【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様によれば、本発明はポンプレーザーと、ブリルアンセンサーファイバーと、検出システムとを備える分布型ブリルアンセンサーシステムを提供し、
ポンプレーザーはブリルアンセンサーファイバーの第1の端部へポンプ信号を送るように配置され、
検出システムはブリルアンセンサーファイバーからのブリルアン後方散乱を検出するように配置され、ブリルアンセンサーファイバーは、
−ブリルアンセンサーファイバーは負の分散を有すること、
によって特徴付けられ、
−ブリルアンセンサーファイバーの実効面積は50μm
2以下である。
【0017】
負の分散を有するブリルアンセンサーファイバーを利用することによって、変調不安定性等の非線形の深刻な影響を及ぼすことなく、ファイバーの実効面積を低減することが可能であり、これにより、事実上所与のポンプパワーに対する光ファイバーのブリルアンゲインを増加させる。
【0018】
第1の実施形態において、センサーシステムは、ブリルアンセンサーファイバーの反対側の端部にプローブ信号を提供するように配置されるプローブレーザーを更に備える。こうした構成はより効率的な散乱効率をもたらす。一方、本発明はブリルアンセンサーシステムが自然ブリルアンセンサーシステム又は後方散乱ブリルアンセンサーシステムに基づくことができることも意図している。
【0019】
1つの実施形態において、センサーファイバーの実効面積は60μm
2以下である。センサーファイバーの実効面積は50μm
2以下とすることもできる。センサーファイバーの実効面積は更に40μm
2以下とすることができる。比較的小さい実効面積はブリルアンゲインを増加させるが、通常は変調不安定性等の望ましくない非線形の影響をもたらす。しかしながら、ファイバーの負の分散がこれを補償する。
【0020】
センサーファイバーの実効面積は、例えば、10μm
2〜50μm
2の間とすることができる。センサーファイバーの実効面積は15μm
2〜35μm
2の間とすることができることが有利であり、このことはブリルアンセンサーファイバーのための優れた特性を提供することを示した。
【0021】
別の実施形態において、ブリルアンセンサーファイバーは低減衰と高ブリルアンゲインとを有することによって更に特徴付けられる。
【0022】
減衰は、例えば、0.25dB/km以下とすることができる。減衰は、例えば、0.24dB/km以下とすることができる。減衰は、例えば、0.23dB/km以下とすることができる。減衰は、例えば、0.22dB/km以下とすることができる。減衰は、例えば、0.21dB/km以下とすることができる。減衰は、例えば、0.20dB/km以下とすることができる。
【0023】
1つの有利な実施形態において、分散は−2ps/nm/kmより負であり、有利には−5ps/nm/kmより負である。
【0024】
ブリルアンゲインは、有利にはG.652標準シングルモードファイバーのブリルアンゲインの少なくとも2倍である。
【0025】
1つの実施形態において、ブリルアンセンサーファイバーは最大屈折率n
1を有する中央コア領域と、上記グラスファイバーの外表面上に名目屈折率n
2を有する透明クラッド材料層とを備え、ここで、
【数1】
であり、グラスファイバーは中央コア領域に隣接する透明材料の第1の環状領域を備え、上記第1の環状領域は幅約1マイクロメートル〜10マイクロメートル及び屈折率n
3を有し、ここで、
【数2】
であり、グラスファイバーは、外側クラッドに隣接する透明材料の第2の環状領域を更に備え、上記第2の環状領域はその屈折率がn
4であり、ここで、
【数3】
である。
【0026】
クラッドの屈折率n
2は、例えば、1.457@633nmとすることができ、基準として用いることが可能である。上記の値はn
2の値で除算する、すなわち、有利には1.457で除算することによって相対値に変換することもできる。
【0027】
ブリルアンセンサーファイバーは領域1530nm〜1565nmの全ての波長に対して述べる特徴を示すことができることが有利である。
【0028】
ポンプ信号は光パルスから構成されることが好ましい。プローブ信号は連続波光から構成することができることが有利である。
【0029】
ブリルアンセンサーは少なくとも5kmの長さ、有利には少なくとも10kmの長さを有することができる。
【0030】
追加の第1の態様によれば、本発明はブリルアンセンサーファイバーシステムのためのセンサーファイバーの使用を提供し、このセンサーファイバーは負の分散を有する。
【0031】
本発明は、ブリルアンセンサーファイバーシステムのためのセンサーファイバーの使用を更に提供し、センサーファイバーは最大屈折率n
1を有する中央コア領域と、上記グラスファイバーの外表面上に名目屈折率n
2を有する透明クラッド材料層とを備え、ここで、
【数4】
であり、グラスファイバーは中央コア領域に隣接する透明材料の第1の環状領域を備え、上記第1の環状領域は幅約1マイクロメートル〜10マイクロメートル及び屈折率n
3を有し、ここで、
【数5】
であり、グラスファイバーは、外側クラッドに隣接する透明材料の第2の環状領域を更に備え、上記第2の環状領域はその屈折率がn
4であり、ここで、
【数6】
である。
【0032】
上述したように、センサーファイバーの実効面積は50μm
2以下、例えば15μm
2〜35μm
2の範囲内である。
【0033】
第2の態様によれば、本発明は、ポンプレーザーと、少なくとも第1の光ファイバーセクション及び第2の光ファイバーセクションを備える複合ファイバーアセンブリと、を備える分布型ブリルアンセンサーシステムを提供する。前記ポンプレーザーは前記複合ファイバーアセンブリの第1の端部へポンプ信号を送るように配置され、検出システムが前記複合ファイバーアセンブリからのブリルアン後方散乱を検出するように配置され、前記複合ファイバーアセンブリは低ブリルアンゲインを有する前記第1のセクションと、高ブリルアンゲインを有する前記第2のファイバーセクションとによって特徴付けられる。
【0034】
したがって、第1のセクションは高ブリルアンゲインファイバーに関連する非線形の不利益なしで光を導くことができる一方、第2のファイバーセクションは、光が第1のセクションによって減衰された後、いずれの非線形の不利益を被ることなく高ブリルアンゲインを有することがわかる。このことによって分布型ブリルアンセンサーシステムのカバー範囲を著しく伸ばすことができる。
【0035】
複合ファイバーアセンブリは第1のファイバーセクション及び第2のファイバーセクションを複数備えることができることは認識されたい。
【0036】
第2のファイバーセクションは第1の態様について説明した上述の実施形態において説明した特徴のうちの任意のものを含むことができることも認識されたい。
【0037】
第1の実施形態において、センサーシステムは、ブリルアンセンサーファイバーの反対側の端部にプローブ信号を提供するように配置されるプローブレーザーを更に備える。こうした構成はより効率的な散乱効率をもたらす。一方、本発明はブリルアンセンサーシステムが自然ブリルアンセンサーシステム又は後方散乱ブリルアンセンサーシステムに基づく場合があることも意図している。
【0038】
1つの有利な実施形態において、第2のファイバーセクションのブリルアンゲインは第1のファイバーセクションのブリルアンゲインの少なくとも2.0倍大きい。
【0039】
別の有利な実施形態において、第1のファイバーセクションは第1の実効面積を有し、第2のファイバーセクションは第2の実効面積を有し、第1の実効面積は第2の実効面積より少なくとも1.5倍大きく、有利には少なくとも2.0倍大きい。第1のセクションの実効面積は、例えば、100μm
2以上とすることができる。
【0040】
第1のファイバーセクションの減衰は0.175dB/km以下とすることができることが有利である。
【0041】
高度に有利な実施形態において、分布型ブリルアンセンサーシステムのカバー範囲は複合ファイバーアセンブリを用いることによって少なくとも10km増加する。
【0042】
第1のファイバーセクションは正の分散を有することによって特徴付けることができることが有利である。一方、第2のファイバーセクションはその代わりに負の分散を有することができる。
【0043】
以下で、図面(複数の場合もある)を参照して本発明を詳細に説明する。