【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、撮像装置を用いて生成された画像中の異常を識別する方
法が提供され、この方法は、第1の数の候補異常及び第2の数の候補異常から複数の異常
を識別するステップを含み、識別された複数の異常は、第1の数の候補異常のうち少なく
とも2つを含み、これら少なくとも2つの候補異常は、第2の数の候補異常のうち少なく
とも2つと同じ相対的な空間的配置を有し、第1の数の候補異常は、撮像装置を用いて生
成された第1画像中に識別され、第2の数の候補異常は、この撮像装置を用いて生成され
た第2画像中に識別される。
【0012】
本発明の好適例では、第1の数の候補異常と第2の数の候補異常との間に共通する相対
的な空間的配置を用いることによって、本発明は、連続した画像間に共通するが画像間で
は空間的にシフト(移動)している、画像中の異常の存在を識別することができる。本発
明の好適例は、第1の数の候補異常と第2の数の候補異常とに共通する相対的な空間的配
置を有する候補異常を識別する。このようにして、本発明の好適例は、候補異常の絶対位
置を用いずに異常を識別する。
【0013】
従って、疑問を避けるために、本明細書で用いる「相対的な空間的配置」とは、第1の
数の候補異常及び第2の数の候補異常のうち一方の中の、2つ以上の相対座標を包含する
。即ち、相対的な空間的配置は、複数の候補異常の中で、他の1つ以上の候補異常に対す
る1つの候補異常の相対位置を規定することができる。
【0014】
好適例では、第1の数の候補異常のうち少なくとも2つの候補異常の相対的な空間的配
置を、第2の数の候補異常のうち少なくとも2つの候補異常の相対的な空間的配置と比較
することができる。第1の数の候補異常と第2の数の候補異常とで相対的な空間的配置が
同じであれば、上記少なくとも2つの候補異常が実際の異常であるものと考えることがで
きる。
【0015】
本発明の好適例は、撮像装置のユーザが、この撮像装置の動作が、装置の光学面上の汚
染物質により生じた異常によって支障されているか否かを判定することを可能にする。こ
れらの好適例は、ユーザが技術者を呼び出して、必要時に光学面を洗浄することを可能に
する。このことは、装置の保守及び洗浄をより効率的にする。
【0016】
随意的に、上記撮像装置を、網膜撮像スキャナまたは走査型レーザー検眼鏡とすること
ができる。
【0017】
随意的に、候補異常の相対的な空間的配置は、第1の数の候補異常または第2の数の候
補異常における各候補異常の中心から、同じ数の候補異常における他の全ての候補異常の
中心までの距離を含む。
【0018】
好適例では、候補異常間の距離を各候補異常の中心から測定して、共通の基準点を生成
する。即ち、本発明の好適例では、各候補異常の中心からの距離を用いて、共通の基準点
を使用する。これに加えて、一部の好適例では、複数の候補異常における、各候補異常か
ら測定した残りの候補異常までの距離は、候補異常の配置が、それらの絶対位置を参照せ
ずに決まることを意味する。
【0019】
随意的に、複数の異常を識別するステップが、第1の数の候補異常と第2の数の候補異
常との間でコンステレーション・マッチ(信号点配置図の整合)を実行することを含む。
【0020】
好適例では、コンステレーション・マッチが、第1の数の候補異常における各候補異常
の相対位置を、第2の数の候補異常における各候補異常の相対位置と比較することを可能
にする。
【0021】
随意的に、コンステレーション・マッチを実行することが、第1の数の候補異常と第2
の数の候補異常との相関を計算すること、及び第1の数の候補異常の空間的配置と第2の
数の候補異常の空間的配置との相関のレベルを表すコンステレーション・マッチ値を決定
することを含む。
【0022】
好適例では、コンステレーション・マッチ値が、第1の数の候補異常の位置が第2の数
の候補異常の位置と良好に一致している度合いの定量化を可能にする。本発明の一部の好
適例では、第1の数の候補異常からの候補異常と、第2の数の候補異常からの候補異常と
の間に2つ以上の一致が存在すれば、このことが、網膜像スキャナの光学面上に汚染物質
が存在することを示す。
【0023】
随意的に、コンステレーション・マッチ値を決定することが、第1の数の候補異常にお
ける各候補異常の中心から、第2の数の候補異常における各候補異常の中心までの複数の
距離を測定すること、及びこれら複数の距離の平均値を計算することを含む。
【0024】
随意的に、コンステレーション・マッチを実行することが、第2の数の候補異常のうち
、第1の数の候補異常における各候補異常から所定半径内にある候補異常の数を表す候補
カウント値を決定することを含む。
【0025】
本発明の好適例では、候補カウント値を決定することを用いて、画像内に含まれる異常
の数を特定することができる。一部の好適例では、このことは、撮像装置のユーザが、こ
の撮像装置内の汚染物質のレベルを測定することを可能にする。
【0026】
随意的に、上記方法が、複数のコンステレーション・マッチ値及び複数の候補カウント
値を決定するステップを含み、各コンステレーション・マッチ値及び各候補カウント値は
、第1の数の候補異常を、第2の数の候補異常に対してx及び/またはy方向にシフトし
た後に決定する。
【0027】
本発明の好適例では、第1の数の候補異常を、第2の数の候補異常に対してシフトした
後にコンステレーション・マッチ値を決定することによって、上記2組の候補異常間の相
関のレベルを、x及びy座標で表される探索領域全体にわたって決定することができる。
これにより、例えば、2つの画像間の汚染物質によって生じるあらゆる空間的シフトを明
らかにすることができる。
【0028】
随意的に、上記方法は、複数の候補カウント値のうち1つが所定閾値より大きいことに
応じて、第1画像及び第2画像中の複数の異常を識別するステップをさらに含むことがで
きる。
【0029】
候補カウント値のうち1つが特定閾値を上回っていれば、このことは、第1の数の候補
異常における複数の候補異常の位置と、第2の数の候補異常における、対応する候補異常
の位置とに相関があることを意味する。候補カウント値のレベルは、例えば、網膜撮像ス
キャナの光学面上の汚染物質によって生じた異常の数を示すことができる。
【0030】
随意的に、上記閾値を、上記複数のカウント値どうしの相対値に応じて決定する。
【0031】
本発明の好適例では、複数の候補カウント値どうしの相対値に基づいて閾値を決定する
ことによって、上記方法のノイズ性能を改善する。高ノイズの環境では、1つ以上の候補
カウント値の絶対値が固定閾値を上回ることがあるが、このことは、コンステレーション
・マッチを示さないことがある。しかし、複数の候補カウント値の全てに対する閾値を設
定した場合は、異常の存在を識別するためには、特定の候補カウント値が、他の候補カウ
ント値に対して突出していなければならない。
【0032】
随意的に、上記方法は、撮像装置を用いて生成された第1画像中で、第1の数の候補異
常を識別するステップと、この撮像装置を用いて生成された第2画像中で、第2の数の候
補異常を識別するステップとを、さらに含むことができる。
【0033】
第1の数の候補異常及び第2の数の候補異常の識別は、これらの候補異常からの異常の
識別と同じ場所で行うことができることを、出願人は認識している。しかし、疑問を避け
るために、候補異常の識別を、他の国または地域内の他の場所で行って、他の遠隔地に渡
して、候補異常から異常を識別することができることも、出願人は理解している。本発明
の方法を、他の場所で識別された候補異常に対して実行することは、本発明の範囲内であ
ることを意図している。
【0034】
随意的に、第1の数の候補異常及び第2の数の候補異常を識別するステップが、これら
第1画像及び第2画像の各々に対して整合(マッチト)フィルタを実行することを含むこ
とができる。
【0035】
随意的に、整合フィルタを実行することが、異常の表現と、第1画像及び/または第2
画像の1つの領域との相関を計算すること、及びこれらの間の相関のレベルを表す相関値
を決定することを含むことができる。
【0036】
好適例では、異常の表現を用いることによって、画像の1つの部分を上記表現と比較す
ることができ、相関値が、この画像のこの部分と上記表現との相関のレベルを与える。高
いレベルの相関が、画像中に異常が存在することを示すことができる。
【0037】
随意的に、上記相関値を決定することが、異常の表現における少なくとも1つの領域の
輝度レベルと、この表現を第1画像及び/または第2画像に重ね合わせて(オーバーレイ
して)対応する領域の輝度レベルとの差分を決定することを含むことができる。上記輝度
レベルは、例えば光レベルとすることができる。
【0038】
特定の好適例では、上記表現を、複数の画素のような複数の領域に分割することができ
、この表現の各画素の光レベルを、画像の対応する画素の光レベルと比較することができ
る。上記相関値は、各々の差の平均値とすることができる。
【0039】
随意的に、上記方法は、第1の数の候補異常及び/または第2の数の候補異常のうち1
つの候補異常を、相関値が所定閾値より大きいことに応じて識別するステップを、さらに
含むことができる。
【0040】
随意的に、上記方法は、複数の相関値を決定することによって複数の候補異常を決定す
るステップをさらに含むことができ、各相関値は、異常の表現を、画像に対してx及び/
またはy方向にシフトした後に決定する。
【0041】
特定の好適例では、画像の全体または一部について候補異常を決定することができる。
上記表現をx及びy方向にシフトすることによって、この表現を、画像を横切るようにス
ライドさせることができる。上記表現が、この表現と高い相関を有する画像中の領域に達
すると、高い相関をフィルタによって出力し、これにより候補異常を識別する。この処理
は、二次元畳み込み(コンボリューション)と称することができる。
【0042】
随意的に、上記方法は、上記第1画像及び第2画像を、撮像装置を用いて生成すること
ができる。
【0043】
撮像機を用いた、第1の数及び第2の数の第1画像及び第2画像の生成は、異常の識別
と同じ場所、及び/または候補異常の識別と同じ場所で行うことができることを、出願人
は認識している。しかし、疑問を避けるために、第1画像及び第2画像の生成を、他の国
または地域内の他の場所で行って、画像を他の遠隔地に渡して、本発明の方法で使用する
ことができることも、出願人は理解している。本発明の方法を、他の場所で生成された画
像に対して実行することは、本発明の範囲内であることを意図している。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、上述した方法を実行可能なコンピュータプログラムコー
ドを格納すべく構成されたコンピュータプログラム製品が提供される。
【0045】
本発明の第3の態様によれば、上述した方法を実行すべく構成されたプロセッサを具え
た装置が提供される。
【0046】
本発明の好適例では、撮像装置が、上述した装置を具えることができる。この撮像装置
は、走査型レーザー検眼鏡とすることができる。
【0047】
以下、本発明の好適な実施形態を、次の図面を参照しながら説明する。