(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
透明電極を形成するために使用される、導電性及び透明性の特性において最も満足のいく材料は、透明な導電性酸化物、つまりTCO であり、例えば酸化インジウムスズ、つまりITO である。透明電極の十分な電導性を得るためには、使用されるTCO 材料の層の厚さは50nmより大きくあるべきである。しかしながら、このように形成されたTCO 材料の層は脆い。実際、電極に過度の応力が加えられると、電極にひびが生じることが観察され得る。ひびの発生は、TCO 材料の層に応力を加える熱アニール工程を特に有し得る、ユーザインタフェースデバイスを製造する方法を行う際に生じる場合がある。更に、ユーザインタフェースデバイスが動作中に変形することが望まれる場合、例えば、ユーザインタフェースデバイスが非平面状の表面に適用されることが望まれる場合にひびが生じる場合もある。
【0007】
TCO 材料をより高い可撓性を有する材料に置き換える試みがなされている。可能性として、導電性高分子の使用がある。しかしながら、現在利用可能な導電性高分子の導電性の特性は一般に、TCO 材料ほど良くない。別の可能性として、電極を形成すべく金属を使用することがある。しかしながら、透明電極を得るためには、非常に薄い金属層、例えば金では10nmより薄い層を成膜する必要がある。そのため、成膜法が複雑である。別の可能性として、透明電極をナノメートル範囲の金属ワイヤに置き換えるか、又は透明電極をカーボンナノチューブから形成することがある。しかしながら、このような透明電極を製造する方法は複雑であり及び/又は現在のところ低コストで行われ得ない。
【0008】
より一般には、画素が脆い材料の少なくとも1つの層を有すると、TCO 材料の層に関して上述された問題が生じる場合もある。
【0009】
従って、ユーザインタフェースデバイスを製造する際に、又はユーザインタフェースデバイスが動作中に変形するときにひびが入らない、脆い材料の層を備えたユーザインタフェースデバイス、特にはTCO から形成された透明電極を備えたユーザインタフェースの必要性が存在する。
【0010】
従って、本発明は、既存のデバイスの欠点の内の少なくとも一部を克服するユーザインタフェースデバイスを提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、脆い材料の少なくとも1つの層を備えたユーザインタフェースデバイス、特にはTCO 材料から形成された透明電極を備えたユーザインタフェースデバイスを提供することを別の目的とする。
【0012】
本発明は、動作中に変形し得るユーザインタフェースデバイスを提供することを別の目的とする。
【0013】
本発明の実施形態は、ユーザとのあらゆる接触無しに作動し得るユーザインタフェースデバイスを提供することを別の目的とする。
【0014】
本発明の実施形態は、あらゆる放射光を放つことなく作動し得る非接触式ユーザインタフェースデバイスを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、インタフェースデバイスにおいて、画素のアレイ及び透明な絶縁性基板を備えており、前記画素は、接続要素によって前記基板に接続されており、前記接続要素と前記画素との接触表面積が前記基板に対向する画素の表面積より小さいことを特徴とするインタフェースデバイスを提供する。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素と前記画素との接触表面積は、前記基板に対向する電極の表面積の半分より小さい。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素は、前記画素を形成する材料の可撓性より高い可撓性を有する材料から形成されている。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素は、10%以上の破断伸びを有する可撓性材料から形成されている。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記画素は透明な導電性電極を有しており、前記接続要素は前記電極に接続されており、前記接続要素と前記電極との接触表面積が前記基板に対向する前記電極の表面積より小さい。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記電極は透明な導電性酸化物を含んでいる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記透明な導電性酸化物は酸化インジウムスズ又はガリウム添加酸化亜鉛である。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素は少なくともレジストを含んでいる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素は少なくともエラストマを更に含んでいる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、前記接続要素は導電性を有する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記画素は有機フォトンセンサである。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記インタフェースデバイスは、前記電極と前記基板との間で部分的に延びている伝導性要素を前記基板上に更に備えており、前記インタフェースデバイスが変形していないとき、前記電極は前記伝導性要素に接していない。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記伝導性要素は、金属又は導電性高分子を含んでいる。
【0028】
本発明は、上記に定義されているようなインタフェースデバイスを製造する方法であって、
(a) 透明な絶縁性基板をレジスト層で覆う工程、
(b) 前記レジスト層を放射光に晒して接続要素を画定する工程、
(c) 前記レジスト層上に画素を形成する工程、及び
(d) 前記工程(c) の前又は前記工程(c) の後に前記レジスト層を部分的に除去して前記接続要素を形成する工程
を有することを特徴とする方法を更に提供する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、前記工程(c) では、前記レジスト層を透明な導電層で覆い、前記透明な導電層をエッチングして電極を形成する。
【0030】
本発明の実施形態によれば、前記透明な導電層は透明な導電性酸化物を含んでいる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記透明な導電層に追加の層を逐次的に成膜し、該追加の層をエッチングすることにより、前記画素を形成する。
【0032】
本発明の実施形態によれば、前記画素を、印刷技術によって前記電極上に形成する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、前記方法では、前記基板上に伝導性要素を形成し、前記基板及び前記伝導性要素を前記レジスト層で覆う。
【0034】
前述及び他の特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】透明電極を有する既知のユーザインタフェースデバイスの例を示す部分断面略図である。
【
図2】本発明に係るユーザインタフェースデバイスの実施形態を示す部分断面略図である。
【
図3】本発明に係るユーザインタフェースデバイスの実施形態を示す部分断面略図である。
【
図4】
図2のユーザインタフェースデバイスの接続要素の実施形態を示す部分略図である。
【
図5】
図2のユーザインタフェースデバイスの接続要素の実施形態を示す部分略図である。
【
図6】
図2のユーザインタフェースデバイスの接続要素の実施形態を示す部分略図である。
【
図7】
図2のユーザインタフェースデバイスの接続要素の実施形態を示す部分略図である。
【
図8】ユーザインタフェースデバイスの別の実施形態を示す部分断面略図である。
【
図9】ユーザインタフェースデバイスの別の実施形態を示す部分断面略図である。
【
図10】ユーザインタフェースデバイスの別の実施形態を示す部分断面略図である。
【
図11】変形状態のユーザインタフェースデバイスを示す、
図9と同様の断面図である。
【
図12A】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12B】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12C】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12D】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12E】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12F】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図12G】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13A】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13B】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13C】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13D】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13E】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13F】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【
図13G】
図9に示されているユーザインタフェースデバイスを製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す部分断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されており、更に様々な図面は正しい縮尺で示されていない。また、本発明の理解に有用な要素のみが示され説明されている。特に、以降で説明されるユーザインタフェースデバイスを用いてなされる用途は詳細に説明されていない。タッチ式インターフェース及び/又は非接触式インターフェースを介して制御され得るあらゆるタイプのシステムに、提供されたデバイスを使用することは、当業者の技能の範囲内である。更に、以降に説明するユーザインタフェースデバイスによって与えられる情報を処理するための手段、及び制御されるべき一又は複数のシステムと接続するための手段は、当業者の技能の範囲内であり、説明されない。
【0037】
図1は、仏国特許出願公開第1158607 号明細書に述べられているような非接触式ユーザインタフェースデバイスの例を示す。
【0038】
ユーザインタフェースデバイス10は、好ましくは動作要素、例えば指14の影又は画像の変化を検出し得るフォトンセンサ又は光検出器12のアレイを備えている。光検出器12は行及び列に配置されてもよい。光検出器12は、透明な誘電体又は半透明な誘電体、例えばガラス又はプラスチックを含んでいる基板16上に形成されている。
【0039】
各光検出器12は、基板16から以下の順に、
TCO 材料から形成された透明電極18、
例えば高濃度にドープされた透明な有機半導体高分子、又は例えばZnO (酸化亜鉛)タイプの透明な導電性金属酸化物を含んでいる電子注入部分20、
有機半導体高分子、例えばP3HTとして周知のポリ(3−ヘキシルチオフェン)又はポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(P型半導体)とPCBMとして周知の[6,6]−フェニル−C
61 −酪酸メチルエステル(N型半導体)とを混合した混合物を含んでいる光活性部分22、
高濃度にドープされた有機半導体高分子の部分24、(例えばポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン及びポリスチレンスルホン酸ナトリウムの混合物であるPEDOT/PSS として周知の高分子)、
導電層26、例えば銀色インクタイプの導電性高分子に埋め込まれた金属粒子を特には有する導電性インク、
例えば金又は銀を含んでいる電極28
を有する積層体を備えている。
【0040】
保護被膜30が、(電極28側の)アレイの上面を覆っている。
【0041】
光検出器12の光活性部分22は、基板16を通って且つ電極18及び電子注入部分20を通って照射されることが本発明では意図されている。放射光が、矢印32によって概略的に示されている。
【0042】
光検出器12のアレイは受動アレイであっても能動アレイであってもよい。受動アレイでは、透明電極18は並列の直線状ストリップであってもよく、各直線状ストリップは、同一行の全ての光検出器12に接続されてもよい。能動アレイでは、透明電極18は、アレイの光検出器12全てに接する連続層であってもよい。変形例として、透明電極18は互いに離れていてもよく、この場合、光検出器12は互いに独立している。
【0043】
透明電極18の十分な電導性のために、TCO 材料の電極18の厚さe
1は50nmより大きい。
【0044】
透明電極18を形成すべく使用されるTCO 材料は脆い材料である。透明電極18に過度の応力を加えると、このような材料は、特に電導性の点で自身の特性を失う場合がある。実際、所与の応力値を超えると、ひびがTCO 材料に生じ、このようなひびにより電極18の導電率が減少する。このような材料を機械的に特徴付ける技術が幾つかあり、特には、牽引試験又は圧縮試験のために試験棒を使用して、ヤング率、ポアソン比又は破断伸びのような物理的な特性値を決定する。TCO 材料では、破断伸びは一般に小さく、例えば僅か10%である。
【0045】
図2及び3は、本発明に係るユーザインタフェースデバイス50の実施形態を概略的且つ部分的に示す。
図3は、
図2の面III −III に沿った断面図であり、
図2は
図3の面II−IIに沿った断面図である。
【0046】
ユーザインタフェースデバイス50が、ユーザインタフェースデバイス10の要素を備えている。しかしながら、
図1に示されているユーザインタフェースデバイス10とは異なり、ユーザインタフェースデバイス50は、透明電極18と基板16との間に設けられた接続要素52を備えている。従って、電極18は基板16と直接接しておらず、接続要素52によって基板16から離れて設けられている。基板16と各電極18との間隔は20nm以上である。基板16に対向する電極18の表面が参照番号54で示されている。表面54は平面であることが好ましい。各接続要素52と関連する電極18との接触面が参照番号56で示されている。全ての接続要素の接触面56の面積は、基板16に対向する電極18の表面54の面積より小さい。全ての接続要素52の接触面56の面積は、基板16に対向する電極18の表面54の面積の50%より小さく、好ましくは70%より小さいことが有利である。全ての接続要素52の接触面56の面積は、基板16に対向する電極18の表面54の面積の10%より大きいことが好ましい。接続要素52を除いて、電極18は、ガス若しくはガス状混合物により、例えば中性ガス、中性ガスの混合物により、又は空気により基板16から離れている。接触面56の面積は、基板16に対向する電極18の表面54の面積の10%〜50%の範囲内にあることが有利である。
【0047】
接続要素52は、電極18を形成する透明な導電性材料の可撓性より高い可撓性を有する可撓性材料から形成されている。可撓性材料は、弾力的に変形し得る材料を意味し、特には10%より大きい、好ましくは50%より大きい、更に好ましくは100 %より大きい、特には300 %より大きい破断伸びを有する材料を意味する。
【0048】
可撓性材料は、例えばレジストである。可撓性材料は「ポジ型」レジストであってもよい。そのため、特定の放射光に晒されたレジスト部分は、現像溶液と称される特定の水溶液又は有機溶液に可溶性になり、晒されていないレジスト部分は現像溶液に不溶性のままである。可撓性材料は「ネガ型」レジストであってもよい。放射光に晒されたレジスト部分は現像溶液に不溶性になり、晒されていないレジスト部分は現像溶液に可溶性のままである。可撓性材料はレジスト及びエラストマの混合物であってもよい。エラストマは破断伸びが高い高分子である。
【0049】
レジストの例として、
フェノールホルムアルデヒド、例えばジアゾナフトキノン、(つまりDNQ )及びノボラック樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂)の混合物、
ポリヒドロキシスチレン、
ポリ(メタクリル酸メチル)、つまりPMMA、
ポリ(メチルグルタルイミド)、つまりPMGI、及び
エポキシベースの高分子(例えば、Micochemによって商標名SU-8で販売されているレジスト)
の化合物が含まれる。
【0050】
本実施形態では、電極18は直線状ストリップである。直線状ストリップの一端部が、図示されていない処理回路に接続されている。接続要素52が各電極18に関連付けられており、電極18及び基板16間に延びている直線状ストリップに相当する。変形例として、複数の接続要素が各電極18及び基板16間に配置されてもよい。
【0051】
電極18はTCO 材料から形成されている。透明な導電性酸化物の例として、
酸化インジウムスズ、つまりITO 、
酸化スズ、
フッ素をドープした酸化スズ、つまりFTO、
酸化亜鉛、
アルミニウムをドープした酸化亜鉛、つまりAZO、及び
インジウムをドープした酸化カドミウム
がある。
【0052】
ユーザインタフェースデバイス50の大きさは、一例として、
基板16の厚さe
2:20μm〜125 μm、
各電極18の厚さe
1:50nm〜500 nmであり、好ましくは50nm〜200 nmであり、更に好ましくは約125 nm、
光検出器12の厚さe
3、つまり、電子注入部分20、光活性部分22、部分24及び導電層26によって形成された積層体の厚さ:500 nm、
各電極28の厚さe
4:100 nm〜500 nm、及び
保護被膜30の厚さe
5:20μm〜200 μm
である。
【0053】
各接続要素52は、1μm 〜100 μm の範囲内の、
図3の断面に垂直な方向に沿って測定された厚さe
6と、20nm〜5μm の範囲内の、光検出器12の積層方向に沿って測定された厚さe
7とを有する。
【0054】
各電極18が直線状ストリップであるとき、各電極18の長さL
1は、例えば10μm 〜1mmの範囲内である。
【0055】
実施形態によれば、ユーザインタフェースデバイス50は、動作要素が光源とアレイとの間に置かれるときに、センサ12のアレイ上の動作要素14の投影の変化を検出することができ、動作要素の位置の変化を表す情報を検出結果から導き出すことができる。動作要素14はユーザの指、手又はあらゆる他の対象物であってもよい。光源は、周辺光、例えば太陽、又は建物の部屋の内部の電気照明であることが好ましい。
【0056】
動作要素14が光源とセンサアレイとの間に置かれるとき、センサアレイ上の動作要素の投影により、複数のセンサ12の内の一部によって受ける光強度が減少する。このため、ユーザインターフェースデバイス50は、センサアレイに近い動作要素14の存在を検出することができる。
【0057】
別の実施形態によれば、ユーザインタフェースデバイス50は、フォトンセンサ12により得られた動作要素14の画像を使用して、動作要素の位置に関する情報を得ることができる。実際には、光源がセンサアレイ上の動作要素の投影軸に正確に置かれる場合を除いて、動作要素14の投影及び画像は一致しないことに留意すべきである。変形例として、ユーザインタフェースデバイス50は動作要素14の投影及び画像の両方を検出して、動作要素の位置又は位置の変化に関する更に正確な情報を得てもよい。
【0058】
本発明では「動作要素14の位置」はユーザインタフェースデバイス50に対する相対的な位置を意味することに注目すべきである。ユーザインタフェースデバイス50が移動し、動作要素14が固定したままの実施形態が提供されてもよい。
【0059】
図面に示されていないが、ユーザインタフェースデバイス50は、光検出器12によってもたらされる信号を処理するための手段(例えば、マイクロプロセッサ)と、制御されるべきデバイス又はシステムと通信するための手段(ワイヤ又は無線リンク)とを備えてもよい。
【0060】
更に、図示されていないが、各光検出器12は、集束レンズ、例えばフレネルレンズを有してもよい。レンズネットワークが、光検出器12のアレイの感光性領域と基板16との間の界面を更に形成しているか、又は基板16と一体化されている。レンズの使用によって、特に動作要素がユーザインタフェースデバイス50から遠く離れているとき、動作要素の検出の横方向分解能が高められ得る。
【0061】
変形がユーザインタフェースデバイス50に加えられるとき、基板16が変形する。可撓性の接続要素52はダンパーとして機能し、透明電極18への変形の伝達を減少させる。従って、電極28にもたらされる応力が減少する。接続要素52は、移動して変形可能な基板16の湾曲による機械的応力を吸収することができる可撓性パイルである。更に、接続要素52は、接続要素52と電極18との接触表面積を減少させることによって、画素12に存在する機械的応力を減少させることができる。
【0062】
光検出器12のアレイは「能動」アレイであってもよい。そのため、各光検出器12は個々に選択され得る。このために、光検出器アレイ内に、各光検出器に関連した一又は複数のアクセストランジスタを有してもよい。トランジスタは、印刷技術によって液状又はゲル状の有機半導体材料から形成されてもよい。トランジスタは保護被膜30側に設けられてもよい。光検出器12のアレイは「受動」アレイであってもよい。そのため、透明電極18はアレイの行に沿って延びている並列の直線状ストリップであってもよく、金属電極28はアレイの列に沿って延びている直線状ストリップであってもよい。
【0063】
図4〜7は接続要素52の複数の外形を示す断面図である。
図4では、接続要素52は矩形状の外形を有する。
図5では、接続要素52は両凹の外形を有する。
図6では、接続要素52は、電極18に取り付けられたより小さな基部と基板16に取り付けられたより大きな基部とを含む台形状の外形を有する。
図7では、接続要素52は、基板16に取り付けられたより小さな基部と電極18に取り付けられたより大きな基部とを含む台形状の外形を有する。各外形は、使用される層及び製造技術に応じて有利であり得る。
図4の外形は、形成が技術的により容易であり、優れた応力耐性を与える。
図5の外形の主な利点は、小さな中央部分を維持しながら、基板16及び電極18と接するより大きな表面積を有することである。このため、基板16及び電極18への優れた結合性を有すること、及び、小さな中央部分によって有利な機械的性質を維持することの両方が可能になる。
図6及び7でも、基板16(
図6)又は電極18(
図7)への結合を好ましくは促進することにより、この利点が使用される。
【0064】
図8は、ユーザインタフェースデバイス57の別の実施形態の
図2と同様の図面である。本実施形態では、ユーザインタフェースデバイス57は、基板16上に配置された伝導性要素58を更に備えている。接続要素52は伝導性要素58を電極18に接続する。伝導性要素58は直線状ストリップであってもよい。伝導性要素58は金属要素であってもよく、例えば銀を含んでもよい。伝導性要素58の厚さは10nm〜500 nmの範囲内である。伝導性要素58は透明でない可能性がある。
【0065】
接続要素52は既に述べられた特性を有しており、導電性を更に有する。接続要素52は、追加の導電性エラストマ(例えば、導電性粒子が充填されたシリコンエラストマ)を含有する絶縁性レジストを含んでもよい。導電性エラストマの割合は、接続要素52の質量に対して1質量%〜10質量%の範囲内で変わる。
【0066】
導電性エラストマの破断伸びは100 %〜300 %の範囲内である。導電性エラストマは導電性粒子が充填されたシリコンであってもよい。シリコンは−50℃から+125 ℃の範囲内で安定していることが好ましい。金属粒子は、銅及び銀の粒子であってもよく、純銀の粒子であってもよく、ニッケル及び黒鉛の粒子であってもよく、アルミニウム及び銀の粒子であってもよく、並びに/又はアルミニウムの粒子であってもよい。エラストマは、エラストマの質量に対して1質量%〜50質量%の範囲内の金属粒子を有してもよい。金属粒子は、例えば数ナノメートルから数マイクロメートルの平均粒径を有する。エラストマの電気抵抗率は例えば0.007 Ω・cm未満である。このようなエラストマは、商標名GT 2000 でGETELEC によって販売されているエラストマであってもよい。
【0067】
従って、基板16の応力状態が何であれ、光検出器12は伝導性要素58に絶えず電気的に接続されている。
【0068】
図9は、ユーザインタフェースデバイス60の別の実施形態の
図2と同様の図である。本実施形態では、ユーザインタフェースデバイス60は、接続要素52側の基板16上に配置されて透明電極18の下で部分的に延びている伝導性要素62を更に備えている。伝導性要素62は、センサ12に向かう放射光の通過を可能にする開口部64を画定している。伝導性要素62は金属要素であってもよく、例えば銀を含んでもよい。伝導性要素62の厚さe
8は、接続要素52の厚さe
7より小さい。伝導性要素62の厚さe
8は10nm〜500 nmの範囲内である。伝導性要素62は透明でない可能性がある。
【0069】
伝導性要素62は直線状ストリップであってもよい。例として、透明電極18が並列の直線状ストリップである場合、伝導性要素62は電極18に平行な直線状ストリップであってもよい。
【0070】
図10は、
図9の線X−Xに沿った断面図を示し、伝導性要素62及び接続要素52の実施形態を示している。本実施形態では、接続要素52は、例えば正方形又は矩形状の断面を有するパッドの形状を有しており、伝導性要素62は互いに接続されており、各接続要素52の周りに開口部64を画定している。開口部64は、正方形、矩形、円形、楕円形などの断面を有してもよい。各開口部64は、光線の通過を可能にすべく光検出器12の積層体と略一致している。
【0071】
図11は、例えば動作要素14によって、圧力が保護被覆30に加えられているときのユーザインタフェースデバイス60を示す。本実施形態では、伝導性要素62は、図示されていない処理回路に接続されている。ユーザインタフェースデバイス60が変形していないとき、透明電極18は伝導性要素62に接していない。そのため、ユーザインタフェースデバイス60は作動しない。圧力がユーザインタフェースデバイス60に加えられると、保護被覆30が変形する変形領域65が動作要素14の作用により現われる。このため、変形領域65内の光検出器12に接続された接続要素52が変形する。光検出器12は、隣り合う伝導性要素62と接するまで移動する。このように伝導性要素62に接続された光検出器12に蓄えられた信号のみが、処理回路によって測定されてもよい。ユーザインタフェースデバイス60は、非接触式検出ディスプレイとして及びタッチセンサ式ディスプレイとして同時に使用されてもよい。変形例として、変形が基板16側に加えられてもよい。
図11には、変形領域65内において、電極18と基板16との間に設けられた2つの隣り合う伝導性要素62に接する光検出器12が示されている。変形例として、変形領域65の位置に応じて接続要素52が変形することにより、光検出器12が、電極18と基板16との間に設けられた一対の伝導性要素62の内の1つと接触するまで、光検出器12が傾いてもよい。
【0072】
例えば、適用例として、非接触式ユーザインタフェースデバイス60が適切に変形するときのみ、非接触式ユーザインタフェースデバイス60が作動することを確認することがある。例として、ユーザインタフェースデバイス60は初め、光検出器12が伝導性要素62に接続されていない平面的構造である。そのため、非接触式ユーザインタフェースデバイス60は作動しない。目標とする適用に応じて、ユーザインタフェースデバイスは、平面ではない支持体の表面に適用される。このため、ユーザインタフェースデバイス60は変形して、透明電極18は伝導性要素62と接する。そのため、ユーザインタフェースデバイス60は非接触式ディスプレイとして使用され得る。それ故、ユーザインタフェースデバイスは、基板が機械的変形を受けていないとき作動せず、基板が機械的変形を受けるとき作動する。
【0073】
図12A 〜
図12G は、
図9に示されているユーザインタフェースデバイス60を製造する方法の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す。
【0074】
図12A は、基板16上に伝導性要素62を形成する工程の後に得られた構造体を示す。例として、伝導性要素62は蒸着法によって基板16上に形成される。
【0075】
図12B は、伝導性要素62を完全に覆うべく
図12A の構造体をレジスト層64で覆い、その後、レジスト層64上にTCO 材料、例えばITO の層66を成膜した後に得られた構造体を示す。本実施形態では、レジストはネガ型レジストである。レジスト層64はスピンコート法によって成膜されてもよい。TCO 材料の層66は陰極スパッタリングによって成膜されてもよい。
【0076】
図12C は、レジスト層64にパターン70を形成すべく、マスク68を介してレジスト層64を放射光に晒す工程、つまり照射工程の後に得られた構造体を示す。パターン70は様々な図面に点線で示されている。マスク68は、レジスト層64に転写されるべきパターンを再現する開口部74を有している。レジスト層64を晒すために使用される放射光は矢印76によって示されている。
【0077】
変形例として、TCO 材料の層66を成膜する工程は、レジスト層64を晒す工程の後に行なわれてもよい。
【0078】
図12D は、透明電極18を画定すべくITO の層66をエッチングする工程の後に得られた構造体を示す。ITO の層66のエッチングはレーザエッチングであってもよい。
【0079】
図12E は、接続要素52を画定すべくレジスト層64を部分的に除去した後に得られた構造体を示す。レジスト層64の除去は、適した水溶液又は有機溶液に照射されていないレジスト部分を溶解することにより行なわれてもよい。
【0080】
図12F は、光検出器12を形成した後に得られた構造体を示す。光検出器12を形成する積層体は印刷法によって形成されてもよい。前述の電子注入部分20、光活性部分22、部分24及び導電層26の材料は、液体の形態で、例えばインクジェットプリンタにより導電性の半導体インクの形態で成膜される。本発明では液体の形態の材料は、印刷技術によって成膜され得るゲル材料を更に含んでいることに注目すべきである。アニール工程は異なる層の成膜間に行われてもよいが、アニール温度は150 ℃を超えることができず、成膜及びあり得るアニールは大気圧で行なわれてもよい。印刷技術による有機半導体部品の形成は、例えば、Jean-Yves Laurent等著,論文「CEA-LITEN S2S Printing Platform for Organic CMOS and Sensors Devices」,LOPE-C Conference,2011年6月,フランクフルトに記載されている。
【0081】
図12G は、
図12F に示されている構造体を金属電極28を有する保護被膜30で覆った後に得られた構造体を示す。光検出器12の導電層26への金属電極28の結合は、例えば導電性接着剤を使用した積層により行なわれてもよい。
【0082】
図13A 〜
図13G は、
図9に示されているユーザインタフェースデバイス60を製造する方法の別の実施形態における逐次的な工程で得られた構造体を示す。
【0084】
図13D は、層66上に層80、層82、層84及び層86を逐次的に成膜した後に得られた構造体を示す。層80は、例えば酸化亜鉛層(電子供与層)である。層82は有機半導体高分子である。層84は、高濃度にドープされた有機半導体高分子を含んでいる(正孔供与層)。層86は導電性材料、例えば炭素を含んでいる。層80、層82、層84及び層86はシルクスクリーン、インクジェット印刷又はスピンコートによって成膜されてもよい。
【0085】
図13E は、各光検出器12の導電層26、部分24、光活性部分22及び電子注入部分20を逐次的に画定して透明電極18を画定するために、層86、層84、層82、層80及び層66をエッチングした後に得られた構造体を示す。エッチング法はレーザエッチングであってもよい。層86、層84、層82、層80及び層66は順次エッチングされることが好ましい。実際、レーザエッチング条件は、層86、層84、層82、層80及び層66毎に固有であってもよい。
【0086】
図13F は、接続要素52を画定すべくレジスト層64を部分的に除去した後に得られた構造体を示す。レジスト層の除去は、適した水溶液又は有機溶液に照射されていないレジスト部分を溶かすことにより行なわれてもよい。
【0088】
本発明の特定の実施形態を説明した。様々な変更及び調整が当業者に想起される。特に、本発明は電極18と基板16との間、又は電極18と伝導性要素58との間に設けられた接続要素52を有するユーザインタフェースデバイスに関して述べられているが、接続要素52は電極28と保護被覆30との間に配置されてもよい。更に、接続要素52は、電極18と基板16(又は伝導性要素58)との間と、電極28と保護被覆30との間との両方に設けられてもよい。接続要素が両方に設けられる場合は、各光検出器12の最上部及び底部の両方に応力を分散させ、従って、過度の応力の発生を回避させることが有利である。
【0089】
更に、本発明は光検出器アレイを備えたユーザインタフェースデバイスに関して述べられているが、本発明は、透明基板で覆われた透明なTCO 電極に接続されたフォトン放出要素又はフォトンの通過を変更する要素のアレイを備えた表示画面に適用されてもよい。
【0090】
異なる変形例を有する様々な実施形態が上記に述べられている。当業者は、いかなる進歩性も示すことなくこれらの様々な実施形態及び変形例の様々な要素を組み合わせてもよいことを注目すべきである。例として、
図5〜7に示されている接続要素52の外形が、
図8及び9に示されているユーザインタフェースデバイスの実施形態と共になされてもよい。