特許第6138886号(P6138886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6138886-パターン形成方法 図000039
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138886
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20170522BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170522BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20170522BHJP
   C08F 30/08 20060101ALI20170522BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G03F7/11 501
   G03F7/11 502
   G03F7/039 601
   G03F7/038 601
   C08F30/08
   G03F7/20 521
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2015-204501(P2015-204501)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2016-91016(P2016-91016A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】62/073,769
(32)【優先日】2014年10月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チューン−ボン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ジェイ・カポラル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エイ・デジスト
(72)【発明者】
【氏名】ジョン−クン・パク
(72)【発明者】
【氏名】コン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】チェン−バイ・スー
(72)【発明者】
【氏名】セシリー・アンデス
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−056194(JP,A)
【文献】 特開2013−061647(JP,A)
【文献】 特開2013−061648(JP,A)
【文献】 特開2010−107793(JP,A)
【文献】 特開2013−083931(JP,A)
【文献】 特開2013−127610(JP,A)
【文献】 特開2013−033227(JP,A)
【文献】 特開2011−170316(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/052384(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成方法であって、
(a)1つ以上の被パターン化層を備える半導体基板を提供することと、
(b)前記1つ以上の被パターン化層上にフォトレジスト層であって、酸不安定基を有するユニットを含むマトリックスポリマーと、光酸発生剤と、有機溶媒を含む組成物から形成される、フォトレジスト層を形成することと、
(c)前記フォトレジスト層上にフォトレジストオーバーコート組成物であって、マトリックスポリマーと、添加剤ポリマーと、塩基性クエンチャーと、有機溶媒とを含み、前記マトリックスポリマーはフッ素およびケイ素を含まず、前記添加剤ポリマーが前記マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、前記添加剤ポリマーが前記オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、1〜20重量%の量で前記オーバーコート組成物中に存在する、フォトレジストオーバーコート組成物をコーティングすることと、
(d)前記フォトレジスト層を活性化放射線に露光することと、
(e)前記基板を露光後ベーキング方法で加熱することと、
(f)有機溶媒現像液を用いて露光されたフィルムを現像することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
パターン形成方法であって、
(a)1つ以上の被パターン化層を備える半導体基板を提供することと、
(b)前記1つ以上の被パターン化層上にフォトレジスト層であって、酸不安定基を有するユニットを含むマトリックスポリマーと、光酸発生剤と、有機溶媒を含む組成物から形成される、フォトレジスト層を形成することと、
(c)前記フォトレジスト層上にフォトレジストオーバーコート組成物であって、マトリックスポリマーと、添加剤ポリマーと、塩基性クエンチャーと、有機溶媒とを含み、前記添加剤ポリマーがケイ素原子を含有するユニットを含み、前記添加剤ポリマーが前記マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、前記添加剤ポリマーが前記オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、1〜20重量%の量で前記オーバーコート組成物中に存在する、フォトレジストオーバーコート組成物をコーティングすることと、
(d)前記フォトレジスト層を活性化放射線に露光することと、
(e)前記基板を露光後ベーキング方法で加熱することと、
(f)有機溶媒現像液を用いて露光されたフィルムを現像することと、を含む、前記方法。
【請求項3】
パターン形成方法であって、
(a)1つ以上の被パターン化層を備える半導体基板を提供することと、
(b)前記1つ以上の被パターン化層上にフォトレジスト層であって、酸不安定基を有するユニットを含むマトリックスポリマーと、光酸発生剤と、有機溶媒を含む組成物から形成される、フォトレジスト層を形成することと、
(c)前記フォトレジスト層上にフォトレジストオーバーコート組成物であって、マトリックスポリマーと、添加剤ポリマーと、塩基性クエンチャーと、有機溶媒とを含み、前記塩基性クエンチャーが前記マトリックスポリマーとは別の添加剤を含み、前記添加剤ポリマーが前記マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、前記添加剤ポリマーが前記オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、1〜15重量%の量で前記オーバーコート組成物中に存在する、フォトレジストオーバーコート組成物をコーティングすることと、
(d)前記フォトレジスト層を活性化放射線に露光することと、
(e)前記基板を露光後ベーキング方法で加熱することと、
(f)有機溶媒現像液を用いて露光されたフィルムを現像することと、を含む、前記方法。
【請求項4】
前記添加剤ポリマーがケイ素原子を含有するユニットを含む、請求項1または3に記載の前記方法。
【請求項5】
前記添加剤ポリマーがフッ素原子を含有するユニットを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の前記方法。
【請求項6】
前記添加剤ポリマーがフルオロアルコールを含有するユニットを含む、請求項に記載の前記方法。
【請求項7】
前記マトリックスポリマーが、以下の一般式(I)のモノマーから形成されたユニットを含み、
【化1】
式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキルから選択され、Rは任意に置換されたC1〜C15アルキルから選択され、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NRによって表され、式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択され、Zは単結合または、任意に置換された脂肪族及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−COO−、及び−CONR−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択される、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項8】
前記添加剤ポリマーが、以下の一般式(II)または(III)を有するモノマーから形成され、
【化2】
式中、R10は水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキルから選択され、R11は任意に置換されたC1〜C15アルキルから選択され、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NR12によって表され、式中、R12は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択され、Zは単結合または、任意に置換された脂肪族及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−NHSO−、−COO−、及び−CONR13−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、R13は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択され、
【化3】
式中、R14は水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキルから選択され、R15は独立して、任意に置換されたC1〜C15アルキルから選択され、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NR16によって表され、式中、R16は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択され、Zは単結合または、任意に置換された脂肪族及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−COO−、及び−CONR17−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、R17は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキルから選択され、nは0〜2の整数である、請求項1〜のいずれかに記載の前記方法。
【請求項9】
前記塩基性クエンチャーが前記マトリックスポリマー上に塩基性部分を含む、請求項1、2および4〜8のいずれかに記載の前記方法。
【請求項10】
前記塩基性クエンチャーが前記マトリックスポリマーとは別の添加剤を含む、請求項1、2および4〜8のいずれかに記載の前記方法。
【請求項11】
前記添加剤ポリマーが、前記オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、3〜15重量%の量で前記オーバーコート組成物中に存在する、請求項1〜10のいずれかに記載の前記方法。
【請求項12】
前記フォトレジスト層が、液浸リソグラフィー方法で前記活性化放射線に露光される、請求項1〜11のいずれかに記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は一般に、電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は、フォトレジストオーバーコートを用いたネガティブトーン現像方法を使用して微細パターンの形成を可能にするフォトリソグラフィー方法に関する。
【0002】
半導体製造業界では、フォトレジスト材料を使用して、半導体基板上に配置された金属、半導体、及び誘電体層等の1つ以上の下地層、ならび基板自体に画像を転送する。半導体デバイスの集積密度を上昇させるため、かつナノメートル範囲の寸法を有する構造を形成することを可能にするために、高解像度能力を有するフォトレジスト及びフォトリソグラフィー処理ツールが開発され続けている。
【0003】
従来、ポジティブトーン化学増幅型フォトレジストは、ポジティブトーン現像(PTD)方法を用いる高解像度処理に使用される。PTD方法では、フォトレジスト層の露光領域は、現像溶液、典型的には水性アルカリ現像液中で可溶性となり、基板表面から取り除かれるのに対して、現像液中で不溶性である非露光領域は、現像されてポジティブ画像を形成した後に残存する。リソグラフィーの性能を改善するために、液浸リソグラフィーツールを開発して、画像化デバイス、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数(NA)を効果的に増加させている。これは、比較的高い屈折率の液体(すなわち、液浸液体)を、画像化デバイスの最終表面と半導体ウェハの上面との間で使用することによって達成される。
【0004】
実用的な解像度を、ポジティブトーン現像を用いて達成された解像度を超えて上昇させるために、材料及び処理の点から見て相当な努力がなされている。そのような一実施例は、ネガティブトーン現像(NTD)方法である。NTD方法によって、臨界暗視野層をプリントするための明視野マスクを用いることで得た優れた画像品質を利用することによって、標準ポジティブトーン画像化と比較して、解像度及び方法ウィンドウを改善することが可能となる。NTDレジストは、典型的には、酸不安定(本明細書中で酸切断可能とも称される)基及び光酸発生剤を有する樹脂を利用する。化学放射線に露光することによって、光酸発生剤が酸を形成することが可能となり、この酸によって、露光後ベーキング中、露光領域内の極性切り替えを発生させる酸不安定基を切断することが可能となる。その結果、レジストの露光領域と非露光領域との間で溶解特性に相違が生じるため、レジストの非露光領域を有機溶媒現像液で取り除き、露光された不溶性な領域によって形成されたパターンを残存させることが可能となる。
【0005】
現像されたレジストパターン内のコンタクトホールのネッキング、及び線ならびにトレンチパターンのT−トッピングの形成におけるNTD処理の問題点が知られており、米国出願公開第2013/0244438A1号に記載されている。そのような問題点は、フォトマスク不透明パターンの縁部の下で迷光が散乱し、それによって、レジスト表面におけるそれらの「暗」領域内に、望ましくないことに、極性切り替えが生じることが原因であると考えられている。この問題点に対処するために、’438公開は、塩基性クエンチャーと、ポリマーと、有機溶媒フォトレジストとを含むオーバーコートの使用を開示する。液浸リソグラフィーを目的として、’438公開は、フォトレジスト成分が液浸液体内に浸出するのを回避するための障壁層を形成するため、かつ露光スキャン速度を上昇させるための望ましい接触角特性を液浸液体に提供するために使用可能であるオーバーコート組成物をさらに開示する。
【0006】
当業界では、基板表面と液浸液体との間の改善された接触角特性を有する微細パターンを形成するための改善されたフォトリソグラフィー方法及びフォトレジストオーバーコート組成物が必要とされ続けており、それらによって、液浸スキャナー速度を上昇させることが可能となる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様によると、電子デバイスを形成する方法が提供される。本方法は、(a)1つ以上の被パターン化層を備える半導体基板を提供することと、(b)前記1つ以上の被パターン化層上にフォトレジスト層であって、酸不安定基を有するユニットを含むマトリックスポリマーと、光酸発生剤と、有機溶媒を含む組成物から形成されるフォトレジスト層を形成することと、(c)前記フォトレジスト層上にフォトレジストオーバーコート組成物をコーティングすることであって、オーバーコート組成物がマトリックスポリマーと、添加剤ポリマーと、塩基性クエンチャーと、有機溶媒とを含み、前記添加剤ポリマーが、前記マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、前記添加剤ポリマーが、前記オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、1〜20重量%の量で前記オーバーコート組成物内に存在する、コーティングすること、(d)前記フォトレジスト層を活性放射線に露光することと、(e)前記基板を露光後ベーキング方法で加熱することと、(f)有機溶媒現像液を用いて露光されたフィルムを現像することと、を含む。本方法は、半導体製造業界において特定の適用性を有する。
【0008】
本明細書中で使用する「モル%」は、別途特定されない限り、ポリマーに基づくモルパーセントを意味し、ポリマーユニットとともに示される数は、別途特定されない限り、モル%であり、「M」は重量平均分子量を意味し、「M」は数平均分子量を意味し、「PDI」は多分散性指標=M/Mを意味し、「コポリマー」は、2つ以上の異なる種類の重合ユニットを含有するポリマーを含み、「アルキル」及び「アルキレン」はそれぞれ、別途特定されない限り、または別途文脈によって示されない限り、直鎖、分岐及び環状アルキルならびにアルキレン構造を含み、冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、別途文脈によって示されない限り、1つ以上を含み、「置換」は、例えば、ヒドロキシ、フッ素、及びC1−C5アルコキシ等のアルコキシから選択される1つ以上の置換基と置き換えられた1つ以上の水素原子を有することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の図面を参照して記載され、図面中、同様の符号は同様の特徴を示す。
【0010】
図1A-C】本発明によるネガティブトーン現像によってフォトリソグラフィーパターンを形成するための方法フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
フォトレジストオーバーコート組成物
フォトレジストオーバーコート組成物は、マトリックスポリマーと、添加剤ポリマーと、塩基性クエンチャーと、有機溶媒とを含む。添加剤ポリマーは、マトリックスポリマーの表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する。ネガティブトーン現像方法によりフォトレジスト層上にコーティングされたときに有用である本発明の組成物は、液浸液体を用いて改善された接触角特性、改善された焦点寛容度、改善された露光寛容度、低減した欠陥性、フォトレジスト及びオーバーコート成分が液浸液体内に浸出するのを回避するための効果的な障壁層性質、幾何学的に均一なレジストパターン、ならびにレジスト露光中の低下した反射性等のうちの1つ以上の様々な利点を提供することができる。本組成物を乾式リソグラフィーまたは液浸リソグラフィー方法で使用することができる。露光波長は、フォトレジスト組成物以外には特に限定されず、248nm、または193nm等の200nm以下(液浸または乾式リソグラフィー)、もしくはEUV波長(例えば13.4nm)が典型的である。
【0012】
マトリックスポリマーは、添加剤ポリマーを用いて、オーバーコート組成物から形成された層に有益な障壁性質を付与し、フォトレジスト成分が液浸液体内に移動するのを最小限に抑えるまたはそれを防止することができる。また、添加剤ポリマーは、好ましくは、オーバーコート組成物内の塩基性クエンチャー等の成分が液浸液体内に移動するのを防止することも可能である。オーバーコート/液浸液体界面での液浸液体の高い後退接触角(RCA)等の有益な接触角特性を提供することができ、それによって、露光ツールのスキャン速度をより高速にすることが可能となる。オーバーコート組成物の層は、乾燥状態では典型的には、70°〜89°、好ましくは、75〜85°の水後退接触角を有する。句「乾燥状態では」は、オーバーコート組成物に基づいて、8重量%以下の溶媒を含有していることを意味する。
【0013】
マトリックスポリマーは、本明細書中に記載のオーバーコート組成物の有機溶媒中で可溶性である。さらに、マトリックスポリマーは、ネガティブトーン現像方法で使用される有機溶媒現像液での現像性を優れたものにするために、可溶性でなければならない。オーバーコート材料に起因する残留欠陥を最小限に抑えるために、オーバーコート組成物の乾燥層の溶解速度は好ましくは、パターニング方法で使用される現像液中の下地フォトレジスト層の溶解速度を超える。マトリックスポリマーは、典型的には、100Å/秒以上、好ましくは、1000Å/秒以上の現像液溶解速度を呈する。
【0014】
オーバーコート組成物内で有用であるマトリックスポリマーは、複数の別個の反復ユニット、例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の別個の反復ユニットを有するホモポリマーまたはコポリマーであり得る。マトリックスポリマーは、(アルキル)アクリレート、(アルキル)アクリルアミド、アリル、マレイミドスチレン、ビニル、多環式(例えば、ノルボルネン)または他の基のうちの1つ以上、好ましくは(メタ)アクリレート等の(アルキル)アクリレートから選択される重合可能基を有するユニットを含み得る。マトリックスポリマーは、ポリマー鎖の長さとともに1つのモノマーユニット型から別のモノマーユニット型へと段階的に変化するランダムポリマー、ブロックポリマー、またはグラジエントポリマーであってよい。
【0015】
マトリックスポリマーは、添加剤ポリマーの表面エネルギーよりも高い表面エネルギーを有し、好ましくは、添加剤ポリマーに非混和性であり、添加剤ポリマーがマトリックスポリマーから相分離してオーバーコート層の上面へ移動するのを可能にする。マトリックスポリマーの表面エネルギーは、典型的には、30〜60mN/分である。マトリックスポリマーには、好ましくは、ケイ素及びフッ素が存在しないが、これは、それらが表面エネルギーを減少させる傾向があり、添加剤ポリマーがマトリックスポリマーから相分離するのを抑制する可能性があるためである。
【0016】
マトリックスポリマーは好ましくは、以下の一般式(I)を有するモノマーから形成され、
【0017】
【化1】
【0018】
式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキル、好ましくは、水素またはメチルから選択され、Rは任意に置換されたC1〜C15アルキル、好ましくは、C4〜C8アルキル、より好ましくは、C4〜C6アルキルから選択され、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NRによって表され、式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくは、C1〜C5アルキルから選択され、Z単結合または、任意に置換された脂肪族(C1〜C6アルキレン等)及び芳香族炭化水素、ならびにそれの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−COO−、及び−CONR−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくは、C2〜C6アルキルから選択される。一般式(I)のモノマーには、好ましくは、ケイ素及びフッ素が存在しない。ともに得た一般式(I)のユニットは、典型的には、マトリックスポリマーに基づいて、50〜100モル%、例えば、70〜100モル%、80〜100モル%、90〜100モル%、または100モル%の量でマトリックスポリマー内に存在する。
【0019】
一般式(I)のモノマーは好ましくは、以下の一般式(I−1)のものであり、
【0020】
【化2】
【0021】
式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキル、好ましくは、水素またはメチルから選択され、R、R、及びRは独立して、水素またはC1〜C3アルキル基を表し、Z単結合または、任意に置換された脂肪族(C1〜C6アルキレン等)及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−COO−、及び−CONR−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、Rは水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくは、C2〜C6アルキルから選択される。一般式(I−1)のモノマーには、好ましくは、ケイ素及びフッ素が存在しない。
【0022】
マトリックスポリマーの1つ以上のユニットは塩基性部分を含み得る。この塩基性部分は、意図的に露光されない(暗領域)下地フォトレジスト層の領域内の酸を中和させることができ、酸は、迷光によってフォトレジスト層の表面領域内に発生する。そのような塩基性部分含有マトリックスポリマーは、オーバーコート組成物内で、塩基性クエンチャー添加剤として機能するのに加えて、塩基性クエンチャーとしても機能し得る、または塩基性クエンチャー添加剤の代替として機能し得る。好適な部分は、例えば、アミノエーテル、ピリジン、アニリン、インダゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、グアニジニウム、及びイミン等のアミン、カルバマート、ピロリジノン、マレイミド、イミダゾール、及びイミド等のアミド、及びそれらの誘導体から選択される窒素含有基を含む。マトリックスポリマー内に存在する場合、マトリックスポリマー内の塩基性部分含有ユニット(複数可)の含有量は、典型的には、下地フォトレジスト層の暗領域内の酸誘導脱保護反応を実質的にまたは完全に除去するのに十分である一方で、そのような反応がその層の明領域(意図的に露光されるそれらの領域)で発生するのを可能にする。マトリックスポリマー内の塩基性部分含有ユニット(複数可)の望ましい含有量は、例えば、乾式リソグラフィー方法であれ液浸リソグラフィー方法であれ、フォトレジスト層内の光酸発生剤の含有量、及びオーバーコートの意図的な使用によって決定するであろう。乾式リソグラフィー方法のマトリックスポリマー内の塩基性部分含有ユニット(複数可)の含有量は、存在する場合、典型的には、マトリックスポリマーに基づいて、0.1〜100モル%、0.1〜50モル%、または0.5〜20モル%となるであろう。塩基性部分を含有するモノマーの(水中の)pKaは、好ましくは、5〜50、より好ましくは8〜40、最も好ましくは、10〜35である。塩基性部分含有モノマー及びマトリックスポリマー全体のpKa値は、概して、典型的には、同じまたは実質的に同じ値を有する。
【0023】
マトリックスポリマーの形成で使用する例示的で好適なモノマーは以下に記載するが、これらの構造に限定されず、「R」及び「X」は以上で定義した通りとなる)。
【0024】
【化3-1】
【0025】
【化3-2】
【0026】
【化3-3】
【0027】
【化3-4】
【0028】
【化3-5】
【0029】
オーバーコート組成物用の好適なマトリックスポリマーは、例えば、上述のモノマーから形成されたホモポリマー及びコポリマーを含む。例示的で好適なマトリックスポリマーは以下のものを含み、式中、ユニット含有量はモル%で提供される。
【0030】
【化4-1】
【0031】
【化4-2】
【0032】
マトリックスポリマーは、典型的には、オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、70〜99重量%、より典型的には85〜95重量%の量で組成物内に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量は、典型的には、400,000未満であり、好ましくは、5000〜50,000、より好ましくは、5000〜25,000である。
【0033】
マトリックスポリマーと同様に、添加剤ポリマーは、フォトリソグラフィー処理が典型的には、100Å/秒以上、好ましくは、1000Å/秒以上の現像液溶解速度を呈する前後に、非常に優れた現像性を有する必要があり、本明細書中に記載のオーバーコート組成物の有機溶媒中で可溶性であり、かつネガティブトーン現像方法で使用される有機現像液中で可溶性である。添加剤ポリマーは、マトリックスポリマーよりも低い表面エネルギーを有する。好ましくは、添加剤ポリマーは、マトリックスポリマーよりも著しく低い表面エネルギーを有し、マトリックスポリマー、及びオーバーコート組成物内に存在する他のポリマーと実質的に非混和性である。このように、オーバーコート組成物は自己隔離してよく、添加剤ポリマーは、コーティング中、ポリマーから離れてオーバーコート層の上面に移動する。そのため、液浸リソグラフィー方法の場合、得られたオーバーコート層は、オーバーコート//液浸液体界面でのオーバーコート層上面において添加剤ポリマーの含有量が多い。添加剤ポリマーの表面エネルギーは、典型的には、15〜35mN/分、好ましくは、18〜30mN/分である。添加剤ポリマーは、典型的には、マトリックスポリマーのものより5〜25mN/分低く、好ましくはマトリックスポリマーのものより5〜15mN/分低い。
【0034】
オーバーコート組成物において有用である添加剤ポリマーは、複数の別個の反復ユニット、例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の別個の反復ユニット有するホモポリマーまたはコポリマーであり得る。添加剤ポリマーは、例えば、(アルキル)アクリレート、(アルキル)アクリルアミド、アリル、マレイミドスチレン、ビニル、多環式(例えば、ノルボルネン)または他の基のうちの1つ以上、好ましくは、(メタ)アクリレート等の(アルキル)アクリレートから選択される重合可能基を有するユニットを含んでもよい。添加剤ポリマーは、ポリマー鎖の長さとともに1つのモノマーユニット型から別のモノマーユニット型に段階的に変化するランダムポリマー、ブロックポリマー、またはグラジエントポリマーであってよい。
【0035】
添加剤ポリマーの表面エネルギーはマトリックスポリマーの表面エネルギー未満であり、添加剤ポリマーの含有量が多い表面層の形成を可能にするコーティング処理中に、添加剤ポリマーがマトリックスポリマーから自己隔離できることを理解しながら、好適な添加剤ポリマーには、例えば、マトリックスポリマーに対して上述のユニット及びポリマーを含ませることができる。添加剤ポリマーは、好ましくは、分岐構造を有する、及び/または1つ以上のフッ素含有基及び/またはケイ素含有基を含むが、これはそれらを含むことによって、減少した表面エネルギーを有するポリマーがもたらされるためである。添加剤ポリマーが1つ以上のフッ素含有基及び/またはケイ素含有基を有すること、及びマトリックスポリマーにはフッ素含有基及びケイ素含有基が存在しないことが特に好ましい。
【0036】
添加剤ポリマーは、好ましくは、以下の一般式(II)または(III)を有するモノマーから形成され、
【0037】
【化5】
【0038】
式中、R10は水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキル、好ましくは、水素またはメチルから選択され、R11は、任意に置換されたC1〜C15アルキル、好ましくは、C4〜C8アルキルまたはフルオロアルキル、より好ましくは、C4〜C6アルキルまたはフルオロアルキルから選択され、かつヘキサフルオロアルコール基等のフルオロアルコール基、または部分フッ素化もしくは過フッ素化シクロアルキル構造を有利に含んでよく、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NR12によって表され、式中、R12は、水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくはC1〜C5アルキルから選択され、Z単結合または、任意に置換された脂肪族(C1〜C6アルキレン等)及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−NHSO−、−COO−、及び−CONR13−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、R13は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C6アルキルから選択される。一般式(I)のモノマーは、好ましくは、表面エネルギーを減少させる目的でフッ素を含有し、
【0039】
【化6】
【0040】
式中、R14は水素及び任意に置換されたC1〜C3アルキル、好ましくは、水素またはメチルから選択され、R15は独立して、任意に置換されたC1〜C15アルキル、好ましくは、C4〜C8アルキル、より好ましくC4〜C6アルキルから選択され、かつフッ素原子基、またはヘキサフルオロアルコール基等のフルオロアルコール基、もしくは部分フッ素化あるいは過フッ素化シクロアルキル構造を有利に含んでよく、Xは酸素もしくは硫黄であるか、または式NR16によって表され、式中、R16は、水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくは、C1〜C5アルキルから選択され、Z単結合または、任意に置換された脂肪族(C1〜C6アルキレン等)及び芳香族炭化水素、ならびにそれらの組み合わせから選択され、−O−、−S−、−COO−、及び−CONR17−から選択される1つ以上の結合部分を任意に有するスペーサーユニットであり、式中、R17は水素及び任意に置換されたC1〜C10アルキル、好ましくはC2〜C6アルキルから選択され、nは0〜2の整数である。
【0041】
一般式(II)または(III)のユニットは、典型的には、添加剤ポリマーに基づいて、50〜100モル%、例えば、70〜100モル%、80〜100モル%、90〜100モル%、または100モル%の量で添加剤ポリマー内に存在する。添加剤ポリマーの形成で使用するための例示的で好適なモノマーは以下に記載するが、それらの構造に限定されない(「R10」、「R14」、及び「X」、ならびに「X」は以上で定義した通りである)。
【0042】
【化7-1】
【0043】
【化7-2】
【0044】
【化7-3】
【0045】
【化7-4】
【0046】
オーバーコート組成物用の好適な添加剤ポリマーは、上述のモノマーから形成されたホモポリマー及びコポリマーを含むが、以下のポリマーが好ましく、式中、ユニット含有量はモル%で提供される。
【0047】
【化8-1】
【0048】
【化8-2】
【0049】
【化8-3】
【0050】
添加剤ポリマーの含有量は、リソグラフィーが乾式型の方法であるか液浸型の方法であるかによって決定し得る。例えば、液浸リソグラフィーによる添加剤ポリマーの下限は一般に、フォトレジスト成分が浸出するのを防止する必要性によって定められる。添加剤ポリマーは、典型的には、オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、1〜30重量%、より典型的には3〜20重量%、または5〜15重量%の量で組成物内に存在する。添加剤ポリマーの重量平均分子量は、典型的には、400,000未満であり、好ましくは、5000〜50,000、より好ましくは5000〜25,000である。
【0051】
フォトレジストオーバーコート組成物は塩基性クエンチャーをさらに含む。塩基性クエンチャーは、フォトレジスト層の意図的に露光されていない(暗)領域の部分に到達する迷光によって下地フォトレジスト層の表面領域内で発生する酸を中和する目的で存在する。これにより、非露光領域内の不要な脱保護反応を制御することによって、デフォーカス領域内の焦点深度及び露光寛容度を改善することができる。その結果、形成されたレジストパターン内でのプロファイル、例えば、ネッキング及びT−トッピングにおける不規則性を最小限に抑えることができる、または回避することができる。
【0052】
以上で考察されたように、塩基性クエンチャーはマトリックスポリマー内に存在し得る、または添加剤型であり得る。塩基性クエンチャーと下地フォトレジスト層の暗領域内で発生した酸との間で効果的に相互作用するのを可能にするために、塩基性クエンチャーは非界面活性剤型でなければならない。つまり、塩基性クエンチャーは、例えば、オーバーコート組成物の他の成分に対して表面自由エネルギーが低いために、オーバーコート層の頂面に移動する型であってはならない。そのような場合では、塩基性クエンチャーはフォトレジスト層界面に顕著には存在せず、発生した酸と相互作用して酸脱保護を防止することはないであろう。したがって、塩基性クエンチャーは、オーバーコート層を介して均一に分散されるか、傾斜または隔離層を界面に形成するかに関わらず、オーバーコート層/フォトレジスト層界面に存在する型でなければならない。そのような層は、オーバーコート組成物の他の成分に対して高い表面自由エネルギーを有する塩基性クエンチャーを選択することによって実現可能である。
【0053】
好適な塩基性クエンチャーは、例えば、直鎖及び環状アミドと、それらのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、及びtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバマート等の誘導体と、ピリジン及びジ−tert−ブチルピリジン等の芳香族アミンと、トリイソプロパノールアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、及び2−(ジブチルアミノ)エタノール,2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール等の脂肪族アミンと、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシレート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレート、及びN(2−アセトキシ−エチル)モルホリン等の環状脂肪族アミンと、を含む。それらの塩基性クエンチャーの中では、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン及びトリイソプロパノールアミンが好ましい。塩基性クエンチャーの含有量は、例えば、下地フォトレジスト層内の光酸発生剤の含有量によって決定するが、塩基性クエンチャーは、典型的には、オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは1〜3重量%の量で存在する。
【0054】
オーバーコート組成物は、有機溶媒または有機溶媒の混合物をさらに含む。オーバーコート組成物を配合かつ成形するための好適な溶媒材料は、オーバーコート組成物の非溶媒成分に対して優れた溶解特性を呈するが、下地フォトレジスト層を顕著には溶解しない。オーバーコート組成物用の好適な有機溶媒は、例えば、n−ブチルプロピオネート、n−ペンチルプロピオネート、n−ヘキシルプロピオネート、及びn−ヘプチルプロピオネート等のアルキルプロピオネートと、n−ブチルブチレート、イソブチルブチレート、及びイソブチルイソブチレート等のアルキルブチレートと、2,5−ジメチル−4−ヘキサノン及び2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のケトンと、n−ヘプタン、n−ノナン、n−オクタン、n−デカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、3,3−ジメチルヘキサン、及び2,3,4−トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素と、ペルフルオロヘプタン等のフッ素化脂肪族炭化水素と、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、及び4−オクタノール等の直鎖、分岐、または環状C〜C一価アルコール、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−ヘキサノール等のアルコールと、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール等のC〜Cフッ素化ジオール等のアルキルエステルと、それらの溶媒のうちの1つ以上を含有する混合物と、を含む。それらの有機溶媒の中では、アルキルプロピオネート、アルキルブチレート、及びケトン、好ましくは分岐ケトンが好ましく、より好ましくは、C〜Cアルキルプロピオネート、C〜Cアルキルプロピオネート、C〜Cケトン、及びそれらの溶媒のうちの1つ以上を含有する混合物が好ましい。好適な混合溶媒は、例えば、上述のアルキルケトンとアルキルケトン及びアルキルプロピオネート等のアルキルプロピオネートとの混合物を含む。オーバーコート組成物の溶媒成分は、典型的には、オーバーコート組成物に基づいて、90〜99重量%の量で存在する。
【0055】
フォトレジストオーバーコート組成物は1つ以上の任意の材料を含むことができる。例えば、その組成物は、化学線染料及び造影染料、ならびに抗ストリエーション剤等のうちの1つ以上を含むことができる。それらの中で、本組成物から形成された層の反射防止性質を促進するのに好ましいものは、化学線染料及び造影染料である。そのような任意の添加剤は、使用される場合、典型的には、オーバーコート組成物の全固形分に基づいて、0.1〜10重量%等の少量で組成物内に存在する。オーバーコート組成物には、好ましくは、酸発生剤化合物、例えば、熱酸発生剤化合物及び光酸発生剤化合物が存在しないが、これは、そのような化合物がオーバーコート組成物内の塩基性クエンチャーの効果を無効にし得るためである。
【0056】
フォトレジストオーバーコート組成物は、既知の手順に従って調製可能である。例えば、組成物は、溶媒成分中の組成物の固体成分を溶解することによって調製可能である。組成物の望ましい全固形分含有量は、組成物内の特定のポリマー(複数可)及び望ましい最終層厚等の要因によって決定するであろう。好ましくは、オーバーコート組成物の固体含有量は、組成物の総重量に基づいて、1〜10重量%、より好ましくは、1〜5重量%である。
【0057】
本組成物から形成されたレジストオーバーコート層は、典型的には、193nmで1.4以上、好ましくは193nmで1.47以上の屈折率を有する。屈折率は、マトリックスポリマー及び添加剤ポリマーの組成物、ならびにオーバーコート組成物の他の成分を変更することによって、調整可能である。例えば、オーバーコート組成物内の有機含有量の相対量を増加させることによって、層の上昇した屈折率を提供することができる。好ましいオーバーコート組成物層は、対象の露光波長では、液浸液体の屈折率とフォトレジスト層の屈折率との間の屈折率を有するであろう。
【0058】
オーバーコート層(n)の屈折率が両側の材料の屈折率の幾何平均である場合(n=√(n))は、式中、nは、液浸リソグラフィーの場合は水の屈折率であり、乾式リソグラフィーの場合は空気の屈折率であり、nはフォトレジストの屈折率であり、オーバーコート層の反射性を低下させることができる。また、オーバーコート組成物から形成された層の反射防止性質を促進するために、オーバーコート(d)の厚さを選択して、オーバーコート内の波長を到来波(λ)の4分の1にすることが好ましい。屈折率nを有するオーバーコート組成物を4分の1の波長で反射防止コーティングする場合、最小反射をもたらす厚さdは、d=λ/(4n)によって計算される。
【0059】
NTDフォトレジスト組成物
本発明で有用であるフォトレジスト組成物は、酸敏感性であるマトリックス樹脂を含む化学増幅型フォトレジスト組成物を含み、これにより、樹脂及び組成物層は、フォトレジスト組成物の層の一部として、ソフトベーキング、活性放射線への露光、及び露光後ベーキングに続き、光酸発生剤によって発生した酸との反応による有機現像液中の溶解度の変化を受けることを意味する。マトリックスポリマー内の光酸不安定エステルまたはアセタール基等の酸切断可能脱離基が、活性放射線に露光されかつ加熱処理されて光酸促進脱保護反応を受けて酸またはアルコール基を形成するとき、溶解度の変化がもたらされる。本発明で有用である好適なフォトレジスト組成物は、商業的に入手可能である。
【0060】
193nm等の200nm以下の波長での画像化では、マトリックスポリマーには、典型的には、フェニル、ベンジル、または他の芳香族基が実質的に存在しない(例えば15モル%未満)、または完全に存在しないのは、そのような基が放射線を相当に吸収する場合である。好ましい酸不安定基は、例えば、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合する第3級非環状アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第3級脂環式炭素(例えばメチルアダマンチル)を含有するアセタール基またはエステル基を含む。
【0061】
好適なマトリックスポリマーは、(アルキル)アクリレートユニットを含有するポリマーをさらに含み、好ましくは、tブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンキルアクリレート、エチルフェンキルメタクリレート等、及び非環状アルキルならびに脂環式(アルキル)アクリレート等の酸不安定(アルキル)アクリレートユニットを含む。他の好適なマトリックスポリマーは、例えば、任意に置換されたノルボルネン等の非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合ユニットを含有するものを含む。
【0062】
さらなる他の好適なマトリックスポリマーは、重合無水物ユニット、特に欧州出願公開第01008913A1号及び米国特許第6,048,662号に開示されているもの等の重合無水マレイン酸及び/またはイタコン酸無水物ユニットを含有するポリマーを含む。
【0063】
また、マトリックスポリマーとして好適なものには、反復ユニットを含有する樹脂があり、この反復ユニットは、ヘテロ原子、特に酸素及び/または硫黄を含有する(しかし、無水物は除く、つまり、ユニットはケト環原子を含有しない)。ヘテロ脂環式ユニットはポリマー骨格に融合可能であり、ノルボルネン基の重合によって提供されたもの等の融合炭素脂環式ユニット、及び/または無水マレイン酸またはイタコン酸無水物の重合よって提供されたもの等の無水物ユニットを含むことが可能である。そのようなポリマーは、PCT/US01/14914及び米国特許第6,306,554号に開示されている。他の好適なヘテロ原子基含有マトリックスポリマーは、重合炭素環式アリールユニットを含むポリマーを含み、その重合炭素環式アリールユニットは、1つ以上のヘテロ原子(例えば、酸素または硫黄)含有基、例えば、米国特許第7,244,542号に開示されるもの等のヒドロキシナフチル基と置換されている。
【0064】
上述のマトリックスポリマーのうちの2つ以上のブレンドは、フォトレジスト組成物内で適切に使用可能である。フォトレジスト組成物内で使用するための好適なマトリックスポリマーは商業的に入手可能であり、当業者によって容易に作製可能である。そのマトリックスポリマーは、レジストの露光されたコーティング層を好適な現像溶液中で現像可能な状態にするのに十分な量でレジスト組成物内に存在する。典型的には、マトリックスポリマーは、レジスト組成物の全固形分に基づいて、50〜95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量Mは、典型的には、100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的には5000〜15,000である。
【0065】
フォトレジスト組成物は、活性放射線に露光された後、組成物のコーティング層内で潜像を形成するのに十分な量で使用される光酸発生剤(PAG)をさらに含む。例えば、光酸発生剤は、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて、約1〜20重量%の量で適切に存在するであろう。典型的には、非化学増幅型材料と比較して、より少ない量のPAGが化学増幅型レジストには好適となるであろう。
【0066】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で既知であり、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、及びトリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネートと、ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネートと、スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンと、ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、及びビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタンと、グリオキシム誘導体、例えば、bis−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びbis−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシムと、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、及びN−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルと、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンと、を含む。そのようなPAGのうちの1つ以上を使用することができる。
【0067】
フォトレジスト組成物用の好適な溶媒は、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテルと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、乳酸メチル及び乳酸エチル等の乳酸塩と、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、及びメチル−2−ヒドロキシイソブチレート等のプロピオネートと、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステルと、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素と、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノン等のケトンと、を含む。また、上述の溶媒のうち、例えば、2つ、3つ、またはそれ以上の溶媒のブレンドも好適である。溶媒は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物内に存在する。
【0068】
フォトレジスト組成物は他の任意の材料をさらに含むことができる。例えば、典型的には、ネガ型レジスト組成物もまた架橋剤成分を含む。好適な架橋剤成分は、例えば、光酸発生剤を活性放射線に露光する際、酸に暴露された後に、硬化する、架橋する、または硬変するメラミン樹脂等のアミン系材料を含む。好ましい架橋剤は、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系材料、及び尿素系材料を含むアミン系材料を含む。一般に、メラミンホルムアルデヒド樹脂が最も好ましい。そのような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、American Cyanamidによって販売されているCymel300、301、及び303という商標名のメラミン樹脂がある。グリコールウリル樹脂は、American CyanamidによってCymel1170、1171、1172という商標名で販売されており、尿素系樹脂は、Beetle60、65、及び80という商標名で販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はCymel1123及び1125という商標名で販売されている。193nm等の200nm以下の波長で画像化するための好ましいネガ型フォトレジストが、Shipley Companyによる特許公開第WO03077029号に開示されている。
【0069】
また、フォトレジスト組成物は他の任意の材料を含むこともできる。例えば、組成物は、化学線染料及び造影染料、抗ストリエーション剤、可塑剤、速度促進剤、ならびに増感剤等のうちの1つ以上を含むことができる。典型的には、そのような任意の添加剤は、使用される場合、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて、0.1〜10重量%等の少量で組成物内に存在する。
【0070】
レジスト組成物の好ましい任意の添加剤は添加塩基である。好適な塩基は、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、及びtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバマート等の直鎖及び環状アミド、ならびにそれらの誘導体と、ピリジン及びジ−tert−ブチルピリジン等の芳香族アミンと、トリイソプロパノールアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザネトリイル))テトラエタノール、及び2−(ジブチルアミノ)エタノール,2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール等の脂肪族アミンと、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシレート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレート、及びN(2−アセトキシ−エチル)モルホリン等の環状脂肪族アミンと、を含む。添加塩基は、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて、例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の比較的少量で使用される。
【0071】
フォトレジストは既知の手順に従って調整可能である。例えば、レジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルまたは乳酸メチル等の乳酸塩、好ましくは乳酸エチルと、プロピオネート、特にメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、及びエチルエトキシプロピオネート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル、及びトルエンまたはキシレン等の芳香族炭化水素、またはメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び2−ヘプタノン等のケトン等のうちの1つ以上で溶解することによって、コーティング組成物として調整可能である。フォトレジストの望ましい全固形分含有量は、組成物内の特定のポリマー、最終層厚、及び露光波長等の要因によって決定するであろう。典型的には、フォトレジストの固体含有量は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変動する。
【0072】
好適なNTDフォトレジストは当該業界で既知であり、例えば、米国特許公報第20130115559A1号、同第20110294069A1号、同第20120064456A1号、同第20120288794A1号、同第20120171617A1号、同第20120219902A1号、及び同第7998655B2号に記載されているものを含む。
【0073】
ネガティブトーン現像方法
本発明による方法を、ネガティブトーン現像によるフォトリソグラフィーパターンを形成するための例示的な方法フローを示す図1A〜Cを参照して以下に記載する。
【0074】
図1Aは、横断面で、様々な層及び特徴を含み得る基板100を示している。基板は、ケイ素または化合物半導体(例えば、III〜VまたはII〜VI)、ガラス、クォーツ、セラミック、銅等の半導体等の材料であってよい。典型的には、基板は、単結晶ケイ素または化合物半導体ウェハ等の半導体ウェハであり、1つ以上の層と、及びその表面上に形成されたパターン化特徴と、を有し得る。1つ以上の被パターン化層102を基板100上に提供することができる。例えば、基板材料内にトレンチを形成することが望ましいとき、下地ベース基板材料それ自体を任意にパターン化することができる。例えば、ベース基板材料それ自体をパターン化する場合、パターンは基板の層内に形成されるとみなされるものとする。
【0075】
層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、合金、そのような金属の窒化物またはケイ化物、ドープ非結晶ケイ素またはドープポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または金属酸化物の層等の1つ以上の誘電体層、単結晶ケイ素等の半導体層、及びそれらの組み合わせ等の層等の1つ以上の導電層を含み得る。エッチングされるそれらの層は、様々な技術、例えば、プラズマ促進CVD、低圧CVD、またはエピタキシャル成長等の化学気相蒸着(CVD)、スパッタリングまたは蒸発等の物理気相蒸着(PVD)、もしくは電気めっきによって形成可能である。エッチングされる1つ以上の層102の特定の厚さは、形成される材料及び特定のデバイスに従って決定するであろう。
【0076】
エッチングされる特定の層、フィルムの厚さ、及び使用されるフォトリソグラフィー材料ならびに方法に従って、層102上に、ハードマスク層及び/または底部反射防止コーティング(BARC)を施し、それらの上にフォトレジスト層104をコーティングすることが望ましい。エッチングされる層が相当なエッチング深さを要する場合、及び/または特定のエッチング液が不十分なレジスト選択性を有する場合、例えば、非常に薄いレジスト層を有するハードマスク層を使用することが望まれる可能性がある。ハードマスク層が使用される場合、形成されるレジストパターンはハードマスク層に転送可能であり、そのハードマスク層は下地層102をエッチングするためのマスクとして使用可能である。好適なハードマスク材料及び形成方法は当該業界で既知である。典型的な材料は、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム酸窒化物、酸化ハフニウム、非結晶炭素、酸窒化ケイ素、及び窒化ケイ素を含む。ハードマスク層は、異なる材料の単層または複数層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理気相蒸着技術によって形成可能である。
【0077】
基板及び/または下地層がフォトレジスト露光中に別の方法で相当量の入射放射線を反射することによって形成されるパターンの質に悪影響を及ぼす場合は、底部反射防止コーティングが望ましい場合がある。そのようなコーティングによって、焦点深度、露光寛容度、線幅均一性、及び臨界寸法(CD)制御を改善することができる。典型的には、レジストが遠紫外線(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)またはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合に、反射防止コーティングが使用される。その反射防止コーティングは複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止材料及び形成方法は当該業界で既知である。反射防止材料は商業的に入手可能であり、例えば、AR(商標)の商標でRohmによって販売されているもの、及びAR(商標)40A及びAR(商標)124反射防止材料等のHaas Electronic Materials LLC(Marlborough、MA USA)によって販売されているものがある。
【0078】
本明細書中に記載されている組成物等から形成されたフォトレジスト層104は、反射防止層(存在する場合)全体の基板上に配置する。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって、基板に適用することができる。それらの中では、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングでは、コーティング溶液の固体含有量を調整して、使用する特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度、及びスピニングに許容される時間量に基づいて、望ましいフィルムの厚さをもたらすことができる。フォトレジスト層104の典型的な厚さは、約500〜3000Åである。
【0079】
次いで、フォトレジスト層をソフトベーキングして層内の溶媒含有量を最小限に抑え、これによって、タックフリーコーティングを形成し、かつ、層の基板への粘着性を改善することができる。ソフトベーキングは、ホットプレート上またはオーブン内で実行可能であるが、ホットプレートが典型的である。ソフトベーキングの温度及び時間は、例えば、フォトレジストの特定の材料及び厚さによって決定するであろう。典型的なソフトベーキングは、約90〜150℃の温度、及び約30〜90秒の時間で行われる。
【0080】
本明細書中に記載のオーバーコート組成物から形成されたフォトレジストオーバーコート層106は、フォトレジスト層104上に形成される。典型的には、そのオーバーコート組成物はスピンコーティングによって基板に適用する。コーティング溶液の固体含有量を調整して、使用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度、及びスピニングに許容される時間量に基づいて、望ましいフィルムの厚さをもたらすことができる。オーバーコート層の反射性を低下させるために、好ましくは、オーバーコート内の波長が到来波の波長の4分の1になるように、厚さが選択される。フォトレジストオーバーコート層106の典型的な厚さは200〜1000Åである。塩基性クエンチャーは、オーバーコート層106内に存在し、オーバーコート層を介して均一に分散可能である、または、隔離または段階的塩基性クエンチャー領域107として存在してオーバーコート層〜フォトレジスト層界面に配置可能である。
【0081】
次いで、そのフォトレジストオーバーコート層をベーキングして、層内の溶媒含有量を最小限に抑えることができる。ベーキングはホットプレート上またはオーブン内で行うことができるが、ホットプレートが典型的である。典型的なベーキングは、約80〜120℃の温度、及び約30〜90秒の時間で行われる。
【0082】
次いで、フォトレジスト層104は、第1のフォトマスク110を介して活性放射線108に露光され、露光領域と非露光領域との間の溶解度に相違をもたらす。フォトレジスト組成物に活性な放射線にフォトレジスト組成物を露光することに対する本明細書中の参照によって、放射線がフォトレジスト組成物内に潜像を形成可能であることが示される。フォトマスクは、光学的に透明な領域及び光学的に不透明な領域112及び114を有し、それらの層はそれぞれレジスト層の領域に対応し、後続の現像ステップで保持され、取り除かれる。露光波長は、典型的には、400nm以下、300nm以下、または200nm以下であり、248nm及び193nmが典型的である。本方法は、液浸または乾式(非液浸)リソグラフィー技術で使用される。露光エネルギーは、典型的には、約10〜80mJ/cmであり、露光ツール及び感光性組成物の成分によって決定する。
【0083】
フォトレジスト層104の露光に続いて、露光後ベーキング(PEB)を行う。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン内で行うことができる。PEBの条件は、例えば、特定のフォトレジスト組成物及び層厚によって決定するであろう。PEBは、典型的には、約80〜150℃の温度、及び約30〜90秒の時間で行われる。露光後ベーキングの後、塩基性クエンチャーは、極性切替領域と非切替領域(それぞれ、露光領域と非露光領域に対応する)との間の破線109によって示されるように、フォトレジスト層104の表面領域内に拡散すると考えられている。境界(破線)によって画定された潜像116は、図1Bに示されるように、フォトレジスト内で形成される。フォトレジスト内に拡散した塩基性クエンチャーは、フォトレジスト層の望ましくない暗領域内での極性切替を抑制することによって垂直壁を有する潜像をもたらすと考えられている。
【0084】
次いで、オーバーコート層106及び露光されたフォトレジスト層を現像してフォトレジスト層104の非露光領域を取り除いて露光領域を残し、この露光領域が、図1Cに示すように、垂直側壁を有するコンタクトホールパターン120を備えるオープンレジストパターン104’を形成する。現像液は、典型的には、有機現像液、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択される溶媒である。好適なケトン溶媒は、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンを含む。好適なエステル溶媒は、例えば、メチルアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、アミルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ギ酸メチル、エチルギ酸、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、及び乳酸プロピルを含む。好適なエーテル溶媒は、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ならびにメトキシメチルブタノールを含む。好適なアミド溶媒は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミドを含む。好適な炭化水素溶媒は、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒を含む。さらに、それらの溶媒の混合物、または上述の溶媒以外の溶媒と混合されたもしくは水と混合された溶媒以外の列挙された溶媒のうちの1つ以上を使用することができる。他の好適な溶媒は、フォトレジスト組成物内で使用されるものを含む。現像液は、好ましくは、2−ヘプタノン、またはn−ブチルアセテート等のブチルアセテートである。
【0085】
有機溶媒の混合物は、現像液、例えば、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合物として使用可能である。第1の有機溶媒は、メチル−2−ヒドロキシイソブチレート、及び乳酸エチル等のヒドロキシアルキルエステル、ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の直鎖または分岐C〜Cアルコキシアルキルアセテートから選択することができる。第1の有機溶媒のうち、2−ヘプタノン及び5−メチル−2−ヘキサノンが好ましい。第2の有機溶媒は、n−ブチルアセテート、n−ペンチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、n−ヘキシルアセテート、n−ブチルブチレート、及びイソブチルブチレート等の直鎖または分岐非置換C〜Cアルキルエステル、ならびに4−オクタノン、2,5−ジメチル4−ヘキサノン、及び2,6−ジメチル4−ヘプタノン等の直鎖または分岐C〜Cケトンから選択することができる。第2の有機溶媒のうち、n−ブチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、及び2,6−ジメチル4−ヘプタノンが好ましい。第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との好ましい組み合わせは、2−ヘプタノン/n−ブチルプロピオネート、シクロヘキサノン/n−ブチルプロピオネート、PGMEA/n−ブチルプロピオネート、5−メチル−2−ヘキサノン/n−ブチルプロピオネート、2−ヘプタノン/2,6−ジメチル4−ヘプタノン、及び2−ヘプタノン/n−ブチルアセテートを含む。それらのうち、2−ヘプタノン/n−ブチルアセテート、及び2−ヘプタノン/n−ブチルプロピオネートが特に好ましい。
【0086】
有機溶媒は、典型的には、現像液の総重量に基づいて、90重量%〜100重量%、より典型的には、95重量%を超える、98重量%を超える、99重量%を超える、または100重量%の合量で現像液中に存在する。
【0087】
現像液材料は、任意の添加剤、例えば、フォトレジストに対する上述の界面活性剤等を含んでもよい。そのような任意の添加剤は、典型的には、現像液の総重量に基づいて、低い濃度、例えば、約0.01〜5重量%の量で存在するであろう。
【0088】
現像液は、既知の技術によって、例えば、スピンコーティングまたはパドルコーティングによって、基板に適用することができる。現像時間はフォトレジストの非露光領域を取り除くのに効果的な時間であり、5〜30秒が典型的である。現像は、典型的には、室温で行われる。現像方法は、現像後に洗浄リンスを使用することなく実施可能である。この点に関連して、本現像方法によって無残留ウェハ表面がもたらされ、そのような余分な洗浄ステップが不要となる。
【0089】
BARC層は、存在する場合、レジストパターン104’をエッチングマスクとして使用することによって選択的にエッチングされ、下地ハードマスク層を露光する。次いで、ハードマスク層は、レジストパターン104’をエッチングマスクとして使用して再度選択的にエッチングされ、それによってパターン化されたBARC及びハードマスク層がもたらされる。BARC層及びハードマスク層をエッチングするための好適なエッチング技術及び化学的性質は当該業界で既知であり、例えば、それらの層の特定の材料によって決定するであろう。反応性イオンエッチング等の乾式エッチング方法が典型的である。次いで、レジストパターン104’及びパターン化されたBARC層は、既知の技術、例えば、酸素プラズマ灰化を用いて、基板から取り除かれる。
【0090】
ハードマスクパターンをエッチングマスクとして使用して、1つ以上の層102を選択的にエッチングする。下地層102をエッチングするための好適なエッチング技術及び化学的性質は当該業界で既知であり、反応性イオンエッチング等の乾式エッチング方法が典型的である。次いで、パターン化されたハードマスク層は、既知の技術、例えば、反応性イオンエッチング等の乾式エッチング方法を用いて、基板表面から取り除くことができる。得られた構造はエッチングされた特徴のパターンである。代替の例示的な方法では、ハードマスク層を使用することなく直接レジストパターン104’を使用して層102をパターン化することが望ましい。直接パターン化が採用されるか否かは、含まれる材料、レジスト選択性、レジストパターン厚、及びパターン寸法等の要因によって決定するであろう。
【0091】
本発明のネガティブトーン現像方法は、上述の例示的な方法に限定されない。例えば、フォトレジストオーバーコート組成物は、コンタクトホールを作製するためのネガティブトーン現像二重露光方法で使用可能である。そのような例示的な方法は、図1を参照する上述の技術の変形であるが、第1の露光とは異なるパターンのフォトレジスト層の追加露光を使用する。この方法では、フォトレジスト層は、第1の露光ステップのフォトマスクを介して化学放射線に露光する。このフォトマスクは、マスクの不透明領域を形成する一連の平行線を含む。第1の露光後、フォトレジスト層の第2の露光は、第1のフォトマスクの線に垂直な方向の一連の線を含む第2のフォトマスクを介して実行される。得たフォトレジスト層は、非露光領域、一度露光された領域、及び二度露光された領域を含む。第2の露光後、フォトレジスト層は、上述の現像液を用いて露光後ベーキングされて現像される。2つのマスクの線の交点に対応する非露光領域が取り除かれて、レジストの一度露光された領域及び二度露光された領域が残る。次いで、得た構造は、図1を参照して上述のようにパターン化可能である。
【0092】
コンタクトホール及びトレンチパターン等の特徴のためのさらに精密な解像度は、露光方法全体でNTDを使用することによって得ることができる。この方法では、フォトマスクは、ウェハ上でプリントされるパターンに対するより大きなパターンを有する。光がフォトマスクパーターンの縁部の下に拡散することによって、レジスト内の極性切替部がそれらの縁部領域の下に延在することができるように露光条件が選択される。
【0093】
以下の非限定実施例を提供して、本発明によるパターニング方法及びオーバーコート組成物についてさらに記載する。
【実施例】
【0094】
フォトレジストポリマー(PP)合成
【0095】
【化9】
【0096】
ポリ(IPAMA/IPCPMA/aGBLMA/X−GM−HL−2/HAMA)(PP−1)
IPAMA(20.68g)、IPCPMA(24.72g)、aGBLMA(27.78g)、X−GM−HL−2(17.26g)、及びHAMA(11.46g)のモノマーを、108.33gの乳酸エチル/γ−ブチロラクトン(gBL)(7/3)中で溶解した。そのモノマー溶液を、窒素で20分間バブリングすることによって脱気させた。乳酸エチル/γ−ブチロラクトン(gBL)(113g)を、コンデンサー及び機械的攪拌器に装備されている500mLのJacket反応器内に投入し、窒素で20分間バブリングすることによって脱気した。その後、反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度の状態にした。V−601(ジメチル2、2−アゾジイソブチレート)(3.974g)は12gの乳酸エチル/gBL中で溶解して、開始溶液を、窒素で20分間バブリングすることによって脱気させた。その開始溶液を反応器内に添加し、次いでモノマー溶液を、激しい撹拌下かつ窒素環境下で、反応器液滴中に3.5時間にわたって供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物を80℃でさらに0.5時間放置した。反応が完了した後、重合混合物を室温まで冷却した。沈澱がMeOH(3000g)中で実現した。沈澱した粉末は濾過によって収集して終夜にわたって空気乾燥させ、120gのTHF中で再溶解させたところ、MeOH(3000g)中に再沈殿した。最終ポリマーを濾過して、終夜にわたって空気乾燥させて、真空下で48時間にわたって60℃でさらに乾燥させたところ、ポリマーPP−1(M=7785;PDI=1.36;収率=82.75%)がもたらされた。
【0097】
【化10】
【0098】
オーバーコートマトリックスポリマー(MP)合成
【0099】
【化11】
【0100】
ポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(MP−1)
30gのイソブチルメタクリレート(iBMA)及び10gのn−ブチルメタクリレート(nBMA)モノマーを、60gのPGMEA中で溶解した。そのモノマー溶液を、窒素で20分間バブリングすることによって脱気させた。PGMEA(32.890g)を、コンデンサー及び機械的攪拌器に装備されている500mLの三つ口フラスコ内に投入して、窒素で20分間バブリングすることによって脱気させた。その後、その反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度の状態にした。V601(3.239g)を8gのPGMEA中で溶解し、その開始溶液を窒素で20分間バブリングすることによって脱気させた。その開始溶液を反応フラスコ内に添加し、次いで、モノマー溶液を、激しい撹拌及び窒素環境下で、反応器液滴中に3時間にわたって供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を80℃でさらに1時間放置した。合計4時間の重合時間(3時間の供給及び供給後の1時間の撹拌)の後、その重合混合物を室温まで冷却した。沈澱がメタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で実現した。その沈澱したポリマーは濾過によって収集して終夜にわたって空気乾燥させて、120gのTHF中で再溶解させたところ、メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中に再沈殿した。最終ポリマーを濾過して終夜にわたって空気乾燥させ、真空下で48時間にわたって25℃でさらに乾燥させたところ、33.1gのポリ(iBMA/nBMA)(75/25)コポリマー(MP−1)(M=9,203;M/Mn=1.60;収率=82.75%)がもたらされた。この合成の結果は表1に記載されている。
【0101】
【化12】
【0102】
オーバーコート添加剤ポリマー(AP)合成
【0103】
【化13】
【0104】
ポリ(MA−MIB−HFA/MA−DM−EATf/233−tMBA)(55/25/20)(AP−1)
25gのPGMEAを200mlの反応器に投入して、窒素パージ下で30分間99℃まで加熱した。27.5gのMA−MIB−HFAモノマー、12.5gのMA−DM−EATfモノマー、及び10gの233−tMBAモノマーを、7.02gのPGMEA溶媒中で溶解し、次いでそのモノマー溶液を窒素でバブリングすることによって脱気させた。1.80gのV601(ジメチル2,2−アゾジイソブチレート)を16.18gのPGMEA中で溶解し、そのモノマー溶液を窒素でバブリングすることによって脱気させた。その開始溶液を、反応器液滴中に、0.150g/分の供給量で120分にわたって供給した。また、そのモノマー溶液も反応器液滴中に、激しい撹拌及び窒素環境下で、0.475g/分の供給量で120分にわたって供給した。供給が完了した後、その重合混合物をさらに2時間放置した。次いで、その重合混合物を室温まで冷却したところ、ポリ(MA−MIB−HFA/MA−DM−EATf/tMBA)(55/25/20)コポリマー(AP−1)(M=9017;M/M=1.87;収率=35.7%)の溶液がもたらされた。この合成の結果は表1に記載されている。
【0105】
【化14】
【0106】
ポリ(MA−MIB−HFA/233−tMBA)(80/20)(AP−2)
25gのPGMEAを200mlの反応器に投入して、窒素パージ下で30分99℃まで加熱した。40gのMA−MIB−HFAモノマーと10gの233−tMBAモノマーとを混合して、10gのPGMEA溶媒中で溶解した。1.50gのV601(ジメチル2,2−アゾジイソブチレート)を13.5gのPGMEA中で溶解した。そのモノマー及び開始溶液を、窒素でバブリングすることによって脱気させた。その開始溶液を、0.136g/分の供給量で反応器液滴内に110分にわたって供給した。また、そのモノマー溶液も、激しい撹拌及び窒素環境下で、0.545g/分の供給量で、反応器液滴内に110分にわたって供給した。供給が完了した後、その重合混合物をさらに2時間放置した。次いで、その重合混合物を室温まで冷却したところ、ポリ(MA−MIB−HFA/233−tMBA)(80/20)コポリマー(AP−2)(M=8945;M/M=1.91;収率=42.1%)の溶液がもたらされた。この合成の結果は表1に記載されている。
【0107】
【化15】
【0108】
ポリ(MA−MIB−HFA)(AP−3)
300gのイソブチルイソブチレート(IBIB)を2Lの反応器に投入して、窒素パージ下で99℃まで加熱した。400gのMA−MIB−HFAモノマー及び14.4gのV601(ジメチル2,2−アゾジイソブチレート)を285.7gのIBIB中で溶解し、そのモノマー溶液を窒素でバブリングすることによって脱気させ、その後、激しい撹拌及び窒素環境下で、反応器液滴中に120分の時間にわたって供給した。モノマー供給が完了した後、その重合混合物を99℃でさらに5時間放置した。次いで、その重合混合物を室温まで冷却したところ、ポリ(MA−MIB−HFA)ホモポリマー(AP−3)(M=6768;M/M=1.658;収率=29.83%)の溶液がもたらされた。この合成の結果は表1に記載されている。
【0109】
【化16】
【0110】
ポリ(TBMA/MHFPMA)(70/30)(AP−4)
53.94gのPGMEAを300mlの反応器に投入して、窒素パージ下で30分間99℃まで加熱した。57.18gのTBMAモノマーと50.7gのMHFPMAモノマーとを混合して、15.14gのPGMEA中で溶解した。そのモノマー溶液を窒素でバブリングすることによって脱気させた。3.88gのV601(ジメチル2,2−アゾジイソブチレート)を34.91gのPGMEA中で溶解して、その開始溶液を、0.353g/分の供給量で、反応器液滴内に110分にわたって供給した。また、そのモノマー溶液も、激しい撹拌及び窒素環境下で、1.118g/分の供給量で、反応器液滴内に110分にわたって供給した。供給が完了した後、その重合混合物をさらに2時間放置した。次いで、その重合混合物を室温まで冷却したところ、ポリ(TBMA/MHFPMA)コポリマー(AP−4)(M=10,944;M/M=1.74;収率=45.2%)の溶液がもたらされた。この合成の結果は、表1に記載されている。
【0111】
【化17】
【0112】
【表1】
【0113】
フォトレジスト組成物(PC−1)の調整
PGMEA中の31.219gのポリマーPP−1溶液(10重量%)と、PGMEA中の5.415gのトリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネート溶液(1重量%)と、PGMEA中の15.047gのトリフェニルスルホニウム2−(((3r,5r,7r)−アダマンタン−1−カルボニル)オキシ)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート溶液(1重量%)と、PGMEA中の3.01gの2,2’−(ドデシルアザンジイル)ジエタノール溶液(1%)と、PGMEA中の14.336gのトリフェニルスルホニウム((1S,4S)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホネート(1%)と、21.324gのPGMEAと、9.650gのγ−ブチロラクトンとを4時間混合した。その混合物を0.2ミクロンのナイロンフィルターで濾過したところ、フォトレジスト組成物PC−1がもたらされた。
【0114】
レジストオーバーコート組成物(OC)の調製
レジストオーバーコート組成物を、表2に明記された成分及び量を使用して、オーバーコートマトリックスポリマー、添加剤ポリマー、及び塩基性クエンチャーを溶媒中で溶解することによって調製した。得た混合物を機械的ローラー上で3時間ロールし、次いで、0.2ミクロンの細孔径を有するテフロン(登録商標)フィルターを介して濾過した。その組成物を、到来波の波長の1/4に対応して、(約1500rpmでスピンコーティングした後の)対象の厚さ290Åに基づいて配合したところ、オーバーコート表面での反射率が低下した。
【0115】
【表2】
【0116】
接触角測定
各レジストオーバーコート組成物では、脱イオン水に対する静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)、及び滑り角(SA)を測定した。静的及び動的接触角は、KRUSS drop shape analyzer model100を使用して測定した。動的接触角測定では、脱イオン水の液滴の大きさは50μl(マイクロリットル)であり、ウェハステージの傾斜率はlユニット/秒であった。いったん水滴を試験ウェハ表面上に置くと、ウェハステージは直ちに傾斜し始めた。ウェハステージが傾斜している間、液滴がそのもとの位置から滑落するまで、1秒につき20フレームの割合で液滴のビデオを撮った。次いで、ビデオ内の各フレームを分析して、液滴がちょうど滑落し始めたときのフレーム上の液滴の画像を使用して、それらの対応する接線によって動的接触角(後退及び前進)を決定した。滑り角はウェハステージの傾斜角であり、液滴がちょうど滑落し始めたときのフレームに対応する。静的接触角測定では、水滴は2.5μlであり、傾斜していない試験ウェハ表面上に置いた。接触角は、液滴の両側の接線によって決定した。報告された静的接触角は、液滴の左側及び右側からの平均的な接触角であった。表面エネルギーは、拡張Fowkes理論を用いて、水の静的接触角に基づいて計算した。静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)、及び滑り角(SA)の結果、ならびにOC−1(OC−1からのΔRCA)に対するRCAの差は、表3に明記されている。
【0117】
【表3】
【0118】
表3から確認できるように、本発明による添加剤ポリマーを含有するレジストオーバーコート組成物OC−2〜OC−7は、比較オーバーコート組成物OC−1、及びSAの比較可能特性と比較して、好ましいSCA、RCA、及びACA特性を呈した。
【0119】
リソグラフィーの方法
乾式リソグラフィーを行い、オーバーコート組成物がリソグラフィー性能へ与える影響を調査した。ASML/1100スキャナーに連結するTEL CleanTrack ACT8では、200mmのケイ素ウェハを、AR(商標)19底部反射防止コーティング(BARC)材料(Rohm and Haas Electronic Materials,Marlborough,MA)でスピンコーティングして、205℃で60秒間ベーキングしたところ、860Åのフィルムの厚さがもたらされた。フォトレジスト組成物PC−1を、BARCがコーティングされたウェハ上にコーティングして、TEL CleanTrack ACT8コーター/現像液で60秒間90℃でソフトベーキングしたところ、1000Åのレジスト層厚がもたらされた。オーバーコート組成物を使用する場合は、レジストの頂部上にコーティングして、TEL CleanTrack ACT8コーター/現像液で60秒間90℃でソフトベーキングしたところ、290Åのレジストオーバーコートの厚さがもたらされた。そのウェハを、ASML1100スキャナーを使用した、0.75NA、0.89のアウターシグマ、及び0.64のインナーシグマを伴う四重極照明条件を用いて露光させた。その露光されたウェハは、90℃で60秒間露光後ベーキングして、n−ブチルアセテート(NBA)現像液を用いて、TEL CleanTrack ACT8コーター/現像液で、30秒間現像した。同じマスク特徴(6%のPSM)で200nmのピッチを有する密集コンタクトホールの場合、臨界寸法(CD)は100nmを対象として、200K倍率を有するHitachi9380CD SEMでホールパターンの直径が測定された。
【0120】
以下の値は、リソグラフィーの結果:E=200nmのピッチ(CD)を有する密集コンタクトホールの対象のCD100nmをプリントするための露光エネルギー、及びEL=フォトレジストの露光寛容度から決定して、それらの値を、以下の式に従って、±10%のCD以内の露光エネルギーごとのCDの変化の割合(ΔCD)によって定義し、
EL=(1.1×CD〜0.9×CD)/(1.1×CDのEopt〜0.9×CDのEopt
【0121】
式中、EL及びCDは上述の通りに定義し、Eoptは、特定のCDをプリントするのに最適な露光エネルギーであり、EでのFL=Eでの焦点寛容度であり、式中、焦点寛容度は焦点の範囲であってCD変形を±10%CD以内に維持し、PWは、方法ウィンドウを意味し、最終CDを仕様または限定的なデータの領域内に維持する焦点及び露光の重複領域であり(KLA/Tencor Prodata(商標)ソフトウェアを用いてPWを決定した)、5%のELでのPW=±5%のCD変形の範囲内の方法ウィンドウであり、過少量でのFL=E未満の露光線量1mJでの焦点寛容度であり、過剰量でのFL=Eを超える露光線量1mJでの焦点寛容度である。結果は表4に要約されている。
【0122】
【表4】
【0123】
表4から確認できるように、本発明によるレジストオーバーコートを用いた本実施例のリソグラフィーの性能によって、全体的に優れたリソグラフィーの性能がもたらされた。
【0124】
レジストオーバーコート組成物(OC)の調製
表5に明記されている成分を用いて、9gのマトリックスポリマー、0.95gの添加剤ポリマー、及び0.05gのtert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートを990gの溶媒中で溶解することによって、レジストオーバーコート組成物を調製する。得た混合物は機械的ローラー上で3時間ロールし、次いで、0.2ミクロンの細孔径を有するテフロン(登録商標)フィルターを介して濾過する。
【0125】
【表5】
【0126】
マトリックスポリマー
【0127】
【化18】
【0128】
添加剤ポリマー
【0129】
【化19】
【0130】
リソグラフィーの方法
300mmのケイ素ウェハを、AR(商標)19底部反射防止コーティング(BARC)材料(Rohm and Haas Electronic Materials,Marlborough,MA)を用いてスピンコーティングして、205℃で60秒間ベーキングすると、860Åのフィルムの厚さがもたらされる。フォトレジスト組成物PC−1を、BARCがコーティングされたウェハ上でスピンコーティングして、90℃で60秒間ソフトベーキングすると、1000Åのレジスト層厚がもたらされる。表5のオーバーコート組成物をレジストの頂部上でスピンコーティングして、90℃で60秒間ソフトベーキングすると、レジストオーバーコート層がもたらされる。ウェハを液浸スキャナー上で露光させ、次いで、スピンコーター上で2−ヘプタノンを用いて25秒間現像すると、ネガティブトーンパターンがもたらされる。
図1