(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139013
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】塩を製造する装置
(51)【国際特許分類】
C01D 3/06 20060101AFI20170522BHJP
F26B 3/14 20060101ALI20170522BHJP
B01D 1/22 20060101ALI20170522BHJP
B01D 1/20 20060101ALI20170522BHJP
B05B 7/08 20060101ALN20170522BHJP
B05B 17/06 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
C01D3/06 K
F26B3/14
B01D1/22 A
B01D1/20
!B05B7/08
!B05B17/06
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-504220(P2016-504220)
(86)(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公表番号】特表2016-516661(P2016-516661A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】KR2013006748
(87)【国際公開番号】WO2014148697
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0029624
(32)【優先日】2013年3月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515259513
【氏名又は名称】キム, ジンホ
【氏名又は名称原語表記】KIM,Jin Ho
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジンホ
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−206130(JP,A)
【文献】
特許第3250738(JP,B2)
【文献】
特開2006−068660(JP,A)
【文献】
特開2003−117442(JP,A)
【文献】
特開2005−289717(JP,A)
【文献】
実公昭46−023736(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01D 3/06
B01D 1/20
B01D 1/22
F26B 3/14
B05B 7/08
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布又は網に海水を噴射する方式で塩を結晶化させる、塩を製造する装置であって、
内部空間が形成された製塩室と、
前記製塩室内に縦方向に取り付けられる複数の布又は網と、
隣接する前記布又は網の間の上部に設置され、海水を微粒化させて前記布又は網に噴射する海水噴射装置と、
前記海水噴射装置に海水を供給する海水供給管と、
前記海水と製塩室を加熱する加熱手段とを含み、
前記加熱手段は、海水を加熱するボイラーと、空気加熱装置と、熱風装置と、加熱空気供給管とを含み、
前記空気加熱装置は、前記熱風装置と前記加熱空気供給管に加熱された空気を供給し、
前記熱風装置は、前記製塩室に加熱された空気を供給し、
前記海水噴射装置は、前記ボイラーから加熱された海水と、前記加熱空気供給管から加熱された空気が流入して、前記空気により前記海水を微粒化させて噴射するノズルであり、
前記ノズルから噴射された海水が前記布又は網を伝って流れる際に塩が結晶化する、
ことを特徴とする塩を製造する装置。
【請求項2】
前記ノズルは、錐形又は錐台形であり、
前記ノズルでは、前記海水供給管から供給される海水を空気と交差させて第1次の微粒化を行い、前記第1次の微粒化がなされて排出される海水について、ノズルの頂点領域にて、第2次の微粒化を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【請求項3】
前記海水噴射装置は、超音波振動子を用いて海水を微粒化させて噴射する、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【請求項4】
前記海水供給管は、前記製塩室の下部に配列されて前記海水噴射装置に連結され、
前記ボイラーは、前記製塩室の底に取り付けられて前記海水供給管の海水を加熱する、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【請求項5】
前記熱風装置は、前記製塩室の下部に取り付けられ、前記製塩室の内部に、加熱された空気を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【請求項6】
海水濃縮部をさらに含み、
前記海水濃縮部は、
内部空間が形成される濃縮室と、前記濃縮室内に縦方向に取り付けられる布又は網と、前記濃縮室の上部に設置され、海水を微粒化させて前記布又は網に噴射する海水噴射装置と、前記海水噴射装置に海水を供給する海水供給管と、前記海水又は濃縮室を加熱する加熱手段とを含むことで海水を濃縮させるものであり、前記濃縮された海水は前記製塩室の海水供給管を通じて前記製塩室の海水噴射装置に供給される、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【請求項7】
前記製塩室には、内部の蒸気を排出させる蒸気排出口が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の塩を製造する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塩製造装置に係り、より詳しくは高濃度のミネラルを含んでいるミネラル塩を得ることができ、相対的に少ない費用及び空間で塩を製造することができ、海水を加熱して布又は網に噴射するので乾燥や蒸発効率を極大化することができる、塩を製造する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、塩を製造する方法は、海水を塩田に引き入れてから乾燥させることで塩を析出することが最も一般的な方法である。
【0003】
このような方法で製造された塩は、カルシウム、マグネシウムなどの約60余種の種々のミネラルを含んでおり、これらは人体に有益な成分として広く用いられている。
【0004】
しかし、海岸の開発によって塩田の確保が難しくなり、塩田で塩を生産するためには多大な人力が消耗される欠点がある。このような問題点のため、現在天然塩の生産量は毎年減少している。このような減少のため、天然塩を補うために人工的に天然塩とほぼ同一成分の塩を製造する装置及び方法が開発されているのが実情である。代表的な例として、特公昭63−27290号には、工場にて海水を引き入れ、イオン交換樹脂フィルムを用いる電気的方法で塩を製造する方法が開示されている。
【0005】
しかし、このような方法によって生産された塩は、天然塩に比べ、人に有益な成分の含有量が非常に少ないのみならず、人体に必要な成分であるカルシウム、マグネシウム及びミネラルといった成分の含量が著しく少ないため、天然塩に比べて食用塩として使うのには劣悪であるという大きな問題点がある。
【0006】
一方、大韓民国登録特許第10−1080994号には、内部に第1乾燥空間が形成された第1乾燥部、及び、前記第1乾燥空間に設置されて内部に前記第1乾燥空間と連結された第2乾燥空間を備える第2乾燥部を含む乾燥部と、前記乾燥部の一側に連結され、塩分濃縮液を微細粒子状態に噴射する原料供給部と、前記乾燥部の一側に連結され、前記乾燥空間を加熱する加熱部とを含む、塩を製造する装置が開示されている。
【0007】
しかし、前記登録特許は、噴射ノズル内にて海水と空気が混入され、塩を微細粒子に粉砕する方式のものであり、屈曲したベンチュリ管の折曲部のため、長期間の使用時にノズルが詰まって装置の連続的な運転が難しく、海水又は塩の微粒化効率が高くないという問題がある。
【0008】
一方、現代人はミネラル不足による栄養失調に苦しんでいる。カルシウムとマグネシウムの不足が糖尿病と心循環系疾患を含めた晩成疾患の原因であり、カルシウムとマグネシウムを補うことだけで疾病が改善されることは、既に多くの論文によって立証されたところである。
【0009】
しかし、今まで、このような海水を用いてミネラル含量の高いミネラル塩を製造する装置の開発は、未だ成されていないのが実情である。
【0010】
また、従来の塩を製造する装置は、複雑であったり、多くの空間を占めるというだけでなく、時間がたくさんかかるために効率的でなかったという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、高濃度のミネラルを含んでいるミネラル塩を得ることができ、相対的に少ない費用及び空間で塩を製造することができる塩を製造する装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、海水を加熱して布又は網に噴射することから、乾燥や蒸発効率を極大化することができる塩を製造する装置を提供することである。
【0013】
また、本発明の目的は、製塩室の内部に加熱された空気を供給し、ノズルで海水を微粒化して噴射することで、海水の蒸発を促進することができる塩を製造する装置を提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、海水濃縮部を付け加えることで、予め濃縮状態の海水を製塩室に供給することで、連続的かつ効率よく塩を製造することができる塩を製造する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の目的を達成するために、本発明による塩を製造する装置は、布又は網に海水を噴射する方式で塩を結晶化させる、塩を製造する装置であって、内部空間が形成される製塩室と、前記製塩室内に縦方向に取り付けられる複数の布又は網と、隣接する前記布又は網の間の上部に設置され、海水を微粒化させて前記布又は網に噴射する海水噴射装置と、前記海水噴射装置に海水を供給する海水供給管と、前記海水
と製塩室を加熱する加熱手段とを含み、
前記加熱手段は、海水を加熱するボイラーと、空気加熱装置と、熱風装置と、加熱空気供給管とを含み、前記空気加熱装置は、前記熱風装置と前記加熱空気供給管に加熱された空気を供給し、前記熱風装置は、前記製塩室に加熱された空気を供給し、前記海水噴射装置は、前記ボイラーから加熱された海水と、前記加熱空気供給管から加熱された空気が流入して、前記空気により前記海水を微粒化させて噴射するノズルであり、前記ノズルから噴射された海水が前記布又は網を伝って流れる際に塩が結晶化する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による塩を製造する装置における海水噴射装置は、海水と空気が流入する錐形(円錐形及び角錐形)又は錐台形(円錐台形及び角錐台形)のノズルであり、前記ノズルは前記海水供給管から供給される海水を空気と交差させて第1次の微粒化を行い、前記第1次の微粒化がなされて排出される海水を、ノズルの頂点領域にて第2次の微粒化を行わせることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による塩を製造する装置の海水噴射装置は、超音波振動子を用いて海水を微粒化させて噴射することを特徴とする。
【0018】
また、本発明による塩を製造する装置の海水供給管は前記製塩室の下部に配列されて前記海水噴射装置に連結され、前記加熱手段は、前記製塩室の底に取り付けられて前記海水供給管の海水を加熱するボイラーであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明による塩を製造する装置の加熱手段は、前記製塩室の下部に取り付けられ、前記製塩室の内部に、加熱された空気を供給する熱風装置であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明による塩を製造する装置は海水濃縮部をさらに含み、前記海水濃縮部は、内部空間が形成される濃縮室と、前記濃縮室内に縦方向に取り付けられる布又は網と、前記濃縮室の上部に設置され、海水を微粒化させて前記布又は網に噴射する海水噴射装置と、前記海水噴射装置に海水を供給する海水供給管と、前記海水又は濃縮室を加熱する加熱手段とを含むことで、海水を濃縮させるのであり、前記濃縮された海水は前記製塩室の海水供給管を通じて前記製塩室の海水噴射装置に供給されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明による塩を製造する装置の製塩室には、内部の蒸気を排出させる蒸気排出口が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のような構成の本発明による塩を製造する装置は、一般的な海水又は海洋深層水に比べて高濃度のミネラルを含んでいるミネラル塩を得ることができ、相対的に少ない費用及び空間で塩を製造することができる効果がある。
【0023】
また、本発明による塩を製造する装置は、海水を加熱して布又は網に噴射するので、乾燥ないし蒸発の効率を極大化することができる効果がある。
【0024】
また、本発明による塩を製造する装置は、製塩室の内部に加熱された空気を供給し、ノズルで海水を微粒化して噴射することで、海水の蒸発を促進することができる効果がある。
【0025】
また、本発明による塩を製造する装置は、海水濃縮部を付け加えることで、予め濃縮状態の海水を製塩室に供給することで、連続的で効率よく塩を製造することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による塩を製造する装置の一実施例を示す概念図である。
【
図2】本発明による製塩室の下部に取り付けられた海水供給管を示す平面図である。
【
図3】本発明によるノズルの一実施例を示す断面図である。
【
図4】本発明によるノズルを通じて海水及び空気が排出される形態を示す断面図である。
【
図5】本発明による塩を製造する装置の他の実施例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を充分に理解するために、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて説明する。本発明の実施例は種々の形態に変形でき、本発明の範囲が以下に詳細に説明する実施例に限定されるものに解釈されてはならない。この実施例は、当該分野で平均的な知識を持った者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面の要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張されて表現されうる。各図において同一部材は同一参照符号で示す場合があることに留意する必要がある。
【0028】
また、本発明の要旨を不必要にぼやけさせうると判断される公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0029】
図1は本発明による塩を製造する装置の一実施例を示す概念図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明による塩を製造する装置は、大別して製塩室100と、布又は網110と、海水噴射装置500と、海水供給管120と、加熱手段とを含むことができる。
【0031】
具体的に、本発明による塩を製造する装置は、布又は網110に海水を噴射する方式にて塩を結晶化させて塩を製造するものであり、内部空間をなす製塩室100と、前記製塩室100内に縦方向に取り付けられる布又は網110と、前記製塩室100の上部に設けられ、海水を微粒化させて前記布又は網110に噴射する海水噴射装置500と、前記海水噴射装置500に海水を供給する海水供給管120と、前記海水又は製塩室を加熱する加熱手段とを含むことができる。
【0032】
前記製塩室100は外部から流入する海水を用いて塩を製造することができる空間を提供する役目をするもので、布又は網110と、海水噴射装置500と、海水供給管120と、加熱手段などが取り付けられる。そして、前記製塩室100の底、具体的にボイラー210の上部には、塩又は濃縮された海水を収容することができるトレー105を備えることができ、トレーの一側及び製塩室の一側には、排出口106を貫通させて設けることができる。
【0033】
前記布又は網110は微粒化して噴射される海水を広く分布させて乾燥や濃縮効率を高める役目をするもので、前記布又は網110に直接噴射された海水が下側に流れながら乾燥又は蒸発できるように縦方向に長く取り付けられることが好ましい。前記布又は網にて結晶化した塩は、はたいて捕集することができる。
【0034】
前記海水噴射装置500は海水を微粒化させて前記布又は網に噴射する役目をするもので、パイプ510と、前記パイプ510に連結されるノズル530とを含むことができる。前記ノズル530は前記布又は、網110に対応する個数を取り付けることができる。
【0035】
具体的に、前記海水噴射装置500のノズル530は、所定間隔を置いて取り付けられる、隣接した布又は網同士の間隙ごとに設けられるものを例示することができ、布又は網の間の距離及び幅などを考慮して適切な個数を取り付けることができる。
【0036】
前記海水噴射装置500は海水を微粒化させて噴射することによって海水の乾燥や蒸発を促進するもので、スプレー噴射方式のように海水を霧(mist)状に噴射することもでき、海水と空気を混合して噴射することができ、超音波振動子を用いて海水を微粒化させた状態で噴射することもできる。
【0037】
前記海水供給管120は、海水貯蔵槽10に貯蔵された海水を前記海水噴射装置500に供給する役目をするもので、一側は海水貯蔵槽10に連結され、他側は前記海水噴射装置500のパイプ510に連結される。
【0038】
前記加熱手段は海水の蒸発を促進させる役目をするもので、ボイラー210と、空気加熱装置230と、熱風装置250と、加熱空気供給管270とを含むことができる。
【0039】
前記ボイラー210は、前記海水供給管内の海水を加熱することにより、ノズル530から、加熱された海水が噴射されるようにして蒸発を促進させる役目をする。
【0040】
前記ボイラー210によって加熱された海水は少なくとも40℃以上、好ましくは80〜90℃に加熱される。80〜90℃に加熱された海水は、海水に含まれたミネラル又は栄養成分を最大に維持するとともに乾燥効率を高めることができる。
【0041】
前記ボイラー210は製塩室100の下部に設置されることが好ましい。なぜなら、前記海水供給管120を加熱するとともに前記製塩室100の内部を加熱することによって熱効率を高めることができるからである。
【0042】
一方、前記海水供給管120は、前記ボイラー210上で加熱される領域である加熱部121と、製塩室100の上部に位置するパイプ510に連結される連結部125とからなることができる。
【0043】
図2は本発明による製塩室の下部に取り付けられた海水供給管を示す平面図で、これを参照すれば、前記加熱部121は直線に配置される直線部122と前記直線部122から屈曲される屈曲部123と繰り返される蛇行状の構造になるものを例示することができる。
【0044】
前記空気加熱装置230は空気を加熱して前記熱風装置250と前記加熱空気供給管270に供給する役目をする。
【0045】
前記熱風装置250は前記製塩室100の内部に加熱された空気を供給することにより、前記布又は網110に噴射された海水の蒸発を促進させる役目をする。
【0046】
前記熱風装置250は前記製塩室100の下部に取り付けられ、上側に加熱された空気を送風することができるように上向きに配置されることが好ましい。
【0047】
一方、前記加熱空気供給管270にはポンプPが取り付けられ、前記パイプ510に加熱された空気を供給することになり、前記ノズル530からは加熱された空気及び海水が混合された状態で噴射されるので、蒸発効率を一層高めることができる。
【0048】
そして、前記ボイラー210と熱風装置250によって蒸発した海水は、前記製塩室100の上側に貫通して設けられた蒸気排出口101を通じて排出される。前記蒸気排出口101には換気装置などを取り付けて蒸気を強制的に排出することもでき、排出された蒸気は冷却装置11を経て蒸気捕集槽13に貯蔵される。
【0049】
図3は本発明によるノズルの一実施例を示す断面図、
図4は本発明によるノズルを通じて海水及び空気が排出される形態を示す断面図である。
【0050】
本発明のノズル530は、一端部がパイプに連結され、他端部には海水と互いにぶつかる衝突部535が形成され、第1流路511及び第2流路512とそれぞれ連結される海水排出部531及び空気排出部533が形成されたものである。
【0051】
前記第1流路には海水が流入し、第2流路には加熱空気供給管の加熱された空気が流入する。図示しなかったが、パイプは前記海水供給管と空気供給管が分離されてそれぞれ第1流路及び第2流路に連結されるように構成される。
【0052】
前記海水排出部531を通じて排出される海水は前記空気排出部533から排出され、空気によって第1次の微粒化が行われる。空気排出部533を通じて排出される空気の圧力は海水排出部531からの海水の噴射圧力より高くすることにより、海水が円滑に微粒化するようにすることができる。
【0053】
前記衝突部535は、前記錐形(例えば円錐形)をなすノズルの頂点領域に形成され、前記空気排出部533は前記衝突部535の側面と同一角度を成すように構成されることが好ましい。そして、前記海水排出部531は垂直に形成され、前記1次に微粒化された海水が前記衝突部535の領域で2次に微粒化される。
【0054】
図5は本発明による塩を製造する装置の他の実施例を示す概念図である。
【0055】
図5を参照すれば、本発明による塩を製造する装置は海水濃縮部Cをさらに含むことができる。
【0056】
前記海水濃縮部Cは、海水を濃縮させて前記製塩室100に供給する役目をするもので、内部空間が形成される濃縮室100aと、前記濃縮室100a内に縦方向に取り付けられる布又は網110aと、前記濃縮室100aの上部に設置され、海水を微粒化させて前記布又は網110aに噴射する海水噴射装置500aと、前記海水噴射装置500aに海水を供給する海水供給管120aと、前記海水又は濃縮室100aを加熱する加熱手段とを含むことができる。
【0057】
前記布又は網110aと、海水噴射装置500aと、加熱手段などは
図1〜
図4を参照して前述した前記布又は網110と、海水噴射装置500と、加熱手段と同一乃至類似の構成に相当するので、その詳細な説明は省略する。
【0058】
前記濃縮室100aでは、前述した製塩室とは異なり、塩を析出させるものではなく、海水を所定塩度を持つように濃縮し、濃縮された海水を製塩室100に供給する役目をするものである。
【0059】
したがって、前記濃縮室100aでは海水供給管120aを通じて海水貯蔵槽10の海水を受けることになる。
【0060】
前記海水供給管120aの海水は、加熱手段、具体的にはボイラー210aによって、加熱された状態で海水噴射装置500aに供給される。そして、他の加熱手段である熱風装置250aによって、前記濃縮室100aの内部に、加熱された空気が供給される。
【0061】
前記海水噴射装置500aに供給された加熱された海水は、微粒化して布又は網110aに噴射される。
【0062】
前記布又は網110aに噴射された海水は、下側に位置するトレーへと流れ落ちる際、蒸発が行われ、前記濃縮室100aの底に設けられたトレー105aには、濃縮された海水が貯蔵される。
【0063】
前記濃縮室100aの濃縮海水は海水供給管120aを通じて製塩室100の海水噴射装置500に供給される。
【0064】
一方、海水貯蔵槽10の海水濃度はおよそ3.5%(35‰)であり、前記海水濃縮部Cを通過する際に20〜30%に濃縮され、製塩室100に供給される。
【0065】
前記海水濃縮部Cで20〜30%に濃縮された海水は製塩室に供給され、乾燥乃至蒸発の過程を経ることで塩が析出される。
【0066】
このように、本発明の塩を製造する装置は、海水濃縮部をさらに備えることで、塩の製造過程を連続的に遂行することができ、塩製造時間を縮めることができる利点がある。
【0067】
以上説明した本発明は例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を持った者であればこれから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるのがよく分かるであろう。したがって、本発明は前記の詳細な説明に記述した形態に限定されるものではないことがよく理解できるであろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付の特許請求範囲の技術的思想によって決められなければならない。また、本発明は、添付の請求範囲によって定義される本発明の精神及びその範囲内のすべての変形物、均等物及び代替物を含むものと理解されなければならない。