】
ロードマーカーまたはライト式警告装置の、他の態様及び利点は、例として与えるに過ぎない確かな記載より明らかになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ニュージーランド国特許第595342号明細書
【特許文献2】ニュージーランド国特許第595950号明細書
【特許文献3】ニュージーランド国特許第596762号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/135386号明細書
【特許文献5】特開第2002−256520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書には、熱センサを有するロードマーカーまたは装置を記載し、この熱センサは、少なくとも1つの発光ダイオードの点灯を、氷の生成に近い温度でトリガし、これにより、冷温に関連した危険な運転条件の警告を運転者に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、ハウジング(筐体)を具えたロードマーカーが提供され、このハウジングが:
(a) 回路ボード(基板)と;
(b) この回路ボード上の入力端子に結合された熱センサであって、少なくとも0.5℃のヒステリシスを有して、少なくとも1つの発光ダイオードの急速なオン/オフ・サイクルを防止する熱センサと;
(c) 上記回路ボード上の入力端子に結合された太陽電池(PV:photovoltaic)モジュールと;
(d) 上記回路ボード上の少なくとも1つの入力端子に結合された少なくとも1つのエネルギー蓄積要素と;
(e) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードと
を包囲し、
上記少なくとも1つの発光ダイオードは、上記熱センサが所定温度を検出すると点灯する。
【0014】
第2の態様では、ハウジングを具えたロードマーカーが提供され、このハウジングが:
(a) 回路ボードと;
(b) この回路ボード上の入力端子に結合された熱センサと;
(c) 上記回路ボード上の入力端子に結合された太陽電池(PV)モジュールと;
(d) 上記回路ボード上の入力端子に結合された少なくとも1つのエネルギー蓄積要素と;
(e) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードであって、上記熱センサが所定温度を検出すると点灯する少なくとも1つの発光ダイオードと
を包囲し、
上記ハウジングは、このハウジングの少なくとも上記発光ダイオードが、上記ロードマーカーが取り付けられる表面上に出る位置にかさ上げバイアス)され、このかさ上げの向きに対する力が加わると、上記ハウジングが表面内に押し込まれる。
【0015】
第3の態様では、ハウジングを具えたロードマーカーが提供され、このハウジングは:
(a) エネルギー蓄積装置、太陽電池(PV)モジュール、及び熱センサと並列的に接続された回路ボードであって、これらのエネルギー蓄積装置、太陽電池(PV)モジュール、熱センサのすべてが、この回路ボード上の入力端子に結合された回路ボードと;
(b) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードであって、上記熱センサが所定温度を検出すると発光する発光ダイオードと
を包囲し、
上記回路ボードは、上記PVモジュールと上記エネルギー蓄積装置との間に順方向バイアスダイオードを含んで、光エネルギーがPVモジュールを作動させるには不十分である際に、上記エネルギー蓄積装置からのエネルギー漏出を防止する。
【0016】
上記のロードマーカー及び装置は、単純かつ費用効果的な危険表示器(ハザード・インジケータ)を提供して、氷のような目に見えない道路の危険性による事故を軽減することができる。その設計は、一旦設置されると、ロードマーカーまたは装置がわずかな保守しか必要としないようにする。設計が自己完結型であることにより、高価なデータ伝送システムまたはネットワークを必要とせずに、信頼性をもって動作する。これらのマーカーまたは装置は、監視を必要としないので、遠隔地でも使用することができる。さらに、このマーカーまたは装置は構造が単純であり、かつ比較的廉価である。
【0017】
上記ロードマーカーまたはライト式警告装置の他の態様は、以下に図面を参照して例として挙げるに過ぎない説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態のロードマーカーの斜視図である。
図2】ロードマーカーの上面図である。
図3】ロードマーカーの前面図である。
図4】ロードマーカーの側面図である。
図5】ロードマーカーの底面図である。
図6】ロードマーカーの分解斜視図である。
図7】ロードマーカーの一実施形態を示す図である。
図8】ロードマーカーの代案実施形態を示す図である。
図9】ビーコンの実施形態を示す図である。
図10】ロードマーカーまたはビーコン用の回路構成の例の簡略化した概略図である。
図11】ロードマーカーの一実施形態の詳細回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
以上に述べたように、本願は、氷の生成に近い温度で少なくとも1つの発光ダイオードの点灯をトリガする熱センサを有するロードマーカーまたは装置に広く関係する。
【0020】
本願の目的のために、「PVモジュール」とは、複数の太陽電池を含む太陽電池モジュールを称し、太陽電池(ソーラーセル)アレイとしても知られている。太陽電池モジュールは、太陽放射を直流(DC)の電気に変換することによって電力を発生する。「LED」とは、発光ダイオード、半導体光源を称する。LEDは、低いエネルギー消費で長寿命にわたって動作する。LEDは、種々の色で入手可能であり、そのいずれをも、現行の用途に用いることができる。
【0021】
「ロードマーカー」、「キャッツアイ」、「ロードスタッド」、「視覚信号装置」及びその文法的変化を互換的に用いて、冷温に関連する道路状態の変化を運転者に警告するために使用される、表面のような基材上の反射装置を記述することがある。
【0022】
「薄氷」とは、道路または歩道上の、透明なガラス状の氷の薄層を称する。
【0023】
「自己完結型」とは、外部接続または突起物を何ら有しないマーカーを称する。
【0024】
「周囲温度」とは、マーカーのハウジングのすぐ周りの温度を称する。
【0025】
「点灯」とは、発光ダイオードが連続して点灯していること、あるいはオン/オフ・サイクルで点灯して、発光ダイオードからの光の点滅またはパルスの効果を与えることのいずれをも称する。
【0026】
「約」、「およそ」、及びその文法的変化は、基準の分量、レベル、度合い、値、数、周波数、%割合、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%だけ変化する分量、レベル、度合い、値、数、周波数、%割合、寸法、サイズ、量、重量、または長さを称する。
【0027】
「ほぼ」またはその文法的変化は、少なくとも約50%、例えば75%、85%、95%または98%を称する。
【0028】
第1の態様では、ハウジングを具えたロードマーカーが提供され、このハウジングは:
(a) 回路ボードと;
(b) この回路ボード上の入力端子に結合された熱センサであって、少なくとも0.5℃のヒステリシスを有して、少なくとも1つの発光ダイオードの急速なオン/オフ・サイクルを防止する熱センサと;
(c) 上記回路ボード上の入力端子に結合された太陽電池(PV)モジュールと;
(d) 上記回路ボード上の入力端子に結合された少なくとも1つのエネルギー蓄積要素と;
(e) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードと
を包囲し、
上記少なくとも1つの発光ダイオードは、上記熱センサが所定温度を検出すると点灯する。
【0029】
発明者は、温度が、光を発生するように事前設定された測定値またはその付近である場合に、既存のロードマーカー装置は急速な光のオン/オフ・サイクルを示すことを発見した。このことを回避するための従来技術の方法は、手動でのスイッチオンまたはスイッチオフ、あるいはマイクロコントローラの使用を含む。手動調整は労力及び時間を要するので理想的ではなく、マーカーは、単に設置し、そのままにして動作させることはできない。マイクロコントローラは、以下でより詳細に説明するように、受動構成部品の復元力に欠け、これに加えて、マイクロコントローラはより高いコストを伴い、装置を、大量の使用及び生産にとって、より望ましくないものにする。手動切り換え、マイクロコントローラの必要性を回避し、なおかつ、中程度から高度なヒステリシスをスイッチに導入することにより急速なサイクルの問題に応えることが、コスト及び信頼性の観点から理想的である。
【0030】
上記熱センサはバイメタルスイッチとすることができ、スイッチ形状及び金属の選択は、ヒステリシスの所望の度合いを与えるように設計される。その代わりに、上記熱センサは熱電対またはサーミスタとすることができ、ここでも、所望のヒステリシスレベルを有するように設計することができる。
【0031】
正確なオン/オフの許容範囲が通常好まれるスイッチでは、ヒステリシスが避けられることが多い。本明細書で説明するマーカー及び装置の場合、回路の急速なサイクルでのターンオフ(オフ切換)及びターンオン(オン切換)を回避するために、ある程度のヒステリシスが非常に重要であり、その逆が成り立つ。その代わりに、道路警告用途では、一旦、氷が張りそうにないほど十分な高温に達すると、回路を1回だけターンオフするだけでよく、氷が張りそうな際には、ターンオンしてオン状態のままにするだけでよい。急速なオン/オフ・サイクルは、運転者にとって紛らわしいことがあり、構成部品のより急速な劣化を生じさせ得る。氷の恐れがある際にスイッチが回路をターンオンし、もはや氷の生成の恐れがない際にスイッチが回路をターンオフすることが理想的である。正確な温度は場所毎に変化し得る。
【0032】
上記熱センサは、少なくとも約0.75℃、または1.0℃、または1.5℃、または2.0℃、または2.5℃、または3.0℃、または3.5℃、または4.0℃のヒステリシスを有して、少なくとも1つの発光ダイオードの急速なオン/オフ・サイクルを防止することができる。
【0033】
1つの実施形態では、上記発光ダイオードが、設定温度より少なくとも0.5℃以上高い温度まで点灯したままであるように、上記ヒステリシスの度合いを高めて、温度条件が、危険と考えられる温度より適度に高温であることを保証する。
【0034】
第2の態様では、ハウジングを具えたロードマーカーが提供され、このハウジングは:
(a) 回路ボードと;
(b) この回路ボード上の入力端子に結合された熱センサと;
(c) 上記回路ボード上の入力端子に結合された太陽電池(PV)モジュールと;
(d) 上記回路ボード上の入力端子に結合された少なくとも1つのエネルギー蓄積要素と;
(e) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードであって、上記熱センサが所定温度を検出すると点灯する発光ダイオードと
を包囲し、
上記ハウジングは、このハウジングの少なくとも上記発光ダイオードが、上記ロードマーカーが取り付けられる表面上に出るようにかさ上げされ、このかさ上げの向きに対する力が加わると、上記ハウジングが表面内に押し込まれる。
【0035】
バネが、このかさ上げの作用を生じさせることができる。ピストンまたは空気圧押出機のような他のかさ上げ機構を用いることもできる。
【0036】
ハウジングは、除雪車または大型車が当たると表面内に押し込まれることができる。
【0037】
一実施形態では、マーカーが、透明ゴム材料製の半球形ハウジングを含むことができる。このハウジングは、マーカーの構成部品を包囲することができ、マーカーは、道路のような表面にある開口内に設定することができる。ハウジングと合体されるケーシングを、バネまたはピストンのようなかさ上げ機構と共に用いることができる。かさ上げ機構のかさ上げ作用が、マーカーを押し上げる。ケーシングは、ケーシングの周囲にリップを有し、通常動作中にハウジングに接して、ハウジングを表面の開口内に保つことができる。ハウジングの上部に力が加わると、ハウジングはかさ上げ作用に対抗して表面の開口内に押し込まれ、これによりマーカーを表面内に落とし込む。開口の深さ及びかさ上げ行程を変化させることによって、マーカーを表面内に完全に押し込まれた状態に設定することができる。力が除かれると、かさ上げ作用がマーカーを、通常動作または非押し込みの位置に押し戻す。この機構は、下向きの力が加わるとマーカーが押し込まれることを可能にし、これにより、マーカーが除雪車または大型車によって取り除かれることを回避する。
【0038】
かさ上げの代案実施形態は、球形のハウジングの使用を含むことができ、この球形は、表面の開口内部のケーシング内に保たれている。球形ハウジングは、ゴムのような透明で弾力性のある材料で製造することができる。LED及びバッテリーのようなマーカーの構成要素は、この球内に保持することができる。球形ハウジングは、カウンターウェイト(釣り合い重り)を含むこともでき、このカウンターウェイトは、球の底部を重くして、マーカーが定位置に留まりやすくして、LEDライト及び球の一部が表面上に出るようにすることができる。この球は、バネ付き軸受によって、表面に対してかさ上げすることができ、このかさ上げ作用が、球をケーシングのつば(アニュラス)に押し付ける。大型車または除雪車から生じる力のような下向きの力が加わると、球はバネ付き軸受に対して下向きに押し付けられる。この力は、ケーシング内で自由に回転する球に対する回転運動にも転換される。この球は、ケーシング上の磁石に引き付けられる磁石を含むこともできる。カウンター・バランスウェイトに加えて、これらの磁石を用いて、球の回転運動を減速または自己修正することができる。
【0039】
第3の態様では、ハウジングを具えたロードマーカーが提供され、このハウジングは:
(a) エネルギー蓄積装置、太陽電池(PV)モジュール、熱センサに並列的に接続された回路ボードであって、これらのエネルギー蓄積装置、太陽電池(PV)モジュール、熱センサがすべて、この回路ボード上の入力端子に結合された回路ボードと;
(b) 上記回路ボード上の出力端子に結合された少なくとも1つの発光ダイオードであって、上記熱センサが所定温度を検出すると発光する発光ダイオードと
を包囲し、
上記回路ボードは、上記PVモジュールと上記エネルギー蓄積装置との間に順方向バイアスダイオードを含んで、光エネルギーがPVモジュールを作動させるには不十分である際に、上記エネルギー蓄積装置からのエネルギー漏出を防止する。
【0040】
バッテリー漏電の防止は、PVモジュールが光エネルギーを受けないか最小限の光エネルギーしか受けない際に、バッテリーが電荷を失うことを防止する。上記回路レイアウトのさらなる利点は、電気流量を制御するための電圧コントローラまたはマイクロコントローラの必要性を回避し、これにより、より高価な構成部品及びより低信頼性の構成部品の使用を回避することにある。
【0041】
ロードマーカーの構成部品は、すべてハウジング内に配置して、ハウジング外に外付け部品が存在しないようにすることができる。従来技術の方法は、外付け温度センサのような外付け部品、あるいは複数の装置を1つのコントローラに接続する配線を利用することが多い。本明細書で説明するロードマーカーは、外付け部品のないスタンドアロン(独立型)品目であり、設置が簡単な工程であり、保守が最小化されることを意味する。
【0042】
ハウジングは接近するか離れる交通の向きに対して傾斜した外形を含むことができる。この傾斜は、マーカーに加わってかさ上げの向きに対して表面内に押し込む力を援助または助長することができる。
【0043】
上記の態様で述べた表面は路面とすることができるが、街灯柱(ランプポスト)のような柱(ポスト)、手すりのようなレール、衝突防止壁、または中間壁とすることもできる。
【0044】
上述したマーカー内に使用される電気構成部品は、受動部品とすることができる。これらの構成部品全体は、電圧要求を4ボルト未満に最小化するように選択することができる。電圧は、3.5ボルト、3ボルト、2.5ボルト、2ボルト、1.5ボルト、1ボルト、0.75ボルト、0.5ボルト未満の電圧要求まで最小化することができる。電圧要求を最小化する目的は、マーカーを、わずかな保守しか必要としない単純な構成部品で作製できるようにすることにある。低い電圧要求は、高さの低い場所で使用する際に、装置のバッテリー寿命を延長するためにも役立つ。
【0045】
上述したロードマーカーは、道路形成中のタールシール(タールによる地固め)の温度に十分耐える耐温度性にすることができる。ロードマーカーは一般に、タールシールがまだ融けている間または固まる前に設置され、従って、マーカーは少なくとも短期間、極度な高温に晒される。耐温度性は、受動部品の使用及びマイクロコントローラを使用しないことに加えて、マーカーの全内容物を収容する金属エンクロージャ筐体)の使用によって達成されていた。特にマイクロコントローラは、道路シール(地固め)中に受ける温度に特に敏感であることに加えて、一般に耐性がより小さく、長期にわたる性能を危うくすることが、発明者によって判明している。マーカーが遠隔位置に配置されがちであるとすれば、発明者は、高いレベルの信頼性を重要なものとして認めている。特に遠隔位置にある際に、マーカーを定期的に修理点検しなければならないことは、より大きな修理点検コストにより、装置の市場計画を劇的に危うくする。理想的な装置は、設置されて、危険な道路状態における必要時を除いて、長く放念されるものである。以上で述べた耐温度性は100℃以上であり得る。この温度は、150℃より高いことがある。この温度は、180℃〜200℃になり得る。
【0046】
所定温度に達すると、発光ダイオードを点滅させることができ、光エネルギーは、PVモジュールによって、エネルギー蓄積装置内のエネルギーレベルとは無関係に受光される。並列な回路構成の使用によってエネルギー蓄積装置は随意的になり、エネルギー蓄積装置を除去するか、光照射とは無関係に再充電することができる。
【0047】
回路ボードが、少なくとも2ボルトのパルスを発生するのに十分なLCR回路を含んで、発光ダイオードからの点滅を駆動することができる。このパルスは、少なくとも2.5ボルト、少なくとも3ボルト、少なくとも3.5ボルト、少なくとも4ボルトにすることができる。
【0048】
PVモジュールは、自動車のライトから受けたエネルギーによって活性化することができる。
【0049】
概ね、キャッツアイ型ロードマーカーの実施形態を説明するが、他のロードマーカー装置も同様の設計を利用することができることは明らかである。このロードマーカー装置は、ビーコン、ロードマーカー、懐中電灯、または上述した発光部品を利用する他の装置とすることができる。この装置は、表面に配置または固定するか、ロードコーン(円錐標識)のような中間構造に固定することができる。
【0050】
マーカーまたは装置内に使用されるPVモジュールは、表面に装着して光、例えば太陽光に晒される際には、ハウジングの上面に配置することができる。このPVモジュールは、0.1、または0.2、または0.5、または0.75、または1.0、または1.25、または1.5、または1.75、または2.0ボルト以上の太陽電池(ソーラー)パネルとすることができる。このPVモジュールは2ボルトの太陽電池パネルとすることができる。
【0051】
点灯されると、上述したロードマーカーまたは装置は、点滅またはパルス出力を生成することができる。「点滅出力」とは、0.015〜5秒間の範囲の、点灯間の休止を称するが、休止は要求に応じて、より長く、あるいはより短くすることができる。「パルス」とは、発光ダイオードから放出されて、明るさが0.015〜5秒のサイクル長の範囲の、パルス状に変化する光の量を称するが、パルスは要求に応じて、より長く、あるいはより短くすることができる。マーカーは、点灯されると、1〜5Hzの周波数で点滅出力を生成することができる。
【0052】
点灯は、LEDからの一点光とするか、1つ以上のLEDからの多点光とすることができる。複数のLEDを使用する場合、これらのLEDは、ある形状または単語を形成するように配置することができる。一実施形態では、これらのLEDが単語「ICE(氷)」を形成するように配置することができる。
【0053】
マーカーまたは装置からの点滅出力は、自動点滅(フラッシャー)回路を含む回路ボードによって生成することができる。この回路の出力部は、オープンドレインとすることができる。その代わりに、点滅出力は、集積マルチバイブレータ回路を含む少なくとも1つの発光ダイオードによって生成することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの発光ダイオードが、点滅またはパルス発光なしの連続照射を生成することができる。その代わりに、回路ボードを低電圧の抵抗器プログラマブル(抵抗器がプログラム可能な)感温スイッチにして、この感温スイッチは、少なくとも特定温度用抵抗器、熱センサ、電源抵抗器、接地端子、及び出力端子を含むことができる。
【0054】
マーカーまたは装置のハウジングは、表面に装着されると、少なくとも1つの上面及び周囲面を規定することができ、これらの上面及び周囲面は、マーカーの底部から到達可能な空洞を取り囲む。ハウジングは単一要素として形成することができる。その代わりに、ハウジングは複数の個別要素から形成することができる。
【0055】
ハウジングは、耐摩耗材料で形成することができる。
【0056】
ハウジングは、少なくとも1つの、透光材料製の反射面を含むことができる。
【0057】
ハウジングの少なくとも1つの面を透明にして、少なくとも1つの発光ダイオードがハウジングを通して見えるようにすることができる。
【0058】
マーカーまたは装置上で着脱可能な底部閉止材を、ネジ、接着剤、または他の取り付け方法によってハウジングに取り付けて、ハウジング内の構成部品を包囲することができる。ハウジングと着脱可能な底部閉止材との間にガスケット(詰め物)を配置して、水または粒子の進入を防止することができる。このガスケットは、シリコンまたは類似の変形可能な材料製とすることができる。
【0059】
着脱可能な底部閉止材は、鋳造アルミニウムで製造することができる。その代わりに、着脱可能な底部閉止材は、1つ以上の成型部品で構成することができる。この低部閉止材は、マーカーにかさ上げ力を与えるバネを収容することができる。その代わりに、このかさ上げ力は、ハウジングと表面との間に配置されたピストンまたはバネによることができる。
【0060】
底部閉止材は機械的に(例えばファスナーで)、あるいは化学的に(例えば接着材で)表面に締結することができる。底部閉止材は、路面のような表面に接着接合することができる。その代わりに、底部閉止材は、手すりまたは街灯柱(ランプポスト)のような道路に近接したアイテムに、機械的または化学的に取り付けることができる。
【0061】
マーカーまたは装置内に使用する熱センサは、着脱可能な底部閉止材内に含めることができる。その代わりに、熱センサはハウジング内に含めることができる。
【0062】
熱センサの配置は、道路及び/またはマーカーに隣接した周囲気温の測定を可能にするように行うことができる。その代わりに、熱センサの配置は、基材、例えばアスファルト温度の測定を可能にするように行うことができる。
【0063】
マーカーまたは装置内に使用するエネルギー蓄積要素は、バッテリーとすることができる。エネルギー蓄積要素は、PVモジュールから劣化なしにトリクル(細流)充電することのできる再充電可能なバッテリーとすることができる。このバッテリーは、ニッケル−カドミウム・バッテリー、またはPVモジュールとの使用に適した他の種類のバッテリーとすることができる。
【0064】
マーカーまたは装置内に使用する回路ボードは、氷が生成される時(所定温度)に近い(周囲及び/または基材)温度を温度センサが測定すると、少なくとも1つの発光ダイオードを点灯させるように構成することができる。点灯温度は、5℃以下にすることができる。その代わりに、点灯温度は、4℃、または3℃、または2.5℃、または2.0℃、または1.5℃、または1.0℃、または0.5℃、または0.0℃、または−0.5℃、または−1.0℃、または−1.5℃、または−2.0℃とすることができる。
【0065】
以上の態様では、ロードマーカーまたは装置を自己完結型とすることができる、即ち、ハウジング外に部品または構成部品が存在し得ず、マーカーまたは装置を容易に製造、販売、輸送、及び設置することができることを意味する。
【0066】
以上より明らかなように、ロードマーカーまたは装置は、単純で費用効果的な危険表示器を提供して、氷のような目に見えない道路の危険性による事故を軽減することができる。その設計は、一旦設置すると、ロードマーカーまたは装置がわずかな保守しか必要としないようにすることができる。保守頻度は主に、エネルギー蓄積要素またはバッテリーの寿命に依存する。設計が自己完結型であることにより、高価なデータ伝送システムまたはネットワークを必要とせずに、信頼性をもって動作する。
【0067】
上述した実施形態は、単独にせよ集合的にせよ、本明細書または本願中で参照するか示す部分、要素、及び特徴、及びこれらの部分、要素または特徴の任意の2つ以上のあらゆるすべての組合せにある、と大まかに言うこともでき、これらの実施形態が関係する技術において既知の等価物を有する特定の完全体に本明細書中で言及する所では、こうした既知の等価物は、個別に説明した後は、本明細書に含まれるものと考えられる。
【0068】
本明細書では、本発明が関係する技術において既知の等価物を有する特定の完全体について言及する所では、こうした既知の等価物は、個別に説明した後は、本明細書に含まれるものと考えられる。
【0069】
実施例
以下、上記マーカー及び装置を、ロードマーカー及び装置の種々の実施例の詳細な記述を参照しながら説明する。
【0070】
図1〜5は、組み立てた形式のロードマーカーの実施例を示す。図6は、ロードマーカーの分解斜視図を示す。全体を矢印1によって示すロードマーカーは、既存のキャッツアイ型ロードマーカーに似た形状である。ロードマーカー1はハウジング2を含み、ハウジング2は金属筐体であり、表面に設置した際に、ハウジング2の上面に付加されるPVモジュールまたは太陽電池パネル3を受け入れる開口を有する。ロードマーカー1は発光ダイオード(LED)4を含む。領域を包囲するLED4は、1つ以上の反射パネル5を含むことができる。ハウジング2は傾斜エッジ6を有して、通行車両がマーカー1上を滑らかに走行することを可能にする。マーカー1は基部の突起またはアンカー7も含み、突起またはアンカー7はマーカー1の底部から出て、マーカー1を表面上の定位置に固定するための一助として使用される。アンカー7は、表面の開口内に挿入することができる。アンカー7は開口13を含んで、バッテリー(図示せず)を開口13内に保持することができる。
【0071】
マーカーの底部を図5に示す。この底部は、ネジ(9)によってハウジング2に締結されたベース(基部)用鋳造アルミニウムシェル構成部品8を含む。ベース8は内部構成部品を囲むようにハウジング2に取り付けられる。
【0072】
図6に示すように、ハウジング2の内部には成形品10があり、太陽電池パネル3、プリント回路ボード(PCB:printed circuit board)11、センサ12、及び(部分的に)ライト4を保持する。
【0073】
図7に、かさ上げされたマーカー1を示す。図に示す実施例は、透明ゴム材料製の半球形ハウジング2を使用する。ハウジング2は、マーカー1の構成部品を取り囲む。マーカー1は、道路16のような表面の開口内に設定される。ハウジング2と合体されるケーシング17を、かさ上げ機構、この例ではバネまたはピストン19と共に使用する。かさ上げ機構19のかさ上げ作用がマーカー1を押し上げる。ケーシング17は、ケーシングの周囲にリップを有し、通常動作中にハウジング2に接して、ハウジング2を表面16の開口内に保つ。ハウジング2の上部に力が加わると、ハウジング2はかさ上げ作用19に対抗して表面16の開口内に押し込まれ、これによりマーカー1を表面16内に落とし込む。開口の深さ及びかさ上げ行程を変化させることによって、マーカー1を表面16内に完全に押し込まれた状態に設定することができる。力が除かれると、かさ上げ作用19がマーカー1を、通常動作または非押し込みの位置に押し戻す。この機構は、下向きの力が加わるとマーカー1が押し込まれることを可能にし、これにより、マーカー1が除雪車または大型車によって取り除かれることを回避する。
【0074】
図8に、かさ上げの代案実施例を示し、ここでは、マーカー1のハウジング2が球形であり、表面16の開口内部のケーシング17内に保たれている。球形ハウジング2は、ゴムのような透明で弾力性のある材料で製造することができる。LED18及びバッテリー15のようなマーカー1の構成要素は、この球2内に保持することができる。球形ハウジング2は、カウンターウェイト(釣り合い重り)21を含むこともでき、このカウンターウェイトは、球2の底部を重くして、マーカー1が定位置に留まりやすくして、LEDライト18及び球2の一部が表面16上に出るようにすることができる。この球2は、バネ付き軸受19によって、表面16に対してかさ上げすることができ、このかさ上げ作用が、球2をケーシングのつば(アニュラス)17に押し付ける。大型車または除雪車から生じる力のような下向きの力が加わると、球2はバネ付き軸受19に対して下向きに押し付けられる。この力は、ケーシング17内で自由に回転する球に対する回転運動にも転換される。球2は、ケーシング17上の磁石20に引き付けられる磁石(図示せず)を含むこともできる。カウンター・バランスウェイト21に加えて、これらの磁石20を用いて、球2の回転運動を減速または自己修正することができる。
【0075】
図9に代案の装置を示し、この装置は、上述したのと同じ構成部品の多数、及び上述したマーカー1の原理を利用したビーコン50である。ビーコン50は、エネルギー源(図示せず)と接続した太陽電池パネル(図示せず)、及び1つ以上のLEDライト53を含む。LEDライト53はハウジング52内に設定され、ハウジング52はアセンブリの種々の構成部品を保持する。ハウジング52は、支持体またはスリーブ51上に設定することができる。スリーブ51は、例えばロードコーン上に設定するか、それ自体を警告コーンとして使用すべく十分大型に作製することができる。
【0076】
図10に、マーカー1または装置50内の回路100の簡略化した概略図を示す。図11に、マーカー1の回路100の一実施例の、より詳細な回路図を示す。回路100は、バッテリー102及び回路ボード103と並列的に接続された太陽電池パネル101を含むことができる。太陽電池パネル101及びバッテリー102は、一方向ダイオード104を含んで電気の逆流を防止し、これにより、光エネルギーが低い状態におけるバッテリー102の放電を回避する。回路100はスイッチ105も含み、スイッチ105は、バイメタルスイッチのような熱センサスイッチである。回路100は、1つ以上のLEDライト106に接続される。
【0077】
バイメタルスイッチ105の選定は、スイッチ105がある程度の固有のヒステリシスを有するので、有利なものとして認められている。正確なオフ/オンの許容範囲が通常好まれるスイッチでは、ヒステリシスが避けられることが多い。本明細書で説明するマーカー1及び装置50の場合、回路100の急速なサイクルでのターンオフ及びターンオンを回避するためには、ある程度のヒステリシスが非常に重要であり、その逆が成り立つ。その代わりに、道路警告用途では、氷が張りそうにないほど十分な高温に達すると、回路を1回だけターンオフするだけでよく、氷が張りそうな際には、ターンオンしてオン状態のままにするだけでよい。急速なオン/オフ・サイクルは、運転者にとって紛らわしいことがあり、構成部品のより急速な劣化を生じさせ得る。氷の恐れがある際にスイッチ105が回路100をターンオンし、もはや氷の生成の恐れがない際にスイッチが回路をターンオフすることが理想的である。正確な温度は場所毎に変化し得るが、約1〜2℃で点灯が発生する。
【0078】
動作中には、太陽電池パネル101が回路ボード103に対して2.2ボルトの電荷を発生する。光エネルギーがない場合、バッテリー102が回路ボード103に電力を供給する。バッテリー102は、約1.2ボルトの電力出力を有することができる。図に示す回路ボード103は自動点滅回路を含んで、スイッチ105がオンになると、自動点滅回路が動作状態になって、光のパルスをLEDライト106から発生する。パルスまたはフラッシュは15Hzの周波数で発生し、この周波数は、回路ボード103が受けた電力のレベルに応じて変化する。自動点滅回路はLCR回路を含んで電荷を蓄積して確立し、この電荷はパルスまたは点滅毎に放出される。その結果、1.2ボルトのバッテリー102電源または2.2ボルトの太陽電池パネル101電源のいずれかを用いて、4ボルトの点滅を発生することができる。しかし、点滅の周波数はエネルギー入力に応じて変化し、より低い電圧からはより遅い周波数になるのに対し、より高い電圧入力からはより高い速度(周波数)となる。
【0079】
以上の構成部品のすべてが受動部品であることは明らかである。このことは、回路100のエネルギー要求を低減するために、従って、コスト及び保守の要求を低減するために重要である。また予想の外に、これらの構成部品は非常に熱安定性である。例えばマイクロコントローラの使用は、少なくともロードマーカー1の用途向けには可能ではない、というのは、道路の建造中にタールを使用する温度(従って、マーカー1を道路上に取り付ける際にマーカー1が晒される温度)が、マイクロコントローラを融解または損傷させるからである。これとは対照的に、(本発明で)使用される受動構成部品は、道路シール(地固め)中に受ける190℃までの高熱に非常に強い。これらの受動構成部品は電圧を4ボルト未満、より一般的には2.5ボルト未満に最小化する。
【0080】
周辺光レベルが所定レベルを超えると、PVモジュール5、101が再充電可能バッテリー21、102を充電する。周辺光レベルが所定レベル未満に降下すると、再充電可能バッテリー21、102が電力を回路に供給する。
【0081】
自動車のライトを用いて、PVモジュールから電力を発生することもできるが、太陽のようなより連続的なエネルギー源が好ましい。
【0082】
少なくとも図2に示すように、発光ダイオード106を使用することができる。これらのLEDを種々のパターンに配置して、形状、さらには単語「ICE(氷)」を形成することができる。
【0083】
ロードマーカー1または装置50を用いて、少なくとも1つのロードマーカー1または装置50を表面、例えば道路、手すり、または街灯柱に設置することによって、危険に関係する温度を運転者に警告することができる。一般に、複数のマーカーまたは装置が目標領域内に設置される。熱センサ20、105が所定温度を検出すると、少なくとも1つの発光ダイオード7、106を回路100によって点滅パターンで点灯させる。このようにして、薄氷のような氷の存在、及びできれば道路の危険に関する他の温度を、運転者に警告することができる。
【0084】
ロードマーカー及び装置の態様を例として説明してきたが、本明細書中の特許請求の範囲を逸脱することなしに、これらに変更及び追加を行うことができることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11