特許第6138834号(P6138834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138834
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】スルフィルイミン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/34 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   C07D213/34
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-557818(P2014-557818)
(86)(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公表番号】特表2015-507018(P2015-507018A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013026377
(87)【国際公開番号】WO2013123349
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/599,489
(32)【優先日】2012年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アダウェイ,ティモシー ジェイ.
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519296(JP,A)
【文献】 特表2001−504471(JP,A)
【文献】 特表2007−532568(JP,A)
【文献】 特表2016−504304(JP,A)
【文献】 特表2010−502605(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/023677(WO,A1)
【文献】 特表2010−534207(JP,A)
【文献】 特表2011−523939(JP,A)
【文献】 特表2010−509323(JP,A)
【文献】 Pandey, Ankur; Bolm, Carsten,Metal-free synthesis of N-cyano-substituted sulfilimines and sulfoximines,Synthesis,2010年,(17),2922-2925
【文献】 Barry, Nicola; Brondel, Nicolas; Lawrence, Simon E.; Maguire, Anita R.,Synthesis of aryl benzyl NH-sulfoximines,Tetrahedron,2009年,65(51),10660-10670
【文献】 Garcia Mancheno, Olga; Bistri, Olivia; Bolm, Carsten,Iodinane- and Metal-Free Synthesis of N-Cyano Sulfilimines: Novel and Easy Access of NH-Sulfoximines,Organic Letters ,2007年,9(19),3809-3811
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程;及び
前記スルフィド化合物を酸化してスルフィルイミン化合物を形成する工程
を含むスルフィルイミン化合物を製造する方法であって、
前記スルフィド化合物は下記の化学構造を有する:
【化5】

(式中、Hetは、
【化6】

からなる群から選択される基であり、
Xは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR及びCONRからなる群から選択される基である;
Yは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択される基である;
nは0〜3の整数である;
Lは、単結合、−CH(CH−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、4員環、5員環又は6員環であり、かつ、pは1〜3の整数である)、−CH(CHOCH)−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、6員環である)、又は、−CH−(但し、この場合、L、R、及び、それらが結合する共通の炭素が一緒になって、最大でも1個までのヘテロ原子を有する4員環、5員環又は6員環である)のいずれかである;
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又は−CH−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、4員環、5員環又は6員環である)からなる群から選択される基である;
及びRのそれぞれが独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルからなる群から選択されるか、或いは、R及びR並びにそれらが結合する共通の炭素が3員〜6員の環を形成する;
及びRのそれぞれが独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルからなる群から選択される;かつ
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択される基である)
、方法。
【請求項2】
さらに、リン酸塩緩衝剤を前記スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基に加える工程を含み、前記リン酸塩緩衝剤が前記スルフィド化合物に対し2モル%から5モル%の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合して、スルフィルイミン化合物を形成する工程が、前記スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及び水酸化ナトリウム塩基を−40℃〜30℃の温度で反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合して、スルフィルイミン化合物を形成する工程
を含むスルフィルイミン化合物を製造する方法。
【請求項5】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程が、前記シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を、下記式の2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物:
【化7】

(式中、R及びRのそれぞれが独立して、水素、C〜Cアルキルからなる群から選択され、R又はRのどちらかがRと一緒になって、4員〜6員の飽和環であり、或いは、RはRと一緒になって、O原子又はN原子で場合により置換される3員〜6員の飽和環であり、かつ、RはC〜Cアルキルであり、或いは、RはR又はRのどちらかと一緒になって、4員〜6員の飽和環である)
と混合する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程が、前記2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸の金属塩を2重量%〜20重量%含む次亜塩素酸塩化合物溶液、及び、前記アルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程が、前記2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド水溶液、前記次亜塩素酸塩化合物の水溶液及び前記アルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及びアルカリ金属水酸化物塩基を混合する工程が、前記スルフィルイミン化合物を形成するために、5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン、シアナミド、次亜塩素酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを混合する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、リン酸塩緩衝剤を供給物流に加える工程を含み、前記リン酸塩緩衝剤が前記スルフィド化合物に対し2モル%から5モル%の量である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンを製造する方法であって、
5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン及び酸性不純物を含む供給物流を提供すること;
シアナミド水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程;及び
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンを含む有機相を水相から分離すること
を含む方法。
【請求項11】
5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン及び酸性不純物を含む供給物流を提供することが、5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンと、1グラムの供給物あたり1×10−5モルの酸性不純物〜1×10−4モルの酸性不純物とを含む供給物流を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
シアナミド水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程が、前記シアナミド水溶液、12.5重量%〜17重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程を含む、請求項10に記載の方法
【請求項13】
シアナミド水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程が、前記シアナミド水溶液、12.5重量%〜20重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程を含む、請求項10に記載の方法
【請求項14】
シアナミド水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程が、前記5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンに対して1.0モル当量〜1.6モル当量のシアナミド、前記5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンに対して1.0モル当量〜1.2モル当量の次亜塩素酸ナトリウム、前記水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルを前記供給物流と混合する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
シアナミド次亜塩素酸ナトリウムに対するモル比が1.2である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物溶液及び水酸化ナトリウム塩基を−40℃〜30℃の温度で混合して、スルフィルイミン化合物を形成する工程を含み、但し、前記次亜塩素塩化合物溶液が次亜塩素酸の金属塩を2重量%〜20重量%含む、スルフィルイミン化合物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は米国仮特許出願第61/599,489号(2012年2月16日出願)の利益を主張する。
【0002】
本開示の様々な実施形態が、スルフィルイミン化合物を製造する方法、例えば、スルフィルイミン化合物をスルフィド化合物から製造する方法などに関連する。
【背景技術】
【0003】
置換スルフィルイミン化合物は、殺虫活性を有するスルホキシミン化合物の製造における有用な中間体である。シアノ置換されたスルフィルイミン化合物が、対応するスルフィド化合物をヨードベンゼンジアセタートの存在下においてシアナミドと反応することによって製造されている。しかしながら、ヨードベンゼンジアセタートは高価であり、また、廃棄物処分問題を引き起こしている。
置換スルフィルイミン化合物がまた、ヨードベンゼンジアセタートを次亜塩素酸塩で置き換えることによって製造されている。対応するスルフィド化合物が次亜塩素酸塩の存在下でシアナミドと反応させられる。しかしながら、対応するスルホキシド化合物がまた、反応副生成物の1つとして生じる。置換スルフィルイミン化合物の収率が、生じる反応副生成物の量によって影響される。例えば、5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン(スルフィド化合物)が、次亜塩素酸ナトリウム及びシアナミドの存在下でN−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミン(スルフィルイミン化合物)に酸化される。この酸化反応の副生成物の1つが5−[1−(メチルスルフィニル)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン(スルホキシド化合物)であり、これが10%以上生じる場合がある。スルフィルイミン化合物を、例えば、生じるスルホキシド化合物の量を減らすことなどによって、より大きい収率で製造するためのプロセスを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の1つの実施形態には、スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及び塩基を混合する工程を含む、スルフィルイミン化合物を製造する方法が含まれる。スルフィド化合物が酸化されて、スルフィルイミン化合物を形成する。
【0005】
本開示の別の実施形態には、5−[1−(アルキルチオ)アルキル]−2−トリフルオロメチルピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及び塩基を混合して、スルフィルイミン化合物を形成する工程を含む、スルフィルイミン化合物を製造する方法が含まれる。
【0006】
本開示のさらに別の実施形態には、5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン及び酸性不純物を含む供給物流を提供することを含む、N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンを製造する方法が含まれる。シアナミド水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリルが供給物流と一緒にされる。N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンを含む有機相が水相から分離される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
スルフィルイミン化合物をスルフィド化合物から製造する方法が記載される。本方法では、スルフィルイミン化合物の増大した収率及び反応副生成物の低下した収率がもたらされる。スルフィルイミン化合物が、スルフィド化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及び塩基並びに必要な場合には緩衝剤を一緒にすることによって合成される。スルフィド化合物が、スルフィルイミン化合物を製造するプロセス全体における前段の反応によって生じるスルフィド供給物流において提供される場合がある。例として、スルフィド供給物流が、スルフィド化合物を置換エナミン化合物から製造するための反応に由来する供給物流である場合がある。しかしながら、スルフィド供給物流が他のタイプの反応から生じる場合がある。スルフィド供給物流は前段の反応からそのまま使用される場合があり、或いは、スルフィルイミン化合物を製造するための反応において使用される前に、従来の溶媒交換プロセス、従来の溶媒濃縮プロセス又は従来の精製技術に供される場合がある。スルフィド供給物流におけるスルフィド化合物は純度が少なくとも90%である場合がある。スルフィド供給物流はまた、酸性不純物(例えば、前段の反応に由来する副生成物など)を含む場合がある。酸性不純物はまた、シアナミドにおいても存在する場合がある。
【0008】
シアナミド溶液及びスルフィド化合物が、有機溶媒、塩基及び緩衝剤(これは、存在するならば、塩基に加えられている)において一緒にされ、続いて、次亜塩素酸塩化合物が加えられる場合がある。少量の重亜硫酸ナトリウム水溶液が、どのような過剰な次亜塩素酸塩化合物であれ、過剰な次亜塩素酸塩化合物と反応させるために混合物に加えられる場合がある。過剰な次亜塩素酸塩化合物の存在がデンプン−ヨウ素紙による試験によって求められる場合がある。十分な量の時間が、これらの試薬が反応するために経過した後で、水相が、スルフィルイミン化合物を含有する有機相から分離される場合がある。スルフィルイミン化合物を含む有機相が、殺虫性スルホキシミン化合物を本明細書中では詳しく記載されない従来の技術によって製造するためにその後の酸化においてそのまま使用される場合があり、又は、スルフィルイミン化合物が、本明細書中では詳しく記載されない従来の技術によって単離及び精製される場合がある。
【0009】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」、用語「アルケニル」及び用語「アルキニル」、同様にまた、派生する用語、例えば、「アルコキシ」、「アシル」、「アルキルチオ」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」及び「アルキルスルホニル」などは、それらの範囲内において、直鎖成分、分岐鎖成分又は環式成分を含む。従って、用語「アルキル」には、メチル、エチル、1−メチルエチル、プロピル、1,1−ジメチルエチル又はシクロプロピルが含まれ得るが、これらに限定されない。別途具体的に明記される場合を除き、それぞれが非置換である場合があり、或いは、置換基が立体的に適合し、かつ、化学結合の諸規則及び歪みエネルギーが満たされるならば、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、C〜Cアシル基、ホルミル基、シアノ基、アリールオキシ基又はアリール基(これらに限定されない)を含む1つ又はそれ以上の置換基により置換される場合がある。用語「ハロアルキル」及び用語「ハロアルケニル」には、1個から最大可能な数までのハロゲン原子(含まれるハロゲンのすべての組合せ)により置換されるアルキル基及びアルケニル基が含まれる。用語「ハロゲン」又は用語「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はそれらの組合せが含まれる。1つの実施形態において、ハロゲンはフッ素である。用語「アルケニル」及び用語「アルキニル」は、1つ又はそれ以上の不飽和結合を含むことが意図される。
【0010】
用語「アリール」は、フェニル基、インダニル基又はナフチル基を示す。用語「ヘテロアリール」は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素又はイオウなど)を含有する5員又は6員の芳香族環を示す。これらのヘテロ芳香族環は他の芳香族系に縮合している場合がある。アリール基又はヘテロアリール基は非置換である場合があり、或いは、置換基が立体的に適合し、かつ、化学結合の諸規則及び歪みエネルギーが満たされるならば、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アリールオキシ、ホルミル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン化C〜Cアルキル、ハロゲン化C〜Cアルコキシ、C〜Cアシル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、アリール、C〜COC(O)アルキル、C〜CNHC(O)アルキル、C(O)OH、C〜CC(O)Oアルキル、C(O)NH、C〜CC(O)NHアルキル又はC〜CC(O)N(アルキル)から選択される1つ又はそれ以上の置換基により置換される場合がある。
【0011】
上記酸化反応によって生じるスルフィルイミン化合物は、置換されたスルフィルイミン化合物である場合があり、例えば、米国特許第7,868,027号(その開示はその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載される化合物の1つなどである場合がある。例として、スルフィルイミン化合物は下記の化学構造を有する場合がある:
【化1】
式中、「Het」はヘテロアリール基であり、下記の化学構造:
【化2】
の1つから選択される;
Xは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR又はCONRである;
Yは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリール又はヘテロアリールである;
nは0〜3の整数である;
Lは、単結合、−CH(CH−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、4員環、5員環又は6員環であり、かつ、pは1〜3の整数である)、−CH(CHOCH)−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、6員環である)、又は、−CH−(但し、この場合、L、R、及び、それらが結合する共通の炭素が一緒になって、1個までのヘテロ原子、しかし、最大でも1個のヘテロ原子を有する4員環、5員環又は6員環である)のいずれかである;
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又は−CH−(但し、この場合、R、S及びLが一緒になって、4員環、5員環又は6員環である)である;
及びRは独立して、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、SO(式中、mは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであるか、或いは、R及びR並びにそれらが結合する共通の炭素が3員〜6員の環を形成する;
及びRは独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルである;かつ
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを表す。
【0012】
1つの実施形態において、スルフィルイミン化合物はN−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンである。
スルフィルイミン化合物は、対応するスルフィド化合物を、次亜塩素酸塩化合物、シアナミド、塩基及び存在する場合には緩衝剤と反応させることによって製造される場合がある。スルフィド化合物は下記の化学構造を有する場合がある:
【化3】
式中、Het、R、R、R及びLは、前記で議論されるように定義され、かつ、nは0〜3の整数である。1つの実施形態において、スルフィド化合物は、下記の化学構造を有する2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物である:
【化4】
式中、R及びRは独立して、H、C〜Cアルキルであり、或いは、R又はRのどちらかがRと一緒になって、4員〜6員の飽和環であり、或いは、RはRと一緒になって、O原子又はN原子で場合により置換される3員〜6員の飽和環であり、かつ、RはC〜Cアルキルであり、或いは、RはR又はRのどちらかと一緒になって、4員〜6員の飽和環である。1つの実施形態において、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルピリジン化合物は5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンである。
【0013】
1つの実施形態において、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物は5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンであり、この化合物から製造されるスルフィルイミン化合物はN−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンであり、この場合、5−[1−(メチルスルフィニル)−エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンが潜在的には酸化反応のスルホキシド副生成物として生じる。しかしながら、塩基及び存在する場合には緩衝剤の添加により、反応によって生じるスルホキシド副生成物の量が減少する場合がある。
【0014】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルピリジン化合物は、対応するスルフィルイミン化合物に酸化される場合があり、この場合、このスルフィルイミン化合物は続いて、殺虫活性を有するスルホキシミン化合物を製造するために酸化される場合がある。本明細書中の実施例では、N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンを5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンから製造することが記載されるが、類似する方法が、他のスルフィルイミン化合物をそれらの対応するスルフィド化合物から形成させるために使用される場合がある。
【0015】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物は、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)−アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物、塩基及び存在する場合には緩衝剤を反応させることによって、対応するスルフィルイミン化合物に酸化される場合がある。この酸化反応は、反応の強い酸化条件に対して実質的に不活性であり、かつ、生じるスルフィルイミン化合物の分配を促進させる好適な有機溶媒において行われる場合がある。例として、有機溶媒は、脂肪族炭化水素(例えば、石油エーテルなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素又はハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はジクロロベンゼンなど)、或いは、脂肪族ニトリル又は芳香族ニトリル(例えば、アセトニトリル(ACN)又はベンゾニトリルなど)である場合がある。1つの実施形態において、有機溶媒はアセトニトリルである。酸化反応はまた、有機溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素など)及び水の混合物を含む二相溶媒系において行われる場合がある。酸化反応は、約−40℃から約30℃までの範囲に含まれる温度で、例えば、約−10℃から約10℃までの範囲、又は、約−5℃から約0℃までの範囲などに含まれる温度で行われる場合がある。好ましい方法が、次亜塩素酸塩化合物を、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、溶媒、シアナミド、塩基及び存在する場合には緩衝剤の混合物にゆっくり加えることである。これらの試薬は、完全に混合されると、酸化反応が生じるための十分な時間を提供するために、およそ15分間〜およそ2時間にわたって、例えば、およそ30分間などにわたって撹拌される場合がある。
【0016】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド、塩基及び(存在する場合には)緩衝剤は、どのような順序で一緒にされてもよく、但し、次亜塩素酸塩溶液が、反応熱を制御することを助けるために最後にゆっくり加えられる。例として、塩基が、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物を含有するスルフィド供給物流に加えられ、続いて、残る試薬が加えられ、次亜塩素酸塩化合物が最後に加えられる場合がある。他の添加順序が可能であり、しかし、様々な注意を、不安定な中間体を取り扱うために取る必要がある。塩基は、スルフィド供給物流又はシアナミドにおける酸性不純物を中和する場合があり、これにより、より高収率のスルフィルイミン化合物の製造を可能にする。
【0017】
2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物を含むスルフィド供給物流は塩基の溶液と接触させられ、続いて、シアナミド、次亜塩素酸塩化合物及び(存在する場合には)緩衝剤が加えられる場合がある。スルフィド供給物流は、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物及び酸性不純物を含む場合があり、この場合、酸性不純物には、前段の反応に由来する酢酸、塩酸又は他の酸性副生成物が含まれ得るが、これらに限定されない。スルフィド供給物流は、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物と、1グラムあたり約1×10−5モルの酸性不純物〜約1×10−4モルの酸性不純物とを含む場合がある。シアナミドは、その貯蔵安定性を改善するために4〜5のpHに緩衝化され、従って、シアナミドは酸性度を系に加えることになる。
【0018】
塩基は、スルフィド供給物流又はシアナミドにおける酸性不純物を中和するための十分な強さの好適な塩基である場合がある。塩基がスルフィド供給物流に加えられる場合がある。塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はそれらの組合せである場合がある。例として、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム及びリン酸三カリウム又はそれらの組合せである場合がある。1つの実施形態において、塩基は水酸化ナトリウムである。別の実施形態において、塩基は炭酸ナトリウムである。酸化反応において使用される塩基は固体又は水溶液である場合がある。塩基は、スルフィド供給物流又はシアナミドにおける酸性不純物を中和するためにさらなる試薬と一緒にされる場合がある。塩基のモル数は酸のモル数を満たさなければならないか、又は上回らなければならない。
【0019】
酸化反応において使用されるシアナミドは固体である場合があるか、又は、およそ40重量%〜およそ60重量%のシアナミドを含む水溶液である場合がある。1つの実施形態において、シアナミドは、50重量%のシアナミドを水に含む溶液である。特定の実施形態において、酸化反応では、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して化学量論的量のシアナミド、又は、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して約1.0モル当量〜最大でも約1.6モル当量のシアナミドが利用される場合がある。2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物の完全な転換を保証するために、(2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して)過剰なシアナミドが使用される場合がある。
【0020】
酸化反応において使用される次亜塩素酸塩化合物は次亜塩素酸塩の溶液である場合がある。次亜塩素酸塩化合物は次亜塩素酸の金属塩である場合がある。この金属塩には、次亜塩素酸のI族アルカリ金属塩又はII族アルカリ土類金属塩、例えば、次亜塩素酸ナトリウム又は次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられる場合がある。次亜塩素酸塩溶液は、次亜塩素酸の金属塩と水とを含む場合がある。次亜塩素酸塩溶液は次亜塩素酸の金属塩を約2重量%〜約20重量%(例えば、約12.5重量%〜約17重量%など)含む場合がある。次亜塩素酸塩溶液は、例えば、Sigma−Aldrich Co.又は他の化学品供給会社などから市販されている場合がある。次亜塩素酸塩溶液における塩素のより高い濃度が、およそ20%に至るまでの次亜塩素酸塩化合物を含有する溶液を提供するために、塩素を次亜塩素酸塩溶液に加えることによって達成される場合がある。特定の実施形態において、化学量論的量の次亜塩素酸塩化合物が2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して利用される場合があり、又は、約1.0モル当量〜約1.2モル当量の次亜塩素酸塩化合物が2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して使用される場合がある。2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物の完全な転換を保証するために、(2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して)過剰な次亜塩素酸塩が使用される場合がある。1つの実施形態において、次亜塩素酸塩溶液は13重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む。別の実施形態において、次亜塩素酸塩溶液は15重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む。さらに別の実施形態において、次亜塩素酸塩溶液は17重量%の次亜塩素酸ナトリウムを含む。
【0021】
緩衝剤がリン酸塩緩衝剤(例えば、リン酸二水素ナトリウムなど)である場合がある。緩衝剤がスルフィド供給物流又はシアナミドに加えられる場合がある。緩衝剤が2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物に対して約1モル%〜約5モル%で存在する場合がある。緩衝剤を加えた後で、公知量の塩基が加えられ、その結果、リン酸塩緩衝剤のすべてがリン酸水素二ナトリウム又はリン酸三ナトリウムの形態であるようにされる場合がある。
【0022】
十分な量の時間が、試薬が反応するために経過した後で、水相が、対応するスルフィルイミン化合物(N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミン)を含有する有機相から分離される場合がある。対応するスルフィルイミン化合物を含む有機相が、殺虫性スルホキシミン化合物を本明細書中では詳しく記載されない従来の技術によって製造するためにその後の反応においてそのまま使用される場合があり、又は、スルフィルイミン化合物が、本明細書中では詳しく記載されない従来の技術によって単離及び精製される場合がある。酸化反応における塩基及び存在する場合には緩衝剤の使用は、酸化反応の副生成物としての5−[1−(メチルスルフィニル)−エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンの形成を低下させ、これにより、N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンの増大した収率をもたらす場合がある。
【0023】
さらなる実施形態において、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物、シアナミド及び次亜塩素酸塩化合物を含む混合物のpHが求められる場合があり、その後、所望量の塩基が、混合物を中和するために加えられる場合がある。例として、十分な量の塩基が、混合物中の酸性不純物を中和するために混合物に加えられる場合がある。混合物は、酸性不純物を中和するために塩基の溶液により滴定される場合がある。最初に混合物の酸性度を定量化することによって、混合物が、過剰な塩基を加えることなく中和される場合があり、しかし、これは、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物の不完全な転換を生じさせる可能性がある。
【0024】
別の実施形態において、過剰な緩衝剤が、2−トリフルオロメチル−5−(1−置換)アルキルチオピリジン化合物及びシアナミドを含む混合物に加えられ、続いて、塩基が加えられる場合がある。過剰量の塩基を加えることによって、酸性不純物の中和が、混合物の酸性度を最初に測定することを必要とすることなく保証される場合がある。
【0025】
下記の実施例は、本開示の様々な実施形態をより詳しく説明するために役立つ。これらの実施例は、本発明の範囲に関して網羅的又は排他的であるとして解釈してはならない。
【実施例】
【0026】
実施例1
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンの製造:
5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンの前処理
出発するスルフィド化合物を、酸性化合物を除くために塩基で前処理した。5−[1−メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンをヘキサンに溶解し、等体積の1%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液により洗浄した。得られた有機相をエバポレーションし、残留するオイルをスルフィルイミン反応のための供給物として使用した。上記の処理された5−[1−メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン(10.6g)(約0.045モル)を、電気式撹拌装置(半月型アジテーター(half moon agitator))、サーモウエル、窒素パッド(nitrogen pad)及び添加用漏斗を備える250mlのフラスコにおいて39.2gのアセトニトリル及び5.06g(0.059モル)の50%シアナミド水溶液と混合した。浴を使用して、フラスコを−7℃に冷却した。次亜塩素酸ナトリウム(68.1g、0.056モル)の6.14%溶液を、温度を−7℃で保ちながら、88分かけてゆっくり加えた。35分の後反応期間の後、過剰な酸化剤を重亜硫酸ナトリウムにより失活させて、デンプン−ヨウ素紙に対する陰性の結果を得た。混合物を室温に加温し、相分離させた。2つの相におけるスルフィルイミンとしての総収率計算(accountability)が90.1%であり、スルホキシドとしての総収率計算が10.1%であった。最初に5−[1−メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンをヘキサン及び塩基で処理しない場合、スルフィルイミン及びスルホキシドの収率計算がそれぞれ、85.6%及び13.7%であった。
【0027】
実施例2
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンの製造:リン酸二水素ナトリウム及び塩基の添加
酸(リン酸二水素ナトリウム)を、スルフィド供給物流における低レベルの酸の影響をシミュレートするために混合物に加えた。シアナミド(5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンに対して1.4モル当量)、水及び2モル%のリン酸二水素ナトリウムを均一になるまで混合した。その後、ACN及びスルフィド供給物流(5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン(94%の純度))を加えた。混合物が濁った。このことは、リン酸二水素ナトリウムの一部が沈澱したことを示している。混合物を所望の反応温度に冷却し、1.25モル当量の13%次亜塩素酸ナトリウムをゆっくり加えた。さらなる酸化反応を、炭酸ナトリウム(NaCO)又はNaOHをリン酸二水素ナトリウムと一緒に加えて行った。すべての酸化反応により、5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンに対して1.4モル当量のシアナミド及び1.25モル当量の13%次亜塩素酸ナトリウムが使用された。すべての実験が、反応生成物への5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンの99+%の転化率をもたらした。結果が表1にまとめられる。
【表1】
【0028】
混合物へのリン酸二水素ナトリウムの添加は、生じたスルホキシド化合物(5−[1−(メチルスルフィニル)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジン)の量をほぼ2倍にし、従って、これにより、スルフィルイミン化合物(N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミン)の収率を約5%低下させた。炭酸ナトリウムの添加は最小限の影響を有していた。水酸化ナトリウムの添加はスルフィルイミン化合物の収率をベースラインとおよそ同じにまで増大させ、又は、それどころか、わずかにより良好に増大させた。表1における結果は、酸が混入するスルフィド供給物流へのNaOHの添加がスルフィルイミン化合物の収率を増大させたことを示している。
【0029】
実施例3
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンの製造:塩基の添加
酸性不純物を含むことが公知であるスルフィド供給物流を希NaOHにより滴定し、このスルフィド供給物流は、1グラムあたり約3.2×10−5モルの酸を含有することが見出された。シアナミドを希NaOHにより滴定し、このシアナミドは、1グラムあたり約2.01×10−5モルの酸を含有することが見出された。従って、0.047モル規模で行われる、シアナミド及び次亜塩素酸ナトリウム(13%)による5−[1−(メチルチオ)エチル]−2−トリフルオロメチルピリジンの酸化反応については、混合物における酸の総モル数が0.00041モルであった。スルフィド供給物流及びシアナミドにおける酸性度を中和するためにNaOHを混合物に加えることの影響を求めた。NaOHを25%水溶液として加え、次亜塩素酸ナトリウムを加える前の約5分間撹拌した。結果が表2にまとめられる。
【表2】
【0030】
表2は、NaOHを混合物に加えることにより、スルフィルイミン化合物の収率が増大し、スルホキシド化合物の収率が低下したことを示している。
【0031】
実施例4
N−シアノ−S−メチル−S−[1−(6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)エチル]スルフィルイミンの製造:
緩衝剤の添加
リン酸塩緩衝剤をスルフィド供給物流に加えることの、スルフィルイミン化合物及びスルホキシド化合物の収率に対する影響を、12%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用して、実施例1に開示される手順に従って調べた。リン酸塩緩衝剤はリン酸三ナトリウム又はリン酸二水素ナトリウムであり、十分な水酸化ナトリウムを使用して、三ナトリウム塩を生じさせた。結果が表3にまとめられる。
【表3】
【0032】
スルフィド供給物流へのリン酸塩緩衝剤の添加は、リン酸塩緩衝剤を有しない実験と比較して、リン酸塩緩衝剤を含む実験の間での平均スルフイミン(sulfimine)化合物収率における差によって表3において証明されるように、スルフィルイミン化合物の増大した収率をもたらした。
【0033】
使用されるリン酸塩緩衝剤の量を変化させることによるスルフィルイミン化合物及びスルホキシド化合物の収率に対する影響もまた調べた。リン酸塩緩衝剤を、リン酸三ナトリウムを生じさせるような様式で加えた。結果が表4にまとめられる。
【表4】
【0034】
リン酸塩緩衝剤をスルフィド供給物流に加えることの正の影響が、スルフィド化合物に対してリン酸塩緩衝剤の評価された1モル%〜5モル%の範囲において認められた。
【0035】
本発明は様々な改変及び代替形態を受け入れることができるかもしれないが、具体的な実施形態が例として本明細書中に詳しく記載されている。しかしながら、本発明は、開示されている特定の形態に限定されることが意図されないことを理解しなければならない。むしろ、本発明は、下記の添付された請求項及びそれらの合法的均等物によって定義されるような本発明の範囲の範囲内に含まれるすべての改変、均等物及び代替物を包含するものとする。