(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138919
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】可動式内箱部を有するパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20170522BHJP
B65D 5/38 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D5/38 D
B65D5/38 J
B65D5/38 K
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-509429(P2015-509429)
(86)(22)【出願日】2013年5月1日
(65)【公表番号】特表2015-519267(P2015-519267A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2013059071
(87)【国際公開番号】WO2013164373
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2014年12月25日
(31)【優先権主張番号】12166478.3
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,ティム
(72)【発明者】
【氏名】デシラジュ,バヌキラン
【審査官】
西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第20107274(DE,U1)
【文献】
特開2008−162649(JP,A)
【文献】
特開2009−083932(JP,A)
【文献】
特開2010−058845(JP,A)
【文献】
米国特許第01877468(US,A)
【文献】
米国特許第03749234(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
B65D 5/00− 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱部と、
前記外箱部の内部に配され、該外箱部内で開口部を通じて閉位置と開位置との間で該外箱部に対して移動可能であるとともに、前記閉位置と前記開位置との間の移動時に前面および背面が装着タブと接触して間欠的な抵抗力を受ける様に配設されている内箱部と、
前記内箱部から前記外箱部に向けて延在する可撓性の連結要素と
を備え、
前記可撓性の連結要素は前記外箱部に対する前記内箱部の移動を規制するように設けられているパッケージ。
【請求項2】
前記閉位置と前記開位置との間の前記内箱部の移動は回動を含む、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記閉位置と前記開位置との間の前記内箱部の移動は、前記内箱部の外側側面から奥まった位置にある軸を中心とする回動を含み、該外側側面は前記内箱部が前記閉位置にある場合の前記外箱部の前記開口部に向けて配設される、請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記連結要素は、前記内箱部が前記閉位置にあるときには前記開口部から離間するように前記外箱部から延在し、該内箱部が前記開位置にあるときには前記開口部に向かって前記外箱部から延在する、請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記連結要素は前記内箱部の内側側面に連結され、該内側側面は該内箱部が前記閉位置にあるときに前記外箱部の前記開口部から離間して配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記連結要素が前記外箱部の上面に連結されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記連結要素は、前記内箱部の内側側面に該連結要素が連結され、かつ前記内箱部が前記閉位置にあるときに、該連結要素が連結されている接続面から離間した位置において前記内側側面に連結されている、請求項5または6に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記連結要素は互いにヒンジ式に連結された複数の連結節を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記内箱部が前記閉位置にあるときに、前記連結要素が連結されている前記外箱部の接続面に対して少なくとも一つの連結節が平行に延在し、且つ、前記内箱部の内側側面に対して少なくとも一つの連結節が平行に延在する、請求項8に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記内箱部が前記閉位置にあるときに、前記外箱部の前記接続面に対して少なくとも二つの連結節が平行に延在する、請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の前記内箱部を成形するためのブランク。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の前記外箱部を成形するためのブランク。
【請求項13】
請求項11に記載の前記ブランクを折り畳むことを含む、内箱部の成形方法。
【請求項14】
請求項12に記載の前記ブランクを折り畳むことを含む、外箱部の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ねパッケージ分野に関し、特にタバコ製品用のパッケージに関する。より具体的には、本発明は新型のシガレット用パッケージと、かかるパッケージの制作に用いられるブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ、特に消費者向製品用のパッケージには常に改良が要求されている。かかる改良には、コストと品質に対する要求を同時に考慮する必要があるが、これらは時に相反する。パッケージを量産する必要がある場合には特段の制約があり、それは消費者向パッケージにしばしば当てはまる。
【0003】
かかる困難さが際立つ分野のひとつがタバコ製品用、特にシガレット用のパッケージの製造である。かかる用途向けのパッケージは、多くの特有の負担に晒される。このパッケージは量産を容易化するために典型的には厚紙ブランクから成形され、取扱いや保管がぞんざいに行われることも多い。さらに、このパッケージは繰り返しの開閉に耐えなければならない。
【0004】
シガレット用パッケージの最も一般的なデザインは、ヒンジ開閉式の蓋を持つものであろう。このデザインでは、パッケージの上部がパック本体の背面側でヒンジ式に取り付けられた蓋として機能する。
【0005】
かかるヒンジ開閉式の蓋付きパックは比較的安価に製造でき、閉位置にあるときは比較的丈夫であるが、蓋そのものは開けたとき、及び開ける動作時にダメージを受けやすい。例えば、パック本体と蓋とを繋ぐ折り曲げ線は、蓋を正しく閉めないと裂けやすい。また、保管場所、例えばポケットからパッケージを取り出す際に蓋が不用意に開いてしまう危険もある。
【0006】
さらに、ユーザー・エクスペリエンスに一層優れたパッケージを提供することへの要求は常に存在する。たとえ壊れていなくても、ヒンジ開閉式の蓋付きパックは一方の手で本体を持ち、他方の手で蓋を掴むという様に、開ける動作に両手を必要とする。しかも、パッケージの開口動作が完了したことをユーザーに告げる合図が何もない。
【0007】
かかる背景から、シガレットパッケージの他のデザインを開発する努力が続けられている。他のデザインの例として、外箱部の内側に内箱部が配されたものがある。この内箱部にはユーザーがシガレットを取り出すことができる開口部があり、該内箱部は外箱部に対して閉位置と開位置との間で移動できる。上記内箱部が閉位置にあるとき、上記開口部は外箱部に隠れ、一方、該外箱部が開位置へ移動すると上記開口部が現れる。
【0008】
上記内箱部の閉位置と開位置との間の移動には回動要素が関与していてもよく、該内箱部は外箱部から外側に向けて「スイング(揺動)」する。或いは、この移動は直線的であって、「スライド(摺動)」の動きを生ずるものであってもよい。これら「スイング式」又は「スライド式」のパックにおいては、上記内箱部が開位置を超えて移動するとシガレットが誤って落下するおそれがあるため、内箱部の移動に或る程度の抵抗力が付与されることが重要である。
【0009】
この抵抗力は、典型的には内箱部と外箱部に設けられた係止タブによって達成される。上記内箱部が開くと、該内箱部に設けられたタブが、これに対応する上記外箱部のタブまたはフラップの裏側に受容され、所定の開位置を超える移動が阻止される。しかし、この機構には繰返し使用中にタブそのものが傷んだり、タブが係合できなくなったりする問題がある。
【0010】
また、ユーザー・エクスペリエンスを高めることが可能なパッケージ・デザインについても改善要求が常に存在する。同時に、パッケージが丈夫で、且つ比較的安価に製造できることも、依然として望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様によれば、外箱部と、上記外箱部の内部に配され、該外箱部内で開口部を通じて閉位置と開位置との間で該外箱部に対して移動可能であるとともに、前記閉位置と前記開位置との間の移動時に
前面および背面が装着タブと接触して間欠的な抵抗力を受ける様に配設されている内箱部と、上記内箱部から上記外箱部に向けて延在する可撓性の連結要素と、を備え、上記可撓性の連結要素は上記外箱部に対する上記内箱部の移動を規制するように設けられているパッケージが提供される。
【0012】
本発明によれば、連結要素を設けることで内箱部が不用意に、又は過剰に開くことを防止できる。この連結要素は上記内箱部と上記外箱部との間に延在し、これにより該内箱部は該連結要素が強く引っ張られている場所より先には進むことができない。上記連結要素は上記内箱部と外箱部の双方に取外し不能に接続されてよい。かかる機構は上述の危険性、即ち、係合の不良により上記内箱部が開きすぎてしまう問題を生じない。さらに、上記連結要素は可撓性であるため、上記内箱部の移動につれてその形状が変化するように設けることができる。これにより、例えば上記内箱部が閉位置にあるときには上記連結要素を該内箱部の周囲に折り畳むことができる。即ち、上記連結要素は上記内箱部そのものの本来あるべき構造を過度に制限することも、上記外箱部の内部に余分なスペースを要求することもない。
【0013】
タブやそれに類する構造を必要としない連結要素を上記内箱部又は外箱部の面上に設けることのもう一つの利点は、かかる要素によって不要となった上記スペースを別の用途に振り向けられることである。
【0014】
上記閉位置と開位置との間の上記内箱部の移動は、回動を含む動きであることが好ましい。例えば、上記内箱部は或る回動軸の周りに回動することができる。また他の例では、上記内箱部の移動は直線的な動き、又は直線運動と回動との組合せを含んでもよい。回動は、ユーザーにとって内箱部の中身を取り出すのに極めて便利であり、また操作感も心地よい。回動はまた、上記外箱部の2つの隣接面から離間する方向に上記内箱部を移動させるために利用されてもよく、上記の操作又は上記連結要素の回動の余地をより大きく与える。実際、上記連結要素の移動用に適当なスペースを確保するためには、上記移動が上記外箱部の少なくとも二つの面に垂直な成分を含むことが概して好ましい。
【0015】
好ましい態様において、上記閉位置と開位置との間の上記内箱部の移動は、上記内箱部の外側側面から奥まった位置にある軸を中心とする回動を含み、該外側側面は該内箱部が前記閉位置にある場合の該外箱部の開口部に向けて配設される。したがって、上記内箱部が上記開位置へ向けて回動するにつれ、該内箱部の外側が該内箱部に対して下方向へ移動する。これにより、上記内箱部の回動を受け容れるために必要な上記外箱部の内部スペースが少なくて済み、コンパクトなパッケージを製造することが可能となる。
【0016】
好ましい態様において、上記連結要素は、上記内箱部が上記閉位置にあるときには上記開口部から離間するように上記外箱部から延在し、該内箱部が上記開位置にあるときには上記開口部に向かって上記外箱部から延在する。したがって、上記内箱部が上記開位置と閉位置との間を移動するにつれ、上記連結要素は2つの異なる方位の間で移動する。この様にして、上記連結要素は、上記内箱部が上記閉位置にあるときには首尾良く収納される。
【0017】
上記連結要素は上記内箱部の内側側面に連結されていることが好ましく、ここで該内側側面は、上記内箱部が上記閉位置にあるとき、上記外箱部の上記開口部から離間して配置されている。さらに、上記連結要素は上記外箱部の上面に連結されていることが好ましい。特に好ましい態様においては、上記連結要素は上記内箱部の内側側面から、該内箱部の上端よりも上方に位置する上記外箱部の上面へ延在している。上記内箱部が上記閉位置から開位置へと外方向に移動するにつれ、上記連結要素は回動して上記内箱部の背後に確保された上記外箱部内のスペースに入る。最初に、上記連結要素は下方向に引っ張られてこのスペースに入り、その長さ一杯まで上記内箱部の裏側で外方向に引っ張られ、この地点で上記内箱部が該地点を超えて移動することを阻止する。
【0018】
このプロセスを簡便化するには、上記連結要素は、上記内箱部が上記閉位置にあるときに、該連結要素が連結されている上記外箱部の接続面から離間する位置において上記内側側面に連結されていることが好ましい。この構成により、上記内箱部が上記閉位置から開位置へと移動するにつれ、該内箱部の背後で上記連結要素が下方向へ引っ張られ易くなる。上記接続面は、上述の様に上面であってもよいが、他の態様では前面、背面、底面等の他の面でもよい。上記接続面は、上記内箱部の上記内側側面に対して実質的に垂直であることが好ましい。
【0019】
好ましい態様において、上記連結要素は互いにヒンジ式に互いに連結された複数の連結節を有し、分節型の連結要素とされている。これら異なる部分により上記連結要素は可撓性が自在に制御され、上記内箱部が上記閉位置と開位置との間を移動する際に所望の経路に沿って流れる様に動くことができる。上記内箱部が閉位置にあるとき、少なくとも一つの連結節が上記外箱部の上記接続面に対して平行に延在し、少なくとも一つの連結節が上記内箱部の上記内側側面に対して平行に延在することが好ましい。特に、上記内箱部が上記閉位置にあるとき、上記内側側面から延在する一つの連結節が該内側側面に平行に延在することが好ましい。さらに、上記内箱部が上記閉位置にあるとき、上記外箱部の上記接続面から延在する連結節が該外箱部に平行に延在することが好ましい。特に好ましい態様において、上記内箱部が上記閉位置にあるときに、少なくとも二つの連結節が上記外箱部の上記接続面に対して平行に延在する。この構成は、コンパクト且つ丈夫であり、内部で上記連結要素が回動可能なデザインを実現する上で特に効果的であることが解っている。さらに、上記連結節が前述のように構成されていることによって、即ち、少なくとも二つの連結節が上記外箱部の上記接続面に平行に延在し、少なくとも一つの連結節が上記内箱部の上記内側側面に平行に延在していることによって、上記閉位置から 開位置へ上記内箱部が移動する際に、段階的な開口効果が達成される。
【0020】
ここで、上記内箱部の上記内側側面に平行に延在する連結節を始点とし、分節型の連結要素に沿って移動する各連結節をそれぞれ第1、第2及び第3の連結節と称することにする。例えば、上記段階的な開口効果の第1段階は、上記内箱部の上記閉位置と、上記内側側面の面が上記第2及び第3の連結節との間のヒンジを通過する地点との間で定義される。続いて、上記段階的な開口効果の第2段階は、上記内側側面の面が上記第2及び第3の連結節との間のヒンジを通過する地点と、上記内箱部の上記開位置との間で定義される。上記第1段階では、上記内箱部が上記閉位置から上記開位置へ向けて移動するにつれ、上記第2の連結節が該第2及び第3の連結節との間で上記ヒンジを中心として回動するが、該第3の連結節は上記外箱部の上記接続面に対して実質的に平行を保つ。上記第2の段階では、上記第3の連結節は、該第3の連結節と上記外箱部の上面との間で上記ヒンジを中心として回動できる。この構成は、スムーズかつ丈夫な段階的開口効果をユーザーに与える上で有利である。
【0021】
上記連結要素は上記内箱部と一体的に形成されていることが好ましい。例えば、上記連結要素と上記内箱部とは1枚のブランクから成形することができる。好ましい態様においては、上記パッケージに上記連結要素をわざわざ別に設けることが回避されることで、余分な製造コストが発生することを避けることができる。
【0022】
好ましい態様において、上記外箱部はヒンジ開閉式のタブを備え、上記内箱部はそのヒンジ開閉式タブの上に取り付けられている。上記ヒンジ開閉式タブは上記内箱部のベースに連結されていることが好ましい。上記連結要素は上記内箱部の移動を制限することができるが、該ヒンジ開閉式タブはその上で生ずる移動の経路を少なくとも部分的に定義することができる。前述した様に、かかる経路は例えば回動要素を含む。ここで、上記ヒンジ開閉式タブはヒンジ開閉式フラップとも称される。
【0023】
上記ヒンジ開閉式タブは、上記内箱部が上記閉位置にあるとき、上記外箱部のベースの上方で折り畳まれていても、いなくてもよい。
【0024】
上記内箱部が回動できる構成では、回動軸は上記内箱部の側面に沿っていてもよいし、該側面からずれていてもよい。好ましい態様では、上記回動軸は上記側面からずれている。したがって、上記内箱部が回動するにつれ、少なくともその一部がまず上記外箱部に対して上昇した後に下降し、回動軸の上方を通過する。
【0025】
好ましい態様において、上記内箱部の少なくとも一部がまず上記外箱部に対して上昇した後に下降し、回動軸の上方を通過するという効果は、上記内箱の側面から上記軸がずれていることによるもので、この効果は上記内箱部の上記開位置と閉位置との間の移動に対して間欠的な摩擦抵抗を付与するために利用される。他の態様では、上記内箱部の移動に対する間欠的な抵抗力を付与するための別の手段を用いることもできる。したがって、上記内箱部は上記閉位置と開位置との間の移動時に間欠的な抵抗力を付与されるように配設されてよい。これにより、上記ユーザーの操作感ではパッケージを開けるプロセスが2段階となり、摩擦抵抗が生ずるまでの地点が第1段階、それ以降が第2段階となる。但し、これら2段階は上述した連結節の構成に由来する上記段階と等価ではない。これにより、上記パックの品質や丈夫さに関する好ましい印象をユーザーに感覚的に伝えることができる。なお、これら2段階の開口効果は、上記連結節の構成に由来する上記の段階的な開口効果に対して代替的に、又は相補的に作用すると言える。
【0026】
好ましい態様において、上記内箱部は該内箱部の中の製品を取り出すことができる開口部を少なくとも一つその上面に有し、該開口部は該内箱部が上記第1の位置にあるときに上記外箱部に隠れる。したがって、上記第1の位置は閉位置であり、この位置で製品を取り出すことはできない。第2の位置である開位置では、上記外箱部は上記開口部を隠さない。
【0027】
上記内箱部の上記開口部は、該内箱部の少なくとも一方の側に向けて延在することが好ましい。かかる構成は、ユーザーにとって上記内箱部の中の製品を取り出すことがさらに容易となる。
【0028】
本発明の好ましい態様は、複数の内箱部を含む。ここで、複数の可撓性の要素は、その少なくとも一つが各内箱部に付随するように設けられていることが好ましい。本発明における上記可撓性の連結要素は、複数の内箱部が設けられる場合に特に有用である。各内箱部は上記外箱部より小さくなければならないからである。従来の内箱部の移動制限手段でこれを行おうとすると、信頼性を損なうおそれが増し、また上記外箱部に内部スペースを確保することがより重要になってしまう。
【0029】
好ましい態様において、上記内箱部と上記外箱部はそれぞれ、紙、厚紙、プラスチック材料、又はこれらの組合せで作成される1枚のブランクから得られる。実際、本発明はさらに上記内箱部及び上記外箱部の製造に用いられるブランクを包含する。本発明はさらに上記内箱部又は上記外箱部をかかるブランクから成形する方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1Aは外箱部の内部で各内箱部が閉位置にあるときの好ましい一態様にかかるパッケージを示し、
図1Bは各内箱部が開位置にあるときの上記好ましい一態様を示す。
【
図2】
図2Aは上記好ましい態様にかかる上記外箱部が成形されるブランクを示し、
図2Bは上記好ましい態様にかかる上記の各内箱部が成形されるブランクを示す。
【
図3】
図3Aは一方の内箱部が閉位置にあるときの上記パッケージの上部を示す詳細図であり、
図3Bは該内箱部が上記閉位置と開位置との間の第1の中間位置にあるときの該パッケージの上部を示す詳細図であり、
図3Cは該内箱部が上記閉位置と開位置との間の第2の中間位置にあるときの該パッケージの上部を示す詳細図であり、
図3Dは該内箱部が開位置にあるときの該パッケージの上部を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の好ましい態様にかかるパッケージ1を
図1Aと
図1Bに示す。このパッケージは外箱部100と2個の内箱部150とを備えている。各内箱部150は閉位置と開位置との間で外箱部100に対して独立に移動可能である。
【0032】
上記好ましい態様にかかるパッケージ1はタバコ製品の保管に用いられる。特に、パッケージ1はシガレット用パッケージであることが好ましい。図示されてはいないが、これらシガレットは上記パッケージ内に縦方向に収納されており、ユーザーは内箱部150が開位置にあるときに該内箱部からそれらを取り出すことができる。
【0033】
図1Aではこれら内箱部150は各々の閉位置にあるが、
図1Bでは内箱部150は各々の開位置にある。内箱部150は開口部160を有し、ここからユーザーは上記パッケージ内の製品、好ましい例としてはシガレットを取り出すことができる。
図1Aに示す閉位置では、開口部160が外箱部100に隠れていることがわかる。したがって、内箱部150が閉位置にあるとき、ユーザーは製品を取り出すことはできない。反対に、内箱部150が回動して
図1Bに示す様に開位置にあるとき、開口部160がユーザーの前に現れ、製品が取り出せるようになる。
図1Bでは双方の内箱部150が回動して開位置にある様に見てとれるが、該内箱部は個々に独立に操作される。したがって、これら内箱部150は或る時点で別々の位置にあってよい。
【0034】
内箱部150はさらに、外箱部100の上面に連結された連結要素170を備える。外箱部100の上面はこうして連結要素170の接続面として機能する。連結要素170は、内箱部150が開位置を超えて移動することを阻止する。これら内箱部150は外箱部100の基部にも連結されており、特に外箱部100のヒンジ式フラップの上に装着されている。上記ヒンジ式フラップはパッケージ1の側面から奥まった位置を中心として回動するように配設されている。したがって、これら内箱部150が開位置へ向けて外方向に回動するにつれ、該内箱部150の外側側面と底部の角とが外箱部100に対して下方向に移動し、該外箱部100の底面よりも低い位置に至る。かかる構成によれば、パッケージ1の外形寸法、特に高さは、クラッシュプルーフ箱として知られる従来のシガレット・パックと変わらない。
【0035】
連結要素170は可撓性を有する。したがって、その形状は上記開位置と閉位置との間を内箱部150が移動する間に変化し得る。本実施例では、内箱部150が閉位置にあるとき、連結要素170が内箱部150の周囲で折り畳まれるので、外箱部100の内部でこれ以上のスペースは不要である。
【0036】
上記内箱部及び外箱部の構造をさらに理解するため、
図2Aと
図2Bを参照する。これらは、外箱部100と内箱部150を製造するためのブランクをそれぞれ示す図である。
【0037】
図2Aを見ると、外箱部100は前面101と背面102とを備えている。この前面101と背面102との間に、上面103が設けられている。底面104は前面101と繋がって成形された第1の底面部104aと、背面102と繋がって成形された第2の底面部104bとを有する。ヒンジ式フラップ105が第2の底面部104bに連結して設けられている。外箱部100はさらに、前面101と背面102の各側端から延在する補強タブ106を備える。
【0038】
成形時、外箱部100は前面101と背面102とが対面するように折り畳まれる。上面103は前面101と背面102の間に、これらに垂直に延在する。同じく前面101と背面102との間に垂直に延在する底面104は、第1の底面部104aを第2の底面部104bの下面に糊付けすることにより形成される。各ヒンジ式フラップ105は底面104に対して回動自在に保たれている。この底面104は外箱部100の幅全体には亘っていない。この結果、これらヒンジ式フラップ105は、外箱部100の側面において開口端から奥まった位置にある軸を中心として回動する。好ましい態様では、各軸は外箱部100の幅の約4分の1(即ち、各内箱部150の幅の半分)だけ奥まっている。これら内箱部150は各ヒンジ式フラップ105上に糊付けされている。各補強タブ106は内側へ折り畳まれ、前面101と背面102の各内表面に糊付けされている。
【0039】
図2Bにこれら内箱部150の成形に用いられる各ブランクを示す。各内箱部は前面151と背面152とを備える。これら前面151と背面152との間には、外側側面153が設けられている。内側側面154は第1の内側面部154aと第2の内側面部154bとで構成されている。内箱部150の底面は、底面タブ155で構成されている。
【0040】
連結要素170は、第2の内面部154bから延在する。この連結要素170は、実質的に平らな3つの連結節を備え、これらを以下、第1の連結節172、第2の連結節174、第3の連結節176と称することにする。これら連結節172、174、176の間の折り線は、内箱部150が閉位置と開位置の間で回動するときの各連結節の相対的な回動を可能とするものである。この様にして連結要素170は可撓性を付与されており、特に好ましい態様においては、個々の連結節そのものは実質的に剛直に保ったまま、該連結節間できっちりと分節されている。第3の連結節176の末端には装着タブ156が形成されている。連結要素170の分節構造は、該連結要素170に可撓性を付与するのみならず、通常のクラッシュプルーフ型のシガレット箱と比較してもパッケージ1の外形寸法(特に高さと幅)を増大させることなく、外箱部100に対する内箱部150の開閉動作の経路を案内する役目を果たす。
【0041】
各内箱部150の成形時、上記ブランクは前面151と背面152とが対向するように折り畳まれる。外側側面153は前面151と背面152との間に延在する。一方、内側側面154は前面151と背面152との間に延在され、第1の内側面部154aを第2の内側面部154bへ糊付けすることにより形成される。底面は底面タブ155を互いに糊付けすることで形成される。上記底面そのものは外箱部100のヒンジ式フラップ105に糊付けされている。
【0042】
連結要素170は内側側面154の上端から延在する。この連結要素170は、その第1の連結節172の長さを内側側面154の上端と上記前面及び背面151、152の上端との間の距離に略等しく設定することにより、該前面と背面151、152の上端より下の位置から延在する。
【0043】
装着タブ156は、外箱部100の上面103の内表面に糊付けされており、特に該上面103の外端部に向けて連結されている。したがって、
図1Aに示すように内箱部100が閉位置にあるとき、連結要素170は上記上面への連結位置から内側へ、装着タブ156を介して内箱部150の上端を通過する様に延在する。
【0044】
連結タブ170の動作をさらに理解するため、
図3Aから
図3Dを参照する。これらは、一方の内箱部150が閉位置から開位置へ移動する際の上記パッケージ1の上部の拡大図である。
【0045】
図3Aでは、内箱部150は閉位置にある。この位置において、第1の連結節172は内箱部150の内側側面から上方向に延在し、一方、第2の連結節174と第3の連結節176とは該内箱部150の上方を水平に通過して装着タブ156へと延在する。
【0046】
内箱部150が開位置へ向かって移動すると、
図3Bに示す地点に到達する。この時点で、該内箱部150に引っ張られる第1の連結節172の作用により、第2の連結節174は下方向に引っ張られる。第3の連結節176は内箱部150の上方に、外箱部100の上面103に対向するように留まる。上記内箱部が
図3Aと
図3Bに各々示す位置の間で移動する期間を、上記連結節の構成に由来してユーザーに示される開口の第1段階と考えることができる。
【0047】
内箱部150はさらに進んで、
図3Cに示す位置に達する。この時点で、第3の連結節176は第2の連結節174によって下方向に引っ張られている。したがって、この時点では装着タブ156のみが外箱部100の上面に対面する様に留まっている。上記内箱部が
図3Bと
図3Cに各々示す位置の間で移動し、続いて
図3Dに示す位置まで移動するときを、上記連結節の構成に由来してユーザーに示される開口の第2段階と考えることができる。
【0048】
内箱部150が回動するにつれ、該内箱部150の内側側面154は、ヒンジ式フラップ105と内箱部との回動の中心となる軸(即ち、外箱部100の底面154と、内箱部150が装着されているヒンジ式フラップ105との間の折り線)の直上にさしかかるまで、上方向に(即ち、外箱部100の上面に向かって)持ち上げられる。この軸は内箱部150の外側側面153から奥まっているため、外側側面153はこの段階では下方向に移動し、この時点以降は該内箱部150の内側側面も該外箱部100の上面103から離間する様に下方向へ移動する。したがって、この回動軸を外箱部100の開口部から遠ざけるように移動することにより、内箱部150の上方に必要なパッケージ内スペースが少なくて済む。また、内箱部150の内側側面154の上昇を受容するために必要な外箱部100内のスペースも、複数の内箱部150を設けることで削減できる。なぜなら、各々の内箱部150の幅が狭くて済むからである。好ましい態様において、内箱部150の内表面は、
図3Cに示す地点で最高地点に達する。
【0049】
この時点で、上記内箱部の上記前面と背面151、152とは装着タブ156と接触し、該内箱部150がさらに移動しようとするならば克服しなければならない摩擦力を発生させる。このことは、ユーザーに対して追加的な2段階開口効果を生む。即ち、ユーザーは
図3Cに示す位置まではパックを容易に回動させることができるが、該内箱部150をさらに回動させるには余計に力が必要である。なお、この2段階開口効果における各段階は、上述の連結節の構成に起因する上記各段階と等価ではない。また、この追加的な2段階開口効果は、上記パッケージを捻ったときに上記内箱部が自然に開いてしまうことを防止する上でも有利である。
【0050】
図3Dは、上記開位置まで一杯に回動させたときの内箱部150を示す。この時点では、連結要素170の3つの連結節172、174、176が全て、実質的に同じ方向を向く。
図3Dに示す配置では上記連結要素は完全に伸長してはいないが、これが装着タブ156を介して外箱部100に連結されていることから、内箱部150のさらなる回動が該連結要素170により制限されていることは明らかである。
【0051】
パッケージを閉じるには、
図3Dに示す位置から
図3Cと
図3Bに示す位置を経て
図3Aに示す位置まで、ユーザーが内箱部150を回動させる。この場合も、内箱部150が
図3Cに示す位置を通過する際に装着タブ156との摩擦によって抵抗力が生じ、2段階動作(即ち、この地点以前の第1段階と、この地点以降の第2段階)が達成される。これによりユーザーに確かな感触が与えられ、箱を閉める動作が正しく行われたことが感覚的に伝達される。この結果、上記パッケージの品質、ひいてはその中身に対するユーザーの印象が上がる。
【0052】
以上の記載は特に好ましい態様に関するものであるが、当業者であればこれらに適宜変更や改良を加え得ることに気づくであろう。例えば、上記の態様では内箱部150が2つであったが、他の態様として内箱部が1つであってもよいし、さらに他の態様として内箱部が別の個数であってもよい。本発明はまた、スライド式専用の内箱部を想定したものであってもよい。
【0053】
同様に、上述の態様に係る上記パッケージはタバコ製品、特にシガレット用に設計されているが、上記内箱部に入れた他の製品が供されてもよい。さらに、当業者であれば、上記パッケージの特徴である特有の形状や構成を改良又は変更することができるであろう。
【0054】
当業者にとって、他の変更や改良も自明であろう。かかる変更や改良には、上記の特徴に代替するか、又はこれと併用する形で、公知の同等の特徴等が含まれてもよい。個別の態様として上述した各特徴を組み合わせて単一の態様としてもよい。逆に、単一の態様に関連して上述した各特徴を分割したり、又はその一部を組み合わせてもよい。
本発明の上述した実施形態は以下の技術的思想を包含する。
(1)外箱部と、前記外箱部の内部に配され、該外箱部内で開口部を通じて閉位置と開位置との間で該外箱部に対して移動可能な内箱部と、前記内箱部から前記外箱部に向けて延在する可撓性の連結要素とを備え、前記可撓性の連結要素は前記外箱部に対する前記内箱部の移動を規制するように設けられているパッケージ。
(2)前記閉位置と前記開位置との間の前記内箱部の移動は回動を含む、上記(1)に記載のパッケージ。
(3)前記閉位置と前記開位置との間の前記内箱部の移動は、前記内箱部の外側側面から奥まった位置にある軸を中心とする回動を含み、該外側側面は前記内箱部が前記閉位置にある場合の前記外箱部の前記開口部に向けて配設される、上記(2)に記載のパッケージ。
(4)前記連結要素は、前記内箱部が前記閉位置にあるときには前記開口部から離間するように前記外箱部から延在し、該内箱部が前記開位置にあるときには前記開口部に向かって前記外箱部から延在する、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(5)前記連結要素は前記内箱部の内側側面に連結され、該内側側面は該内箱部が前記閉位置にあるときに前記外箱部の前記開口部から離間して配置される、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(6)前記連結要素が前記外箱部の上面に連結されている、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(7)前記連結要素は、前記内箱部が前記閉位置にあるときに、該連結要素が連結されている接続面から離間した位置において前記内側側面に連結されている、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(8)前記連結要素は互いにヒンジ式に連結された複数の連結節を有する、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(9)前記内箱部が前記閉位置にあるときに、前記連結要素が連結されている前記外箱部の接続面に対して少なくとも一つの連結節が平行に延在し、且つ、前記内箱部の前記内側側面に対して少なくとも一つの連結節が平行に延在する、上記(8)に記載のパッケージ 。
(10)前記内箱部が前記閉位置にあるときに、前記外箱部の前記接続面に対して少なくとも二つの連結節が平行に延在する、上記(9)に記載のパッケージ。
(11)前記内箱部は、前記閉位置と前記開位置との間の移動時に間欠的な抵抗力を受ける様に配設されている、上記のいずれか1項に記載のパッケージ。
(12)上記のいずれか1項に記載の前記内箱部を成形するためのブランク。
(13)上記(1)から(11)のいずれか1項に記載の前記外箱部を成形するためのブランク。
(14)上記(12)に記載の前記ブランクを折り畳むことを含む、内箱部の成形方法。
(15)上記(13)に記載の前記ブランクを折り畳むことを含む、外箱部の成形方法。