【実施例】
【0034】
I.知母抽出物など、黄連抽出物などまたはこれらの併用による大腸炎の予防または治療効果確認のための1次実験
1.知母抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例1:知母抽出物の製造
知母500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母抽出物189gを得た。
【0035】
製造例2:知母抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例1で得た知母抽出物189gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物41gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、知母を基準とすれば8.2%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有されたマンギフェリンの含量は、10%以上であった。
【0036】
製造例3:知母抽出物のブタノール可溶性分画物から化合物の分離
製造例2で得たn−ブタノール可溶性分画物10gに対して湧出溶媒(クロロホルム:メタノール:水=65:35:10)でシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck、10cm×30cm、70〜230mesh)を実施して9個の小分画を得た。9個の小分画のうち大腸炎動物モデル試験で効果が最も優れた小分画であるFr.VIIに対して、25%メタノールを溶出溶媒としてMPLC(Medium pressure liquid クロマトグラフィー;C
18 reverse Merck、3cm×20cm)を実施して2個の分画を得た。2個の分画を濃縮した後、これをそれぞれメタノールで再結晶して白粉末状の化合物2個を得、質量分析及び
13C−NMR(Bruker、AVANCE digital 400)で構造を確認した結果、マンギフェリンとネオマンギフェリンであることが確認された。
図2には、マンギフェリン及びネオマンギフェリンの化学構造式を示した。マンギフェリン及びネオマンギフェリンの収率は、知母を基準とすれば、それぞれ0.5%以上及び0.1%以上であった。
【0037】
<マンギフェリン>
ESI(−)−MS/MS 421,301[M−Na]
−
13C NMR(100MHz)peaks:162.254(C−1),108.04(C−2),164.295(C−3),93.813(C−4),103.088(C−5),154.606(C−6),144.228(C−7),108.489(C−8),179.551(C−9),156.697(C−4a),151.286(C−4b),112.128(C−8a),101.772(C−8b),82.025(2−glc C−1’),73.564(C−2’),71.103(C−3’),70.724(C−4’),79.449(C−5’),61.961(C−6’)。
<ネオマンギフェリン>
ESI(−)−MS/MS 421,301[M−Na]
−
13C NMR(100MHz)peaks:162.5(C−1),108.3(C−2),164.5(C−3),94.0(C−4),103.3(C−5),156.9(C−6),144.4(C−7),112.4(C−8),179.8(C−9),154.7(C−4a),151.5(C−4b),108.8(C−8a),102.0(C−8b),73.8(2−glcC−1’),71.3(C−2’),79.7(C−3’),71.0(C−4’),82.2(C−5’),61.4(C−6’),103.4(7−glc C−1”)73.5(C−2”),76.1(C−3”),69.6(C−4”),77.3(C−5”),60.7(C−6”)。
【0038】
2.五倍子抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例4:五倍子抽出物の製造
五倍子500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して五倍子抽出物190gを得た。
【0039】
製造例5:五倍子抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例4で得た五倍子抽出物190gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物102gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、五倍子を基準とすれば21%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有された1,2,3,4,6−ペンタ−O−ガロイル−β−D−グルコースの含量は、30%以上であった。
【0040】
3.蔓人参抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例6:蔓人参抽出物の製造
乾燥した蔓人参(Codonopsis lanceolata Trautv)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)2kgに80%メタノール水溶液4lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して蔓人参抽出物185gを得た。
【0041】
製造例7:蔓人参抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例6で得た蔓人参抽出物185gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物112gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、蔓人参を基準とすれば5.5%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有されたランセマサイドA(Lancemaside A)の含量は、4%以上であった。
【0042】
4.川黄連抽出物及びこの分画物の製造
製造例8:川黄連抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連抽出物123gを得た。
【0043】
製造例9:川黄連抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例8で得た川黄連抽出物123gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物63gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、川黄連を基準とすれば12.5%以上であった。n−ブタノール可溶性分画物に対する成分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC;水s Alliance2695モデル)を利用して分析した。カラムは、YMC ヒドロsphere C18(S−5um、120nm、4.6×250mm I.D)を使用し、試料温度は25℃±1、カラム温度は30℃±1を維持した。試料濃度は、1mg/mlで製造して10μl注入し、流速は1.0ml/minで分析した。また、標準物質は、ベルベリン、パルマチン、コプチシンなどは常用化されているものをシグマ社から購入して使用し、コルンバミンとジャトロリジンは、黄連から分離、精製して使用した。移動相は0.2%のリン酸溶液(溶媒A)とメタノール(溶媒B)のgradient条件で0分〜60分(A:B=9:1〜6:4)、60分〜70分(A:B=6:4〜5:5)、70分〜90分(A:B=5:5〜0:10)で分析した。活性成分含量の計算は、それぞれの標準物質に対する面積比を重量百分率で表した。分析の結果、川黄連抽出物のn−ブタノール可溶性分画物は、ベルベリン27〜30%、パルマチン7〜8%、コプチシン5〜6%、コルンバミン0.8〜1.2%、ジャトロリジン0.8〜1.2%程度を含有した。
【0044】
5.複合抽出物の製造
製造例10.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例5で得た五倍子抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0045】
製造例11.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例7で得た蔓人参抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0046】
製造例12.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部、製造例5で得た五倍子抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例7で得た蔓人参抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0047】
製造例13.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例9で得た川黄連抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0048】
6.TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0049】
(2)TNBSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、実験動物を軽くエーテルで麻酔した後、NBS(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid)溶液2.5gを50%のエタノールに混合した溶液を端の丸い1ml容量の注射器を利用して、肛門を通じて大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持して炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。この時、薬物試料として知母抽出物のブタノール分画物、マンギフェリン及び複合抽出物を使用した実験は、それぞれ時間的間隔を置いて別個の実験で行われ、薬物試料の大腸炎の予防または治療効果は、それぞれの実験中でTNBSで処理しない実験動物に、別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群を基準として分析することが合理的である。
【0050】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物に試料の投与を終了し、翌日に実験動物の体重を測定した後、最初の体重と比べて体重変化量を算出した。
【0051】
2)外観の分析
摘出した大腸は、その長さと外観を観察して下記表1の基準(Hollenbachなど、2005大腸炎程度に対する基準)によって点数を付けた。この時、陽性対照群としてメサラジン(Mesalazine;Sigma)投与群を使用した。また、腸内の微生物の分析のために、大腸内容物の一部を採取して零下80℃で冷凍保管した。大腸組織は、大腸内容物を全て除去し、生理食塩水で洗浄した後、一部は病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析を零下80℃で冷凍保管した。
【0052】
【表1】
【0053】
3)ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
大腸組織100mgに溶解バッファー200μlを入れて均質化(homogenization)した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して上層液を得た後、Mouse MPO アッセイ ELISAキット(Hbt HK210、USA)を使用してMPO活性を測定した。上層液100μlを96ウェルプレートに入れた後、室温で1時間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたtracerを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlのTMB 基質溶液を添加し、プレートをアルミ箔で包んで光を遮断し、室温で30分間反応させた。そして、100μlの静止溶液を添加して反応を停止させ、ELISA readerを利用して450nmで吸光度を測定した。
【0054】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図2は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、
図3は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。
図2及び
図3において、「N」または「NOR」は、正常群を表し、「TNBS」は、TNBSによって急性大腸炎を誘発したモデル動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した群を意味し、「A」または「AJ」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味する。また、「A10」及び「A20」は、それぞれ薬物試料「A」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図2及び
図3において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図2及び
図3に示すように、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物は、濃度依存的にTNBSによって誘導された急性大腸炎を緩和するか改善する効果を表わした。
【0055】
図4は、薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化、大腸の外観点数、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わした。
図4において、「NOR」は、正常群を表し、「MF」はマンギフェリンを意味する。また、「MF10」及び「MF20」は、それぞれ薬物試料「MF」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図4において、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図4に示すように、マンギフェリンは、濃度依存的にTNBSによって誘導された急性大腸炎を緩和するか改善する効果を表わした。
【0056】
図5は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、
図6は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。
図5及び
図6において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図5及び
図6において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図5及び
図6に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の急性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0057】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
モデル動物の大腸組織100mgにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む250μlのRIPAバッファーを添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量と抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量を96ウェル ELISAプレートキット(Pierce Biotechology、Inc.,Rockford、IL、USA)を利用して測定した。
【0058】
図7は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフであり、
図8は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図7及び
図8において、「NOR」は、正常群を表し、「A」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味する。また、「A10」及び「A20」は、それぞれ薬物試料「A」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図7及び
図8において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図7及び
図8に示すように、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を投与した時、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量が薬物投与量に依存的に減少し、抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量が薬物投与量に依存的に増加した。
【0059】
図9は、薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量を表わしたグラフである。
図9において、「MF」は、マンギフェリン(Mangiferin)を意味し、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図9に示すように、マンギフェリンを投与した時、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量が薬物投与量に依存的に減少し、抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量が薬物投与量に依存的に増加した。
【0060】
図10は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフであり、
図11は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図10及び
図11において、「N」または「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図10及び
図11において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図10及び
図11に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0061】
2)炎症反応指標物質の発現抑制の有無
モデル動物の大腸組織0.3gにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む1mlのRIPAバッファー(Gibco社)を添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、COX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をウェスタンブロッティング方法で測定した。先ず、上層液50μgを取ってSDS10%(w/v)のポリアクリルアミドゲルで1時間30分間電気泳動をした。電気泳動したサンプルをニトロセルロース紙に100V、400mAの条件で1時間10分間転写(transfer)した。サンプルが転写されたニトロセルロース紙を5%スキムミルクで30分間ブロッキングした後、5分ずつ3回にわたってPBS−Tweenで洗浄し、1次抗体(Santa Cruz Biotechnology、米国)を1:100の割合で一晩反応させた。以後、10分ずつ3回にわたって洗浄し、2次抗体(Santa Cruz Biotechnology、米国)を1:1000の割合で1時間20分間反応させた。以後、15分ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光発色させた後、現像した。
【0062】
図12は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図12において、「A」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味し、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。薬物試料の投与単位は、mg/マウスkgである。
【0063】
図13は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例3で得たマンギフェリン(Mangiferin)を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図13において、「MF」は、マンギフェリン(Mangiferin)を意味し、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
【0064】
図14は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図14において、「N」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図14において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図14に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0065】
(5)TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の実験結果の要約
下記表2は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与された薬物試料の大腸炎の緩和ないし改善効果を要約したものである。下記表2において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。
【0066】
下記表2に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物または知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物、蔓人参抽出物の分画物または黄連抽出物の分画物をそれぞれ単独で投与した時より大きく向上した大腸炎の緩和ないし改善効果を表わした。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。これは、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物がそれぞれ大腸炎の緩和ないし治療と関連した互いに異なるターゲットで作用して、併用時に高い相乗効果を表わすと判断される。また、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の大腸炎の緩和ないし改善効果は、知母抽出物の分画物を知母抽出物や知母から分離した化合物であるマンギフェリンで代替するか、川黄連抽出物の分画物を川黄連抽出物で代替する場合も同一に発揮されると期待される。
【0067】
【表2】
【0068】
但し、知母抽出物の分画物と蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物または知母抽出物の分画物と五倍子抽出物の分画物からなる複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与する場合、知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物、蔓人参抽出物の分画物または黄連抽出物の分画物をそれぞれ単独で投与した時と比べると、大腸炎の緩和ないし改善効果の側面で有意性のある差異が表われなかった。
【0069】
7.DSSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果と測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0070】
(2)DSSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、デキストラン硫酸ナトリウム(分子量:36〜50kダルトン)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、飲用水として水の代わりに2.5%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム水溶液を7日間飲用させて急性大腸炎が誘導されたモデル動物を製作した。一方、正常群には、飲用水として水を供給した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0071】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。
【0072】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図15は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、
図16は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。
図15及び
図16において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図15及び
図16において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図15及び
図16に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の急性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0073】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をDSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0074】
図17は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、
図18は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図17及び
図18において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図17及び
図18において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図17及び
図18に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0075】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をDSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0076】
図19は、DSSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図19において、「N」は正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図19において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図18に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0077】
8.オキサゾロン(Oxazolone)によって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0078】
(2)オキサゾロンによる慢性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発した。具体的に、マウスの背中にある毛を剃り、約1.5cm×1.5cmの面積に3%(w/v)のオキサゾンロン溶液0.2mlを塗って感作させた。8日後にマウスを麻酔し、1%のオキサゾンロン溶液0.1mlを直腸を通じて大腸内に投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ15日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0079】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を測定した。
【0080】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図20は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、
図21は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。
図20及び
図21において、「NOR」は、正常群を表し、「OXA」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図20及び
図21において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図20及び
図21に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の慢性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0081】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をオキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0082】
図22は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、
図23は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図22及び
図23において、「NOR」は、正常群を表し、「OXA」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図22及び
図23において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図22及び
図23に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0083】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をオキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0084】
図24は、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図24において、「NOR」は、正常群を表し、「Oxa」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図24において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図24に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0085】
9.DSSによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0086】
(2)DSSによる慢性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、デキストラン硫酸ナトリウム(分子量:36〜50kダルトン)で慢性大腸炎を誘発した。具体的に、飲用水として水の代わりに3%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム水溶液を1次で7日間飲用させ、再び飲用水として水を5日間飲用させ、3%(w/v)のデキストラン硫酸ナトリウム水溶液を2次で3日間飲用させた後、再び飲用水として水を3日間飲用させた。一方、正常群には、飲用水として水のみを供給した。また、薬物試料は、生理食塩水に溶かして2次でデキストラン硫酸ナトリウム水溶液を飲用させた日から毎日1回ずつ予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0087】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を測定した。
【0088】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図25は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、
図26は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。
図25及び
図26において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図25及び
図26において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図25及び
図26に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の慢性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0089】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をDSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0090】
図27は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、
図28は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図27及び
図28において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図27及び
図28において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図27及び
図28に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0091】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をDSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0092】
図29は、DSSによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図29において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、
図29において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
図29に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0093】
II.知母抽出物など、黄連抽出物など、またはこれらの併用による大腸炎の予防または治療効果確認のための2次実験
10.知母抽出物及びこの分画物の製造
製造例14:知母エタノール抽出物の製造
知母500gに80%のエタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母エタノール抽出物158gを得た。
【0094】
製造例15:知母水抽出物の製造
知母500gに蒸留水2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に蒸留水2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母水抽出物164gを得た。
【0095】
製造例16:知母エタノール抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例14で得た知母エタノール抽出物158gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物42gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、知母を基準とすれば8.4%以上であった。
【0096】
11.川黄連抽出物及びこの分画物の製造
製造例17:川黄連エタノール抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに80%のエタノール水溶液2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連エタノール抽出物107gを得た。
【0097】
製造例18:川黄連水抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに蒸留水2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に蒸留水2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連水抽出物122gを得た。
【0098】
製造例19:川黄連エタノール抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例17で得た川黄連エタノール抽出物107gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物64gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、川黄連を基準とすれば12.8%以上であった。
【0099】
12.複合抽出物の製造
製造例20.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を1:3の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例21.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例22.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を3:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例23.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を5:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例24.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を7:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例25.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を10:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例26.製造例15で得た知母水抽出物と製造例18で得た川黄連水抽出物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0100】
製造例27.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を1:3の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例28.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例29.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を3:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例30.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を5:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0101】
製造例31.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を7:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例32.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を10:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0102】
13.TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0103】
(2)TNBSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、実験動物を軽くエーテルで麻酔した後、NBS(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid)溶液2.5gを50%のエタノールに混合した溶液を端の丸い1ml容量の注射器を利用して、肛門を通じて大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持して炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。この時、薬物試料として、知母エタノール抽出物、川黄連エタノール抽出物、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物及び知母水抽出物と川黄連水抽出物を混合した複合抽出物を使用した実験(以下、「抽出物基盤実験」という)と、薬物試料として、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物、川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物を使用した実験(以下、「分画物基盤実験」という)は、時間的間隔を置いて別個の実験で進行した。動物実験の特性を考慮すると、薬物試料の大腸炎の予防または治療効果は、それぞれの実験の中で評価される必要があり、基準としてTNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群を使用することが合理的である。
【0104】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物に試料の投与を終了し、翌日に実験動物の体重を測定した後、最初の体重と比べて体重変化量を算出した。
【0105】
2)外観の分析
摘出した大腸は、その長さと外観を観察して下記表3の基準(Hollenbachなど、2005大腸炎程度に対する基準)によって点数を付けた。この時、陽性対照群としてメサラジン(Mesalazine;Sigma)投与群を使用した。また、腸内の微生物の分析のために、大腸内容物の一部を採取して零下80℃で冷凍保管した。大腸組織は、大腸内容物を全て除去し、生理食塩水に洗浄した後、一部は病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析を零下80℃で冷凍保管した。
【0106】
【表3】
【0107】
3)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
大腸組織100mgに溶解バッファー 200μlを入れて均質化(homogenization)した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して上層液を得た後、Mouse MPO アッセイ ELISAキット(Hbt HK210、USA)を使用してMPO活性を測定した。上層液100μlを96ウェルプレートに入れた後、室温で1時間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたtracerを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlのTMB基質溶液を添加し、プレートをアルミ箔で包んで光を遮断し、室温で30分間反応させた。そして、100μlの静止溶液を添加して反応を中止させ、ELISA readerを利用して450nmで吸光度を測定した。
【0108】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
下記表4は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち抽出物基盤実験の結果を要約したものである。下記表4において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。下記表4に示すように、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母エタノール抽出物または川黄連エタノール抽出物をそれぞれ単独で投与した時より向上した抗大腸炎効果を表わした。また、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物の抗大腸炎効果は、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物の混合重量比が3:1である時、最も大きく上昇し、次に5:1及び1:1の順であった。また、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物は、同一投与量を基準とすれば、現在、大腸炎治療薬物として使用されているメサラジンより抗大腸炎効果がさらに大きいことが表われた。
【0109】
【表4】
【0110】
下記表5は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち分画物基盤実験の結果を要約したものである。下記表5において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。下記表5に示すように、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物または川黄連エタノール抽出物の可溶性分画物をそれぞれ単独で投与した時より向上した抗大腸炎効果を表わした。また、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物の抗大腸炎効果は、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物の混合重量比が3:1である時、最も大きく上昇し、次に5:1及び1:1の順であった。また、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物は、同一投与量を基準とすれば、現在、大腸炎治療薬物で使用されているメサラジンより抗大腸炎効果がさらに大きいことが表われた。
【0111】
【表5】
【0112】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
モデル動物の大腸組織100mgにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む250μlのRIPAバッファーを添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、炎症性サイトカインにあたるIL−6及びTNF−アルファの発現量と抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量を96ウェル ELISAプレートキット(Pierce Biotechology、Inc.,Rockford、IL、USA)を利用して測定した。
【0113】
下記表6は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち抽出物基盤実験の炎症反応指標物質分析の結果を要約したものである。
【0114】
【表6】
【0115】
また、下記表7は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち分画物基盤実験の炎症反応指標物質分析結果を要約したものである。
【0116】
【表7】
【0117】
III.医薬組成物及び食品組成物などの製造
14.医薬組成物の製造
下記の医薬組成物の製造において、製造例13の複合抽出物は、製造例20ないし製造例32の複合抽出物で代替可能である。
【0118】
<14−1>散剤の製造
製造例13の複合抽出物 2g
乳糖 1g
上記の成分を混合して気密布に充填して散剤を製造した。
【0119】
<14−2>錠剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
トウモロコシデンプン 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネ 2mg
上記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0120】
<14−3>カプセル剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
トウモロコシデンプン 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0121】
<14−4>丸の製造
製造例13の複合抽出物 1g
乳糖 1.5g
グリセリン 1g
キシリトール 0.5g
上記の成分を混合した後、通常の方法によって1丸当たり4gになるように製造した。
【0122】
<14−5>顆粒の製造
製造例13の複合抽出物 150mg
大豆抽出物 50mg
ブドウ糖 200mg
デンプン 600mg
上記の成分を混合した後、30%のエタノール100mgを添加して摂氏60℃で乾燥して顆粒を形成した後、袋に充填した。
【0123】
<14−6>注射剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
ピロ亜硫酸ナトリウム 3.0mg
メチルパラベン 0.8mg
プロピルパラベン 0.1mg
注射用滅菌蒸留水 適量
上記の成分を混合した後、この中の2mlをアンプルに充填し、滅菌して注射剤を製造した。
【0124】
15.食品組成物の製造
下記の食品組成物の製造において、製造例13の複合抽出物は、製造例20ないし製造例32の複合抽出物で代替可能である。
【0125】
<15−1>小麦粉食品の製造
製造例13の複合抽出物0.5〜5.0重量部を小麦粉100重量部に添加し、この混合物を利用してパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造した。
【0126】
<15−2>スープ及び肉汁(gravies)の製造
製造例13の複合抽出物0.1〜5.0重量部をスープ及び肉汁に添加し、健康増進用肉加工製品、麺類のスープ及び肉汁を製造した。
【0127】
<15−3>グラウンドビーフ(ground beef)の製造
製造例13の複合抽出物10重量部をグラウンドビーフ100重量部に添加し、健康増進用グラウンドビーフを製造した。
【0128】
<15−4>乳製品(dairy products)の製造
製造例13の複合抽出物5〜10重量部を牛乳100重量部に添加し、前記牛乳を利用してバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0129】
<15−5>禅食の製造
玄米、麦、もち米、鳩麦を公知の方法でアルファ化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
黒豆、黒ゴマ、エゴマも公知の方法で蒸して乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
上記で製造した穀物類、種実類及び製造例13の複合抽出物を次の割合で配合して製造した。
穀物類(玄米30重量部、鳩麦15重量部、麦20重量部)、
種実類(エゴマ7重量部、黒豆8重量部、黒ゴマ7重量部)、
製造例13の複合抽出物(3重量部)、
レイシ(0.5重量部)、
ジオウ(0.5重量部)
【0130】
<15−6>健康飲料の製造
異性化糖(0.5g)、オリゴ糖(2g)、砂糖(2g)、食塩(0.5g)、水(75g)のような副材料と製造例13の複合抽出物5gを均質に配合して瞬間殺菌をした後、これをガラス瓶、ペットボトルなどの小包装容器に包装して製造した。
【0131】
<15−7>野菜ジュースの製造
製造例13の複合抽出物5gをトマトまたはニンジンジュース1,000mlに加えて野菜ジュースを製造した。
【0132】
<15−8>果物ジュースの製造
製造例13の複合抽出物1gをリンゴまたはブドウジュース1,000mlに加えて果物ジュースを製造した。
【0133】
以上のように本発明を上記の実施例を通じて説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であることは勿論である。従って、本発明の保護範囲は、本発明に添付した特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むと解釈されるべきである。