(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冠面が、前記冠面が前記スリット付きウェブと最初に接触する点における前記冠面の曲率が、前記冠面が前記伸展された機械的締結ウェブと最後に接触する点における曲率より小さくなるように変化する曲率を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本開示の実施形態がより詳細に参照され、その1つ以上の実施例は、図面で図示される。一実施形態の一部として図示又は記載される特徴は、他の実施形態と共に使用され、第3の実施形態を得ることもできる。本開示はこれらの及び他の修正及び変形を含むことが意図される。
【0018】
本出願において、冠面とは、スリット付きウェブの一部の経路を長くする任意の成形表面と考えることができる。本開示を実施するのに有用な冠面は、スリット付きウェブのCD方向に対応する方向に様々な高さ寸法を有する。一般に、冠面の高さは、その中心において最も高い。冠面は、概ね球形状又は楕円形状を有する平滑面であり得、その直径又は軸線はその中心に向かって連続的に増加する。しかしながら、本開示を実施するのに有用な冠面は、スリット付きウェブと接触するその全部分全てにわたって均一な高さ変動を有する必要はない。例えば、冠面は、スリット付きウェブが最初に接触する平坦部分を有してもよく、スリット付きウェブのCD方向に対応する方向への冠面の湾曲は、スリット付きウェブの経路の方向に増大し得る。冠面はまた、いくつかの実施形態では、隆起部又は他の表面凹凸を有し得る。
【0019】
引張状態にあるウェブがその周囲に折り曲げられるか又は巻き付けられる任意の表面は、ウェブに対して直角又は垂直な力をウェブに付与すると考えられる。冠面の高さは変動するので、冠面がウェブに付与する力は均等に分布されない。理論に束縛されるのを望むものではないが、冠面により生成される垂直力成分はウェブ交差方向であるので、冠面は、本明細書に記載されるスリット付きウェブを広げると考えられている。ウェブの機械横方向の強度は、ウェブ内のスリットにより比較的低く、伸展に抵抗することになるウェブの引張力は小さい。したがって、冠面によって生成される力の横方向成分は、スリット付きウェブの伸展を誘発することができる。
【0020】
スリット付きウェブを冠面の上で移動させることによって生じ得る伸展量は、伸展しているウェブの横方向への移動に抵抗する摩擦力によって制限され得る。そのため、スリット付きウェブと冠面との間の摩擦を最小にするのが望ましくあり得る。冠面の少なくとも一部が低摩擦面である場合に、かかる摩擦を低減することができる。例えば、冠面の少なくとも一部は、低摩擦材料から作製されてもよく、又は低摩擦コーティングでコーティングされてもよい。また、冠面が空気ベアリングである場合、スリット付きウェブと冠面との間の摩擦は低減され得る。2つの材料の動摩擦の係数は、対応する静止摩擦の係数よりも一般に低いので、典型的に望ましいのは、冠面とスリット付きウェブとが「滑り」境界面を有し得るように、冠面とスリット付きウェブとが同一方向に同一速度で移動しないことである。したがって、いくつかの実施形態では、冠面は回転しない、つまり換言すると、冠面は動かない。他の実施形態では、冠面は、スリット付きウェブの方向と反対の方向に回転していてもよく、又は、スリット付きウェブと異なる速度で機械方向に回転していてもよい。
【0021】
図1Aは、本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法に有用な装置100の実施形態を示す。装置100は、冠面101と、冠面をシャフト開口部105を通してロールツーロールアセンブリで取り付けるのに有用な取付構造102とを備えている。
図1Aに示される実施形態では、取付構造102は、冠面101を固定式又は非回転式に取り付けるのに有用である。いくつかの実施形態では、冠面101は空気ベアリングであり、これは、例えば、冠面101とスリット付きウェブとの間の摩擦を低下させるのに有用である。いくつかの実施形態では、冠面101は、滑らかな又は研磨した金属(例えば、アルミニウム又はスチール)、滑らかなプラスチック(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、又は他のエンジニアリングプラスチック)、あるいは滑らかなプラスチック複合材料などの低摩擦材料から製造され得る。いくつかの実施形態では、冠面101は、低摩擦コーティング(例えば、プラズマコーティング又はポリテトラフルオロエチレンコーティング)でコーティングされ得る。
【0022】
図1Bは、本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法に有用な装置200の別の実施形態を示す。装置200は、分離隆起部205によって分離された2つの冠面201を備えている。2つの冠面201は、2つのスリット付きウェブを同時に伸展させるのに有用であり得、例えば、吸収性物品の左側用及び右側用の締結タブを同時に作製するのに有用であり得る。冠面のそれぞれは幅方向「W」に曲率を有し、この曲率は、平らな面210とより曲率の大きい位置212とで異なる。平らな面210は、2つのスリット付きウェブ(図示せず)の進入点としての役割を果たすことができ、冠面201の曲率は幅方向「W」に増加するので、スリット付きウェブが経路に沿って平らな面210から位置212へと移動するにつれて、冠面によってスリット付きウェブに付与されるCD方向の垂直力成分が増加する。取付構造202は、装置200を固定配置で取り付けるのに有用であり得る。冠面201は空気ベアリングであってもよく、又は、
図1Aに示された実施形態に関して先に記載した低摩擦材料のいずれかから作製されてもよく、若しくは低摩擦コーティングのいずれかでコーティングされてもよい。
【0023】
冠面によってスリット付きウェブに付与される横方向の力は、例えば、何らかの理由で一方向の横方向の力が反対方向の横方向の力よりも大きくなった場合に、ウェブを冠面から滑り落とす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、スリット付きウェブを冠面の中央に維持するための案内機構を有するのが有用である。
図1Cは、本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法において有用な装置300の別の実施形態を示す。装置300は、冠面301と、冠面をシャフト開口部305を通してロールツーロールアセンブリで取り付けるのに有用な取付構造302とを備えている。図示した取付構造302は、冠面301を固定式又は非回転式に取り付けるのに有用である。冠面301は3つの隆起部315群を備えており、これら隆起部315は、例えば、スリット付きウェブを案内するのに有用であり得る。隆起部315は、
図1Dに示される拡大図でより明確に示されている。図示した実施形態は3つの隆起部315を示しているが、その他の数の隆起部(例えば、1つ又は2つの隆起部)が有用であり得る。
図1Cに示されるように、隆起部315は、典型的には、冠面の頂き部において冠面の中央に位置する。隆起部315は、様々な方法でスリット付きウェブを案内するのに有用であり得る。例えば、スリット付きウェブ上の機械的締結要素は雄型締結要素であってもよく、スリット付きウェブは、雄型締結要素が冠面300に面するように配置されてもよい。案内隆起部315は、雄型締結要素(例えば、以下で更に説明するような雄型締結要素の列)の間に挟置されて、スリット付きウェブを冠面300上の適所に保持するのを助ける。別の実施形態では、スリット付きウェブは、機械的締結要素を有する表面と反対側の表面の中央に位置する少なくとも1つの連続したリブを備えて形成される。この実施形態では、スリット付きウェブは、連続したリブ(1乃至複数)が冠面300に面し、連続したリブ(1乃至複数)が冠面300上の案内隆起部315の間に挟置されるように配置され得る。315のような隆起部は、
図1Bに示される実施形態上でも有用であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、(例えば、冠面の頂き部において)冠面の中央に設けられた少なくとも1つの隆起部は、ゴム状材料などの高摩擦材料から作製されてもよい。高摩擦材料の狭い隆起部は、スリット付きウェブを冠面の中央に保持するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、スリット付きウェブと隆起部との間の摩擦係数を増加させるため、隆起部を回転させてもよい。
【0025】
冠面101、201、及び301はいずれも、スリット付きウェブを機械横方向に伸展させて開口部を提供するのに有用であり得る。本明細書に開示される方法において有用なスリット付きウェブの種々の実施形態の伸展される前と後を、
図2A〜
図2C、
図3A、
図3B、
図4A、
図4Bに図示し、以下に記載する。
【0026】
図2Aは、本明細書に開示される方法を用いて伸展させることができる断続スリット20を備えた、スリット付きウェブ10aの一部の実施例を示す。図示した実施形態では、スリット付きウェブ10aの機械的締結要素は、雄型締結要素12である。図示したスリット付きウェブ10aは、裏材14の第1の表面から突出する雄型締結要素12の複数の列16を備えた熱可塑性裏材14を有する。裏材の第1の表面は、
図2Aで可視である面である。第1の表面(即ち、機械的締結要素を有する表面)は、本明細書に開示される実施形態のいずれにおいても、第1の主表面と呼ぶこともできる。図示した実施形態では、雄型締結要素12の複数の列16はMD方向に位置合わせされているが、これは必須ではない。用語「列」は、特定の方向に整列された雄型締結要素を指す。雄型締結要素の列又は行は、実質的に真っ直ぐであってよい。
【0027】
スリット付きウェブ10aの一部において、断続スリット20は、雄型締結要素12の隣接する列16のいくつかの対の間の裏材に切り込まれる。断続スリットが雄型締結要素12の隣接する列の間に切り込まれる場合、それは、典型的には、特定のスリットが雄型締結要素12の列を横切らないことを意味する。図示した断続スリット20は、複数の列16と同じ方向(図示した実施形態ではMD方向である)に線状であり、裏材14の上縁部18から下縁部28まで延在する。断続スリットは、裏材14の完全ブリッジ領域22によって中断される。ブリッジ領域22は、ウェブが貫通して切り込まれていない領域であり、ブリッジ領域22の少なくとも一部は、断続スリット20と同一直線状にあると考えることができる。完全ブリッジ領域22は、断続スリットを、一連の相隔てられたスリット部分20aに分割する。相隔てられたスリット部分20a及び20b、したがって隣接する断続スリットのブリッジ領域22a及び22bは、断続スリット20の方向「MD」に垂直な方向「CD」にずらして配置される。ブリッジ領域22bが、方向「MD」においてブリッジ領域22aとブリッジ領域22aとの間の実質的に中ほどに位置するように、ブリッジ領域はずらして配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、直立ポスト12、断続スリット20、並びにブリッジ領域22、22a、及び22bは、他の配置で位置付けられてもよい。スリット部分及びブリッジ領域がずらして配置されると、スリット付き機械的ファスナのハンドルを一体ユニットとして作製するのに必要なブリッジ領域の数を、最小限に抑えることができる。
【0028】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、断続スリット20はMD方向に延在する。いくつかの実施形態では、断続スリットは、CD方向に非平行である第1の方向に延在する。断続スリットが第1の方向に「延在する」とは、スリットが第1の方向に配置される又は位置合わせされるか、又は少なくとも主に第1の方向に配置される又は位置合わせされることを意味する。スリットは、線状であってよい。本明細書で使用される用語「線状」スリットは、ウェブ上の1本の線における2つの点によって定義され得る。スリットはまた、実質的に線状であってもよく、即ち、スリットが、わずかな湾曲又はわずかな揺らぎを有することができる。例えば、当業者によって理解されるような連続ウェブにスリットを作製する工程から何らかの揺らぎ又は湾曲が生じることがある。本開示の方法に従って製造される雄型締結要素を備えた機械的ファスナのいくつかの実施形態では、あらゆる周期的変動又は曲率は、スリットが一般に、第1の方向に位置合わせされた雄型締結要素の列を横切る部分を有さないようなものである。断続スリットはまた、振幅の小さい波状又は鋸歯パターン有してもよく、そのようなスリットもまた、主に特定の方向に延在すると考えられる。
【0029】
ブリッジ領域22、22a、及び22bの特定の構成は、例えば、スリットの所望の長さ、及び複数のストランド26にとって望ましい伸展量に基づいて設計され得る。様々な長さのブリッジ領域22、22a、及び22bが有用であり得る。いくつかの実施形態では、所与の断続スリット20における任意のブリッジ領域22は、スリット付きウェブのMD方向の長さの最大50(いくつかの実施形態では、40、30、25、20、15、又は10)パーセントである断続スリットの方向の結合長を有する。いくつかの実施形態では、スリット付きウェブ10aの伸展能力を最大にするために、断続スリットの方向のブリッジ領域の結合長を最小にするのが望ましくあり得る。断続スリットの方向のブリッジ領域22の結合長を最小にすることは、任意の特定のブリッジ領域22の長さを最小にする、又はブリッジ領域22同士の間の距離を最大にする、の少なくとも一方によって達成され得る。いくつかの実施形態において、断続スリットの方向の1つのブリッジ領域の長さは、最大3、2、又は1.5mm、及び少なくとも0.25、0.5、又は0.75mmである。いくつかの実施形態では、断続スリットの方向のスリット付きウェブ10aの長さに沿ったブリッジ領域の数は、1cm当たり最大1.5、1.25、1.0、0.75、0.60、又は0.5である。断続スリット方向のブリッジ領域22の間の距離は、例えば、少なくとも0.75、少なくとも1.0、少なくとも1.25、少なくとも1.5、又は少なくとも1.75cmである。更に、ブリッジ領域の間の断続スリット部分の長さは調節可能であり、ブリッジ領域の間の距離を最大にするように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、スリット部分20a、20bの長さは、少なくとも8(いくつかの実施形態では、少なくとも10、12、14、15、16、17、18、19、又は20)mmである。典型的には、本開示を実施するのに有用なスリット付きウェブ10aの断続スリットは、フィルムの2つの部分の分離を容易にするように設計された穿孔よりも長いスリット領域、及び該穿孔よりも短いブリッジ領域を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、スリット部分20a、20bは、スリット付きウェブ10aに沿って繰り返す規則的なパターンを有する。いくつかの実施形態では、スリット部分20aの間の間隔(例えば、断続スリットのMD方向又は他の方向の間隔)は、均一であっても、又は実質的に均一(即ち、間隔は最大2パーセント、最大1パーセント、又は1パーセント未満若しくは0.5パーセント未満だけ異なっていてもよい)であってもよいが、これは必須ではない。
【0031】
本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法の実施形態のいずれかでは、断続スリット及び得られる開口部の数は、機械的締結ウェブの所望の伸展に応じて調節することができる。断続スリットは、所望通りに均等に離間されたても、又は不均等に離間されてもよい。いくつかの実施形態では、スリット付きウェブの幅にわたって10mm当たり最大10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、又は1個の断続スリットがCD方向に存在する。スリット付きウェブにわたって断続スリットの数を変更することは、裏材上の雄型締結要素の密度に応じて、任意の2つの隣接する断続スリットの間の雄型締結要素の列の数と関係し得る。任意の2つの隣接する断続スリットの間の雄型締結要素の列の数は、用途の要件に応じて調節することができる。いくつかの実施形態では、最大10列、9列、8列、7列、6列、5列、4列、3列、2列、又は1列の雄型締結要素が、任意の2つの隣接する断続スリットの間に存在する。典型的には、断続スリットの間に形成される複数のストランドのそれぞれの幅寸法は、雄型締結要素の直立ポストの少なくとも基部より幅広である。いくつかの実施形態では、雄型締結要素の各列の間に、又は1つ置きの列の間に断続スリットが存在する。図示した実施形態では、断続スリット20は雄型締結要素12の列の間で均等に離間されているが、これは必須ではない。図のように、均等に離間されている雄型締結要素12の複数の列16の場合、複数の列16の間の間隔(例えば、図示した実施形態のCD方向の距離)は、最大10パーセント、最大5パーセント、最大2.5パーセント、又は最大1パーセントだけ異なってもよい。同様に、均等に離間された断続スリットの場合、断続スリットの間の間隔(例えば、CD方向の距離)は、最大10パーセント、最大5パーセント、最大2.5パーセント、又は最大1パーセントだけ異なってもよい。
【0032】
図2B及び
図2Cは、
図2Aに示されるもののようなスリット付き裏材を異なる程度まで伸展させた場合の効果を示す。スリット付き裏材10bが示されている矢印の方向に伸展されると、裏材の複数のストランド26が提供され、これら複数のストランドの少なくともいくつかの間の分離が開口部24を作り出す。本開示による方法は、典型的には、スリット付きウェブの幅(即ち、CD方向の寸法)を大きくする。
【0033】
図2Cは、
図2Bよりも大きな伸展量を示す。本明細書に開示される方法で提供される伸展量は、様々な要因、例えば、冠面の幾何学的形状、機械方向への引張量、及び上述のようにスリット付きウェブと冠面との間の摩擦の係数などによって制御され得る。いくつかの実施形態では、スリット付きウェブの伸展は、一連の複数の冠面を使用して行われ、このことまた伸展の程度に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、伸展された機械的締結ウェブの幅は、投入されるスリット付きウェブの幅よりも少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、少なくとも20パーセント、又は少なくとも25パーセント大きくなる。いくつかの実施形態では、伸展された機械的締結ウェブの幅は、投入されるスリット付きウェブの幅よりも最大40パーセント、最大50パーセント、最大75パーセント、最大100パーセント、最大150パーセント、又は最大200パーセント大きくなる。本明細書に開示される方法において冠面が1つだけ使用される場合、伸展された機械的締結ウェブの幅は、投入されるスリット付きウェブの幅よりも最大40パーセント、最大50パーセント、最大75パーセント、又は最大100パーセント大きくなる。
【0034】
図2Cに示される実施形態では、機械的ファスナの両縁部の少なくとも2列の雄型締結要素を含む少なくとも2つのストランド26aは、分離されない。これは、冠面の幾何学的形状及びスリット付きウェブの幅を選択することによって達成され得る。開かれていないストランドを縁部に有する伸展された機械的締結ウェブは、いくつかの実施形態では、例えば、直線縁部を有する網目状の機械的締結ストリップ又はパッチを提供するために有利であり得る。
【0035】
図2A〜
図2Cは、直立ポストを含む雄型締結要素12を有する裏材14を示しているが、ループ状材料にスリットを入れてスリット付きウェブ10aを提供し、伸展された機械的締結ウェブ10b及び10cと同じ方法でこのスリット付きウェブ10aを冠面101、201、及び301上で移動させながら、同じ程度に伸展させることができることを理解すべきである。
【0036】
図3Aは、
図2Aに示されるスリット付きウェブ10aの部分と同様である、雄型締結要素を有するスリット付きウェブ部分の実施例を示す。しかしながら、
図3Aに示される実施形態では、スリット部分20aは、隣接するスリットのスリット部分20bと異なる長さを有しており、その結果、スリット付きウェブが
図3Bに示されるように伸展された後、開口部24a及び24bは異なるサイズを有することになる。つまり、開口部24aは開口部24bよりもMD方向に短い。小さい方のサイズのスリット部分20a及び大きい方のサイズのスリット部分20bは、それぞれ、
図3Aに示されるスリット付きウェブにわたって互いに位置合わせされ得る。あるいは、他の実施形態では、同じサイズのスリットを規則的なパターンで互いに対してオフセットさせてもよい。更に、
図2Aを再び参照すると、ブリッジ領域22の長さは、特定の用途又は外観にとって望ましいように、ストランド26内で又はストランド26の間で変化するようにしてもよい。
図3A及び
図3Bは雄型締結要素を有する機械的ファスナを示しているが、本明細書に開示される方法を用いた同じスリット付きパターン及び伸展を、ループ状材料を使用して行うことができる。
【0037】
図4Aは、
図2Aに示されるスリット付き機械的ファスナ10aの部分と同様である、機械的締結要素を有するスリット付きウェブの実施例を示す。しかしながら、
図4Aに示される実施形態では、スリット部分20eはスリット部分20fと異なる長さを有しており、その結果、スリット付きウェブが
図4Bに示されるように伸展された後、開口部24c及び24dは異なるサイズを有することになる。MD方向に長さの異なるスリット部分と対応する得られる開口部とを有する断続スリットを示している
図3A及び
図3Bに示される実施形態とは異なり、
図4A及び
図4Bは、スリット付きウェブのCD方向の異なるゾーン内の、長さの異なるスリット部分のパターンを示す。複数のストランド26c及び26dは、伸展した同じ機械的締結ウェブ内で互いに異なる外観を有しており、例えば、複数のストランド26c及び26bは、異なる波長及び振幅でジグザグの形をとっているか、又はうねっている。
図4A及び
図4Bにそれぞれ示されるスリット付きウェブ及び伸展された機械的締結ウェブは、雄型又は雌型機械的締結要素(図示せず)を含み得る。
【0038】
本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法の実施形態のいずれかでは、ブリッジ領域の少なくともいくつかの間の複数のストランドの分離によって形成される開口部は、幾何学的図形の繰り返しパターンの形態である。図示した実施形態では、幾何学的図形は多角形であり、この多角形は、菱形などの四辺形であってもよい。
図2Cに示された実施形態を含む伸展された機械的締結ウェブのいくつかの実施形態では、完全ブリッジ領域の少なくともいくつかにおいて互いに接続されたウェブの複数のストランドは、90度未満、いくつかの実施形態では、最大60度、最大45度、又は最大20度、及びいくつかの実施形態では、0.5度〜20度の範囲内の角度βを形成する。例えば、いくつかの実施形態では、19mmのスリット部分20aを有するスリット付きウェブが伸展されて、伸展された機械的締結ウェブの幅が投入されるスリット付きウェブより100%大きい場合、角度βは、典型的には約5度〜10度の範囲内である。いくつかの実施形態では、曲線が使用されてもよく、そうすることにより、伸展後の開口部を三日月形にすることができる。
図4Bに示されるように、幾何学的形状の開口部は2つ以上の繰り返しパターンで存在してもよい。開口部は、所望通りに、均等に離間されてもよく、又は不均等に離間されてもよい。均等に離間された開口部の場合、開口部の間の間隔(例えば、CD方向の距離)は、最大10パーセント、最大5パーセント、最大2.5パーセント、又は1パーセントだけ異なってもよい。
【0039】
図2A〜
図2C、
図3A及び
図3B、並びに
図4A及び
図4Bに示される機械的ファスナの製造方法は、それぞれ、スリット付きウェブのMDに対して平行に延在する断続スリットを示しているが、断続スリットは、CDに対して平行でない任意の所望の方向に形成されることができる。例えば、断続スリットは、スリット付きウェブのMD方向に対して1度〜85度の角度で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、断続スリットは、スリット付きウェブのMD方向に対して35度〜55度(例えば、45度)の角度で形成されてもよい。
【0040】
本開示による方法は、CD方向にあらゆる幅を有するスリット付きウェブにとって有用である。例えば、スリット付きウェブは、CD方向に1cm〜10cm、1cm〜5cm、又は1cm〜3cmの幅を有していてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法において有用なスリット付きウェブ、又は得られる伸展された機械的締結ウェブは、熱可塑性材料で作製される。機械的ファスナに好適な熱可塑性材料には、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンホモポリマー、エチレン、プロピレン、及び/又はブチレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート及びアクリル酸エチレン等のエチレンを含有するコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエチレンブチラート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)等のポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン、ポリフェニレン硫化物、並びにそれらの混合物が挙げられる。典型的には、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンである(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、ブチレンコポリマー、並びにこれらの材料のコポリマー及びブレンド)。
【0042】
本明細書で開示される方法において有用なスリット付きウェブ、又は雄型締結要素を備えた得られる伸展された機械的締結ウェブの実施形態では、裏材と雄型締結要素とは、典型的には一体になっている(即ち、同時に単位体としてとして一体型に形成される)。裏材上の直立ポストは、例えば、逆形状のポストを有する型穴を有する、連続的に移動する成形型表面の上に熱可塑性材料を送給することによって作製することができる。熱可塑性材料は、2つのロールによって形成されたニップ、又はダイ面とロール表面との間のニップの間を、空洞を有するロールの少なくとも1つとともに通過することができる。空洞は、ループ係合ヘッドを有する末端保護されたポストの逆形状であり得るか、又はループ係合ヘッドのない直立ポスト(例えば、雄型締結要素の先行体)の逆形状であってもよい。ニップから付与される圧力によって、樹脂を空洞部に押し込む。いくつかの実施形態では、真空を使用して、空洞部をより容易に充填するために空洞部を空にすることができる。ニップは、典型的にコヒーレントな裏材を空洞上に形成するように十分に大きい間隙を有する。金型表面及び空洞は、一体形成された裏材及び直立フック要素をストリッパーロール等により金型表面から剥離する前に、任意に空冷又は水冷されてよい。形成されたポストが空洞から出る際にループ係合ヘッドを備えていない場合、米国特許第5,077,870号(Melbyeら)に記載されるようなキャッピング方法により、続いてループ係合ヘッドがフックに形成されることができる。典型的には、キャッピング方法は、熱及び/又は圧力を使用してフック要素の先端部分を変形させる工程を含む。熱及び圧力は、両方使用される場合、順次又は同時に印加され得る。
【0043】
好適なツールロールは、例えば、米国特許第4,775,310号(Fischer)に開示されるものなどの複数のポスト形成空洞をその周辺部に画定する一連のプレートから形成されるものを含む。空洞は、例えば、掘削又はフォトレジスト技法によってプレートに形成されてもよい。他の好適なツールロールは、例えば、米国特許第6,190,594(Gormanら)において、それらの製造方法とともに開示される、ワイヤーラップロールを含んでもよい。直立ポストを有する熱可塑性裏材を形成するための別の例示的方法は、米国特許第7,214,334号(Jensら)に記載される、直立ポストの形状の空洞のアレイを画定する可撓性成形型ベルトを使用することを含む。直立ポストを有する熱可塑性裏材を形成するための更に他の有用な方法は、米国特許第6,287,665号(Hammer)、同第7,198,743号(Tuma)、及び同第6,627,133号(Tuma)に見出すことができる。
【0044】
本明細書で開示されるスリット付きウェブ又は伸展された機械的締結ウェブの雄型締結要素は、所望の場合には、張出し部を有するループ係合ヘッドを有していてもよく、又は、ループ係合ヘッドに形成され得る遠位端を有する直立ポストであってもよい。本明細書で使用する用語「ループ係合」は、ループ状材料に機械的に取り付けられる雄型締結要素の能力に関する。一般に、ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素は、ポストの形状と異なるヘッド形状を有する。例えば、雄型締結要素は、形状が、マッシュルーム(例えば、円形又は楕円形頭部が、柄に対して大きくなっている)、フック、パームツリー、くぎ、T、又はJであってもよい。雄型締結要素のループ係合可能性の判定及び規定を、標準的な織布、不織布、又はニット材料を用いて行なってもよい。ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素の領域は、一般に、ループ状材料と組み合わされて、ループ係合ヘッドのないポストの領域よりも高い剥離強度、高い動剪断力、又は高い動摩擦のうちの少なくとも1つを提供する。「ループ係合張出し部」又は「ループ係合ヘッド」を有する雄型締結要素は、締着要素の先行体であるリブ(例えば、異形押出しされ、続いて、雄型締結要素を形成するためにリブの方向に伸張させながら切断された細長いリブ)を含まない。そのようなリブは、それらが切断及び延伸される前に、ループを係合することができない。更に、そのようなリブは直立ポスト見なされない。典型的には、ループ係合ヘッドを有する雄型締結要素は、最大約1(いくつかの実施形態では、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、又は0.45)ミリメートルの最大厚さ寸法(高さに対して垂直な両側の寸法)を有する。いくつかの実施形態では、雄型締結要素は、最大3mm、最大1.5mm、最大1mm、又は最大0.5mmの最大高さ(裏材の上)を有し、いくつかの実施形態では、少なくとも0.05mm、少なくとも0.1mm、又は少なくとも0.2mmの最小高さを有する。いくつかの実施形態では、直立ポストは、少なくとも約2:1、3:1、又は4:1のアスペクト比(即ち、最大幅点における高さと幅との比)を有する。
【0045】
本開示を実施するのに有用な雄型締結要素を有するスリット付きウェブのいくつかの実施形態では、(例えば、キャップ又はヘッドにおける)各ループ係合張出し部の少なくとも一部は、断続スリットの方向に対して非ゼロ角度で延びる。いくつかの実施形態では、各雄型締結要素は、複数(即ち、少なくとも2つ)の方向に延びるループ係合張出し部を備えたキャップを有する。例えば、直立ポストは、マッシュルーム、釘、ヤシの木、又はTの形状であってもよい。いくつかの実施形態では、直立ポストは、(例えば、熱可塑性裏材から遠位の楕円形又は円形のキャップを有する)マッシュルーム型のヘッドを備える。他の実施形態では、スリット付きウェブの直立ポスト上の(例えば、キャップ又はヘッドにおける)ループ係合張出し部は、MD方向に対して平行に延出する。例えば、直立ポストは、Jの形状を有していてもよい(例えば、米国特許第5,953,797号(Provostら)に示されている)。
【0046】
図2B及び
図2Cに図示された伸展された機械的締結ウェブ10b及び10cでは、第1のストランド26上の雄型締結要素12は、組16aで配置され、この組16aは、第2の隣接するストランド26上の雄型締結要素12の組16bと非平行である。複数の直立ポストの組16a及び16b、及び該ポストが突出する複数のストランド自体は、伸展された機械的締結ウェブ10b又は10cの長さに沿って、例えば、上縁部18から下縁部28まで、うねっている又はジグザグの形をとることができる。図示した実施形態では、雄型締結要素12の直立ポスト上に見られるキャップは楕円形状を有しており、これらキャップは、MD方向に複数のストランド26に沿って異なる方向に配向されている。これらキャップの形状が円形の場合には、キャップに何らかの方法でしるしが付けられていない限り、キャップがストランド26に沿って異なる方向に配向されていることに気付かないことがある。図示した実施形態では、第1のストランド26上のキャップは、第2の隣接ストランド26上のキャップと異なる方向に配向されている。スリット付きウェブ10aが、MD方向に対してのみ平行に位置合わせされたループ係合張出し部を有する雄型締結要素を備える実施形態では、スリット付きウェブ10aを伸展させることにより、典型的には、ループ係合張出し部は、
図2Cに示されるようにMD方向の複数のストランドに沿って異なる方向に配向されることになる。ループ係合張出し部が(例えば、機械方向などの一方向だけでなく)複数の方向に配向されると、ループ状材料の係合強化が有利にもたらされる。
【0047】
本開示のいくつかの実施形態を実施するのに有用なループ状材料(例えば、機械的ファスナがループ状材料である場合)は、対応するフック締着要素と噛み合う任意の好適な材料であり得る。いくつかの実施形態では、ループ締結要素は、典型的には、編布、織布、又は不織布から形成される。用語「不織布」は、交互に置かれるが、編布におけるような特定可能な様式ではない、個々の繊維又は糸の構造を有する材料を指す。不織布ウェブの例としては、スパンボンドウェブ、スパンレースウェブ、エアレイドウェブ、メルトブロウンウェブ、及び結合カードウェブが挙げられる。本明細書で開示される方法によって作製された伸展された機械的締結ウェブは、編地裏材、織布裏材、若しくは不織布裏材から突出する繊維ループを有してもよく、又は、押出接合された、接着接合された、及び/若しくは音波接合された繊維ループであってもよい。有用なループ状材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、熱可塑性繊維)、又は天然繊維と合成繊維の組み合わせから作製されてもよい。熱可塑性繊維を形成するための好適な材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、ブチレンコポリマー、並びにこれらのポリマーのコポリマー及びブレンド)、ポリエステル、及びポリアミドが挙げられる。繊維は、例えば、ある熱可塑性材料のコアと、別の熱可塑性材料のシースとを有する、多成分繊維であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ループ状材料は、裏材上に配置された繊維層を含む。好適な裏材としては、織物、紙、熱可塑性フィルム(例えば、単一層又は多層フィルム、共押出フィルム、横積層フィルム、又は発泡体層を備えるフィルム)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。熱可塑性裏材では、熱可塑性材は、雄型締結要素を有する熱可塑性裏材に関して先に説明したものいずれかであり得る。好適なループ状材料の例は、例えば、米国特許第5,256,231号(Gormanら)及び同第5,389,416号(Modyら)に記載されている。米国特許第5,256,231号(Gormanら)に記載されているように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態によるループ状材料の繊維層は、裏材上の離間した固定部から同一方向に突出する弓形部を含む。
【0049】
機械的締結ウェブが裏材上に雄型締結要素(例えば、直立ポスト)又は繊維層のいずれかを有する実施形態では、裏材の厚さは、所望の用途に応じて、最大約400マイクロメートル、最大250マイクロメートル、最大150マイクロメートル、最大100マイクロメートル、最大75マイクロメートル、又は最大50マイクロメートルであり得る。幾つかの実施形態では、裏材の厚さは、30〜約225マイクロメートル、約50〜200マイクロメートル、又は約100〜約150マイクロメートルの範囲内である。裏材が熱可塑性裏材であるいくつかの実施形態では、例えば、熱可塑性裏材が直立ポストの形成後に延伸される場合、熱可塑性裏材は、延伸によって誘発された分子配向を有する。他の実施形態では、伸展された機械的締結ウェブの熱可塑性裏材は、断続スリットの方向又は伸展の方向に巨視的な延伸によって誘発された分子配向を備えていない。こうした実施形態では、ブリッジ領域に局在する、応力によって誘発されたいくらかの配向が存在し得る。
【0050】
本開示の方法は、典型的には、スリット付き機械的締結ウェブを伸展させることができるが、有利には、伸展された機械的締結ウェブの複数のストランドの全てを面外にねじれさせない。面外へのねじれは、
図5の写真に示されるようにスリット付きウェブを伸展させた際に生じ得る。ループ状材料片は、
図2Aに示されるもののような雄型締結要素を有するスリット付き機械的ファスナのウェブ部分の縁部に取り付けられた。ループ状材料片が引き離されると、スリット付きウェブの個々のストランドは、
図5に示されるように、ウェブの面外にねじれる傾向があった。面外ねじれの量は、例えば、スリット付き裏材が伸展される程度の影響を受ける。伸展された機械的締結ウェブのねじれたストランドは、不均一な接触面を作り出し、このことは、ウェブへの熱伝達を困難にし、かつ、ねじれたストランドはニップに押しつぶされる可能性があるので、更なるウェブ処理(例えば、後述するような焼鈍又は積層)におけるニップの使用を困難にする可能性がある。
【0051】
本開示による方法及び装置の多くの特徴は、スリット付きウェブのストランドが面外にねじれる傾向を制御するのに役立ち得る。機械方向に加えられる張力により、冠面は、スリット付きウェブに対して垂直な力をスリット付きウェブに及ぼし、該張力は、複数のストランドを面内に保持するのに役立ち得る。また、冠の幾何学的形状は、伸展の程度を制限して、ストランドが面外にねじれにくくなるように設計されてもよい。このようにして、本明細書で開示される方法は、例えば、ウェブが冠面を離れる際に、複数のストランド少なくともいくつかを、ウェブの平面と実質的に共面配置をなすように維持又は拘束すると考えることができる。実質的に「共面」配置とは、実質的に同一平面を占めるストランドを指す。この点に関する用語「実質的に」とは、複数のストランドの少なくともいくつかが、平面から最大15度、最大10度、又は最大5度だけねじれて離れることができることを意味し得る。拘束される複数のストランドに関する語句「少なくともいくつか」は、複数のストランド少なくとも25パーセント、少なくとも50パーセント、少なくとも75パーセント、若しくは少なくとも90パーセント、又はそれ以上が拘束されることを指す。
多くのウェブ取り扱い技術又はウェブ処理技術は、本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態において多種多様な組み合わせで有用であり得る。本開示による方法の前述の実施形態のいずれかの場合、断続スリットと共に直立ポスト又はループを有するスリット付きウェブの提供は、種々の方法で行うことができる。例えば、上述のような雄型締結要素又はループを有する連続ウェブの回転打抜きは有用であり得る。断続スリットは、例えば、隙間を有する回転切れ刃を使用して、ブリッジング領域を形成することによって作製することができる。隙間内のブレードの高さを調整して、所望の実施形態に応じて、ブリッジング領域が部分的に切断されるか、又は全く切断されないようにしてもよい。他の切断方法(例えば、レーザー切断)を用いてもよい。切断は、連続ウェブのどちらの表面からでも行うことができる。スリットは、機械的締結要素を有するウェブを「貫通して」切り込まれてもよく、これは、スリットがウェブの全厚みを貫通して切り込むことを意味する。他の実施形態では、伸展装置が部分深さのスリットを引き離すことができる限りにおいて、スリットは部分深さのスリットであってもよい。部分深さのスリットは、例えば、ウェブの厚さの80パーセント、85パーセント、又は90パーセント、又はそれ以上を貫通していてよく、これは次方程式の解:
(スリットの深さをウェブの厚さで除した値)X100
が、いくつかの実施形態では少なくとも80、少なくとも85、又は少なくとも90であることを意味する。ウェブにスリットを入れる他の方法は、例えば、米国特許出願公開第2011/0313389号(Woodら)に見出すことができる。
【0052】
上述したように、例えば、直立ポストの逆形状を有する型穴を備えた連続的に移動する成形型表面の上に熱可塑性材料を送給して、雄型締結要素が形成される場合、本明細書に開示される方法に従ってウェブにスリットを入れる工程、及びスリット付きウェブを伸展させる工程は、ループ係合ヘッドを形成するためにキャッピング工程を行う前又は後に行うことができる。また、キャップを形成するために遠位端を変形させる工程は、例えば、ウェブを通してスリットを入れた後であるがスリット付きウェブを伸展させる前、スリット付きウェブを伸展させた後であるが焼鈍(以下に記載)の前、又は焼鈍の後に、所望通りに行うことができる。雄型締結要素の形成は、例えば、米国特許第6,132,660号(Kampfer)に記載のように、キャップの形状を変化させる工程を更に含み得る。かかるキャップ改質工程は、キャッピングのすぐ後に、又は本明細書に記載するスリット入れ工程、伸展工程、又は更なる処理工程のいずれかの後に、行うことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示による方法は、伸展された機械的締結ウェブを加熱する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本開示による方法は、伸展された機械的締結ウェブを焼鈍する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、焼鈍は、伸展された機械的締結ウェブを加熱する工程を含む。いくつかの実施形態では、焼鈍は、その形状を維持するために、伸展された機械的締結ウェブを加熱し、その後冷却(例えば、急速冷却)することを含む。加熱及び/又は焼鈍は、例えば、伸展された機械的締結ウェブが最終的な所望の程度まで伸展された後、又は、例えば、伸展された機械的締結ウェブが第2の冠面で再度伸展される場合には、中間段階において、行うことができる。焼鈍は、例えば、伸展の程度に依存して有用であり得、かつ、例えば、スリット付きウェブの幅が少なくとも50パーセントだけ広げられた場合、複数のストランドの間の開口部を維持するのに有用であり得る。焼鈍はまた、例えば、複数のストランドの少なくともいくつかを実質的に共面配置に維持するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、加熱は、加熱によって生じ得る機械的締結要素に対するあらゆる損傷を最小にするために、伸展された機械的締結ウェブの第2の表面(即ち、第1の表面に対向し、機械的締結要素が突出している表面)に対してのみ適用される。加熱は、例えば、加熱ローラを使用して、若しくは赤外線照射、熱風処理などの非接触加熱法を用いて、又は加熱チャンバを通るようにウェブを方向付けることによって、連続ウェブに対して実施されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法は、スリット付きウェブを冠面の上で移動させる前に、スリット付きウェブを高摩擦ローラの上で移動させる工程を更に含み、高摩擦ローラは、冠面の逆形状を有する表面を有する。この高摩擦ローラの実施形態の形状の略図が
図6に示されている。冠面の逆形状を有する高摩擦ローラは、伸展された機械的締結ウェブの張力集中を低減するのに役立ち得る。スリット付きウェブを冠面上で移動させると、ウェブ最長経路長のラインに沿って張力の集中が引き起こされ得、このウェブ最長経路長のラインは、いくつかの実施形態では、ウェブの中央である。冠面の逆形状を有する高摩擦ローラは、スリット付きウェブの側縁部に予備張力を加えることになり、それにより、スリット付きウェブを冠面の上で移動させた後のウェブの張力がより均一になる。スリット付きウェブに予備張力を加えるためには、横方向への移動を防止するために、高摩擦力が望ましくあり得る。したがって、高摩擦ローラが有用であり得る。
【0055】
本開示の方法を実施するための装置1000の実施形態のダイヤグラム表示が
図7に示されている。
図7において、スリット付きウェブ10aは、ローラ1050の上に方向付けられており、このローラ1050は、例えば、ウェブ10aの張力を調節するのに有用であり得る。次に、スリット付きウェブ10aは、冠面1100の上を移動させることによって伸展され、伸展された機械的締結ウェブ10bが得られる。伸展された機械的締結ウェブ10bは、所望により、1つ又は2つ以上の他のローラ1150によって処理され、このローラ1150は、上述のような回転している加熱シリンダ(又は加熱ローラ)であり得る。いくつかの実施形態では、ローラ1150は、(例えば、ゴム状材料又は粗面を有する材料を含む)高摩擦ローラであってもよい。高摩擦ローラは、所望の場合には、加熱又は冷却されてもよく、又は室温で有用であってもよい。高摩擦ローラは、例えば、ウェブが焼鈍されているか否かにかかわらず、伸展形状での機械的締結ウェブを伸展形状に保持するのに有用であり得る。図示した実施形態では、次に、伸展された機械的締結ウェブ10bを第2の冠面1200上で移動させ、そこでウェブを大幅に伸展させることができる。図示した実施形態では、伸展された機械的締結ウェブは、次いで支持材料ウェブ45に積層され、積層体440を形成する。積層は、ローラ1500によって形成されたニップにおいて行われる。いくつかの実施形態では、積層の前に、伸展された機械的締結ウェブを回転している加熱シリンダ上に方向付け、その後任意に回転している冷却されたシリンダ上に方向付けて、伸展された機械的締結ウェブを焼鈍及び急冷することができる。
【0056】
例えば、上述のように、一方向への横方向の力が、何らかの理由で反対方向への横方向の力よりも大きくなったときに、摺動ウェブが冠面から滑り落ちる傾向を低減するために、様々なウェブ取り扱い及び設計技術が有用であり得る。前述の案内機構に加えて、スリット付きウェブの所望の伸展量を得るために冠面のサイズを最小にするのが望ましくあり得る。更に、上流及び下流のローラ1050及び1150を冠面1100の近くに配置すること、並びに、スリット付きウェブが冠面の最小部分の上で曲がるか、又は冠面の最小部分に巻き付くようにこれらローラを配置することが有用であり得る。これらはそれぞれ、単独で又は組み合わされて有用であり得る。
【0057】
本明細書に開示される機械的ファスナの製造方法の実施形態のいずれかでは、伸展された機械的締結ウェブは、ロールの形態であってもよい。断続スリットを中断するブリッジ領域により、伸展された機械的締結ウェブを、例えば、ロールの形態で取扱われ、所望通りに変換される一体ユニットとして取り扱うことが可能となる。伸展された機械的締結ウェブのブリッジ領域は、伸展された機械的締結ウェブを一体ユニットとして取り扱うのを可能にするが、取り扱いを容易にするために、複数のストランドの間の分離を維持するために伸展された機械的締結ウェブの複数のストランドを伸展形状に固定するために、又は選択した用途のための締結積層体を作製するために、伸展された機械的締結ウェブを支持材料(例えば、たとえ犠牲支持材料だとしても)に積層するのが有用であり得る。伸展された機械的締結ウェブは、例えば、積層(例えば、押出積層)、接着(例えば、感圧性接着剤)、又は他の結合方法(例えば、超音波結合、圧縮結合、又は表面結合)によって支持材料に接合されてもよい。
【0058】
支持材料45は、連続的(即ち、任意の貫通穴がない)又は断続的(例えば、貫通穿孔又は孔を含む)であり得る。支持体は、織布ウェブ、不織布ウェブ(例えば、スパンボンドウェブ、スパンレースウェブ、風成ウェブ、メルトブロウンウェブ、及び固着カードウェブ)、テキスタイル、プラスチックフィルム(例えば、単層又は多層フィルム、共押出フィルム、側方積層フィルム、又は発泡体層を含むフィルム)、及びそれらの組み合わせを含む、種々の好適な材料を含み得る。いくつかの実施形態において、支持材料は、繊維性材料(例えば、織布、不織布、又はニット材料)である。いくつかの実施形態において、支持材料は、例えば、少なくとも1つのメルトブロウン不織布の層、及び少なくとも1つのスパンボンドされている不織布の層、又は不織布剤の任意の他の好適な混合を有する、多層の不織布材を含む。例えば、支持材料は、スパンボンド−メルトボンド−スパンボンド、スパンボンド−スパンボンド、又はスパンボンド−スパンボンド−スパンボンドの多層材料であってもよい。又は、支持材料は不織布層及び高密度フィルム層を含む複合ウェブであり得る。有用な支持材料を提供することができる繊維性材料は、ループ状材料を作製するのに有用であるとして上述された繊維のいずれかから作製され得る。有用な支持材料は、特定の用途に望ましい任意の好適な坪量又は厚さを有し得る。繊維性キャリアに関し、坪量は、例えば、1平方メートル当たり少なくとも約5、8、10、20、30、又は40グラムから、1平方メートル当たり最大約400、200、又は100グラムの範囲であってもよい。支持材料は、約5mm、約2mm、又は約1mmまでの厚さ、及び/又は少なくとも約0.1、約0.2、又は約0.5mmの厚さであり得る。
【0059】
伸展された機械的締結ウェブが(例えば、その上に直立ポスト又は繊維層を有する)熱可塑性裏材を備える実施形態では、熱可塑性裏材は、表面結合技術又はロフト保持結合技術を用いて繊維性ウェブ支持材料に接合され得る。用語「表面結合」は、繊維性材料の結合を指すとき、繊維の少なくとも一部分の繊維表面の部分が、裏材の第2の表面の元の(結合前の)形状を実質的に保存し、曝露条件で裏材の第2の表面の少なくとも幾つかの部分を実質的に保存するような方法で、表面が結合する範囲において、裏材の第2の表面に溶融結合されることを意味する。定量的に、表面結合された繊維は、表面結合された繊維の表面積の少なくとも約65%が、繊維の結合部分の裏材の第2の表面の上に見えるという点で、埋め込まれた繊維と区別され得る。複数の角度からの検査は、繊維の表面積の全体を可視化するために必須であり得る。用語「ロフト保持結合」は、繊維性材料の結合を指すとき、結合された繊維性材料が、結合プロセスに先立って、又は結合プロセスがない場合、材料によって呈されるロフトの少なくとも80%である、ロフトを含むことを意味する。本明細書では、繊維性材料のロフトは、ウェブによって占有される全体積(繊維、並びに、繊維によって占有されない材料の間質腔を含む)と繊維の材料のみによって占有される体積との比である。繊維ウェブの一部分のみが、そこに結合される裏材の第2の表面を有する場合、保持されたロフトは、結合領域の繊維ウェブのロフトを、非結合領域のウェブのロフトと比較することによって容易に確認することができる。場合によっては、例えば、繊維ウェブの全体がそこに結合される裏材の第2の表面を有するのであれば、結合されたウェブのロフトを、結合される前の同一ウェブのサンプルのロフトと比較することが便宜的なこともある。こうした実施形態のいくつかでは、接合工程は、加熱ガス状流体(例えば、周囲空気、除湿空気、窒素、不活性ガス、又は他のガス混合)を、連続ウェブが移動している間に繊維ウェブキャリアの第1の表面の上に衝突させる工程と、加熱流体を、連続ウェブが移動している間に裏材の第2の表面の上に衝突させる工程と、ここで、第2の表面は、裏材の繊維層、ループ、又は直立ポストの反対側である、繊維ウェブの第1の表面が裏材の第2の表面に溶融結合(例えば、表面結合、又はロフト維持結合によって結合)されるように、繊維ウェブの第1の表面を裏材の第2の表面と接触させる工程と、を含む。加熱したガス状流体を繊維ウェブの第1の表面の上に衝突させる工程、及び加熱したガス状流体を裏材の第2の表面上に衝突させる工程は、連続的又は同時に実行されてもよい。加熱ガス状流体を使用して連続ウェブを繊維状の支持材料ウェブと接合するための方法及び装置は、米国特許出願公開第2011/0151171号(Bieglerら)及び同第2011/0147475号(Bieglerら)に見出すことができる。
【0060】
伸展された機械的締結ウェブが支持材料に接合されるいくつかの実施形態では、支持材料の1つ又は2つ以上のゾーンは、力が加えられると少なくとも1つの方向に延び、力が除去された後はほぼ元の寸法に戻る弾性的延伸性材料を含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、裏材又はループ状材料の複数のストランドに接合されたキャリアの少なくとも一部は、伸縮性ではない。いくつかの実施形態では、複数のストランドに接合された支持材料の一部は、CD方向に最大10(いくつかの実施形態では、最大9、8、7、6、又は5)パーセントの伸びを有する。いくつかの実施形態では、キャリアは、伸張性であるが、非弾性であってもよい。換言すると、キャリアは、少なくとも5パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも40パーセント、又は少なくとも50パーセントの伸びを有するが、実質的に伸びから回復しない(例えば、最大10又は5パーセントの回復)場合がある。好適な伸張性のキャリアとしては、不織布(例えば、スパンボンド、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド、又はカード不織材)を挙げることができる。いくつかの実施形態では、不織布は、高伸度カード不織材(例えば、HEC)であってもよい。いくつかの実施形態では、キャリアはひだ付きでない。
【0061】
伸展された機械的締結ウェブが支持材料に接合されるいくつかの実施形態では、支持材料は接着剤の層を備える。これら実施形態のいくつかでは、伸展された機械的締結ウェブは接着剤で支持材料に結合されて積層体を形成し、接着剤は、積層体の中の複数のストランドの間に露出される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示による方法は、伸展された機械的締結ウェブをCD方向に切断して、伸展された機械的締結パッチを提供する工程を含む。かかる切断は、例えば、伸展された機械的締結ウェブが支持材料に積層された後に行われてもよく、パッチは締結積層体と考えることができる。
【0063】
本明細書に開示される方法によって作製された締結積層体は、例えば、吸収性物品において有用である。吸収性物品は、少なくとも前側腰部領域、後側腰部領域、及び前側腰部領域と後側腰部領域を二等分する長手方向中心線を有し、前側腰部領域又は後側腰部領域の少なくとも一方は、本明細書に開示された締結積層体を含む。締結積層体は、前側腰部領域又は後側腰部領域の少なくとも一方に結合される締結タブ又はランディング区域の形態であり得る。締結タブは、吸収性物品の左側長手方向縁部又は右側長手方向縁部の少なくとも一方から外側に延びてもよい。他の実施形態において、締結積層体は、吸収性物品の一体型耳部分であり得る。締結タブの使用者側端部の支持材料は、伸展された機械的締結パッチの伸張された部分を超えるので、フィンガリフトを提供することができる。伸展された機械的締結パッチを締結タブで使用する場合、いくつかの実施形態において伸展された機械的締結パッチの複数のストランドの間に存在する場合がある露出した接着剤は、「はがれ防止」のため、又は使用後に使い捨て吸収性物品を丸めた状態に維持するために有用であり得る。伸展された機械的締結パッチがランディングゾーン又は締結タブとして使用される場合、いくつかの実施形態において伸展された機械的締結パッチの複数のストランドの間に存在する場合がある露出した接着剤は、機械的締結と接着締結の組み合わせを提供するのに有用であり得る。本明細書に開示される方法により作製される締結積層体はまた、例えば、生理用ナプキンなどの使い捨て物品においても有用であり得る。
【0064】
本開示に従って製造される機械的ファスナ及び積層体は、多くの他の締結用途、例えば、自動車部品の組み立て、又は剥離可能な取り付けが望ましくあり得る任意の他の用途でも有用であり得る。
【0065】
(本開示の一部の実施形態)
第1の実施形態では、本開示は、機械的ファスナの製造方法を提供し、該方法は、
機械的締結要素と機械方向の長さとを有するスリット付きウェブを提供することと、ここで、前記スリット付きウェブが、前記ウェブの完全ブリッジ領域によって中断される複数の横方向に離間した断続スリットを含み、前記断続スリットが、機械横方向に対して非平行である第1の方向に延在し、少なくともいくつかの隣接する断続スリットに関し、前記完全ブリッジ領域が前記第1の方向に対して横向きの方向にずらして配置される、
前記スリット付きウェブに前記機械方向に張力を加えることと、
前記スリット付きウェブを冠面の上で移動させることによって前記スリット付きウェブを機械横方向に伸展させて、伸展された機械的締結ウェブを提供することと、ここで、前記伸展された機械的締結ウェブが、前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかにおいて互いに接続され、かつ前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかの間で互いに分離されたスリット付きウェブの複数のストランドを含み、
前記冠面の少なくとも一部が空気ベアリングであるか、又は
前記冠面の少なくとも一部が低摩擦面であり、前記冠面と前記スリット付きウェブとが同一方向に同一速度で移動しない、を含む方法。
【0066】
第2の実施形態では、本開示は、前記冠面が回転しない、第1の実施形態の方法を提供する。
【0067】
第3の実施形態では、本開示は、前記冠面が空気ベアリングである、第1又は第2の実施形態の方法を提供する。
【0068】
第4の実施形態では、本開示は、前記冠面の少なくとも一部が低摩擦面であり、前記冠面と前記スリット付きウェブとが同一方向に同一速度で移動しない、第1又は第2に実施形態の方法を提供する。
【0069】
第5の実施形態では、本開示は、前記低摩擦の冠面が、滑らかな若しくは研磨した金属、又は滑らかなプラスチックから製造される、第4の実施形態の方法を提供する。
【0070】
第6の実施形態では、本開示は、前記冠面が低摩擦コーティングを有する、第4の実施形態の方法を提供する。
【0071】
第7の実施形態では、本開示は、前記冠面が少なくとも1つの隆起部を備えている、第1〜第6の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0072】
第8の実施形態では、本開示は、前記少なくとも1つの隆起部が、前記冠面の頂き部にある、第7の実施形態の方法を提供する。
【0073】
第9の実施形態では、本開示は、前記機械的締結要素が雄型締結要素であり、前記雄型締結要素が前記冠面に面するように前記スリット付きウェブが配置され、前記少なくとも1つの隆起部が、前記雄型締結要素の間に挟置される案内隆起部である、第7又は第8の実施形態の方法を提供する。
【0074】
第10の実施形態では、本開示は、前記冠面が少なくとも2つの案内隆起部を備えており、前記スリット付きウェブが、前記機械的締結要素を有する表面の反対側の表面の中央に位置する少なくとも1つの連続したリブを有し、前記連続したリブが前記冠面に面するように前記スリット付きウェブが配置され、前記連続したリブが前記冠面上の前記2つの案内隆起部の間に挟置される、第7又は第8の実施形態の方法を提供する。
【0075】
第11の実施形態では、本開示は、前記冠面が、前記冠面が前記スリット付きウェブと最初に接触する点における前記冠面の曲率が、前記冠面が前記伸展された機械的締結ウェブと最後に接触する点における曲率より小さくなるように変化する曲率を有する、第1〜第10の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0076】
第12の実施形態では、本開示は、前記スリット付きウェブを前記冠面の上で移動させる前に、前記スリット付きウェブを高摩擦ローラの上で移動させることを更に含み、前記高摩擦ローラが、前記冠面の逆形状を有する表面を有する、第1〜第11の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0077】
第13の実施形態では、本開示は、例えば、前記伸展された機械的締結ウェブを焼鈍するために、前記伸展された機械的締結ウェブを加熱することを更に含む、第1〜第12の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0078】
第14の実施形態では、本開示は、加熱することが、前記伸展された機械的締結ウェブを回転している加熱シリンダの上に方向付けることを含む、第13の実施形態の方法を提供する。
【0079】
第15の実施形態では、本開示は、加熱することが非接触加熱を用いることを含む、第13の実施形態の方法を提供する。
【0080】
第16の実施形態では、本開示は、前記伸展された機械的締結ウェブを高摩擦ローラの上に方向付けることを更に含む、第1〜第15の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0081】
第17の実施形態では、本開示は、前記高摩擦ローラが加熱される、第16の実施形態の方法を提供する。
【0082】
第18の実施形態では、本開示は、前記高摩擦ローラが冷却される、第16の実施形態の方法を提供する。
【0083】
第19の実施形態では、本開示は、前記伸展された機械的締結ウェブを回転している冷却されたシリンダの上に方向付けることを更に含む、第1〜第18の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0084】
第20の実施形態では、本開示は、前記スリット付きウェブが、前記伸展された機械的締結ウェブの幅が、前記スリット付きウェブの幅の最大100パーセントを超える、第1〜第19の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0085】
第21の実施形態では、本開示は、前記スリット付きウェブを第2の冠面の上で移動させることによって、前記伸展された機械的締結ウェブを機械横方向に再度伸展させることを更に含む、第1〜第20の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0086】
第22の実施形態では、本開示は、前記第2の冠面と前記伸展された機械的締結ウェブとが同一方向に同一速度で移動せず、前記第2の冠面の少なくとも一部が低摩擦面である、第21の実施形態の方法を提供する。
【0087】
第23の実施形態では、本開示は、前第2の冠面がエアベアリングである、第21又は第22の実施形態の方法を提供する。
【0088】
第24の実施形態では、本開示は、前第2の冠面が少なくとも1つの隆起部を備えている、第21〜第23の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0089】
第25の実施形態では、本開示は、前記伸展された機械的締結ウェブが、該ウェブの幅が前記スリット付きウェブの幅の最大200パーセントを超えるように再度伸展される、第21〜第24の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0090】
第26の実施形態では、本開示は、第1の方向が前記機械方向である、第1〜第25の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0091】
第27の実施形態では、本開示は、前記伸展された機械的締結ウェブを支持材料に積層することを更に含む、第1〜第26の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0092】
第28の実施形態では、本開示は、前記支持材料が不織布ウェブである、第27の実施形態の方法を提供する。
【0093】
第29の実施形態では、本開示は、前記支持材料が接着剤の層を備えている、第27又は第28の実施形態の方法を提供する。
【0094】
第30の実施形態では、本開示は、前記伸展された機械的締結ウェブが前記接着剤で前記支持材料に結合されて積層体を形成し、前記接着剤が、前記積層体の中の前記複数のストランドの間に露出される、第29の実施形態の方法を提供する。
【0095】
第31の実施形態では、本開示は、前記スリット付き裏材の前記機械横方向に、巨視的な延伸によって誘発された分子配向が存在しない、第1〜第30の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0096】
第32の実施形態では、本開示は、前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかにおいて互いに接続された前記スリット付きウェブの前記複数のストランドが、90度未満の角度を形成する、第1〜第31の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0097】
第33の実施形態では、本開示は、前記機械的締結要素が、前記スリット付きウェブに取り付けられた基部を有する直立ポストを含む雄型締結要素である、第1〜第32の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。前記雄型締結要素は、前記スリット付きウェブから遠位のキャップを更に含んでもよい。
【0098】
第34の実施形態では、本開示は、前記複数のストランドのそれぞれの幅寸法が、前記直立ポストの少なくとも前記基部より幅広である、第33の実施形態の方法を提供する。
【0099】
第35の実施形態では、本開示は、前記キャップが、前記断続スリットの方向に対して非ゼロ角度で前記直立ポストを超えて延びるループ係合張出し部を有する、第33又は第34の実施形態の方法を提供する。
【0100】
第36の実施形態では、本開示は、前記直立ポストの複数の列を有する熱可塑性裏材を提供することを更に含み、前記スリット付きウェブを提供することが、前記直立ポストの隣接する列の少なくともいくつかの対の間の熱可塑性裏材を貫通してスリットを入れることを含む、第33〜第35の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0101】
第37の実施形態では、本開示は、前記スリット付きウェブがループである、第1〜第32の実施形態のいずれか1つの方法を提供する。
【0102】
本開示は、上記の実施形態に限定されないが、以下の請求項及び全てのその等価物に詳述する制限によって規制される。本開示は、本明細書に具体的にに開示されていない要素を欠いても適宜実施され得る。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[1]
機械的ファスナの製造方法であって、
機械的締結要素と機械方向の長さとを有するスリット付きウェブを提供することと、ここで、前記スリット付きウェブが、前記ウェブの完全ブリッジ領域によって中断される複数の横方向に離間した断続スリットを含み、前記断続スリットが、機械横方向に対して非平行である第1の方向に延在し、少なくともいくつかの隣接する断続スリットに関し、前記完全ブリッジ領域が前記第1の方向に対して横向きの方向にずらして配置される、
前記スリット付きウェブに前記機械方向に張力を加えることと、
前記スリット付きウェブを冠面の上で移動させることによって前記スリット付きウェブを機械横方向に伸展させて、伸展された機械的締結ウェブを提供することと、ここで、前記伸展された機械的締結ウェブが、前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかにおいて互いに接続され、かつ前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかの間で互いに分離されたスリット付きウェブの複数のストランドを含み、
前記冠面の少なくとも一部が空気ベアリングであるか、又は
前記冠面の少なくとも一部が低摩擦面であり、前記冠面と前記スリット付きウェブとが同一方向に同一速度で移動しない、を含む方法。
[2]
前記冠面が回転しない、項目1に記載の方法。
[3]
前記冠面の少なくとも一部が低摩擦面であり、前記低摩擦の冠面が、滑らかな若しくは研磨した金属、又は滑らかなプラスチックから製造される、項目1に記載の方法。
[4]
前記冠面の少なくとも一部が低摩擦面であり、前記冠面が低摩擦コーティングを有する、項目1に記載の方法。
[5]
前記冠面が、その頂き部に少なくとも1つの隆起部を備えている、項目1に記載の方法。
[6]
前記機械的締結要素が雄型締結要素であり、前記雄型締結要素が前記冠面に面するように前記スリット付きウェブが配置され、前記少なくとも1つの隆起部が、前記雄型締結要素の間に挟置される案内隆起部である、項目5に記載の方法。
[7]
前記冠面が、前記冠面が前記スリット付きウェブと最初に接触する点における前記冠面の曲率が、前記冠面が前記伸展された機械的締結ウェブと最後に接触する点における曲率より小さくなるように変化する曲率を有する、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記スリット付きウェブを前記冠面の上で移動させる前に、前記スリット付きウェブを高摩擦ローラの上で移動させることを更に含み、前記高摩擦ローラが、前記冠面の逆形状を有する表面を有する、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記伸展された機械的締結ウェブを加熱することを更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記加熱することが、前記伸展された機械的締結ウェブを回転している加熱シリンダの上に方向付けることを含む、項目9に記載の方法。
[11]
前記伸展された機械的締結ウェブを高摩擦ローラの上に方向付けることを更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記完全ブリッジ領域の少なくともいくつかにおいて互いに接続された前記スリット付きウェブの前記複数のストランドが、90度未満の角度を形成する、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記スリット付きウェブを第2の冠面の上で移動させることによって、前記伸展された機械的締結ウェブを機械横方向に再度伸展させることを更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記伸展された機械的締結ウェブを支持材料に積層することを更に含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記支持材料が接着剤の層を備えており、前記伸展された機械的締結ウェブが前記接着剤で前記支持材料に結合されて積層体を形成し、前記接着剤が、前記積層体の中の前記複数のストランドの間に露出される、項目14に記載の方法。