特許第6139020号(P6139020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139020複合抽出物を含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139020
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】複合抽出物を含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/8964 20060101AFI20170522BHJP
   A61K 36/718 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20170522BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20170522BHJP
   A61K 31/4741 20060101ALI20170522BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20170522BHJP
【FI】
   A61K36/8964
   A61K36/718
   A61P1/00
   A61P29/00
   A61K31/7048
   A61K31/4741
   A23L33/105
【請求項の数】15
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-510603(P2016-510603)
(86)(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公表番号】特表2016-519117(P2016-519117A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】KR2014001252
(87)【国際公開番号】WO2014175543
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2016年1月7日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0044990
(32)【優先日】2013年4月23日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 Biomolecules & Therapeutics,21(5),pp.398−404(2013)
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515294271
【氏名又は名称】ユニバーシティ−インダストリー・コーポレイション・グループ・オブ・キョンヒ・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】University−Industry Cooperation Group of Kyung Hee University
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】キム・ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ミョンジュ
【審査官】 鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−223971(JP,A)
【文献】 特開平08−127538(JP,A)
【文献】 Int. Immunopharmacol.,2004年,Vol.4,pp.763-778
【文献】 Eur. J. Pharmacol.,2010年,Vol.40,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/8964
A23L 33/105
A61K 31/4741
A61K 31/7048
A61K 36/718
A61P 1/00
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
知母抽出物または知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上及び黄連抽出物または黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上を有効成分として含み、
ここで、前記知母抽出物の抽出溶媒が、水、メタノール、エタノール、水とメタノールの混合物および水とエタノールの混合物から選択され、
前記黄連抽出物の抽出溶媒が、水、メタノール、エタノール、水とメタノールの混合物および水とエタノールの混合物から選択され、
前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物が、知母抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得られ、そして
前記黄連抽出物のアルコール可溶性分画物が、黄連抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得られたことを特徴とする、
大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記知母抽出物または知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上と黄連抽出物または黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上との重量比が、10:1ないし1:10であることを特徴とする、請求項1に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物が、知母抽出物のブタノール可溶性分画物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項4】
前記知母抽出物または知母抽出物のアルコール可溶性分画物が、マンギフェリン(Mangiferin)またはネオマンギフェリン(Neomangiferin)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記黄連が、川黄連(Coptis chinensis)であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項6】
前記黄連抽出物のアルコール可溶性分画物が、黄連抽出物のブタノール可溶性分画物であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項7】
前記黄連抽出物または黄連抽出物のアルコール可溶性分画物が、ベルベリン(Berberine)を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項8】
前記有効成分が、知母抽出物及び黄連抽出物であり、知母抽出物と黄連抽出物との重量比が、1:1ないし5:1であることを特徴とする、請求項1、2、4、5または7に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項9】
前記有効成分が、知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物であり、知母抽出物のアルコール可溶性分画物と黄連抽出物のアルコール可溶性分画物との重量比が、1:1ないし5:1であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項10】
前記大腸炎が、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または治療用医薬組成物。
【請求項11】
知母抽出物または知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上及び黄連抽出物または黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上を有効成分として含み、
ここで、前記知母抽出物の抽出溶媒が、水、メタノール、エタノール、水とメタノールの混合物および水とエタノールの混合物から選択され、
前記黄連抽出物の抽出溶媒が、水、メタノール、エタノール、水とメタノールの混合物および水とエタノールの混合物から選択され、
前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物が、知母抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得られ、そして
前記黄連抽出物のアルコール可溶性分画物が、黄連抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得られたことを特徴とする、
大腸炎の予防または改善用食品組成物。
【請求項12】
前記黄連が、川黄連(Coptis chinensis)であることを特徴とする、請求項11に記載の大腸炎の予防または改善用食品組成物。
【請求項13】
前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物が、知母抽出物のブタノール可溶性分画物であり、前記黄連抽出物のアルコール可溶性分画物が、黄連抽出物のブタノール可溶性分画物であることを特徴とする、請求項11または12に記載の大腸炎の予防または改善用食品組成物。
【請求項14】
前記有効成分が、知母抽出物及び黄連抽出物であり、知母抽出物と黄連抽出物との重量比が、1:1ないし5:1であることを特徴とする、請求項11または12に記載の大腸炎の予防または改善用食品組成物。
【請求項15】
前記有効成分が、知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物であり、知母抽出物のアルコール可溶性分画物と黄連抽出物のアルコール可溶性分画物との重量比が、1:1ないし5:1であることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の大腸炎の予防または改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知母抽出物など及び黄連抽出物などの新規用途に関し、さらに詳しくは、知母抽出物など及び黄連抽出物などを含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸炎は、大腸に炎症が発生する疾患であり、多様な原因により発生し、テネスムス(tenesmus、しぶり)、腹部膨満感、下腹部通、下痢などが主要症状として表れ、糞便中に粘液、膿や血液が混じる場合もある。大腸炎は、原因によって、大きく感染性大腸炎と非感染性大腸炎に区分してもよく、発病期間によって、急性大腸炎と慢性大腸炎に区分してもよい。急性大腸炎には、アメーバ性赤痢、細菌性赤痢、サルモネラや抗生物質による偽膜性大腸炎(pseudomembranous enteritis)などがあり、慢性大腸炎には、潰瘍性大腸炎、クローン病、結核、梅毒、X線などによるものがある。また、大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)だけでなく、過敏性腸症候群(IBS)などを含む。炎症性腸疾患(IBD)のうち代表的な疾患である潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)は、未だ原因が明確に明かされておらず、腹痛と共に激しい慢性下痢と血性下痢を起こし得て、完治が難しく好転と悪化を繰り返す特性がある。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にただれ(びらん)や潰ようが連続的に形成される疾患であり、血便、粘血便、下痢、腹痛が起こり、重症の場合は、発熱、体重減少、貧血などの全身性の症状が現れる。また、潰瘍性大腸炎は、胃腸管のいずれの部位でも発生し得る。クローン病は、口から肛門に至る消化管の任意の部位に潰ようなどの病変が非連続的に発生する疾患であり、腹痛、下痢、血便と共に、重症の場合は、発熱、下血、体重減少、全身倦怠感、貧血などの症状が現れる。潰瘍性大腸炎とクローン病は、病変と炎症症状において差異があるが、多くの面で類似した様相を表わすため、二つの疾患の区分が互いに明確でない場合が多い。
【0003】
従来、潰瘍性大腸炎及びクローン病の発生率は、西洋人に高いと知られていたが、最近、食習慣などの生活習慣の変化により、韓国などの東洋でも患者数が急増している。しかし、原因が不明な理由もあって、根本的な治療法は確立されていない。このため、完全な治療を目標とするのではなく、症状を緩和させ、このような状態をなるべく長期間維持する薬剤が使用されている状況である。このような対症療法のための薬剤として、主に、アミノサリチル酸製剤、副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤などが使用されるが、多様な副作用が報告されている。例えば、アミノサリチル酸製剤としてよく使用されるサラゾスルファピリジンは、吐き気、嘔吐、食欲不振、発疹、頭痛、肝障害、白血球の減少、異常赤血球、蛋白尿、下痢の副作用が報告されている。また、副腎皮質ステロイド剤は、一般は、プレドニゾロンの経口投与、浣腸、座薬、静脈注射などで使用されるが、胃潰瘍や長期使用による大腿骨頭壊死などの副作用が強い。しかし、投薬の中断は症状を再発させるため、これらの薬剤は、継続的に使用せざるを得ない。従って、効果に優れつつも、安全で副作用を起こさない潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸疾患治療剤の開発が要求されている。過敏性腸症候群(IBS)も同様に、その原因が不明確な慢性腹部疾患である。現在、IBSの根本的な治療剤は存在せず、各タイプの症状軽減を目的とした対症療法が行われている。例えば、下痢型IBSに対しては、平滑筋の収縮を抑制する鎭痙作用を有する抗コリン剤が使用され、便秘型IBSには、塩類瀉下薬、代替型IBSには、薬剤で調節し難く、基本的に消化管運動機能改善剤が使用されている。
【0004】
一方、知母(Anemarrhena asphodeloides Bunge)は、単子葉植物ユリ目知母との多年生草であり、これを皮ごと乾かした毛知母またはこの根茎を薬剤として使用している。漢方で知母の根茎は解熱剤として使用し、慢性気管支炎または糖尿病に効果があると知られている。知母の薬学的用途と関連して、特許文献1には、知母から分離した化合物の呼吸器疾患の予防及び治療効果が開示されており、特許文献2には、知母抽出物のコリン神経系損傷の改善効果が開示されており、特許文献3には、知母から分離した化合物の脂質代謝疾患の予防及び治療効果が開示されている。また、黄連(Coptis)は、双子葉植物コウライブシキンポウゲ科の常緑多年生植物であり、具体的な例としては、Coptis teeta、Coptis japonica、Coptis chinensis、Coptis deltoidea、Coptis omeiensisなどがある。漢方では、この根茎を採取して日差しに乾かしたものを薬剤として使用しており、薬効成分として、ベルベリン(Berberine)、コプチシン(Coptisine)、ウオレニン(Worenine)、パルマチン(Palmatine)などが知られており、抗菌、消炎、解熱、胆汁分泌の促進、血圧下降作用などの効能があると報告されている。黄連の薬学的用途と関連して、特許文献4には、黄連抽出物を有効成分として含む薬物中毒の予防及び治療のための薬剤学的組成物が開示されており、特許文献5には、黄連抽出物を有効成分とする紫外線による肌疾患の予防及び治療用組成物が開示されており、特許文献6には、川黄連抽出物を含む膵膓癌治療用組成物が開示されており、特許文献7には、黄連抽出物を有効成分として含む呼吸器疾患の予防及び治療用組成物が開示されており、その他にも、黄連抽出物を含む歯周疾患用組成物、黄連抽出物を含む糖尿合併症の予防及び治療用組成物、黄連抽出物を含む神経細胞の保護及び再生用組成物などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10−0856335号
【特許文献2】大韓民国登録特許公報第10−0923953号
【特許文献3】大韓民国登録特許公報第10−1075742号
【特許文献4】大韓民国公開特許公報第10−2001−0085669号
【特許文献5】大韓民国公開特許公報第10−2009−0029022号
【特許文献6】大韓民国公開特許公報第10−2013−0022733号
【特許文献7】大韓民国登録特許公報第10−0970739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術的背景下で導出されたもので、本発明の目的は、知母抽出物など及び黄連抽出物などの新規用途を提供することにより、具体的に、知母抽出物など及び黄連抽出物などを含む複合抽出物の大腸炎の予防、改善または治療に関する用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、合成化学物質に比べて安全性が確保された数多くの天然物を対象として大腸炎に対する予防または治療活性を有する抽出物を開発するために研究を行った。その結果、知母抽出物など及び黄連抽出物などからなる複合抽出物が大腸炎誘導モデル動物に対して優れた大腸炎の予防または治療活性を有するということを発見し、本発明を完成した。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、知母抽出物、知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物、マンギフェリン(Mangiferin)またはその薬学的に(または食品学的に)許容される塩、ネオマンギフェリン(Neomangiferin)またはその薬学的に(または食品学的に)許容される塩から選択された1種以上及び黄連抽出物または黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上を有効成分として含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物を提供する。この時、前記大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、好ましくは、医薬組成物または食品組成物の形態を有する。
【0009】
また、前記知母抽出物、知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物、マンギフェリンまたはその薬学的に許容される塩、ネオマンギフェリンまたはその薬学的に許容される塩から選択された1種以上対黄連抽出物または黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物から選択された1種以上の重量比は、10:1ないし1:10の範囲であり、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。例えば、前記大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分は、知母抽出物及び黄連抽出物の組合せからなり、この時、知母抽出物対黄連抽出物の重量比は、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。また、前記大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分は、知母抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物の炭素数が3ないし8であるアルコール可溶性分画物の組合せからなり、この時、知母抽出物のアルコール可溶性分画物対黄連抽出物のアルコール可溶性分画物の重量比は、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。
【0010】
また、前記知母抽出物の抽出溶媒は、水、炭素数が1ないし2であるアルコールまたはこれらの混合溶媒であることが好ましい。また、前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物は、好ましくは、知母抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得て、さらに好ましくは、知母抽出物のブタノール可溶性分画物である。前記知母抽出物または知母抽出物のアルコール可溶性分画物は、好ましくは、活性物質としてマンギフェリンまたはネオマンギフェリンを含む。
【0011】
また、前記黄連抽出物の原料は、川黄連(Coptis chinensis)であることが好ましい。また、前記黄連抽出物の抽出溶媒は、水、炭素数が1ないし2であるアルコールまたはこれらの混合溶媒であることが好ましい。また、前記黄連抽出物のアルコール可溶性分画物は、好ましくは、知母抽出物に水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコールを添加し、分画して得て、さらに好ましくは、黄連抽出物のブタノール可溶性分画物である。前記黄連抽出物または黄連抽出物のアルコール可溶性分画物は、好ましくは、活性物質としてベルベリン(Berberine)を含む。
【0012】
また、本発明の組成物を適用して治療、改善または予防することができる大腸炎の具体的な種類は、急性大腸炎または慢性大腸炎など大きく制限されることなく、例えば炎症性腸疾患または過敏性腸症候群である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る知母抽出物など及び黄連抽出物などからなる複合抽出物は、大腸炎誘導モデル動物に対して優れた大腸炎の予防または治療活性を有するので、医薬組成物または機能性食品組成物を構成する食医薬的素材として使用されることができる。このような医薬組成物または機能性食品組成物は、急性大腸炎や慢性大腸炎、特に、炎症性腸疾患(IBD)または過敏性腸症候群(IBS)などを効果的に予防、遅延、改善または治療することに使用されることができる。
【0014】
一方、薬用作物から抽出または分画された従来の多様な生薬は、代表的な大腸炎治療剤であるメサラジンより薬効が大きくないと報告されている。そこで、知母抽出物など及び黄連抽出物などを併用する場合、メサラジンより優れた抗大腸炎効能を表すという点は、高い相乗効果による結果であり、予測し難い事項であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マンギフェリン及びネオマンギフェリンの化学構造式を示す。
図2】薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数(Macroscopic score)を表わしたグラフである。
図3】薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図4】薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化、大腸の外観点数、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図5】薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表すグラフである。
図6】薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図7】薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図8】薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図9】薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量を表わしたグラフである。
図10】薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図11】薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図12】TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図13】TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例3で得たマンギフェリンを投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図14】TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
【0016】
図15】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフである。
図16】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図17】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図18】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図19】DSSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図20】薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフである。
図21】薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図22】薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図23】薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図24】オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
図25】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフである。
図26】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表す。
図27】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。
図28】薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。
図29】DSSによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明で使用した用語を説明する。
本発明で使用される用語「薬学的に許容される」及び「食品学的に許容される」とは、生物体を相当刺激することなく投与活性物質の生物学的活性及び特性を阻害しないことを意味する。
【0018】
本発明で使用される用語「予防」は、本発明の組成物の投与で特定疾患(例えば、大腸炎)の症状を抑制させるか進行を遅延させる全ての行為を意味する。
【0019】
本発明で使用される用語「改善」は、治療される状態と関連したパラメーター、例えば、症状の程度を少なくとも軽減させる全ての行為を意味する。
【0020】
本発明で使用される用語「治療」は、本発明の組成物の投与で特定疾患(例えば、大腸炎)の症状を好転または改善させる全ての行為を意味する。
【0021】
本発明で使用される用語「投与」は、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。この時、個体は、本発明の組成物を投与して特定疾患の症状が好転できる疾患を持ったヒト、猿、犬、山羊、豚または鼠などの全ての動物を意味する。
【0022】
本発明で使用される用語「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な受益または危険の割合で疾患を治療するに十分な量を意味し、これは、個体の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出割合、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野によく知られた要素によって決められる。
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明は、少なくとも2つの生薬の抽出物からなる複合抽出物を有効成分として含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物を提供する。前記複合抽出物は、知母抽出物、知母抽出物のうち炭素数が3ないし8であるアルコールに対する可溶性分画物(以下、「知母抽出物のアルコール可溶性分画物」という)、マンギフェリンまたはその薬学的に(または食品学的に)許容される塩、ネオマンギフェリンまたはその薬学的に(または食品学的に)許容される塩から選択された1種以上(以下、「第1有効成分」という)及び黄連抽出物または黄連抽出物のうち炭素数が3ないし8であるアルコールに対する可溶性分画物(以下、「黄連抽出物のアルコール可溶性分画物」という)から選択された1種以上(以下、「第2有効成分」という)を含む。この時、複合抽出物を構成する第1有効成分と第2有効成分の混合比は大きく制限されない。例えば、複合抽出物内で前記第1有効成分対第2有効成分の重量比は、10:1ないし1:10であり、大腸炎の予防、改善または治療効果を考慮すると、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。また、本発明に係る大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分である複合抽出物は、多様な組合せから選択してもよい。例えば、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、知母抽出物及び黄連抽出物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、知母抽出物及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、知母抽出物のアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、知母抽出物のアルコール可溶性抽出物及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、マンギフェリン及び黄連抽出物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、マンギフェリン及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、ネオマンギフェリン及び黄連抽出物を有効成分として含む。また、本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、ネオマンギフェリン及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物を有効成分として含む。この中で、製品化による経済性の側面及び大腸炎の予防、改善または治療効果を考慮すると、前記大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分は、知母抽出物及び黄連抽出物の組合せからなるか、知母抽出物のアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物の可溶性分画物からなることが好ましい。本発明に係る大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分が知母抽出物及び黄連抽出物の組合せからなる場合、大腸炎の予防、改善または治療効果を考慮すると、知母抽出物対黄連抽出物の重量比は、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。また、本発明に係る大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分が知母抽出物のアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物の可溶性分画物からなる場合、大腸炎の予防、改善または治療効果を考慮すると、知母抽出物のアルコール可溶性分画物対黄連抽出物のアルコール可溶性分画物の重量比は、1:1ないし5:1であることが好ましく、1:1ないし4:1であることがさらに好ましく、2:1ないし4:1であることが最も好ましい。
【0024】
また、本発明において、黄連は、黄連属(Coptis)にあたれば、その種類が大きく制限されず、例えば、Coptis teeta、Coptis japonica、Coptis chinensis、Coptis deltoidea、Coptis omeiensisなどから選択してもよく、この中で、大腸炎の予防、改善または治療効果と関連して、その根茎に含まれた活性成分の量と構成比を考慮すると、川黄連(Coptis chinensis)であることが好ましい。
【0025】
また、本発明において、大腸炎は、細菌感染や腸内容物の病的発効などにより大腸に炎症が発生した状態をいい、感染性大腸炎と非感染性大腸炎を含む概念である。本発明で前記複合抽出物を通じて予防、改善または治療が可能な具体的な大腸炎の種類は、大きく制限されず、急性大腸炎と慢性大腸炎を全て含み、さらに具体的に、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群などがある。また、炎症性腸疾患は、例えば、潰瘍性大腸炎、またはクローン病などがある。急性大腸炎は、急性からくる大腸または結腸への炎症をいい、炎症により粘膜が損傷されて粘液性下痢や鮮血症状を主に表わす。本発明において、急性大腸炎は、一般的な急性感染性大腸炎だけでなく、急性偽膜性大腸炎及び急性潰瘍性大腸炎を含む。本発明に係る複合抽出物は、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によって急性大腸炎が誘発されたモデル動物、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)によって急性大腸炎が誘発されたモデル動物、オキサゾンロン(Oxazolone)によって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)によって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に対して、大腸の外観を良好にして結腸の収縮を抑制し、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を低く維持させて大腸炎を効果的に予防、改善または治療することができる。
【0026】
本発明の大腸炎の予防、改善または治療用組成物の有効成分である複合抽出物は、多様な方法に製造されてもよい。例えば、前記複合抽出物は、知母及び黄連を混合した後、これに抽出溶媒を加え、混合抽出物を抽出して製造してもよく、再び混合抽出物に炭素数が3ないし8であるアルコールを加えて分画して製造してもよい。また、前記複合抽出物は、知母及び黄連からそれぞれ知母抽出物及び黄連抽出物を得た後、これらを混合して製造してもよく、また知母抽出物及び黄連抽出物から知母抽出物のアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物を得た後、これらを混合して製造してもよい。具体的に、前記複合抽出物を構成する知母抽出物または黄連抽出物は、当業界に公知された通常の抽出方法、例えば、溶媒抽出法を使用して製造してもよい。溶媒抽出法に利用される抽出溶媒は、水、炭素数が1ないし4である低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール)、またはこれらの混合物である含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、ジエチルエーテル、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン及びこれらの混合物で構成された群から選択されてもよく、この中で水、アルコールまたはこれらの混合物である含水アルコールから選択されることが好ましく、含水アルコールであることがさらに好ましい。抽出溶媒として水を使用する場合、水は熱水であることが好ましい。また、抽出溶媒としてアルコールを使用する場合、アルコールは、炭素数が1ないし4である低級アルコールであることが好ましく、低級アルコールは、メタノールまたはエタノールから選択されることがさらに好ましい。また、抽出溶媒として含水アルコールを使用する場合、アルコール含量は、50〜90%であることが好ましく、60〜85%であることがさらに好ましい。一方、上記の抽出溶媒だけでなく、他の抽出溶媒を利用しても実質的に同一の効果を表す知母抽出物または黄連抽出物が得られることは当業者に自明である。また、複合抽出物を構成する知母抽出物または黄連抽出物には、上述した抽出溶媒による抽出物だけでなく、通常の他の抽出方法を通じて得られた抽出物または錠剤及び発酵過程を経た抽出物も含まれてもよい。例えば、二酸化炭素を利用した超臨界流体抽出法(supercritical fluid extraction)による抽出、超音波を利用した抽出法による抽出、一定の分子量カット−オフ値を有する限外ろ過膜を利用した分離または多様なクロマトグラフィー(大きさ、電荷、疎水性または親和性による分離のために製作されたもの)による分離、各種微生物の発酵産物による抽出など、追加的に実施された多様な錠剤及び抽出方法を通じて得られた活性分画も本発明の抽出物に含まれる。一般的に超臨界流体は、気体が高温高圧条件で臨界点に到逹した時に有する液体及び気体の性質を持っており、化学的に非極性性溶媒と類似した極性を有し、このような特性により、超臨界流体は油溶性物質の抽出に使用されている(J.Chromatogr.A.1998;479:200−205)。二酸化炭素は、超臨界流体機器の作動で圧力及び温度が臨界点まで至る過程を経て、液体及び気体性質を同時に持つ超臨界流体となり、その結果、油溶性溶質に対する溶解度が増加する。超臨界二酸化炭素が一定量の試料を含有した抽出容器を通過すれば、試料に含有された油溶性物質は、超臨界二酸化炭素に抽出されて出る。油溶性物質を抽出した後、抽出容器に残っている試料に再び少量の共溶媒を含む超臨界二酸化炭素を流して通過させれば、純粋な超臨界二酸化炭素だけでは抽出されなかった成分が抽出される。本発明の超臨界抽出法に使用される超臨界流体は、超臨界二酸化炭素または二酸化炭素に追加的に共溶媒を混合した混合流体を使用することで、効果的に有効成分を抽出する。このような共溶媒として、クロロホルム、エタノール、メタノール、水、エチルアセテート、ヘキサン及びジエチルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上の混合物を使用する。抽出された試料は、大部分二酸化炭素を含有しているが、二酸化炭素は室温で空気中に揮発され、共溶媒は減圧蒸発器で除去する。また、前記超音波抽出法は、超音波振動によって発生するエネルギーを利用する抽出方法で、超音波が水溶性溶媒中で試料に含まれた不溶性である溶媒を破壊し得て、この時、発生する高い局部温度により周りに位置する反応物粒子の運動エネルギーを大きくするため、反応に必要な十分なエネルギーを得て、超音波エネルギーの衝撃効果により高い圧力を誘導して、試料に含有された物質と溶媒の混合効果を高めるので、抽出効率を増加させる。超音波抽出法に使用できる抽出溶媒は、クロロホルム、エタノール、メタノール、水、エチルアセテート、ヘキサン及びジエチルエーテルからなる群から選択される1種または2種以上の混合物を使用する。抽出された試料は、真空ろ過してろ過液を回収した後、減圧蒸発器で除去し、凍結乾燥する通常の抽出物製造方法を通じて抽出物が得られる。また、複合抽出物を構成する知母抽出物または黄連抽出物は、発酵過程を経た抽出物も含むが、例えば、知母の発酵抽出物は、以下のように製造する。知母を約100〜500メッシュに微細に破鎖した後、通常の微生物用培養液を知母濃度が1〜50g/Lとなるように添加し、これに酵母菌株または乳酸菌などの微生物を10,000〜100,000cfu/Lの量で添加する。以後、30〜37℃の培養温度、5〜7のpHのような通常の微生物培養条件で好気的または嫌気(anaerobic)的な状態で約5日ないし10日間培養する。以後、熟成及びろ過を通じて知母の発酵抽出物が得られる。黄連の発酵抽出物も同一の過程を経て製造される。
【0027】
また、前記複合抽出物を構成する知母抽出物のアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物のアルコール可溶性分画物は、それぞれ知母抽出物及び黄連抽出物から得られる。この時、前記可溶性分画物を得るために使用されるアルコールは、炭素数が3ないし8であり、知母抽出物に含まれた活性物質または黄連抽出物に含まれた活性物質に対する可溶性と可溶化後の減圧濃縮工程などを考慮すると、炭素数が3ないし6であることが好ましく、炭素数が3ないし5であることがさらに好ましく、炭素数が4であることが最も好ましい。本発明で知母抽出物の可溶化または黄連抽出物の可溶化のために使用される炭素数4のアルコールには、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどがある。前記知母抽出物のアルコール可溶性分画物または黄連抽出物のアルコール可溶性分画物は、知母抽出物または黄連抽出物に含まれた成分のうち炭素数が3ないし8であるアルコールに可溶可能な成分からなり、この場合、知母抽出物または黄連抽出物は、水、炭素数が1ないし2であるアルコールまたはこれらの混合溶媒に抽出されることが好ましい。知母抽出物のアルコール可溶性分画物または黄連抽出物のアルコール可溶性分画物は、例えば、水、炭素数が1ないし2であるアルコールまたはこれらの混合物である含水アルコールを抽出溶媒として使用して知母抽出物または黄連抽出物を得て、これに水を加えて懸濁させた後、炭素数が3ないし8であるアルコール(例えば、ブタノール)を添加し、分画して得られる。
【0028】
また、前記知母抽出物またはこのアルコール可溶性分画物は、好ましくは活性物質としてマンギフェリンまたはネオマンギフェリンを含む。本発明において、マンギフェリンまたはネオマンギフェリンは、知母抽出物または知母抽出物のアルコール可溶性分画物の代わりに、複合抽出物を構成する一成分となってもよい。また、前記黄連抽出物またはこのアルコール可溶性分画物は、好ましくは、活性物質としてベルベリンを含む。さらに、前記黄連抽出物またはこのアルコール可溶性分画物は、活性物質としてパルマチン、コプチシン、コルンバミンまたはジャトロリジンなどをさらに含んでもよい。但し、知母抽出物またはこのアルコール可溶性分画物及び黄連抽出物またはこのアルコール可溶性分画物に含まれた活性物質は、抽出方法または分画方法によって具体的な成分の種類や含量に若干の差異が発生し得る。
【0029】
また、前記複合抽出物を構成するマンギフェリンまたはネオマンギフェリンは、知母などのような植物から分離される。図1は、マンギフェリン及びネオマンギフェリンの化学構造式を表わしたものである。図1に示すように、ネオマンギフェリンは、マンギフェリンと同一のアグリコンを有しており、配糖体化合物でアグリコンは、生理学的活性を支配すると知られている。従って、当該発明の技術分野で通常の知識を持った者がマンギフェリンの抗大腸炎活性からネオマンギフェリンの抗大腸炎活性を予測することは自明であるといえる。本発明において、マンギフェリンまたはネオマンギフェリンの薬学的または食品学的に許容される塩としては、遊離酸によって形成された酸付加塩が有用である。酸付加塩は、通常の方法、例えば化合物を過量の酸水溶液に溶解させ、この塩をメタノール、エタノール、アセトンまたはアセトニトリルのような水混和性有機溶媒を使用して沈殿させて製造する。同じモル量の化合物及び水中の酸またはアルコール(例えば、グリコールモノメチルエーテル)を加熱し、次いで前記混合物を蒸発させて乾燥させるか、または析出された塩を吸引ろ過させる。この時、遊離酸としては、有機酸と無機酸を使用してもよく、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸などを使用してもよく、有機酸としては、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、ベンゾ酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カーボン酸、バニリン酸、ハイドロヨウ素酸などを使用してもよい。また、塩基を使用して薬学的または食品学的に許容される金属塩を製造してもよい。アルカリ金属またはアルカリ土金属塩は、例えば、化合物を過量のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土金属水酸化物溶液中に溶解し、非溶解化合物塩をろ過した後、ろ液を蒸発、乾燥させて得る。この時、金属塩としては、特に、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩を製造することが適合であり、また、これに対応する銀塩は、アルカリ金属またはアルカリ土金属塩を適当な銀塩(例えば、硝酸銀)と反応させて得る。
【0030】
本発明の複合抽出物を有効成分として含む大腸炎の予防、改善または治療用組成物は、使用目的または様相によって、医薬組成物、食品添加剤、食品組成物(特に、機能性食品組成物)、または飼料添加剤などに具体化され、組成物内における複合抽出物の含量も、組成物の具体的な形態、使用目的または様相によって多様な範囲で調整可能である。
【0031】
本発明の大腸炎の予防または治療用医薬組成物で有効成分である複合抽出物の含量は、大きく制限されず、例えば、組成物の総重量を基準として0.1〜99重量%、好ましくは、0.5〜50重量%、さらに好ましくは、1〜30重量%である。また、本発明の医薬組成物は、複合抽出物の他に薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤のような添加剤をさらに含んでもよい。本発明の医薬組成物に含まれてもよい担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油が挙げられる。また、本発明の大腸炎の予防または治療用医薬組成物は、複合抽出物の他に大腸炎の予防または治療効果を有する公知の有効成分を1種以上さらに含んでもよい。本発明の医薬組成物は、通常の方法によって経口投与のための剤形または経腸投与のための剤形に製剤化してもよく、製剤化する場合、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤してもよい。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、有効成分である複合抽出物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート、スクロース、ラクトースまたはゼラチンなどを交ぜて調剤してもよい。また、単純な賦形剤の他にマグネシウムスチレートタルクのような滑剤を使用してもよい。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤及びシロップ剤などがあるが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。経腸投与のための製剤としては、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれてもよい。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用されてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴ−ル、トゥイーン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてもよい。さらには、当分野の適正な方法で、またはRemington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を利用して、各疾患によって、または成分によって好ましく製剤化してもよい。本発明の医薬組成物は、目的の方法によって、ヒトを含む哺乳類に経口投与されるか、経腸投与されてもよく、経腸投与形式としては、皮膚外用、腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射注入形式などがある。本発明の医薬組成物の投与量は、薬学的に有効な量であれば大きく制限されず、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度によってその範囲が多様である。本発明の医薬組成物の通常の1日投与量は、大きく制限されず、例えば、有効成分である複合抽出物を基準として0.1ないし1000mg/kgであることが好ましく、1ないし500mg/kgであることがさらに好ましく、一日1回または数回に分けて投与されてもよい。
【0032】
また、本発明の大腸炎の予防または改善用食品組成物において、有効成分である複合抽出物の含量は、大きく制限されず、組成物総重量を基準として0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。本発明の食品組成物は、丸剤、粉末剤、顆粒剤、注射剤、錠剤、カプセル剤、または液剤などの形態を含み、具体的な食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む乳製品、各種のスープ、飲料、お茶、機能水、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味における健康食品を全て含む。本発明の食品組成物は、有効成分である複合抽出物の他に様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有してもよい。また、本発明の食品組成物は、様々な営養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有してもよい。その他に、本発明の食品組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有してもよい。このような成分は、独立してまたは混合して使用してもよい。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のような単糖類、マルトース、スクロースのような二糖類、及びデキストリン、シクロデキストリンのような多糖類、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。香味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物のような天然香味剤やサッカリン、アスパルテームのような合成香味剤などを使用してもよい。
【0033】
以下、本発明を実施例を通じてさらに具体的に説明する。但し、下記の実施例は、本発明の技術的特徴を明確に例示するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0034】
I.知母抽出物など、黄連抽出物などまたはこれらの併用による大腸炎の予防または治療効果確認のための1次実験
1.知母抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例1:知母抽出物の製造
知母500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母抽出物189gを得た。
【0035】
製造例2:知母抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例1で得た知母抽出物189gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物41gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、知母を基準とすれば8.2%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有されたマンギフェリンの含量は、10%以上であった。
【0036】
製造例3:知母抽出物のブタノール可溶性分画物から化合物の分離
製造例2で得たn−ブタノール可溶性分画物10gに対して湧出溶媒(クロロホルム:メタノール:水=65:35:10)でシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck、10cm×30cm、70〜230mesh)を実施して9個の小分画を得た。9個の小分画のうち大腸炎動物モデル試験で効果が最も優れた小分画であるFr.VIIに対して、25%メタノールを溶出溶媒としてMPLC(Medium pressure liquid クロマトグラフィー;C18 reverse Merck、3cm×20cm)を実施して2個の分画を得た。2個の分画を濃縮した後、これをそれぞれメタノールで再結晶して白粉末状の化合物2個を得、質量分析及び13C−NMR(Bruker、AVANCE digital 400)で構造を確認した結果、マンギフェリンとネオマンギフェリンであることが確認された。図2には、マンギフェリン及びネオマンギフェリンの化学構造式を示した。マンギフェリン及びネオマンギフェリンの収率は、知母を基準とすれば、それぞれ0.5%以上及び0.1%以上であった。
【0037】
<マンギフェリン>
ESI(−)−MS/MS 421,301[M−Na]
13C NMR(100MHz)peaks:162.254(C−1),108.04(C−2),164.295(C−3),93.813(C−4),103.088(C−5),154.606(C−6),144.228(C−7),108.489(C−8),179.551(C−9),156.697(C−4a),151.286(C−4b),112.128(C−8a),101.772(C−8b),82.025(2−glc C−1’),73.564(C−2’),71.103(C−3’),70.724(C−4’),79.449(C−5’),61.961(C−6’)。
<ネオマンギフェリン>
ESI(−)−MS/MS 421,301[M−Na]
13C NMR(100MHz)peaks:162.5(C−1),108.3(C−2),164.5(C−3),94.0(C−4),103.3(C−5),156.9(C−6),144.4(C−7),112.4(C−8),179.8(C−9),154.7(C−4a),151.5(C−4b),108.8(C−8a),102.0(C−8b),73.8(2−glcC−1’),71.3(C−2’),79.7(C−3’),71.0(C−4’),82.2(C−5’),61.4(C−6’),103.4(7−glc C−1”)73.5(C−2”),76.1(C−3”),69.6(C−4”),77.3(C−5”),60.7(C−6”)。
【0038】
2.五倍子抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例4:五倍子抽出物の製造
五倍子500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して五倍子抽出物190gを得た。
【0039】
製造例5:五倍子抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例4で得た五倍子抽出物190gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物102gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、五倍子を基準とすれば21%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有された1,2,3,4,6−ペンタ−O−ガロイル−β−D−グルコースの含量は、30%以上であった。
【0040】
3.蔓人参抽出物、この分画物及びこれから分離した化合物の製造
製造例6:蔓人参抽出物の製造
乾燥した蔓人参(Codonopsis lanceolata Trautv)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)2kgに80%メタノール水溶液4lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して蔓人参抽出物185gを得た。
【0041】
製造例7:蔓人参抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例6で得た蔓人参抽出物185gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物112gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、蔓人参を基準とすれば5.5%以上であり、n−ブタノール可溶性分画物に含有されたランセマサイドA(Lancemaside A)の含量は、4%以上であった。
【0042】
4.川黄連抽出物及びこの分画物の製造
製造例8:川黄連抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに80%メタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒1lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連抽出物123gを得た。
【0043】
製造例9:川黄連抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例8で得た川黄連抽出物123gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物63gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、川黄連を基準とすれば12.5%以上であった。n−ブタノール可溶性分画物に対する成分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC;水s Alliance2695モデル)を利用して分析した。カラムは、YMC ヒドロsphere C18(S−5um、120nm、4.6×250mm I.D)を使用し、試料温度は25℃±1、カラム温度は30℃±1を維持した。試料濃度は、1mg/mlで製造して10μl注入し、流速は1.0ml/minで分析した。また、標準物質は、ベルベリン、パルマチン、コプチシンなどは常用化されているものをシグマ社から購入して使用し、コルンバミンとジャトロリジンは、黄連から分離、精製して使用した。移動相は0.2%のリン酸溶液(溶媒A)とメタノール(溶媒B)のgradient条件で0分〜60分(A:B=9:1〜6:4)、60分〜70分(A:B=6:4〜5:5)、70分〜90分(A:B=5:5〜0:10)で分析した。活性成分含量の計算は、それぞれの標準物質に対する面積比を重量百分率で表した。分析の結果、川黄連抽出物のn−ブタノール可溶性分画物は、ベルベリン27〜30%、パルマチン7〜8%、コプチシン5〜6%、コルンバミン0.8〜1.2%、ジャトロリジン0.8〜1.2%程度を含有した。
【0044】
5.複合抽出物の製造
製造例10.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例5で得た五倍子抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0045】
製造例11.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例7で得た蔓人参抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0046】
製造例12.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部、製造例5で得た五倍子抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例7で得た蔓人参抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0047】
製造例13.
製造例2で得た知母抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部及び製造例9で得た川黄連抽出物のブタノール可溶性分画物50重量部を混合して複合抽出物を製造した。
【0048】
6.TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0049】
(2)TNBSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、実験動物を軽くエーテルで麻酔した後、NBS(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid)溶液2.5gを50%のエタノールに混合した溶液を端の丸い1ml容量の注射器を利用して、肛門を通じて大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持して炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。この時、薬物試料として知母抽出物のブタノール分画物、マンギフェリン及び複合抽出物を使用した実験は、それぞれ時間的間隔を置いて別個の実験で行われ、薬物試料の大腸炎の予防または治療効果は、それぞれの実験中でTNBSで処理しない実験動物に、別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群を基準として分析することが合理的である。
【0050】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物に試料の投与を終了し、翌日に実験動物の体重を測定した後、最初の体重と比べて体重変化量を算出した。
【0051】
2)外観の分析
摘出した大腸は、その長さと外観を観察して下記表1の基準(Hollenbachなど、2005大腸炎程度に対する基準)によって点数を付けた。この時、陽性対照群としてメサラジン(Mesalazine;Sigma)投与群を使用した。また、腸内の微生物の分析のために、大腸内容物の一部を採取して零下80℃で冷凍保管した。大腸組織は、大腸内容物を全て除去し、生理食塩水で洗浄した後、一部は病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析を零下80℃で冷凍保管した。
【0052】
【表1】
【0053】
3)ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
大腸組織100mgに溶解バッファー200μlを入れて均質化(homogenization)した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して上層液を得た後、Mouse MPO アッセイ ELISAキット(Hbt HK210、USA)を使用してMPO活性を測定した。上層液100μlを96ウェルプレートに入れた後、室温で1時間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたtracerを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlのTMB 基質溶液を添加し、プレートをアルミ箔で包んで光を遮断し、室温で30分間反応させた。そして、100μlの静止溶液を添加して反応を停止させ、ELISA readerを利用して450nmで吸光度を測定した。
【0054】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図2は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、図3は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。図2及び図3において、「N」または「NOR」は、正常群を表し、「TNBS」は、TNBSによって急性大腸炎を誘発したモデル動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した群を意味し、「A」または「AJ」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味する。また、「A10」及び「A20」は、それぞれ薬物試料「A」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図2及び図3において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図2及び図3に示すように、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物は、濃度依存的にTNBSによって誘導された急性大腸炎を緩和するか改善する効果を表わした。
【0055】
図4は、薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化、大腸の外観点数、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わした。図4において、「NOR」は、正常群を表し、「MF」はマンギフェリンを意味する。また、「MF10」及び「MF20」は、それぞれ薬物試料「MF」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図4において、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図4に示すように、マンギフェリンは、濃度依存的にTNBSによって誘導された急性大腸炎を緩和するか改善する効果を表わした。
【0056】
図5は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、図6は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。図5及び図6において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図5及び図6において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図5及び図6に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の急性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0057】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
モデル動物の大腸組織100mgにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む250μlのRIPAバッファーを添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量と抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量を96ウェル ELISAプレートキット(Pierce Biotechology、Inc.,Rockford、IL、USA)を利用して測定した。
【0058】
図7は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフであり、図8は、薬物試料として、製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。図7及び図8において、「NOR」は、正常群を表し、「A」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味する。また、「A10」及び「A20」は、それぞれ薬物試料「A」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図7及び図8において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図7及び図8に示すように、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を投与した時、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量が薬物投与量に依存的に減少し、抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量が薬物投与量に依存的に増加した。
【0059】
図9は、薬物試料として、製造例3で得たマンギフェリンを使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量を表わしたグラフである。図9において、「MF」は、マンギフェリン(Mangiferin)を意味し、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図9に示すように、マンギフェリンを投与した時、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の大腸組織で炎症性サイトカインにあたるIL−1ベータ、IL−6及びTNF−アルファの発現量が薬物投与量に依存的に減少し、抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量が薬物投与量に依存的に増加した。
【0060】
図10は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−6の発現量を表わしたグラフであり、図11は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、TNBSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−10の発現量を表わしたグラフである。図10及び図11において、「N」または「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図10及び図11において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図10及び図11に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0061】
2)炎症反応指標物質の発現抑制の有無
モデル動物の大腸組織0.3gにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む1mlのRIPAバッファー(Gibco社)を添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、COX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をウェスタンブロッティング方法で測定した。先ず、上層液50μgを取ってSDS10%(w/v)のポリアクリルアミドゲルで1時間30分間電気泳動をした。電気泳動したサンプルをニトロセルロース紙に100V、400mAの条件で1時間10分間転写(transfer)した。サンプルが転写されたニトロセルロース紙を5%スキムミルクで30分間ブロッキングした後、5分ずつ3回にわたってPBS−Tweenで洗浄し、1次抗体(Santa Cruz Biotechnology、米国)を1:100の割合で一晩反応させた。以後、10分ずつ3回にわたって洗浄し、2次抗体(Santa Cruz Biotechnology、米国)を1:1000の割合で1時間20分間反応させた。以後、15分ずつ3回にわたって洗浄し、蛍光発色させた後、現像した。
【0062】
図12は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例2で得た知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図12において、「A」は、知母抽出物のn−ブタノール可溶性分画物を意味し、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。薬物試料の投与単位は、mg/マウスkgである。
【0063】
図13は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に製造例3で得たマンギフェリン(Mangiferin)を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図13において、「MF」は、マンギフェリン(Mangiferin)を意味し、「MS」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。
【0064】
図14は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図14において、「N」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図14において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図14に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0065】
(5)TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物の実験結果の要約
下記表2は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与された薬物試料の大腸炎の緩和ないし改善効果を要約したものである。下記表2において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。
【0066】
下記表2に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物または知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物、蔓人参抽出物の分画物または黄連抽出物の分画物をそれぞれ単独で投与した時より大きく向上した大腸炎の緩和ないし改善効果を表わした。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。これは、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物がそれぞれ大腸炎の緩和ないし治療と関連した互いに異なるターゲットで作用して、併用時に高い相乗効果を表わすと判断される。また、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の大腸炎の緩和ないし改善効果は、知母抽出物の分画物を知母抽出物や知母から分離した化合物であるマンギフェリンで代替するか、川黄連抽出物の分画物を川黄連抽出物で代替する場合も同一に発揮されると期待される。
【0067】
【表2】
【0068】
但し、知母抽出物の分画物と蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物または知母抽出物の分画物と五倍子抽出物の分画物からなる複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与する場合、知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物、蔓人参抽出物の分画物または黄連抽出物の分画物をそれぞれ単独で投与した時と比べると、大腸炎の緩和ないし改善効果の側面で有意性のある差異が表われなかった。
【0069】
7.DSSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果と測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0070】
(2)DSSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、デキストラン硫酸ナトリウム(分子量:36〜50kダルトン)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、飲用水として水の代わりに2.5%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム水溶液を7日間飲用させて急性大腸炎が誘導されたモデル動物を製作した。一方、正常群には、飲用水として水を供給した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0071】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定した。
【0072】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図15は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、図16は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。図15及び図16において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図15及び図16において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図15及び図16に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の急性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0073】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をDSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0074】
図17は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、図18は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。図17及び図18において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図17及び図18において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図17及び図18に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0075】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をDSSによって急性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0076】
図19は、DSSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図19において、「N」は正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図19において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図18に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0077】
8.オキサゾロン(Oxazolone)によって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0078】
(2)オキサゾロンによる慢性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発した。具体的に、マウスの背中にある毛を剃り、約1.5cm×1.5cmの面積に3%(w/v)のオキサゾンロン溶液0.2mlを塗って感作させた。8日後にマウスを麻酔し、1%のオキサゾンロン溶液0.1mlを直腸を通じて大腸内に投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ15日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0079】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を測定した。
【0080】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図20は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、図21は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。図20及び図21において、「NOR」は、正常群を表し、「OXA」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図20及び図21において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図20及び図21に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の慢性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0081】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をオキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0082】
図22は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、図23は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。図22及び図23において、「NOR」は、正常群を表し、「OXA」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図22及び図23において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図22及び図23に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0083】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をオキサゾロンによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0084】
図24は、オキサゾロンによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図24において、「NOR」は、正常群を表し、「Oxa」は、オキサゾロンで慢性大腸炎を誘発させた後、生理食塩水のみを経口投与した実験群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図24において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図24に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0085】
9.DSSによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0086】
(2)DSSによる慢性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、デキストラン硫酸ナトリウム(分子量:36〜50kダルトン)で慢性大腸炎を誘発した。具体的に、飲用水として水の代わりに3%(w/v)デキストラン硫酸ナトリウム水溶液を1次で7日間飲用させ、再び飲用水として水を5日間飲用させ、3%(w/v)のデキストラン硫酸ナトリウム水溶液を2次で3日間飲用させた後、再び飲用水として水を3日間飲用させた。一方、正常群には、飲用水として水のみを供給した。また、薬物試料は、生理食塩水に溶かして2次でデキストラン硫酸ナトリウム水溶液を飲用させた日から毎日1回ずつ予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。
【0087】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で体重変化量を分析した。
2)外観の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で大腸の外観を分析した。
3)MPO活性の測定
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法でミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性を測定した。
【0088】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
図25は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の体重変化及び大腸の外観点数を表わしたグラフであり、図26は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸の長さ及びMPO活性測定の結果を表わしたものである。図25及び図26において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図25及び図26において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図25及び図26に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準の慢性大腸炎抑制効果を表わし、特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0089】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
1)炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現に及ぶ影響
薬物試料をDSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織で炎症性サイトカイン及び抗炎症性サイトカインの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0090】
図27は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でIL−1ベータ及びIL−10の発現量を表わしたグラフであり、図28は、薬物試料として複合抽出物を使用した時、DSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物の大腸組織でTNF−アルファ及びIL−6の発現量を表わしたグラフである。図27及び図28において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC−10」及び「AC−20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図27及び図28において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図27及び図28に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症性サイトカインの発現を減少させ、抗炎症性サイトカインの発現を増加させた。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0091】
2)炎症反応指標物質の発現抑制有無
薬物試料をDSSによって慢性大腸炎が誘発されたモデル動物に投与した時、大腸組織でCOX−2、iNOS、p65(NF−カッパーB)、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)及びβ−アクチンの発現量をTNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物実験と同一の方法で測定した。
【0092】
図29は、DSSによって慢性大腸炎が誘導されたモデル動物に複合抽出物を投与した時、モデル動物の大腸組織で炎症反応指標物質の発現が抑制されることを表わした結果である。図29において、「NOR」は、正常群を表し、「AC」は、製造例13で製造した複合抽出物を意味し、「ALG」は、製造例12で製造した複合抽出物を意味する。また、「AC10」及び「AC20」は、それぞれ薬物試料「AC」の1回投与量が10mg/マウスkg及び20mg/マウスkgであることを意味する。また、図29において、「M」は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)を意味する。図29に示すように、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物と知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物は、陽性対照薬物として使用したメサラジン(mesalazine)と類似した水準で炎症反応物質であるCOX−2、iNOS、p−p65(phosphor−NF−カッパーB)などの発現を抑制した。特に、知母抽出物の分画物及び川黄連抽出物の分画物からなる複合抽出物は、その効果が知母抽出物の分画物、五倍子抽出物の分画物及び蔓人参抽出物の分画物からなる複合抽出物よりさらに優れた。
【0093】
II.知母抽出物など、黄連抽出物など、またはこれらの併用による大腸炎の予防または治療効果確認のための2次実験
10.知母抽出物及びこの分画物の製造
製造例14:知母エタノール抽出物の製造
知母500gに80%のエタノール水溶液2lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母エタノール抽出物158gを得た。
【0094】
製造例15:知母水抽出物の製造
知母500gに蒸留水2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に蒸留水2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して知母水抽出物164gを得た。
【0095】
製造例16:知母エタノール抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例14で得た知母エタノール抽出物158gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物42gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、知母を基準とすれば8.4%以上であった。
【0096】
11.川黄連抽出物及びこの分画物の製造
製造例17:川黄連エタノール抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに80%のエタノール水溶液2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に同一の溶媒2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連エタノール抽出物107gを得た。
【0097】
製造例18:川黄連水抽出物の製造
乾燥した川黄連(Coptis chinensis)根(キョンドン市場、ソウル、大韓民国)500gに蒸留水2.5lを加え、水浴上で約2時間の間抽出した後、ろ過した。また、残った残渣に蒸留水2lを加え、同一の条件で再抽出した後、ろ過した。ろ過した抽出液を減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥して川黄連水抽出物122gを得た。
【0098】
製造例19:川黄連エタノール抽出物からブタノール可溶性分画物の製造
製造例17で得た川黄連エタノール抽出物107gを水1.5lに懸濁した後、これにn−ブタノール1.5lを加え、振とう放置して、n−ブタノール可溶性分画層と水可溶性分画層に分離した。n−ブタノール可溶性分画層を取って減圧条件下で濃縮し、凍結乾燥してn−ブタノール可溶性分画物64gを得た。n−ブタノール可溶性分画物の収率は、川黄連を基準とすれば12.8%以上であった。
【0099】
12.複合抽出物の製造
製造例20.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を1:3の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例21.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例22.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を3:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例23.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を5:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例24.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を7:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例25.製造例14で得た知母エタノール抽出物と製造例17で得た川黄連エタノール抽出物を10:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例26.製造例15で得た知母水抽出物と製造例18で得た川黄連水抽出物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0100】
製造例27.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を1:3の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例28.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を1:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例29.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を3:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例30.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を5:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0101】
製造例31.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を7:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
製造例32.製造例16で得た知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と製造例19で得た川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を10:1の重量比で混合して複合抽出物を製造した。
【0102】
13.TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験を通じた大腸炎治療効果の測定
(1)実験動物の準備
6週令雄マウス(C57BL/6、18−22g)をOrient Bio Incから購入した。全てのマウスは、湿度50±10%、温度20〜22℃の調節された環境条件で飼育し、照明は、12時間付けた後、12時間消すことを繰り返した。飼料は、標準実験用飼料(Samyang、Korea)を使用し、飲用水は自由に摂取させた。全ての実験で一群は、6匹とした。
【0103】
(2)TNBSによる急性大腸炎の誘発及び試料の投与
実験動物のうち一群を正常群とし、残りの群の実験動物に対しては、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)で急性大腸炎を誘発した。具体的に、実験動物を軽くエーテルで麻酔した後、NBS(2,4,6−trinitrobenzenesulfonic acid)溶液2.5gを50%のエタノールに混合した溶液を端の丸い1ml容量の注射器を利用して、肛門を通じて大腸内に0.1mlずつ投与し、垂直に持ち上げて30秒間維持して炎症を誘発した。一方、正常群には、生理食塩水0.1mlを経口投与した。以後、翌日から毎日1回ずつ3日間薬物試料を生理食塩水に溶かして予め定めた容量通りに経口投与し、試料の投与が終了した翌日に実験動物を二酸化炭素で窒息させて殺し、大腸部位のうち盲膓から肛門直前部位までの大腸を摘出した。この時、薬物試料として、知母エタノール抽出物、川黄連エタノール抽出物、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物及び知母水抽出物と川黄連水抽出物を混合した複合抽出物を使用した実験(以下、「抽出物基盤実験」という)と、薬物試料として、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物、川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物を使用した実験(以下、「分画物基盤実験」という)は、時間的間隔を置いて別個の実験で進行した。動物実験の特性を考慮すると、薬物試料の大腸炎の予防または治療効果は、それぞれの実験の中で評価される必要があり、基準としてTNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群を使用することが合理的である。
【0104】
(3)モデル動物の体重変化、大腸の外観及びミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
1)体重変化量の分析
TNBSによって大腸炎が誘発されたモデル動物に試料の投与を終了し、翌日に実験動物の体重を測定した後、最初の体重と比べて体重変化量を算出した。
【0105】
2)外観の分析
摘出した大腸は、その長さと外観を観察して下記表3の基準(Hollenbachなど、2005大腸炎程度に対する基準)によって点数を付けた。この時、陽性対照群としてメサラジン(Mesalazine;Sigma)投与群を使用した。また、腸内の微生物の分析のために、大腸内容物の一部を採取して零下80℃で冷凍保管した。大腸組織は、大腸内容物を全て除去し、生理食塩水に洗浄した後、一部は病理組織用サンプルとして使用するために4%ホルムアルデヒド固定液で固定し、残りは分子生物学的分析を零下80℃で冷凍保管した。
【0106】
【表3】
【0107】
3)ミエロペルオキシダーゼ(Myeloperoxidase、MPO)活性の測定
大腸組織100mgに溶解バッファー 200μlを入れて均質化(homogenization)した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して上層液を得た後、Mouse MPO アッセイ ELISAキット(Hbt HK210、USA)を使用してMPO活性を測定した。上層液100μlを96ウェルプレートに入れた後、室温で1時間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたtracerを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlの希釈されたペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを添加して室温で1時間の間反応させた。反応が完了した後、プレートを覆して空にした後、200μlの洗浄緩衝溶液を用いて各ウェルを洗浄した。200μlの洗浄緩衝溶液を用いて洗浄過程を3回繰り返した後、100μlのTMB基質溶液を添加し、プレートをアルミ箔で包んで光を遮断し、室温で30分間反応させた。そして、100μlの静止溶液を添加して反応を中止させ、ELISA readerを利用して450nmで吸光度を測定した。
【0108】
4)体重変化量、大腸の外観、大腸の長さ及びMPO活性測定の結果
下記表4は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち抽出物基盤実験の結果を要約したものである。下記表4において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。下記表4に示すように、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母エタノール抽出物または川黄連エタノール抽出物をそれぞれ単独で投与した時より向上した抗大腸炎効果を表わした。また、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物の抗大腸炎効果は、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物の混合重量比が3:1である時、最も大きく上昇し、次に5:1及び1:1の順であった。また、知母エタノール抽出物と川黄連エタノール抽出物を混合した複合抽出物は、同一投与量を基準とすれば、現在、大腸炎治療薬物として使用されているメサラジンより抗大腸炎効果がさらに大きいことが表われた。
【0109】
【表4】
【0110】
下記表5は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち分画物基盤実験の結果を要約したものである。下記表5において、分析項目の値は、TNBSで処理していない実験動物に別途の薬物試料の代わりに生理食塩水を供給した正常群の測定値に対する百分率で表した。下記表5に示すように、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物をTNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物に投与した時、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物または川黄連エタノール抽出物の可溶性分画物をそれぞれ単独で投与した時より向上した抗大腸炎効果を表わした。また、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物の抗大腸炎効果は、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物の混合重量比が3:1である時、最も大きく上昇し、次に5:1及び1:1の順であった。また、知母エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物と川黄連エタノール抽出物のブタノール可溶性分画物を混合した複合抽出物は、同一投与量を基準とすれば、現在、大腸炎治療薬物で使用されているメサラジンより抗大腸炎効果がさらに大きいことが表われた。
【0111】
【表5】
【0112】
(4)炎症反応指標物質の発現に及ぶ影響の分析
モデル動物の大腸組織100mgにプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む250μlのRIPAバッファーを添加して均質化した。その後、4℃及び13000rpmの条件で15分間遠心分離して得た上層液を零下80℃で保管しながら、炎症性サイトカインにあたるIL−6及びTNF−アルファの発現量と抗炎症性サイトカインにあたるIL−10の発現量を96ウェル ELISAプレートキット(Pierce Biotechology、Inc.,Rockford、IL、USA)を利用して測定した。
【0113】
下記表6は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち抽出物基盤実験の炎症反応指標物質分析の結果を要約したものである。
【0114】
【表6】
【0115】
また、下記表7は、TNBSによって急性大腸炎が誘導されたモデル動物実験のうち分画物基盤実験の炎症反応指標物質分析結果を要約したものである。
【0116】
【表7】
【0117】
III.医薬組成物及び食品組成物などの製造
14.医薬組成物の製造
下記の医薬組成物の製造において、製造例13の複合抽出物は、製造例20ないし製造例32の複合抽出物で代替可能である。
【0118】
<14−1>散剤の製造
製造例13の複合抽出物 2g
乳糖 1g
上記の成分を混合して気密布に充填して散剤を製造した。
【0119】
<14−2>錠剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
トウモロコシデンプン 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネ 2mg
上記の成分を混合した後、通常の錠剤の製造方法によって打錠して錠剤を製造した。
【0120】
<14−3>カプセル剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
トウモロコシデンプン 100mg
乳糖 100mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
上記の成分を混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によってゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0121】
<14−4>丸の製造
製造例13の複合抽出物 1g
乳糖 1.5g
グリセリン 1g
キシリトール 0.5g
上記の成分を混合した後、通常の方法によって1丸当たり4gになるように製造した。
【0122】
<14−5>顆粒の製造
製造例13の複合抽出物 150mg
大豆抽出物 50mg
ブドウ糖 200mg
デンプン 600mg
上記の成分を混合した後、30%のエタノール100mgを添加して摂氏60℃で乾燥して顆粒を形成した後、袋に充填した。
【0123】
<14−6>注射剤の製造
製造例13の複合抽出物 100mg
ピロ亜硫酸ナトリウム 3.0mg
メチルパラベン 0.8mg
プロピルパラベン 0.1mg
注射用滅菌蒸留水 適量
上記の成分を混合した後、この中の2mlをアンプルに充填し、滅菌して注射剤を製造した。
【0124】
15.食品組成物の製造
下記の食品組成物の製造において、製造例13の複合抽出物は、製造例20ないし製造例32の複合抽出物で代替可能である。
【0125】
<15−1>小麦粉食品の製造
製造例13の複合抽出物0.5〜5.0重量部を小麦粉100重量部に添加し、この混合物を利用してパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類を製造した。
【0126】
<15−2>スープ及び肉汁(gravies)の製造
製造例13の複合抽出物0.1〜5.0重量部をスープ及び肉汁に添加し、健康増進用肉加工製品、麺類のスープ及び肉汁を製造した。
【0127】
<15−3>グラウンドビーフ(ground beef)の製造
製造例13の複合抽出物10重量部をグラウンドビーフ100重量部に添加し、健康増進用グラウンドビーフを製造した。
【0128】
<15−4>乳製品(dairy products)の製造
製造例13の複合抽出物5〜10重量部を牛乳100重量部に添加し、前記牛乳を利用してバター及びアイスクリームのような多様な乳製品を製造した。
【0129】
<15−5>禅食の製造
玄米、麦、もち米、鳩麦を公知の方法でアルファ化させて乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
黒豆、黒ゴマ、エゴマも公知の方法で蒸して乾燥させたものを焙煎した後、粉砕機で粒度60メッシュの粉末に製造した。
上記で製造した穀物類、種実類及び製造例13の複合抽出物を次の割合で配合して製造した。
穀物類(玄米30重量部、鳩麦15重量部、麦20重量部)、
種実類(エゴマ7重量部、黒豆8重量部、黒ゴマ7重量部)、
製造例13の複合抽出物(3重量部)、
レイシ(0.5重量部)、
ジオウ(0.5重量部)
【0130】
<15−6>健康飲料の製造
異性化糖(0.5g)、オリゴ糖(2g)、砂糖(2g)、食塩(0.5g)、水(75g)のような副材料と製造例13の複合抽出物5gを均質に配合して瞬間殺菌をした後、これをガラス瓶、ペットボトルなどの小包装容器に包装して製造した。
【0131】
<15−7>野菜ジュースの製造
製造例13の複合抽出物5gをトマトまたはニンジンジュース1,000mlに加えて野菜ジュースを製造した。
【0132】
<15−8>果物ジュースの製造
製造例13の複合抽出物1gをリンゴまたはブドウジュース1,000mlに加えて果物ジュースを製造した。
【0133】
以上のように本発明を上記の実施例を通じて説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、本発明の範疇と思想を逸脱しない範囲内で多様な変形実施が可能であることは勿論である。従って、本発明の保護範囲は、本発明に添付した特許請求の範囲に属する全ての実施形態を含むと解釈されるべきである。
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