特許第6138906号(P6138906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138906
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】人工椎間板
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-500589(P2015-500589)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-513928(P2015-513928A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】US2013031152
(87)【国際公開番号】WO2013138547
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2015年10月7日
(31)【優先権主張番号】13/421,121
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ハンセル,ノア
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0195206(US,A1)
【文献】 特表2007−529277(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0117021(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0039448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28 − 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
患者体内に埋め込まれるように構成された基部リングであって、椎骨に対する接触表面を提供する、基部リングと、
非平坦な底表面を有する複数の下部レベリングプレートであって、前記複数の下部レベリングプレート各々の前記非平坦な底表面は前記基部リングの内表面と係合し、前記複数の下部レベリングプレート各々は前記基部リングから前記下部レベリングプレートのボアを通って延びる部材により前記基部リング内で所定位置に保持されている、複数の下部レベリングプレートと、
底表面を有する複数の上部レベリングプレートであって、前記複数の上部レベリングプレート各々の前記底表面は前記複数の下部レベリングプレートの上表面と係合し、前記複数の上部レベリングプレート各々は前記上部レベリングプレートと前記基部リングの係合ボアを通って延びる部材により前記基部リング内で所定位置に保持されている、複数の上部レベリングプレートと、
上表面と底表面を有する複数のパッドであって、前記複数のパッドの前記上表面は平行面を維持するように構成され、前記複数のパッド各々の底表面は前記上部レベリングプレートの前記上表面と係合する、複数のパッドと、
前記複数の下部レベリングプレート、前記複数の上部レベリングプレート、および前記複数のパッドを蔽い、前記複数のパッドの前記上表面と接触するカバーであって、椎骨に対する接触表面を提供する、カバーと、
前記複数の下部レベリングプレート、前記複数の上部レベリングプレートおよび前記複数のパッドの中心を通って配置される圧縮部材であって、前記カバーと係合する上表面を有する、圧縮部材とを含む、医療デバイス。
【請求項2】
前記基部リングがディスク形状を画定し、前記基部リングが内壁と外壁との間に空隙を画定し、前記内壁と前記外壁との間の前記空隙は前記複数の下部レベリングプレートと前記複数の上部レベリングプレートを受けるように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記基部リングの前記内壁が、前記圧縮部材を受ける部分を画定する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記基部リングの前記外壁の上部が、前記複数のパッドを受ける複数の部分を画定する、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記複数の下部レベリングプレートと前記複数の上部レベリングプレートが、前記基部リングの前記椎骨との前記接触表面と、前記カバーの前記椎骨との前記接触表面とにかかる力を均等化して分散させるように構成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記複数のパッドが、前記複数の下部レベリングプレートと前記複数の上部レベリングプレートにより前記平行面を維持する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記下部レベリングプレートの前記非平坦な底表面が、第2平坦部分へとカーブする傾斜した丸みのある部分へとカーブする第1平坦部分により画定される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記複数の下部レベリングプレート各々がその中心について対称的である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記複数の下部レベリングプレート各々の前記ボアが、下部レベリングプレートの中心を通って前記上表面から前記底表面まで延びる、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記複数のパッド各々の前記上表面が平坦であり、前記複数のパッド各々の前記底表面がプラットフォームを画定し、前記プラットフォームは上表面に直立球状部材を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記カバーが周壁を画定し、前記周壁は上部にリップを有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記圧縮部材が、前記基部リングの内壁に画定される直径内に収容される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記圧縮部材が生体適合性の可撓性材料を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項14】
医療デバイスであって、
患者体内に埋め込まれるように構成された基部リングであって、椎骨に対する接触表面を提供する、基部リングと、
前記基部リングの前記接触表面にかかる力を均等化するように構成された複数層を形成する複数のレベリングプレートであって、各層が複数のレベリングプレートによって形成されており、前記複数層のうちの少なくとも1つを形成する複数のレベリングプレートが前記基部リングの内表面と係合する、数のレベリングプレートと、
各々のパッドが上表面と底表面を有する一層を形成する複数のパッドであって、前記パッドの前記上表面は平行面を維持するように構成され、前記複数のパッド各々の前記底表面は前複数層のうちの1つを形成する前記複数のレベリングプレートの上表面と係合する、一層を形成する複数のパッドと、
前記複数層を形成する前記複数のレベリングプレート、および前記一層を形成する複数のパッドを蔽い、前記複数のパッドの前記上表面と接触するカバーであって、椎骨に対する接触表面を提供する、カバーとを含む、医療デバイス。
【請求項15】
前記複数のレベリングプレートによって形成された前記複数層と前記複数のパッドによって形成された前記一層の中心を通って配置される圧縮部材をさらに含み、前記圧縮部材は前記基部リングの内壁により画定される直径内に収容され、前記圧縮部材は前記カバーと係合する上表面を有する、請求項14に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本明細書は医療デバイスに関し、より詳細には脊椎の一部分に連結されるように構成された人工(またはプロテーゼ)椎間板に関する。
【0002】
〔背景技術〕
患者の身体の一部分または複数部分を支えるために、患者体内に様々な医療デバイスや医療デバイスシステムを埋め込むことができる。たとえば、一部の医療デバイスは、患者の背骨または脊椎の一部分に埋め込んで連結することができ、患者の脊髄骨構造を支えるように構成することができる。
【0003】
患者の椎骨が傷つくと(たとえば損傷または疾患)、傷ついた椎骨を置き換えるかつ/または修復する手術が必要になる場合がある。
【0004】
〔発明の概要〕
1つの一般的な態様によると、医療デバイスは、患者体内に埋め込まれるように構成された基部リングを含む。基部リングは椎骨に対する接触表面を提供する。医療デバイスは、非平坦な底表面を有する複数の下部レベリングプレートを含む。複数の下部レベリングプレート各々の非平坦な底表面は基部リングの内表面と係合し、複数の下部レベリングプレート各々は基部リングから下部レベリングプレートのボアを通って延びる部材により基部リング内で所定位置に保持されている。複数の上部レベリングプレートは底表面を有する。複数の上部レベリングプレート各々の底表面は複数の下部レベリングプレートの上表面と係合し、複数の上部レベリングプレート各々は上部レベリングプレートと基部リングの係合ボアを通って延びる部材により基部リング内で所定位置に保持されている。複数のパッドが上表面と底表面を有する。複数のパッドの上表面は平行面を維持するように配置され構成され、複数のパッド各々の底表面は上部レベリングプレートの上表面と係合する。カバーが、複数の下部レベリングプレート、複数の上部レベリングプレート、複数のパッドおよび基部リングを囲むように構成されている。カバーは椎骨に対する接触表面を提供する。圧縮部材が、複数の下部レベリングプレート、複数の上部レベリングプレートおよび複数のパッドの中心を通って配置され、圧縮部材はカバーと係合する上表面を有する。
【0005】
実施は、次の特徴のうち1つまたは複数を含み得る。たとえば、基部リングはディスク形状を画定し得、基部リングは内壁と外壁の間に空隙を画定し得る。内壁と外壁の間の空隙は、複数の下部レベリングプレートと複数の上部レベリングプレートを受けるように構成される。基部リングの内壁は、圧縮部材を受ける部分を画定する。基部リングの外壁の上部が、複数のパッドを受ける複数の部分を画定する。
【0006】
複数の下部レベリングプレートと複数の上部レベリングプレートは、基部リングの椎骨との接触表面と、カバーの椎骨との接触表面とにかかる力を均等化して分散させるように構成される。複数のパッドは、複数の下部レベリングプレートと複数の上部レベリングプレートにより平行面を維持する。下部レベリングプレートの非平坦な底表面は、第2平坦部分へとカーブする傾斜した丸みのある部分へとカーブする第1平坦部分により画定される。複数の下部レベリングプレート各々はその中心について対称的であり得る。複数の下部レベリングプレート各々のボアは、下部レベリングプレートの中心を通って上表面から底表面まで延び得る。複数のパッド各々の上表面は平坦であり得、複数のパッド各々の底表面は、プラットフォームを画定し得、該プラットフォームは上表面に直立球状部材を有する。カバーは周壁を画定し得、該周壁は上部にリップを有する。圧縮部材は、基部リングの内壁に画定される直径内に収容される。圧縮部材は生体適合性の可撓性材料であり得る。
【0007】
別の一般的な態様では、医療デバイスは、患者体内に埋め込まれるように構成された基部リングを含む。基部リングは椎骨に対する接触表面を提供する。複数層の複数のレベリングプレートが、基部リングの接触表面にかかる力を均等化するように構成され、レベリングプレートの層のうちの少なくとも1つが基部リングの内表面と係合する。一層の複数のパッドが含まれ、パッドの上表面は平行面を維持するように構成され、複数のパッド各々の底表面はレベリングプレートの層のうちの1つの上表面と係合するように構成されている。カバーが、複数層のレベリングプレート、一層の複数のパッドおよび基部リングを囲むように構成されている。カバーは椎骨に対する接触表面を提供する。
【0008】
実施は、次の特徴のうち1つまたは複数を含み得る。たとえば、医療デバイスは、複数層の複数のレベリングプレートと複数のパッドの中心を通って配置される圧縮部材を含み得る。圧縮部材は基部リングの内壁に画定される直径内に収容され得、圧縮部材はカバーと係合する上表面を有し得る。
【0009】
複数層の複数のレベリングプレートは、基部リング内部に周方向に配置される非平坦な底表面を有する一層の複数の下部レベリングプレートを含み得る。複数のレベリングプレート各々の非平坦な底表面は、基部リングの内表面と係合し得る。複数層は、基部リング内部に周方向に配置される底表面を有する一層の複数の上部レベリングプレートを含み得る。複数の上部レベリングプレート各々の底表面は、複数の下部レベリングプレートの上表面と係合する。複数のパッドは、複数の下部レベリングプレートと複数の上部レベリングプレートにより平行面を維持し得る。複数のパッド各々の上表面は平坦であり得、複数のパッド各々の底表面はプラットフォームを画定し得、該プラットフォームは上表面に直立球状部材を有する。
【0010】
別の一般的な態様では、方法が、プロテーゼ椎間板を患者体内の解剖学的構造の一部分に挿入することを含む。プロテーゼ椎間板は、基部リング、基部リングの接触表面にかかる力を均等化するように構成された複数層の複数のレベリングプレートおよびパッド各々が上表面と底表面を有する一層の複数のパッドを含む。パッドの上表面は、平行面を維持するように構成され、複数のパッド各々の底表面は複数層のレベリングプレートのうちの1つの上表面と係合する。カバーが、複数層のレベリングプレート、一層の複数のパッドおよび基部リングを囲むように構成されている。方法は、基部リングの外表面を椎骨と接触させることと、カバーの外表面を椎骨と接触させることを含む。
【0011】
実施は、次の特徴のうち1つまたは複数を含み得る。たとえば、プロテーゼ椎間板は、複数層の複数のレベリングプレートと複数のパッドの中心を通って配置される圧縮部材を含み得る。圧縮部材は基部リングの内壁に画定される直径内に収容され得、圧縮部材はカバーと係合する上表面を有し得る。
【0012】
1つまたは複数の実施を添付の図面と以下の説明で詳述する。他の特徴は以下の記載、図面および請求項から自明であろう。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕例示的な実施による医療デバイスの分解図である。
【0014】
図2図1の医療デバイスの基部リングの斜視図である。
【0015】
図3図1の医療デバイスの下部レベリングプレートの底表面を説明する下部レベリングプレートの斜視図である。
【0016】
図4図1の医療デバイスの下部レベリングプレートの上表面を説明する下部レベリングプレートの斜視図である。
【0017】
図5図1の医療デバイスの上部レベリングプレートの上表面を説明する上部レベリングプレートの斜視図である。
【0018】
図6図1の医療デバイスの上部レベリングプレートの底表面を説明する上部レベリングプレートの斜視図である。
【0019】
図7図1の医療デバイスのパッドの上表面を説明するパッドの斜視図である。
【0020】
図8図1の医療デバイスのパッドの底表面を説明するパッドの斜視図である。
【0021】
図9図1の医療デバイスのカバーの底表面を説明するカバーの斜視図である。
【0022】
図10図1の医療デバイスのカバーの上表面を説明するカバーの斜視図である。
【0023】
図11図1の医療デバイスの断面を示す上面図である。
【0024】
図12図11の医療デバイスの切断線A−Aにおける断面図である。
【0025】
図13図11の医療デバイスの切断線B−Bにおける断面図である。
【0026】
図14図1の医療デバイスを含む例示的方法を説明する流れ図である。
【0027】
〔発明を実施するための形態〕
本明細書に記載のデバイスと方法は、広くは、患者体内の解剖学的構造を支え、安定化しかつ/または置き換えるのに用いられ得る医療デバイスに関する。いくつかの実施では、本明細書に記載のデバイスと方法は、患者の脊椎または背中の2個の椎骨間で支持することを含み患者の脊椎または背中を支持するように構成される。他の実施では、患者身体の他の部分が本明細書に記載のデバイスで支持され得る。
【0028】
本明細書に記載の医療デバイス(「装置」または「デバイス」とも呼ばれる)は、患者体内でプロテーゼまたは人工椎間板として使用され得る。「プロテーゼ」および「人工」という用語は本明細書内では交換可能に用いられ同じものを意味し得る。本明細書に記載の医療デバイスは、患者体内に埋め込まれ、患者の脊椎の健常かつ正常な動きを維持するのを補助し得る。
【0029】
図1は例示的実施による医療デバイス100の分解図を説明する。医療デバイス100は、基部リング102、一層の複数の下部レベリングプレート104a〜104fおよび一層の複数の上部レベリングプレート106a〜106fを含む。基部リング102は、患者の脊椎の椎骨に対する接触表面108を提供し得る。たとえば、基部リング102は、患者体内で下位の椎骨の上終板に接触する接触表面108を提供し得る。複数の下部レベリングプレート104a〜104fと複数の上部レベリングプレート106a〜106fは共働して医療デバイス100にかかる力を均等に分散させ得る。こうして下部レベリングプレート104a〜104fと上部レベリングプレート106a〜106fにより力は全表面にわたり均等に分散し得る。
【0030】
下部レベリングプレート104a〜104fは、基部リング102の内表面に係合する非平坦または非平面底表面110を含む。下部レベリングプレート104a〜104fはそれぞれ対応する支持部材112a〜112fにより基部リング102により所定位置に保持され得る。一例示的実施では、支持部材(部材)112a〜112fはダウエルピンであり得る。部材112a〜112fは、基部リング102の内表面の開口部またはボア内に受けられて各下部レベリングプレート104a〜104fのボアを通って基部リング102から垂直方向に延び得る。上部レベリングプレート106a〜106fの底表面116により下部レベリングプレート104a〜104fの上表面114に力がかかると、下部レベリングプレート104a〜104fは各下部レベリングプレート104a〜104fの非平坦な底表面110のせいで揺動し得る。
【0031】
上部レベリングプレート106a〜106fは、層化されて下部レベリングプレート104a〜104fの上表面114と接触し得る。各上部レベリングプレート106a〜106fは、基部リング102内で、上部レベリングプレート106a〜106fのボアを通って水平方向に延び基部リング102のボアと係合する対応する支持部材118a〜118fにより所定位置に保持され得る。一例示的実施では、対応する支持部材118a〜118fはダウエルピンであり得る。ダウエルピンは、上部レベリングプレート106a〜106fのダウエルピンを中心とする枢動を含む上部レベリングプレート106a〜106fの動きを可能にする。
【0032】
この例示的実施では、医療デバイス100は6枚の下部レベリングプレート104a〜104fと6枚の上部レベリングプレート106a〜106fを含む。一例示的実施では、下部レベリングプレート104a〜104fは、(図2に説明され、以下に詳述するように)基部リング102のボアの間隔と配置に基づき上部レベリングプレート106a〜106fからずれている。他の例示的実施では、基部リング102のボアは、各上部レベリングプレート106a〜106fが下部レベリングプレート104a〜104fのうちの1つの真上で揃うように、他の位置に配置され得る。
【0033】
他の例示的実施では、下部レベリングプレート104a〜104fの数と上部レベリングプレート106a〜106fの数は、基部リング102のサイズおよび/またはレベリングプレート自体のサイズにより変わり得る。各下部レベリングプレート104a〜104fのサイズはこの例では均一すなわち同一として説明されているが、他の例示的実施は互いに異なる不均一なサイズの異なる下部レベリングプレート104a〜104fを含み得る。同様に、各上部レベリングプレート106a〜106fのサイズはこの例では均一すなわち同一として説明されているが、他の例示的実施は互いに異なる不均一なサイズの異なる上部レベリングプレート106a〜106fを含み得る。
【0034】
他の例示的実施では、下部レベリングプレート104a〜104fと上部レベリングプレート106a〜106fの数は一対一の関係でなくてもよい。たとえば、一例示的実施では、上部レベリングプレート106a〜106fよりも下部レベリングプレート104a〜104fのほうが沢山あり得る。あるいは、別の例示的実施では、下部レベリングプレート106a〜106fよりも上部レベリングプレート104a〜104fのほうが沢山あり得る。下部レベリングプレート104a〜104fと上部レベリングプレート106a〜106fの数のバリエーションは、少なくとも部分的には、レベリングプレートのサイズおよび/または基部リング102のサイズによる。
【0035】
医療デバイス100は、一層の複数のパッド120a〜120fを含む。パッド120a〜120fは、基部リング102の周方向に配置され得る。基部リング102は、複数のパッド120a〜120fを受ける複数の部分124a〜124fを画定し得る。各パッド120a〜120fは、概ね平坦な上表面122と直立球状部材126を有するプラットフォーム部分124を含む底表面とを含み得る。パッド120a〜120fの上表面122は平行面を維持するように構成され得る。プラットフォーム部分124と直立球状部材126を有する底表面は、各上部レベリングプレート106a〜106fの上表面と係合し得る。
【0036】
全パッド120a〜120fの上表面122は、上部レベリングプレート106a〜106fと下部レベリングプレート104a〜104fの平衡化の動きにより、上表面全体で平行面を維持し得る。この例示的実施は6枚のパッド120a〜120fを説明しているが、他の例示的実施は、たとえばパッドのサイズおよび/または基部リング102のサイズを含む医療デバイス100のサイズにより、異なる数のパッドを用い得る。
【0037】
医療デバイス100は、下部レベリングプレート104a〜104f、上部レベリングプレート106a〜106f、パッド120a〜120fおよび基部リング120を取り囲むように構成されるカバー130を含む。カバー130と基部リング102はともに組立体を保持するように構成され得る。カバー130は、椎骨と接触するように構成された接触表面132を含む。基部リング102の接触表面108とカバー130の接触表面132は、表面上にたとえば溶射されたプラズマ層を含み得る。
【0038】
医療デバイス100は、下部レベリングプレート104a〜104f、上部レベリングプレート106a〜106fおよびパッド120a〜120fの中心を貫いて配置される筒形部材である圧縮部材134を含む。圧縮部材134はクッションとも呼ばれ得る。圧縮部材134は、可撓性で軟質の、医療デバイス100に力がかかったとき衝撃減衰効果を提供する材料で作られるかまたはそれを含む衝撃減衰用の構成要素であり得る。
【0039】
たとえば、圧縮部材134は、軟質ポリカーボネートウレタン(PCU)、ゴム、シリコーンまたは任意他の生体適合性のある可撓性軟質材料であり得る。基部リング102は、圧縮部材134を受ける部分を画定し得、圧縮部材134は基部リング102が画定した部分内に拘束され得る。
【0040】
一例示的実施では、圧縮部材134は、組立体の他の部分よりもわずかに長い場合がある。脊椎の脊椎骨間に力がかかり基部リング102とカバー130が圧縮されると、軟質圧縮部材134は半径方向に拡張しようとする。圧縮部材134は基部リング102が画定する固定された半径方向部分内に収容されているので、圧縮部材134はより剛性になって衝撃力を良好に吸収する。
【0041】
図2を参照すると、図1の基部リング102の斜視図が説明されている。基部リング102は、球状またはディスク形状を画定し得る。基部リング102は、内壁240と外壁242を画定し得る。内壁は、圧縮部材134が貫通する開口部を画定し得る。開口部の直径は圧縮部材134を束縛し得る。
【0042】
内壁240と外壁242は、下部レベリングプレート104a〜104fと下部レベリングプレート104a〜104fの上の上部レベリングプレート106a〜106fを受けるように構成された内表面244を含む部分を画定し得る。内表面244は下部レベリングプレート104a〜104fの非平坦な底表面110と係合し得る。内表面244は、下部レベリングプレート104a〜104fを基部リング102内で所定位置に保持する部材112a〜112fを受けるように構成される複数のボア246を含み得る。
【0043】
内壁240は複数のボア248を含み得、外壁242は複数の対応するボア250を含み得、部材118a〜118fは該ボアを貫通して延出し上部レベリングプレート106a〜106fを基部リング102内で所定位置に保持する。
【0044】
外壁242の上部は、パッド120a〜120fを受けるように構成された複数の部分124a〜124fまたは上壁242の切取り部を含み得る。部分124a〜124fは、パッド120a〜120fの側部が当接して連続的な上表面を全パッド120a〜120fにわたり形成するようにパッド120a〜120fを受ける寸法にされ得る。
【0045】
図3図4も参照すると、斜視図が下部レベリングプレート104aの底表面110を説明し(図3)、斜視図が下部レベリングプレート104aの上表面114を説明している(図4)。下部レベリングプレートは、貫通するボア360を含む。ボア360は下部レベリングプレート104aの中心を通り上表面114から底表面110まで延び得る。ボア360は、下部レベリングプレート104aを基部リング102内で所定位置に保持する部材112aを受ける寸法にされる。下部レベリングプレート104aはその中心について対称的であり、ボア360がプレートの中心を画定し得る。
【0046】
上述したように、下部レベリングプレート104aの底表面110は非平坦または非平面の表面である。底表面110は、基部リング102の内表面244と係合して下部レベリングプレート104aの上表面114にかかる力により内表面244上で揺動し得る。底表面110は、勾配部分364へとカーブしてから第2平坦部分366へとカーブする第1の概ね平坦な部分362を含み得る。勾配部分364は、それがなければ概ね平坦な底表面110上に隆起を形成し得る。隆起は、上部レベリングプレート106a〜106fのうちの1つまたは複数が作用したとき下部レベリングプレート104aを揺動させる。
【0047】
下部レベリングプレート104aの上表面114は上部全体で概ね平坦である。上表面114の縁部は丸くされ得、概ね平坦な部分はわずかに下方に丸くされ得る。上表面114は上部レベリングプレート106a〜106fのうちの1つまたは複数の底表面116と係合し得る。
【0048】
図5図6も参照すると、斜視図が上部レベリングプレート106aの上表面128を説明し(図5)、斜視図が上部レベリングプレート106aの底表面116を説明している(図6)。上部レベリングプレート106aはその中心を貫通する水平ボア560を含む。ボア560は、上部レベリングプレート106aを基部リング102内で所定位置に保持する部材118aを受けるように構成される。上部レベリングプレート106aが基部リング102内に配置されるとき、ボア560は基部リング102の対応するボア248と250と揃い、部材118aがボア248、250および560を通って受けられて上部レベリングプレート106aを所定位置に保持する。上部レベリングプレート106aは、パッド120a〜120fのうちの1つまたは複数から力がかかると、部材118a上で中心を軸に枢動し得、その結果として1つまたは複数の下部レベリングプレート104a〜104fに力をかけ得る。
【0049】
底表面116は、1つまたは複数の下部レベリングプレート104a〜104fの上表面114と係合するように構成される。底表面116は、丸くされた縁を有し、概ね平坦または平面である。上表面128は概ね平坦であり、パッド120a〜120fのうちの1つまたは複数の底表面と係合するように構成される。図3図6から明らかなように、下部レベリングプレート104aと上部レベリングプレート106aは基部リング102の周方向に嵌るような形状と輪郭である。
【0050】
図7図8も参照すると、斜視図がパッド120aの上表面122を説明し(図7)、斜視図がパッド120aの底表面を説明している(図8)。パッド120aは、基部リング102の周方向に嵌るような形状と輪郭である。上述したように、パッド120aは、外壁242の切取り部により画定される部分124aで基部リングと係合するように構成される。
【0051】
パッド120aの上表面122は概ね平坦または平面である。パッド120aは、全パッドの上表面122が下部レベリングプレート104a〜104fと上部レベリングプレート106a〜106fの動作により平行面を維持する平坦または平面の表面を形成し得るように他のパッドに当接するような輪郭と形状である。
【0052】
パッド120aの底表面は、プラットフォーム部分124と、プラットフォーム部分124の中心の直立球状部材126とを含む。プラットフォーム部分124は、パッド120aの全体面積の少なくとも一部分を覆うが、上表面122の下の全体面積は覆わない。この実施では球状部材126がこの形状で説明されているが、他の例示的実施では他の直立形状が使用され得る。
【0053】
球状部材126は、上部レベリングプレート106aの上表面128と係合して上表面128に力をかけ得る。上部レベリングプレート106aは、他の上部レベリングプレートと下部レベリングプレート104a〜104fと共働して、パッド120aと他のパッドをともに平行面に維持する働きがある。
【0054】
図9図10も参照すると、斜視図がカバー130の底表面を説明し(図9)、斜視図がカバー130の上表面132を説明している(図10)。カバー130は、ディスク形または球形であり得、医療デバイス100の他の構成要素を囲むように構成され得る。カバー130は基部リング102と共働して組立体をひとつにまとめる。
【0055】
上述したように、上表面132は患者体内で椎骨の接触表面として機能し得る。カバー130の底表面972は、圧縮部材134の上部と接触する接触表面を提供する。カバー130は、壁974上部にリップ976を有する周壁974を画定する。リップ976は、医療デバイス100の他の構成要素と一緒に組み立てるとリップ976が組み立てたデバイスを一体に保持するかまたは少なくとも補助できるように、カバー130の中心に向かってわずかに曲がるかまたはカーブし得る。
【0056】
図11から図13も参照すると、組み立てられた医療デバイス100の異なる図が断面で説明されている。図11は医療デバイス100の上面図を説明する。図12図11の図の切断線A−Aにおける断面図を説明する。図13図11の図の切断線B−Bにおける断面図を説明する。
【0057】
図12図13は組み立てた医療デバイス100を説明する。医療デバイス100の断面は、基部リング102、下部レベリングプレート104a、上部レベリングプレート106a、上部レベリングプレート106aに力を供給する直立球状部材126を有するパッド120a、カバー130および圧縮部材134を説明する。図12は、上部レベリングプレート106aを通って延び上部レベリングプレート106aの基部リング102内での位置を維持する部材118aを説明する。図13は、下部レベリングプレート104aを通って延び下部レベリングプレート104aの基部リング102内での位置を維持する部材112aを説明する。
【0058】
カバー130のリップ976は基部リング102を超えて延びて重なり、組立体を一体に保持する。カバー130と基部リング102は患者体内で椎骨に対する接触表面を提供する。
【0059】
図14は医療デバイス100の使用を含む例示的プロセス1400を説明する流れ図である。プロセス1400は、プロテーゼ椎間板を患者体内の解剖学的構造の一部分に挿入することを含む(1410)。プロテーゼ椎間板は、たとえば図1の医療デバイス100であり得る。
【0060】
プロテーゼ椎間板は、基部リング(たとえば基部リング102)、基部リングの接触表面にかかる力を均等化するように構成された複数層の複数のレベリングプレート(たとえば下部レベリングプレート104a〜104fと上部レベリングプレート106a〜106f)およびパッド各々が上表面と底表面を有する一層の複数のパッド(たとえばパッド120a〜120f)を含み得る。パッドの上表面は、平行面を維持するように構成され得、複数のパッド各々の底表面は複数層のレベリングプレートのうちの1つの上表面と係合するように構成され得る。プロテーゼデバイスは、複数層のレベリングプレート、一層の複数のパッドおよび基部リングを囲むように構成されたカバー(たとえば図1のカバー130)を含み得る。
【0061】
プロセス1400は、基部リングの外表面を椎骨と接触させること(1420)と、カバーの外表面を椎骨と接触させること(1430)を含む。たとえば、基部リング102の接触表面108が椎骨と接触し得(1420)、カバー130の上表面132が椎骨と接触し得る(1430)。
【0062】
本明細書に記載の医療デバイス100の様々な構成要素は、そのような医療デバイスに使用される任意の生体適合性材料で形成され得る。たとえば、様々な構成要素はそれぞれ、1つまたは複数の生体適合性プラスチックおよび/または1つまたは複数の生体適合性金属、たとえばチタンやステンレス鋼で形成され得る。
【0063】
記載した実施の特定の特徴を本明細書に記載のように説明してきたが、当業者であれば多くの変形、置き換え、変更および等価物を想到しよう。したがって、添付の請求項は、実施形態の範囲内でのそのような変形や変更をすべて包括するものとする。実施は限定ではなく単なる例として示したものであり、形態や詳細において様々な変更がなされ得ることを理解されたい。本明細書に記載の装置および/または方法のいかなる部分も、相互に排他的な組合せを除きどのように組み合わせてもよい。本明細書に記載の実施形態は、記載した異なる実施形態の機能、構成要素および/または特徴の様々な組合せおよび/または下位の組合せを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】例示的な実施による医療デバイスの分解図である。
図2図1の医療デバイスの基部リングの斜視図である。
図3図1の医療デバイスの下部レベリングプレートの底表面を説明する下部レベリングプレートの斜視図である。
図4図1の医療デバイスの下部レベリングプレートの上表面を説明する下部レベリングプレートの斜視図である。
図5図1の医療デバイスの上部レベリングプレートの上表面を説明する上部レベリングプレートの斜視図である。
図6図1の医療デバイスの上部レベリングプレートの底表面を説明する上部レベリングプレートの斜視図である。
図7図1の医療デバイスのパッドの上表面を説明するパッドの斜視図である。
図8図1の医療デバイスのパッドの底表面を説明するパッドの斜視図である。
図9図1の医療デバイスのカバーの底表面を説明するカバーの斜視図である。
図10図1の医療デバイスのカバーの上表面を説明するカバーの斜視図である。
図11図1の医療デバイスの断面を示す上面図である。
図12図11の医療デバイスの切断線A−Aにおける断面図である。
図13図11の医療デバイスの切断線B−Bにおける断面図である。
図14図1の医療デバイスを含む例示的方法を説明する流れ図である。
図1
図2
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