(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138867
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】可撓性ヘッドを有するインラインケーブルタイ
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20170522BHJP
B65D 63/12 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F16B2/08 S
B65D63/12 A
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-140301(P2015-140301)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-29309(P2016-29309A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】62/024,612
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598098928
【氏名又は名称】トーマス・アンド・ベッツ・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コン・タン・ディン
【審査官】
村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−227084(JP,A)
【文献】
特開2013−113330(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0083559(US,A1)
【文献】
米国特許第5745957(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00−2/22
B65D 63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に尾部を有する細長いストラップと、
前記ストラップの他端にある係止ヘッドであって、前記係止ヘッドが通路を有しており、前記尾部が前記ストラップに略平行な方向において前記係止ヘッドの前記通路を通じて挿入されるように構成される、係止ヘッドと、
を備えるケーブルタイであって、
前記ストラップが、前記尾部と前記係止ヘッドとの間に平面状のストラップ面を備え、前記ストラップ面が、前記ストラップ面に沿って複数のノッチを有し、
前記係止ヘッドが、ベース部分とヘッド部分とを備え、前記ヘッド部分が可撓性接続部によって前記ベース部分に接続されており、前記通路が前記ベース部分と前記ヘッド部分との間に形成されており、
前記ヘッド部分が、前記ストラップ面の前記ノッチと噛合するための、前記通路の中に延在する複数の係止歯を備え、
前記係止ヘッドは、前記ストラップが前記通路の中に挿入されるときに、全ての前記係止歯よりも少ない数の歯が前記ノッチと噛合するように配置されており、
前記ヘッド部分は、前記ストラップを前記係止ヘッドから離脱させようとするときに、前記数よりも多い前記係止歯が前記ノッチに噛合するように、前記可撓性接続部によって撓んで旋回可能である、ケーブルタイ。
【請求項2】
前記ヘッド部分が、前記ベース部分に対して回転可能である、請求項1に記載のケーブルタイ。
【請求項3】
前記ヘッド部分が、間隔のあいた一対のレールによって前記ベース部分に接続される、請求項1に記載のケーブルタイ。
【請求項4】
前記レールが、可撓性を有する、請求項3に記載のケーブルタイ。
【請求項5】
前記ヘッド部分が、3つの歯を備え、前記ノッチが、前記ストラップが前記通路の中に挿入されたときに、前記3つの歯のうちの1つの歯に噛合する、請求項1に記載のケーブルタイ。
【請求項6】
前記挿入の方向における最後の前記歯が、前記通路の中に、他の2つの前記歯よりもさらに遠くに延在する、請求項5に記載のケーブルタイ。
【請求項7】
前記ストラップを前記係止ヘッドから離脱させようとするときに、前記係止ヘッドは、前記3つの歯のうちの全ての歯が前記ノッチに噛合するように旋回される、請求項5又は6に記載のケーブルタイ。
【請求項8】
前記尾部が、挿入されたときに、前記通路に対して40°から50°の間の角度で前記係止ヘッドから延出する、請求項1に記載のケーブルタイ。
【請求項9】
前記複数の係止歯のうちの1つの歯が、前記通路を備える前記ストラップの本体の挿入のときに、前記ノッチに噛合し、前記ヘッド部分が、前記ベース部分に対して回転可能であり、前記ストラップを前記通路から離脱させようとするときに、前記複数の係止歯の全てが前記ノッチと噛合される、請求項1に記載のケーブルタイ。
【請求項10】
前記係止ヘッドの前記ベース部分が、間隔のあいた一対の可撓性レールによって前記ヘッド部分に接続される、請求項9に記載のケーブルタイ。
【請求項11】
前記ヘッド部分が、3つの歯を備え、前記係止ヘッドは、前記ノッチが、前記ストラップが前記通路の中に挿入されたときに、前記3つの歯のうちの1つの歯に噛合するように配置される、請求項10に記載のケーブルタイ。
【請求項12】
前記ストラップを前記係止ヘッドから離脱させようとするときに、前記係止ヘッドは、前記3つの歯のうちの全ての歯が前記ノッチに噛合するように旋回される、請求項11に記載のケーブルタイ。
【請求項13】
前記尾部が、挿入されたときに前記通路に対して40°から50°の角度で前記係止ヘッドから延出する、請求項9に記載のケーブルタイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年7月15日に出願された米国仮特許出願第62/024,612号に基づく優先権を主張するものであり、米国仮特許出願第62/024,612号の全ての内容は参照によって本願に援用される。
【0002】
本発明の分野
本発明は、物品又は物品群を括るのに使用されるケーブルタイに関する。より具体的には、本発明は、可撓性ヘッドを有するロープロファイルケーブルタイに関する、
【背景技術】
【0003】
物品群を括ったり固定したりするためのケーブルタイの使用は周知である。従来の構成の公知のケーブルタイは、一端にあるヘッドと、他端にある尾部と、ヘッドと尾部との間にある長手方向のストラップとを有する細長い部材である。ストラップは、複数の物品の束の周りに巻き付けられ、尾部は、ヘッドの開口又は通路に挿通される。ケーブルタイのヘッドは、一般的に、ストラップの本体と係合可能である係止要素を備えており、それによって、尾部がヘッドの通路を通して引っ張られたときに、係止要素がストラップ本体をヘッド内で固定することができる。
【0004】
状況によっては、ロープロファイルケーブルタイは、束に対して低い状態で置かれて引っ掛かりに抵抗するので、ロープロファイルケーブルタイは好適である。ロープロファイルを維持するため、ストラップは、ヘッドの中に、ストラップ本体に対して実質的に平行な方向に挿入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のケーブルタイツールは、従来のケーブルタイのヘッドを通してケーブルタイの尾部を引っ張るために使用される。これらのツールは、一般的には、ロープロファイルケーブルタイにおいて有効に使用されることができない。
【0006】
さらに、そのようなケーブルタイでは、ヘッド内への尾部のための低挿入力と離脱に抵抗する高保持力とを維持することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ロープロファイルタイは、一端に尾部を有する細長いストラップを備える。ストラップの他端に位置する係止ヘッドは、尾部を挿入可能に受容するための、係止ヘッドを通過する通路を有する。ストラップは、前記尾部と前記係止ヘッドとの間に平面状のストラップ面を備え、前記ストラップ面は、ストラップ面に沿って複数のノッチを有する。係止ヘッドは、ベース部分とヘッド部分とを備え、ヘッド部分は、ベース部分とヘッド部分との間に形成された通路によってベース部分に可撓性をもって接続される。ヘッド部分は、前記尾部の挿入の際に前記ストラップ本体のノッチと噛合するための、通路の中に延在する複数の係止歯を備える。ノッチは、ストラップが前記通路の中に挿入されるときに、全ての係止歯よりも少ない数の歯に噛合する。ヘッドは、前記ストラップを前記ヘッドから離脱させようとするときに、係止歯よりも多くがノッチに噛合するように、撓んで旋回可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のロープロファイルケーブルタイの斜視図である。
【
図3】
図3は、括られる配置における
図1のケーブルタイの部分的な斜視図である。
【
図4】
図4は、尾部挿入配置における
図1のケーブルタイを示している。
【
図5】
図5は、尾部引張配置における
図1のケーブルタイを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から
図5は、本発明のケーブルタイ10を示している。ケーブルタイ10は、係止ヘッド12、反対側の尾部14、及び、係止ヘッド12と尾部14との間の細長いストラップ本体16を備える細長い部材である。ストラップ本体16は、概して、対向する第一主面18及び第二主面20を有する平面形である。ヘッド12は、ヘッド12を通過する通路22を備える。通路22は、ストラップ進入端部24及びストラップ退出端部26を備える。ストラップ面18は、ストラップ面18の長さに沿って間隔のあいた複数の歯状のノッチ24を備える。
【0010】
係止ヘッド12は、ストラップ本体16の一端に形成されたベース部分30と、ベース部分30から離間したヘッド部分32とを備える。通路22は、ベース部分30とヘッド部分32との間に画成されている。
【0011】
ヘッド部分32は、可撓性接続部34によってベース部分30に接続されており、可撓性接続部34は、ベース部分30に対するヘッド部分32の旋回を可能にする。可撓性接続部34は、間隔のあいた一対の可撓性レール34a、34bによって形成されており、一対のレール34a、34bはまた、一対のレール34a、34bの間に通路22も画成する。
【0012】
ベース部分30とヘッド部分32は、互いに向かい合う表面30a、32aを備える。ベース部分30の表面30aは、ストラップ本体16の平坦面20を支持できるように概ね平坦である。表面32aは、
図4及び
図5により完全に示された複数の歯38を備え、これらの歯38は、通路22の中に延在している。
【0013】
図3から
図5を追加的に参照すると、3つの歯38が表面32aから通路22の中に延在するのが示されている。その数は単なる例示であると理解されることができる。
【0014】
3つの歯38a、38b、38cは、通路22の中へのストラップ本体の挿入方向(矢印A)に連続して配置されている。最後の歯38cは、他の2つの歯38a、38bよりも更に通路の中に延在しており、それらは連続して凹設されている。
【0015】
歯38cは、通路22の中へのストラップ本体16の挿入の際に、単一の歯38c(又は、全ての歯よりも少ない歯)がストラップ本体16上のノッチ24に噛合するように位置付けられている。単一の歯38cのノッチ24とのそのような噛合によって、ストラップ本体16を小さい挿入力で矢印Aの方向に通路22を通して容易に挿入させることができる。
【0016】
ストラップが堅く括られると、矢印Aの反対側の矢印B(
図5)の方向にストラップを動かそうとして、例えば締結引張力の解放によって、ヘッド部分32がベース部分30に向かって内方へ旋回する。可撓性レール34a、34bは、ヘッド部分32のそのような回転を可能にする。
【0017】
本発明では、歯が固定され、ヘッド部分32が可撓性を有するか、或いは回転可能であり、それによって、より大きい保持力がもたらされる。
【0018】
ストラップ本体16は、通路に対して角度をもって、好ましくは約40°から50°の角度で、通路22から延出する。そのような角度で、可撓性接続部の影響を受けたヘッド部分32の回転によって、追加的な歯38a及び38bがノッチに噛合する。複数の歯のノッチとのこの噛合は、ヘッド内のストラップに対して高い保持力をもたらす。また、この角度は、従来のケーブルタイツールを使ってロープロファイルタイを引っ張ることを可能にする。
【0019】
よって、本発明は、低挿入力でヘッドの中へのタイの挿入を可能にし、一旦括られると、ヘッド内のストラップに対して高保持力をもたらすロープロファイルケーブルタイを提供する。
【0020】
前述されて図示された構造に対する様々な変更は、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の特に記載された範囲が下記の特許請求の範囲に明記されている。
【符号の説明】
【0021】
10 ケーブルタイ
12 ヘッド、係止ヘッド
14 尾部
16 ストラップ本体
22 通路
30 ベース部分
32 ヘッド部分
34 可撓性接続部
34a 可撓性レール、レール
34b 可撓性レール、レール
38 歯
38a 歯
38b 歯
38c 歯