特許第6139075号(P6139075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139075
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A61B5/05 382
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-185353(P2012-185353)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-42565(P2014-42565A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】古舘 直幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 沙代
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−101133(JP,A)
【文献】 特開2011−177399(JP,A)
【文献】 特開2011−161212(JP,A)
【文献】 特開2012−075509(JP,A)
【文献】 特開2006−167345(JP,A)
【文献】 特開2001−212137(JP,A)
【文献】 特開2009−160273(JP,A)
【文献】 特開2006−255189(JP,A)
【文献】 特開2003−190119(JP,A)
【文献】 MAGNETON Skyra 3T /MAGNETON Aera 1.5T 小児医療の中枢を担う専門病院でフル稼働する近未来プラットフォーム 3T/1.5T MRI,online,2011年10月,インターネット<URL:http://www.innervision.co.jp/suite/siemens/supplement/1110/index.html>及び<URL:http://www.innervision.co.jp/suite/siemens/supplement/1110/cr1/index.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20 −33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる息止め可能時間のそれぞれに撮像パラメータのパラメータ値が対応付けられた設定情報を記憶する記憶部と、
前記複数の異なる息止め可能時間のそれぞれについて、息止め可能時間と、前記設定情報において当該息止め可能時間に対応付けられているパラメータ値とを関連付けた情報を表示部に表示する表示制御部と、
前記表示部に表示された息止め可能時間のいずれかを選択する操作を受け付ける受付部と、
前記設定情報を参照して、前記操作によって選択された息止め可能時間に対応するパラメータ値を取得し、取得したパラメータ値を用いて、撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を設定する設定部と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記操作によって選択された息止め可能時間と撮像部位との組み合わせに応じて、前記パラメータ値を設定する
ことを特徴とする請求項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記操作によって選択された息止め可能時間、撮像部位、及び体軸方向の撮像領域の大きさの組み合わせに応じて、前記パラメータ値を設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記設定部は、息止め可能時間と撮像パラメータのパラメータ値との相関関係に基づいて、前記操作によって選択された息止め可能時間から撮像パラメータのパラメータ値を算出し、算出したパラメータ値を用いて、前記撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を設定することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、被検体の息止めを伴う撮像の実行タイミングを示すタイムチャートを前記表示部にさらに表示させ、前記設定部による前記パラメータ値の設定に応じて、前記タイムチャートの表示を変化させることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記設定情報に対する編集を受け付け可能な外部ファイルとして前記設定情報を記憶することを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置に関する技術として、臨床目的ごとに撮像条件をプリセットしたプロトコルを保存し、目的に応じて適切なプロトコルを読み込んで、被検体の撮像を行う技術がある。このような技術では、プリセットされる撮像条件は限定的であるため、操作者によって被検体の状況に応じて適切に調整される。その結果、操作者の知識や技量によって、撮像される画像の画質に差が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−001632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、操作者の特別な知識によらずに撮像条件を適切に設定することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置は、記憶部と、表示制御部と、受付部と、設定部とを備える。記憶部は、複数の異なる息止め可能時間のそれぞれに撮像パラメータのパラメータ値が対応付けられた設定情報を記憶する。表示制御部は、前記複数の異なる息止め可能時間のそれぞれについて、息止め可能時間と、前記設定情報において当該息止め可能時間に対応付けられているパラメータ値とを関連付けた情報を表示部に表示する。受付部は、前記表示部に表示された息止め可能時間のいずれかを選択する操作を受け付ける。設定部は、前記設定情報を参照して、前記操作によって選択された息止め可能時間に対応するパラメータ値を取得し、取得したパラメータ値を用いて、撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るMRI装置の詳細な構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る息止め設定情報の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るパラメータ調整部によるパラメータ値の調整を説明するための図(1)である。
図6図6は、第1の実施形態に係るパラメータ調整部によるパラメータ値の調整を説明するための図(2)である。
図7図7は、第1の実施形態に係るパラメータ調整部によるパラメータ値の調整を説明するための図(3)である。
図8図8は、第1の実施形態に係るMRI装置の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施形態に係る息止め設定情報の一例を示す図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図(1)である。
図11図11は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図(2)である。
図12図12は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図(3)である。
図13図13は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図(4)である。
図14図14は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図(5)である。
図15図15は、第2の実施形態に係るタイムチャート表示制御部26bによるタイムチャートの表示を説明するための図(1)である。
図16図16は、第2の実施形態に係るタイムチャート表示制御部26bによるタイムチャートの表示を説明するための図(2)である。
図17図17は、第2の実施形態に係るタイムチャート表示制御部26bによるタイムチャートの表示を説明するための図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、シーケンス制御部10、及び計算機システム20を備える。
【0008】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0009】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0010】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gss、位相エンコード用傾斜磁場Gpe及びリードアウト用傾斜磁場Groにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gssは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Gpeは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Groは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0011】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、後述する寝台制御部5による制御のもと、被検体Pが載置された状態で天板4aを傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、制御部26による制御のもと、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0012】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7から供給される高周波パルス電流によりRF(Radio Frequency)パルス(高周波磁場パルス)を発生する。送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルス電流を送信RFコイル6に供給する。受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、上記のRFパルスの影響によって被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
【0013】
受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号データを生成する。この受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによってMR信号データを生成する。このMR信号データには、前述したスライス選択用傾斜磁場Gss、位相エンコード用傾斜磁場Gpe及びリードアウト用傾斜磁場Groによって、位相エンコード方向、リードアウト方向、スライスエンコード方向の空間周波数の情報が対応付けられてk空間に配置される。そして、MR信号データを生成すると、受信部9は、そのMR信号データをシーケンス制御部10へ送信する。
【0014】
シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されるシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、被検体Pのスキャンを実行する。ここでいうシーケンス実行データとは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部7が送信RFコイル6に送信するRF信号の強さやRF信号を送信するタイミング、受信部9が磁気共鳴信号を検出するタイミングなど、被検体Pのスキャンを実行するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。なお、シーケンス制御部10は、シーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動した後に、受信部9からMR信号データが送信されると、そのMR信号データを計算機システム20へ転送する。
【0015】
計算機システム20は、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、計算機システム20は、MRI装置100が有する各部を駆動することで、被検体Pのスキャンや画像再構成などを行う。この計算機システム20は、インタフェース部21、画像再構成部22、記憶部23、入力部24、表示部25及び制御部26を有する。
【0016】
インタフェース部21は、シーケンス制御部10との間で授受される各種信号の入出力を制御する。例えば、このインタフェース部21は、シーケンス制御部10に対してシーケンス実行データを送信し、シーケンス制御部10からMR信号データを受信する。MR信号データを受信すると、インタフェース部21は、各MR信号データを被検体Pごとに記憶部23に格納する。
【0017】
画像再構成部22は、記憶部23によって記憶されたMR信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。
【0018】
記憶部23は、後述する制御部26によって実行される処理に必要な各種データや各種プログラムなどを記憶する。例えば、記憶部23は、インタフェース部21によって受信されたMR信号データや、画像再構成部22によって生成されたスペクトラムデータや画像データなどを、被検体Pごとに記憶する。この記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
【0019】
入力部24は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。この入力部24としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0020】
表示部25は、制御部26による制御のもと、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する。この表示部25としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0021】
制御部26は、図示していないCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有し、MRI装置100の全体制御を行う。この制御部26は、例えば、入力部24を介して操作者から入力される撮像条件に基づいて各種のシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信することによってスキャンを制御する。また、制御部26は、スキャンの結果としてシーケンス制御部10からMR信号データが送られた場合に、そのMR信号データに基づいて画像を再構成するよう画像再構成部22を制御する。
【0022】
以上、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成について説明した。このような構成のもと、MRI装置100は、被検体の息止め可能時間を受け付け、受け付けた息止め可能時間に応じて、被検体を撮像する際の撮像条件に含まれる撮像パラメータ値を調整する。
【0023】
従来、磁気共鳴イメージング装置に関する技術として、臨床目的ごとに撮像条件をプリセットしたプロトコルを保存し、目的に応じて適切なプロトコルを読み込んで、被検体の撮像を行う技術がある。このような技術では、プリセットされる撮像条件は限定的であるため、操作者によって被検体の状況に応じて適切に調整される。例えば、被検体の息止めを伴う撮像では、患者によって息止め可能な時間が異なる。特に高齢者の場合には、息止め可能時間は短くなる。このような場合には、息止め可能な時間に適合するように、プリセットされた撮像条件が調整される。
【0024】
ここで、一般的に、撮像にかかる時間を短くするためには、TR(repetition time:繰り返し時間)やエンコード数を小さくする必要があるが、TRやエンコード数は、それぞれSNR(Signal to Noise Ratio)や解像度とトレードオフの関係にある。操作者は、このようなMRIに関する知識に基づいて、撮像条件を適切に調整する。このため、上述した従来技術では、操作者の知識や技量によって、撮像される画像の画質に差が生じることがある。
【0025】
これに対し、本実施形態に係るMRI装置100によれば、操作者は、息止め可能時間というわかり易い指標に従って、撮像パラメータを調整することが可能になる。これにより、操作者の特別な知識によらずに撮像条件を適切に設定することができるようになる。また、この結果として、操作者に依存しない一定した画質の画像が得られるようになる。以下、本実施形態に係るMRI装置100について詳細に説明する。
【0026】
図2は、第1の実施形態に係るMRI装置の詳細な構成を示すブロック図である。図2は、図1に示した計算機システム20が有する各部のうち、インタフェース部21、記憶部23、入力部24、表示部25、制御部26を示している。
【0027】
図2に示すように、記憶部23は、プリセット情報記憶部23aと、画面定義記憶部23bと、息止め設定情報記憶部23cと、撮像条件記憶部23dとを有する。
【0028】
プリセット情報記憶部23aは、撮像目的及び撮像法ごとに複数の撮像パラメータのパラメータ値をプロトコルとしてプリセットしたプリセット情報を記憶する。なお、ここでいう撮像目的は、例えば、「高コントラスト」や「高解像度」などである。また、撮像法は、「FASE(Fast Advanced Spin Echo)」や「FSE(Fast Spin Echo)」、「FE(Field Echo)」、「SE(Spin Echo)」などである。また、撮像パラメータは、例えば、TR、TE(echo time:エコー時間)、撮像領域(Field Of View:FOV)の大きさ、スライス厚、スライス枚数、マトリクス、SPEEDER比率などである。
【0029】
画面定義記憶部23bは、撮像条件を設定するための撮像条件編集画面の形式を定義した画面定義情報を記憶する。例えば、画面定義情報は、撮像条件編集画面となるGUI(Graphical User Interface)を構成するラベルやテキストボックス、ボタンなどの構成要素の配置、ボタン上に表示される文字、各構成要素と撮像パラメータとの関係などを定義した情報である。なお、画面定義記憶部23bは、画面定義情報に対する編集を受付可能な外部ファイルとして、画面定義情報を記憶する。
【0030】
息止め設定情報記憶部23cは、複数の異なる息止め可能時間それぞれに応じて設定された撮像パラメータのパラメータ値を各息止め可能時間に対応付けた息止め設定情報を記憶する。ここで、息止め設定情報記憶部23cは、息止め設定情報をプロトコルごとに記憶する。なお、本実施形態では、息止め設定情報記憶部23cは、息止め設定情報に対する編集を受け付け可能な外部ファイルとして、息止め設定情報を記憶する。
【0031】
図3は、第1の実施形態に係る息止め設定情報の一例を示す図である。図3に示すように、例えば、息止め設定情報は、息止め可能時間(秒)と、スライス厚(m)と、スライス枚数と、PE(Phase Encode)マトリクスと、RO(Read Out)マトリクスと、SPEEDER比率とを対応付けた情報である。なお、ここでいうPEマトリクスは、位相エンコード方向のマトリクス数であり、ROマトリクスは、リードアウト方向のマトリクス数である。
【0032】
図3に示すように、例えば、息止め可能時間には、「20(秒)」、「15(秒)」、10(秒)」、「7(秒)」の4つの時間を設定する。ここで、例えば、息止め設定情報には、息止め可能時間が長くなるほど、スライス厚が小さくなり、スライス枚数が多くなるように設定する。これは、1回の息止めで同じ大きさのボリュームのデータを収集する場合に、息止め可能時間が長くなるほど、エンコード数を増やすことができるため、1回の息止めで収集可能なスライス枚数が増加し、1スライスのスライス厚が薄くなるからである。例えば、図3に示すように、息止め可能時間「20(秒)」には、スライス厚「0.003(m)」及びスライス枚数「60」を対応付け、息止め可能時間「15(秒)」には、スライス厚「0.004(m)」及びスライス枚数「45」を対応付け、息止め可能時間「10(秒)」には、スライス厚「0.005(m)」及びスライス枚数「36」を対応付け、息止め可能時間「7(秒)」には、スライス厚「0.007(m)」及びスライス枚数「25」を対応付ける。
【0033】
このように、息止め設定情報には、各撮像パラメータの相関関係やSNRや解像度などとのトレードオフを考慮して、それぞれのパラメータ値を設定しておく。なお、ここでは、息止め可能時間と、スライス厚と、スライス枚数と、PEマトリクスと、ROマトリクスと、SPEEDER比率とを息止め設定情報に設定した場合について説明したが、息止め設定情報の例はこれに限られない。例えば、これらの撮像パラメータの他に、TRやTEなどが設定されてもよい。
【0034】
図2にもどって、撮像条件記憶部23dは、被検体が撮像される際の撮像条件を記憶する。この撮像条件記憶部23dには、撮像条件として、プリセット情報記憶部23aによって記憶されたプリセット情報に基づいて設定された撮像パラメータを息止め可能時間に応じて調整した結果が保存される。
【0035】
また、図2に示すように、制御部26は、入力受付部26aと、タイムチャート表示制御部26bと、パラメータ調整部26cと、撮像実行制御部26dと、画面定義編集部26eと、息止め設定情報編集部26fとを有する。
【0036】
入力受付部26aは、入力部24を介して、操作者によって入力された各種指示や各種情報を受け付け、受け付けた各種指示や各種操作に応じた処理を行う。例えば、入力受付部26aは、撮像条件編集画面の表示要求や、プロトコルの選択、撮像の開始指示などを受け付ける。また、入力受付部26aは、撮像条件編集画面を介して、各種撮像パラメータに関するパラメータ値を受け付ける。また、入力受付部26aは、撮像条件編集画面を介して、被検体の息止め可能時間を受け付ける。
【0037】
例えば、操作者から撮像条件編集画面の表示要求を受け付けた場合には、入力受付部26aは、画面定義記憶部23bによって記憶されている画面定義情報を読み出し、読み出した画面定義情報に基づいて、表示部25に撮像条件編集画面を出力する。
【0038】
図4は、第1の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図である。例えば、入力受付部26aは、図4に示す撮像条件編集画面を表示部25に出力する。図4に示すように、例えば、撮像条件編集画面には、TRを入力するためのボックス31aと、スライス枚数を入力するためのボックス31bと、スライス厚を入力するためのボックス31cと、PEマトリクスを入力するためのボックス31dと、ROマトリクスを入力するためのボックス31eと、撮像領域の位相エンコード方向の大きさを入力するためのボックス31fと、撮像領域のリードアウト方向の大きさを入力するためのボックス31gと、SPEEDER比率を入力するためのボックス31hとが配置される。
【0039】
さらに、撮像条件編集画面には、撮像の種類を選択するためのボタン32a、32b、32c、32d及び32eが配置される。ここで、ボタン32aは、造影剤Aを用いたダイナミック撮像を選択するためのボタンであり、ボタン32bは、造影剤Bを用いたダイナミック撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン32cは、副腎のダイナミック撮像を選択するためのボタンであり、ボタン32dは、腎臓のダイナミック撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン32eは、撮像対象の部位に関するTDC(Time Density Curve)を得るための撮像を選択するためのボタンである。
【0040】
さらに、撮像条件編集画面には、選択された撮像の種類に関するタイムチャート30hを表示するためのタイムチャート領域33が配置される。例えば、息止めを伴う撮像が選択された場合は、タイムチャート領域33には、矩形状のグラフィック33a、33b及び33cを時系列に順番に並べた3つのグラフィックの組を撮像の数だけ配置したタイムチャートが表示される。ここで、グラフィック33aは、被検体に息を吸って、吐いて、止めることを指示するタイミング及び期間を示す。また、グラフィック33bは、撮像が実行されるタイミング及び期間を示す。また、グラフィック33cは、被検体にリラックスすることを指示するタイミング及び期間を示す。
【0041】
さらに、撮像条件編集画面には、息止め可能時間を選択するためのボタン34a、34b、34c及び34dが配置される。ここで、ボタン34aは、息止め可能時間として20秒を選択するためのボタンであり、ボタン34bは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンである。また、ボタン34cは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンであり、ボタン34dは、息止め可能時間として7秒を選択するためのボタンである。なお、各ボタン上には、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている設定情報において、各息止め可能時間に対応付けられている撮像パラメータのパラメータ値が表示されている。
【0042】
また、例えば、撮像条件編集画面を表示部25に出力した後に、操作者からプロトコルの選択を受け付けた場合には、入力受付部26aは、プリセット情報記憶部23aを参照して、選択されたプロトコルに対応するプリセット情報を読み出す。そして、入力受付部26aは、読み出したプリセット情報に設定されている各撮像パラメータのパラメータ値を撮像条件編集画面上に表示させる。図4に示す例では、入力受付部26aは、撮像条件編集画面上にあるボックス31aにTRの値を、ボックス31bにスライス枚数の値を、ボックス31cにスライス厚の値を、ボックス31dにPEマトリクスの値を、ボックス31eにROマトリクスの値を、ボックス31fに撮像領域の位相エンコード方向の大きさを、ボックス31gに撮像領域のリードアウト方向の大きさを、ボックス31hにSPEEDER比率の値を、それぞれ表示させる。その後、入力受付部26aは、後述するタイムチャート表示制御部26bに対して、タイムチャートの表示を指示する。これにより、撮像条件編集画面上に表示されている各撮像パラメータのパラメータ値に応じたタイムチャートが、タイムチャート領域33に表示される。
【0043】
また、例えば、撮像条件編集画面上でボタン32a〜32eのいずれかを押す操作が操作者によって行われた場合には、入力受付部26aは、後述するタイムチャート表示制御部26bに対して、タイムチャートの表示を指示する。これにより、撮像条件編集画面上に表示されている各撮像パラメータのパラメータ値に応じて、タイムチャート領域33におけるタイムチャートの表示が更新される。
【0044】
また、例えば、撮像条件編集画面上でボタン34a〜34dのいずれかを押す操作が操作者によって行われた場合には、入力受付部26aは、後述するパラメータ調整部26cに対して、パラメータ値の調整を指示する。これにより、撮像条件編集画面上に表示されている各撮像パラメータのパラメータ値が、操作者によって選択された息止め可能時間に応じて調整される。その後、入力受付部26aは、後述するタイムチャート表示制御部26bに対して、タイムチャートの表示を指示する。これにより、調整後の各撮像パラメータのパラメータ値に応じて、タイムチャート領域33におけるタイムチャートの表示が更新される。
【0045】
また、例えば、操作者から撮像条件を確定する指示を受け付けた場合には、入力受付部26aは、指示を受け付けた時点で撮像条件編集画面に表示されている各撮像パラメータのパラメータ値を撮像条件記憶部23dに保存する。
【0046】
また、例えば、操作者から撮像を開始する指示を受け付けた場合には、入力受付部26aは、撮像実行制御部26dに対して、撮像の開始を指示する。
【0047】
図2にもどって、タイムチャート表示制御部26bは、被検体の息止めを伴う撮像の実行タイミングを示すタイムチャートを表示部25に表示させる。また、タイムチャート表示制御部26bは、パラメータ調整部26cによるパラメータ値の調整に応じて、タイムチャートの表示を変化させる。
【0048】
具体的には、タイムチャート表示制御部26bは、入力受付部26aからタイムチャートの表示を指示された場合に、指示された時点で撮像条件編集画面上に表示されている各パラメータ値を用いて、被検体に呼吸を指示するタイミング及び期間、撮像が実行されるタイミング及び期間、被検体にリラックスすることを指示するタイミング及び期間を算出する。そして、タイムチャート表示制御部26bは、算出した各タイミング及び各期間に基づいて、タイムチャートを示すグラフィック33a、33b及び33cをタイムチャート領域33に表示させる。これにより、入力受付部26aからタイムチャートの表示が指示されるごとに、撮像条件編集画面上に表示されている各パラメータ値に応じて、タイムチャートの表示が変化することになる。
【0049】
パラメータ調整部26cは、入力受付部26aによって受け付けられた息止め可能時間に応じて、被検体を撮像する際の撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を調整する。
【0050】
具体的には、パラメータ調整部26cは、入力受付部26aからパラメータ値の調整を指示された場合に、息止め設定情報記憶部23cによって記憶されている息止め設定情報のうち、操作者によって選択されたプロトコルに関する息止め設定情報を参照して、入力受付部26aによって受け付けられた息止め可能時間に対応するパラメータ値を取得する。そして、パラメータ調整部26cは、取得したパラメータ値を用いて、撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を調整する。
【0051】
図5〜7は、第1の実施形態に係るパラメータ調整部26cによるパラメータ値の調整を説明するための図である。なお、ここでは、図3に示した息止め設定情報が息止め設定情報記憶部23cに記憶されている場合を例にあげて説明する。
【0052】
例えば、図5に示すように、操作者によってボタン34bが押された場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、息止め可能時間「15(秒)」に対応するスライス厚「0.004(m)」、スライス枚数「45」、PEマトリクス「170」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.5」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0053】
また、例えば、図6に示すように、操作者によってボタン34cが押された場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、息止め可能時間「10(秒)」に対応するスライス厚「0.005(m)」、スライス枚数「36」、PEマトリクス「140」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.5」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0054】
また、例えば、図7に示すように、操作者によってボタン34dが押された場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、息止め可能時間「7(秒)」に対応するスライス厚「0.007(m)」、スライス枚数「25」、PEマトリクス「140」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.5」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0055】
なお、前述したように、操作者によってボタン34a、34b、34c及び34dのいずれかが押された場合には、入力受付部26aからパラメータ調整部26cにパラメータ値の調整が指示されるとともに、タイムチャート表示制御部26bにもタイムチャートの表示が指示される。この結果、図5〜7に示すように、パラメータ調整部26cによって各撮像パラメータのパラメータ値が調整されるごとに、調整後の各撮像パラメータのパラメータ値に応じて、タイムチャート領域33におけるタイムチャートの表示が更新されることになる。
【0056】
また、本実施形態では、パラメータ調整部26cが、息止め設定情報記憶部23cによって記憶された息止め設定情報に基づいてパラメータ値を調整する場合の例について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、パラメータ調整部26cは、息止め可能時間と撮像パラメータのパラメータ値との相関関係に基づいて、入力受付部26aによって受け付けられた息止め可能時間から撮像パラメータのパラメータ値を算出し、算出したパラメータ値を用いて、撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を調整してもよい。その場合には、例えば、パラメータ調整部26cは、各撮像パラメータについて、撮像パラメータのパラメータ値と息止め可能時間との相関関係を表す計算式を定義しておき、定義された計算式を用いて、操作者によって選択された息止め可能時間から各撮像パラメータのパラメータ値を算出する。
【0057】
図2にもどって、撮像実行制御部26dは、操作者からの指示に応じて、撮像を制御する。具体的には、撮像実行制御部26dは、入力受付部26aから撮像の開始を指示された場合に、撮像条件記憶部23dに記憶されている撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、シーケンス制御部10に対して送信する。このシーケンス情報は、インタフェース部21を介してシーケンス制御部10に送信される。これにより、シーケンス制御部10によって被検体のスキャンが実行される。
【0058】
画面定義編集部26eは、操作者からの指示に応じて、画面定義記憶部23bによって記憶されている画面定義情報を編集する。具体的には、画面定義編集部26eは、入力部24を介して、撮像条件編集画面に表示させるラベルやテキストボックス、ボタンなどの構成要素の配置、ボタン上に表示される文字、各構成要素と撮像パラメータとの関係などを登録、変更又は削除する操作を操作者から受け付ける。そして、画面定義編集部26eは、操作者から受け付けた操作に応じて、画面定義記憶部23bによって記憶されている画面定義情報の内容を更新する。ここで、前述したように、画面定義情報は外部ファイルとして記憶されているので、操作者は、画面定義編集部26eによって画面定義情報を適宜に更新することで、撮像条件編集画面を生成するためのプログラムを改変することなく、撮像条件編集画面のレイアウトを変更することができる。
【0059】
息止め設定情報編集部26fは、操作者からの指示に応じて、息止め設定情報記憶部23cによって記憶されている息止め設定情報を編集する。具体的には、息止め設定情報編集部26fは、入力部24を介して、息止め設定情報を登録、変更又は削除する操作を操作者から受け付ける。そして、息止め設定情報編集部26fは、操作者から受け付けた操作に応じて、息止め設定情報記憶部23cによって記憶されている息止め設定情報の内容を更新する。ここで、前述したように、息止め設定情報は外部ファイルとして記憶されているので、操作者は、息止め設定情報編集部26fによって息止め設定情報を適宜に更新することで、息止め時間の変更や、息止め時間に対応する撮像パラメータのパラメータ値を容易に変更することができる。
【0060】
次に、第1の実施形態に係るMRI装置100の動作について説明する。図8は、第1の実施形態に係るMRI装置100の動作を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施例に係るMRI装置100では、まず、入力受付部26aが、操作者から撮像条件編集画面の表示要求を受け付けた場合に、表示部25に撮像条件編集画面を表示させる(ステップS101)。
【0061】
その後、操作者によってプロトコルが選択された場合には(ステップS102,Yes)、入力受付部26aが、プリセット情報記憶部23aを参照して、選択されたプロトコルに対応するプリセット情報を取得する(ステップS103)。そして、入力受付部26aは、読み出したプリセット情報に設定されている各撮像パラメータのパラメータ値を撮像条件編集画面上に表示させる(ステップS104)。
【0062】
その後、操作者によって撮像条件編集画面上でボタン32a〜32eのいずれかが押されることで、入力受付部26aが撮像の種類を受け付けた場合には(ステップS105,Yes)、タイムチャート表示制御部26bが、操作者によって選択された撮像の種類に対応するタイムチャートを撮像条件編集画面上のタイムチャート領域33に表示させる(ステップS106)。
【0063】
その後、操作者によって撮像条件編集画面上でボタン34a〜34dのいずれかが押されることで、入力受付部26aが息止め可能時間を受け付けた場合には(ステップS107,Yes)、パラメータ調整部26cが、息止め設定情報記憶部23cを参照して、操作者によって選択された息止め可能時間に対応する息止め設定情報を取得する(ステップS108)。そして、パラメータ調整部26cは、取得した息止め設定情報に基づいて、被検体を撮像する際の撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を調整する(ステップS109)。
【0064】
その後、操作者から撮像条件を確定する指示を受け付けた場合には(ステップS110,Yes)、入力受付部26aは、指示を受け付けた時点で撮像条件編集画面に表示されている各撮像パラメータのパラメータ値を撮像条件記憶部23dに保存する(ステップS111)。そして、操作者から撮像を開始する指示を入力受付部26aが受け付けた場合には、撮像実行制御部26dが、撮像条件記憶部23dに保存されている撮像条件に基づいて、撮像を実施する(ステップS112)。
【0065】
上述したように、第1の実施形態に係るMRI装置100によれば、操作者は、息止め可能時間というわかり易い指標に従って、撮像パラメータを調整することが可能になる。これにより、操作者の特別な知識によらずに撮像条件を適切に設定することができるようになる。また、この結果として、操作者に依存しない一定した画質の画像が得られるようになる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、息止め可能時間に応じて撮像パラメータのパラメータ値を設定する場合について説明したが、第2の実施形態では、息止め可能時間と撮像部位との組み合わせに応じて、撮像パラメータのパラメータ値を設定する場合について説明する。なお、第2の実施形態に係るMRI装置の構成は、基本的には、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成と同じであるが、息止め設定情報記憶部23cによって記憶される息止め設定情報や、入力受付部26a及びパラメータ調整部26cによって行われる処理が主に異なる。そこで、第2の実施形態では、息止め設定情報記憶部23c、入力受付部26a、パラメータ調整部26c、タイムチャート表示制御部26bにおける第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0067】
第2の実施形態では、息止め設定情報記憶部23cは、息止め設定情報として、息止め可能時間及び撮像部位ごとに撮像パラメータのパラメータ値を記憶する。
【0068】
図9は、第2の実施形態に係る息止め設定情報の一例を示す図である。図9に示すように、第2の実施形態では、息止め設定情報記憶部23cは、撮像部位と、息止め可能時間(秒)と、スライス厚(m)と、スライス枚数と、PE(Phase Encode)マトリクスと、RO(Read Out)マトリクスと、SPEEDER比率とを対応付けた情報を記憶する。
【0069】
ここで、撮像部位については、体軸方向の撮像領域の大きさでさらに分類してもよい。例えば、図9に示すように、肝臓について、体軸方向の撮像領域が23cmの場合(肝臓23cm)と、体軸方向の撮像領域が18cmの場合(肝臓18cm)とにさらに分類する。被検体の部位によっては、被検体の状況によって体軸方向の撮像領域の大きさが異なる場合もある。例えば、肝臓は、被検体が痩せているほど、体軸方向の大きさが大きくなることが知られている。そして、体軸方向の撮像領域の大きさは、スライス厚とスライス枚数との関係に影響を与えることが知られている。したがって、撮像部位を体軸方向の撮像領域の大きさに応じてさらに分類することで、より詳細に撮像パラメータのパラメータ値を定義することができるようになる。
【0070】
また、第2の実施形態では、入力受付部26aは、被検体の撮像部位をさらに受け付ける。なお、入力受付部26aは、図9に示したように、被検体の体軸方向の撮像領域の大きさに応じて撮像部位をさらに分類する場合には、被検体の体軸方向の撮像領域の大きさをさらに受け付ける。図10〜14は、第2の実施形態に係る撮像条件編集画面の一例を示す図である。例えば、入力受付部26aは、図10〜14に示す撮像条件編集画面を表示部25に出力する。
【0071】
図10〜14に示すように、例えば、撮像条件編集画面には、PEマトリクスを入力するためのボックス31dと、ROマトリクスを入力するためのボックス31eと、スライス枚数を入力するためのボックス31bと、スライス厚を入力するためのボックス31cと、SPEEDER比率を入力するためのボックス31hとが配置される。さらに、撮像条件編集画面には、選択された撮像の種類に関するタイムチャートを表示するためのタイムチャート領域33が配置される。
【0072】
そして、第2の実施形態では、撮像条件編集画面には、撮像部位ごとに定義された複数のタブが配置され、各タブ上には、息止め可能時間を選択するためのボタンと撮像の種類を選択するためのボタンが配置される。なお、図9に示したように、被検体の体軸方向の撮像領域の大きさに応じて撮像部位をさらに分類する場合には、被検体の体軸方向の撮像領域の大きさに応じて、撮像部位ごとにタブがさらに分けられる。操作者は、複数のタブの中からいずれかのタブを選択することで、撮像部位、又は、撮像部位及び被検体の体軸方向の撮像領域の大きさの組み合わせを選択することができる。
【0073】
例えば、図10に示すように、肝臓23cmに対応するタブ134上には、息止め可能時間を選択するためのボタン134a、134b、134c及び134dが配置される。ここで、ボタン134aは、息止め可能時間として7秒を選択するためのボタンであり、ボタン134bは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンである。また、ボタン134cは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンであり、ボタン134dは、息止め可能時間として20秒を選択するためのボタンである。さらに、タブ134上には、撮像の種類を選択するためのボタン134e、134f、134g及び134eが配置される。ここで、ボタン134eは、動脈相(造影直後の時相)、門脈相、平衡相をそれぞれ1時相の3時相を撮像するSingle-arterial Phase撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン134fは、動脈相を2時相、門脈相、平衡相をそれぞれ1時相の4時相を撮像するDual-arterial Phase撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン134gは、等間隔の5時相におけるTDCを得るための撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン134hは、ダイナミック撮像をオフにした画像(造影前の画像)を得るPre-dynamic撮像を選択するためのボタンである。
【0074】
また、例えば、図11に示すように、肝臓18cmに対応するタブ135上には、息止め可能時間を選択するためのボタン135a、135b、135c及び135dが配置される。ここで、ボタン135aは、息止め可能時間として7秒を選択するためのボタンであり、ボタン135bは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンである。また、ボタン135cは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンであり、ボタン135dは、息止め可能時間として20秒を選択するためのボタンである。さらに、タブ135上には、撮像の種類を選択するためのボタン135e、135f、135g及び135eが配置される。ここで、ボタン135eは、Single-arterial Phase撮像を選択するためのボタンであり、ボタン135fは、Dual-arterial Phase撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン135gは、TDCを得るための撮像を選択するためのボタンであり、ボタン135hは、Pre-dynamic撮像を選択するためのボタンである。
【0075】
また、例えば、図12に示すように、膵臓・胆嚢に対応するタブ136上には、息止め可能時間を選択するためのボタン136a、136b及び136cが配置される。ここで、ボタン136aは、息止め可能時間として7秒を選択するためのボタンであり、ボタン136bは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンである。また、ボタン136cは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンである。さらに、タブ136上には、撮像の種類を選択するためのボタン136e、136f、136g及び136eが配置される。ここで、ボタン136eは、Single-arterial Phase撮像を選択するためのボタンであり、ボタン136fは、Dual-arterial Phase撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン136gは、TDCを得るための撮像を選択するためのボタンであり、ボタン136hは、Pre-dynamic撮像を選択するためのボタンである。
【0076】
また、例えば、図13に示すように、副腎に対応するタブ137上には、息止め可能時間を選択するためのボタン137a及び137bが配置される。ここで、ボタン137aは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンであり、ボタン137bは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンである。さらに、タブ137上には、撮像の種類を選択するためのボタン137e、137g及び137hが配置される。ここで、ボタン137eは、Single-arterial Phase撮像を選択するためのボタンであり、ボタン137gは、TDCを得るための撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン137hは、Pre-dynamic撮像を選択するためのボタンである。
【0077】
また、例えば、図14に示すように、腎臓に対応するタブ138上には、息止め可能時間を選択するためのボタン138a及び138bが配置される。ここで、ボタン138aは、息止め可能時間として10秒を選択するためのボタンであり、ボタン138bは、息止め可能時間として15秒を選択するためのボタンである。さらに、タブ138上には、撮像の種類を選択するためのボタン138e、138g及び138hが配置される。ここで、ボタン138eは、Single-arterial Phase撮像を選択するためのボタンであり、ボタン138gは、TDCを得るための撮像を選択するためのボタンである。また、ボタン138hは、Pre-dynamic撮像を選択するためのボタンである。
【0078】
このように、第2の実施形態では、撮像条件編集画面上で、操作者が、複数のタブのいずれかを選択し、さらに、各タブ上に配置された息止め可能時間を選択するためのボタンを選択することで、息止め可能時間と撮像部位との組み合わせを選択することができるようにしている。
【0079】
また、第2の実施形態では、パラメータ調整部26cは、入力受付部26aによって受け付けられた息止め可能時間と撮像部位との組み合わせに応じて、被検体を撮像する際の撮像条件に含まれる撮像パラメータのパラメータ値を調整する。なお、ここでは、図9に示した息止め設定情報が息止め設定情報記憶部23cに記憶されている場合を例にあげて説明する。
【0080】
例えば、図11に示すように、肝臓18cmに対応するタブ135が表示された状態で、タブ135上に配置されたボタン135a、135b、135c及び135dのうち、ボタン135aが操作者によって押されたとする。その場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、撮像部位「肝臓18cm」及び息止め可能時間「7(秒)」に対応するスライス厚「0.007(m)」、スライス枚数「25」、PEマトリクス「132」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.4」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0081】
また、例えば、図12に示すように、膵臓・胆嚢に対応するタブ136が表示された状態で、タブ136上に配置されたボタン136a、136b及び136cのうち、ボタン136aが操作者によって押されたとする。その場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、撮像部位「膵臓・胆嚢」及び息止め可能時間「7(秒)」に対応するスライス厚「0.005(m)」、スライス枚数「26」、PEマトリクス「128」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.4」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0082】
また、例えば、図13に示すように、副腎に対応するタブ137が表示された状態で、タブ137上に配置されたボタン137a及び137bのうち、ボタン137aが操作者によって押されたとする。その場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、撮像部位「副腎」及び息止め可能時間「10(秒)」に対応するスライス厚「0.003(m)」、スライス枚数「33」、PEマトリクス「132」、ROマトリクス「288」、SPEEDER比率「2.2」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0083】
また、例えば、図14に示すように、腎臓に対応するタブ138が表示された状態で、タブ138上に配置されたボタン138a及び138bのうち、ボタン138aが操作者によって押されたとする。その場合には、パラメータ調整部26cは、息止め設定情報記憶部23cに記憶されている息止め設定情報を参照して、撮像部位「腎臓」及び息止め可能時間「10(秒)」に対応するスライス厚「0.005(m)」、スライス枚数「36」、PEマトリクス「134」、ROマトリクス「320」、SPEEDER比率「2.4」を取得し、それぞれのパラメータ値を撮像条件編集画面上の対応するボックスに表示させる。
【0084】
また、第2の実施形態では、タイムチャート表示制御部26bは、入力受付部26aによって受け付けられた息止め可能時間と撮像部位との組み合わせに応じて、表示部25にタイムチャートを表示させる。
【0085】
図15〜17は、第2の実施形態に係るタイムチャート表示制御部26bによるタイムチャートの表示を説明するための図である。なお、ここでは、肝臓18cmに対応するタブ135上で、撮像の種類を選択するためのボタン135e、135f、135g及び135hが選択された場合を例にあげて説明する。
【0086】
例えば、図15に示すように、肝臓18cmに対応するタブ135が表示された状態で、タブ135上に配置されたボタン135e、135f、135g及び135hのうち、ボタン135eが操作者によって押されたとする。その場合には、タイムチャート表示制御部26bは、ボタン135eが押された時点で撮像条件編集画面上に表示されている各パラメータ値に基づいて、タイムチャート上の動脈相、門脈相、平衡相の3時相に対応する位置に、撮像が実行されるタイミング及び期間を示すグラフィック33bを表示させる。
【0087】
また、例えば、図16に示すように、肝臓18cmに対応するタブ135が表示された状態で、タブ135上に配置されたボタン135e、135f、135g及び135hのうち、ボタン135fが操作者によって押されたとする。その場合には、タイムチャート表示制御部26bは、ボタン135fが押された時点で撮像条件編集画面上に表示されている各パラメータ値に基づいて、タイムチャート上の動脈相における2箇所、門脈相、平衡相に対応する位置に、撮像が実行されるタイミング及び期間を示すグラフィック33bを表示させる。
【0088】
また、例えば、図17に示すように、肝臓18cmに対応するタブ135が表示された状態で、タブ135上に配置されたボタン135e、135f、135g及び135hのうち、ボタン135gが操作者によって押されたとする。その場合には、タイムチャート表示制御部26bは、ボタン135gが押された時点で撮像条件編集画面上に表示されている各パラメータ値に基づいて、タイムチャート上の等間隔の5時相に対応する位置に、撮像が実行されるタイミング及び期間を示すグラフィック33bを表示させる。
【0089】
このように、第2の実施形態では、操作者が、複数のタブのいずれかを選択し、さらに、各タブ上に配置された撮像の種類を選択するためのボタンを選択することで、息止め可能時間と撮像部位との組み合わせに応じて、タイムチャートの表示が変化することになる。
【0090】
上述したように、第2の実施形態に係るMRI装置100によれば、操作者は、息止め可能時間と撮像部位というわかり易い指標に従って、撮像パラメータを調整することが可能になる。これにより、操作者の特別な知識によらずに撮像条件を適切に設定することができるようになる。また、この結果として、操作者に依存しない一定した画質の画像が得られるようになる。
【0091】
以上で説明した少なくとも一つの実施形態によれば、操作者の特別な知識によらずに撮像条件を適切に設定することができる。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)
20 計算機システム
26 制御部
26a 入力受付部
26c パラメータ調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17