特許第6139106号(P6139106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139106
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】自転車用内掛け荷籠カバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 9/00 20060101AFI20170522BHJP
   B62J 7/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B62J9/00 J
   B62J7/08 D
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-247952(P2012-247952)
(22)【出願日】2012年11月10日
(65)【公開番号】特開2014-97674(P2014-97674A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】特願2012-229344(P2012-229344)
(32)【優先日】2012年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】 常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−119162(JP,U)
【文献】 特開平08−310469(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3157058(JP,U)
【文献】 特開2002−193162(JP,A)
【文献】 特開2004−210108(JP,A)
【文献】 特開2000−264275(JP,A)
【文献】 特開2005−289346(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3117489(JP,U)
【文献】 実開昭53−100305(JP,U)
【文献】 特開2000−153791(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3133865(JP,U)
【文献】 特開2008−290557(JP,A)
【文献】 実開昭52−035039(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00
B62J 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル前方に取り付けられた荷籠又は自転車の後方荷台に取り付けられた荷籠に装着する荷籠カバーであって、
このカバーは、荷籠の内面に沿うように上方開口の袋状のものから成り、その底面部の略中央部に開閉自在の出入口部を形成し、
カバーの上方開口周縁部には、カバーが荷籠に装着された際に、荷籠の上縁部から外部の外側面に沿って荷籠の上縁部外面の全部を被覆する外面被覆部を設け、
この外面被覆部には、この外面被覆部を荷籠に固定するための固定手段又は締着手段を設け、この固定手段又は締着手段によりこのカバーが荷籠に固定され、
これにより、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が収まっている際には、カバーは荷籠の内面に沿うように配設され、荷物が荷籠から溢れ出る状態の際には、カバーを荷籠の外に引き出して荷籠から溢れた荷物を被覆できるように配設して覆い部と成し、かかる覆い部に設けられている前記出入口部を閉鎖して荷物が外部に飛び出さないようにすることができ、
前記覆い部の裏面の複数個所に両端をフリー状態とした紐部材を縫着することにより、当該覆い部を荷籠の内面に沿うように配設した状態で、前記紐部材が外側に位置して荷籠のフレームに蝶々結び状態に縛り付けられ、覆い部が荷籠に固定されることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項2】
前記カバーを荷籠の外部に引き出して覆い部と成した状態で、荷籠の内面に沿う袋状の本体部を更に付加し、
これにより、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が収まっている際には、覆い部は前記本体部の内面に沿うように配設され、荷物が荷籠から溢れ出る状態の際には、覆い部を本体部の外に引き出して荷籠から溢れた荷物を被覆でき、
更に前記本体部の側面部の外面の複数個所に紐部材を縫着し、当該紐部材を荷籠のフレームにリボンのような外観を呈するように縛り付けて当該本体部を荷籠に固定することができることを特徴とする請求項1に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項3】
前記カバーの覆い部と本体部とを別体に形成し、本体部の上縁開口部の周辺部には固定具を設けて本体部を荷籠に固定することができるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項4】
カバー本体部の少なくとも内側面及び底面の内面側に防水加工を施し、
カバー本体部の底面には雨水や塵埃等を外部に排出するための排出手段が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項5】
カバー本体部の全体又はその一部を無地の生地から形成し、前記外面被覆部及び前記覆い部を同一の模様を有する柄物布地から形成し、且つ外面被覆部の外周縁部には帯状のレース生地又はフリルを縫着したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項6】
カバー本体部の内面の全体又はその一部に保冷・保温効果を有するアルミ蒸着フィルムを接合したことを特徴とする請求項2乃至の何れか1項に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項7】
カバー覆い部の出入口部が巾着形式の絞り紐を収束させることによりその出入口部が開閉自在となっていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【請求項8】
前記外面被覆部の周縁部の全体又はその一部に挿通部を形成し、この挿通部内に締着用の紐又はゴム紐等の締着手段を挿通させて締着することにより、カバーを荷籠に固定することができることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の自転車用内掛け荷籠カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車の前又は後ろに取り付けられた荷籠に装着する荷籠カバーに関し、より詳しくは、その荷籠の内側に装着されるタイプの内掛け荷籠カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の荷籠カバーとしては、下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
これらの先行技術は、すべて本願発明者の創作に係るものであるが、その全てが荷籠の外側に被覆し、装着するものであった。
【0003】
特許文献1に記載の発明にあっては、カバー本体部の略四辺形の開口部の3辺が上方に延長し、蓋部が水平状態から斜めに傾斜した状態にまで変形し、内容積が拡張するものである。
【0004】
特許文献2に記載の考案では、カバー本体部の開口部が下面側に設けられ、その下面側にバンド部材を設け、このバンド部材の適宜位置に係止具を設けたことを特徴とするものであり、特許文献3に記載の発明は、前後方向の長さが拡縮するタイプの荷籠に装着できる荷籠カバーに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3517775号公報
【特許文献2】実用新案登録第3133865号公報
【特許文献3】特許第4948264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の荷籠カバーにおいては、上記した通り、その全てが荷籠の外側を被覆するものであった。
従って、現在各種のデザインの優れた荷籠が市販されているが、このデザインの優れた荷籠が荷籠カバーに被覆され、隠されたままとなっているのである。
【0007】
そこで、本発明においては、これら荷籠の優れたデザインを生かすような荷籠カバーを提供することをその第一の課題とするものである。
また、このデザインの優れた荷籠に相応しく、その荷籠と共にデザイン性を更に向上させるような優れたデザインの荷籠カバーを提供し、荷籠とカバーとが一体となったより優れたデザインを構成することが本発明の課題となる。
そして、上記課題を解決するために、より相応しいカバーの装着方法や固定方法を創案することがその課題となるのであるが、それと共に、荷籠内の荷物が外部に飛び出さないようにすること、盗難防止機能を付与すること、更には、カバー内部に浸入した雨水や塵埃等の排出も容易にできること等も課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル前方に取り付けられた荷籠又は自転車の後方荷台に取り付けられた荷籠に装着する荷籠カバーであって、このカバーは、荷籠の内面に沿うように上方開口の袋状のものから成り、その底面部の略中央部に開閉自在の出入口部を形成し、カバーの上方開口周縁部には、カバーが荷籠に装着された際に、荷籠の上縁部から外部の外側面に沿って荷籠の上縁部外面の全部を被覆する外面被覆部を設け、この外面被覆部には、この外面被覆部を荷籠に固定するための固定手段又は締着手段を設け、この固定手段又は締着手段によりこのカバーが荷籠に固定され、これにより、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が収まっている際には、カバーは荷籠の内面に沿うように配設され、荷物が荷籠から溢れ出る状態の際には、カバーを荷籠の外に引き出して荷籠から溢れた荷物を被覆できるように配設して覆い部と成し、かかる覆い部に設けられている前記出入口部を閉鎖して荷物が外部に飛び出さないようにすることができ、前記覆い部の裏面の複数個所に両端をフリー状態とした紐部材を縫着することにより、当該覆い部を荷籠の内面に沿うように配設した状態で、前記紐部材が外側に位置して荷籠のフレームに蝶々結び状態に縛り付けられ、覆い部が荷籠に固定されることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0009】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記カバーを荷籠の外部に引き出して覆い部と成した状態で、荷籠の内面に沿う袋状の本体部を更に付加し、これにより、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が収まっている際には、覆い部は前記本体部の内面に沿うように配設され、荷物が荷籠から溢れ出る状態の際には、覆い部を本体部の外に引き出して荷籠から溢れた荷物を被覆でき、更に前記本体部の側面部の外面の複数個所に紐部材を縫着し、当該紐部材を荷籠のフレームにリボンのような外観を呈するように縛り付けて当該本体部を荷籠に固定することができることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0010】
本発明の第3のものは、上記第2の発明において、前記カバーの覆い部と本体部とを別体に形成し、本体部の上縁開口部の周辺部には固定具を設けて本体部を荷籠に固定することができるようにしたことを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0011】
本発明の第4のものは、上記第2又は第3の発明において、カバー本体部の少なくとも内側面及び底面の内面側に防水加工を施し、カバー本体部の底面には雨水や塵埃等を外部に排出するための排出手段が設けられていることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0012】
本発明の第5のものは、上記第2乃至第4の何れかの発明において、カバー本体部の全体又はその一部を無地の生地から形成し、前記外面被覆部及び前記覆い部を同一の模様を有する柄物布地から形成し、且つ外面被覆部の外周縁部には帯状のレース生地又はフリルを縫着したことを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0013】
(削除)
【0014】
本発明の第のものは、上記第2乃至第5の何れかの発明において、カバー本体部の内面の全体又はその一部に保冷・保温効果を有するアルミ蒸着フィルムを接合したことを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0015】
本発明の第のものは、上記第1乃至第の何れかの発明において、カバー覆い部の出入口部が巾着形式の絞り紐を収束させることによりその出入口部が開閉自在となっていることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【0016】
本発明の第のものは、上記第1乃至第の何れかの発明において、前記外面被覆部の周縁部の全体又はその一部に挿通部を形成し、この挿通部内に締着用の紐又はゴム紐等の締着手段を挿通させて締着することにより、カバーを荷籠に固定することができることを特徴とする自転車用内掛け荷籠カバーである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1のものにおいては、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が溢れない状態で収まっている際には、そのカバーは、自転車のハンドル前方又は自転車の後方荷台に取り付けられた荷籠の内面に沿うように装着しておくことができる。
これにより、本発明においては、各種デザインの硬質合成樹脂製の荷籠や金属ワイヤ構成体からなる荷籠が外部に露出する状態となる。
従って、美しく優れた荷籠のデザインを外部から視認することができる。
また、荷籠カバー自体のデザインもこの外部に現われている荷籠と融合し、全体としてより優れたデザインを構成することができるのである。
【0018】
他方、荷籠に収納する荷物が荷籠から溢れ出るような状態となるときには、本発明に係るカバーを荷籠の外に引き出して、これを覆い部とすることができ、その際、この覆い部の略中央部にある出入口部を開放して、この出入口部から荷籠内に荷物を収納し、その後当該出入口部を閉鎖することにより、荷籠から溢れ出た荷物は、この覆い部により被覆されて荷籠の外部に飛び出すことが防止されるのである。
同時にこの覆い部は、盗難防止及び雨除けの効果も発揮する。
【0019】
本発明に係るカバーを荷籠に固定するためには、カバー本体部の上方開口周縁部に、荷籠の上縁部から外部の外側面に沿って荷籠の上縁部外面の全部を被覆する外面被覆部を設けており、この外面被覆部の固定手段又は締着手段によりこのカバーが荷籠に簡単に固定される。
これにより、カバー本体部が荷籠に確実にしっかりと固定されるのである。
【0020】
本発明の第2のものにおいては、上記発明に加えて、カバーを荷籠の外に引き出して覆い部とした状態で、荷籠の内面に沿う袋状の本体部を更に付加したものである。
これにより、荷籠が空のとき又は荷籠内に荷物が溢れない状態で収まる際には、覆い部は前記本体部の内面に沿うように配設され、荷物が荷籠から溢れ出る状態の際には、覆い部を本体部の外に引き出して荷籠から溢れ出た荷物を被覆できることとなるのである。
【0021】
即ち、上記第1の発明と異なるのは、荷物が荷籠から溢れる状態となるときでも、荷籠の内面に本体部が内設された状態にある点である。
換言すると、前記第1の発明においては、荷物が荷籠から溢れ出る状態のとき、その覆い部が荷籠の外に位置するために、荷籠の内面にはカバーが沿うように存在しないのであるが、他方、この第2の発明においては、荷物が荷籠から溢れ出る状態のとき、覆い部も荷籠の外に位置するのであるが、荷籠の内面には袋状のカバー本体部が沿うように存在しているものとなっている点である。
【0022】
これにより、荷籠の内部に収納される荷物は、如何なる場合においても外部から視認されることがなく、しかも、外部の荷籠は外から見ることができ、荷籠のデザインと共に荷籠カバーのデザインも一体化され、より優れた外観を呈することとなるのである。
更に同時に、如何なる場合でも、荷籠に収納される荷物は、荷籠カバーに被覆されることとなり、本発明に係る荷籠カバーは雨除け効果も発揮することとなる。
【0023】
本発明の第3のものにおいては、カバーの覆い部と本体部とを別体に形成し、それぞれ独自に荷籠に固定できるようにしたものである。
このように構成することにより、使用者の使い勝手を向上させ、何れか一方を洗濯したり、何れか一方が汚損されたりした際には容易に交換もでき、或いは異なる柄物生地を使用したりすることも可能となり、デザインの変化を楽しむこともできることとなる。
【0024】
本発明の第4のものにおいては、上記発明の効果に加えて、カバー本体部の少なくとも内側面及び底面の内面に防水加工を施し、カバー本体部の底面には雨水や塵埃等を外部に排出するための排出手段を設けたために、荷籠カバー内に雨水やゴミや塵等が浸入したとしても、カバー内に雨水等が滞留することなく、また塵埃等がこの排出手段からから外部に排出されるのである。
この排出手段は、単なる穴部であってもよいし、切れ目等であってもよい。
【0025】
本発明の第5のものにおいては、カバー本体部の荷籠内面に位置する全体又はその一部を無地の生地から形成し、前記外面被覆部及び前記覆い部を同一の模様を有する柄物布地から形成したために、外面被覆部と覆い部とが同一の模様を有し、無地の本体部と二つの異なる模様エリアを構成し、極めて目に付く、際立ったデザインを構成することとなる。
また、カバー本体部の生地は、例えば帆布(テント・キャンバス生地)等を利用することも考えられるが、このような生地を採用することによりその保形性が向上し、より荷籠の内面に相応しく適合することとなる。
【0026】
或いは、袋状の本体部は、変形可能な柔軟な生地を用いることにより、異なる形状の荷籠に内面により相応しく沿わせるようにすることもできるのである。
覆い部を不使用の際は、本体部の内部に沿うようにこの覆い部を接合させることにより、荷籠の内部と外面被覆部とが同一の模様となり、上方から荷籠全体を見た際に、その外面被覆部と内部に配された覆い部とが同じ模様となり、優れたデザイン効果を発揮することとなる。
【0027】
更に、本発明においては、外面被覆部の外周縁部に帯状のレース生地又はフリルを縫着しているため、そのデザインは更に可愛いものとなるのである。
いわば、籐籠に美しい布地が敷き詰められ、その布地の周縁部にはレースがあしらわれた如き外観を呈し、非常にデザイン性の優れた荷籠及び荷籠カバーの組合せとなるものである。
【0028】
尚、上記本発明の第1のものにおいては、カバー本体部の外表面の適宜位置に複数の固定手段を設け、これらの固定手段によりカバー本体部が荷籠のフレームにより相応しく固定されることとなる。
この固定手段をリボンを形成できる紐で構成、この紐を荷籠フレームに巻き付けて蝶々結びを、この固定手段がリボンの外観を呈し、カバー本体部の外表面に幾つかのリボンが配された状態で固定されることとなる。
【0029】
本発明の第のものにおいては、カバー本体部の内面の全体又はその一部に保冷・保温効果を有するアルミ蒸着フィルムを接合したことを特徴とするものであり、これにより、例えば買い物をした冷凍食品や冷蔵を要とする食品等が運搬中に極めて好適な状態で保持される荷籠カバーとなるのである。
【0030】
本発明の第のものにおいては、カバー覆い部の出入口部が巾着形式の絞り紐を収束させることにより開閉するように形成しているために、仮に荷籠内の荷物が荷籠の開口部から溢れ出そうになったとしても、この覆い部により被覆され、保持されることとなる。
また、この覆い部は、巾着形式であるために、その出入口が容易に絞り紐によって収束でき、その開閉が容易なものとなる。
これにより飛び出し防止及び盗難防止効果を発揮する。
【0031】
本発明の第のものにおいては、カバーの外面被覆部の周縁部の全体又はその一部に挿通部を形成し、この挿通部内に締着用の紐又はゴム紐等の締着手段を挿通させて締着することにより、カバーを荷籠に簡単に固定することができることとなるである。
この締着手段は、種々異なる形態のものを採用することができるが、より簡易な手段を特定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る荷籠カバーを自転車の荷籠に装着固定した状態の第1実施形態を示す斜視図であって、覆い部を荷籠内面に接合した状態を示している。
図2】上記実施形態の背面図である。
図3】上記実施形態の平面図である。
図4】巾着形式の覆い部を上方に引き出し、その出入口部を開放してその内部を見た状態の平面図である。
図5】本発明に係る雨水や塵埃等の排出手段の他の実施形態を示す断面図である。
図6】前記実施形態に係る荷籠カバーを自転車用荷籠に装着し固定した状態で、しかもその内部に荷物を収納した状態を図示する斜視説明図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る荷籠カバーを図示しており、その(A)がカバーの覆い部を荷籠の外側に出した状態を示し、その(B)がカバーの覆い部を荷籠の内面に沿うように配設した状態を図示している。
図8】本発明の第3の実施形態に係る荷籠カバー40を示しており、その分解状態を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る荷籠カバーを自転車の荷籠に装着固定した状態の第1実施形態を示す斜視図であって、覆い部を荷籠内面に接合した状態を示している。
本発明に係る内掛け荷籠カバー10は、自転車の荷籠30の内面に配設される本体部11と、本体部11の開口周縁部から荷籠30の上縁部の外面側に折曲し延長する外面被覆部12と、本体部11の開口縁部から上方に延長し、巾着形式の覆い部13と、前記外面被覆部12の外周縁部に縫着されたレース生地15とから構成されている。
【0034】
この図1では、巾着形式の、つまりその出入口部が絞り紐によって収束されて開閉される覆い部13が、荷籠30の内面側に、即ちカバー本体部11の側に接合するように配設されている状態である。
また、この図から解る通り、外面被覆部12と覆い部13とは同じ模様を有する布地から形成されている。
【0035】
レース生地の部分は、これをフリル状の布地に代えて実施することもできる。
これにより、荷籠30の内部と荷籠30上端の周縁部外面が同じ模様の布地から構成され、自転車の荷籠のデザインと共にその内面とその開口周縁部外周が模様のある布地で装飾され、極めてデザイン性の優れた外観を呈することとなるのである。
【0036】
図2は、上記実施形態の背面図である。
この図から見て取れるように、前記外面被覆部12の外周縁部に挿通部12sを設け、この挿通部12s内に締着紐12h、12hを挿通させ、これら締着紐12h、12hを引き絞ることによって、外面被覆部12の周縁部が収束されて確実に本発明に係る荷籠カバー10が荷籠30に固定されるのである。
尚、この挿通部12sは、外面被覆部12の外周縁部の全体に設けてもよいし、その一部分に設けるのも自由である。
【0037】
図3は、上記実施形態の平面図である。
この図から解る通り、覆い部13が荷籠30の内面側に接合され、つまりカバー本体部11の内側に沿うように接合されている。
これが荷物を収納していない状態であり、荷籠30の内面と荷籠の上縁部の外側に同じ模様の布地が配設された状態である。
【0038】
次図で説明するが、カバー本体部11の底面には、雨水や塵埃等を排出させるための排水手段としての排出用穴部21が設けられている。
図4は、巾着形式の覆い部13を上方に引き出し、その出入口部を開放してその内部を見た状態の平面図である。
【0039】
この図4から解る通り、カバー本体部11は、荷籠の内面に配設され、そのそれぞれの側面部11sが荷籠の各側面部内面に接合し、その底面11bが荷籠の底面部内側に接合している。
この底面部11bの図中上寄りに排出用穴部21が設けられている。
この排出用穴部21を設ける位置は、底面部11bの何れの位置でもよい。
【0040】
この排出用穴部21は、カバー本体11内に浸入した雨水や塵埃等を外部に排出するために利用される。
この排出用穴部21は、メッシュ生地を配設して形成している。
カバー本体部11は、テントキャンバス(帆布)を利用して縫製したものであり、少なくともその内側の全体に防水処理が施されたものを使用している。
このように帆布等の厚手生地を使用したのは、それが保形性を有するためである。
【0041】
勿論、カバー本体部11の外側面にも防水処理又は防水加工を施しておくのも自由である。また、本体部は変形可能な柔軟な生地から形成することもできる。
排出用穴部21を設ける位置も全く自由に設計することができる。
排出用穴部は、このような形態でなく、カバー本体部11の底面11bの全体に小孔を多数穿設する形態を採用することもできる。
【0042】
図5は、この雨水や塵埃等の排出手段の他の実施形態を示す断面図である。
この実施形態では、排出手段として、単に切れ目19によって形成している。
この切れ目19は、カバー本体部11の底面部11bを2枚の生地から形成し、これら2枚の生地を前後方向に配設して、その境界部で重ね合わせるように構成して、上方側の生地11cを矢印方向の上方にめくり上げることにより、切れ目19が現われ、この切れ目19から荷籠カバー内部に浸入した雨水や塵埃等を外部に排出することが出来ることとなるのである。
この切れ目19を設ける位置は自由であり、また、この切れ目19は、横方向でも縦方向(前後方向)であってもよいものであり、それを設ける方向は全く自由である。
【0043】
図6は、上記実施形態に係る荷籠カバーを自転車用荷籠に装着し固定した状態で、しかもその内部に荷物を収納した状態を図示する斜視説明図である。
本発明にあっては、荷籠カバー10の覆い部13を巾着形式に形成しているために、内部に収納する荷物は、荷籠の内容積を超えて収納しても何ら問題はないものである。
【0044】
このように、本発明に係る内掛け荷籠カバー10内に荷物を収納して覆い部13の上端の出入口部を絞り紐13sによって収束して荷物が荷籠の内容量以上に収納される。
この状態でよく解る通り、覆い部13と外面被覆部12とが同じ一つの模様から構成され、荷籠30のステンレス製ワイヤが外部に現われて全体で一つのデザインを構成することができ、しかも、外面被覆部12の外周縁部にはレース生地15があしらわれて極めて意匠性に富んだ外観を呈することとなるのである。
【0045】
最近の市場においては、プラスチック製の非常にデラックスなチャイルドシートやこれを組み合わせた荷籠等が流行している。
これらデザインの優れた荷籠の全体を荷籠カバーが被覆してしまうのではなく、荷籠の外観を外部から視認しつつ本発明に係る荷籠カバーを装着することによりその全体がより優れたデザイン性を発揮するものとなるのである。
【0046】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る荷籠カバーを図示しており、その(A)が、カバーの覆い部を荷籠の外側に出した状態を示し、その(B)がカバーの覆い部を荷籠の内面に沿うように配設した状態を図示している。
本実施形態に係る荷籠カバー20では、上記の第1実施形態と異なり、本体部を有しておらず、覆い部23と、外面被覆部22と、レース生地25とから構成されている。
【0047】
荷籠30に荷物が収納されていないとき、或いは、荷籠30内に荷物が溢れない状態で収納されるときに、本発明に係る荷籠カバー20は、その覆い部23を、図7(B)に示した通り、荷籠30の内面に沿うように配設するのである。
このとき、覆い部23の出入口部23dの開閉状態は自由である。
【0048】
そして、荷籠30の上端周縁部から外側に折り返されて荷籠の上端周縁部の外側に沿うように配設される外側被覆部22の周縁部の挿通部に配設される締着紐によってカバー20が荷籠30に固定される構成は、上記第1実施形態と同じである。
レース生地25の部分も、フリルに変更できることも上記第1実施形態と同じである。
【0049】
荷籠内から荷物が溢れ出る状態のときには、カバー20の覆い部23を荷籠の内部から外側に引き出して図7(A)の状態とする。
そして、覆い部23の出入口部23dから内部に荷物を収納させ、その後に覆い部23の出入口部23dの開口周縁部に挿通されている絞り紐23s、23sを相互に反対方向に引つ張り、巾着袋の開閉口のように出入口部23dを収束閉鎖して荷物を荷籠内に収納することができる。
【0050】
これにより、荷物は荷籠30から外部に飛び出さないようにすることができる。
勿論、カバー20の覆い部23、外面被覆部22及びレース生地25と、荷籠30との外観が一体となって意匠効果を向上させている点については、上記第1実施形態と同じである。
【0051】
尚、図には表現していないが、覆い部23の裏面の複数個所に両端をフリー状態にした紐部材を縫着しておくのも自由である。
これにより、覆い部23を荷籠30の内面に沿わせるように配設した状態(図7(B))で、紐部材が外側に位置して荷籠30のフレームに蝶々結び状態に縛り付けることができる。これにより紐部材がリボンの如き外観を呈し、且つ、この紐部材が固定手段ともなるのである。
【0052】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る荷籠カバー40を示しており、その分解状態を図示したものである。
この荷籠カバー40の構成は、上記第1の実施形態と同様に、本体部41と、荷籠の上端開口縁部の外側面を被覆する外面被覆部42と、外面被覆部42の外周縁部に設けたフリル45と、覆い部43とから形成されている。
【0053】
外面被覆部42の周縁部に設けた固定手段又は締着手段は、上記第1実施形態と同じである。
この第3実施形態において、上記第1形態と異なる点は、本体部41と覆い部43とが別体に形成され、レース生地をフリル45に変更している点である。
【0054】
このように、この第3実施形態においては、本体部41と覆い部43(及び外面被覆部42)とを別体に形成した点が特徴となる。
従って、本体部41の上端の外周の周辺部には、複数の係止具41kを設けている。これらの係止具41kにより、本体部41が図示はしていない荷籠のフレームに係止されことなるのである。
【0055】
この係止具41kは、合成樹脂又は金属製のフック形状のものであればよく、更には、この係止具41kは、単なる紐部材により縛り付ける形式のものであってもよい。この係止具41kが本体部41を荷籠に固定する固定具となるのである。
勿論、この固定具は、上記係止具41k以外のものを採用することができ、単なる紐部材でもよく、或いは、外面被覆部42の周縁部と同じ構成、即ち、挿通部と締着紐から形成することもできる。
【0056】
このように、本体部41と覆い部43とを別体にしたことにより、両者を異なる模様や柄とすることができ、何れかが汚れた際には、片方ずつ洗濯することもでき、また、異なる模様や柄物と交換することも可能となり、そのデザインの変更を容易なものとし、種々楽しめる興趣に富むものとなるのである。
【0057】
尚、この第3実施形態においては、本体部41としては、変形可能な柔軟な素材からなる生地を使用し、種々の形態の荷籠に好適に沿い、配設できるものを使用している。
また、本体部41の外周面の適宜複数個所に上記のようなリボンを形成できる紐部材としての固定具を設けるのも自由である。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその形態を種々変更することができる。
本発明においては、デザインの都合上、覆い部と外面被覆部とを同じ模様の布地を使用してデザイン性を高めることを意図しているが、これらの部分に施す色相や模様等は自由に選択することができる。
【0059】
外面被覆部の外周縁部に設けるレース生地も、これをフリル形式とすることもでき、これによりデラックス化が図れる。
カバー本体部の側面部及び底面部の外面に縛り紐やゴム紐或いはフック等を設けて、これらを荷籠の側面部や底面部のフレームに締着又は引っ掛けて固定できるようにすることもできる。
【0060】
このように、カバー本体部の側面部の外面に紐を縫着して、これらを荷籠のワイヤ部やネット部に縛り付けてリボンのような外観を呈するようにすることも可能である。これによりその外観がより可愛いものとなるのである。
上記実施形態では、カバー本体部を無地の帆布を使用したが、この色相を変えることも自由であるし、上記した通り、帆布以外の柔軟な生地を用いて形成することもできる。
覆い部の外面に防水処理を施すことも自由である。
【0061】
本発明においては、上記した通り、カバーを荷籠に固定するに当たり、外面被覆部の外周縁部の挿通部に締着紐を挿通して、この締着紐を引き絞り縛り付けることにより固定を行っているが、この締着手段又は固定手段は全く自由に設計することが出来る。
上記のような締着紐によらず、単に、外面被覆部を荷籠の前面及び両側面の適宜部位にまで設け、その外面被覆部両端部同士を帯状部材によって相互に縛りつけ固定することができるように構成することもできるのである。
要は、この固定手段又は締着手段は、荷籠の上端開口縁部に設けたカバーの外面被覆部の部位で荷籠の上端開口縁部の周囲を囲繞するように縛り付ける又は引き絞る形態で固定できるものであれば、どのような構成であってもよいものである。
【0062】
更に、本発明においては、カバー本体部の内面の全体又はその一部に保冷・保温効果を有するアルミ蒸着フィルムを接合することもできるのである。
このようにすることにより、本発明に係る荷籠カバー使用者が買い物をした際に、例えば冷凍食品や冷蔵を要とする食品等がその中に含まれているような場合には、帰宅するまでの間の運搬中に極めて好適な状態で当該食品が保持されることとなるのである。
そして、これらの冷凍食品等により、包装フィルムや包装パックに結露した水分は、荷籠カバーの底面部に設けた排出手段により容易に外部に排出されることとなるのである。
【0063】
以上、本発明は、簡易な構成であるが、カバーの開口上縁に荷籠の上縁部外面を被覆する外面被覆部を折り返すように設け、この外面被覆部の外周縁部に挿通部を設けて締着用紐等を配設してカバーを適切に荷籠に固定でき、覆い部を設けたものとして使用することもでき、この覆い部と前記外面被覆部の模様を同一とすることにより、その外観のデザイン性を向上させ、更には、この外面被覆部の外周縁部にはレース生地等をも設けることにより、より可愛らしさを発揮させた自転車用内掛け荷籠カバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0064】
10、20、40 荷籠カバー
11、41 カバー本体部
11b 底面部(本体部の)
11s 側面部(本体部の)
12、22、42 外面被覆部
12h 締着紐
12s 挿通部
13、23、43 覆い部
13s、23s、43s 絞り紐
15 レース生地
19 切れ目
21 排出用穴部
23d 出入口部
30 荷籠
41k 係止具(固定具)
45 フリル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8