特許第6139061号(P6139061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社遠藤照明の特許一覧

特許6139061照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ
<>
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000002
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000003
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000004
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000005
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000006
  • 特許6139061-照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139061
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】照明ランプ用透光カバーおよび直管形照明ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/02 20060101AFI20170522BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170522BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20170522BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20170522BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170522BHJP
【FI】
   F21V5/02 100
   F21S2/00 231
   F21V3/00 320
   F21V5/00 320
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-84283(P2012-84283)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-214422(P2013-214422A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年1月13日刊行物(チラシ)「オプティカルチューブモジュール」
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】原田 泰彦
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07559672(US,B1)
【文献】 米国特許第02474341(US,A)
【文献】 米国特許第03159352(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0219713(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102022688(CN,A)
【文献】 米国特許第07063440(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0305024(US,A1)
【文献】 米国特許第03251987(US,A)
【文献】 米国特許第03647148(US,A)
【文献】 特開2013−012453(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103119355(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0176722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 5/00 − 5/02
F21S 2/00
F21V 3/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光源が直線的に配列された光源基板に被せられる照明ランプ用透光カバーであって、
前記透光カバーは底部領域及び両側面領域を備え、前記各領域の壁面には、長手方向に並行な複数の凸面から成り、前記凸面のそれぞれには傾斜面を有するレンズパターンが形成されており、
前記レンズパターンは、
前記底部領域においては前記発光源の光を正面方向に配光する第1のパターンが設けられ
前記側面領域においては前記傾斜面の傾斜方向が前記第1のパターンとは異なり、前記発光源の光を側面方向に配光する第2のパターンが設けられ、
前記底部領域と前記側面領域とが滑らかな曲面上に連続してなる、
照明ランプ用透光カバー。
【請求項2】
記第2のパターンに係る傾斜面の傾斜方向は、前記本体の外周に沿って前記底部領域から離れるに従い前記傾斜面の高さが高くなる方向である
請求項1記載の照明ランプ用透光カバー。
【請求項3】
前記側面方向は、真横方向であることを特徴とする請求項1記載の照明ランプ用透光カバー。
【請求項4】
照明ランプの本体部に対する固定爪部が、長辺側端部の全長にわたって連続的に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明ランプ用透光カバー。
【請求項5】
複数の発光源が直線的に配列された光源基板に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明ランプ用透光カバーを被せて構成された、照明ランプ。
【請求項6】
前記発光源は白色発光ダイオードであり、前記照明ランプ用透光カバーは透光素材で形成された、請求項5記載の照明ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の発光源を内装した直管形照明ランプに用いられる透光カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、発光ダイオードを発光源とした直管形照明ランプが開発、市販されている。しかしながら特に白色発光ダイオードはある程度対策されているものの、照射角に依存して黄味あるいは青味の色むらが生じる傾向がある。そのため従来は、発光源を配列させた基板に被せられる透光板に拡散剤を配合させるなどして、色むらを打ち消すようにしていた。たとえば、次の特許文献1には、透光性および拡散性を有する例えばアクリル樹脂などの樹脂材料によって透光カバーを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-009398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明ランプの発光源として購入可能な発光ダイオードは、そのままでは1/2照射角が非常に狭いが、ダイに被せるレンズ体を工夫することによって1/2照射角が相当拡げられている。そして更に拡散性の透光カバー等を用いることによって、一般の室内天井照明の用途では従来の蛍光管の代替として利用できる配光特性になる。
【0005】
しかしながら、そのような配光特性が与えられた照明ランプは、例えば暗い場所に展示された物品を際立たせるような照明には適さない。また室内照明であっても特定の範囲だけを明るく照らしたい場合もある。従来、そのような用途のために配光を制限するためには遮光フード等を用いていたが、そうするとコスト高になる、あるいは見栄えが悪くなるといった問題が生じていた。そこで本発明は、白色発光ダイオードを発光源とした場合でも、色むらを防止しつつ配光が調節できる新規な構成の照明ランプ用透光カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の発光源が直線的に配列された光源基板に被せられる照明ランプ用透光カバーにおいて、前記透光カバーは底部領域及び両側面領域を備え、前記各領域の壁面には、長手方向に並行な複数の凸面から成り、前記凸面のそれぞれには傾斜面を有するレンズパターンが形成されており、記レンズパターンは、前記底部領域においては前記発光源の光を正面方向に配光する第1のパターンが設けられ前記側面領域においては前記傾斜面の傾斜方向が前記第1のパターンとは異なり、前記発光源の光を側面方向に配光する第2のパターンが設けられ、前記底部領域と前記側面領域とが滑らかな曲面上に連続してなることを特徴とする。
【0007】
前記第1のパターンは、前記照明ランプ用透光カバー本体の底部領域に形成され、前記第2のパターンは、前記照明ランプ用透光カバー本体の側面領域に形成され、前記第2のパターンに係る傾斜面の傾斜方向は、前記本体の外周に沿って前記底部領域から離れるに従い前記傾斜面の高さが高くなる方向であってもよい。
【0008】
前記側面方向は、真横方向であってもよい。
【0009】
照明ランプの本体部に対する固定爪部が、長辺側端部の全長にわたって連続的に形成されていてもよい。
【0010】
本発明による照明ランプは、複数の発光源が直線的に配列された光源基板に、前記照明ランプ用透光カバーを被せて構成される。
【0011】
前記発光源は白色発光ダイオードであり、前記照明ランプ用透光カバーは透光素材で形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、レンズパターンを構成する凸面のそれぞれによる屈折光同士が重なり合う効果が生じる。これによって、発光源を白色発光ダイオードとした場合でも色むらが抑えられる。またレンズパターンによる配光具合を、想定した照明ランプの設置条件に応じて自由に設定できるので、遮光フード等が不要となる。
【0013】
レンズパターンの底部領域は前記発光源の光を正面方向に対して配光調節する一方、側面領域は前記発光源の光を側面方向に対して配光調節する構成では、暗い場所に展示された物品を際立たせるような照明が可能になる。
【0014】
発光源が白色発光ダイオードとされ、照明ランプ用透光カバーは無色透明な透光素材で形成された直管形照明ランプでは、色むらが抑えられ、照度の向上も見込まれ、透明なレンズ面による独特な風合いも得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による照明ランプ用透光カバーの一実施例の斜視図である。
図2】(a)、(b)はいずれも照明ランプ用透光カバーの変形例を示す斜視図である。
図3】レンズパターンを説明するための照明ランプ用透光カバーの縦断面図である。
図4】配光特性を説明するための図である。
図5】(a)本発明を適用した照明ランプの一実施例の斜視図、(b)はその照明ランプの部分破断平面図である。
図6】上記照明ランプの縦断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明による照明ランプ用透光カバー1は、たとえばアクリルあるいはポリカーボネイト等の透光素材で形成された樋形状の本体10を備える。本体10は、その長手方向に平行な複数の凸面よりなるレンズパターン11を有する。透光素材は、基本的に無色透明なものを想定しているが、各種着色剤あるいは酸化チタン等の拡散剤が配合されたものでもよい。
【0017】
照明ランプ用透光カバー1は、両側端部のほぼ全長にわたって連続的に固定爪部12が形成されている。この固定爪部12は、照明ランプ2の本体部21に形成された溝部22(図6)に嵌め込んで固定される。このような固定方法とすれば、照明用透光カバー1が外力を受けても変形しにくくなり耐久性が向上する。
【0018】
しかし固定爪部12を用いず、たとえば図2(a)に示すように、本体10の周囲に鍔部13を形成して、その鍔部13を照明ランプ2の本体部21にネジ止めする構成でもよい。また樋形状の複数の本体10を並行に連設して一体化させた構造も可能である。図2(b)では2本を並設しているが、発光源3の個数に応じて適宜増減可能なことはいうまでもない。
【0019】
レンズパターン11を構成する凸面はいずれも基本的には円筒面の一部、つまりシリンドリカルレンズになっており、それらの縦断面の形状は長手方向のどの位置においても同一である。このような凸面は、長手方向に直交する面内で光を最も屈折させる。
【0020】
レンズパターン11は、この実施態様では樋形状の本体10の外壁面に形成されているが、これに限定されず、本体10の内壁面に形成されてもよい。ただし、照明ランプ用透光カバー1を金型成形する場合は、外壁面にレンズパターン11を形成して内壁面を滑らかにした方が金型の構成がより簡単になる。
【0021】
また照明ランプ用透光カバー1は、樋形状の本体10を複数の領域に区分し、レンズパターン11による配光具合を、その領域毎に異ならせてもよい。レンズパターン11の領域構成や、凸面の個数等は特に限定されず、想定された照明ランプ2の設置条件に応じて自由に設定できる。
【0022】
図3はその具体例であり、レンズパターン11は、前記樋形状の本体10について底部領域11aおよび側面領域11bで構成されている。ここにおいて底部領域11aは発光源3の照射光Aを正面方向(床面)に対して配光調節するものであり、側面領域11bは発光源3の照射光Aを側面方向(壁面)に対して配光調節する。このようにすれば、照明ランプ2の直下方向を明るく照らすことで実用性を向上でき、かつ近傍の壁面、天井面にも明るさを与えることで明るさ感も演出できる。このような配光は、照明ランプ2が2.5m〜3m程度の天井面から直下の所定範囲を明るく照らす用途、たとえば暗い場所に展示された物品を際立たせるような照明に特に適する。
【0023】
図4のグラフは、上記配光特性を具体的に説明するものである。すなわち水平に設置された照明ランプ2の長手方向に直交する垂直面をX−Y平面として、規定された照射角を直線によって示し、等しい照度となる地点を等照度曲線によって結んでいる。なお従来品との比較のため、本発明を適用した照明ランプ2については実線を用い、従来品(レンズパターンがないタイプ)については破線を用いている。なお、等照度曲線は、照明ランプ2と従来品とで直下の各位置の照度が等しくなるように規格化されている。
【0024】
一見して、等照度曲線は上下に長い略楕円形になっている。これは照明ランプ2の真下方向が最も明るく照らされ、その方向から外れるほど暗くなることを意味している。この照明ランプ2の等照度曲線は、従来品の等照度曲線よりも幅が狭い。これは、照明ランプ2が集光作用によって直下の所定範囲を明るくする一方、その範囲外は従来品よりも暗くすることを意味する。つまり直下の照度を等しくする場合、照明ランプ2が発する全光量は従来品の全光量よりも少なくてよいので、より省電力となる。また照明ランプ2の等照度曲線は、照明ランプ2の近傍では従来品よりも横に広がっている。これは照明ランプ2が真横方向を従来品よりも明るく照らすことを意味する。なお図中の(1)〜(5)は等照度曲線の照度レベルを示している。
【0025】
レンズパターン11は、共通の円筒面を長手方向に並行に複数の凸面に区分して平坦化させたものに限られず、凸面のそれぞれが独自の曲面(円筒面でも楕円筒面でもない曲面でもよい)で構成されてもよい。要は、照明ランプ2が対象範囲を重点的に照らすように、凸面のそれぞれの輪郭や傾きを自由に設定してよい。
【0026】
また、配光調節を単独のレンズで行わず、複数の凸面よりなるレンズパターン11で行うことにより、隣接した凸面による屈折光同士が重なり合う効果が生じる。これによって照明光の色むらが抑えられる。特に白色ダイオードの照射光Aはダイからの照射方向に依存した色むらが生じやすいという問題があって、従来透光素材に拡散剤を配合することで対策していたが、上記のようなレンズパターン11を備えた構成にすれば、透光素材に拡散剤を配合しなくても色むらが抑えられ、照度の向上も見込まれる。またレンズ面による独特な風合いも得られる。
【0027】
図5(a)、(b)および図6は、本発明による照明ランプ用透光カバー1を用いた直管形発光源内装ランプを例示する。この照明ランプ2は、従来の110W型蛍光管の代替とされるものであり、照明ランプ用透光カバー1の全長や幅(径)は、その蛍光管に揃えられる。しかしながら照明ランプ用透光カバー1は寸法を調節するだけで、他のサイズの直管形発光源内装ランプにも制限なく利用できる。
【0028】
これらの図に示すように、照明ランプ2は、発光ダイオードよりなる複数の発光源3が直線的に配列された光源基板31を備えた本体部21に、上記照明ランプ用透光板を被せて構成されている。本体部21は、半円筒型で、アルミ等の金属よりなり、その両端に口金部4が固定されている。それぞれの口金部4には電極部41が設けられている。照明ランプ2は直流電源で駆動されるようにも、交流電源で駆動されるようにもできるが、後者の場合は、発光源3に直流電源を供給する電源回路(不図示)を本体部21に内蔵させる必要がある。
【符号の説明】
【0029】
1 照明ランプ用透光カバー
10 本体
11 レンズパターン
11a 底部領域
11b 側面領域
2 照明ランプ
21 本体部
3 発光源
31 光源基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6