(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自動車(20)の前方の前記道路シーン(SR)の輝度は、前記自動車(20)に取り付けられたフロントガラス(26)の内面に設置されたセンサ(31)によって測定されることを特徴とする、請求項3に記載の適応型眼鏡(28)。
前記眼鏡レンズ(28)の前記透過係数(CT)は、前記自動車の前方の前記道路シーンの輝度を測定するための前記センサ(31)からの信号と、前記眼鏡レンズ(28)を透過する光の光量を測定するためのセンサ(50)からの信号とを受信する制御ユニット(30)によって制御されることを特徴とする、請求項3に記載の適応型眼鏡(28)。
前記眼鏡レンズ(28)の前記透過係数(CT)は、前記自動車(20)の室内灯(60)と同期して制御され、前記室内灯(60)は、前記可変透過スクリーンの前記透過係数(CT)が最小値(CTmin)にあるときのみオンにされることを特徴とする、請求項1に記載の適応型眼鏡(28)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対向車のロービームヘッドライトがオンにされ、ロービームを放射するヘッドライトの調節の精度が低く、またはわずかに調節ずれが生じている場合、対向車のロービームが、規定によって禁止された光線であって、カットオフレベルと呼ばれる規制上限より高い光線を含むため、眩惑を生じさせる事態を招きうる。
【0007】
さらに、対向車の照明装置が正確に調節されている場合であっても、光線が通過するこれらの照明装置の外側レンズが汚れていれば、放射ビームが眩惑を生じさせることもありうる。これは、外側レンズに汚れがあると、全方向に光を放射する光拡散中心が形成され、すなわち、第2の光源が形成されるためである。外側レンズが汚れているほど、照明装置が眩惑ビームを放射する傾向が強くなる。
【0008】
また、対向車のロービームヘッドライトは、これらの対向車のリヤトランクに比較的重量のある荷物が載っている別の状況において、眩惑を生じさせうる。この場合、車両の前方が上昇した状態になり、車両の姿勢が変化して水平方向ではなくなる。通常、規定に準拠した状態にするために、光ビームを下方に向けるための手動操作または自動操作式の補正部が設けられる。補正部が操作されず、または故障していれば、ロービームは規制上限より高い位置にある光線を含み、この光線は、眩惑を生じさせるとともに、規定で禁止されている。
【0009】
車両が重量物運搬車であれば、このような車両のヘッドライトの位置は、一般に、軽量車両のものより高い位置に取り付けられているため、反対方向の対向車による眩惑のこれらの危険性は高まる。
【0010】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、特に、上述した状況の1つにおいて、強い日に照らされた道路シーンによって昼間に眩惑されることがないように、およびロービームが眩惑を生じる状態にある対向車によって夜間時に眩惑されることがないようにすることができる眼鏡を車両の運転者および同乗者に提供することを提案する。
【0011】
(先行技術)
この状況を軽減するためにさまざまな解決策が提案されてきた。
【0012】
従来の解決法は、太陽によって生じる眩惑を避けるためにサングラスをかけ、車両の前方にある道路シーンの細部をよりはっきりと識別できるようにすることである。
【0013】
運転者にとってこれらのサングラスの欠点は、陰になった場所やトンネルを車両が走行するときや、太陽が厚い雲で覆われて薄暗くなったときに、サングラスを外さなくてはならないことである。これは、サングラスによって与えられる減衰が、本質的に、太陽による不都合な状況がない場合も同じ作用を有するため、運転者は道路シーンの細部を知覚しにくくなる。
【0014】
これらの従来のサングラスの改良により、周囲光レベルに感応性のある光発色眼鏡レンズが提供されてきた。これらのレンズは、レンズが受ける紫外線放射量に応じて色を変化させる性質を有する。これらの光発色レンズのよく知られた欠点は、紫外線放射がない場合のより高い明瞭な状態へ少しずつしか戻れないことであり、明瞭な状態に戻るのにかかる時間は、発色にかかる時間よりもかなり長い。
【0015】
さらなる欠点として、これらのレンズは紫外線の存在にしか反応しないため、一般に、自動車を運転するための用途では利点を生じない。これは、最新の自動車のフロントガラスが、これらの紫外線の透過をブロックするためである。したがって、光発色レンズは、外部輝度の変化が大きいことによる自動車の運転者の眩惑を防止するには非効率である。
【0016】
単純なサングラスや光発色サングラスよりも複雑な他の解決策が提案されてきた。例えば、米国特許第3961181号明細書には、太陽光による昼間時の眩惑および対向車のヘッドライトによる夜間時の眩惑の影響から片目ずつ同時に両目を保護する車両運転者用のスクリーンが開示されている。このスクリーンは、電気的に制御可能である垂直方向に並置された一連の連続したセル、例えば、液晶セルを含み、これらのセルは、電圧が印加されていない場合は透明であり、電圧の印加に応じて暗くなる。輝度とともに電気抵抗が上がる感光センサアレイが一連のセルに関連付けられる。これらのセンサに影を付けるために、センサの前方に遮蔽板が配置される。さまざまなセンサから受信した信号に応じてセルの透過因子を制御するために、センサとスクリーンのセルとの間に電気制御手段が配置される。
【0017】
この構造は、眩惑の発生源と運転者の目との間に設置されたこれらのセルのみを暗くすることが目的であるため、作製および調節が比較的困難である。
【0018】
さらに、米国特許第4848890号明細書は、液晶セルのマトリックスによってレンズが形成され、フレームに方向性感光センサが設けられた眼鏡が開示されている。太陽光線が到来する方向に応じて、セルは、眼鏡の着用者が太陽によって眩惑されないように不透明な状態に切り換えられる。この構成の主な欠点は、眼鏡レンズの大部分、特に、各レンズの表面の4分の1が暗くされることで、自動車の運転には不適合な視野の低減を生じるという点である。
【0019】
また、欧州特許出願公開第0498143号明細書には、自動車の運転者用の能動的眩惑防止スクリーンが開示されている。このスクリーンは、自動車のフロントガラスに取り付けられるか、または眼鏡レンズの形態のものであってもよく、周囲輝度センサを含み、測定値としきい値とを比較する測定回路が、眼鏡のレンズを形成する液晶の透明状態を制御する。レンズは、測定信号がない場合は完全に透明である。この構成の欠点は、2値モードでオンオフ動作し、輝度が所定のしきい値より上か下かに応じて、レンズが最大または最小の透明状態になる点である。
【0020】
運転者の夜間時の眩惑を補償するために、他の解決策が検証されてきた。
【0021】
例えば、仏国特許出願公開第2846756号明細書には、運転者の視野において、光源の近傍にある第1の偏光フィルタと、第1の偏光フィルタの偏光方向に垂直な偏光方向を有する第2の偏光フィルタと含む、運転者の夜間視野を改善するための方法が開示されている。
【0022】
この解決策は理論的には十分なものであるが、効果的であるためには、路上を走行するすべての自動車の照明装置の保護用外側レンズに偏光フィルタを取り付ける必要があるとともに、運転者にも偏光ガラスを供給する必要がある。
【0023】
さらに、欧州特許出願公開0498143(A1)号明細書には、所定の測定角度内の周囲輝度値にて比例信号を出力する光学センサを含む眩惑防止装置が開示されている。光学センサは、測定用および所定のしきい値との比較用の回路にこの信号を送信する。測定値が所定値を超えていれば、比較回路は、信号がない場合の完全透明状態から部分透明状態または信号送信時のカラー状態に変化し、信号が途絶えると透明状態に戻るように構成された電気感応性スクリーンをオンにするための信号を送る。
【0024】
この装置の欠点は、道路シーン全体の認知に影響を及ぼす点である。周囲輝度が認証しきい値を超えれば、1つの要素のみが道路シーンに単一点を形成することによって過度の輝度が生じうるが、道路シーン全体がぼやけてしまう。この場合、この眩惑防止装置が与えられた運転者は、差し迫った危険を警告する交通標識などの道路シーンにある重要な要素や、運転者の車両のヘッドライトビームによって照明される路面を見ることができない可能性もある。
【0025】
米国特許出願公開第2009/213282号明細書には、調節可能な可変透過眼鏡を使用することで加齢黄斑変性症(ARMD)を治療するための医療用眼鏡が開示されている。これらの眼鏡は、周囲輝度に依存して、電位の印加に応じて透過が変化する液晶を含む。液晶の透過は、液晶に印加されるPWM信号のデューティーサイクルに依存する。このような医療用または治療用のデバイスには、比較的複雑な電子データ処理インフラストラクチャが必要となるため、自動車の運転者には適用できない。
【0026】
国際公開第92/10130号には、レンズが電場に応じて透明または不透明のいずれかになる液晶膜を含み、電場は、眼鏡のフレームに保持されるセンサによって測定された周囲輝度に応じたものである。同文献はまた、液晶膜が複数のセルに分割され、各セルは、明るい光源と眼鏡の着用者の目との間の経路にあるとき、透明または不透明のいずれかにされえ、自動車の夜間走行への応用が可能であることが開示されている。
【0027】
欧州特許出願公開第0459433号明細書、米国特許第3961181号明細書および英国特許出願公開第2445365号明細書には、車両の前方の道路シーンを撮影するカメラと、光源と運転者の目との間の経路に設置された場合、道路シーンにある光源に応じて透過が制御されるピクセルを有する液晶スクリーンとを備えた車両の夜間運転用眩惑防止装置が開示されている。
【0028】
最後の上記4つの装置には、許容可能な応答時間および解像度を与えるために高度の演算力が要求される。したがって、非常に使用しづらく、コストも高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、このような事情を鑑みたものであり、以下の目的、すなわち、
昼間時、
−強い日に照らされた道路シーンの輝度を減衰し、運転者および同乗者の眩惑を防止し、
−道路シーンの輝度が低い場合、最大透過点まで、道路シーンの輝度の低下に応じて減衰が次第に低減する道路シーンの視野を提供し、
−この減衰の変動は自動的に起こるようにし、
夜間時、
−車両の照明装置によって照明されるさいの道路シーンの包括的視野、および
−道路シーンに存在し、運転者および同乗者が乗車する車両に属さず、道路シーンの運転者の知覚と干渉する可能性のある光源の減衰視野、
を与えるようにするための眼鏡を車両の運転者および同乗者に提供することによって、車両の前方にある道路シーンを観察するさいに車両の運転者および同乗者の両者に支援を提供する目的を有する。これらの眼鏡には複雑でコストのかかるインフラストラクチャは必要ではなく、運転者または同乗者の動作の邪魔になったり、視野を制限したりすることもない。
【0030】
以上のことから、本発明は、透過係数が最大値と最小値との間で変動可能なスクリーンを有するレンズを備えた、自動車の運転者または同乗者用の適応型眼鏡を提案する。
【0031】
本発明によれば、眼鏡レンズの透過係数は、無線通信プロトコルに従って制御される。
【0032】
別々にまたは組み合わせて考慮される本発明の他の特性によれば、
−眼鏡レンズの透過係数は制御部によって制御され、
−眼鏡レンズの透過係数は、電波、赤外線波または超音波によって制御され、
−制御ユニットは、自動車の前方にある道路シーンの輝度を測定するセンサによって制御され、
−自動車の前方にある道路シーンの輝度は、自動車に取り付けられたフロントガラスの内面に設置されたセンサによって測定され、
−眼鏡レンズの透過係数は、自動車の前方にある道路シーンの輝度を測定するためのセンサからの信号と、眼鏡レンズによって透過される光の光量を測定するためのセンサからの信号とを受信する制御ユニットによって制御され、
−眼鏡レンズによって透過される光の光量のセンサは、運転者の目の角膜によって反射された光の光量を測定し、
−眼鏡レンズの透過係数は、自動車に取り付けられた少なくとも1つのヘッドライトによって出射された光ビームの強度変化を同期させて制御する制御ユニットによって変動され、
−制御ユニットは、眼鏡レンズによって透過される光の量を測定するためのセンサから信号を受信し、
−眼鏡レンズによって透過された光の光量のセンサは、運転者の目の角膜によって反射された光の光量を測定し、
−眼鏡レンズの透過係数は、自動車のダッシュボードによって与えられた、自動車の動作または環境に関する発光視覚ディスプレイと同期して制御され、
−眼鏡レンズの透過係数は、自動車の室内灯と同期して制御され、室内灯は、可変透過スクリーンの透過係数が最小値にあるときのみオンにされ、
−眼鏡は独自の電源を有し、
−眼鏡は、液晶スクリーンまたはマイクロエレクトロメカニカルシステムを有し、
−透過係数は、パルス幅変調(PWM)モードに従って変動可能である。
【0033】
本発明の他の目的、特性および利点は、以下の添付の図面を参照しながら非限定的に与えられる例示的な実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、道路10を走行中であり、象徴的に運転者の目で示された運転者24によって制御される、全体として参照番号20で示した車両の部分断面図を示す。
【0036】
以下の記載では、車両20の運転者についてのみ参照される。しかしながら、本発明は、この車両の同乗者にも同等に適用可能である。したがって、特別な記載がない限り、「運転者」という用語は、車両の1人以上の同乗者を追加的に意味するものとして理解されたい。
【0037】
上述したように、運転者24は、
−昼間時、日の光が非常に強い天候の場合、
−夜間時、反対方向を走行中の車両のヘッドライトによって、
車両の前方にある道路シーンSRの要素によって眩惑される場合がある。
【0038】
以下、これらの状況について説明する。
【0039】
(昼間走行状況)
図1に示すように、日の光が強い天候の場合、特に、太陽Sが水平線に対して低い位置にある一日の終わりに、車両20の前方の道路シーンSRは強く照らされ、運転者24は眩惑されるだけでなく、安全上重要な道路シーンの細部、例えば、危険要因に接近していることを警告する交通標識や運転者が走行中の道路状態などを識別できない場合がある。
【0040】
したがって、本発明は、運転者の目24に届く光の光量を調整するための適応型眼鏡28を運転者24に提供することを提案する。明確に示すために、眼鏡のレンズは片方のレンズしか図示していない。
【0041】
眼鏡レンズ28は、非常に短い応答時間を有し、透過係数の高速変化が可能なように構成される。液晶により、ミリ秒のオーダーの非常に高速の反応時間で透過係数が可変のこのタイプのスクリーンを製造することが可能である。これらの応答時間はまた、米国特許第7684105号明細書に記載されているタイプのようなマイクロエレクトロメカニカルシステムを使用して達成されうる。
【0042】
好適には、眼鏡28は、三次元動画観賞用の眼鏡の電源のようなボタン電池や再充電可能な小型バッテリの形態の独自の電源(図示せず)を有する。
【0043】
実際、液晶スクリーンやマイクロエレクトロメカニカルシステムの透明状態または透過係数の制御には最小の電力しか要求されないため、長期間、液晶またはマイクロエレクトロメカニカルシステムを使用して眼鏡レンズを正確に動作させるためには、ボタン電池などの小型バッテリで十分である。
【0044】
眼鏡レンズ28の透過係数を制御するために、本発明により、車両の前方の道路シーンSRの輝度を測定するための感光センサ31の使用が提供される。
【0045】
好適には、感光センサ31は、車室内のバックミラー(図示せず)のレベル、すなわち、フロントガラス26の上側部分の中央に位置する車両20のフロントガラス26の内面に設置される。この位置により、道路シーンSRからの、特に、車外の輝度を表す情報を収集可能である。また、好適には、感光センサ31の測定信号は、最新の自動車の場合のように、道路シーンSRの輝度が所定のしきい値より低い場合、ロービームヘッドライトがオンにされるように使用されてもよい。
【0046】
図2にさらに詳細に示すように、この感光センサ31の出力信号S
Lは、出力信号S
Lを眼鏡レンズ28の透過係数を制御するための信号S
Cに変換するように適応された回路33によって受信および処理され、この信号S
Cは、可変透過眼鏡レンズ28の透過係数を制御するための制御ユニット30によって受信される。
【0047】
制御ユニット30は、眼鏡レンズの透過係数を制御するための回路34を制御し、回路34は、例えば、無線通信プロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWi−Fi(登録商標)規格に従った電波、赤外線波または超音波を制御するための送信機38を備える。
【0048】
以下の記載において、これらの波を「リモート制御波」O
Tと呼ぶ。眼鏡28には、これらのリモート制御波O
Tの受信機40が設けられる。
【0049】
本発明によれば、眼鏡レンズ28の透過係数の変調は、感光センサ31によって測定される道路シーンSRの輝度に応じて実時間で起こる。
【0050】
この目的のために、車両20の前方の道路シーンSRの輝度を表す感光センサ31の出力信号S
Lに応答して、回路33は、信号S
Lに応じた制御信号S
Cを発生する。次に、制御信号S
Cは、制御回路34の送信機38によって、リモート制御波O
Tおよび受信機40を経由して、眼鏡レンズ28に送信される。
【0051】
このように、眼鏡レンズ28の透過係数は、既知の原理に従って、受信信号S
Cに応じて、すなわち、センサ31によって測定された輝度に応じて変調される。
【0052】
このように、センサ31によって測定された輝度が高くなると、信号S
Lは強くなり、眼鏡レンズの透過係数は低くなり、または、言い換えれば、眼鏡レンズ28は低透過性のものになる。
【0053】
車両20が日の光が強い領域から陰の領域、例えば、トンネルへ移動すると、道路シーンSRの輝度は急に下がる。信号S
Lの値が同等に急変し、信号S
Cの値も同様に急変する。この変動は、透過係数が急に上がる眼鏡レンズ28にリモート制御波O
Tによって送信されるため、運転者は、この新しい暗環境の明確な視野を直ちに得ることができる。
【0054】
眼鏡レンズ28は、突然の暗闇に適応するように運転者の目の瞳孔が拡張するよりもかなり前にクリアになる。このように、眼鏡レンズ28がクリアになったことで、目に届く光の光量の変動幅が、運転者が眼鏡をかけていない場合よりも小さく、少しの程度の拡張は必要である瞳孔が、新しい瞳孔径により即座に達するということによって、本発明による眼鏡の利点が高められる。
【0055】
トンネルの出口では同じ現象が逆向きに繰り返され、眼鏡レンズ28は、より低い透明度に実質的に瞬時に戻り、日に照らされた道路シーンの減衰視野を運転者により即座に与える。
【0056】
このように、本発明によれば、可変透過性のものであって、運転者によって観察される道路シーンの輝度に応じて実時間で調節される透過係数、例えば、輝度が上がると、眼鏡レンズが暗くなり、逆も同様のものであるレンズを備えた眼鏡が提供される。
【0057】
このように、輝度が大きく変動しうる環境を走行する車両20の運転者24は、上述した眼鏡28を通して車両の前方の道路シーンSRを観察でき、これらの眼鏡は、
−日の光が強い道路シーンの輝度を減衰し、運転者の眩惑を防止し、
−道路シーンの輝度が低いとき、最大の透明度の点まで道路シーンの輝度の低下に応じて次第に低減する減衰を道路シーンの視野に与え、
−減衰の変動は自動的に起こり、
−眼鏡28は有線接続に取り付けられず、眼鏡レンズ28の透過係数CTは無線通信プロトコルに従って制御されるため、眼鏡28の使い勝手に不都合は生じない。
【0058】
所望の減光を正確に生じさせる透過係数を見出すために、
図2に示すように、この係数を制御するさいのフィードバックループが含まれてもよい。
【0059】
このループにおいて、眼球センサ50が、運転者の目24の角膜によって反射される光の光量を測定する。センサ50は、例えば、運転者がかける眼鏡28のフレームに組み込まれる。
【0060】
目が受ける光は、眼鏡レンズ28をすでに通過したものとする。目24の角膜で反射された光の光量がセンサ50によって測定されると、必要に応じて、予備較正または補整を施した後、この目24に到達する光の光量の測定値が得られ、したがって、眼鏡レンズ28を透過した光の光量の間接的な測定値が得られる。
【0061】
眼鏡レンズ28を透過し、目24に当たる光のこのような測定値L
Iは、リンク52によって制御ユニット30に送信される。破線で示すリンク52は、好適には、無線リンクによって、例えば、無線通信プロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWi−Fi(登録商標)規格に従った電波、赤外線または超音波を使用して形成されうる。
【0062】
結果的に、制御ユニット30は、
−センサ31によって与えられる、道路シーンSRの輝度の直接測定値と、
−センサ50によって与えられる、眼鏡レンズ28によって減衰された後の道路シーンの輝度と、
に同時にアクセスできる。
【0063】
制御ユニット30は、眼鏡レンズ28を通過した後、目24に当たる光の測定値L
Iと、メモリ54に含まれる設定点値V
Cとを比較する比較器を含む。設定点値V
Cと測定値L
Iとの差に応じて、および車外の輝度の値に応じたものである信号S
Cに応じて、制御ユニット30は、測定値L
Iが設定点値V
Cと等しくなるように、リモート制御波O
Tによって送信された制御信号を常に調節する。
【0064】
この設定点値V
Cは、メモリ54において固定のものであってもよく、または好ましくは、例えば、
図1に示すように、車両20のダッシュボードを介して運転者によって調整されることによって、調節可能なものであってもよい。
【0065】
このように、運転者24は、可能な限り最良の状態で車両の前方の道路シーンを観察するために、任意の所望の値に眼鏡レンズ28の減光程度を設定でき、目に到達する光の光量は一定のままであり、運転者によってメモリ54に割り当てられる所定の値に等しい。
【0066】
本発明の好ましい実施形態によれば、信号の送信は、
図3によれば、上述したような連続的なアナログ方式ではなく、所定の周波数で、好ましくは、PWM(「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の英語表現を表す)モードにおいて、ディジタル方式、すなわち、交番方式で行われるようにされてもよい。
【0067】
この好ましい実施形態によれば、感光センサ31は、車両の前方の道路シーンから受けた発光強度に応じた値を有するアナログ信号を送信する。センサ31は、このアナログ信号をPWM符号化ディジタル信号S
Lに変換する回路に関連付けられる。
【0068】
図3Aに示すように、この信号S
Lは、持続時間(t1)の間の値S
Lminと、持続時間t
2の間の値S
LMAXとの間で変動し、持続時間t
1およびt
2の和は、デューティーサイクルβによってさらに特徴付けられる交番信号S
Lの周期Tを規定する。
【0069】
なお、信号S
Lのデューティーサイクルβは、信号が最大値にある持続時間t
2と、その期間の持続時間Tとの間の比率によって決定され、したがって、0〜100%で変動する。
【0071】
このように、信号S
Lのデューティーサイクルβは、センサ31によって受信される発光強度の一次関数として表される。
【0072】
この信号S
Lは回路33によって受信され、回路33は、信号S
Lを、
図3Bに示す信号S
Cに変換する。
【0073】
信号S
Cは、信号S
Lと同じ周期T=t
1+t
2と、以下の式、すなわち、
【数2】
で表されるデューティーサイクルαとを有し、持続時間t
1の間の最大値S
CMAXと、持続時間t
2の間の最小値S
Cminとの間で変動する。
【0074】
要約すると、車両20の前方に道路シーンSRの輝度の値に応じたものである感光センサ31によって供給される信号S
Lに応答して、回路33は、交番信号S
Cを発生し、交番信号は、
−パルス幅変調(PWM)において、
−所定の周波数
【数3】
と、
図3Bに従って、デューティーサイクルαを有し、センサ31によって測定される車両の前方の道路シーンの輝度を示す。
【0075】
この信号S
Cは、リモート制御波O
Tによって制御回路34を介して受信機40に送信され、受信機40は、必要に応じて、眼鏡レンズ28の透過係数を制御し、信号L
IおよびV
Cによって補正を行うことができる。
【0076】
図3Cに示すように、この透過係数は、信号S
Cに応答して、信号S
Cと同じデューティーサイクルαおよび同じ周波数νを有する、持続時間t
1の間の値CT
MAXと、持続時間t
2の間の値CT
minとの間で変動する。
【0077】
値CT
MAXは、眼鏡レンズ28が最大透明度を有する値である。ほとんどの場合、液晶スクリーンは、電気励起がない場合、この状態、すなわち、休止状態を有し、電界の影響下でのみ不透明である。これらの場合、値CT
MAXは、眼鏡レンズ28を形成する液晶の最小励起に相当する。
【0078】
いくつかの場合において、液晶スクリーンまたはマイクロエレクトロメカニカルシステムを有するスクリーンの休止状態は、最大の不透明度を有し、電界の影響下でのみ透明になる状態であってもよい。この事態において、値CT
MAXは、眼鏡レンズ28を形成する液晶スクリーンまたはマイクロエレクトロメカニカルシステムのスクリーンの最大励起に相当する。
【0079】
上記説明は、眼鏡レンズ28の透過係数の値CT
minに準用されうる。
【0080】
このように、
図3Cのグラフは、これらの眼鏡レンズの励起信号の変動ではなく、眼鏡レンズ28の透過係数CTの変動を示している。
【0081】
したがって、運転者24は、道路の輝度に応じて実時間で透過係数が調節され、例えば、道路シーンが明るくなると、可変透過性の眼鏡レンズが、運転者24に到達する光を次第に減衰する眼鏡レンズ28を通して、道路シーンSRを観察できる。
【0082】
眼鏡レンズ28の透過係数の自動調節は、周波数νおよびデューティーサイクルαで、これらの眼鏡レンズの最大透明度および最小透明度の状態のシーケンスによって達成される。周波数νは、車両20の運転者24に対する閃光現象を防止できる高さになるように選択される。周波数νは、例えば、残像現象の恩恵を十分に受けるために、例えば、100Hzより大きいものである。
【0083】
アナログ動作の実施形態の場合のように、フィードバックループが提供されうる。この場合、感光センサ50は、運転者の角膜から受けた発光強度に応じた値を有するアナログ信号を送る。センサ50は、このアナログ信号をPWM符号化ディジタル信号L
Iに変換する回路に関連付けられる。
【0084】
この実施形態において、制御ユニット30は、
−センサ31によって与えられる、道路シーンSRの輝度の直接測定値の信号と、
−センサ50によって与えられる、眼鏡レンズ28によって減衰された後の道路シーンの輝度の測定値の信号と、
を受信し、これらの2つの信号は、設定点値V
Cを表す信号と同じ方法でPWM符号化される。
【0085】
アナログ動作の実施形態のように、制御ユニット30の比較器は、測定値L
Iを設定点値V
Cに等しくするように、リモート制御波O
Tによって送信される制御信号を常に調節するために、これらの信号を使用してもよい。
【0086】
(夜間走行状況)
特に、夜間走行時には、他の事象が運転者の道路シーンの視野と干渉することがあり、これらの干渉要素は、特に、反対方向を走行する車両のヘッドライトの形態のものである。
【0087】
最初に、
図4を参照すると、通常の夜間走行状況における運転者または同乗者が知覚しうる道路シーンSRの概略図が示されている。
図6Aおよび
図6Bは、夜間走行時、ロービームヘッドライトがオンにされた後のこの道路シーンの図を示す。
【0088】
道路シーンSRは、典型的に、道路10の他に、構造物などの路傍要素や、図示した例では、路肩や木、交通標識および先行車や対向車などの他の車両を含む。
【0089】
このように、車両のロービームヘッドライトによって照明された道路シーンにおいて視認される要素は、いくつかのカテゴリに分類されうる。
【0090】
−例えば、道路10、路肩および木12、隣接構造体などの風景の要素など、すなわち、自動車のヘッドライトによって放射される光を受けて全方向に均等に拡散し、または、照明が強いほど、明るさが増すという点で、誘起された輝度のみを有する要素などの受動要素または受動源。
【0091】
−交通標識14、路上の蛍光標識線16、先行する(同じ方向に走行する)他の車両19の反射器など、すなわち、車両のヘッドライトによって放射される光を受けて、好ましい方向に、一般には、ほぼ光がきた方向にこの光の顕著な部分を反射する要素であって、言い換えれば、誘起された輝度のみを有するが、この輝度は受動要素の輝度よりも高い要素などの半能動要素または半能動源。
【0092】
−他の対向車(反対方向に移動する車両)の照明装置18、三色交通信号灯、街灯など、すなわち、光源そのものであり、受光する照明とは関係なく単独で光を放射する要素であって、言い換えれば、受光する照明にかかわらず、固有の輝度を有する要素などの能動要素または能動源。
【0093】
このように、道路シーンのすべての要素は、以下の輝度、すなわち、
−受動要素および半能動要素の場合、ゼロである固有輝度、および
−能動要素の場合は無視できる誘起輝度、
の和である輝度で運転者によって知覚される。
【0094】
このように、
図4の道路シーンにおいて、以下のもの、すなわち、
−道路10、路肩および木12などの受動源、
−交通標識14、路上の標識線16および先行車の反射器19などの半能動源、および
−反対方向を走行する車両のヘッドライト18などの能動源、
が見られる。
【0095】
一般に、受動または半能動は、許容できない眩惑の問題を生じない。なぜなら、この種の不都合を生じうる大きな表面積を有する交通標識は、一般に、道路のすぐ近くから離れた位置にあるためである。
【0096】
したがって、眩惑の問題は、上記の導入部で説明したさまざまな理由のために、反対方向を走行する車両のヘッドライト18などの能動要素からのみ生じる。
【0097】
また、本発明による適応型眼鏡28は、眩惑を生じさせる可能性のある発生源である能動要素の輝度を低減するが、安全上重要な場合のある受動要素または半能動要素の輝度は変更しないことによって、この問題の解決策を提供する。この目的のために、本発明は、運転者および同乗者がかける眼鏡28が、
−一方では、能動源からの眩惑発生の可能性のある光線をフィルタリングし、および
−他方では、受動源または半能動源からの光線に対して透過性のものであり、受動源または半能動源に含まれた安全情報が隠れることがないようにすることを提案する。
【0098】
本発明によれば、ヘッドライト22は、可変強度の光ビームを放射し、ヘッドライト22によって放射されたロービームの強度の変動は、眼鏡レンズ28の透過係数の変動と同期している。
【0099】
言い換えれば、ヘッドライト22によって放射される発光強度の最大レベルは、眼鏡レンズ28の透過係数の最大レベルと一致し、ヘッドライト22によって放射される光強度の最小レベルは、眼鏡レンズ28の透過係数の最小レベルと一致する。
【0100】
このように、道路シーンが最大光強度で照明されるとき、眼鏡28を通した道路シーンの運転者の知覚が最適なものとなる。
【0101】
この目的を達成するために、本発明により、以下のもの、すなわち、
−ヘッドライト22の光源に電力供給するための調整回路または駆動部32と、
−眼鏡レンズ28の透過係数を制御するための、送信機38を含む回路34と、
を制御する必要のある制御ユニット30が提供される。
【0102】
制御ユニット30の動作は、センサ31からの測定信号が所定のしきい値未満である道路シーンSRの輝度のものに相当する場合に自動的に引き起こされ、したがって、ロービームヘッドライトをオンにさせる。また、制御ユニット30の動作は、車両の運転者自身がダッシュボードにあるロービームヘッドライトをオンにする場合に手動で引き起こされてもよい。
【0103】
このように、制御ユニットは、以下の記載に従って、すなわち、
−上記記載に従って眼鏡レンズ28の透過係数を制御するための回路34を制御することによって、ヘッドライト22がオフにされる場合の「昼間」モード、または、
−眼鏡レンズ28の透過係数を制御するための回路34と、ヘッドライト22の光源に電源を調整するための回路32とを同時に制御することによって、ロービームを出射するように手動または自動でヘッドライト22がオンにされる場合の「夜間」モード、
のいずれかで動作する。
【0104】
「夜間」モードにおいて、制御ユニット30によって与えられる制御は、
−ヘッドライト22が、最大値と最小値との間で周期可変強度を有する光ビームを放射するように、調整回路32がヘッドライト22の光源に電力が供給されるようにし、および
−回路34が、眼鏡レンズ28が最大透過度から最小透過度へ周期的に変化するように、眼鏡レンズ28の可変係数を制御するようにし、および
−回路32および34は、同期させて制御され、ヘッドライト22によって放射された強度は、眼鏡レンズ28の透明度が最大のときに最大であり、逆に、ヘッドライト22によって放射される強度は、眼鏡レンズ28の透明度が最小のときに最小である。
【0105】
ヘッドライト22によって与えられる照明が可変であるため、これらのヘッドライトに取り付けられた光源は、過度の慣性を有するものであってはならず、言い換えれば、放射された発光パワーは、ヘッドライトが受ける電力の一次関数でなければならない。本発明の問題を解決するためには適切でない応答時間を有する白熱灯や放電灯は、この条件を満たさないため、本発明は、ヘッドライト22の半導体供給源にダイオードを使用する。
【0106】
これらの供給源は、最新の車両に取り付けられたもののような白色光を放射するLEDとも呼ばれる発光ダイオードの形態のものであってもよい。また、これらのダイオードは、光線が蛍光体層に当たり、蛍光体層が白色光を放射するレーザダイオードの形態のものであってもよい。
【0107】
発光の面で、電力供給の変化に対するこれらのダイオードの反応は、ほぼ瞬時のものであるため、車両前方の道路シーンの照明を正確に制御することができ、したがって、この照明は、比較的高い頻度で周期的に可変のものにされうる。
【0108】
同様に、液晶タイプまたはマイクロエレクトロメカニカルシステムのタイプの眼鏡レンズ28は、非常に短い応答時間および透過係数の高速変化を与える。
【0109】
上述したように、
−眼鏡28は、三次元動画観賞用の眼鏡の電源のようなボタン電池や再充電可能な小型バッテリの形態の独自の電源(図示せず)を有し、
−眼鏡レンズ28の透過係数は、送信機38および受信機40を介してリモート制御波によって無線方式で制御される。
【0110】
周囲輝度が低下すると、光ロービーム、すなわち、上方から見た図である
図5に示すビーム42を放射するために、運転者によって手動で、または周囲輝度センサによって自動でヘッドライト22の光源がオンにされれば、制御ユニット30は、
図8Aのグラフに従って、ヘッドライト22の光源が周期的に供給されるように調整回路32を制御する。
【0111】
したがって、ヘッドライト22の光源は、所定の周波数および所定のデューティーサイクル
【数4】
で、例えば、PWM(「Pulse Width Modulation(パルス幅変調)」の英語表現を表す)モードにおいて、持続時間t
1の最大値P
MAXおよび持続時間t
2の最小値P
minとの間で周期的に可変の電力Pを受ける。
【0112】
ヘッドライト22に取り付けられたLEDまたはレーザダイオードは、これらのダイオードに供給される電力の変動にほぼ瞬時に反応するため、
図8Bのグラフに示すように、同じ周波数および同じ所定のデューティーサイクルαで、持続時間t
1の最大照明E
MAXと、持続時間t
2の最小照明E
minとの間で周期的に変動する照明Eを放射する。
【0113】
図8Bにおいて、光源の応答時間は無視できるものとし、考慮に入れていない。光源の応答時間が
図8Bに示されるものであることが望ましければ、一方の状態から他方の状態への照明Eの「切り換え」が、
図8Aに示すこれらの光源に供給された電力Pに対する遅延を示すことを意味する。
【0114】
なお、デューティーサイクルは、電力が最大の持続時間t
1と、その時間期間の持続時間Tとの比率によって決定され、したがって、0〜100%で変動する。
【数5】
【0115】
LEDまたはレーザタイプのダイオードは、ダイオードに供給される電力の変動に対してほぼ瞬時に反応する。結果的に、ヘッドライト22の光源によって放射される照明は、同じデューティーサイクルαとともに実質的に変動する。
【0116】
光源に供給される電力の最小値P
minがゼロであれば、最小照明E
minもゼロに等しい。これらの条件において、デューティーサイクルαを有するPWMモードにおける光源によって放射される平均照明
【数6】
は、以下のとおりである。
【数7】
【0117】
したがって、道路シーンの照明が規定に準拠するようにするためには、PWMモードで供給される光源によって与えられる平均照明が、照明E
REGに等しければよく、規定に従ったこの照明を与えるように継続的な状態で放射する必要がある。すなわち、
【数8】
【0118】
使用するLEDまたはレーザダイオードの特性から判断して、これらから、周波数
【数9】
で時間t
1の間に所望の照明E
MAXを与えるようにダイオードへの供給が要求される電力P
REGを推測することは容易である。
【0119】
この周波数νは、車両20の運転者および対向車または先行車の他の車両の運転者のいずれに対しても、閃光現象を防止できる高さになるように選択される。周波数νは、残像現象の恩恵を十分に受けるために、例えば、100Hzより大きいものである。
【0120】
このように、ヘッドライト22による道路シーンの照明は、従来の継続的な照明のように、車両20の運転者によって、および他の運転者によって知覚される。
【0121】
しかしながら、本発明によれば、車両20の運転者は、
図8Cのグラフに示すように、ヘッドライト22の動作のものと同じ周波数および同じデューティーサイクルで可変である透過係数を有する眼鏡28を通してこの道路シーンを観察する。
【0122】
このように、眼鏡28は、
図8Cに示すように、以下の値、すなわち、
−時間t
1中にレンズの透過度が最大である最大値CT
MAXと、
−時間t
2中にレンズの透過度が最小である最小値CT
minと、
の間で変動する透過係数CTを有する。
【0123】
好ましくは、
図9に示すように、透過係数が最大値CT
MAXを有する持続時間t’
1は、照明が最大値E
MAXを有する持続時間t
1より長いため、持続時間t’
1は、t
1より瞬間Δt前に始まり、t
1の瞬間Δ’t後に終わる。この変形実施形態を用いて、以下のことが可能になる。
【0124】
−光源22が最大照明状態E
MAXに切り換わるとき、透過係数CTは、最大値CT
MAXをすでに有し、
−透過係数CTが最小値CT
minに切り換わるとき、光源22は最小照明状態E
minにすでに切り換わっている。
【0125】
しかしながら、照明Eと透過係数CTとの間のオフセットΔtが他の方向にあるように、すなわち、
−透過係数CTが最大値CT
MAXに切り換わるとき、光源22は、すでに最大照明状態E
MAXの状態にあり、
−光源22が最小照明状態E
minに切り換わるとき、透過係数CTは、すでに最小値CT
minに切り換えられているようにすることが可能である。
【0126】
オフセット値ΔtまたはΔ’tは、t
1またはt
2の開始前に位置するかどうか、またはt
1またはt
2の終了前に位置するかどうかにかかわらず、持続時間t
1またはt
2より短い。したがって、考慮されるすべての実施例において、実質的に、スクリーン(26、F、28)の透過係数(CT)が最大値(CT
MAX)に到達するとき、照明(E)が最大値(E
MAX)に達すると言えうる。
【0127】
言い換えれば、上述した第1の変形例(光源22がすでにE
MAXに達しているときに、CTがCT
MAXに等しくなり、CTがすでにCT
minに等しいとき、光源22がE
minに切り換わる)により、光源が最大照明状態E
MAXにある全持続時間、透過係数が最大値CT
MAXを有するようにすることが可能であるため、運転者は、光源22によって照明される道路シーンの最適視野を有することになる。
【0128】
昼間運転状況に関して上述したように、最大値CT
MAXは、眼鏡のレンズ28の最大透過度の値である。ほとんどの場合、液晶スクリーンおよびマイクロエレクトロメカニカルシステムのタイプのスクリーンは、電気励起がない場合の状態、言い換えれば、休止状態にあり、電界の影響下でのみ不透明である。これらの場合、最大値CT
MAXは、眼鏡レンズ28を形成する液晶またはマイクロエレクトロメカニカルシステムの最小励起に相当する。
【0129】
いくつかの場合において、液晶スクリーンまたはマイクロエレクトロメカニカルシステムタイプのスクリーンの休止状態は、最大の不透明度を有する状態にあってもよく、電界の影響下でのみ透明になる。この事態において、最大値CT
MAXは、眼鏡レンズ28を形成する液晶またはマイクロエレクトロメカニカルシステムの最大励起に相当する。
【0130】
昼間運転状況の場合と同様に、上記説明は、眼鏡レンズ28の透過係数の値CT
minに準用されうる。
【0131】
このように、
図3Cのグラフは、これらの眼鏡レンズの励起信号の変動ではなく、眼鏡レンズ28の透過係数CTの変動を示している。
【0132】
好ましくは、透過係数CTの最小値CT
minは、時間t
2の間、実質的にゼロであり、または、言い換えれば、可変透過スクリーンは、時間t
2の間、実質的に不透明である。
【0133】
これらの条件において、
−時間t
2の間、すなわち、ヘッドライト22の光源がオフの間、眼鏡28は不透明であり、
−時間t
1の間、すなわち、ヘッドライト22の光源が最大強度で道路シーンSRを照明している間、眼鏡28の透明度は最大である。
【0134】
したがって、運転者24は、継続的な照明を与える従来のヘッドライトによって照明されているかのように道路シーンSRを見るという印象を有する。
【0135】
しかしながら、本発明の眼鏡により、
図4に示すように、運転者24は、眼鏡28が最大透明度を有する時間t
1の間、以下のものを見る。
【0136】
−道路10および路肩12などの道路シーンにあるロービーム42によって照明されるすべての受動要素。
【0137】
−交通標識14や先行車両の反射器19など、ヘッドライト22から光を受け、車両20および運転者24へ光を後方反射する、このビーム42内のすべての半能動要素。
【0138】
−接近車両のヘッドライト18などの全能動要素。
【0139】
時間t
2の間、眼鏡は不透明であり、したがって、運転者24は、道路シーンが実質的に見えない。
【0140】
時間t
1およびt
2が約100Hzより高い周波数νで互いに続くため、受動要素が時間t
1の間、
−周波数ν、
−デューティーサイクルα、
−照明
【数10】
で周期的に照明される過程で、運転者の目24は観察の統合化を行う。
【0141】
したがって、受動要素の連続的な観察は、一定の照明E
REGでなされる観察と等しいということである。したがって、運転者24は、従来の照明によって与えられるものとまったく異なることがない受動要素の視野を有する。
【0142】
半能動要素は、受動要素と同じ条件で照明され、ほぼ光が来た方向に受光した光のかなりの部分を反射する。例えば、デューティーサイクルαが50%に等しければ、半能動要素は、半分の長さの時間で規定Q
REGに従う光量の2倍の光量Q
2を受ける。したがって、半能動要素は、規定Q
REGに従った光量で継続的に照明された場合と同じ量の光を反射する。
【0143】
したがって、半能動要素の連続的な観察は、一定の照明E
REGでなされる観察と等しいということである。したがって、運転者24は、従来の照明によって与えられるものとまったく異なることがない半能動要素の視野を有する。
【0144】
能動要素は、能動要素によって放射される光量に比して完全に無視できる量の光を受ける。しかしながら、能動要素は、眼鏡レンズ28が最大透過を与える時間t
1の間のみ運転者24によって観察される。
【0145】
したがって、能動要素は、デューティーサイクルαに等しい時間の一部の間のみ視認可能である。可変透過スクリーンを通した能動要素の見かけの輝度は、実際の輝度より因子αだけ低減される。
【0146】
したがって、所望の結果が達成される。例えば、
図5を参照すると、ロービーム42に位置するすべての受動要素および半能動要素は、従来の照明の場合と同じ条件で視認可能である。しかしながら、対向車のヘッドライトなどのすべての能動要素は、因子αだけ低減された輝度で観察される。
【0147】
これは、実際、
図6Aおよび
図6Bに示された、観察された現象である。
【0148】
図6Aは、道路、道路の外側にある要素、交通標識および対向車のヘッドライトが確認される従来の道路シーンを示す。
【0149】
図6Bは、本発明の眼鏡28を通して観察される同じ道路シーンを示す。この道路シーンのすべての要素は、交通標識などの受動要素または半能動要素であるかにかかわらず、輝度が低減された対向車のヘッドライトなどの能動要素を除き、
図6Aと同じ条件で視認可能であることは明らかである。
【0150】
本発明により、デューティーサイクルαを変動させることによって、受動要素および半能動要素の一定の視認性を維持するとともに、道路シーンに存在する能動要素の輝度の所望の低減を与えることが可能である。対向車のヘッドライトが眩惑を生じさせるものであっても、本発明により、道路シーンの他の細部の知覚を修正することなく、眩惑の程度が下がるまで輝度を低減させることができる。
【0151】
本発明は、さらなる多数の利点を有する。これは、
図7に示すように、運転者の視野は、フロントガラス26を通して前方に広がる道路シーンの他にも、運転者にとって有用なさまざまな視覚ディスプレイを示す車両のダッシュボードを含む。
【0152】
これらの視覚ディスプレイは、速度計や回転速度計の文字盤44、またはある車両機器の動作を示す表示灯46であってもよい。ヘッドライト22がオンにされるときに、文字盤44および表示灯46はオンになり、照明された視覚ディスプレイを与える。
【0153】
他の照明された視覚ディスプレイ48は、フロントガラス26を用いて仮想画像を形成する「ヘッドアップディスプレイ」(HUD:head up display)として英語で知られているビューイングシステムによって、例えば、
図7に示すように、ダッシュボードの外側の位置に運転者に与えられてもよい。
【0154】
このように、車両のダッシュボードまたはビューイングシステムによって与えられるこれらの視覚ディスプレイは、車両(20)の動作または環境に関し、本質的に安全上重要である。したがって、運転者がこれらの視覚ディスプレイをはっきりと見えるようにする必要がある。また、本発明により、可変透過スクリーン、この場合、眼鏡28の透過係数の変動と同期されるようにこれらの視覚ディスプレイをオンにすることによって、この結果が得られる。
【0155】
本発明によれば、視覚ディスプレイ44、46および/または48の輝度は、時間t
1の間、デューティーサイクルαの逆数に等しい因子だけ増大される。このように、眼鏡28は、
−独自のヘッドライトによって照明される道路シーン、
−視覚ディスプレイ、ダッシュボードまたはヘッドアップディスプレイシステム
以外に、運転者の視野に位置するすべての物体の輝度を弱める効果を有する。
【0156】
運転者に不都合な可能性のある別の発生源は、例えば、1人以上の同乗者が読書するために車両の室内照明システムを使用したい場合などの室内照明システムである。
図1に記号で示すように、天井灯60を使用すると、運転者の視野にある細部が照らされて注意をそらしてしまう可能性があり、運転者の妨げとなりうる。
【0157】
また、本発明により、この問題も解消することができる。これは、本発明が時間t
2の間のみ、すなわち、眼鏡28が不透明である間のみ、室内灯60がオンにされてもよいためである。室内灯がオンにされている状況は運転者によって知覚されず、同乗者は所望するとおりに照明を使用しうる。
【0158】
このように、本発明により、昼間および夜間の両方で車両の前方の道路シーンの視野を向上させるために、車両の運転者を支援する眼鏡が提供される。
【0159】
運転者がヘッドライト22の自動制御を無効にし手動切換制御を作動させなかったために、外部輝度が比較的低くなったときにヘッドライト22がオンにされなければ、制御ユニット30は、「昼間」動作モードのままであり、したがって、レンズが最大透明度を有するように眼鏡レンズ28を制御するため、これらの眼鏡が提供する動作は完全に安全なものである。
【0160】
「昼間」動作モードにおいて、レンズの透過係数は、運転者によって観察される道路シーンの輝度に応じて実時間で調節され、例えば、輝度が上がると、眼鏡レンズは暗くなり、逆も同様である。
【0161】
「夜間」動作モードにおいて、眼鏡28により、乗員区画の天井灯など、干渉すると見なす車両の他の光源による不都合を生じさせることなく、運転者は、視野にある以下のもの、すなわち、
−運転者にとって通常のものである発光強度に等しい発光強度をもつようにされた、車両のヘッドライトによって放射されるロービームが道路シーンにおいて照らすすべての受動要素および半能動要素と、
−ヘッドライトおよび可変透過スクリーンの共通デューティーサイクルを変更することによって低減が固定または可変される低減された発光強度をもつようにされたすべての能動要素と、
−運転者にとって通常のものである発光強度に等しい発光強度をもつようにされた、車両の夜間時運転に関するすべての視覚ディスプレイと、
を有する。
【0162】
本発明は、記載した実施形態に限定されるものではないことは明らかであり、実際、当業者であれば、本発明にさまざまな修正を加えうるものであり、これらの修正は本発明の範囲内のものである。
【0163】
このように、「昼間」動作モードにおいて、車両の運転者および同乗者の各々は、車外の輝度に応じて同じ制御信号をそれぞれが受ける本発明による適応型眼鏡をかけてもよい。当業者により、眼鏡の着用者が、各着用者の視覚感度に応じて眼鏡レンズによって与えられる減衰度を変調できるアダプタを眼鏡が含むように提供されてもよい。このように、同乗者は、道路シーンが強く照らされている場合に運転者のものより低い程度に暗くなるように眼鏡を調節してもよい。
【0164】
同様に、「夜間」動作モードにおいて、当業者により、眼鏡レンズではなく、サンバイザのような折り畳み可能なスクリーンまたは車両のフロントガラスによって形成された、本発明の教示による可変透過スクリーンが提供されてもよい。また、2つの連続した可変透過スクリーンを使用することも可能である。例えば、
−下部の減衰度(フロントガラスのみを介した場合)より大きな減衰度を有する運転者の視野の上部(サンバイザタイプのスクリーンおよびフロントガラスを介した場合)を与えるフロントガラス26およびサンバイザタイプの可動スクリーン、または、
−フロントガラス26および運転者がかける眼鏡。この構成を用いて、運転者は、フロントガラスによって与えられる所定の減衰からの利点に加え、ダッシュボード上で制御できる調節可能な減衰からの利点を得る一方で、同乗者は、フロントガラスのみで与えられる所定の減衰からの利点を得る。
【0165】
好適には、昼間時の日の光が強い道路シーンおよび夜間時の反対方向を走行中の車両のヘッドライトによって同乗者が眩惑しないように、または運転者に不都合を生じさせることなく、天井灯をオンにすることができるように、同じ眼鏡が車両の同乗者によって使用されてもよい。