(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138970
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】原料の選別装置及びその選別方法
(51)【国際特許分類】
B03C 7/12 20060101AFI20170522BHJP
B03C 7/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
B03C7/12
B03C7/08
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-557933(P2015-557933)
(86)(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公表番号】特表2016-508443(P2016-508443A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】KR2013012161
(87)【国際公開番号】WO2014171612
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0041148
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0121142
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,チョン リョク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ア
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イン グク
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ドン ソク
【審査官】
金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−163457(JP,A)
【文献】
特開平09−299829(JP,A)
【文献】
特開2011−073408(JP,A)
【文献】
特開2011−115753(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/101874(WO,A1)
【文献】
特開平07−116548(JP,A)
【文献】
特開2000−317345(JP,A)
【文献】
特開平05−319994(JP,A)
【文献】
特開2003−001632(JP,A)
【文献】
特表2005−507777(JP,A)
【文献】
特開平11−114451(JP,A)
【文献】
特開2002−136894(JP,A)
【文献】
特開2011−177624(JP,A)
【文献】
特開2000−061358(JP,A)
【文献】
特開平09−040980(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0036758(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00−11/00
B29B 17/00−17/04
C08J 11/00−11/28
B09B 1/00− 5/00
B01F 1/00− 5/26
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を構成する主成分及び不純物を選別するための装置であって、
原料を供給する原料供給器と、
前記原料供給器から供給される原料を荷電する荷電器と、
前記荷電器において荷電された原料を極性に応じて分離するための静電選別器と、
前記静電選別器において選別されて落下する原料を分離して収集する選別貯留器と、を備え、
前記荷電器は、
内部に前記原料供給器から供給される原料を荷電するための空間が形成される荷電チャンバーと、
前記荷電チャンバーの内部に回転自在に設けられ、回転力によって前記原料供給器から供給される原料に衝撃を加える荷電ローターと、
を備え、
前記荷電ローターは、
回転軸と、
前記回転軸に回転力を提供する駆動装置と、
前記回転軸の上部に設けられる分配器と、
前記分配器の下部に設けられ、前記回転側の外周面に放射状に連結される少なくとも一つのブレードと、
前記ブレードの下部に設けられ、前記回転軸の外周面に連結される回転板と、
を備えることを特徴とする原料の選別装置。
【請求項2】
前記荷電チャンバーは、
内部に前記荷電チャンバーの中心側に向かって傾いた傾斜面を有する荷電プレートと、
前記荷電チャンバーを加熱する加熱装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項3】
前記分配器は、円錐又は多角錐状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項4】
前記ブレード及び前記回転板の表面には、凹凸構造が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項5】
前記静電選別器は、
上下方向に配置される負極板と、
前記負極板から離れて上下方向に設けられる正極板と、
を備え、
前記負極板及び正極板は、下部が外側を向くように傾いて配置されたことを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項6】
前記負極板及び正極板は、距離及び角度のうちの少なくともいずれか一方が調節可能なように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の原料の選別装置。
【請求項7】
前記静電選別器は、
互いに離れて設けられ、上下方向に配置される一対の電極部材と、
前記電極部材を取り囲んで上下方向に回転する回転シートと、
を備え、
前記一対の電極部材は、異なる極性を有することを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項8】
前記回転シートの一方の側には、前記回転シートに付着される原料を分離するスクラッパーが設けられたことを特徴とする請求項7に記載の原料の選別装置。
【請求項9】
前記静電選別器は、
無端状の第1のベルトと、前記第1のベルトの内部の領域に設けられる第1の電極体と、を有する下部コンベヤーと、
前記下部コンベヤーの上部に離れるように設けられる無端状の第2のベルトと、前記第2のベルトの内部の領域に前記第1の電極体とは異なる極性を有するように設けられる第2の電極体を有する上部コンベヤーと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の原料の選別装置。
【請求項10】
前記下部コンベヤーは、一対の下部駆動軸に前記第1のベルトが無端状に連結され、前記一対の下部駆動軸の間に前記第1の電極体が配置され、前記第1のベルトの内部領域の一方の側には第1の脱イオン化器が配置され、
前記上部コンベヤーは、一対の上部駆動軸に前記第2のベルトが無端状に連結され、前記一対の上部駆動軸の間に前記第2の電極体が配置され、前記第2のベルトの内部領域の一方の側には第2の脱イオン化器が配置されたことを特徴とする請求項9に記載の原料の選別装置。
【請求項11】
前記第1のベルト及び第2のベルトのうちの少なくともいずれか一方の外側にはスクラッパーが設けられたことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の原料の選別装置。
【請求項12】
前記第1のベルト及び第2のベルトは、電気伝導性材料によって製作されたことを特徴とする請求項11に記載の原料の選別装置。
【請求項13】
前記上部コンベヤーには、前記第2のベルトの内部領域に前記第2のベルトの戻り部を上方に浮上させて前記第2のベルトの張力を維持する張力軸が配置されたことを特徴とする請求項12に記載の原料の選別装置。
【請求項14】
前記上部コンベヤー及び前記下部コンベヤーは、少なくとも一部が重なり合うように配置され、前記上部コンベヤー及び前記下部コンベヤーの対向面は平行に配置されたことを特徴とする請求項13に記載の原料の選別装置。
【請求項15】
前記選別貯留器は、仕切り壁によって炭素粒子が貯留される第1の貯留部と、硫黄粒子及び灰分粒子が貯留される第2の貯留部とに仕切られ、
前記仕切り壁の上端には、主成分及び不純物を区別して前記第1の貯留部及び第2の貯留部の開口された上端に導く回動壁が設けられ、
前記回動壁は、前記仕切り壁の上端に蝶着されて第1の貯留部の上端領域又は第2の貯留部の上端領域に回動されることを特徴とする請求項14に記載の原料の選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の選別装置及びその選別方法に係り、さらに詳しくは、原料、例えば、石炭中に含有されている灰分、硫黄などの不純物を有効に選別することのできる原料の選別装置及びその選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製鉄所において用いる石炭は、大きく、コークス製造用炭、高炉微粉炭噴射(PCI:Pulverized coal injection)用炭及び焼結用炭に大別される。
コークス製造用石炭の場合、石炭を間接的に加熱すれば非常にかさかさしている液体状態に変わる性質があるが、このような相変異現象を用いて粉状態の石炭を塊状のコークスにする。このような性質は全ての石炭が有しているわけではなく、一部の種類の石炭のみが有している特性であり、瀝青などの液体状態を有することから、瀝青炭と呼ばれる。瀝青炭の場合に埋蔵量が限定されており、需要に比べて供給量が足りなりため高い価格になっている。
【0003】
コークスは鉄鋼石と共に高炉の上部より順次に装入されて熱を発生させて鉄鋼石を溶融させ、高炉の下部に鉱滓状に排出される。高炉に熱を供給する方法としては、高炉の上部にコークスを投入する方法に加えて、高炉の下部に熱風と共に破砕された石炭を入れる方法が挙げられ、これを微粉炭噴射(PCI)用炭と称する。PCI用炭は短い時間内に十分に燃える必要があるため、どれほど細かく破砕されているかと、どれほど高い熱量を有しているかが非常に重要である。このように熱を発生させる過程において発生する廃ガスは大気中に放散されずにガス状の熱源に回収されるため種々の石炭が使用可能である。
焼結用炭は、鉄鋼石などの粉鋼に熱を加えて焼結鋼を作る過程において粉鋼に熱を供給する用途に用いられる。焼結過程においては焼結用炭が直接燃焼され、燃焼時に発生する廃ガスは煙突を介して外部に排出する工程であるため焼結用無煙炭には発熱量が高く、窒素酸化物(NOx)の低減のために窒素の含量が低い無煙炭が主として用いられる。
【0004】
一方、石炭から灰分構成鉱物及び硫黄(S)成分を取り除くための研究は昔から体系的に行われてきたが、選別効率が高く、且つ、経済性を有する乾式選別技術の開発は依然として解決すべき課題となっている。
通常の石炭の選別工程としては、スパイラル、ジグ及び重液などを用いる比重選別、捕收剤及び起泡剤などを用いる浮遊選別など湿式処理工程が主として用いられている。湿式処理工程の場合、使用済み用水のリサイクル及び廃水を処理するための付随的な工程と、選別済みの石炭精鉱の水分の除去のための脱水及び乾燥工程が必要であるため工程が複雑になり、選別にかかるコストも高騰する。しかし、石炭は安価なエネルギー鉱物であるため石炭を経済的に選鉱するためには乾式で処理可能な技術の開発が必須である。
【0005】
石炭から灰分及び硫黄を取り除くことによって得られる効果としては、石炭の発熱量の増加と燃焼の安定化、石炭灰の低減による発電所の熱効率の上昇及び鉱滓の低減による製鉄用炉の生産効率の向上などが挙げられる。また、灰分及び硫黄によるボイラー及び炉の内部の摩耗及び腐食の低減などによって設備のメンテナンスにかかる時間が短縮され、且つ、操業の効率が上がるというメリットがある。
さらに、石炭の燃焼時に発生する石炭灰と亜硫酸ガスなどを取り除くためには、集塵設備や脱硫施設などのさらなる工程の設置と運転コストが必要であるため、燃焼前に石炭の灰分及び硫黄の含量を最小化させ得る技術は非常に重要であるといえる。なお、国内外的に強化されている環境汚染問題に対応するためにも石炭の灰分及び硫黄成分を有効に選別する技術の開発は必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、原料の荷電効率を高めて原料の荷電にかかる時間を短縮して原料の選別効率を向上させることのできる原料の選別装置及びその選別方法を提供する。
本発明は、原料中に含有されている不純物を手軽に取り除くことのできる原料の選別装置及びその選別方法を提供する。
本発明は、環境汚染を抑えたり防いだりすることのできる原料の選別装置及びその選別方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による原料の選別装置は、原料を構成する主成分及び不純物を選別するための装置であって、原料を供給する原料供給器と、原料供給器から供給される原料を荷電する荷電器と、荷電器において荷電された原料を極性に応じて分離するための静電選別器と、静電選別器において選別されて落下する原料を分離して収集する選別貯留器と、を備え、荷電器は、内部に原料供給器から供給される原料を荷電するための空間が形成される荷電チャンバーと、荷電チャンバーの内部に回転自在に設けられ、回転力によって原料供給器から供給される原料に衝撃を加える荷電ローターと、を備えることを特徴とする。
【0008】
荷電チャンバーは、内部に荷電チャンバーの中心側に向かって傾いた傾斜面を有する荷電プレートと、荷電チャンバーを加熱する加熱装置と、を備えることが好ましい。
荷電ローターは、回転軸と、回転軸に回転力を提供する駆動装置と、回転軸の上部に設けられる分配器と、分配器の下部に設けられ、回転側の外周面に放射状に連結される少なくとも一つのブレードと、ブレードの下部に設けられ、回転軸の外周面に連結される回転板と、を備えることが好ましい。
分配器は、円錐又は多角錐状に形成されることができる。
【0009】
ブレード及び回転板の表面には、凹凸構造が形成されてもよい。
静電選別器は、上下方向に配置される負極板と、負極板から離れて上下方向に設けられる正極板と、を備え、負極板及び正極板は、下部が外側を向くように傾いて配置されることが好ましい。
負極板及び正極板は、距離及び角度のうちの少なくともいずれか一方が調節可能なように形成されることが好ましい。
【0010】
静電選別器は、互いに離れて設けられ、上下方向に配置される一対の電極部材と、電極部材を取り囲んで上下方向に回転する回転シートと、を備え、一対の電極部材は、異なる極性を有することが好ましい。
回転シートの一方の側には、回転シートに付着される原料を分離するスクラッパーが設けられてもよい。
静電選別器は、無端状の第1のベルトと、第1のベルトの内部の領域に設けられる第1の電極体と、を有する下部コンベヤーと、下部コンベヤーの上部に離れるように設けられる無端状の第2のベルトと、第2のベルトの内部の領域に第1の電極体とは異なる極性を有するように設けられる第2の電極体を有する上部コンベヤーと、を備えることが好ましい。
【0011】
下部コンベヤーは、一対の下部駆動軸に第1のベルトが無端状に連結され、一対の下部駆動軸の間に第1の電極体が配置され、第1のベルトの内部領域の一方の側には第1の脱イオン化器が配置され、上部コンベヤーは、一対の上部駆動軸に第2のベルトが無端状に連結され、一対の上部駆動軸の間に第2の電極体が配置され、第2のベルトの内部領域の一方の側には第2の脱イオン化器が配置されることが好ましい。
第1のベルト及び第2のベルトのうちの少なくともいずれか一方の外側にはスクラッパーが設けられることがよい。
第1のベルト及び第2のベルトは、電気伝導性材料によって製作されることがよい。
【0012】
上部コンベヤーには、第2のベルトの内部領域に第2のベルトの戻り部を上方に浮上させて第2のベルトの張力を維持する張力軸が配置されることが好ましい。
上部コンベヤー及び下部コンベヤーは、少なくとも一部が重なり合うように配置され、上部コンベヤー及び下部コンベヤーの対向面は平行に配置されることがよい。
選別貯留器は、仕切り壁によって炭素粒子が貯留される第1の貯留部と、硫黄粒子及び灰分粒子が貯留される第2の貯留部とに仕切られ、仕切り壁の上端には、主成分及び不純物を区別して第1の貯留部及び第2の貯留部の開口された上端に導く回動壁が設けられ、回動壁は、仕切り壁の上端に蝶着されて第1の貯留部の上端領域又は第2の貯留部の上端領域に回動されることが好ましい。
【0013】
本発明の実施形態による原料の選別方法は、原料を構成する主成分及び不純物を選別するための方法であって、原料を設ける過程と、原料を荷電器に移動させて荷電する過程と、荷電された原料を隔設される負極板と正極板との間に落下させて選別する過程と、を含み、荷電する過程において原料が回転中の荷電ローターに衝突して1次的に荷電され、荷電ローターに衝突して飛散される原料が荷電ローターを取り囲むように設けられる荷電チャンバーの内壁に衝突して2次的に荷電されることを特徴とする。
原料を荷電する過程において原料を荷電する荷電器を加熱することがよい。
原料は石炭であり、主成分は炭素であり、不純物は灰分及び硫黄のうちの少なくともいずれか一方であることがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明よる原料の選別装置及びその選別方法によると、原料に含有されている不純物を容易に取り除くことができる。原料中に含まれる成分の静電極性差を用いて主成分及び不純物を選別して工程に用いられる原料の純度を向上させることができる。これによって、不純物が多量含有される安価及び低品位の原料が使用可能になって製造コストを節減することができる。
また、比較的に狭い空間においても原料を効率よく荷電することができるので、設備の全体のサイズを減らすことができる。なお、コンベヤータイプの静電選別器を用いる場合、大量の原料を連続して選別して工程効率及び生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による原料の選別装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による原料の選別装置の概略的な構造を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
【
図5】本発明の変形例による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
【
図6】本発明の他の変形例による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示する実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態として実現され、これらの実施形態は単に本発明の開示を完全なものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に理解させるために提供されるものである。
本発明は、原料に含まれている不純物を選別するための選別装置及びその方法に関するものであり、原料を構成する主成分と不純物との間の静電極性差を用いて原料を構成する主成分及び不純物を選別するのに用いられる。以下、製鉄工程において用いられる石炭から石炭を構成する主原料である炭素粒子と、不純物である硫黄粒子、灰分粒子などを選別する原料の選別装置を例にとって説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による原料の選別装置の構成を示す斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態による原料の選別装置の概略的な構造を示す断面図であり、
図3は、
図2に示す荷電器の構造を示す図であり、
図4は、本発明の一実施形態による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
原料の選別装置は、原料を供給する原料供給器100と、原料供給器100から供給される原料を荷電する荷電器200と、荷電器200において荷電された原料を極性に応じて分離するための静電選別器300及び静電選別器300において選別されて落下する原料を収集する選別貯留器400を備える。
原料供給器100は、原料、例えば、石炭を貯留する原料貯留器110と、原料貯留器110から排出される原料を荷電器200に移動させるホッパー112と、を備える。
【0018】
原料貯留器110は、所定の大きさに粉砕された原料、例えば、石炭を貯留し、原料貯留器110から所定量ずつ切出される原料をホッパー112に排出する。
ホッパー112は、原料貯留器110から切出される原料を荷電器200に投入し、ホッパー112の下端には原料が移動する供給配管114が荷電器200内部に延びて形成される。ホッパー112は、原料貯留器110から切出された原料が荷電器200に円滑に排出されるように傾斜面を有するように形成されてもよく、原料が荷電器200に所定の速度にて均一に排出されるように内壁にサイクロン状の凹凸構造が形成されてもよい。
荷電器200は、荷電チャンバー210と、荷電チャンバー210の内部に設けられる荷電ローター220と、を備えていてもよい。
【0019】
荷電チャンバー210は、内部に原料供給器100から排出される原料が荷電される空間が形成され、荷電チャンバー210の内部には、原料供給器100から排出される原料が荷電チャンバー210の下部に設けられる静電選別器300に直接的に抜け出ることを防ぐために上部から下部に進むにつれて狭くなる形状の傾斜面を有する荷電プレート212が形成される。このような荷電プレート212は荷電チャンバー210と一体に形成されてもよく、荷電チャンバー210の内部に別途に設けられてもよい。荷電プレート212は、荷電ローター220に衝突して荷電された原料や未荷電の原料が荷電ローター220の回転力によって飛散されてその表面に衝突及び摩擦しながら荷電されるようにする。このため、荷電プレート212は、原料、例えば、炭素粒子、灰分粒子、硫黄粒子などを荷電し得る材質によって形成されてもよく、荷電プレート212の表面にコーティング体として形成されてもよい。このような材質としては、銅、テフロン(登録商標)などが使用可能である。
このとき、石炭粒子の荷電効率を向上させるために荷電チャンバー210に加熱装置230を設けてもよい。加熱装置230は、誘導加熱コイルや面状発熱体などによって形成されてもよく、荷電チャンバー210の外側を取り囲むように形成されて荷電チャンバー210を均一に加熱する。荷電チャンバー210は、加熱装置230を用いて200℃以下の温度に加熱することによって、炭素、硫黄、灰分など石炭粒子の荷電効率を向上させる。
【0020】
荷電ローター220は、荷電チャンバー210の下部の中心に設けられ、原料供給器100から供給される原料に衝撃を加えて原料の炭素粒子や灰分粒子が陰電荷(−)又は陽電荷(+)を有するように荷電する。
荷電ローター220は、回転軸222と、回転軸222の上部側に設けられ、回転軸222を中心として放射状に配置される複数のブレード224と、ブレード224の下部に設けられ、回転軸222に連結される回転板225と、回転軸222の上部に設けられる分配器226及び回転軸222に回転力を提供する駆動装置228を備える。荷電ローター220は、荷電チャンバー210を横切って固設される支持台214に固設されてもよい。例えば、荷電ローター220の駆動装置228を支持台214に固定して荷電ローター220を荷電チャンバー210内に設けてもよく、荷電チャンバー210及び荷電ローター220の構造に応じて様々な方法を用いて荷電ローター220を荷電チャンバー210内に設けてもよい。
回転軸222は、荷電チャンバー210の下部中心部に上下方向に配置され、駆動装置228から提供される回転力によって回転される。
【0021】
ブレード224は、回転軸222の外周面に放射状に連結されて回転軸222の回転につれて回転する。ブレード224は、原料供給器100から排出される原料に衝撃を加えて原料を実質的に荷電する手段であり、原料の円滑な荷電のために原料との接触面積が広いことが好ましい。このため、ブレード224は、面積を有するプレートが上下方向に配置される形状に形成されてもよく、必要に応じて、回転軸222の長手方向に対して直交する方向に連結されてもよく、斜めに勾配を有するように連結されてもよい。また、ブレード224の表面に凹凸構造を形成して原料粒子との接触面積を増やしてもよい。
ブレード224の下部には回転板225が設けられてもよい。回転板225は、原料供給器100から排出される原料が荷電器200の下部に設けられる静電選別器300に直接的に排出されることを防ぐ。また、回転板225もブレード224と同様に、原料粒子を荷電する役割を果たす。このため、回転板225もブレード224と同様に、原料粒子を荷電し得る銅、テフロン(登録商標)などの材質によって形成されてもよく、その表面には原料粒子との接触面積を増やすための凹凸構造が形成されてもよい。
【0022】
分配器226は回転軸222の上部に配置され、円錐、多角錐などの形状に形成されてもよい。分配器226は、原料が排出されるホッパー112の供給配管114の直下に配置されてもよく、供給配管114を介して排出される原料をブレード224の間の空間に均一に分配する役割を果たす。すなわち、供給配管114から排出される原料が特定のブレード224の間の空間に偏ると、原料粒子及びブレード224に衝突が制限されて原料粒子の荷電効率が低くなるという問題がある。このため、原料が排出される供給配管114の下部に分配器226を配置することによって、原料がブレード224の間の空間に均一に供給されるようにしている。このとき、分配器226を多角錐状に形成する場合には、ブレード224の間に形成される空間の数と同じ数の面を有する多角錐状に形成してもよい。例えば、ブレード224が8つ設けられる場合、ブレード224の間には8つの空間が形成されるため、分配器226は八角錐状に形成されてもよい。
このような構成によって、石炭粒子は荷電ローター220に供給されながら荷電ローター220の回転力を用いて石炭粒子間の衝突、石炭粒子と荷電物質との間の衝突及び摩擦を引き起こして陰電荷(−)又は陽電荷(+)を有するように荷電される。このとき、石炭粒子の主原料である炭素(C)成分は陽電荷を帯びるように荷電され、灰分粒子は陰電荷を帯びるように荷電される。石炭粒子が荷電される原理について 述べると、粒子が異なる粒子又は荷電物質に衝突又は摩擦すれば、仕事関数値の差によって両物質のフェルミ準位が同じくなる方向に電子の移動が起こり、これによって衝突又は摩擦後に粒子が互いに分離されれば、電子の過剰又は不足現象が発生して粒子は陽電荷(+)又は陰電荷(−)を帯びることになる。
【0023】
また、荷電ローター220において荷電された石炭粒子と未荷電の石炭粒子は荷電ローター220の回転力によって一部は荷電ローター220の周りに飛散して荷電チャンバー210内において荷電プレート212に衝突し、残りは荷電チャンバー210の外部、すなわち、静電選別器300に排出される。さらに、荷電ローター220の周りに飛散された石炭粒子は荷電プレート212と荷電ローター220との間において衝突及び飛散を繰り返しながら荷電ローター220によって荷電された石炭粒子は荷電度がさらに向上し、未荷電の石炭粒子は荷電されて全体的な荷電効率が上がる。このような構成を用いて比較的に短い経路において石炭粒子の荷電効率を向上させることができ、これによって設備の全体の構造及び大きさを減らすことができる。
荷電器200を通過した石炭粒子は、荷電器200の下部の静電選別器300に排出される。
静電選別器300は、選別チャンバー310と、選別チャンバー310の内部に互いに離れて配置される電極板320a、320b及び電極板320a、320bに電源を供給する電力供給装置360を備える。
【0024】
選別チャンバー310は、荷電器200において荷電された石炭粒子が落下及び選別されながら発生する粉塵が拡散されることを防ぎ、荷電された石炭粒子が電極板320a、320bによって選別される空間を形成する。
電極板320a、320bは、陽電荷を帯びる炭素粒子を分離するための負極板320aと、陰電荷を帯びる硫黄粒子及び灰分を分離するための正極板320bと、を備えていてもよい。負極板320a及び正極板320bの内部又は一方の側には、所定の面積を有するように形成される電極部材322が設けられてもよい。このとき、電極部材322は、格子状など様々な形状に配列されてもよい。負極板320a及び正極板320bは互いに離れて向かい合うように配置され、上部から下部に進むにつれて、例えば、選別チャンバー310の外側に離隔距離が大きくなるように配置されてもよい。すなわち、負極板320a及び正極板320bは傾斜面を有するように傾いて配置されてもよい。負極板320a及び正極板320bは、約20〜60℃の角度をなして配置されてもよく、負極板320a及び正極板320bの上部又は下部には、負極板320a及び正極板320bの角度を調節するための角度調節装置(図示せず)が設けられて荷電器200から排出される石炭粒子の量や選別効率に応じて上述した範囲内において負極板320aと正極板320bとの間の角度を調節してもよい。例えば、負極板320aと正極板320bとの間に落下する石炭粒子の量が多い場合、負極板320aと正極板320bとの間の角度を増大させることができる。あるいは、選別効率を高めるために負極板320aと正極板320bとの間の角度を減らしてもよい。
【0025】
また、図示はしないが、負極板320a及び正極板320bに振動部材を設けて負極板320a及び正極板320bに付着されて選別された原料を落下させて選別貯留器400に排出してもよい。このとき、振動部材は、断続的又は周期的に働いて負極板320a及び正極板320bに付着された原料を落下させて選別効率を向上させてもよい。
電力供給装置360は、各々の電極部材322に電力を供給する。
このような構成によって、荷電された石炭粒子は、電極板320a、320bの間、すなわち、負極板320aと正極板320bとの間に落下しながら陽電荷を帯びる炭素粒子と、陰電荷を帯びる硫黄粒子及び灰分が互いに反対の極性を帯びる電極板320a、320bに向かって移動しながら選別される。
【0026】
静電選別器300の下部には、電極板320a、320bによって選別された石炭粒子を貯留する選別貯留器400が設けられる。選別貯留器400は、負極板320aの下部に設けられて陽電荷を帯びる炭素粒子を貯留する第1の貯留器410と、正極板320bの下部に設けられて陰電荷を帯びる硫黄粒子及び灰分粒子を貯留する第2の貯留器420と、を備える。また、第1の貯留器410と第2の貯留器420との間に、荷電器200において荷電されていないミドルリングや電極板320a、320bによって選別されていない粒子を貯留する第3の貯留器430が設けられてもよい。第3の貯留器430に貯留された粒子は、別設された搬送配管、コンベヤーベルトなどの回収装置(図示せず)を用いて原料貯留器110に搬送して荷電器200及び静電選別器300において再び選別してもよい。
また、各々の貯留器410、420、430の間には、静電選別器300において選別された粒子が互いに混合されることを抑えるための分離板440が設けられてもよい。
【0027】
以下、本発明の変形例による原料の選別装置について説明する。
図5は、本発明の変形例による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
図5を基にすると、本発明の変形例による原料の選別装置は、上述した原料の選別装置及び静電選別器の構造が異なる。
図5を基にすると、変形例による静電選別器は、
図3及び
図4に示す電極板320a、320bを電極部材322を取り囲んで上下方向に回転させる回転シート325a、325bによって構成されている。すなわち、静電選別器は、異なる極性を有するように上下方向に配置される一対の電極部材322と、電極部材322を取り囲んで上下方向に回転する回転シート325a、325bと、を備える。回転シート325a、325bは異なる極性を有し、プーリ、モーターなどの駆動手段328に連結されて電極部材322の表面に沿って回転しながら荷電器200において荷電された石炭粒子の効率よく選別する。すなわち、電極板320a、320bの表面に荷電された石炭粒子が付着される場合、電極板320a、320bに付着された石炭粒子が荷電器200から排出され続ける荷電された石炭粒子の選別を妨げるため、電極板320a、320bを回転シート325a、325bに取り替えることによって石炭粒子が付着された部分を後退させ、石炭粒子が付着されていない部分を選別領域、すなわち、荷電器200において荷電された石炭粒子が排出される領域に露出させることによって、石炭粒子を効率よく選別する。このような回転シート325a、325bは、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC:polyvinylidene chloride)、ポリイミド(PI:polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethyleneterephthalate)などの合成樹脂によって製造され、電極部材322から発せられる電場を透過させる程度の厚さに形成される。
【0028】
回転シート325a、325bの一方の側、好ましくは、外側にはスクラッパー340が設けられてもよい。スクラッパー340は、回転シート325a、325bの表面、好ましくは、回転シート325a、325bの幅方向に沿って接触されるように設けられて回転シート325a、325bに付着された粒子を回転シート325a、325bから分離する。このとき、回転シート325a、325bは角度が調節可能なように構成されるため、スクラッパー340は、回転シート325a、325bがなす角度に応じて左右方向に移動可能なように構成されてもよい。
図6は、本発明の他の変形例による原料の選別装置の使用状態を示す図である。
【0029】
図6を基にすると、変形例による原料の選別装置は、
図5に示す静電選別器及び選別貯留器の構造及び配置位置に相違点がある。
静電選別器500は、上下方向に離れて配置される二重コンベヤータイプに実現されてもよい。静電選別器500は、荷電器200においてそれぞれ異なる極性に荷電されたカーボン及び微粉をコンベヤーの間に搬送しながら静電選別する手段であり、下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520を備える。このとき、下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520は両方とも無端状を呈する。
下部コンベヤー510は、荷電器200において陽電荷に荷電された炭素粒子を選別する手段であり、陽電荷及び陰電荷に荷電された原料が排出される荷電器200の下部に設けられる。下部コンベヤー510は、一対の下部駆動軸512に第1のベルト514が無端状に連結され、一対の下部駆動軸512の間にはマイナス(−)極性が付加される第1の電極体516が配置される。また、第1のベルト514の内部領域のうち炭素粒子が搬送される方向に先端領域には第1の脱イオン化器518が配置される。このとき、第1のベルト514の上部側には炭素粒子の搬送路が形成され、第1のベルト514の下部側には戻り部が形成される。また、第1の電極体516は、第1のベルト514の内部領域において第1のベルト514の搬送路側に隣り合うように配置され、第1の脱イオン化器518は、第1のベルト514の内部において第1のベルト514の移動方向が変更される第1のベルト514の一方の側に配置されてもよい。このとき、炭素粒子の円滑な選別のために、第1の脱イオン化器は戻り部が形成される第1のベルト514の一方の側の下部に設けられることが好ましい。このような構成によって、荷電器200から排出された原料のうち炭素粒子は、第1のベルト514の搬送路に付着された状態で搬送されていて、第1の脱イオン化器518を通過しながら荷電状態が解放されて第1のベルト514から落下して選別貯留器600に排出される。
【0030】
上部コンベヤー520は、荷電器200において陰電荷に荷電された硫黄粒子、灰分粒子を選別する手段であり、下部コンベヤー510の上部に離れて設けられる。上部コンベヤー520は、下部コンベヤー510と同様に、一対の上部駆動軸522に第2のベルト524が無端状に連結され、第2のベルト524の内部空間における一対の上部駆動軸522の間にはマイナス(−)極性が付加される第2の電極体526が配置されてもよい。また、第2のベルト524の内部領域のうち、原料、すなわち、硫黄粒子、灰分粒子などが搬送される方向に先端領域には第2の脱イオン化器528が配置される。このため、原料が搬送される方向に第2の電極体526及び第2の脱イオン化器528がこの順に配置される。このとき、第2のベルト524の下部側、すなわち、第1のベルト514と向かい合う面には硫黄粒子、灰分粒子の搬送路が形成され、第2のベルト524の上部側には戻り部が形成される。また、第2の電極体526は、第2のベルト524の内部領域において第2のベルト524の搬送路側に隣り合うように配置され、第2の脱イオン化器528は、第2のベルト524の内部において第2のベルト524の移動方向が変更される第2のベルト524の一方の側に配置される。このとき、硫黄粒子、灰分粒子の円滑な選別のために、第2の脱イオン化器は搬送路の先端、すなわち、戻り部が始まる前の個所に設けられることが好ましい。このような構成によって、荷電器200から下部コンベヤー510に排出された原料のうち陰電荷に荷電された硫黄粒子、灰分粒子は、第1のベルト514の搬送路に沿って移動し、陽電荷に荷電された第2のベルト524の搬送路に移動及び付着されて搬送されていて、第2の脱イオン化器528を通過しながら荷電状態が解放されて第2のベルト524から落下して選別貯留器600に排出される。ここで、第2のベルト524、特に、第2のベルト524の搬送路が自重によって垂れ下がることを防ぐために、第2のベルト524の内部領域に張力軸522aを設けることによって、第2のベルト524の戻り部を上方に浮上させて第2のベルト524の張力を維持することができる。
【0031】
また、第1のベルト514及び第2のベルト524の外側にはスクラッパー519、529をそれぞれ設けて、選別貯留器600に排出されずに第1のベルト514及び第2のベルト524に残留する原料を分離して選別貯留器600に排出してもよい。このとき、スクラッパー519、529は、第1のベルト514及び第2のベルト524の回転方向に対して前方に設けられて第1のベルト514及び第2のベルト524に残留する原料を有効に分離及び取り除くことができる。
一方、第1のベルト514及び第2のベルト524は、第1の電極体516及び第2の電極体526の極性の付加によってそれぞれ当該極性に荷電されるように電気伝導性材料によって形成されることが好ましい。
第1の電極体516及び第2の電極体526には、1〜60KVの高電圧が印加されることが好ましく、第1の電極体516及び第2の電極体526は、ワイヤーメッシュ状、棒状 、板状など様々な形状に形成されてもよいが、選別効率を高めるためにはワイヤーメッシュ状に形成されることが好ましい。また、第1の電極体516及び第2の電極体526は、一つ又はそれ以上配置されてもよい。
【0032】
第1の脱イオン化器518及び第2の脱イオン化器528は、それぞれ第1のベルト514及び第2のベルト524の終端部に配置されてそれぞれ極性を有するように荷電された炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子の表面を中和させて極性を無くす。このため、荷電器200においてそれぞれ荷電された炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子が異なる極性を有する第1のベルト514及び第2のベルト524に静電力によって付着されて搬送されていて、第1の脱イオン化器518及び第2の脱イオン化器528の近くにおいて表面が中和されながら第1のベルト514及び第2のベルト524との付着力が消滅される。
このため、第1の脱イオン化器518及び第2の脱イオン化器528の位置は、下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520の配置及び後述する選別貯留器600の位置に応じて種々に変更可能である。
下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520は、炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子の含量比と鉱物学的な特性に応じて種々に配置可能であるが、例えば、平行状、傾斜状、クロスベルト状などに配置される。
【0033】
この変形例においては、
図6に示すとおり、下部コンベヤー及び上部コンベヤーを平行状に配置している。このとき、荷電器200から下部コンベヤー510に原料を円滑に供給するために、原料が供給される下部コンベヤー510における領域は、上部コンベヤー520と重ならないように配置している。
また、選別された微粉を後述する選別貯留器600に落下させるために、選別貯留器600に原料が排出される上部コンベヤー520において原料の搬送方向に先端領域、すなわち、一方の側の端部は下部コンベヤー510の一方の側の端部と重ならないように配置している。
選別貯留器600は、静電選別器500の先端領域の下部に配置されて下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520に付着されて選別された炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子がそれぞれ区別されながら貯留される手段である。選別貯留器600は、仕切り壁630によって炭素粒子が貯留される第1の貯留部610と、硫黄粒子及び灰分粒子が貯留される第2の貯留部620と、に仕切られる。
【0034】
第1の貯留部610及び第2の貯留部620は、それぞれ上部が開口されて下部コンベヤー510及び上部コンベヤー520から落下する炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子がそれぞれ貯留される。このため、第1の貯留部610は、下部コンベヤー510の先端領域の下部に配置され、第2の貯留部620は、上部コンベヤー520の先端領域の下部に配置されてもよい。このとき、仕切り壁630の上端には炭素粒子と、硫黄粒子及び灰分粒子を区別して第1の貯留部610及び第2の貯留部620の開口された上端に導く回動壁640が設けられる。回動壁640は、仕切り壁630の上端に蝶着されて第1の貯留部610の上端領域又は第2の貯留部620の上端領域に回動される。
【0035】
以下、本発明の原料の選別装置を用いて原料を選別する方法について説明する。ここでは、原料として石炭を用い、石炭の主成分である炭素粒子と、不純物成分である硫黄、灰分などを選別する方法について説明する。
原料選別工程が始まると、荷電器200の荷電ローター220及び静電選別器300の電力供給装置360を作動させる。加えて、電源の供給が必要な加熱装置230などにも電源を供給して荷電チャンバー210を所定の温度、例えば、約200℃に予熱することが好ましい。
【0036】
原料貯留器110に設けられた石炭をホッパー112及び供給配管114を介して荷電器200に所定量ずつ切出する。このとき、原料貯留器110に設けられた石炭は、選別し易くするために所定の大きさに破砕された状態である。
原料は、荷電チャンバー210の内部の荷電ローター220の上部に排出され、このとき、荷電ローター220の回転軸222の上部に設けられる分配器226によってブレード224の間の空間に一定に供給される。荷電ローター220は、約3000〜5000rpmの速度にて回転し、このような回転速度によって、荷電ローター220の上部に排出される石炭粒子は、ブレード224及び回転板225に衝突及び摩擦しながら陽電荷及び陰電荷を帯びるように1次的に荷電される。荷電ローター220のブレード及び回転板225に衝突した石炭粒子は周りに飛散して荷電ローター220を取り囲んでいる荷電プレート212に衝突及び摩擦しながら2次的に荷電される。このとき、荷電ローター220によって荷電されていない石炭粒子は、荷電プレート212や他の石炭粒子と衝突しながら荷電され、荷電ローター220によって荷電された石炭粒子は、荷電プレート212や他の石炭粒子と衝突及び摩擦しながら荷電度が上がる。なお、石炭粒子は、荷電チャンバー210の内部において飛散及び衝突を繰り返しながら荷電率も上がる。
【0037】
荷電器200において荷電された石炭粒子は静電選別器300に排出されるが、陽電荷に荷電された炭素粒子は負極板320aに向かって移動し、陰電荷に荷電された硫黄粒子、灰分粒子は正極板320bに向かって移動して選別される。
負極板320aによって選別された石炭粒子は第1の貯留器410に投入され、正極板320bによって選別された硫黄粒子及び灰分粒子は第2の貯留器420に投入される。このとき、荷電器200において荷電されていないミドルリングや負極板320a及び正極板320bによって選別されていない粒子は、第1の貯留器410と第2の貯留器420との間に設けられる第3の貯留器430に投入されてもよい。第3の貯留器430に投入された粒子は再び原料貯留器110に搬送されて再選別作業によって選別される。
【0038】
このように、本発明の詳細な説明の欄においては具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において種々に変形可能であるということはいうまでもない。よって、本発明の範囲は説明された実施形態に何ら限定されるものではなく、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲との均等物によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の実施形態による原料の選別装置及びその選別方法によれば、原料中に含有される成分の静電極性差を用いて主成分及び不純物を選別して工程に用いられる原料の純度を向上させることができる。これによって、不純物が多量含有される安価及び低品位の原料が使用可能になって製造コストを節減することができる。
【符号の説明】
【0040】
100:原料供給器
110:原料貯留器
112:ホッパー
114:供給配管
200:荷電器
210:荷電チャンバー
212:荷電プレート
214:支持台
220:荷電ローター
222:回転軸
224:ブレード
225:回転板
226:分配器
228:駆動装置
230: 加熱装置
300,500:静電選別器
310:選別チャンバー
320:電極板
320a:負極板、電極板
320b:正極板、電極板
322:電極部材
325a,325b:回転シート
328:駆動手段
340,519,529:スクラッパー
360:電力供給装置
400,600:選別貯留器
410: 第1の貯留器
420:第2の貯留器
430:第3の貯留器
440:分離板
510:下部コンベヤー
512:下部駆動軸
514:第1のベルト
516:第1の電極体
518:第1の脱イオン化器
520:上部コンベヤー
522:上部駆動軸
522a:張力軸
524:第2のベルト
526:第2の電極体
528:第2の脱イオン化器
610: 第1の貯留部
620:第2の貯留部
630: 仕切り壁
640:回動壁