(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電動工具を実施するための形態について説明する。
図1〜
図9に示すインパクトドライバ10は、本発明に係る電動工具に相当する。なお、このインパクトドライバ10は、本発明に係る電動回転工具にも相当し、さらに本発明に係る電動打撃工具(インパクト工具)にも相当する。
図1〜
図5は、インパクトドライバ10の外観に関してを示している。詳しくは、
図1は、インパクトドライバ10の右上斜視外観を示している。
図2は、インパクトドライバ10の右側の側面視外観を示している。
図3は、インパクトドライバ10の上面視外観を示している。
図4は、インパクトドライバ10の前面視外観を示している。
図5は、インパクトドライバ10の後面視外観を示している。また、
図6は、
図1に示すインパクトドライバ10に関して、カバー15を取り外した外観を示している。また、
図7は、インパクトドライバ10の内部構造を示すにあたり、左右の半割りに沿ったインパクトドライバ10の断面を示している。
図8は、
図7の断面図のうちモータ駆動部13に関して拡大して示す拡大図である。
図9は、
図7の断面図のうち駆動変換機構部14に関して拡大して示す拡大図である。
図10は、インパクトドライバ10の内部構造を示すにあたり、
図2の(X)-(X)断面矢視を示している。
なお、以下に説明するにあたって、このインパクトドライバ10は、通常の使用態様に鑑みて、インパクトドライバ10に関しての前後上下左右を規定している。すなわち、全図に記載の通りの方向で、このインパクトドライバ10の前後上下左右の向きは規定されている。具体的に言えば、インパクトドライバ10の通常の使用態様に鑑み、被加工材に向けるインパクトドライバ10の向きを前側として規定している。また、この逆側をインパクトドライバ10の後側と規定している。また、使用者がピストルを握るかのように通常握った状態のインパクトドライバ10に関して、上下左右の向きを規定している。
【0011】
図1〜
図6に示するように、インパクトドライバ10は、概略、工具本体11と、電気コード18と、引掛けフック19とを備える。工具本体11は、概略、駆動構造体12と、グリップ16とを備える。これらの駆動構造体12とグリップ16とは、工具本体11がピストルを模した構成となるように配置されている。
図7に示すように、駆動構造体12は、概略、モータ駆動部13と、駆動変換機構部14とを備える。モータ駆動部13は、駆動源となる電気モータ21が設けられて回転駆動力を生ずるように構成される。なお、グリップ16は、本発明に係るハンドルに相当する。また、駆動変換機構部14は、本発明に係る駆動変換機構に相当する。また、電気モータ21は、本発明に係る駆動モータにも相当する。
電気モータ21は、電力を回転駆動力に変換して駆動力を生じさせる。なお、駆動力に変換する電力は、電気コード18を介して家庭用電源等のAC電源(交流電源)から供給されている。この電気コード18は、後にも説明するが、グリップエンド部60の下端から外部に延びるように設けられている。このようにインパクトドライバ10は、AC電源から供給された電力を電気モータ21にて回転駆動力に変換することにより、電動工具として機能する。
【0012】
具体的には、モータ駆動部13は、概略、ハウジング20と、電気モータ21と、冷却ファン29とを備える。このモータ駆動部13を構成するハウジング20は、駆動変換機構部14を除いた工具本体11の外装形状をなす。つまり、ハウジング20は、内部に電気モータ21や冷却ファン29を内装可能な筐体構造を有するとともに、後に説明するグリップ16の握り構造も有するように構成される。このため、このハウジング20は、モータ駆動部13のハウジングをなすモータハウジング120と、グリップ16の握り構造をなすグリップハウジング160とを有して構成される。ハウジング20は、左右半割り構造の樹脂の成形品となっている。ハウジング20は、
図1等に示すように、左ハウジング201と右ハウジング202との左右で分割されたハウジング部品を合体させて形成される。このため、モータハウジング120とグリップハウジング160とのそれぞれも、左右の2つ割りとされる左ハウジング201と右ハウジング202とを合体させることにより構成される。モータハウジング120とグリップハウジング160とは、内部に適宜の電気部品が装置可能にされる中空構造を有する。なお、このハウジング20は、本発明に係る合体ハウジングに相当する。
モータハウジング120は、前後方向に延びる中空の略有底筒状構造にて構成される。
図7に示すように、モータハウジング120には、電気モータ21と冷却ファン29とが内装される。なお、このモータハウジング120には、冷却ファン29により、モータハウジング120の内外にモータ冷却風を吸排気する通気口121,122が設けられている。すなわち、吸気側通気口121は、冷却ファン29によりモータハウジング120の内部に外気を吸気する通気口である。排気側通気口122は、冷却ファン29によりモータハウジング120の外部にモータ冷却風を排気する通気口である。
【0013】
電気モータ21は、いわゆるブラシモータにて構成される。具体的には、電気モータ21は、概略、モータ軸22と、回転子23と、コンミテータ(整流子)24と、ブラシ25と、固定子26とを備える。モータ軸22は、電気モータ21の後端位置に配設される後側ベアリング56と、電気モータ21の前端位置に配設される前側ベアリング55とにより、回転可能に支持されている。前側ベアリング55は、後にも説明するが、ギヤケース140に支持されるベアリングボックス51に内装される。後側ベアリング56は、次に説明する固定子26と同様、モータハウジング120に固定されている。このモータ軸22の外周には回転子23が配設される。この回転子23は、適宜に導線が巻かれるティース231を複数有する。回転子23の回転は、モータ軸22を回転軸として該モータ軸22に支持されて回転する。このため、回転子23は、モータ軸22に支持されつつ該モータ軸22と一体回転する。なお、回転子23の回転は、後に説明する固定子26に対しての相対的な回転となる。また、コンミテータ24は、通常のブラシモータと同様、回転子23の後部に設けられる。また、このコンミテータ24の外周側の上下位置には、コンミテータ24と接触するブラシ25が配置される。
上記した回転子23の周囲には、固定子26が設けられている。この固定子26は、上記したベアリング55,56と同様、モータハウジング120に固定されている。この固定子26は、通常のブラシモータの固定子と同様、回転子23の回転に必要な磁束を生ずる電磁石として機能する。固定子26は、固定子鉄心27と、界磁コイル28とを備える。固定子鉄心27は、本発明に係る鉄心に相当する。固定子鉄心27は、通常の界磁鉄心と同様、次に説明する界磁コイル28に励磁されて磁束を生ずる。この固定子鉄心27は、モータハウジング120に固定される。このように電気モータ21は、固定子鉄心27の内周側に配置される回転子23を、この固定子鉄心27に対して相対的に回転させる。
【0014】
ところで、
図8に示すように、固定子鉄心27の上部には、平面状に面取りされた上側外周平面271が設けられている。また、固定子鉄心27の下部にも、同様に、平面状に面取りされた下側外周平面272が設けられている。この固定子鉄心27は、これらの上側外周平面271と下側外周平面272とにより、上下方向の嵩張りが抑えられている。なお、この上側外周平面271側に対面するモータハウジング120の内周面には、側方に向けて突出する第1突出当接部123が設けられている。この第1突出当接部123は、前後左右方向に延在される平面を有して形成される。この第1突出当接部123は、この上側外周平面271を面で当接支持するように作用する。また、下側外周平面272側に対面するモータハウジング120の内周面にも、側方に向けて突出する第2突出当接部124が設けられている。この第2突出当接部124も、前後左右方向に延在される平面を有して形成される。この第2突出当接部124も、この下側外周平面272を面で当接支持するように作用する。このようにして、第1突出当接部123と第2突出当接部124とは、モータハウジング120に対する固定子鉄心27の回り止めに作用している。
界磁コイル28は、本発明に係るコイルに相当する。この界磁コイル28は、通常の界磁コイルと同様、固定子鉄心27を励磁する。界磁コイル28は、固定子鉄心27の内周側に配置され、モータハウジング120に対して固定されている。この界磁コイル28は、導線が巻かれて形成され、固定子鉄心27と一体となるように固定されている。このように配設される界磁コイル28は、通常の界磁コイルと同様、AC電源から供給される電力により磁界を発生させて固定子鉄心27を励磁する。
【0015】
界磁コイル28は、導線が巻かれて構成される。ここで界磁コイル28は、固定子鉄心27を励磁するにあたって、上下位置に磁極が形成されるように励磁する。つまり、界磁コイル28は、上下位置に磁極が形成されるように分配されて配設されている。具体的には、界磁コイル28は、固定子鉄心27の上側外周平面271および下側外周平面272に対して磁極が形成されるように配設されている。
ここで、この界磁コイル28の巻線範囲は、固定子鉄心27の前後両側から外側に突き出された範囲に及ぶように設定されている。
図8に示すように、固定子鉄心27の前側に配置される界磁コイル28の前端部分は、前側突出コイル部281として、固定子鉄心27の前側から外側に突き出された範囲に及ぶように設定されている。この前側突出コイル部281は、固定子鉄心27よりも前側に突き出されているとともに、さらに固定子鉄心27よりも回転径方向外側にも突き出されている。また、固定子鉄心27の後側に配置される界磁コイル28の後端部分も、後側突出コイル部282として、固定子鉄心27の後側から外側に突き出された範囲に及ぶように設定されている。この後側突出コイル部282は、固定子鉄心27よりも後側に突き出されているとともに、さらに固定子鉄心27よりも回転径方向外側にも突き出されている。ここで、後側突出コイル部282は、前側突出コイル部281よりも大きく形成されている。つまり、後側突出コイル部282の固定子鉄心27から外側への突出量は、前側突出コイル部281の固定子鉄心27から外側への突出量よりも、大きくなるように設定されている。
ここで、この電気モータ21のモータ軸22の前端には、冷却ファン29が取付けられている。この冷却ファン29は、シロッコファン(遠心ファン)にて構成される。この冷却ファン29は、モータ軸22の軸方向から吸気して、モータ軸22の遠心方向に排気する。これにより、冷却ファン29は、吸気側通気口121からハウジング20の内部に冷却風として外気を吸気し、排気側通気口122から熱交換した冷却風を排気する。この際、冷却風は、ハウジング20の後部から前部に向けて流れ、この際に電気モータ21を熱交換する。なお、排気側通気口122は、ハウジング20に対して冷却ファン29の排気に沿った位置で設けられている。
【0016】
ところで、これらの左右の2つ割りとされる左ハウジング201と右ハウジング202とは、9点の螺子止めにより互いの合体状態が保持される。すなわち、モータハウジング120においては、6点の螺子止めにより左ハウジング201と右ハウジング202との合体状態が保持されている。なお、後にも詳述するが、左ハウジング201は、左上螺子止め部71と左下螺子止め部72とで、雄螺子710,720を介してギヤケース140と連結される。また、右ハウジング202は、右上螺子止め部73と左下螺子止め部74とで、雄螺子730,740を介してギヤケース140と連結される。
モータハウジング120において螺子止めされている6点の配置設定は次のようになっている。すなわち、モータハウジング120の後部は、後部螺子止め部41,42の2点で雄螺子410,420を用いて螺子止めされている。この後部螺子止め部41,42は、後側ベアリング56を支持する近傍のモータハウジング120に対して設けられている。この後部螺子止め部41,42は、モータ軸22の回転軸線を中心軸線にして互いに対称となる位置に配置されている。また、モータハウジング120の前部は、前部螺子止め部43,44の2点で雄螺子430,440を用いて螺子止めされている。この前部螺子止め部43,44は、前側ベアリング55を支持する近傍のモータハウジング120に対して設けられている。この前部螺子止め部43,44も、モータ軸22の回転軸線を中心軸線にして互いに対称となる位置に配置されている。
また、このモータハウジング120の中間部は、中間部螺子止め部45,46の2点で雄螺子450,460を用いて螺子止めされている。2つの中間部螺子止め部45,46は、上記した前側突出コイル部281と後側突出コイル部282との間に配置されている。すなわち、2つの中間部螺子止め部45,46は、上記した固定子鉄心27の外周側に配置されている。
【0017】
具体的に言えば、固定子鉄心27の上側には、第1中間部螺子止め部45が配置されている。この第1中間部螺子止め部45は、面取りされた固定子鉄心27の上側外周平面271に対面配置されている。より詳しく言えば、第1中間部螺子止め部45は、上記した第1突出当接部123の上側に配置されている。この第1中間部螺子止め部45の固定子鉄心27に対しての前後方向の位置としては、この固定子鉄心27の略中間位置に配置される。この第1中間部螺子止め部45は、第1突出当接部123から適宜に離間した上側に配置されている。このため、この第1突出当接部123と第1中間部螺子止め部45との間には、適宜の空間部分が介在されることとなっている。
また、固定子鉄心27の下側には、第2中間部螺子止め部46が配置されている。この第2中間部螺子止め部46は、面取りされた固定子鉄心27の下側外周平面272に対面配置されている。より詳しく言えば、第2中間部螺子止め部46は、上記した第2突出当接部124の下側に配置されている。この第2中間部螺子止め部46の固定子鉄心27に対しての前後方向の位置としては、この固定子鉄心27の後端側に偏って配置される。なお、グリップエンド部60の後端の前後方向の位置と略同一の位置に配置される。つまり、これら2つの中間部螺子止め部45,46は、前側突出コイル部281よりも後側に配置される。また同時に、2つの中間部螺子止め部45,46は、後側突出コイル部282よりも前側に配置される。この第2中間部螺子止め部46は、第2突出当接部124から適宜に離間した下側に配置されている。このため、この第2突出当接部124と第2中間部螺子止め部46との間には、適宜の空間部分が介在されることとなっている。
【0018】
また、グリップハウジング160においては、3点の螺子止めにより左ハウジング201と右ハウジング202との合体状態が保持されている。グリップハウジング160において螺子止めされている3点の配置設定は次のようになっている。すなわち、上部螺子止め部47は、使用者により手握りされるグリップ16のうち操作トリガ77の近くに配置されている。この上部螺子止め部47は、雄螺子470を用いて螺子止めされている。中間螺子止め部48は、グリップエンド部60の上部に配置されている。この中間螺子止め部48は、雄螺子480を用いて螺子止めされている。下部螺子止め部49は、グリップエンド部60の下部に配置されている。この下部螺子止め部49は、雄螺子490を用いて螺子止めされている。
なお、上記した各螺子止め部41〜49における、雄螺子410〜490の配置は、左ハウジング201と右ハウジング202とを合体させる方向に沿って配置される。このようにして、モータハウジング120は、後部螺子止め部41,42、前部螺子止め部43,44、中間部螺子止め部45,46の6点によって螺子固定される。また、グリップハウジング160は、上部螺子止め部47、上部螺子止め部48、上部螺子止め部49の3点により螺子固定される。もって、左ハウジング201と右ハウジング202とは合体してハウジング20をなす。
図9に示すように、駆動変換機構部14は、電気モータ21のモータ軸22の回転駆動力を変換する機構を備える。具体的には、駆動変換機構部14は、概略、ギヤケース140と、動力伝達機構部31とを備える。ギヤケース140は、駆動変換機構部14の外装をなし、モータハウジング120の前側に配置される。このギヤケース140の内部に、動力伝達機構部31が内装される。なお、このギヤケース140は、モータハウジング120の前側でハウジング20と一体となる。また、ギヤケース140の前端からは、動力伝達機構部31からの出力軸となるアンビル37が前側に向けて突出されている。このギヤケース140は、本発明に係るフロントケースに相当するとともに、本発明に係るハンマーケースにも相当する。アンビル37は、本発明に係る出力軸に相当する。
【0019】
なお、
図1と
図6を比較して分かるように、ギヤケース140の外周面には、樹脂製のカバー15が取り付けられている。このカバー15は、ギヤケース140の外周面141を被覆するように配設され、ギヤケース140の外部露出を防いでいる。すなわち、
図6に示すように、カバー15は、ギヤケース140の外周面141を覆う範囲に亘って設けられる上、後に説明するベアリングボックス51の外部露出部511を覆う範囲に亘っても設けられている。なお、このカバー15を取り外すと、ギヤケース140の螺子止め部71,72,73,74(図示の死角にて見えない)が外部に露出される。これらの螺子止め部71,72,73,74には、雄螺子710,720,730,740(図示の死角にて見えない)が配置されている。なお、これらの螺子止め部71,72,73,74の前側におけるギヤケース140の外周面141には、螺子止め用切欠き溝142が設けられている。この螺子止め用切欠き溝142により、螺子止め部71,72,73,74に雄螺子710,720,730,740を螺子止めする際の、螺子回しドライバの配置スペースが確保されるようになる。
この樹脂製のカバー15は、ギヤケース140の螺子止め部71,72,73,74の突き出し形状に合わせられた形状が設けられている。具体的には、
図5に示すように、螺子止め部71,72,73,74は、アンビル37の回転径方向に突き出されるようにして設けられている。このため、
図1に示すように、この樹脂製のカバー15は、このように突き出されるようにされる螺子止め部71,72,73,74を被覆する膨らみ形状151を有する。ここで、この樹脂製のカバー15の膨らみ形状151の前面152は、加工材料に対して対面可能な、上下左右方向に延びる平面にて形成される。これによって、このような膨らみ形状151を例えば加工材料に当ててしまった場合でも、この前面152にて衝撃を効率良く吸収することができて、螺子止め部71,72,73,74の保護に有利となる。
【0020】
ギヤケース140に内装される動力伝達機構部31は、電気モータ21からの回転駆動力を受ける。回転駆動力を受けた動力伝達機構部31は、動力伝達をしてギヤケース140の前端から前側に突き出されるアンビル37に回転駆動力を伝達する。すなわち、動力伝達機構部31は、遊星歯車機構32と、打撃機構33と、アンビル37とを有する。遊星歯車機構32は、電気モータ21の回転駆動を減速するギヤ列にて構成される。この遊星歯車機構32は、インターナルギヤ320に遊星歯車列321を内装させることにより構成される。打撃機構33は、中間軸34と、付勢スプリング35と、ハンマ36とを備える。中間軸34は、中間軸ベアリング57にて回転可能に支持される。この中間軸34は、遊星歯車機構32を介して伝達される回転駆動を受けて回転する。付勢スプリング35は、ハンマ36を前側に向けて付勢する。ハンマ36は、アンビル37と一体化される打撃片38を打撃する。このアンビル37には、螺子締め用のドライバビットBを装着可能なチャック機構を有して構成される。ドライバビットBは、本発明に係る先端工具に相当する。このように構成される打撃機構33は、ドライバビットBを介してアンビル37に設定トルク以上の外部トルク(螺子締め抵抗)が螺子締め回転時に受けることとなると、中間軸34に対してハンマ36は軸方向で前進後退して回転する。そうすると、ハンマ36は、打撃片38を回転方向で打撃するようになり、この打撃片38と一体化されるアンビル37に大きなねじ締めトルクを出力させる。
【0021】
ところで、上記した駆動変換機構部14の後部にはベアリングボックス51が配設される。このベアリングボックス51は、ギヤケース140の後部に接続されるように設けられる。すなわち、ベアリングボックス51は、支持ケース52と、前側ベアリング55と、中間軸ベアリング57とを備える。支持ケース52は、概略、支持受張出部53と、ベアリング保持部54と、を備える。支持受張出部53は、上記した遊星歯車機構32のインターナルギヤ320と、駆動変換機構部14のギヤケース140とにより、挟み込まれて支持される。つまり、支持受張出部53は、インターナルギヤ320の外周側に配置されつつ、ギヤケース140の内周側に配置され、両者に挟み込まれるようにして支持される。支持受張出部53とギヤケース140との間には、Oリング541が噛ませてある。
ベアリング保持部54は、上記した支持受張出部53から後側に突き出されるように、この支持受張出部53と一体で設けられている。このため、ベアリング保持部54は、支持受張出部53がギヤケース140に支持された状態で、ギヤケース140の後側部分から後側に突き出されている。このベアリング保持部54は、上記した前側ベアリング55と中間軸ベアリング57を保持する。具体的には、ベアリング保持部54の後部側には、前側ベアリング55を支持できるように、この前側ベアリング55を嵌め込み可能な第1支持凹部531が設けられている。前側ベアリング55は、この第1支持凹部531に支持されて上記したモータ軸22を支持する。なお、この第1支持凹部531と前側ベアリング55との間には、Oリング542が噛ませてある。また、ベアリング保持部54の前部側には、中間軸ベアリング57を支持できるように、この中間軸ベアリング57を嵌め込み可能な第2支持凹部532が設けられている。なお、この第2支持凹部532は、上記した第1支持凹部531の前側に隣接配置されている。中間軸ベアリング57は、この第2支持凹部532に支持されて上記した中間軸34を支持する。なお、このベアリングボックス51の外周面には、ギヤケース140の外周面とともにギヤケース140の後側で外部に露出される外部露出部511が設けられている。
【0022】
図6に示すように、左ハウジング201および右ハウジング202は、ギヤケース140に対して螺子止めされている。すなわち、左ハウジング201は、上下に離れて配置される左上螺子止め部71と左下螺子止め部72とによりギヤケース140に螺子止めされている。これら左上螺子止め部71と左下螺子止め部72とは、ギヤケース140の延在方向に沿って雄螺子710,720を配置し、左ハウジング201とギヤケース140とを螺子止めすることによる。すなわち、左上螺子止め部71と左下螺子止め部72とは、雄螺子710,720により、ギヤケース140とモータハウジング120とを連結させる。このため、モータハウジング120には、
図10に示すように、雄螺子710,720を螺子止めさせるための雌螺子部711,721が設けられている。
また、右ハウジング202も、これと同様に、上下に離れて配置される右上螺子止め部73と右下螺子止め部74とによりギヤケース140に螺子止めされている。これら右上螺子止め部73と右下螺子止め部74とは、ギヤケース140の延在方向に沿って雄螺子730,740を配置し、右ハウジング202とギヤケース140とを螺子止めすることによる。すなわち、右上螺子止め部73と右下螺子止め部74とは、雄螺子730,740により、ギヤケース140とモータハウジング120とを連結させる。このため、モータハウジング120には、
図10に示すように、雄螺子730,740を螺子止めさせるための雌螺子部731,741が設けられている。
【0023】
図10に示すように、2箇所の前部螺子止め部43,44に配置される2つの雄螺子430,440は、本発明に係る第1合体螺子および第2合体螺子に相当する。すなわち、第1合体螺子に相当する第1前部螺子止め部43は、ベアリングボックス51の配置位置よりも上側に配置されるように設定されている。この第1前部螺子止め部43は、左上螺子止め部71(雄螺子710)および右上螺子止め部73(雄螺子730)の配置位置よりも下側に配置されるように設定されている。なお、第1前部螺子止め部43の雄螺子430は、左ハウジング201の雌螺子431と右ハウジング202の雌螺子432とを螺子締結させている。
これに対して、第2合体螺子に相当する第2前部螺子止め部44は、ベアリングボックス51の配置位置よりも下側に配置されるように設定されている。この第2前部螺子止め部44は、左下螺子止め部72(雄螺子720)および右下螺子止め部74(雄螺子740)の配置位置よりも上側に配置されるように設定されている。なお、第2前部螺子止め部44の雄螺子440は、右ハウジング202の雌螺子441と右ハウジング202の雌螺子442とを螺子締結させている。
このようにして、
図8および
図9に示すように、ベアリングボックス51の後側であり、2箇所の前部螺子止め部43,44の外周側には、緩衝スペース50が設けられるようになっている。この緩衝スペース50は、上記した動力伝達機構部31にて生ずる振動がグリップ16に伝わるにあたって、この空間により伝わる振動を緩衝させる効果を図っている。つまり、使用者がインパクトドライバ10をグリップ16を手握りした場合でも、このグリップ16に伝わる振動を緩衝させることができて、インパクトドライバ10としての取り扱い易さを向上させている。
【0024】
ところで、上記した駆動構造体12の下側にはグリップ16が設けられている。このグリップ16は、モータハウジング120と一体に成形されるグリップハウジング160により形成される。このグリップハウジング160は、ハンドルハウジングとも称され、使用者が手握り可能なピストルグリップを模して形成されている。具体的には、グリップハウジング160は、モータハウジング120の下部から更に下側に延びるようにして形成される。このグリップ16の下部には、野球バットのグリップエンドのように膨らまされたグリップエンド部60が設けられている。このグリップエンド部60は、グリップハウジング160の下部を構成するように、このグリップハウジング160の一部として形成される。グリップエンド部60は、このグリップエンド部60の前後左右断面の面積が、グリップ16部分のグリップハウジング160の前後左右断面の面積に比して、拡大される面積を有するように略箱形をなして形成されている。グリップエンド部60の下部には、このグリップエンド部60の下部から外部に延ばされる電気コード18が設けられている。なお、図示符号181は、電気コード18を外装するガイド部材である。このグリップエンド部60の左側面には、引っ掛けるためのフック19が螺子止め191されることにより取り付けられている。このフック19は、螺子止め191を螺子外しすることにより工具本体11から取外し可能となっている。
【0025】
図7に示すように、グリップ16の上部には、駆動スイッチ75が設けられている。この駆動スイッチ75は、概略、スイッチ本体76と、操作トリガ77と、回転方向切替ボタン78とを備える。スイッチ本体76は、コントローラ79とともに、グリップハウジング160に内装されている。このスイッチ本体76は、操作トリガ77および回転方向切替ボタン78からの操作入力に応じて、コントローラ79に入力信号を送信するように構成される。なお、コントローラ79は、スイッチ本体76からの入力信号に基づき、後に説明する速度モードスイッチ61からの入力信号も加味した上で、電気モータ21に電力を供給するようになっている。操作トリガ77は、使用者がグリップ16を手握りした状態で指で引き操作ができるように構成されている。具体的には、操作トリガ77は、グリップ16に対して前後方向でスライド可能に設けられている。また、回転方向切替ボタン78は、グリップ16に対して左右方向でスライド可能に設けられている。この回転方向切替ボタン78は、右側から押された状態となっている場合には順回し(右回転)の操作入力を行うものとなっており、左側から押された状態となっている場合には逆回し(左回転)の操作入力を行うものとなっている。
【0026】
ところで
図5に示すように、グリップハウジング160の下部を構成するグリップエンド部60の後面には、速度モードスイッチ61と、LED(light emitting diode)表示装置65とが設けられている。このLED表示装置65は、本発明に係る表示部に相当する。この速度モードスイッチ61とLED表示装置65とは、グリップエンド部60の後面となる同じ面に、上下に並べられて配設されている。
速度モードスイッチ61は、使用者の任意に応じて操作入力をするように構成される。この操作入力は、電気モータ21の回転速度のモードを切り替える入力となっている。すなわち、速度モードスイッチ61は、低速モードと高速モードとの2段階のモードに切替可能に構成される。なお、低速モードは回転速度が低速に設定されるモードであり、高速モードは回転速度が高速に設定されるモードである。この速度モードスイッチ61は、
図7に示すように、モードスイッチ本体62と、操作部63とを備える。モードスイッチ本体62は、グリップエンド部60の内部に配設されて、操作部63の入力に応じた入力に関する情報をコントローラ79に送信する。操作部63は、グリップエンド部60の後面に面して設けられている。この操作部63は、左右方向にスライドさせることにより低速あるいは高速のいずれかのモードに切替選択することができる。
【0027】
具体的には、グリップエンド部60の後面には、この後面をなすグリップハウジング160を切り欠いて開口部64が形成されている。この開口部64は、このグリップハウジング160の内外を通じさせて、モードスイッチ本体62に操作入力できるように、操作部63を操作可能に外部に露出させている。詳しくは、開口部64は、グリップエンド部60の後面を略矩形で切り欠くことにより形成されている。なお、この開口部64の左側縁には、操作入力が低速モードであることを示す数字の'1'が刻印されている。また、この開口部64の右側縁には、操作入力が高速モードであることを示す数字の'2'が刻印されている。この開口部64から操作可能に外部に露出される操作部63は、指を引っ掛けて左右方向にスライドできるように、上下突条に延びる形状を有して形成されている。このため、使用者は、この操作部63を指で引っ掛けて左側にスライドさせて左側に配置させたり、この操作部63を指で引っ掛けて右側にスライドさせて右側に配置させたりすることができる。ここで操作部63を左側の刻印'1'側に配置した場合には、電気モータ21が低速回転するようにモードスイッチ本体62に対して操作入力されたものとなっている。また、操作部63を右側の刻印'2'側に配置した場合には、電気モータ21が高速回転するようにモードスイッチ本体62に対して操作入力されたものとなっている。なお、このモードスイッチ本体62に対してされた操作入力は、上記したコントローラ79に対して入力信号を送信する。
【0028】
LED表示装置65は、
図5に示すように、2つのLEDランプ66,67を有して構成されている。この2つのLEDランプ66,67は、上記した2段階に切替可能にされる速度モードスイッチ61に対応して構成される。すなわち、2つのLEDランプ66,67は、速度モードスイッチ61によって切り替えられた低速と高速との2段階の回転速度を表示する。この2つのLEDランプ66,67の低速と高速との2段階の速度モードの表示は、発光することによる点灯となっている。つまり、この2つのLEDランプ66,67は、本発明に係る複数の発光体に相当する。この2つのLEDランプ66,67の発光色は、互いに違う色の発光色に設定されている。具体的には、左側LEDランプ66の発光色は赤色に設定されており、右側LEDランプ67の発光色は青色に設定されている。ここで、速度モードスイッチ61による操作入力に応じて、コントローラ79によりLED表示装置65の点灯表示は制御される。すなわち、上記した速度モードスイッチ61から低速の操作入力がされている場合には、コントローラ79は、LED表示装置65の左側LEDランプ66を点灯させる。また、上記した速度モードスイッチ61から高速の操作入力がされている場合には、コントローラ79は、LED表示装置65の右側LEDランプ66を点灯させるようになっている。
ここで、この2つLEDランプ66,67は、インパクトドライバ10が給電状態にあるか否かも判別可能に点灯するように構成される。すなわち、上記した操作トリガ77が引き操作されているか否かにかかわらず、上記した電気コード18がAC電源に接続されている場合には、上記した2つのLEDランプ66,67のいずれかは常時点灯されるようになっている。なお、この電気コード18がAC電源に接続されていない場合には、このLEDランプ66,67のいずれもは、全く点灯されていない消灯状態となる。
【0029】
ところで、上記したLED表示装置65の点灯に関しては、次のように変形されるものであってもよい。すなわち、上記した2つのLEDランプ66,67のうち、左側LEDランプ66については赤色で発光するようになっており、右側LEDランプ67については青色で発光するようになっていた。しかしながら、これら2つのLEDランプ66,67が発光する際の色(発光色)については、このような互いに相違する色の発光色の設定に限定されることなく、これらが同色となる発光色(単色発光)の設定にされるものであってもよい。さらに、上記した2つのLEDランプ66,67の発光(点灯)は、速度モードスイッチ61からの操作入力に応じて、左右片側ずつのLEDランプ66,67を発光(点灯)させるものであった。しかしながら、速度モードスイッチ61からの操作入力に応じて左右いずれかのLEDランプ66,67の片側ずつを発光(点灯)させたり、この速度モードスイッチ61からの操作入力に応じて左右いずれものLEDランプ66,67の両側を発光(点灯)させたり、するものであってもよい。
また、このような場合に、LEDランプ66,67の発光する際の明るさ(輝度)について、変化させるものであってもよい。つまり、この速度モードスイッチ61からの操作入力に応じて、電気モータ21の回転速度が段階的に変化する場合には、この段階的な変化に応じて、LEDランプ66,67の一方あるいは両方の発光する明るさ(輝度)を段階的に変化させたりするものであってよい。加えて、このような電気モータ21の回転速度が段階的に変化に応じて、LEDランプ66,67の発光する数を変化させたりするものであってよい。また加えて、このような電気モータ21の回転速度が段階的に変化に応じて、LEDランプ66,67の発光する色を段階的に変化させたりするものであってよい。また加えて、このような電気モータ21の回転速度が段階的に変化に応じて、各LEDランプ66,67の発光する色を互いに相違する色に設定させたり組み合わせ変化させたりするものであってよい。つまり、LED表示装置65の点灯の制御については、視覚にて認識できる適宜の表示態様を選択することができ、このような表示態様については従前利用される各種の表示態様の案を利用するものであってよい。
【0030】
なお、上記したようにLEDランプ66,67が発光する場合であっても、このLEDランプ66,67は、インパクトドライバ10が給電状態にあるか否かを判別できるように点灯するように構成されている。すなわち、電気コード18がAC電源に接続されていない場合には、このLEDランプ66,67のいずれもは、全く点灯されていない消灯状態となる、これに対して、上記した操作トリガ77が引き操作されているか否かにかかわらず、上記した電気コード18がAC電源に接続されている場合には、上記した2つのLEDランプ66,67のうちの少なくともいずれかは、使用者に分かるように適宜点灯するようになっている。また、上記したLED表示装置65の点灯(各LEDランプ66,67の発光)は、コントローラ79の制御によりなされている。すなわち、コントローラ79は、駆動スイッチ75からの入力信号、速度モードスイッチ61からの入力信号、電気コード18のAC電源の電気接続等、を鑑みて、LED表示装置65を構成する各LEDランプ66,67を独立して制御するようになっている。
ところで、上記した速度モードスイッチ61とLED表示装置65とについては、別個に分割された構成部品となっていたが、これらの速度モードスイッチ61とLED表示装置65とについては、同一に回路基板にて構成されるものであってもよい。また、LED表示装置65の制御については、このLED表示装置65とは別個の構成部品となるコントローラ79によりなされるものであったが、この速度モードスイッチ61から直接制御されるように構成されるものであってもよい。また、このような回路基板には、コンデンサまたはダイオードブリッジが搭載されるものであってよく、さらにコントローラ79にコンデンサまたはダイオードブリッジが搭載されるものであってもよい。さらに言えば、この速度モードスイッチ61とLED表示装置65とを接続する回路基板に、上記したコントローラ79として機能する回路が搭載されるようにしてもよい。
【0031】
上記した実施の形態のインパクトドライバ10(電動工具、電動打撃工具)によれば、次の作用効果を奏することができる。すなわち、上記したインパクトドライバ10によれば、グリップハウジング160に設けられたLED表示装置65により、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度に対応する低速モードと高速モードとの2段階いずれかの回転速度を表示することができる。これによって、使用者は、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を目視確認することができる。したがって、使用者にとって電気モータ21の回転速度が分かり易くなって便利となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、LED表示装置65はインパクトドライバ10が給電状態にあるかを表示するので、使用者は、インパクトドライバ10が給電状態であるか否かを目視確認することができる。したがって、インパクトドライバ10がAC電源に接続されているか否かが使用者にとって分かり易くなって便利となる。また、このインパクトドライバ10によれば、AC電源に接続されているか否かを判別する給電ランプの機能を、電気モータ21の回転速度を表示するLED表示装置65が兼ねるので、双方の機能を一つの装置で設計することができて安価にすることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、LED表示装置65はLEDランプ66,67を発光することにより表示するので、使用者にとって点灯か否かで分かり易くなって、使用者の目視確認に有利となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、LED表示装置65は発光することにより表示する左側LEDランプ66と右側LEDランプ67との2つを有する。ここで、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を段階的に区分けし、この段階的に区分けした電気モータ21の回転速度に応じて、発光するLEDランプ66,67の個数が相違するように、この発光する表示を制御する。そうすると、使用者の目視確認を発光するLEDランプ66,67の個数の把握で行えることができ、電気モータ21の回転速度を把握するのが容易となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、発光することによる表示は色の違いを有する。ここで、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を段階的に区分けし、この段階的に区分けした電気モータ21の回転速度に応じて、相違する色で発光するように、この発光する表示を制御する。そうすると、使用者の目視確認を発光するLEDランプ66,67の色の把握で行えることができ、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を把握することができて便利となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、発光することによる表示は、明るさの違いを有する。ここで、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を段階的に区分けし、この段階的に区分けした電気モータ21の回転速度に応じて、相違する明るさで発光するように、この発光する表示を制御する。そうすると、使用者は、発光するLEDランプ66,67の明るさを目視確認することによって、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を把握することができる。したがって、使用者にとって電気モータ21の回転速度が分かり易くなって便利となる。
【0032】
なお、上記したインパクトドライバ10によれば、速度モードスイッチ61とLED表示装置65とを同一の回路基板に接続した場合には、速度モードスイッチ61の入力に応じて電気モータ21の制御とLED表示装置65の制御との双方の制御を同時に行うことができる。これによって、制御の効率化を図ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、コンデンサまたはダイオードブリッジを搭載した場合には、回路基板1つで更なる機能を持たせることができて、さらなる制御の効率化を図ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、回路基板にはコントローラを搭載した場合には、回路基板1つで更なる機能を持たせることができて、さらなる制御の効率化を図ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、モータハウジング120とグリップハウジング160とのいずれかに設けられたLED表示装置65により、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度に対応する少なくとも低速モードと高速モードとの2段階いずれかの回転速度を表示することができる。これによって、使用者は、速度モードスイッチ61によって切り替えられた電気モータ21の回転速度を目視確認することができる。したがって、使用者にとって電気モータ21の回転速度が分かり易くなって便利となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、LED表示装置65は、インパクトドライバ10が給電状態にあるかを表示するので、使用者は、インパクトドライバ10が給電状態であるか否かを目視確認することができる。したがって、インパクトドライバ10がAC電源に接続されているか否かが使用者にとって分かり易くなって便利となる。また、このインパクトドライバ10によれば、AC電源に接続されているか否かを判別する給電ランプと、電気モータ21の回転速度を表示するLED表示装置65とを兼ねるので、双方の機能を一つの装置で設計することができて安価にすることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、LED表示装置65はグリップエンド部60の後面に設けられているので、使用者は、使用時と同様にインパクトドライバ10を握った状態でも、電気モータ21の回転速度を表示するLED表示装置65を目視確認することができる。これによって、インパクトドライバ10を使用している際の目視確認に有利となる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、速度モードスイッチ61は、LED表示装置65が設けられている面と同じ面に設けられているので、速度モードスイッチ61の操作後そのままLED表示装置65の表示を目視確認することができる。これによって、速度モードスイッチ61の操作する際の目視確認に有利となる。
【0033】
また、上記したインパクトドライバ10によれば、左ハウジング201と右ハウジング202とを螺子固定する際の中間部螺子止め部45,46の位置が、前側突出コイル部281と後側突出コイル部282との間に設定されているので、前側突出コイル部281と後側突出コイル部282との間で形成され易いデッドスペースを有効活用することができる。これによって、電気モータ21により生ずる回転駆動力を十分なものにするようにコイル巻き量を確保しながら、モータハウジング120の内部のデッドスペースを有効活用してモータハウジング120の大きさを小さくして、インパクトドライバ10全体の小型化を図ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、突出コイル部281,282は、左ハウジング201と右ハウジング202とを螺子固定する際の中間部螺子止め部45,46の位置に対して、前側または後側の少なくともいずれかに配置されているので、螺子固定する際の中間部螺子止め部45,46の位置により形成されるデッドスペースに突出コイル部281,282を配置することができる。これによって、電気モータ21により生ずる回転駆動力を十分なものにするようにコイル巻き量を確保しながら、モータハウジング120の内部のデッドスペースを有効活用してモータハウジング120の大きさを小さくして、インパクトドライバ10全体の小型化を図ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、第1中間部螺子止め部45は第1突出当接部123から適宜に離間した上側に配置されており、第2中間部螺子止め部46は第2突出当接部124から適宜に離間した下側に配置されている。これによって、インパクトドライバ10が落下して地面から衝撃を受けるような場合であっても、固定子鉄心27からの衝突慣性力は、第1突出当接部123と第2突出当接部124とにより受けられて支持されることとなる。つまり、第1突出当接部123と第2突出当接部124とは、モータハウジング120に対して固定子26の回り止めの作用をしているほか、固定子26の衝突慣性力も支持する作用をする。このようにして、例えば、インパクトドライバ10が落下して地面から衝撃を受けるような場合であっても、衝突慣性力を生ずる固定子26は第1突出当接部123と第2突出当接部124とにより支持されて、中間部螺子止め部45,46の2点に干渉することがなくなる。これによって、中間部螺子止め部45,46の2点に螺子止めを、破損から強固に護ることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、固定子鉄心27よりも後側に突出される後側突出コイル部282は、この固定子鉄心27よりも前側に突出される前側突出コイル部281よりも大きく形成されているので、電気モータ21により生ずる回転駆動力を十分なものにするようにコイル巻き量を確保しながら、この前側突出コイル部281の配置側を小さくすることができる。これによって、前側突出コイル部281が配置される構成についてのスリム化を図ることができて、インパクトドライバ10として前側をスリム化した取り扱い易い構成とすることができる。
【0034】
また、上記したインパクトドライバ10によれば、第1前部螺子止め部43と第2前部螺子止め部44との配置位置は、ベアリングボックス51に干渉することなく配置される。また、このようにベアリングボックス51に近接配置される第1前部螺子止め部43と第2前部螺子止め部44とは、左上螺子止め部71および右上螺子止め部73の配置位置よりも下側であり、左下螺子止め部72および右下螺子止め部74の配置位置よりも上側であるように、配置される。これによって、左上螺子止め部71および右上螺子止め部73の配置位置にあっては上側に配置されることとなり、これら左上螺子止め部71および右上螺子止め部73の左右幅方向の張り出しを小さくすることができる。また、左下螺子止め部72および右下螺子止め部74の配置位置にあっても下側に配置されることとなり、これら左下螺子止め部72および右下螺子止め部74の左右幅方向の張り出しを小さくすることができる。つまり、上記したインパクトドライバ10によれば、動力伝達機構部31を含むギヤケース140をモータハウジング120の前端側に螺子止めさせることができながら、このように螺子止めされる動力伝達機構部31を含めたインパクトドライバ10全体の左右幅方向の張り出しを小さくすることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、第1前部螺子止め部43および第2前部螺子止め部44は、左上螺子止め部71および右上螺子止め部73と、左下螺子止め部72および右下螺子止め部74との間に配置されている。このため、第1前部螺子止め部43および第2前部螺子止め部44の左右幅方向の張り出しを小さくすることができる。これによって、上記したインパクトドライバ10によれば、動力伝達機構部31を含むギヤケース140をモータハウジング120の前端側に螺子止めさせることができながら、このように螺子止めされる動力伝達機構部31を含めたインパクトドライバ10全体の左右幅方向の張り出しを小さくすることができる。また、上記したインパクトドライバ10によれば、ギヤケース140の外周面141およびベアリングボックス51の外部露出部511を覆うようにカバー15が設けられている。このため、このカバー15によってギヤケース140の外周面141およびベアリングボックス51の外部露出部511を被覆することができる。これによって、これらギヤケース140の外周面141およびベアリングボックス51の外部露出部511が加工材料に当たるような場合でも、この加工材料をカバー15によって傷つけなくすることができる。
また、このベアリングボックス51の前側部分は、モータハウジング120の前端から突き出されてギヤケース140に内装されている。これによって、ベアリングボックス51に溜まった熱は、ギヤケース140に伝達されて放熱させ易くなっている。ここで、ベアリングボックス51の前側部分の外周露出部511は、モータハウジング120の前端から突き出されるが、この外周露出部511は上記した樹脂製のカバー15により被覆されたものとなっている。これによって、ベアリングボックス51に溜まった熱を、駆動構造体12の露出周面に伝達させずに、ギヤケース140の前側に逃がすことができる。
【0035】
なお、本発明に係る電動工具および電動打撃工具にあっては、上記した実施の形態のインパクトドライバ10の構成に限定されるものではなく、適宜変更が加えられて構成されるものであってもよい。すなわち、上記した実施の形態では、いわゆるインパクトドライバと称される電動打撃工具を、本発明に係る電動工具の例として説明するものであった。しかしながら、本発明に係る電動工具および電動打撃工具としては、このようなインパクトドライバ10の例に限定されることなく、電気モータを駆動源にして構成される適宜の電動工具および電動打撃工具に対して応用することができる。
また、上記した実施の形態にあっては、速度モードスイッチ61(速度切替スイッチ)にて切り替えられるモードとしては、低速モードと高速モードとの2段階のモードとなっていた。しかしながら、本発明に係る速度切替スイッチによる切替としては、3段階や4段階であってもよい。さらに言えば、この速度切替スイッチによる切替としては、段階的な切替に限定されることなく、断続的な滑らかな切替も含まれるものである。
また、上記した実施の形態にあっては、回転速度を表示する表示部がLED表示装置65により構成されるものとなっていた。しかしながら、本発明に係る表示部は、このような例に限定されることなく、例えば液晶表示を利用する表示装置により構成されるものであってもよい。また、速度モードスイッチ61とLED表示装置65とが設けられてい部位としては、上記したグリップエンド部60の後面に限定されることなく、ハウジング20のいずれの部分に設けられるものであってもよい。
また、上記した実施の形態のグリップエンド部60にあっては、このグリップエンド部60の前後左右断面の面積がグリップ16部分の前後左右断面の面積に比して拡大される面積を有するように略箱形をなして形成されていた。しかしながら、本発明に係るグリップエンド部としては、このような例に限定されることなく、グリップ16部分と変わりない断面積を有するように形成されるものであってもよい。ただ、上記した実施の形態のようにグリップエンド部60を形成した場合には、手握りのしやすさを向上させることができ、取り扱いやすい電動工具とすることができる。
また、上記した実施の形態の固定子鉄心27にあっては、上部には平面状に面取りされた上側外周平面271が設けられ、下部にも平面状に面取りされた下側外周平面272が設けられるものとなっていた。しかしながら、本発明に係る固定子鉄心にあっては、このような例に限定されることなく、平面状に面取りされる形状に代えて適宜の形状が選択されるものであってもよい。なお、上記した実施の形態のように上側外周平面271および下側外周平面272を設けた場合には、この固定子鉄心27の上下方向の嵩張りが抑えることができる。これによって、電動工具としてのコンパクト化を図ることができることとなる。
また、上記した実施の形態において電気モータ21に供給される電力は、電気コード18を介して家庭用電源等のAC電源(交流電源)から供給される電力を利用するものであった。しかしながら、本発明に係る電気モータに供給される電力としては、このような例に限定されることなく、適宜に装着される充電式バッテリから供給される電力を利用するものであってもよい。つまり、本発明に係る電動工具としては、充電式バッテリを装着可能な形式の電動工具として構成されるものであってよい。また、上記した実施の形態における電気モータ21は、いわゆるブラシモータにて構成されるものであった。しかしながら、本発明に係る電気モータは、このような例に限定されることなく、適宜のブラシレスモータにて構成されるものであってもよい。なお、このように電気モータをブラシレスモータで構成した場合には、回転子に関しては永久磁石を用いて構成されることとなる。