特許第6138959号(P6138959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティエヌアイ メディカル アーゲーの特許一覧

特許6138959特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機
<>
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000002
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000003
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000004
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000005
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000006
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000007
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000008
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000009
  • 特許6138959-特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138959
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】特に人工呼吸器療法の装置のための小型の低騒音サイドチャネル圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 23/00 20060101AFI20170522BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20170522BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F04D23/00 D
   F04D23/00 E
   F04D29/66 L
   F04D29/66 M
   A61M16/00 300
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-544411(P2015-544411)
(86)(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公表番号】特表2015-537154(P2015-537154A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2013074134
(87)【国際公開番号】WO2014082892
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】102012023347.7
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507034997
【氏名又は名称】ティエヌアイ メディカル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト,ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】アンガー,イーバルト
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−280282(JP,A)
【文献】 特開2007−247421(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006024839(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 23/00
A61M 16/00
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工呼吸療法用装置のための小型低騒音サイドチャネル圧縮機(1)であって、
a)ハウジング(2)と、
b)前記ハウジング(2)に設けられ、気体の圧縮のための断面(31)を有する環状のサイドチャネル(13)と、
c)共通のピッチ円上に配置され、且つ前記サイドチャネル(13)に対向して設けられ、且つ前記ピッチ円の全体に分布された複数のブレードチャンバ(24)を有し、電気モータ(6)により回転駆動する円板形状のインペラ(12)と、
d)ブレードチャンバ壁部(29)及びブレードチャンバ底部(32)により形作られたブレードチャンバ(24)と、
e)前記ハウジング(2)内に形成され、圧縮するための気体を導入するための、前記サイドチャネル(13)と流体連通された気体入口開口部(21)と、
f)前記ハウジング(2)内に形成され、前記サイドチャネル(13)から圧縮された気体を排出するための、前記サイドチャネル(13)と流体連通された気体出口開口部(25)と、
g)前記気体出口開口部(25)と前記気体入口開口部(21)との間のサイドチャネル(13)に配置された遮断部(14)とを備え、
h)隣接するブレードチャンバ(24)の内側に方向付けられた前記ブレードチャンバ壁部(29)の表面が前記ブレードチャンバ(24)の径方向に延びる中心面に平行に延びるように、前記ブレードチャンバ(24)のそれぞれを分離する前記ブレードチャンバ壁部(29)は、前記インペラの外周に向かうに従って厚くなることを特徴とする小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項2】
前記ブレードチャンバ(24)のそれぞれは、径方向において、断面形状が曲線である底部(32)を有し、前記ブレードチャンバ(24)のそれぞれの前記底部(32)とそれらの前記ブレードチャンバ壁部(29)との間の移行部分は湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項3】
少なくとも25個のブレードチャンバ(24)がインペラ(12)に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項4】
少なくとも36個のブレードチャンバ(24)がインペラ(12)に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項5】
前記インペラ(12)の直径は、50mmであり、
前記インペラ(12)の回転速度は、30000rpmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項6】
記サイドチャネル(13)及びブレードチャンバ(24)である気体導通部の表面は、流体力学的に滑らかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項7】
記サイドチャネル(13)及びブレードチャンバ(24)である気体導通部の表面は、抗菌性であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項8】
前記ハウジング(2)及び前記インペラ(12)は、平滑な表面を有し、
前記遮断部(14)の端部に圧縮された気体の膨張部(15)が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項9】
前記気体入口開口部(21)及び/又は気体出口開口部(25)に、追加の吸音材が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項10】
ンペラ(12)にアルミニウム、マグネシウム又はPEEKが用いられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の小型低騒音サイドチャネル圧縮機を含むことを特徴とする人工呼吸療法用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件に係る種類のサイドチャネル圧縮機は、通常、その中に位置し、半円形の断面を有し、気体を圧縮するためのサイドチャネルと呼ばれる環状のチャネルを有するハウジングで構成される。サイドチャネルは、気体入口開口部(吸引側)と気体出口開口部(圧縮側)との間のいわゆる遮断部により分離されている。電気モータにより回転するように駆動されるインペラは、サイドチャネルの上に配置される。回転方向で見て、複数の放射状に配置されたブレードは、インペラにおけるピッチ円状リング上に設けられ、そのブレードは、いわゆるブレードチャンバと呼ばれる対応するセル内でピッチ円状リングを分ける。
【0002】
気体、特に空気は、気体入口開口部を通ってサイドチャネル内に入り、気体分子の一部は、ブレードにより接線方向に沿って流される。インペラの高速回転により引き起こされ、考慮された気体分子に影響する遠心力により、後者は径方向外側に加速され、それらはブレードの外に流れ、サイドチャネル内に流れるように加速される。それらは、インペラの方向において偏向され、気体分子は気体入口開口部から気体出口開口部へドーナツ状に曲った螺旋状曲線上を移動するように、インペラの次のブレードにより再度加速され、気体の圧力は連続的に上昇する。遮断部は、気体出口開口部から気体入口開口部へ輸送される気体の量を最小にする。
【0003】
サイドチャネル圧縮機は、オイルフリーな圧縮動作により、それらの寿命を延ばすための、及び高圧形成の選択のためのメンテナンスを必要としないため、例えばDE10 2006 024 839 A1又はDE 101 05 383 C2から周知であり、いわゆるTNI装置である経鼻ガス注入のための装置に使用するのに非常に適する。
【0004】
サイドチャネル圧縮機は上記利点があるが、サイドチャネル圧縮機内の強い乱流は、インペラの機械的エネルギーの大部分を圧力に関しては無駄である熱に変換するため、また、インペラの構造的形状によってインペラのブレードで圧縮された空気が、効果が減少されるように圧縮側から吸引側に引っ張られるため、遠心圧縮機と比較して効果は小さい。
【0005】
しかしながら、サイドチャネル圧縮機の主要な問題は、非常に高い騒音放出があるという事実であり、その騒音放出は、全体の周波数範囲に跨る騒音スペクトルを有し、一方で
不安定な乱流により引き起こされ、他方でサイドチャネルにおいて一般的である重ねられた音成分により引き起こされる。後者は、不均衡によるハウジング及びインペラの振動を含み、それは、いわゆるブレード騒音と呼ばれ、基礎周波数及びインペラの複数の基礎回転数に対応する。ブレード騒音は、入口と出口との遮断部における圧力変動により引き起こされ、それは単一のブレード毎によって誘導され、騒音の周波数は、ブレードの数により掛けられたインペラの回転数に対応する。基礎周波数の高周波に類似して、ブレード騒音は回転数の間隔における側波帯を有する。高周波騒音であるので、ブレード騒音は、特に邪魔となる。
【背景技術】
【0006】
問題となる種類のサイドチャネル圧縮機の以前の開発は、特に上述の欠陥の除去を目的としている。
【0007】
例えば、DE 196 49529 A1は、ガイド要素が効率を向上するためのサイドチャネルの入口側端部領域に形成されているサイドチャネル圧縮機を開示し、そのガイド要素は輸送されるための気体のより有効な吸込みを可能とする。EP 1 703 136 B1から、アンダーカットを含む複合サイドチャネル幾何学形状を有するサイドチャネル圧縮機が知られ、それにおいて、効率を改善するために、可能な限り乱流を無くすような気体の流れを達成するように、インサートがサイドチャネルの壁部の表面品質の向上のために用いられる。DE 199 13 950 A1から知られるサイドチャネル圧縮機において、増大された効率は、出口開口部の方向における最大チャネル深さを連続的に低減すること、並びに増大された容積の流れ及び増大された圧縮機容量を引き起こすサイドチャネルが半楕円形の形状断面を有する少なくとも1つの領域を設けることにより達成される。DE 10 2006 041 557 A1から、ブレードが、ほとんど渦を生成せず、出口に調節された空間的にねじれたブレード流を生成するように、三次元形状を有するインペラの各ブレードを設けることが周知である。他の周知のサイドチャネル圧縮機は、効率の改善のために、いわゆる軸方向及び径方向のクリアランスの低減に取り組む。気体は、ハウジングとインペラとの間の回転誘導間隙を通って圧縮側から吸引側に流れ、これにより、効率が低減する。この目的のためにハウジング部又はインペラに溝が設けられることはDE 20 2004 019 071 U1から周知であり、その溝が円周方向に設けられ、その溝は弾性材料からなるシーリングリングがはまり込む様式で挿入されるシーリング間隙に向かって設けられ、該シーリングリングは該シーリング間隙内に達する。また、DE 10 2005 040 305 A1は、粗面としてのインペラ及びハウジングのワークチャンバの対向面の少なくとも1つを設けることを提案し、その粗さは、好ましくは53〜45μmの範囲である。
【0008】
騒音放出を低減する特別な手段は、EP 2207 967 B1、WO 2006/039894 A2及びUS3,951,567により周知である。例えば、EP 2 207 967 B1は、騒音放出の低減の目的で、少なくとも1つのインペラブレードの自由端領域に少なくとも1つの流れ凹部を設けることを教示しており、その流れ凹部は、実質的に長方形の断面を有する流れ溝となり、気体の乱流構造を低減するために、インペラの全てのブレードのうちの30%〜70%のみに溝が設けられている。WO 2006/039894 A2は、スプリングワッシャ/ナットシステム又はタンブル装置によるクリアランスの低減のための手段のほかに、そのようなサイドチャネル圧縮機のためのインペラ、ブレードチャンバに設けられた騒音低減のための小さい中間ブレードを示す。US 3,951,567は、騒音放出を低減するために、インペラにおけるブレードの非均一的な配置を有するサイドチャネル圧縮機を開示する。フロー療法(例えば、経鼻送気TNI、ハイフロー療法HFT、経鼻ハイフローNHF、経鼻ハイフローTHFの用語で知られている)において、一定の容積で流体を送ること(送気)が必要とされるが、ブレードチャンバの構造のため、上記の低騒音サイドチャネルコンプレッサのような現状で知られているものでは不十分である。同時に、例えばいびき防止装置(DE 101 05 383 C2)がいびきの音の代わりに圧縮機の騒音で就寝者のパートナーの眠りを妨げるべきではないため、騒音放出の低減が流量の発生時に特に認められなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
人工呼吸器療法のための装置において一定の流量(空気/気体流れ)を発生する小型の低騒音サイドチャネル圧縮機を作製することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に示されるサイドチャネル圧縮機により達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項2〜10の主題である。
【0011】
請求項1に係るサイドチャネル圧縮機は、特にそのブレードチャンバの形状によって、及びブレードチャンバ同士を分離し且つインペラの外周に向かうに従って厚くなるブレードチャンバ壁部(ブレード)によって特徴付けられ、それらの表面は、隣接するブレードチャンバの内側に方向付けられており、径方向に延びる前記ブレードチャンバの中心面に平行に延びる。ブレードチャンバのそれぞれが、例えばボールノーズカッターによって一つの作業サイクルで完全に生成されるという利点のほかに、以下の段落で説明するように、一定の気体流量を促進し、騒音の低減を容易にする。
【0012】
従来技術において、インペラのブレードは、一定の壁厚さを有する(例えばDE 196 49 529 A1を参照)。結果として、ブレードチャンバの幅は、インペラの回転軸に対する径方向距離の増大と共に増大する。各ブレードチャンバは、インペラの外周の方向の外側に向かうにしたがって幅が広くなる。また、ブレードチャンバの底面においても、インペラの外周の方向にある。流入する気体は、ブレードチャンバ底部に向かって一ブレードに沿って流れ、ブレードチャンバ底部に沿って90°偏向され、再度90°偏向され、ブレードチャンバ底部から次のブレードに排出する。その流れは、ブレードチャンバの径方向内側からブレードチャンバの径方向外側に向かう径方向流れに重ねられる。その径方向の流れは、気体分子に作用し、ブレードチャンバの径方向外側の壁における圧力の増大を起こす遠心力によって引き起こされる。圧縮性の気体に基づいて、外周方向でのブレードチャンバの広がりは、気体の膨張によって気体の圧力の低減を引き起こし、流入分子及び排出分子、すなわちそれぞれの質量粒子が同等の数と仮定した場合、遠心力によって可能となる圧力の増大が全く達成されない。
【0013】
本発明では、所定の手段によって外周方向に向かって一定の幅にされたブレードチャンバを有し、結果として径方向での気体の膨張を防止することにより、上記2つの影響を回避する。例えばボールノーズカッターを用いてブレードチャンバを形成することにより、チャンバの底部でさえもそうならない。半円形状のブレードチャンバ底部は、より連続的に、結果として流れについてより有利な態様で、一ブレードにおいて対抗するブレードに空気流を案内する。結果として、この方法で全体の乱流の顕著な低減が達成され、気体体積の一定の流れを生じ、騒音の発生が低減される。より小さい空間が流れを循環するのに用いられるため、従来の周知の幾何学的形状と直接比較して、提案されたブレードチャンバの幾何学的形状によって効率が低減されるが、この不利な点は更なる技術的特徴により補われる。
【0014】
他の特徴は、従属請求項2及び6に示され、それらにおいて、ブレードチャンバがそれぞれ、径方向において半円形状断面を有し、サイドチャネルの半円形状に対応する底部を有し、それぞれのブレードチャンバの底部とそれらのブレードチャンバ壁部との間の移行部分が湾曲され、特にサイドチャネル及びブレードチャンバである気体導通部の表面が水力学的に滑らかであり、上記流れ特性の向上に基づき効率を増大させる。これに関して、例えばインペラの形成にボールノーズカッターを用いることは、後処理を必要とせず、直接に平滑な表面が形成されるため、一般の鋳造技術を適用することと比較して極めて有利である。例えば、ボールノーズカッターを用いることにより、主張された湾曲は半径を有する形状となる。
【0015】
約30000rpmのインペラの高速回転(従属請求項5)は、高い騒音も引き起こし、インペラに設けられた少なくとも25個、好ましくは36個のブレードチャンバ(従属請求項4)は、例えば36個のブレードの場合において18kHz、すなわち人間が聞くことができる範囲外の騒音であるブレード騒音を引き起こす。聞こえない範囲に騒音をシフトすると同時に、インペラの必要な径は、回転の速度に対する圧力の二次従属性により低減され、従って、従属請求項5で示す本発明の更なる実施形態で行われるように、インペラの直径は、約50mmに設定可能である。この手段によって、例えばサイドチャネル圧縮機が組み込まれるTNI装置の構造的空間は、小さく維持でき、それは大きい利点となる。その利点は、少なくとも1つのピッチ円を有するインペラ及びハウジングにより助けられる(従属請求項3)。
【0016】
健康に関する望まれない副作用を排除するために、特にサイドチャネル及びブレードチャンバである気体導通部の表面は抗菌性である。
【0017】
従属請求項8に記載されたハウジングの滑らかな表面、及びその上に設けられたインペラによってクリアランスが低減される。圧縮された気体の膨張部が遮断部の端部に設けられることを述べた従属請求項8が示す更なる特徴によって、ディフューザの周知の原理と同様に、気体の速度が殆ど損失無く圧力に変化されるように、気体の緩やかな膨張が可能となる。両方の手段が効率を増大する。
【0018】
吸音材が気体入口開口部及び/又は気体出口開口部で接続され得ることを提示する従属請求項9で主張されたサイドチャネル圧縮機のデザインは、騒音放出を維持することを避けるために必要であれば、ヘルムホルツ共鳴器の原理に従った周知の吸音機能をさらに接続する、又は環状吸音材をさらに接続するといった考えを提供する。請求項10で主張されるように低密度で且つ高強度の材料の使用は、インペラへの使用の場合、高速回転で低い遠心力を達成し、潜在的に不均衡な場合の雑音を防止する。これらの材料は、例えばアルミニウム、マグネシウム及びPEEKを含む。
【0019】
人工呼吸療法用装置における本発明に係るサイドチャネル圧縮機の使用も主張される(請求項11)。
【0020】
以下の段落において、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、サイドチャネル圧縮機を示す分解図である。
図2図2は、サイドチャネル圧縮機を示す断面図である。
図3図3は、サイドチャネル圧縮機の電気接続部側を示す図である。
図4図4は、図3の気体入口開口部及び気体出口開口部を通るA−A線の断面を示す図である。
図5図5は、ハウジングの蓋側を示す図である。
図6図6は、ハウジングを通る全断面を示す図である。
図7図7は、インペラを通る全断面を示す図である。
図8図8は、インペラを示す図である。
図9図9は、図8のインペラを通るB−B線の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、サイドチャネル圧縮機(1)の分解図を示す。ハウジング蓋(3)は平頭ねじ(4)によりハウジング(2)にねじ留めされている。ドーナツ形リング(5)又はOリングは、ハウジング(2)に対してハウジング蓋(3)をシールする。電気モータ(6)は、カウンターボア(10)を通る皿ねじ(9)、及びそのモータピン(11)によって、その中央揃え肩部(7)がハウジング(2)の中央揃え穴(8)に固定され、ハウジングに留められたインペラ(12)を回転する。ハウジング(2)において、制限する遮断部(14)及び膨張部(15)を含むサイドチャネル(13)が見られる。インペラ(12)は、中央揃え肩部(16)、ボア(17)及びねじ穴(18)を有する。符号19は、電気モータ(6)のための電気接続部を示す。
【0023】
図2は、取り付け状態のサイドチャネル圧縮機(1)の断面を示す。中央揃え肩部(7)を有する電気モータ(6)は、皿穴(20)及び中央揃え穴(8)を含むハウジング(2)に取り付けられる。その作動のための電気接続部(19)は、電気モータ(6)の反対の端部に配置される。また、その断面は、気体入口開口部(21)、及びその周囲に配置された環状溝(22)を示す。半円形状断面(31)を有するサイドチャネル(13)は、ハウジング(2)内に組み込まれる。ハウジング蓋(3)は、凹部(23)によりハウジング(2)に対して中央揃えされ、平頭ねじ(4)によりハウジング(2)にねじ留めされる。さらに、ねじ穴(18)が示されている。ハウジング蓋(3)は、環状溝(30)内に挿入されるドーナツ形リング(5)によりハウジング(2)に対してシールされる。また、インペラ(12)内にブレードチャンバ(24)が示され、それは径方向平面に切り込まれ、該ブレードチャンバ(24)はサイドチャネル(13)及び気体入口開口部(21)に対向して配置される。インペラ(12)はモータピン(11)に嵌着される。
【0024】
図3は、電気モータ(6)、電気接続部(19)、ハウジング蓋(3)、ハウジング(2)、並びに周囲に環状溝(22)を含む気体入口開口部(21)及び気体出口開口部(25)を備えたサイドチャネル圧縮機(1)の電気接続部側を示す。ブレードチャンバ(24)及びブレード(26)は、気体入口開口部(21)内にさらに示され、インペラの外周に向かうに従って大きくなる幅を有するブレードチャンバ壁部(29)は、気体出口開口部(25)内に示されている。
【0025】
図4は、サイドチャネル圧縮機(1)の気体入口開口部(21)及び気体出口開口部(25)を通るA−A線の断面を示す。膨張部(15)を含むサイドチャネル(13)は、それぞれその中で開始及び終了する。また、気体入口開口部(21)及び気体出口開口部(25)は、インペラ(12)内のブレードチャンバ(24)に達する。
【0026】
図5は、ハウジング蓋(3)がねじ留めされる側のハウジング(2)を示す。サイドチャネル(13)は、気体入口開口部(21)で始まり、気体出口開口部(25)で終わり、サイドチャネル(13)は、約270°の中心角を有する。遮断部(14)は、サイドチャネル(13)の端部同士の間に配置される。さらに、電気モータ(6)における中央揃え肩部(7)を受けるための中央揃え穴(8)が示される。符号(10)は、ねじにより電気モータ(6)を固定するためのカウンターボアを示す。4つのねじ穴(27)は、ねじによりハウジング蓋(3)を固定するためのものである。ねじ穴(28)は、ねじにより全体としてサイドチャネル圧縮機(1)を固定させる。膨張部(15)は、サイドチャネル(13)から気体出口開口部(25)に通路を形成する。
【0027】
図6は、ハウジング(2)を通る全断面を示す。中央揃え穴(8)は、電気モータ(6)を受けるための皿穴(20)に軸方向で隣接し、該中央揃え穴(8)は、モータピン(11)により貫通される。カウンターボア(10)は、電気モータ(6)を固定するための皿ねじを受ける。また、サイドチャネル(13)の半円形状断面(31)が示される。
【0028】
図7は、電気モータ(6)のモータピン(11)を受けるためのボア(17)を含むインペラ(12)の全断面を示す。半円形状のブレードチャンバ(24)は、径方向断面に歪みが無く示されている。また、ブレードチャンバ壁部(29)の面は、より小さい半円形状に示される。ブレードチャンバ壁部(29)によって内側が規定され、ブレードチャンバ(24)の輪郭により外側が規定された半円形状のリングは、ブレードチャンバ(24)が切り込まれるのに用いられるボールノーズカッターの半径に等しい幅を有する。さらに、中央揃え肩部(16)及びねじ穴(18)が示されている。
【0029】
図8には、ブレードチャンバ(24)及びブレード(26)を含むインペラの軸方向像が示されている。例示的実施形態において、径方向の伸びが等しい40個のブレードチャンバ(24)が設けられている。ボールノーズカッターの形状及びサイズは、ブレードチャンバ(24)の一定の幅を決定し、従って、ブレードチャンバ(24)の径方向に延びる中心面に平行に延びる平らなブレードチャンバ壁部(29)を形成する。ブレードチャンバ(24)の一定の幅により、ブレードは、径方向の外側に幅が広がる。このデザインの結果、各ブレードチャンバ(24)は同一のチャンバ容積を有する。
【0030】
図9において、インペラ(12)を通るB−B線の断面は、ブレードチャンバ(24)の半円形状の底部(32)を示す。前記底部の湾曲、この場合、前記底部の半径は、ボールノーズカッターの半径により決定される。平坦なブレードチャンバ壁部(29)も見られる。全てのブレードチャンバ(24)は、同一の深さでインペラ(12)に入り込む。ボールノーズカッターによる形成の代わりに、エロージョン処理も適用され得る。
【0031】
50mmのインペラ直径は、いくつかの適用において特に有利であることが認められている。低密度且つ高強度の材料は、高速回転での低遠心力を達成するのに適する。気体と接触する表面は、水力学的に滑らかであり、抗菌性となるように設計される。
【0032】
動作時において、電気モータ(6)は、インペラ(12)を回転させ、気体入口開口部(21)を介してサイドチャネル(13)に気体を吸引する。この効果は、気体入口開口部(21)から進入した気体分子が入り込むブレードチャンバ(24)により引き起こされる。気体分子は、円運動の場合のように、径方向及び接線方向に加速される。これは、複数の流れ成分が重なることを引き起こす。一方では、気体分子は、遠心力の発生により径方向外側に加速され、ブレードチャンバ(24)の外側領域に圧力が増大する。圧縮された気体は、サイドチャネル(13)に入り、次のブレードチャンバ(24)に再度入るように、壁部が続く円軌道に偏向される。他方では、気体分子は、電気モータ(6)の回転軸に関して軸方向において一ブレードに沿って流れ、次いで対抗するブレード(26)により反対方向にサイドチャネル(13)内に押し込まれるように、ブレードチャンバ(24)の半円形状の底部により偏向される。これはまた、圧力の増大を引き起こす。結果として、螺旋状流れを発生させ、気体圧力を、気体出口開口部(25)で気体が排出されるまで絶えず増大させる。ほぼ全体として気体の円周方向の流れを妨げる遮断部(14)もこの目的に関わる。ブレードチャンバ(24)に保持された残りの気体のみが、インペラ(12)により遮断部(14)でさらに移送される。
【符号の説明】
【0033】
1 サイドチャネル圧縮機
2 ハウジング
3 ハウジング蓋
4 平頭ねじ
5 ドーナツ形リング
6 電気モータ
7 中央揃え肩部
8 中央揃え穴
9 皿ねじ
10 カウンターボア
11 モータピン
12 インペラ
13 サイドチャネル
14 遮断部
15 膨張部
16 中央揃え肩部
17 ボア
18 ねじ穴
19 電気接続部
20 皿穴
21 気体入口開口部
22 環状溝
23 凹部
24 ブレードチャンバ
25 気体出口開口部
26 ブレード
27 ねじ4のためのねじ穴
28 サイドチャネル圧縮機1を固定するためのねじ穴
29 ブレードチャンバ壁部
30 環状溝
31 サイドチャネル13の断面
32 底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9