(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グリオキシル酸の1つ以上の源が、非解離グリオキシル酸、ジヒドロキシ酢酸、ジハロ酢酸、及びグリオキシル酸の重亜硫酸塩付加物から選択される、請求項1に記載の水系無電解金属メッキ組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書の全体を通して使用される場合、以下の略語は、文脈が明確に示さない限り、次の意味を有する:g=グラム、mg=ミリグラム、mL=ミリリットル、L=リットル、cm=センチメートル、m=メートル、mm=ミリメートル、μm=ミクロン、ppm=百万分率、℃=摂氏度、M=モル、g/L=グラム毎リットル、v=容積、重量%=重量パーセント、RO=逆浸透、DI=脱イオン化、T
g=ガラス転移温度、EDTA=エチレンジアミンテトラ酢酸、K=カリウム、Na=ナトリウム、Fe=鉄、及びCN=シアン化物。
【0021】
用語「印刷回路基板」及び「印刷配線板」は、同義語である。用語「メッキ」及び「堆積」は、この明細書全体を通して互換可能に使用される。用語「部分」は、部分構造として、全体の官能基または官能基の部のいずれかを含み得る分子またはポリマーの一部を意味する。用語「ハロゲン化物」は、塩化物、臭化物、フッ化物、またはヨウ化物を意味する。全ての量は、別途言及されない限り、重量パーセントである。全ての数値の範囲は、かかる数値の範囲が、合計して100%に制限されることが論理的である場合を除き、任意の順序において包括的であり、組み合わせ可能である。
【0022】
水系無電解金属メッキ組成物は、金属イオンの1つ以上の源、金属イオンのための還元剤としてグリオキシル酸、グリオキシル酸の塩、またはその混合物、ならびに下記の式を有する1つ以上の三級アミン化合物、その塩、及びハロゲン化物を含み、
【0024】
式中、R
1、R
2、及びR
3が、同一であっても異なっていてもよく、かつ直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のヒドロキシ(C
1−C
10)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のカルボキシ(C
1−C
10)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
10)アルキルアミン、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
10)アルキルホスホン酸、または下記の式を有する部分であり、
【0026】
式中、R
4及びR
5が、同一であっても異なっていてもよく、かつ直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のヒドロキシ(C
1−C
10)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のカルボキシ(C
1−C
10)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
10)アルキルアミン、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
10)アルキルホスホン酸、または部分−(CH
2)
a−N−((CH
2)
b)
2−(P(O)(OH)
2)(IIa)であり、式中、a及びbが、同一であっても異なっていてもよく、かつ1〜6の整数であり、mが、1〜6の整数であり、Bが、下記の式を有する部分であり、
【0028】
式中、R
6及びR
7が、同一であっても異なっていてもよく、かつ水素、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシ(C
1−C
3)アルキル、カルボキシ(C
1−C
3)アルキル、もしくは(C
1−C
3)アルキルであるか、あるいはBが、置換もしくは非置換の(C
5−C
6)シクロアルキル環であり得、m=1であり、Aが、式(I)の窒素との化学結合であるか、または下記の式を有する部分であり、
【0030】
式中、R
8、R
9、R
10、及びR
11が、同一であるかまたは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、もしくは(C
1−C
3)アルキルであり、n、p、及びqが、同一であっても異なっていてもよく、かつ1〜6の整数であるが、但し、R
1、R
2、及びR
3のうちのいずれか2つが、カルボキシメチル部分またはその塩であるとき、3つ目は、Aが、化学結合であり、Bが式(IIb)であり、mが、2であり、R
6及びR
7が、水素であり、R
4及びR
5が、カルボキシメチル部分またはその塩である式(II)になることはできず、1つ以上の三級アミン化合物とグリオキシル酸またはその塩とのモル比が、0.05:1〜15:1である。
【0031】
好ましくは、R
1、R
2、及びR
3は、同一であっても異なっていてもよく、かつ直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のヒドロキシ(C
1−C
6)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のカルボキシ(C
1−C
6)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
6)アルキルアミン、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
6)アルキルホスホン酸、または下記の式を有する部分であり、
【0033】
式中、R
4及びR
5が、同一であっても異なっていてもよく、かつ直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のヒドロキシ(C
1−C
6)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のカルボキシ(C
1−C
6)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
6)アルキルアミン、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
6)アルキルホスホン酸、または部分−(CH
2)
a−N−((CH
2)
b)
2−(P(O)(OH)
2)(IIa)であり、式中、a及びbが、同一であっても異なっていてもよく、1〜3の整数であり、mが、1〜3の整数であり、R
6及びR
7が、同一であっても異なっていてもよく、かつ水素、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシ(C
1−C
2)アルキル、カルボキシ(C
1−C
2)アルキル、または(C
1−C
2)アルキルであり、Aが、式(I)の窒素との化学結合であるか、または下記式を有する部分であり、
【0035】
式中、R
8、R
9、R
10、及びR
11が、同一であるかもしくは異なり、かつ水素、ヒドロキシル、または(C
1−C
2)アルキルであり、n、p、qが、同一であっても異なっていてもよく、1〜3の整数である。
【0036】
より好ましくは、R
1、R
2、及びR
3が、同一であっても異なっていてもよく、かつ直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のヒドロキシ(C
1−C
4)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換のカルボキシ(C
1−C
4)アルキル、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
4)アルキルアミン、直鎖もしくは分岐、置換もしくは非置換の(C
1−C
4)アルキルホスホン酸、または下記の式を有する部分であり、
【0038】
式中、R
4及びR
5が、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシ(C
1−C
3)アルキル、またはカルボキシ(C
1−C
3)アルキルであり、mが、2〜3の整数であり、R
6及びR
7が、同一であっても異なっていてもよく、かつ水素、ヒドロキシル、カルボキシル、もしくは(C
1−C
2)アルキルであり、Aが、式(I)の窒素との化学結合である。
【0039】
前述の三級アミン化合物の塩には、カリウム塩、ナトリウム塩、及びリチウム塩等のアルカリ金属塩ならびにアンモニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、塩は、カリウム及びナトリウム等のアルカリ金属塩であり、より好ましくは、塩は、ナトリウムである。
【0040】
ハロゲン化物は、Cl
−、F
−、Br
−、及びI
−である。ハロゲン化物源には、塩化水素、臭化水素、フッ化水素、及びヨウ化水素が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ハロゲン化物源は、塩化水素である。
【0041】
置換基には、ヒドロキシル、直鎖または分岐のヒドロキシ(C
1−C
4)アルキル、カルボキシル、直鎖または分岐のカルボキシ(C
1−C
4)アルキル、直鎖または分岐の(C
1−C
4)アルキル、または下記の式(IV)を有するアミン部分が含まれるが、これらに限定されず、
【0043】
式中、R
12及びR
13が、同一であっても異なっていてもよく、かつ水素、または直鎖もしくは分岐の(C
1−C
4)アルキル、ヒドロキシ(C
1−C
3)アルキル、もしくはカルボキシ(C
1−C
3)アルキルであり、dが、1〜3の整数である。好ましくは、置換基は、ヒドロキシル、カルボキシル、または(C
1−C
3)アルキルである。
【0044】
前述の三級アミンの例は、トリエタノールアミン、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]酢酸及びその塩、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノジ酢酸及びその塩、ニトリロトリ酢酸、ニトリロ(3−プロピオン)ジ酢酸及びその塩、ニトリルトリプロピオン酸及びその塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エタノールアミン、1−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、N,N−ビス(カルボキシメチル)−DL−アラニン及びその塩、トリイソプロパノールアミン、L−グルタミン酸N,N′−ジ酢酸及びその塩、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N′,N′−テトラ酢酸及びその塩、エチレンジアミンテトラプロピオン酸及びその塩、プロピレンジアミンテトラ酢酸及びその塩、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N′,N′−トリ酢酸及びその塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びその塩、トリエチレンテトラミン−N,N,N′,N′′,N′′′,N′′′−ヘキサ酢酸及びその塩、メチルジエタノールアミン、メチルイミノジ酢酸及びその塩、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸及びその塩、N−(2−アミノエチル)−トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N−ペンタ酢酸及びその塩、エチレングリコールテトラ酢酸及びその塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸及びその塩、(エチレンジニトリロ)−テトラメチレンホスホン酸及びその塩、(ニトリロトリメチレン)トリホスホン酸及びその塩である。
【0045】
無電解メッキ組成物は、ホルムアルデヒドを含まない、よって、環境に優しい無電解金属メッキ組成物が可能である。三級アミンは、グリオキシル酸及びその塩の不要な分解を抑制して、より効果的で、確かな無電解メッキ組成物を提供する。本組成物は、エチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩も含まない。
【0046】
グリオキシル酸源には、非解離グリオキシル酸、グリオキシル酸の塩、例えばグリオキシル酸のアルカリ金属塩等、例えばナトリウム及びカリウム塩等、ならびにそれらの還元剤が含まれ、この還元剤は、ジヒドロキシ酢酸、ジハロ酢酸、及びグリオキシル酸の重亜硫酸塩付加物等のアルカリ性溶液中のグリオキシル酸イオンを提供し得る。好ましくは、還元剤源は、グリオキシル酸である。濃度範囲は、0.1g/L〜100g/L、好ましくは1g/L〜50g/Lであり得る。
【0047】
無電解組成物中に含まれる三級アミンの量は、三級アミンとグリオキシル酸とのモル比に基づく。無電解組成物中の三級アミン抑制剤とグリオキシル酸とのモル比は、0.05:1〜15:1の範囲である。モル比が、0.05:1未満のとき、その抑制剤は、グリオキシル酸分解を効果的に抑えない。モル比が、15:1超えのとき、その抑制剤は、メッキ性能を実質的に妨げる。好ましくは、三級アミンとグリオキシル酸とのモル比は、0.2:1〜10:1、より好ましくは0.4:1〜10:1である。
【0048】
メッキされ得る金属には、銅、金、銀、ニッケル、及び錫が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、金属は、銅、錫、及びニッケルであり、より好ましくは、金属は、銅及びニッケルである。最も好ましくは、金属は、銅である。メッキされ得る合金には、銅/錫等の二元合金、及び銅ニッケル合金、ならびに銅/錫/銀等の三元合金が含まれるが、これらに限定されない。水性媒体中で可溶性である従来の金属イオン源が使用され得る。無電解のための金属イオンの通常の量が使用され得る。
【0049】
銅イオン源には、水溶性ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、ならびに他の有機銅塩及び無機銅塩が含まれるが、これらに限定されない。かかる銅塩の1つ以上の混合物は、銅イオンを提供するために使用され得る。例として、硫酸銅五水塩等の硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、スルファミン酸銅、水酸化銅、及びメタンスルホン酸銅((CH
3O
3S)
2Cu)があげられる。本組成物中の銅イオン濃度は、0.25g/L〜30g/L、または例えば0.5g/L〜20g/L、または例えば1g/L〜10g/Lの範囲であり得る。
【0050】
ニッケルイオン源には、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、及びリン酸ニッケルが含まれるが、これらに限定されない。ニッケル化合物の混合物は、メッキ組成物中で使用され得る。ニッケル化合物は、0.1g/L〜50g/L、または例えば0.5g/L〜30g/L、または例えば1g/L〜20g/Lのメッキ組成物中のニッケルイオン濃度を提供するために十分な量で、メッキ組成物中に添加され得る。
【0051】
錫イオン源には、ハロゲン化錫、硫酸錫、アルカンスルホン酸錫、アルカノールスルホン酸錫等の塩及び酸が含まれるが、これらに限定されない。ハロゲン化錫が使用されるとき、ハロゲン化物が、塩化物であることは典型的である。錫化合物は、典型的には、硫酸錫、塩化錫、またはアルカンスルホン酸錫、及びより典型的には、硫酸錫またはメタンスルホン酸錫である。十分な量の錫塩が無電解組成物に添加されて、0.5g/L〜80g/L、典型的には5g/L〜50g/Lの量の錫(II)イオンを提供する。
【0052】
銀イオン源は、これらに限定されないが、ハロゲン化銀、グルコン酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、硝酸銀、硫酸銀、アルカンスルホン酸銀、及びアルカノールスルホン酸銀等の銀塩によって提供され得る。ハロゲン化銀が使用されるとき、ハロゲン化物は塩化物であることが典型的である。典型的には、銀塩は、硫酸銀、アルカンスルホン酸銀、またはそれらの混合物、及びより典型的には硫酸銀、メタンスルホン酸銀、またはそれらの混合物である。十分な量の銀塩が、無電解メッキ組成物に添加されて、0.01g/L〜60g/L、典型的には0.02g/L〜30g/Lの量の銀イオンを提供する。
【0053】
金イオン源には、金(I)イオンを提供する1つ以上の金塩が含まれるが、これらに限定されない。かかる金(I)イオン源には、シアン化金カリウム、シアン化金ナトリウム、及びシアン化金アンモニウム等のシアン化金アルカリ化合物、金チオ硫酸トリナトリウム及び金チオ硫酸トリカリウム等の金チオ硫酸アルカリ化合物、亜硫酸金ナトリウム及び亜硫酸金カリウム、亜硫酸金アンモニウム等の亜硫酸金アルカリ化合物、ならびに塩化金(I)及びトリ塩化金(III)等のハロゲン化金(I)及びハロゲン化金(III)が含まれるが、これらに限定されない。十分な量の金源が、無電解メッキ組成物に添加されて、0.5g/L〜50g/L、または例えば5g/L〜30g/L、または例えば10g/L〜20g/Lの金イオン濃度を提供する。
【0054】
前述の成分に加えて、無電解金属メッキ組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含み、所定の適用にとって所望のメッキ性能に本組成物を適合し得る。かかる任意の添加剤には、促進剤、均一性向上剤、安定剤、細粒化剤、錯化剤、キレート剤、追加の還元剤の還元剤、pH調節剤、抗酸化剤、及び界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
無電解メッキの開始を向上させるための能力を有する均一性向上剤には、グリオキサール、スクシンジアルデヒド、ブドウ糖、及びアセトアルデヒド等のアルデヒドが含まれるが、これらに限定されない。かかるアルデヒドは、0.01g/L〜10g/L、好ましくは0.5g/L〜5g/Lの量で無電解金属メッキ組成物中に含まれ得る。
【0056】
ホルムアルデヒドを除いて、1つ以上の追加の還元剤の還元剤には、次亜リン酸塩、グリコール酸、グリオキサール、アスコルビン酸、ギ酸、及びグリシンが含まれ得るが、これらに限定されない。追加の還元剤は、その通常の量で使用され得る。
【0057】
錯化剤には、エチレンジアミン−N,N′−ジコハク酸(EDDS)及びその塩、ロッシェル塩、酒石酸カリウム、クエン酸及びその塩、エタノールジアミン、イミノジ酢酸及びその塩、ピロリン酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びその塩、キシリトール、ならびにD−ソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。錯化剤と金属イオンとのモル比は、0.5:1〜50:1、または例えば1:1〜15:1、または例えば1.2:1〜8:1の範囲であり得る。
【0058】
安定剤には、化合物を含有する硫黄、例えば、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、メルカプトベンゾチアゾール、チオ尿素、及びその誘導体等、シアン化物、例えば、KCN、NaCN、K
4[Fe(CN)
6]、チオシアン酸塩等、ジピリジル及びその誘導体、例えば、2,2′−ジピリジル、メチルピペリジン、1,2−ジ−(2−ピリジル)エチレン、2,2′−ジピリジルアミン、ピリダジン、6,6′−ジメチル−2,2′ジピリジル、ジ−2−ピリルケトン、及び2,2′−ビピリミジン等が含まれるが、これらに限定されない。かかる安定剤は、1ppm〜10g/Lの量で含まれ得る。
【0059】
任意の細粒化添加剤には、高分子量ポリマー化合物、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかは、例えば、PEG600、PEG2000、PEG4000、PEG6000、及びPEG10000として入手可能であり得るPEG等の種々の分子量において入手可能である。細粒化添加剤は、0.1ppm〜300ppm、好ましくは1ppm〜100ppmの量で含まれる。
【0060】
速度促進添加剤には、硫黄系有機分子、例えば、ビス(スルホプロピルナトリウム)ジ硫化物、ナトリウム3−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)−1−プロパンスルホン酸、及び他のジ硫化物等が含まれるが、これらに限定されない。かかる化合物は、0.1ppm〜30ppm、好ましくは0.5ppm〜10ppmの量で含まれる。他の速度促進添加剤には、アンモニア、エチレンジアミン、及びマンニトールが含まれるが、これらに限定されない。かかる速度促進剤化合物は、0.01g/L〜5g/Lの量で含まれ得る。
【0061】
典型的には、本組成物のpHは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムから選択される1つ以上のアルカリ性化合物によって調節されて、7を超える、典型的には8以上のpHを提供する。超高密度集積(ULSI)の分野において、有機アルカリ、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等は、pH調節のために使用されて、メッキされた銅コーティングの表面上への、またはその中へのアルカリ金属イオンの導入を回避する。より典型的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びTMAH、またはそれらの混合物が使用される。シュウ酸カリウムがシュウ酸ナトリウムの可溶性よりも高い可溶性を有するため、好ましくは、水酸化カリウムが使用される。好ましくは、水酸化カリウム濃度は、3g/L〜100g/L、より好ましくは10g/L〜80g/Lである。無電解金属組成物の好ましいpH範囲は、10〜14、より好ましくは11.5〜13.5、最も好ましくは12.5〜13.5である。
【0062】
従来の界面活性剤が、本組成物中に含まれ得る。かかる界面活性剤には、陽イオン性及び陰イオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ならびに両性界面活性剤が含まれる。界面活性剤の混合物が使用され得る。通常、界面活性剤は、無電解銅メッキ組成物のための通常の量で含まれ得る。界面活性剤は、0.001g/L〜50g/Lの量で本組成物中に含まれ得る。
【0063】
陽イオン性界面活性剤には、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアルキルイミダゾリン、ハロゲン化アルキルベンザルコニウム、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミンオレイン酸塩、及びアルキルアミノエチルグリシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
陰イオン性界面活性剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルコキシナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル、高級アルコールリン酸モノエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(リン酸塩)、及びアルキルスルホコハク酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
両性界面活性剤には、2−アルキル−N−カルボキシメチルまたはエチル−N−ヒドロキシエチルまたはメチルイミダゾリウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチルまたはエチル−N−カルボキシメチルオキシエチルイミダゾリウムベタイン、ジメチルアルキルベタイン、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸またはその塩、及び脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
好ましくは、界面活性剤は、非イオン性である。非イオン性界面活性剤には、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール、20〜150個の繰り返し単位及びブロックを有するポリオキシエチレンポリマー、ならびにポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンの無作為コポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
抗酸化剤には、中で水素原子(atom)または水素原子(atoms)が−COOH,−SO
3H、低級アルキルまたは低級アルコキシ基による非置換でも、それらによって置換されてもよい一水酸基の、二水酸基の、及び三水酸基のフェノール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、キノール、ピロガロール、ヒドロキシキノール、フロログルシノール、グアヤコール、没食子酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、カテコールスルホン酸、及びそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。抗酸化剤は、無電解銅組成物に典型的に使用される、1ppm〜1000ppm等の通常の量で本組成物中に含まれ得る。
【0068】
無電解金属組成物は、導電性基材及び非導電性基材いずれの上にも金属を堆積させるために使用され得る。無電解組成物は、当技術分野で既知である多くの従来の方法において使用され得る。典型的には、銅堆積は、20℃〜80℃の温度で行われる。好ましくは、無電解組成物は、20℃〜60℃の温度で銅を堆積させる。銅でメッキされた基材は、無電解組成物中に浸されるか、または無電解組成物が、基材上に噴霧される。従来のメッキ時間を使用して銅を基材上に堆積させ得る。堆積は、5秒〜30分間行われ得るが、メッキ時間は、基材上の所望される金属の厚み及びメッキ浴温度に応じて変更してもよい。金属メッキ速度は、0.15μm/5分〜0.5μm/5分、好ましくは0.25μm/5分〜0.45μm/5分の範囲であり得る。
【0069】
基材には、ガラス、陶器、磁器、樹脂、紙、布、及びそれらの組み合わせ等の無機及び有機物質を含む材料が含まれるが、これらに限定されない。金属被膜材料及び金属非被覆材料も、無電解銅組成物でメッキされ得る基材である。
【0070】
基材には、印刷回路板も含まれる。かかる印刷回路板には、繊維ガラス等の繊維を含む、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びそれらの組み合わせによる金属被膜及び金属非被覆、ならびに前述の含浸された実施形態を有する金属被膜及び金属非被覆が含まれる。
【0071】
熱可塑性樹脂には、アセタール樹脂、アクリル、例えばアクリル酸メチル等、セルロース系樹脂、例えばエチル酢酸塩、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、及び硝酸セルロース等、ポリエーテル、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレン配合物、例えばアクリロニトリルスチレン及びコポリマー及びアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー等、ポリカーボネート、ポリクロロトリフルオロエチレン、ならびにビニルポリマー及びコポリマー、例えば、ビニル酢酸塩、ビニルアルコール、ビニルブチラール、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸コポリマー、塩化ビニリデン及びビニルホルマール等が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
熱硬化性樹脂には、フタル酸アリル、フラン、メラミン−ホルムアルデヒド、フェノール−ホルムアルデヒド、及びフェノールフルフラール単独またはブタジエンアクリロニトリルコポリマーまたはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーと化合されたフェノールフルフラールコポリマー、ポリアクリルエステル、シリコン、尿素ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、アリル樹脂、フタル酸グリセリン、及びポリエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
多孔質材料には、紙、木材、繊維ガラス、布、ならびに繊維、例えば天然繊維及び合成繊維等、例えば綿繊維及びポリエステル繊維が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
無電解銅組成物は、低T
g樹脂及び高T
g樹脂の両方をメッキするために使用され得る。低T
g樹脂は、160℃を下回るT
gを有し、高T
g樹脂は、160℃以上のT
gを有する。典型的には、高T
g樹脂は、160℃〜280℃、または例えば170℃〜240℃のT
gを有する。高T
gポリマー樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリテトラフルオロエチレン配合物が含まれるが、これらに限定されない。かかる配合物には、例えば、ポリフェニレンオキシド及びシアン酸エステルを伴うPTFEが含まれる。高T
gを有する樹脂を含む他の種類のポリマー樹脂には、エポキシ樹脂、例えば二官能性及び多官能性エポキシ樹脂、ビマレイミド/トリアジン及びエポキシ樹脂(BTエポキシ)、エポキシ/ポリフェニレンオキシド樹脂等、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PS)、ポリアミド、ポリエステル、例えばフタル酸ポリエチレンテレ(PET)及びフタル酸ポリブチレンテレ(PBT)等、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、エポキシ、ならびにそれらの複合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
無電解組成物は、印刷回路板基材の貫通孔またはビアの壁、ならびにその板の他の部の上に銅を堆積させるために使用され得る。無電解組成物は、印刷回路板の製造における水平プロセスと垂直プロセスとのどちらにおいても使用することができる。
【0076】
通常、それらの板は、水で洗い流され、清掃され、油を取り除かれてもよく、その後、貫通孔の壁のデスミア処理が行われる。典型的には、誘電体を準備するかもしくは軟化させるか、または貫通孔のデスミア処理することは、溶剤膨潤の適用から開始する。任意の従来の溶剤膨潤が使用され得る。誘電体材料の種類に応じて、特定の種類は変更し得る。どの溶剤膨潤が特定の誘電体材料に適しているかを決定するために、簡単な実験が行われてもよい。溶剤膨潤には、グリコールエーテル及びそれに伴うエーテル酢酸塩が含まれるが、これらに限定されない。市販の溶剤膨潤の例は、CIRCUPOSIT(商標)Conditioner3302A、CIRCUPOSIT(商標)MLB Conditioner211、CIRCUPOSIT(商標)Hole Prep3303、及びCIRCUPOSIT(商標)Hole Prep4120溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。
【0077】
溶剤膨潤の後、増進剤が適用され得る。従来の増進剤が使用され得る。かかる増進剤には、硫酸、クロム酸、アルカリ性過マンガン酸塩、またはプラズマエッチングが含まれる。典型的には、増進剤としてアルカリ性過マンガン酸塩が使用される。市販の増進剤の例は、CIRCUPOSIT(商標)Promoter4130、CIRCUPOSIT(商標)MLB Promoter213−A、及びCIRCUPOSIT(商標)MLB Promoter3308溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。任意選択的に、基材及び貫通孔は、水で洗い流される。
【0078】
次いで、中和剤が適用されて、増進剤によって残された任意の残留物を中和し得る。従来の中和剤が使用され得る。典型的には、中和剤は、1つ以上のアミン、または3重量%の過酸化水素及び3重量%の硫酸の溶液を含有する水性酸性溶液である。市販の中和剤の例は、CIRCUPOSIT(商標)MLB中和剤216−5である。任意選択的に、基材及び貫通孔は、水で洗い流され、次いで、乾燥される。
【0079】
中和後、酸調整剤またはアルカリ調整剤が適用される。従来の調整剤が使用され得る。かかる調整剤には、1つ以上の陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、錯化剤、及びpH調節剤または緩衝剤が含まれ得る。市販の酸調整剤の例は、CIRCUPOSIT(商標)Conditioners3320A及び3327溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。好適なアルカリ調整剤には、1つ以上の四級アミン及びポリアミンを含有する水性アルカリ性界面活性剤溶液が含まれるが、これらに限定されない。市販のアルカリ性界面活性剤の例は、CIRCUPOSIT(商標)Conditioner231、3325、3323A、813、及び860調合物である。任意選択的に、基材及び貫通孔は、水で洗い流される。
【0080】
調整後に、マイクロエッチングが施され得る。従来のマイクロエッチング組成物が使用され得る。マイクロエッチングは、後でメッキされる電解金属の付着及びその後の電解メッキを向上させるために、露出された金属上にミクロ粗面化金属表面(例えば、内部層及び表面エッチ)を提供するために考案されている。マイクロエッチ組成物には、60g/L〜120g/Lの過硫酸ナトリウムもしくはオキシモノ過硫酸ナトリウムもしくはオキシモノ過硫酸カリウム、及び硫酸(2%)混合物もしくは一般的な硫酸/過酸化水素が含まれるが、これらに限定されない。市販のマイクロエッチング組成物の例は、CIRCUPOSIT(商標)Microetch3330エッチ溶液及びPREPOSIT(商標)748エッチ溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。任意選択的に、基材は、水で洗い流される。
【0081】
次いで、任意選択的に、マイクロエッチが施された基材及び貫通孔に事前浸漬が適用され得る。事前浸漬液には、有機塩、例えば、酒石酸ナトリウムカリウムもしくはクエン酸ナトリウム、0.5%〜3%の硫酸、または25g/L〜75g/Lの塩化ナトリウムの酸性溶液が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
次いで、触媒が、基材に適用され得る。従来の錫/パラジウムコロイド触媒等の従来の触媒が使用され得る。市販の触媒には、CATAPOSIT(商標)44及びCATAPOSIT(商標)404触媒調合物(Dow Electronic Materialsから入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。適用は、基材を触媒の溶液中に浸すこと、または従来の器具を使用して、噴霧もしくは霧化することによる等の、当技術分野において使用される従来の方法によって行われ得る。触媒滞留時間は、垂直機器に関しては1分〜10分、典型的には2分〜8分、及び水平機器に関しては25秒〜120秒の範囲であり得る。触媒は、室温〜80℃まで、典型的には30℃〜60℃の温度で適用され得る。基材及び貫通孔は、触媒の適用後、任意選択的に水で洗い流され得る。
【0083】
次いで、基材及び貫通孔の壁は、無電解金属組成物を使用して、金属で無電解にメッキされる。メッキ時間及び温度は、従来通りであってもよい。典型的には、金属堆積は、20℃〜80℃、より典型的には30℃〜60℃の温度で行われ得る。基材は、無電解メッキ組成物中に浸され得るか、または無電解組成物が、基材上に噴霧され得る。典型的には、無電解メッキは、5秒〜30分間行われ得るが、メッキ時間は、所望される金属の厚みに応じて変更してもよい。
【0084】
任意選択的に、変色防止剤が、金属に適用され得る。従来の変色防止組成物が使用され得る。変色防止剤の例は、ANTI TARNISH(商標)7130溶液(Dow Electronic Materialsから入手可能)である。基材は、任意選択的に水で洗い流され、次いで、板は乾燥され得る。
【0085】
基材は、銅でメッキされた後、この基材は、更なる処理にかけられてもよい。更なる処理には、光画像化及び基材上への更なる金属堆積、例えば、銅、銅合金、錫、及び錫合金の電解金属堆積等による従来の処理が含まれ得る。
【0086】
1つ以上の三級アミン及びグリオキシル酸、その塩、または混合物の組み合わせは、安定性があり、ホルムアルデヒドを含まない環境に優しい無電解金属メッキ組成物を提供する。三級アミンは、グリオキシル酸及びその塩の分解を阻害し、よって、メッキ組成物の耐用期間を持続させ、メッキ組成物の作業経費を低減するが、これは、グリオキシル酸またはその塩への置換えが、低減されるかまたは排除されるためである。モル比における、1つ以上の三級アミン、その塩、ハロゲン化物、または混合物及びグリオキシル酸、その塩、または混合物の組み合わせは、多くの従来の無電解金属組成物及びメッキプロセスよりも効果的な無電解金属メッキプロセスを提供する。加えて、このメッキ組成物は、実質的に均一な光輝性金属堆積物を基材上に提供し得、無メッキを低減し得る。
【0087】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することではなく、それを更に例証することを意図したものである。
【0088】
実施例1
以下に示されるように、グリオキシル酸低減無電解銅メッキ組成物を調製した。本組成物は、銅イオン、還元剤としてグリオキシル酸、銅錯化剤として酒石酸カリウム、pH調節剤として水酸化カリウム、グリオキシル酸分解の抑制剤、及び安定剤として2,2′−ジピリジルを含んだ。無電解銅組成物は、ホルムアルデヒドを含まなかった。それらの銅堆積物の品質及びグリオキシル酸の安定性に関して、それらを試験した。
【0090】
実施例2
無電解銅堆積の間、表1の調合物1の組成物の温度を40℃に維持し、組成物のpHは、13であった。5分間、基材上に銅を堆積させた。使用した基材は、Shengyi Technology Co.,Ltdから取得した、5cm×5cmの寸法を有する非被覆S1141エポキシ/ガラス積層物、及び2cm×3.5cmの寸法を有する銅被膜S1141エポキシ/ガラス複数積層板(6層)であった。堆積速度を測定するために前者を使用し、貫通孔のバックライト性能を評価するために後者を使用した。次いで、以下のような垂直デスミアラインプロセスにおいて、各板の貫通孔の穿設汚点及び他の不純物を除去した。
1.12.5%のCIRCUPOSIT(商標)MLB CONDITIONER211溶液から構成される溶剤膨潤によって、75℃で5分間、板を処理した。
2.次いで、3分間、各板を冷水で洗い流した。
3.次いで、10%のCIRCUPOSIT(商標)MLB PROMOTER213−A溶液から構成される水性アルカリ性過マンガン酸塩のアルカリ増進剤によって、80℃で10分間、板を処理した。
4.次いで、3分間、各板を冷水で洗い流した。
5.次いで、5%のCIRCUPOSIT(商標)MLB中和剤216−5溶液から構成される水性中和剤によって、40℃で5分間、板を処理した。
6.次いで、3分間、各板を冷水で洗い流した。
7.3%のCIRCUPOSIT(商標)CONDITIONER3323A溶液を含有する水性浴中に、40℃で5分間、各板/積層物の表面を浸した。
8.次いで、4分間、各板/積層物を冷水で洗い流した。
9.次いで、100g/Lの過硫酸ナトリウム及び2容積/容積%の硫酸の水性酸性溶液によって、室温で1分間、各板の貫通孔にマイクロエッチを施した。
10.次いで、3分間、各板を冷水で洗い流した。
11.次いで、室温で1分間、事前浸漬を各板/積層物に適用した。事前浸漬は、Rohm and Haas Electronic Materialsから取得したCATAPREP(商標)404溶液であった。
12.次いで、無電解銅金属化のために、触媒浴によって40℃で5分間、板/積層物を下塗りした。触媒浴は、Rohm and Haas Electronic Materialsから取得した2%CATAPOSIT(商標)44溶液を含有した。
13.次いで、2分間、板/積層物を冷水で洗い流した。
14.次いで、2.5%ACCELERATOR(商標)19E溶液によって、室温で2分間、板/積層物を活性化させた。
15.次いで、2分間、板/積層物を冷水で洗い流した。
16.次いで、無電解銅堆積のために、調合物1の無電解銅メッキ組成物中に各板/積層物を浸した。40℃で5分間、pH13で銅堆積を行った。
17.次いで、2分間、各銅メッキされた板/積層物を冷水で洗い流した。
18.次いで、1分間、各銅メッキされた板/積層物を脱イオン水で洗い流した。
19.ブロー乾燥後、各積層物を銅堆積物の品質について観察し、次いで、湿式滴定方法によって堆積速度を測定した。
20.次いで、各板を側方に分割して、銅メッキされた貫通孔の壁を露出させた。1mm厚の複数の側方切片を各板の分割された貫通孔の壁から取り出して、従来の欧州バックライト等級スケール0〜5を使用して、板に対する貫通孔の壁の被膜を決定したが、ここで0は最悪の結果を、5は最良の結果を意味する。0〜5の結果を示す参照試料が図に示される。光源を備える50X倍率の従来の光学顕微鏡の下にかかる側方切片を配置した。光を試料の後方に適用した。光が観察されない場合、試料は完全に銅メッキされており、図の5.0と印された参照試料に示されるように顕微鏡下の画像が黒くなった。光が観察される場合、側方切片を0.0〜4.5と印された参照試料と比較した。試料を通過する光が多いほど、バックライト評価は低く、メッキ品質はより乏しい。S1141銅メッキされた板は、商業バックライト値として許容値である4.0の平均バックライト値を有した。
【0091】
還元剤の安定性を評価するために、湿式滴定方法によってグリオキシル酸濃度を決定した。上述された浴溶液を空気撹拌しながら40℃で空転した。次いで、6時間後にグリオキシル酸濃度を測定し、浴中の残りのグリオキシル酸の割合を計算した。以下の方法を使用して、グリオキシル酸濃度を計算した。
a)5mLの試験溶液を250mlのビーカーに分注し、およそ50mLのRO水を添加した。
b)従来のpH計を使用して、標準化された0.1N HClでpH=10.0になるまで滴定し、15mLの0.1M亜硫酸ナトリウムまたは1〜2gの亜硫酸ナトリウム固体に添加した。
c)3〜5分掻き混ぜて、グリオキシル酸と亜硫酸ナトリウムとの完全な反応を確実にした。
d)発生した水酸化ナトリウムを0.1N HCLでpH=10.0になるまで滴定し、送達したmL量を記録した。この滴定はグリオキシル酸濃度を表した。
CHOCOOH(g/L)=HClのmL×0.1×74/試料サイズ(5mL)
【0092】
6時間の空転後、依然として54%のグリオキシル酸が残っており、酸化銅は観察されなかった。つまり、無電解銅組成物は、安定していた。
21.調合物1の浴組成物から取得された銅堆積物は、サーモンピンクであった。少量の無メッキが観察された。堆積速度測定は、0.19μm/5分であった。以下の湿式滴定手順によって、メッキされた銅の量を決定した:まず、積層物上の銅堆積を完全に溶解し、次いで、pH=10の塩化アンモニウムを含有する緩衝剤溶液をその溶液に添加して、その後、0.05M EDTA標準溶液で滴定した。このようにして、銅堆積の総質量を計算した。
【0093】
実施例3
実施例1と同じ方法で表1の調合物2〜4を処理した。無電解銅堆積の間、本組成物を温度40℃及びpH13に維持した。5分間、基材上に銅を堆積させた。
【0094】
調合物2において、グリオキシル酸分解の抑制剤としてニトリロトリ酢酸を用いたとき、銅堆積物がサーモンピンクで滑らかであり、観察可能な無メッキがないことが発見された。達成された最高堆積速度は、0.21μm/5分であった。S1141銅メッキされた板は、4.25の平均バックライト値を有した。6時間の空転後、依然として41%のグリオキシル酸が残っており、酸化銅は観察されなかった。つまり、無電解銅組成物は、安定していた。
【0095】
調合物3において、グリオキシル酸分解の抑制剤としてトリイソプロパノールアミンを使用したとき、銅堆積物が赤色で滑らかになったことが発見された。無メッキは、観察されなかった。堆積速度は、0.33μm/5分であった。S1141銅メッキされた板は、4.25の平均バックライト値を有した。6時間の空転後、依然として56%のグリオキシル酸が残っていた。酸化銅は、観察されなかった。つまり、無電解銅組成物は、安定していた。
【0096】
調合物4において、グリオキシル酸分解を抑制するために、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを使用した。結果は、銅堆積物が赤色で滑らかであり、無メッキがなかったことを示した。堆積速度は、0.32μm/5分であった。S1141銅メッキされた板は、3.5の平均バックライト値を有した。6時間の空転後、依然として65%のグリオキシル酸が残っており、酸化銅は観察されなかった。つまり、無電解銅組成物は、安定していた。
【0097】
調合物2〜4に関して試験されたパラメータにはいくらか多様性があったが、それら全ては、多くの有益な特質を示した。調合物の全ては、酸化銅を含まない外観を呈し、銅堆積物は、滑らかであり、無メッキは観察されなかった。調合物2を除き、メッキ速度は、無電解メッキのために所望される上限にあるが、調合物2は、光沢があるサーモンピンクの堆積物を有した。調合物2及び3は、良好なバックライト性能を示し、許容可能な商業的範囲であった。6時間の空転時間後、調合物3及び4の両方は、添加された元のグリオキシル酸の50%超を保持した。
【0098】
実施例4(比較)
以下の無電解銅メッキ溶液を調製した。
【0100】
表2の調合物5及び6は、銅のための還元剤としてのホルムアルデヒド及びグリオキシル酸の空白制御であった。浴溶液中に還元剤分解抑制剤を添加しなかった。空気撹拌による空転試験の間、溶液を温度40℃及びpH13に維持した。6時間後、ホルムアルデヒドの約69%が残り、酸化銅は観察されなかった。このことは、無電解銅組成物が安定し、カニッツァーロ反応によるホルムアルデヒドの分解は、重大な問題でないことを提示する。
【0101】
対照的に、6時間の空転後、グリオキシルのみを含む調合物6には、わずか20%のグリオキシル酸しか残っていなかった。グリオキシル酸の分解速度は、実用的生成の観点からは、グリオキシル酸がホルムアルデヒドの代用品として好適ではないように、非常に高速であった。グリオキシル酸の高速な分解は、無電解メッキの突然の終了をもたらす可能性があり、還元剤を補充する高い経費がかかる可能性がある。これは、還元剤としてグリオキシル酸を無電解銅メッキ溶液中に適用する上での主要な障壁の1つである。
【0102】
実施例5(比較)
以下の表3に示されるように、3つの無電解銅メッキ溶液を調製した。
【0104】
調合物7及び8はそれぞれ、2つの従来のカニッツァーロ反応抑制剤である錫酸カリウム及びヘキサメチレンジアミンを含んだ。それらのモル濃度は、0.02M前後であった。空気撹拌による空転試験の間、溶液を温度40℃及びpH13に維持した。6時間の空転後、わずか約20%のグリオキシル酸だけが各溶液中に残った。これは、カニッツァーロ反応抑制剤が添加されなかった調合物6の無電解銅メッキ溶液と実質的に同一である。従来のカニッツァーロ反応抑制剤である錫酸カリウム及びヘキサメチレンジアミンは、グリオキシル酸分解を効果的に抑えなかった。
【0105】
調合物9において、別の従来のカニッツァーロ反応抑制剤であるコハク酸を試験した。空気撹拌による空転試験の間、本組成物のpHを13に維持しながら、温度を40℃に維持した。6時間後、わずか20%前後のグリオキシル酸だけが残った。調合物7及び8と同様に、コハク酸は、カニッツァーロ反応を効果的に抑えなかった。
【0106】
実施例6(比較)
以下の表4で示されるように、2つの無電解銅メッキ調合物を調製した。
【0108】
調合物10及び11はそれぞれ、グリオキシル酸分解の抑制剤としてトリエチルアミン及びN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンを含んだ。どちらも、三級アミンであるが、アルキル基のどれもが、カルボン酸、カルボン酸塩、ヒドロキシル、またはホスホン酸等の官能基によって置換されなかった。空気撹拌による空転試験の間、本組成物のpHを13に維持しながら、温度を40℃に維持した。6時間の空転時間の後、わずか21%前後のグリオキシル酸だけが残った。これは、20%残っていた実施例4における調合物6の対照溶液と実質的に同一であった。2つの非置換の三級アミンは、許容可能なグリオキシル酸分解抑制を示さなかった。
【0109】
実施例7
以下表5に示されるように、複数の無電解銅メッキ溶液を調製した。グリオキシル酸分解抑制剤は、トリイソプロパノールアミンであった。11個の調合物において、成分の残りを同濃度に保ちながら、トリイソプロパノールアミンとグリオキシル酸とのモル比を変化させた。
【0111】
実施例8
実施例7の無電解銅メッキ溶液を、それらのメッキ性能及び安定性に関して試験した。使用された基材は、上記実施例2と同一の種類であった。実施例2に記載されるように基材を処理し、無電解メッキした。無電解銅堆積の間、メッキ溶液のpHを13に維持しながら、温度を40℃に維持した。5分間、基材上に銅を堆積させた。結果は、表9に示される。
【0113】
TIPA:GAのモル比を0:1〜10:1で変化させたとき、全てのメッキ溶液は、透明でわずかに紫色を帯びた暗青色であった。堆積物は、観察可能な無メッキを一切含まないサーモンピンクであった。TIPA:GAのモル比を15:1以上に増加させたとき、堆積物の外観は、暗くなった。このことは、堆積物の形態がより粗くなったことを示した。モル比が、30:1に到達したとき、基材の完全な被膜は達成されたが、堆積物は暗赤色で、溶液には粘性があり、混濁していた。さらに悪いことに、メッキ後、メッキ溶液が部分的に沈着し始めた。堆積速度は、トリイソプロパノールアミン濃度の増加と共に徐々に増加したが、モル比が10:1を超えると、堆積速度は、濃度の増加と共に低下した。
【0114】
実施例9
以下の表10に示されるように、複数の無電解銅メッキ溶液を調製した。グリオキシル酸分解抑制剤は、トリイソプロパノールアミンであった。9個の調合物において、成分の残りを同濃度に保ちながら、トリイソプロパノールアミンとグリオキシル酸とのモル比を変化させた。
【0116】
実施例10
メッキ溶液を空気攪拌しながら、pH13及び温度40℃を維持した。6時間の空転後、残りのグリオキシル酸を測定した。結果は、表11に示される。
【0118】
0.05:1程低いTIPA:GAのモル比を有するメッキ溶液は、グリオキシル酸の分解において抑制効果を示し始めた。抑制剤の濃度を増加させることによって、残りのグリオキシル酸は、メッキ溶液中にトリイソプロパノールアミンが含まれていなかった場合の19%から、TIPA:GAの比が1.6:1であった場合の61%まで徐々に増加した。1.6:1のモル比を超えると、トリイソプロパノールアミンの抑制能力は、調合物13−8及び13−9において取得された結果によって示されるように安定する傾向にある。