(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで開示される実施形態は本願の主題の必要な説明を提供することを目的とするものである。これらは単なる例示であり、様々な形態で実施され得る。従って、ここでの特定の詳細な開示は本願の請求項で規定される主題を制限するものと解釈されるべきではない。
【0012】
図1は、本開示に従ったカセットとシートと組み合わせて使用され得る、公知の遠心分離流体処理システム10を示す。このシステムは、現在、イリノイ州レイクズーリックのフェンウォール インコーポレイテッドのAMICUS(登録商標)分離器として市販されている。システム10は、種々の流体の処理装置として使用され得るが、特に、全血と他の生物細胞材料の懸濁液の処理によく適合する。システム10は、流体の各成分の密度に基づいて各成分に分離するために適する遠心分離チャンバ(図示しない)を含む。遠心分離器とシステム10の他の要素のより詳細な記述は、ここに参照として組み込まれる米国特許第5,868,696号明細書に見出され得る。本発明の様々な局面が
図1のシステム10において使用する文脈において説明されるが、ここで説明されるカセットとシートは、制限ではなく例示として、透析装置のような他の流体処理アプリケーションや他の流体処理システムにおいて使用され得ることを理解されるべきである。
【0013】
システム10の傾斜したフロントパネルは、少なくとも
図2により詳細を示すカセット保持部14を含む。カセット保持部14は、使い捨ての、1回使用の処理セットの処理カセット16(
図3および
図4)を受容して保持するように構成されている。
図1のシステム10を用いた使用に適する処理セットの例は、米国特許第5,868,696号に見出される。しかしながら、ここで記述されるカセットとシートは、本開示の範囲を離れることなく、他の処理セットにも組み込まれ得ると理解されるべきである。
【0014】
図示されたカセット16は、
図3,4に示すように、内壁20(
図4)によって表側22(
図3)と裏側24(
図4)とを現すように、または、形成するように仕切られた、射出成形された本体18を含む。説明のために、表側22は、カセット16において、使用中にシステム10とは反対の側を向き、裏側24はシステム10に対向している。柔軟なシート、すなわち、隔膜26は、カセット16の裏側24の上に張り出して、周辺を封止している。後述するように、全体的に硬い上パネル28は、カセット16の表側22の上に張り出して、カセット16内の流路を規定する、盛り上がった壁に封止されている。
【0015】
1つの実施形態では、カセット16と、内壁20と、上パネル28は、硬い医療用のプラスチック材料で形成され、シート26は、ポリ塩化ビニルまたはシリコーンのような、柔軟な医療用のプラスチックのシートで形成されている。上パネル28とシート26の周囲は、それぞれ、カセット16の表側22と裏側24の周囲において封止されている。
【0016】
図3と
図4に示すように、カセット16の表側22と裏側24は、予め形成された孔を含む。カセット16の裏側24(
図4)には、孔が多数のバルブステーション30と多数の圧力感知ステーション32を形成している。カセット16の表側22(
図3)では、孔が流体を輸送するための多数の流路または通路34を形成する。バルブステーション30は、予め定められた方法で液路34を相互接続するために、内壁20を通って液体経路34と連通する。感知ステーション32も、選択された領域の圧力を検知するために、内壁20を通って液路34と連通する。液路34、バルブステーション30、感知ステーション32の配置と数は、異なってもよい。図示された実施形態では、カセット16は19の液路34、10のバルブステーション30、4つの感知ステーション32を提供する。
【0017】
バルブステーション30と感知ステーション32は、カセットの裏側24(
図4)に開口する浅い井戸に似ている。直立する端部36は、内壁20から立ちあがり、バルブステーション30と感知ステーション32の周囲を囲む。バルブステーション30はカセット16の表側22において内壁20によって閉鎖されるが、それぞれのバルブステーション30は内壁20に貫通孔または流体流通ポート38の対を含む。流体流通ポート38は、それぞれ、カセット16の表側22において選択された異なる液路34に通じている。
【0018】
感知ステーション32は、同様に、カセット16の表側22において内壁20によって閉鎖されるが、それぞれの感知ステーション32は、内壁20に3つの貫通孔またはポート38を含む(
図4)。ポート38は、カセット16の表側22において、選択された液路34内に開口している。これらのポート38は、関連付けられた感知ステーション32を通して、液体の流れを、選択された液路34の間に向ける。
【0019】
1つの実施形態においては、カセット16の裏側24に重ねられている柔軟なシート26は、超音波溶接または他の適切な手段によって、バルブステーション30または感知ステーション32の直立する周辺端部36に封止されている。このようにして、バルブステーション30と感知ステーション32は、互いに、また、本システムの他の部分から隔離される。別の実施形態では、柔軟なシート26が、シート26に対してカセット保持部14によって外部から加えられた正の力によって、直立端部36に対して着座し得る。超音波溶接のようなこの正の力は、バルブステーション30と感知ステーション32の周囲を封止する。
【0020】
バルブステーションに重ねられているシート26の中間領域へのさらなる正の力の局所的な適用(以下、「閉鎖力」という。)は、バルブステーション30内にシート26を曲げるのに役立つ。このような閉鎖力は、カセット保持部14またはそこに関連づけられたバルブ部材によって与えられる。このことはここで詳細に記述される。シート26は、ポート38の1つを封止するようにポート38に合うように配置され、液体の流れに対してバルブステーション30を閉鎖する。閉鎖力が除かれると、バルブステーション30内の流体の圧力および/またはシート26の塑性復元によって、シート26がポート38から離れ、液体の流れに対してバルブステーション30を開放する。最も有利には、シート26は、各バルブステーション30に関連づけられ、シート26がポート38から離れる際にさらに補助するように構成された、偏向部材62(
図3,
図5)のような偏向する特徴とともに提供される。このことはここで詳細に記述される。
【0021】
流路の立ち上がった側面、または、立ち上がった端部40は、内壁20から立ち上がり、液路34を囲み、規定しており、カセット16の表側22では開口している。液路34は、カセット16の裏側24において、バルブステーション30と感知ステーション32(
図4)のポート38以外では内壁20によって閉鎖されている。カセット16の表側22に重なっている硬いパネル28は、立ち上がった周囲の端部40に超音波溶接によって封止されて、液路34どうしと、液体34とシステムの他の部分とを封止していることが好ましいが、それ以外を除外しない。
【0022】
図示された実施形態では、複数の(例えば10の)予成形された管接続具42がカセット16の対辺の端部44,46から延び出ている。管接続具42は、5つが一方の側の端部44上に配列され、5つが他の側の端部46に配列されている。カセット16の他の側端部48には、図示されているように、管接続具が配置されていない。管接続具42は、使い捨てセットの残りの部分とともにカセット16に接続される外部の管(図示されていない)に接続される。
【0023】
管接続具42は、流体が通ってカセット16に出入りするカセット16の液路を構成しており、種々の内部液路34に連通している。カセット16の他の内部液路34は、バルブステーション30と感知ステーション32を通って管接続具42に関連づけられる液路34を互いに接続する分岐液路を構成している。
【0024】
次に、カセット保持部14(
図2)は、2つの対辺の側端部48に沿って所望の操作位置においてカセット16を受容し、保持または把持する。カセット保持部14は、一対の蠕動ポンプステーション50を含む。カセット16がカセット保持部14に把持されると、カセット16から延びている管のループ(選択された管接続具42によって規定される)は、ポンプステーション50と動作可能に係合される。ポンプステーション50は流体がカセット16を通って流れるように動かされる。
【0025】
カセット16の裏側24を覆う柔軟なシート26は、弁と感知部の配列または集合54に密着するように、カセット保持部14によって圧迫される(
図6、
図7)。弁の集合54は、カセット16のバルブステーション30と感知ステーション32と協働する。特に
図2に図示される弁の集合54は、10のバルブアクチュエータ56と4つの圧力感知変換器58とを含むが、これらのアクチュエータと変換器の数は規制されない。バルブアクチュエータ56と圧力感知変換器58は、カセット16の裏側24上に、バルブステーション32と感知ステーション32と同じ配置で、相互に配置される。カセット16がカセット保持部14に取り付けられると、バルブアクチュエータ56は、バルブステーション30と揃うように配置される。同時に、圧力感知変換器58は、カセット感知ステーション32と互いに揃うように配置される。
【0026】
圧力感知変換器58は、カセット16の感知ステーション32内の液圧を感知する。感知された圧力は、全体システム監視機能の一部として、システム10の制御部に送られる。
【0027】
バルブアクチュエータ56に関しては、それぞれが、電気的に作動するソレノイド・ピンまたはピストン60を含む。それぞれのピストン60は、引込位置(
図6)と伸長位置(
図7)との間で独立して可動である。伸長位置にあるとき、ピストン60はシート26において関連付けられているバルブステーション30に重なっている領域を押す。この位置では、ピストン60は、シート26を、関連付けられているバルブステーション30の中に曲げ、これによって、関連づけられているバルブポート38を封止する。これは、液体の流れに対してバルブステーション30を閉鎖する。引込位置では、ピストン60はシート26に力を加えない。上述のように、シート26の塑性復元力と偏向部材62が、シート26がバルブポート38から離れるようにシート26をカセット本体18から偏向させ、それによって、バルブステーション30が液体の流れに対して開放される。
【0028】
図5は、偏向部材62の特定の実施形態を示す。本開示に従った偏向部材の他の実施形態については、
図8(偏向部材62aとして示されている)と、
図9(偏向部材62bとして示されている)に図示されている。種々の偏向部材の実施形態は、1つの偏向部材しか有しない特有のシート26とともに(
図3を参照)、別々に示されている。これは、種々の偏向部材から単一の応答を得るという観点で、有利であり得るが、特定のシート26が異なる構造の偏向部材を含むということも、関連付けられるバルブステーション30の要求が変化した場合には有利であり得、これもまた本願の開示の範囲内にある。
【0029】
シート26は、カセット本体18に対向する側に関連づけられたそれぞれの偏向部材62〜62bを有する全体的に柔軟な層64(すなわち、隔膜状の柔軟なシートで、カセット16の裏側24に重ねられている)から構成されている。特に、それぞれの偏向部材62〜62bは、
図6〜9に示すように、バルブステーション30の1つに受容されて、内壁20とシート26の全体的に柔軟な層64との間に位置するように構成されている。バルブステーション30内の偏向部材62〜62bの特定の位置は、後に詳述するように、変化し得る。
【0030】
図5の実施形態においては、偏向部材62は、ピストン60(
図6,
図7を参照)の動きによって閉鎖されるポート38aに隣接するように向きが合わせられており、ここでは第1のポートと称する場合がある。偏向部材62は、完全な円形ではなく、すなわち、完全にポート38aを囲んでおらず、
図5(ポート38aとポート38bの相対的な位置を破線で示す。)に最もよく示されているように、部分的にのみ、または、ほとんどポート38aを囲んでいる。
図5の偏向部材62は、(
図5に図示されているように)偏向部材66の最大高さよりも低い、または、高さがゼロの(すなわち、単に全体的に柔軟な層64のみが開口66の位置にある)開口または通路66を含む。
【0031】
一つの実施形態においては、偏向部材62は、ピストン60が伸長位置(
図7)にあるか引込位置(
図6)にあるかに関わらず、内壁20に常に接触するように構成されている。開口66を設けることによって、偏向部材62が内壁20に接触していても、ピストンが引込位置(
図6)にある時、流体はポート38aとポート38bの間を通ることができる。
図5の実施形態においては、開口66は、ポート38aとポート38bとの間に直接的な、または、直線的な流路を与えるように方向づけられているが、開口66は、本願の開示を逸脱しない範囲で、他の位置(すなわち、異なる角度の位置)に置かれてもよい。しかしながら、開口66がポート38aとポート38bとの間で直接的な流体流通路を与えることは、ポート38aとポート38bとの間の流路長さを短くするために有利であり得る。
【0032】
図示された実施形態においては、偏向部材62は、全体的にポート38aと協働し、開口66を規定するように、全体的に弓型またはCの字型である。偏向部材62は、180°よりも大きい、または300°よりも大きく、ほとんど、しかし完全にではなく、ポート38aを囲み、開口66を規定し得る。図示された構成は、単に例示であり、開口66を規定するために、偏向部材は必ずしも円形や半円形である必要はなく、他のいかなる(必然ではないが好ましくは、閉じられていない)形状をも有し得る。例えば、全体的に正方形、卵型、多角形、または他の形状であり得る。偏向部材62がピストン60の先端または最上端から離間されるように(すなわち、一直線上に揃わないように)構成され配置されることは、有利であり得る。例えば、
図5〜
図7の実施形態においては、偏向部材62は、全体的にピストン60の最上端または先端の周囲と同じ大きさ(またはわずかに大きい)開けた内部を規定し、ピストン60は、
図7に示す伸長位置において、偏向部材60を直接圧縮しない。さらに、
図5〜
図7は、開口66とその隣接部分を除いて全体的に単一の高さを有する偏向部材62を示すが、偏向部材62が開口66以外の位置においても非単一の高さを有することも本開示の範囲内である。
【0033】
図5の偏向部材62は、全体的に柔軟な層64と同じ材質(一実施形態としてシリコーンであり得る)または異なる材質で構成され得る。偏向部材62と全体的に柔軟な層64が同一の材質で構成されている場合、偏向部材62は全体的に柔軟な層64と同時に形成されて、全体的に柔軟な層64に成形された突起または延出部として構成され得る。あるいは、偏向部材62は、全体的に柔軟な層64と同一の材質で構成されているか異なる材質で構成されているかに関わらず、全体的に柔軟な層64に別個に(例えば、接着剤または溶接または他の適切な固定方法によって)固定され得る。
【0034】
他の実施形態においては、偏向部材62は、全体的に柔軟な層64に固定されるよりもむしろ、カセット本体18の内壁20(またはカセット本体18の他の部分)に固定され得る。偏向部材62がシート26の全体的に柔軟な層64とカセット本体18の両方に固定されることも、いずれにも固定されない(例えば、偏向部材62を全体的に柔軟な層64と内壁20との間の空間内に圧入することによって固定する)こともまた本開示の範囲内である。
【0035】
使用においては、カセット16は、弁の集合54上に、シート26の全体的に柔軟な層64とともに、バルブアクチュエータ56と、バルブアクチュエータ56と整列されたバルブステーション30とに係合されるように(任意で、バルブアクチュエータ56の上に位置する弁の集合54の膜またはカバーとともに)、載せられる。カセット16が弁の集合54に載せられるとき、バルブアクチュエータ56のピストンは
図6の引込位置にある。ピストン60が引込位置にあると、流体はポート38aとポート38bとの間で流れることができる。一つの実施形態においては、流体は、
図6に示すように、ポート38aから、偏向部材62によって規定される開口66を通って、ポート38bに流れ込み、カセット16を連続して流れる。他の実施形態においては、流体は、第2のポート38bから第1のポート38aに、偏向部材62の開口66を経由して、逆向きに流れ得る。
【0036】
流体にバルブステーション30を通過させないことが望ましくなれば、ピストン60は、引込位置から
図7に示す伸長位置に移るように作動する。伸長位置では、ピストン60は、シート26の全体的に柔軟な層64をカセット16の内壁20に向かって押圧し、ポート38aが覆われ、流体にバルブステーション30を通過させない。偏向部材62は、内壁20へのシート26の動きに抵抗するが、ピストン60が内壁20に対して全体的に柔軟な層64を完全に設置するためには十分に従順である。ピストン60で直接、押圧することは必ずしも必要でないが、偏向部材62は、ピストン60が伸長位置にある時、
図7に示すように、変形されて押圧される。
【0037】
バルブステーション30を通過するように流体を流すことが再び望ましくなった場合には、ピストン60は、
図7に示した伸長位置から
図6に示す引込位置に移るために作動する。カセット16内における流体の流れによって生成された真空によって、シート26は当初の、付勢されていない
図6に示す形状に戻ろうとするが、これは、全体的に柔軟な層64をポート38aから完全に離すには十分でない場合がある。全体的に柔軟な層64と比較して、偏向部材64は、当初の
図6の形状に戻る、より大きな弾力性または能力がある。従って、シート26からピストン60の力を除くことで、偏向部材62は当初の形状に戻り、その時に、全体的に柔軟な層64がポート38aから離れて、シート26も当初の形状に戻される。
【0038】
別の実施形態においては、
図5に示す実施形態と同様、
図8に示すように、偏向部材62aはピストン60の動きによって閉鎖されるポート38aに隣接するように位置決めされている。しかしながら、
図8の偏向部材62aは、単にポート38aの周囲の一部を囲むだけでなく、完全な円形または完全に38aを囲んでもよい。偏向部材62aが常に(ピストン60が
図6の引込位置にある時を含む)カセットの内壁20に接触するように構成されているとしても、流体は偏向部材62aを通って、ポート38aと38bの間を流れ得る。これは、多数の方向のいずれにおいても達成され得る。
図8に図示された実施形態では、偏向部材62aは、波形ばねまたはコイルばねのようなばねを備える。流体が流れるように、隣接するばねとばねの間には開けた空間がある。偏向部材62aは、波形ばねまたはコイルばねとして与えられるのであれば、金属材料や高分子材料を含む多数の材料のいずれによっても構成され得る。他の実施形態においては、偏向部材は、流体が偏向部材を通って流れるように、発泡インサートやリングのような、全体的に開いた形状または多孔質構造を有し得る。偏向部材の他の構造としては、偏向部材を通って流体を流すことができるものは、本開示の範囲から逸脱しないものであれば使用され得る。
【0039】
図示された実施形態において、ピストン60が伸長位置にある時に偏向部材62aを直接、押圧しないように、偏向部材62aの内径はピストン60の最上端部の周辺部よりもわずかに大きく、一般的にポート38aと同心である。しかしながら、偏向部材62aがポート38aと同心でないこと、および/または、ピストン60の最上端部の周辺部以下の内径を有することも、本開示の範囲内である。さらに、本開示の範囲を逸脱しない範囲で、偏向部材62aは、実質的に環状であってもよいし、非環状であってもよい。
【0040】
図8は、偏向部材62aの一端を受容するための溝または流路または凹部68を含むように変形されたカセット16の内壁20を示す。凹部68は、その中の偏向部材62aを固定するための、接着性または他の手段を含み得る。他の実施形態においては、偏向部材62の一端は、内壁20に固定されるように、凹部68に圧入される。他の実施形態においては、偏向部材は、偏向部材62aが関連づけられたポート38aに対して適当な状態に保たれるように、凹部68にゆるく適合するように構成され得る。偏向部材62aの反対側は、シート26の全体的に柔軟な層64に固定されていてもよく、分離されていてもよい。凹部68を省略し、偏向部材62aを直接、カセットの内壁20やシート26の全体的に柔軟な層64に固定することも、本開示の範囲内である。
【0041】
使用時には、
図8の偏向部材62aは、
図5〜
図7の偏向部材62と同様に動作する。カセット16が弁集合54上に載せられると、バルブアクチュエータ56のピストン60が
図8の引込位置にあり、流体が偏向部材62aを通ってポート38aと38bとの間を流れるようにされる。バルブステーション30を流体に通過させないことが望まれる時には、ピストン60が引込位置から伸長位置に移るように作動し、ピストン60は、シート26の全体的に柔軟な層64をカセット16の内壁20に向かって押圧し、ポート38aを覆わせることによって、バルブステーションを通って流体が流れることを防ぐ。偏向部材62は、内壁20へのシート26の動きに抵抗するが、ピストン60が内壁20に対して全体的に柔軟な層64を完全に設置するためには十分に従順である。ピストン60で直接、押圧することは必ずしも必要でないが、偏向部材62は、ピストン60が伸長位置にある時、変形されて押圧される。
【0042】
バルブステーション30を通過するように流体を流すことが再び望ましくなった場合には、ピストン60は、
図8に示した引込位置に戻るように作動する。偏向部材62aが押圧された状態(ピストン60が伸長しているとき)から緩和された、または当初の状態(
図8)に戻ろうする傾向は、全体的に柔軟な層64をポート38aから離してシート26を当初の形状に戻すのに役立つ。
【0043】
別の実施形態においては、
図5と
図8に示す実施形態と同様、
図9に示すように、偏向部材62bはピストン60の動作によって閉鎖されるポート38aに隣接するように位置決めされている。しかしながら、
図9の偏向部材62bは、ポート38aの一部を囲むよりもむしろ、ポート38bとは独立して構成されている(すなわち、ポート38aを囲んだり、ポート38aに沿う形状には形成されていない)。ポート38aから独立するように、偏向部材62,62aが移動され、および/または、形状が変更され得ることは言うまでもない。また、そのような偏向部材62,62aの形状と位置は、関連付けられたポート38aに依存した形状および/または位置に限定されない。
【0044】
図示された実施形態においては、偏向部材62bは、第2のポート38bの反対側(すなわち、第1のポート38aから見て、第2のポート38aから180°離れた位置)に位置する。この位置は、偏向部材62aがポート38a,38bの間で流れに干渉することを防ぐのに役立つ。しかしながら、偏向部材62bが、(構成によって)偏向部材62bを通って、および/または、偏向部材の周囲で流体の連通をさせるように、2つのポート38a,38bの間を含む他の位置に配置されることは本開示の範囲内である。最も有利には、偏向部材62bは、ピストン60の機能を損なうことなく強いばねの応答を与える、ピストン60の最上端の周囲に隣接して配置される。しかしながら、偏向部材62bが、ピストン60とポート38aからさらに遠い位置を含む、バルブステーション30内の他の位置に配置されることもまた本開示の範囲内である。
【0045】
図9に示す偏向部材62bは、多数の材質のいずれによっても構成され得る。例えば、(
図5に示す実施形態のように)全体的に柔軟な層64と同じ材質で構成され得る。また、(
図8に示す実施形態のように)金属または高分子または発泡材料によって構成され得る。図示された実施形態では、偏向部材62bは、弾性を有するスペーサーまたはインサートを備える。さらに、バルブステーション30内には、1つ以上の偏向部材62bが配置され、特定のバルブステーション30内の種々の偏向部材は異なる形状にされ得る。例えば、特定のバルブステーション30には弾性材料のスペーサーまたはインサートによって構成される1つの偏向部材と金属の板ばねによって構成される別の偏向部材が与えられ得る。偏向部材62bは、全体的に柔軟な層64および/または内壁20に、適切な手段によって固定され得る。また、そのいずれの表面にも固定されない場合もあり得る。
【0046】
図9の偏向部材62bは、
図5〜
図8の偏向部材62,62aと同様に動作し、ピストン60が伸長位置に移動すれば押圧され、その後、ピストン60が引込位置に戻ると、当初の形状に戻り、全体的に柔軟な層64がポート38aから離れることと、シート26が当初の形状に戻ることを補助する。
【0047】
ここに図示された偏向部材に加えて、他の構成も、本開示の範囲を逸脱することなく、使用され得る。例えば、偏向部材は完全にまたは部分的にポート38aと38bの両方を囲むか、第2のポート38b(すなわち、ピストン60によって直接弁の開閉をされないポート)のみを囲むように構成され得る。また、偏向部材は、必ずしも常にカセットの内壁20に接触する必要はなく、ピストン60が引込位置にある時には離れて、ピストン60が伸長位置にあるかまたは伸長位置と引込位置の中間の位置にある時のみ内壁20に接触してもよい。
【0048】
さらに、ここで図示され説明された偏向部材は比較的弾力があるが(すなわち、ピストン60によって力を加えられると変形し、その後、当初の形状に戻る傾向がある)、弾性のない構成も使用され得る。例えば、偏向部材は、硬い、実質的に変形しない、好ましくは第1のポート38aに隣接して位置してシート26の方に延びる、カセット本体18から突出する突起によって構成され得る。このような突起は、カセット本体18と一体的に形成され得るか、別個に形成されてカセット本体18に実質的に固定される。他には、突起はカセット本体18ではなく、シート26に固定され得る。突起は、シート26がカセット本体18の方に向かう動きに抵抗して、シート26がポート38aを覆った状態で押されるように構成される。このように、本質的に弾性体よりもむしろ実質的に硬い突起が存在するだけで、シート26を閉鎖位置から開放位置に偏向させるのに役立つ。
【0049】
上述の本主題は、単独でも、または、1以上を他の局面と組み合わせてもよい。前述の説明を制限することなく、主題の1つの局面に従って、流体処理カセットに用いられる、複数の流体ポートがある少なくとも1つのバルブステーションを有するシートが提供される。シートは全体的に柔軟な層と偏向部材を備える。シートは、第1と第2の面を有し、カセットのバルブステーションに受容されるように構成された、全体的に柔軟な層の1つの面に関連づけられる偏向部材を有する。
【0050】
前述の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層と同じ材質で構成されている。
【0051】
前述のいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層の成形された突起を有する。
【0052】
前述のいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に弓型である。
【0053】
前述のいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は全体的にC型である。
【0054】
第1の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材はバネを備える。
【0055】
第1の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は発泡インサートを備える。
【0056】
別の局面に従えば、表側と裏側を規定する内壁を含む流体処理カセットが提供される。少なくとも1つのバルブステーションは、内壁の裏側に関連付けられている。複数の流体流通ポートはバルブステーションの1つに関連づけられている。カセットはまた、第1と第2の面を有する、全体的に柔軟な層を備えるシートを含む。偏向部材は、全体的に柔軟な層の1つの面に関連づけられて、バルブステーション内において、内壁と全体的に柔軟な層との間に配置されている。
【0057】
直前の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層と同じ材質で構成されている。
【0058】
前述の2つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層の成形された突起を有する。
【0059】
前述の3つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に弓型である。
【0060】
前述の4つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は全体的にC型である。
【0061】
第8の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材はバネを備える。
【0062】
第8の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は発泡インサートを備える。
【0063】
前述の7つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、内壁と全体的に柔軟な層とに係合している。
【0064】
前述の8つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、内壁は、偏向部材の1つを受容する流路を含む。
【0065】
前述の9つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、流体流通ポートの1つを部分的に囲んでいる、
【0066】
第8の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は流体流通ポートの1つを囲む。
【0067】
別の局面に従えば、流体処理システムと使い捨て処理セットとの組合せが提供される。この組み合わせは、流体処理カセットとバルブアクチュエータとを含む。流体処理カセットは、内壁と、少なくとも1つのバルブステーションと、複数の流体流通ポートと、シートとを含む。内壁は、表側と裏側とを規定し、少なくとも1つのバルブステーションは、内壁の裏側に関連づけられる。複数の流体流通ポートは、1つのバルブステーションに関連づけられる。シートは、第1と第2の面を有する全体的に柔軟な層と、1つの面に関連づけられる偏向部材とを含む。偏向部材は、バルブステーション内において、内壁と全体的に柔軟な層との間に配置される。
【0068】
直前の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層と同じ材質で構成されている。
【0069】
前述の2つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、全体的に柔軟な層の成形された突起を備える。
【0070】
前述の3つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は全体的に弓型である。
【0071】
前述の4つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は全体的にC型である。
【0072】
第19の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材はばねを備える。
【0073】
第19の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は発泡インサートを備える。
【0074】
前述の7つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は、ピストンが伸長位置と引込位置にある時、内壁と全体的に柔軟な層に係合する。
【0075】
前述の8つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、内壁は、偏向部材の一端を受容する流路を含む。
【0076】
前述の9つのいずれかの局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は部分的に流体流通ポートの1つを囲む。
【0077】
第19の局面とともに使用されまたは組み合わされ得る他の開示に従えば、偏向部材は1つの流体流路ポートを囲んでいる。
【0078】
上に図示され説明された実施形態は、本主題の原則のいくつかの応用であると理解されるべきである。当業者によって、別個に開示またはここに特許請求された特徴の組み合わせを含む、特許請求された主題の精神と範囲とから逸脱することなしに、多くの変形がされ得る。これらの理由によって、範囲は上述の説明に限定されず、特許請求の範囲に従い、特許請求の範囲がシート単独、シートと装置またはカセットとの組合せ、および/または、シートと装置とカセットとの組合せに向けられていると理解される。