特許第6138985号(P6138985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6138985
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】フレキシブル電池用電極粘着方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20170522BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20170522BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20170522BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170522BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170522BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20170522BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20170522BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   C09J5/00
   C09J5/06
   C09J7/02 Z
   C09J201/00
   H01M10/0585
   H01M4/66 A
   H01M2/30 B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-19738(P2016-19738)
(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-146344(P2016-146344A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】104104098
(32)【優先日】2015年2月6日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503010944
【氏名又は名称】動能科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】何綸桀
(72)【発明者】
【氏名】▲セン▼益松
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−097931(JP,A)
【文献】 特開平06−187998(JP,A)
【文献】 特開2008−027771(JP,A)
【文献】 特開平09−213285(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/089965(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2012/077707(JP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0005217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 2/30
H01M 4/66
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極極板と負極極板とを用意し、前記正極極板と前記負極極板とは、金属シートであり、両端がそれぞれ導電部と接触部であり、前記接触部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第1面に活性剤が塗布されており、前記第2面は粗面を有するステップAと、
前記正極極板と前記負極極板とを隣接するように配列し、前記第2面を上方に向け、アルミ箔で前記正極極板と前記負極極板との前記接触部を覆い、前記正極極板と前記負極極板との前記導電部は、少なくとも一部が前記アルミ箔に覆われず、前記アルミ箔の下方に向く面は、前記正極極板と前記負極極板の前記第2面と接触し、前記アルミ箔の下方に向く面に樹脂層が設けられているステップBと、
熱圧装置によって前記アルミ箔を下方へ加熱加圧することにより、前記樹脂層が前記正極極板と前記負極極板との前記第2面に粘着するステップCと、を含み、
前記ステップCにおいて、圧力1〜6kg/cm2、温度100℃〜200℃で、熱圧作業を行い、
前記樹脂層の材料はポリプロピレンを採用することを特徴とする、
フレキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項2】
前記正極極板と前記負極極板との前記導電部はストリップ状を呈することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項3】
前記正極極板と前記負極極板との少なくとも一方は、金属の電食された箔で作製され、前記粗面が直接形成されることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項4】
前記正極極板と前記負極極板との少なくとも一方の前記第2面は、外力による摩擦によって前記粗面を形成することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項5】
正極極板と負極極板とを用意し、前記正極極板と前記負極極板とは、金属シートであり、両端がそれぞれ導電部と接触部であり、前記接触部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第1面に活性剤が塗布されており、前記第2面は粗面を有するステップAと、
前記正極極板と前記負極極板とを隣接するように配列し、前記第2面を上方に向け、アルミ箔で前記正極極板と前記負極極板との前記接触部を覆い、前記正極極板と前記負極極板との前記導電部は、少なくとも一部が前記アルミ箔に覆われず、前記アルミ箔の下方に向く面は、前記正極極板と前記負極極板の前記第2面と接触し、前記アルミ箔の下方に向く面に樹脂層が設けられているステップBと、
熱圧装置によって前記アルミ箔を下方へ加熱加圧することにより、前記樹脂層が前記正極極板と前記負極極板との前記第2面に粘着するステップCと、を含み、
前記正極極板と前記負極極板との少なくとも一方の前記第2面にコーティング層が形成されており、前記コーティング層は、その上面に多数の粒を有する層であることを特徴とする、
レキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項6】
正極極板と負極極板とを用意し、前記正極極板と前記負極極板とは、金属シートであり、両端がそれぞれ導電部と接触部であり、前記接触部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第1面に活性剤が塗布されており、前記第2面は粗面を有するステップAと、
前記正極極板と前記負極極板とを隣接するように配列し、前記第2面を上方に向け、アルミ箔で前記正極極板と前記負極極板との前記接触部を覆い、前記正極極板と前記負極極板との前記導電部は、少なくとも一部が前記アルミ箔に覆われず、前記アルミ箔の下方に向く面は、前記正極極板と前記負極極板の前記第2面と接触し、前記アルミ箔の下方に向く面に樹脂層が設けられているステップBと、
熱圧装置によって前記アルミ箔を下方へ加熱加圧することにより、前記樹脂層が前記正極極板と前記負極極板との前記第2面に粘着するステップCと、を含み、
前記正極極板はアルミで作製され、前記負極極板は銅で作製されることを特徴とする、
レキシブル電池用電極粘着方法。
【請求項7】
正極極板と負極極板とを用意し、前記正極極板と前記負極極板とは、金属シートであり、両端がそれぞれ導電部と接触部であり、前記接触部は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第1面に活性剤が塗布されており、前記第2面は粗面を有するステップAと、
前記正極極板と前記負極極板とを隣接するように配列し、前記第2面を上方に向け、アルミ箔で前記正極極板と前記負極極板との前記接触部を覆い、前記正極極板と前記負極極板との前記導電部は、少なくとも一部が前記アルミ箔に覆われず、前記アルミ箔の下方に向く面は、前記正極極板と前記負極極板の前記第2面と接触し、前記アルミ箔の下方に向く面に樹脂層が設けられているステップBと、
熱圧装置によって前記アルミ箔を下方へ加熱加圧することにより、前記樹脂層が前記正極極板と前記負極極板との前記第2面に粘着するステップCと、を含み、
前記ステップBにおいて、前記正極極板と前記負極極板とは、シリコンパッドに置かれて作業を行うことを特徴とする、
レキシブル電池用電極粘着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル電池用電極粘着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的には、フレキシブル電池は、アルミ箔などで作製されるケースと、正極極板と、負極極板と、電解液と、を含む。正極極板と負極極板とがケース内で移動することを防止するために、正極極板と負極極板とがケースの裏壁に固定される。その固定方法は、電極極板に粘着剤を塗布して、アルミ箔で作製されるケースの裏壁に粘着することが一般的である。
【0003】
しかしながら、このような固定方法は多くの欠点を有する。それらの欠点は、粘着剤を塗布すると、工数がかなり掛かり、生産コストが増加し、粘着剤が電解液と接触すると、化学反応が発生して変質や分解が発生し、固定の効果が安定的ではなく、そして粘着剤により電池全体の厚さが増加し、フレキシブル電池や薄型電池などを薄型化することができないことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、粘着剤の使用を回避可能であり、フレキシブル電池の厚さを有効に減少可能なフレキシブル電池用電極粘着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板と負極極板とを用意し、正極極板と負極極板とは、金属シートであり、両端がそれぞれ導電部と接触部であり、接触部は、第1面と、第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、第1面に活性剤が塗布されており、第2面は粗面を有するステップAと、正極極板と負極極板とを隣接するように配列し、第2面を上方に向け、アルミ箔で正極極板と負極極板との接触部を覆い、正極極板と負極極板との導電部は、少なくとも一部がアルミ箔に覆われず、アルミ箔の下方に向く面は、正極極板と負極極板の第2面と接触し、アルミ箔の下方に向く面に樹脂層が設けられているステップBと、熱圧装置によってアルミ箔を下方へ加熱加圧することにより、樹脂層が正極極板と負極極板との第2面に粘着するステップCと、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板と負極極板との導電部はストリップ状を呈することを特徴とする。
【0007】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板と負極極板との少なくとも一方は、金属の電食された箔で作製され、粗面が直接に形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板と負極極板との少なくとも一方の第2面は、外力による摩擦によって粗面を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板と負極極板との少なくとも一方の第2面にコーティング層が形成されており、コーティング層は、その上面に多数の粒を有する層であることを特徴とする。
【0010】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、正極極板はアルミで作製され、負極極板は銅で作製されることを特徴とする。
【0011】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、ステップBにおいて、正極極板と負極極板とは、シリコンパッドに置かれて作業を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、ステップCにおいて、圧力1〜6kg/cm、温度100℃〜200℃で、熱圧作業を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、樹脂層の材料はポリプロピレンを採用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフレキシブル電池用電極粘着方法は、粘着剤の使用を回避可能であり、フレキシブル電池の厚さを有効に減少可能であるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る正極極板と負極極板とを示す図である。
図2】本発明に係る正極極板と負極極板とを別の視点から見た図である。
図3】本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法のステップを示す図である。
図4】本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法のステップを示す図である。
図5】本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法のステップを示す図である。
図6】本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1から図6を参照する。図1は本発明に係る正極極板と負極極板とを示す図であり、図2は本発明に係る正極極板と負極極板とを別の視点から見た図であり、図3から図6は本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法のステップを示す図である。
本実施形態に係るフレキシブル電池用電極粘着方法は、ステップAと、ステップBと、ステップCと、を含む。
【0018】
ステップAは、正極極板10と負極極板20とを用意するステップである。正極極板10と負極極板20とは、金属シートであり(本実施形態では、正極極板がアルミで作製され、負極極板が銅で作製される。)、両端がそれぞれ導電部12,22と接触部11,21である。
接触部11,21は、第1面111,211と、第1面111,211の反対側に位置する第2面112,212と、を有する。第1面111,211に活性剤が塗布されている。第2面112,212は粗面を有する。導電部12,22はストリップ状を呈する。前記正極極板と前記負極極板との少なくとも一方は、金属の電食された箔で作製され、粗面が直接に形成されてもいいし、外力による摩擦によって粗面を形成してもいいし、上面に多数の粒を有する層であるコーティング層を塗布して粗面を形成してもよい。
【0019】
ステップBは、アルミ箔を覆うステップである。正極極板10と負極極板20とを隣接するように配列し、第2面112,212を上方に向くようにシリコンパッド30に置いて、アルミ箔40で正極極板10と負極極板20との接触部11,21を覆う。正極極板10と負極極板20との導電部12,22は、少なくとも一部がアルミ箔40に覆われず、アルミ箔40の下方に向く面は、正極極板10と負極極板20との第2面112,212と接触する。アルミ箔40の下方に向く面に樹脂層41が設けられている。本実施形態では、樹脂層41の材料はポリプロピレンを採用する。
【0020】
ステップCは、熱圧を行うステップである。熱圧装置50によってアルミ箔40を下方へ加熱加圧することにより、樹脂層41が正極極板10と負極極板20との第2面112,212に粘着する。本実施形態では、圧力1〜6kg/cm、温度100℃〜200℃で、熱圧作業を行う。
【0021】
この後、正極極板と負極極板との間に隔離膜などを入れることにより、両者を隔離して、アルミ箔を折畳んで、電解液を注入して封止すると、フレキシブル電池が完成される。
【0022】
本発明に係るフレキシブル電池用電極粘着方法によれば、最も簡単なプロセスにより、正極極板と負極極板とをアルミ箔に固定することが可能であり、その後のプロセスをスムーズに行うことが可能であり、そして粗面と樹脂層とを熱圧した後、両者が緊密に結合するため、固定効果が極めて良い。特に、粘着剤を使用する必要がないため、工数を減少可能であり、生産コストを減少可能である。粘着剤を使用しないため、フレキシブル電池の厚さを有効に減少可能であり、フレキシブル電池を薄型化にすることも可能である。
【0023】
なお、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0024】
本発明は、フレキシブル電池に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 正極極板
11 接触部
12 導電部
20 負極極板
21 接触部
22 導電部
30 シリコンパッド
40 アルミ箔
41 樹脂層
50 熱圧装置
111 第1面
112 第2面
211 第1面
212 第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6