(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138823
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ガラス化可能材料から繊維を成形するための方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/16 20060101AFI20170522BHJP
C03B 5/033 20060101ALI20170522BHJP
C03B 3/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
C03B5/16
C03B5/033
C03B3/02
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-549516(P2014-549516)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公表番号】特表2015-504839(P2015-504839A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】FR2012052978
(87)【国際公開番号】WO2013098504
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】1162500
(32)【優先日】2011年12月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501085706
【氏名又は名称】サン−ゴバン・イソベール
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】モージェンドル、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】スザラタ、フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】クラトット、リシャール
【審査官】
山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06044667(US,A)
【文献】
特開平06−321544(JP,A)
【文献】
米国特許第04349376(US,A)
【文献】
特表2007−507413(JP,A)
【文献】
特開2003−292323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 1/00− 5/44
37/00−37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を電極を備えた円形炉に導入し、次いで、原料を前記炉中で溶融(fusion)して、溶融しているガラス化可能材料を形成し、その後、炉中の溶融しているガラス化可能材料を側面の出口を経て炉から流出させて分配チャンネルに供給し、次いで分配チャンネルの底部上のオリフィスを経て溶融しているガラス化可能材料を流出させて、繊維成形装置に供給し、その後、前記繊維成形装置によって溶融しているガラス化可能材料の繊維に成形することを含んでいる、鉱物繊維の製造方法において、炉と分配チャンネル間の溶融しているガラス化可能材料の流れは、高さが調節可能な金属ダム下を通過し、金属ダムは冷却流体の流れにより冷却されるエンベロープを具備し、電極をその上部からガラス化可能材料に浸漬させ、繊維への成形が、出力を決定する工程であることを特徴とする方法。
【請求項2】
溶融しているガラス化可能材料が2重量%を超える酸化鉄を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
溶融しているガラス化可能材料が3重量%またはさらには4重量%を超える酸化鉄を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
溶融しているガラス化可能材料が20重量%を下回る酸化鉄を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ダムの下を通過する溶融しているガラス化可能材料は、その失透温度よりも高い温度を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ダムの下を通過する溶融しているガラス化可能材料は、850〜1700℃の範囲の温度を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
溶融しているガラス化可能材料は、1〜30%のアルミナを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
溶融しているガラス化可能材料は、15〜30%のアルミナを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ダムの下を通過する溶融しているガラス化可能材料は、1200〜1700℃の範囲の温度を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ダムは、20〜60cmの範囲の幅を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
炉の底部が1〜25m2の範囲の表面積を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
炉の出力は、1日当たり5〜100トンの範囲であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ダムの高さは、溶融しているガラス化可能材料の粘度が繊維成形装置において25Pa.s〜120Pa.sの範囲にあるように調節されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ガラス化可能材料と接触する電極の一部分は、モリブデンから作られることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極を備えた円形炉におけるガラス化可能材料の溶融(fusion)と、分配チャンネルへのこれらの溶融している材料の供給と、次いで、繊維への成形とを含む鉱物繊維の製造方法に関する。
【0002】
本発明の構想で使用される炉はコールドトップ炉として知られており、これはガラス化可能材料を、これらの材料に浸漬された電極を用いて抵抗加熱により発生する熱で溶融させる。ガラス化可能材料の固体装填は上部で入れられ、溶融している材料のバスを完全に覆う上部層を形成する。先行技術によれば、溶融している材料はスパウトを経て、炉の下部又は側面により抽出され、分配チャンネルへ与えられ、繊維成形装置へと供給される。繊維の成形はガラス化可能材料の溶融(fusion)の直後の連続的なプロセスである。スパウトを炉と分配チャンネルとの間で使用するとき、スパウトを形成する耐熱材料の迅速な摩耗が、特にスパウトの上部で観察される。高温の溶融している材料による耐熱材料の破損を抑えることができる冷却システムを使用するにもかかわらず、これらの耐熱材料を通常、炉のその他の耐熱材料から作られるエレメントよりも早期に取り換えなければならない。このような取り替えには、さらに炉の停止を必要とする。さらに簡単なスパウトは流れを調節する手段でなければ、溶融している材料の温度を調節する手段でもない。溶融している材料の温度は高品質の繊維成形プロセスを得るための必須パラメータである。繊維成形プロセスにおける溶融している材料の正確な温度は、第1に、電極により伝送される電流の調節により得られる。長さ、断熱性、特異的な加熱手段のような分配チャンネルの設計も、この温度に影響する。繊維成形プロセス全体の調整は特に難しく、長期間の試行錯誤を要する可能性がある。このことは、このタイプの炉が通常、比較的短い製造キャンペーンで動作し、そのため、遷移時間(開始から製造の安定化までの期間)が連続モードでの動作時間と比べて長いとき、より一層困難になる。このタイプの製造は通常、1日当たり5〜10トンの範囲の出力で動作する。出力を制限するのは、繊維成形ダイスにおけるガラスの通過である。故に繊維への成形は、プロセス全体(出力)を通してのガラスの流れに決定的な工程である。この理由で、ダムの高さは流れではなく温度を調整するだけである。比較的控えめの寸法(1m
2〜30m
2の範囲のオーブンボトム内部表面積)が非常にフレキシブルであり、状況に応じて何時でも容易に停止可能である。通常は、24時間〜6か月またはそれ以上の間、停止せずに動作できる。
【0003】
US6314760は、電極と、円錐形の炉基板とを備えた円形炉を開示し、円錐形の炉基板は、炉と、冷温の水が流れるエンベロープに囲まれているモリブデンチューブを通過する管との間のガラスの流れを分配チャンネルに供給する。この文献はガラスの流れと、炉から排出されるガラスの温度とを調整するための何らかの解決手段を与えていない。
【0004】
US3912488は、電極と、円錐形の炉基板とを備えた円形炉を開示し、円錐形の炉基板は、炉基板の円錐の頂点から溶融している材料を抽出するためのオリフィスを備えており、前記オリフィスは水の循環によって冷却される。
【0005】
本発明は、溶融しているガラス化可能材料の温度を調整する付加的な可能性を提供することにより、前述の問題を克服することに貢献する。このタイプの円形炉では、ガラス化可能材料には垂直の温度勾配が存在し、より高温の材料は、まだ溶融していないガラス化可能材料のクラストの真下の上位に存在し、炉の底部に近いほど、これらは低温であることが観察されている。炉と分配チャンネル間で、炉に関して横方向に位置する垂直に可動のダムの深さを用いることによって、炉から分配チャンネルまで流れる溶融している材料の流動温度に作用することができたという観察もなされている。ダムが低いほど、その下を通る溶融している材料の温度も低くなり、その逆も成り立つ。
【0006】
よって、本発明は鉱物繊維の製造方法に関し、この方法は、原料を電極を備えた円形炉に導入し、次いで、原料を前記炉中で溶融して、溶融しているガラス化可能材料を形成し、その後、炉中の溶融しているガラス化可能材料を側面の出口を経て炉から流出させて分配チャンネルに供給し、次いで分配チャンネ
ルの底部上のオリフィスを経て溶融しているガラス化可能材料を流出させて、繊維成形装置に供給し、その後、前記繊維成形装置によって溶融しているガラス化可能材料の繊維に成形することを含んでおり、炉と分配チャンネル間の溶融しているガラス化可能材料の流れは、高さが調節可能な金属ダム下を通過し、金属ダムは冷却流体の流れにより冷却されるエンベロープを備えている。
【0007】
炉中の溶融している材料の垂直温度勾配が高いほど、迅速に、ガラス化可能材料は赤外線放射を吸収する。溶融している装填中の酸化鉄の存在は、赤外線における吸収の貢献する。よって本発明による方法は、溶融している材料が2重量%を超える酸化鉄(全ての形態の酸化鉄の合計)で、さらには3重量%を超える酸化鉄、さらには4重量%を超える酸化鉄を含むとき、特に好適である。一般的には、溶融している材料は20重量%を下回る酸化鉄を含んでいる。本発明による方法は、溶融している材料が1〜30重量%のアルミナ、さらには15〜30重量%のアルミナを含むとき、特に好適である。これは例えばWO99/57073、WO99/56525、WO00/17117、WO2005/033032、WO2006/103376のうちのいずれか1つに記載のある組成をもつ繊維用ガラスの溶融に使用されることができ、これらの文献は引用することによりここに組み込まれる。
【0008】
繊維成形のための理想的な温度は、溶融している材料の組成に基づく。一般的には、その粘度が25Pa.s〜120Pa.sの範囲にあることが理想である。よって、本発明によれば、溶融しているガラス化可能材料の粘度がこの範囲に含まれるようにダムの高さを調節することができる。ダムの高さはガラス化可能材料の温度、よってその粘度に直接影響する。それ故、ダムの高さは、溶融しているガラス化可能材料の粘度が繊維成形装置において25Pa.s〜120Pa.sの範囲にあるように決定される(すなわち、調節される)。
【0009】
本発明はガラス又は岩岩石から繊維を成形することに適している。
【0010】
ダムの下を通過する溶融しているガラス化可能材料の温度を、ガラス化可能材料の失透温度よりも高いように選択する。一般的には、ダムの下を通過するガラス化可能材料の温度は850〜1700℃の範囲にある。少なくとも15重量%のアルミナ、特に15〜30%のアルミナを含むガラス化可能材料では、ダムの下を通過するガラス化可能材料の温度は通常、1200〜1700℃の範囲にある。それ故、ダムの高さをその下を通過する溶融している材料が正確な温度範囲にあるように調節する。本発明によるダムは、よって本発明によるプロセスの正確な調整を可能にする。
【0011】
本発明は全てのタイプのガラス又は岩石に適している。しかし、ガラス化可能材料がより迅速に赤外線放射(IR)を吸収するほど、本発明は有用である。ガラス化可能材料によるIRの吸収が大きいほど、熱伝導は制限され、炉の底部から、溶融しているガラス化可能材料の上部に浮遊する原料のクラストまでの範囲に、大きな熱勾配が観察される。故に、炉の底部が低温であるほど、ガラス化可能材料はIRを吸収する。このことは炉の底部の総寿命に好ましい。IRの吸収が少ないガラス化可能材料は例えばホウケイ酸塩のタイプである。IRの吸収が多いガラス化可能材料は、例えばサンルーフ応用においてサンスクリーンとして使用される自動車ガラスである。
【0012】
ダムは金属から作られ、冷却流体がその内部を流通できるように中空である。ダムは、共に溶接された金属プレートから構成されることができる。有利なことに、溶接はダムの内部である。ダムの金属はAISI 304のようなスチールであってもよい。ダムの浸漬部を全体的にこのようなスチールからつくることができる。冷却流体の入出を可能にするためにダムの上部を経て導管が接続される。有利なことに、冷却流体はダム中を通る前の温度が通常、5〜50℃、好ましくは20〜40℃(10℃に満たない温度の非常に冷温の水は設備への水を凝縮させる危険性があろう)の流水の形態の液体水である。冷却流体は空気であってもよい。ダムは通常、炉と分配チャンネルとの間の溶融している材料の流れを潜在的に完全に遮断するのに十分な高さを有する。有利なことに、ダムの断面は台形型を有し、換言すると、2つの大きな面が底部方向に向かうにつれて接近している。よって、ダムが固化したガラス化可能材料にせき止められた場合、ダムの撤去がより容易である。ダムの幅は実質的に、分配チャンネル方向に流れる溶融している装填物が通過する幅に対応し、これは実質的に分配チャンネルの幅に対応する。ダムの下の溶融しているガラス化可能材料の通過幅、及びダム自体の幅は通常、20〜60cmの範囲である(ガラス化可能材料の流れ方向を横断して測定した幅)。
【0013】
炉は円形である。炉の底部は平坦であってもよく、或いは傾斜面を有してもよい。炉の底部が傾斜面であることにより、溶融しているガラス化可能材料は溶融を開始するとき、炉の底部の最も低い点方向に流れる。熱を蓄積するホットスポットを形成するためには、炉の充填の開始時に少量の溶融しているガラス化可能材料を結集させることが有益である。このことにより、充填の開始時にプロセスを迅速に推進でき、炉の動作を起動する効果をもつ。傾斜面は逆さまの円錐であってもよく、その先端は炉の下部の最も低い点である。これは斜面の形態を取ってもよく、その炉の円筒形壁との直交は曲線を形成し、これは炉の底部の最も低い点を有する。他の形態も可能であり、炉の底部は上方向に配向のすかし角をもち、その方向に溶融しているガラス化可能材料が炉の充填開始時に流れて、蓄積するという考えである。炉の底部と炉の側壁とが接するところにこの角度を形成することができる。原料はそれ故に、好ましくは少なくとも炉の充填開始時に、この角度方向に導かれる。この角度が炉の底部の中心位置にないならば、最初に、固体の原料はこの角度方向に通され、次いで溶融しているガラス化可能材料が十分なレベルに到達したときに、固体の原料はさらに炉の底部の中心上に通される。固体の原料は、炉を待機状態にすること(出力の停止であり、装填の供給がなく、炉を高温に維持する)が所望である場合は、炉の底部のすかし角方向に導かれてもよい。好ましくは、電極は原料を導入する位置の近くである。よって、原料を幾つかの位置で連続して導入することが可能ならば、電極を原料の導入位置に従わせるように動かせることが有用である。
【0014】
炉の内部は、その炉の底部及び側壁の両者において、ガラス化可能材料と接触する耐熱材料によって裏打ちされている。側壁は通常、外気に接触する外部金属エンベロープを有している。通常、この金属エンベロープは冷却水がその間を流れる2つの区画(図面に示していないシステム)を備えている。電極をその上部からガラス化可能材料に浸漬させる。これらの電極は通常、ガラス化可能材料に浸漬されたモリブデンからなる部分と、電圧に接続されたガラス化可能材料の上方にあるスチールからなる部分とを備えている。したがって、ガラス化可能材料と接触している電極部分は通常、モリブデンから作られる。モリブデンから作られた電極はガラス化可能材料に存在する酸化鉄と徐々に反応し、Fe
2O
3の損失に対してFeOの存在を促進し、前記FeOは特にIRを吸収し、炉の底部から原料のクラストの下までにおいて温度勾配が増加の方向に進むように考えられよう。上方からの電極の導入は、構造に関する幾つかの利点を有し、それによれば、電極は炉の底部を通るであろう。炉の底部を通るには電極と炉の底部との間にリンクを設ける電極ブロックの形成が必要であり、そのブロックは、炉の底部も金属エンベロープにより冷却される事実により製造が特に難しい。炉中の電極は高温域を構成し、セラミックの耐熱材料から作られた電極ブロックは特に急速に腐食されよう。さらに、上部からの電極の浸漬は、底部から上部へと上昇する温度勾配の生成を助け、その理由として電極は、優先的に電極周辺、また上部におけるFeOの形成とさらに組み合わせて、上部でも加熱するためである。電極数をその寸法と炉の出力にしたがって適合する。炉には通常、潜在的にバブラー型を除いて、ガラス化可能材料を撹拌する手段を取り付けていない(機械的な撹拌器はなく、浸漬されたバーナーもない)。炉にはガラス化可能材料を導入する手段を取り付けている。これらは通常、粉末形または粒状型であり、直径10mmまでが通常である。ガラス化可能材料は溶融している材料を覆うクラストを形成するため、炉の内部表面全体にわたり均質に分散される。ガラス化可能材料を導入する手段として、炉の内面より上方で回転する円錐を使用してもよい。ガラス化可能材料は回転する円錐へ落とされ、その円錐の回転によりそれらは炉の内面全体にわたって均質に投射される。まだ溶融していないガラス化可能材料は、溶融しているガラス化可能材料の上方の表面上にクラストを形成する。このクラストは上部からの熱の損失を制限する保温スクリーンを形成する。そのおかげで、特別な何らかの冷却手段なしに、炉の上部を単にボイラースチールで作ることができる。炉の内部の表面積は通常、1〜25m
2の範囲である。動作時、ガラス化可能材料の深さ(溶融済+未溶融)は通常、20〜60cmの範囲にある。溶融しているガラス化可能材料の出力は通常、1日当たり5〜100トンの範囲であることができる。
【0015】
分配チャンネルはその炉の底部に少なくとも1つのオリフィスを具備している。これは同時に供給を受ける繊維成形装置の数にしたがって、2または3或いはそれ以上のオリフィスを備えることができる。このオリフィスを通して落ちる溶融しているガラス化可能材料のスレッド(thread)はしたがって、繊維成形マシン方向に配向される。
【0016】
繊維への成形は、内部遠心分離装置として知られている装置により行われることができる。内部遠心分離方法の原理はそれ自体、当業者によく知られている。おおまかにいうと、この方法は、繊維成形プレートと呼ばれる遠心分離機へ、溶融している鉱物材料のスレッドを導入し、高速度で回転し、遠心分離機の周囲に非常に多数のオリフィスを有し、そこを経て遠心分離力の効果の下で、溶融している材料をフィラメントの形態で投射することからなる。これらのフィラメントは次いで、高温で、且つ遠心分離器の壁に沿って流れる速度における環状の押出し電流の作用を受け、この電流はフィラメントを薄くし、繊維へと成形する。成形された繊維は、通常はこの気体の押出し電流によって、一般的に気体に対して透過性であるストリップで形成される受け装置方向へと駆動される。この既知の方法は多くの改良の主題であり、特にこれらはEP0189534、EP0519797又はEP1087912に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による方法が、溶融(fusion)から繊維成形までの連続モードで動作することを可能にするエレメントを示している。
【
図2】本発明による方法が、溶融(fusion)から繊維成形までの連続モードで動作することを可能にするエレメントを示している。
【
図3】
図2の炉における原料と電極との分布について装置の相対位置を上面図で示している。
【0018】
図1は本発明による方法が、溶融(fusion)から繊維成形までの連続モードで動作することを可能にするエレメントを示している。傾斜面を有する炉の底部2と、円筒型の側壁15とを有する円形炉1には、垂直軸6を中心に回転する金属円錐5へ落とされるガラス化可能材料4が供給される。この回転により、ガラス化可能材料を中心軸6を中心とする大きな表面積にわたって分配することができる。傾斜面は円錐の一部であり、その頂点3は下方向に向き、上方向に向くとすかし角を形成する。まだ溶融していないガラス化可能材料は、溶融する前及び溶融している材料のバス8に供給する前に、表面上にクラスト7を形成する。電極9はガラス化可能材料の溶融(fusion)に必要なカロリーを発生する。溶融している材料は、調節可能な高さのダム10下を通過することにより炉1を出て、水の循環により冷やされる。これらは、引き続きオリフィス12を有する分配チャンネル11に到着する(1つのオリフィスのみ示し、他のオリフィスはさらにチャンネルの右側に沿って存在することができる)。これらはオリフィス12を通って流れてスレッド14を形成し、トラフ13へ落とされて図示していない繊維成形装置へ供給される。ダム10は台形の断面(図面の平面に対して不等辺四角形であり、図面は平面で示されている)を有し、換言すると、その最大の面16と17は底部方向に向かって接近している。
【0019】
図2は本発明による方法が、溶融(fusion)から繊維成形までの連続モードで動作することを可能にするエレメントを示している。炉の底部2がこの図では傾斜面の形態を取ることを除いて、
図1と同じエレメントが全てみられる。この炉の底部2と円筒形壁15との交差は最も低い点23を有する湾曲した交差点を形成する。炉の底部と側壁の合致点は、この最も低い点において、溶融しているガラス化可能材料を受けることができる上方向に凹型である角度を形成する。バイパス系20により、原料は導管21方向に向けられて円錐5を中心としてその上方に分配されるか、或いは導管22方向に向けられてこれらのガラス化可能材料を炉の底部2の最も低い点23の近くに分配することが可能である。導管22による分配は、可能な限り迅速に角23に最大量の溶融している材料を蓄積する方法で、炉の充填の開始時に行われる。このプロセスの開始時に少量の溶融している材料が蓄積すると、炉のプライム(起動)が可能である。原料が炉の底部の最も低い点23を通る垂線の近くに導管22を経て流されるとき、電極9も最低の点23を通る垂線の近くに位置されるように水平に移動される。必要な場合、排出プラグ24が炉を空にすることを可能にする。
【0020】
図3は、
図2の炉における原料と電極との分布について装置の相対位置を上面図で示している。炉の円筒形壁15と分配チャンネル11を見ることができる。充填開始時(
図3のa)に、原料を最も低い点23(
図2参照)の上で、可能な限り近い導管22を介して導入する。電極9をこの最も低い点23の上方に可能な限り近く位置させる。連続的な生産プロセス(
図3のb)では、原料を炉の中心の導管21を介して導入する。電極9は炉の中心を包囲するように動かされている。
【0021】
例
酸化物タイプの粉末にされた原料を、ガラス装填を形成するように
図1に示されているタイプの炉へ導入する。
【0022】
シリカ:43%
アルミナ:21%
酸化鉄:6%
CaO+MgO:17%
Na
2O+K
2O:11%
TiO
2:0.7%
630キロワットの粉末を電極を経て供給する。ダムの高さは変化され、温度は連続モードにおいて種々の高さで、及び一日当たり10トンの一定出力で測定された。以下の表1は炉の底部とダムの最も低い点との間の種々の距離についての結果を提示している。
【表1】