【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による新しいプレートは、例えば少なくとも1つの加熱要素を覆うか収容するためのガラスセラミック製プレート、その中でも特に調理プレートとして使用するためのガラスセラミック製プレートであり、このプレートは、少なくとも2つの対照的な領域を有するコーティングを備えている。
【0009】
このプレートは透明または半透明なガラスセラミックをベースとしていて、コーティングは、その下にある停止中の要素(例えば加熱要素や、場合によっては存在する表示板)の少なくとも一部を隠すことを目的としているが、その要素が作動中はその要素を検出できるようになっていることが好ましい。上記の領域は、例示した目的に応えられるように選択されており、この目的のために特にコントラストを有する(または並置することで対立を目立たせる)。コントラストは、以下に説明するように、さまざまな方法で実現できる(無光沢効果/光沢効果の並置、厚さの違いなど)。
【0010】
一般に、上記領域の1つ(または以下に詳しく説明する領域群)が背景領域と呼ばれる領域を構成し、コーティングの表面の大半(一般に50〜99%)を占めていて、好ましくはプレートが覆わねばならない加熱
要素の重要部を隠すことを目的としている。他方の領域(または背景領域と対照的な他方の領域群)は、信号領域と呼ばれる領域であることが好ましく、背景領域との対照で、装飾、および/または表示(商標、ロゴ、シンボルなど)、および/または機能要素の位置(例えば加熱要素、制御装置、表示板など)を目立たせることができる。この領域により、これらの要素が作動中であるかないかを検出することもできる(この後者の領域で覆われた表面は、一般に、コーティングの表面の1〜50%である)。今後は、領域という用語は(プレート上に存在しているそれぞれのカテゴリーの領域の数によるが)、はっきりと区画された単一の領域(この領域がそのカテゴリーの中の唯一のものである場合)だけでなく、(領域相互の間、または領域群相互の間に求められるコントラストとの関係で)同じカテゴリーの複数の区画された領域が存在している場合に同じように覆われている領域群、または同じ効果を有する領域群も意味するものとする。
【0011】
(コーティング付着前の)プレートを形成するガラスセラミック製土台または裸の基板は、すでに指摘したように透明または半透明であることが好ましく、一般に、(照明D
65による可視光の波長領域である0.38μm〜0.78μmで積分した)光透過率T
Lは50%を超える(特に50〜90%になる)。コーティング(と、あとで説明する、このコーティングを構成する層)は、コーティングを有する本発明のプレートが、背景領域において非常に小さな光透過率(特に5〜10%未満であり、ほぼゼロであるか、ゼロのことさえある)を持つように選択することが好ましい。それに対して信号領域のほうは、光透過率を例えば20%未満(特に0.2〜20%)、特に10%未満(特に0.5〜10%)にすることができる。
【0012】
対照的な複数の領域を有するコーティングは、主としてプレートの同じ1つの面に(好ましくはその面にだけ)存在していることが望ましい。そしてその面は、作動中の1つまたは複数の加熱要素のほうを向いて(またはその加熱要素と向かい合って)いる面であることが望ましい(一般に下面または内面と呼ばれる面)。
【0013】
本発明では、対照的な2つの領域は、光沢効果、または反射効果、または鏡面効果を有する少なくとも1つの領域(今後は反射領域と呼ぶ)と、(相対的に)無光沢効果を有する(特に、不透明化効果、または少なくとも一部を隠す効果を有する)少なくとも1つの領域(今後は無光沢領域と呼ぶ)であることが好ましい。同様に好ましい別の一実施態様では、対照的な2つの領域は、コーティングの厚さが異なる領域であり、より厚い領域が例えば上記の無光沢領域の役割を果たし、より薄い領域が上記の反射領域の役割を果たす。
【0014】
非光沢領域(またはより厚い領域)は、背景領域と呼ばれる領域であることが好ましく、反射領域(またはより薄い領域)のほうは、信号領域と呼ばれる領域を構成することが好ましい。
【0015】
本発明のプレートは、技術に関しても美観に関しても多数の利点を持っており、その利点は以下の説明にも現われることになろう。このプレートにより、特に、付随する加熱要素、制御装置、表示板が作動していないときにそれらを隠すことと、作動しているときに利用者がまぶしく感じることなくそれらを確認することが可能になる。必要な場合には、停止中の要素を隠して作動中の要素の確認を可能にする反射領域は、赤色の光を出すインディケータを使用できない通常の不透明なプレートまたは暗い色のプレートとは異なり、(期間、強度などの)インディケータ(例えばさまざまな色の発光ダイオード)を利用できるという利点も有する。
【0016】
本発明のプレートは実用的であり、しかも清掃が簡単である。下面全体にコーティングを配置すると、美しくない光学的効果(例えば二重画像)を必要に応じて避けると同時に、使用位置にあるプレートの露出面(利用者のほうを向いた外面または上面)を清掃したときにコーティングが摩耗するという問題を避けることができる。プレートの構成要素も、機械的抵抗力と熱に対する抵抗力が優れていて、下にある加熱要素(例えば誘導による電気加熱要素、または場合によっては普通のガスバーナなどの他のタイプの要素)とともに使用できるようなものを選択する。
【0017】
ガラスセラミック製プレートとは、以下の説明では、本来の意味のガラスセラミックからなるプレートだけでなく、高温に耐えられて膨張係数がゼロであるかほぼゼロである(例えば15×10
−7/K)他の同様のあらゆる材料も意味する。しかし本来の意味のガラスセラミックでできたプレートが好ましい。
【0018】
コーティングは、上記の層を形成するように堆積された少なくとも2つの層で形成されていることが好ましい。一方の層は、高温に耐えられる(一般に樹脂をベースとする)塗料層と呼ばれる層であることが好ましく、一般に背景領域だけを覆っている。他方の層は、反射層、または前者よりも薄い塗料層であることが好ましく、一般に少なくとも信号領域を覆っている。
【0019】
使用する塗料層を選択するにあたっては、高温に耐えられて、色に関してとプレートへの付着力に関して経時安定性があり、プレートの機械的特性に影響を与えないものを選択することが望ましい。
【0020】
使用する塗料は、分解温度が350℃を超えること、特に350℃〜500℃であることが望ましい。塗料は、一般に樹脂をベースとしており、必要に応じて添加剤(例えば顔料または着色剤)を含んでいるため、ガラスセラミックに付着させるために場合によっては希釈して粘性率を調節する。希釈剤または溶媒(例えばホワイト・スピリット、トルエンなど)は、あとで塗料を加熱するときに必要に応じて除去される。
【0021】
塗料としては、例えば、少なくとも1種類のシリコーン樹脂(特に少なくとも1種類のアルキド樹脂)を組み込むことによって修飾したシリコーン樹脂をベースとした塗料が可能である。着色剤として顔料を添加することもできる。顔料としては、エナメル処理のための顔料(例えば金属酸化物を含む化合物であるクロム酸化物、銅酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物などの中から、またはクロム酸銅、クロム酸コバルトなどの中から選択する)、TiO
2などがある。
【0022】
使用する塗料は、高温に耐えられる(特に分解温度が400℃を超える)少なくとも1種類の(コ)ポリマーを含んでいること(またはそのような(コ)ポリマーをベースとしていること)が特に好ましい。この塗料は、付着力、および/または機械的補強、および/または着色を確実にするための少なくとも1種類の無機添加剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。この(コ)ポリマーまたは樹脂としては、特に、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフッ化樹脂、ポリシロキサン樹脂のうちの1つまたは複数のものが可能である。
【0023】
ポリシロキサン樹脂が特に好ましい。この樹脂は無色であるため、着色しやすい(例えば添加剤または顔料を用いてこの樹脂を望む色にすることができる);この樹脂は、(一般に、一般式の中にSiOH基および/またはSiOMe基を持っているために(これらの基は、樹脂の全重量の1〜6重量%含まれていることが最も多い))架橋化可能な状態または変換された状態(架橋化または熱分解された状態)で使用できる。この樹脂は、一般式の中に、フェニル単位、エチル単位、プロピル単位、ビニル単位のいずれかを有することが好ましく、フェニル単位および/またはメチル単位を有することが非常に好ましい。この樹脂は、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、フェニルメチルシロキサン・ポリマー、ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン・コポリマーの中から選択することが好ましい。
【0024】
使用するのが好ましい架橋化可能なポリシロキサン樹脂は、一般に平均重量分子量(Mw)が2,000〜300,000ダルトンである。
【0025】
例示すると、ダウ・コーニング(登録商標)804、805、806、808、840、249、409 Hs、418 Hs、ロディア社のRhodorsil(登録商標)6405、6406、ジェネラル・エレクトリック・シリコーン社のTriplus(登録商標)、ヴァッカー・ヘミー社のSILRES(登録商標)604といった樹脂を単独で、または混合物として使用したものが完全に適しているが、これですべてではない。
【0026】
このようにして選択した樹脂(特に上記のポリシロキサン樹脂)は、特に誘導加熱に耐えられ、他のタイプの加熱にも適している。他のタイプの加熱としては、ガスバーナによる加熱のほか、放射熱やハロゲン・ランプによる加熱さえ挙げられる。
【0027】
塗料は、特に薄いままである場合には無機添加剤を含んでいなくてもよい。しかし一般にはそのような無機添加剤を使用して、堆積された塗料層を機械的に補強したり、この層の付着力を大きくしたり、プレートへの固着力を大きくしたり、内部に亀裂が出現したり伝播したりしないようにする。このような目的で、無機添加剤の少なくとも一部は薄層構造を有することが好ましい。添加剤は、着色にも使用できる。必要な場合には複数のタイプの相補的な添加剤を使用することができる(例えば機械的補強のための着色されていない添加剤や、他の添加剤(着色のための顔料など))。無機添加剤の有効量は、一般に、(添加剤と塗料の全体積に対する割合が)10〜60体積%、さらに特定するならば15〜30体積%に対応する。
【0028】
堆積された各塗料層の厚さは1〜100ミクロン、特に5〜50ミクロンである。塗料または樹脂は、適切な任意の方法で付着させることができる。例えばブラシを用いた堆積、へらを用いた堆積、吹き付け、静電塗装、浸漬、カーテン・コーティング、セリグラフィによる堆積などの方法があるが、セリグラフィによる堆積(または場合によってはへらを用いた堆積)が好ましい。
【0029】
堆積の後に熱処理を実施し、堆積された層の乾燥、架橋、熱分解などを場合に応じて確実に実現することができる。
【0030】
本発明のコーティングは、少なくとも1つの塗料層を含んでいることが好ましい。この層の中では、樹脂の少なくとも一部が、部分的にまたは完全に架橋および/または熱分解している、および/または熱処理されていない(樹脂は、熱処理されていない場所では必要に応じて除去されるようにすることが可能である)。この塗料層は、一部または全体が、a)無機添加剤と、b)炭素含有材料の前駆体が(ほとんど)含まれていない少なくとも1種類の架橋可能なポリシロキサン樹脂、および/または炭素含有材料と炭素含有材料の前駆体が(ほとんど)含まれていない少なくとも1種類の架橋したポリシロキサン樹脂、および/またはシリカをベースとしていて炭素含有材料が(ほとんど)含まれていない多孔性無機マトリックス(樹脂は、例えば熱分解されているため無機化された状態で存在している)との混合物からなる。この混合物において、無機添加剤は、樹脂またはマトリックスの中に分散されている。
【0031】
本発明で必要な場合に用いられる反射層に関しては、例えば、複数の薄い層、または複数の薄い層の積層体をベースとするか、効果をもたらす顔料を含むことで鏡面効果またはキラキラ光る効果を有する層にすることができる。
【0032】
特に好ましい第1の実施態様によれば、金属タイプの少なくとも1つの(下)層および/または誘電性材料をベースとした少なくとも1つの(下)層で形成された少なくとも1つの反射層を使用する。この反射層は、一般に鏡面効果を有することが好ましい。
【0033】
したがってこの層は、例えば少なくとも1つの単なる金属層または金属が主体の層(例えばAg、W、Ta、Mo、Ti、Al、Cr、Ni、Zn、Fe、またはこれら金属のうちのいくつかをベースとした合金からなる薄い層、またはステンレス鋼をベースとした薄い層など)にするか、1つまたは複数の金属層を含む複数の(下)層からなる積層体にすることができる。その金属層(または金属が主体の層)は、例えば誘電性材料をベースとした少なくとも1つの層(例えば、Si
3N
4(特にSi
3N
4/金属/Si
3N
4積層体)またはSiO
2からなる少なくとも1つの保護層で覆われた、銀またはアルミニウムからなる少なくとも1つの層)によって(少なくとも1つの面、好ましくは互いに反対側の2つの面が覆われて)保護されていることが望ましい。
【0034】
あるいは屈折率nが大きくて1.8を超える(1.95よりも大きいことが好ましく、2を超えることが特に好ましい)誘電性材料をベースとした単層のコーティングも可能である。例として、TiO
2、Si
3N
4、TiN、SnO
2などからなる単層がある。
【0035】
好ましい別の一実施態様では、反射層は、屈折率が大きな(すでに説明したように1.8を超えることが好ましく、1.95、あるいは2達することもある)誘電性材料と、屈折率が小さな(1.65未満が好ましい)誘電性材料を交互にしたものがベースとなった複数の薄い(下)層の積層体で形成される。このような材料は特に金属酸化物(または金属窒化物または金属オキシナイトライド)のタイプの材料であり、TiO
2、SiO
2、酸化物の混合物(スズ−亜鉛、亜鉛−チタン、ケイ素−チタンなど)、合金などが挙げられる。必要な場合に最初に堆積されるためにプレートの内面に存在する(下)層は、屈折率の大きな層である。
【0036】
(下)層のための屈折率の大きな材料としては、例えばTiO
2や、場合によってはSnO
2、Si
3N
4、Sn
xZn
yO
z、TiZnO
x、Si
xTi
yO
z、ZnO、ZrO
2、Nb
2O
5などが挙げられる。(下)層のための屈折率の小さな材料としては、例えばSiO
2や、場合によってはケイ素オキシナイトライドおよび/またはケイ素オキシカーバイド、ケイ素酸化物とアルミニウム酸化物の混合物、MgF
2やAlF
3などのフッ化化合物が挙げられる。
【0037】
積層体は、例えば少なくとも3つの(下)層を含んでいることが望ましく、望ましい反射は、その積層体のさまざまな層を組み合わせた作用によって生じる。基板に最も近い層は屈折率が大きな層であり、中間層は屈折率が小さな層であり、外側層は、屈折率が大きな層である(例えば以下の酸化物層を交互に含む積層体:(基板)− TiO
2/SiO
2/TiO
2)。
【0038】
堆積された各反射層の(幾何学的)厚さは一般に15〜1000nmであり、その中でも特に20〜1000nmである(基板の厚さは一般に数mmであり、約4mmであることが最も多い)。複数の(下)層によって(一般に層の積層体の形態に)形成された反射層の場合、その積層体の各(下)層の厚さは5〜160nm、一般には20〜150nmの範囲で変えることができる(例えばTiO
2/SiO
2/TiO
2積層体の場合、望む外観をどちらか言うと銀にするか金にするかに応じ、TiO
2層とSiO
2層それぞれの厚さを数十nmのオーダー(例えば60〜80nmのオーダー)にするか、TiO
2層に関しては厚さを60〜80nmのオーダーにし、SiO
2層に関しては厚さを130〜150nmにするとよい)。
【0039】
反射層は、一般に、セラミック化した後のプレートに(例えばそのプレートを切断および/または加工した後)、一回で、または繰り返して付着させることができる。反射層は、特に、熱分解によって(粉末、液体、気体の場合)、または蒸着によって、またはスパッタリングによって付着させることができる。反射層は、スパッタリングおよび/または真空蒸着法および/またはプラズマ支援法によって堆積させることが好ましい。その中でも、特に磁場(と直流または交流)を利用した
陰極スパッタリング(例えばマグネトロン
陰極スパッタリング)による層の堆積法が利用される。酸化物または窒化物は、必要な場合には酸化環境または窒化環境(必要な場合にはアルゴン/酸素混合物、またはアルゴン/窒素混合物)のもとで、金属、合金、シリカ、セラミックなどからなる適切なターゲットから堆積される。例えば酸化物層は酸素の存在下にて、窒化物は窒素の存在下にて、問題の金属の反応性スパッタリングによって堆積させることができる。SiO
2またはSi
3N
4にするには、十分に導電性にするためアルミニウムなどの金属をわずかにドープしたシリカからなるターゲットから出発するとよい。本発明で選択した(下)層は基板の表面に非常に一様に凝縮し、分離や剥離は起こらない。
【0040】
本発明の別の一実施態様では、反射層は、効果をもたらす顔料(金属的な顔料、真珠光沢の顔料、干渉性の顔料など)を含む層にすることができる。顔料は、必要な場合には適切な媒体に溶かしたものを用いる。この層は、一般に、キラキラした効果を呈する。この層は、溶融シリカ、フリット、融解ガラス(一般に、エナメル処理のためのフリットで使用される酸化物の中から選択した酸化物(例えばケイ素酸化物、亜鉛酸化物、ナトリウム酸化物、ホウ素酸化物、リチウム酸化物、カリウム酸化物、カルシウム酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、アンチモン酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物など)を含むガラス化可能な混合物)のいずれかをベースとしていることが好ましく、効果をもたらすのに用いる顔料は、金属酸化物で覆われたアルミニウム酸化物(Al
2O
3)の薄片の形態であることが望ましい。例えば、メルク社が“Xirallic(登録商標)”という商標で市販している顔料が挙げられる。それは、顔料または干渉性顔料TiO
2/Al
2O
3(Xirallic(登録商標)T−50−10SWクリスタル・シルバー、Xirallic(登録商標)T−60−20SWサンビーム・ゴールド、Xirallic(登録商標)T−60−21SWソラリス・レッド、Xirallic(登録商標)T−60−23SWギャラクシー・ブルー、Xirallic(登録商標)T−60−24SWステラー・グリーン)や、顔料Fe
2O
3/Al
2O
3(Xirallic(登録商標)T−60−50SWファイアサイド・カッパー、Xirallic(登録商標)F−60−51ラジアント・レッド)などである。
【0041】
効果をもたらす使用可能な他の顔料は、例えば、酸化物(例えばTiO
2、Fe
2O
3、Cr
2O
3などの中から選択される)または酸化物の組み合わせで被覆されたマイカ粒子をベースとした真珠光沢の顔料であり、例えばメルク社がIRIODIN(登録商標)という商標で市販しているものがある。従来からある着色用の添加剤または他の顔料も、効果をもたらす上記の顔料に組み込むことができる。効果をもたらす顔料の割合は、例えば、その顔料を組み込むことになるベース(溶融シリカ、フリット、融解ガラス)に対して約1〜30重量%にすることができる。層は、特にセリグラフィによって堆積させるとよい(必要な場合には、あとの焼成段階で一般に除去される適切な媒体の中で、ベースと顔料を懸濁液にする。この媒体は、特に、溶媒、希釈液、油、樹脂などを含むことができる)。層の厚さは、例えば1〜6μmである。
【0042】
すでに指摘したように、本発明のプレートは、透明または半透明なガラスセラミックをベースとしていて、無光沢効果を有する上に定義した塗料から形成した背景領域を有するとともに、鏡面効果のある上に定義した反射層から形成されている信号領域か、場合によっては背景領域よりも薄くて上に定義した塗料で形成されている信号領域を有するコーティングを下面に備えることが好ましい。
【0043】
本発明のプレートは、一般に、滑らかな2つの面を持っていて下面に突起がないプレートである。
【0044】
本発明のプレートは、必要な場合には機能要素または補助的付属物(枠、コネクタ、ケーブル、制御要素、表示板(例えば“7セグメント”発光ダイオード)、タッチ式電子制御パネル、ディジタル・ディスプレイなど)を備えること(または付随させること)ができ、場合によっては、上記の互いに対照的な領域に加え、特に装飾用、補助用の1つまたは複数の領域を備えることができる。しかしその領域のサイズは限られていることが好ましい。
【0045】
コーティングは、プレート上で見分けることのできるそれぞれの領域において一般に連続だが、堆積がより薄くなった(例えば斑点部、メッシュ部といったタイプの)場所がいくつか存在していてもよい。しかしこのような場所の被覆率は大きいままであることが好ましい(ほぼ100%)。
【0046】
本発明のプレートは、その下にある誘導加熱要素と組み合わされることが好ましい。誘導加熱による調理オーブンは公知であり、一般に、導電線からなるコイルで構成された自己インダクタンス装置(または電磁石)に接続された変換器(または発電機)からなる。変換器が発生させる高周波電流が通過することによって生じる電磁場が、プレートの上に置かれた道具の金属製底部にフーコー電流を発生させるため、その道具を素早く加熱することができる。プレートの温度変化と最高温度は、他の加熱要素(例えばハロゲン・ランプや放射熱による加熱要素)で観察されるよりも小さい。そのため本発明のプレートはこの加熱方式に特に適しており、コーティングが受ける熱衝撃はより小さく、長期の間にコーティングが損傷する可能性もより小さい。
【0047】
本発明のプレートは、光学的特性と安全性に関する条件を満たしており、熱衝撃などに対する抵抗力が優れている。本発明のプレートは、好ましいことに、内部に1つまたは複数の加熱要素(例えば電磁石)が配置された絶縁性支持体に、利用者から見える装置内部を隠すことを目的とした複雑な介在物なしに取り付けることができる。
【0048】
本発明は、本発明のプレート(例えばレンジ、嵌め込み式調理プレート)を少なくとも1つ備える調理装置および/または高温維持装置にも関する。本発明には、プレートを1枚だけ備える調理装置や、複数のプレートを備えていて、それぞれのプレートに火口が1つだけ、または火口が複数ある装置も含まれる。“火口”という用語は、調理がなされる位置を意味する。本発明は、調理プレートが複数のタイプの火口を備える複合調理装置にも関する。
【0049】
さらに、本発明の基本的な問題は調理プレートへの応用に関係しているとしても、本発明がレンジまたは調理テーブルのための調理プレートの製造法に限定されることはない。本発明に従って製造したプレートは、温度変化をほとんど受けてはならない他のプレートとしても使用できる。
【0050】
本発明は、本発明のプレートの製造方法も目的とする。
【0051】
ガラスセラミック製プレートの製造は、一般に、以下のようにしてなされる。選択した組成のガラスを融解炉の中で融解させてガラスセラミックを形成し、次いでその融解したガラスを圧延ロールの間を通過させることによって圧延して標準的なストリップまたは薄片にし、そのガラス製ストリップを望むサイズに切断する。次に、このようにして切断したプレートを公知の方法でセラミック化する。セラミック化は、プレートを選択した熱プロファイルに従って焼成してそのガラスを“ガラスセラミック”と呼ばれる多結晶材料にすることからなる。ガラスセラミックは、膨張係数がゼロであるかほぼゼロであり、700℃までの熱衝撃に耐える。セラミック化は、一般にガラス転移領域に近い核化領域まで温度を徐々に上昇させるステップと、数分間で核化領域を通過させるステップと、安定したセラミック化温度になるまで新たに温度を徐々に上昇させるステップと、その安定したセラミック化温度を数分間にわたって維持するステップと、その後周囲温度まで急速に冷却するステップを一般に含んでいる。
【0052】
この方法は、一般に、例えば水の噴流によって切断する操作の後、必要に応じて加工する操作(研削、面取りなど)を含んでいる。
【0053】
本発明によるプレートの製造方法は、裸のガラスセラミック製プレートの1つの面(作動中に下面となる面が好ましい)に、少なくとも1つの第1の領域を形成する少なくとも1つの第1の層(または(下)層群)を付着させ、その中に1つまたは複数のエナメルなしの部分(または除外部)を設け、そのエナメルなしの部分を、第1の領域とは対照的な少なくとも1つの第2の領域を形成する少なくとも1つの第2の層(または(下)層群)で覆うことを特徴とする。
【0054】
特に、形成する層の組成に応じ、当業者に知られている公知の任意の方法で層を付着させる。可能なさまざまな付着法の例はすでに示した。堆積は、層のタイプに応じ、セラミック化の前(例えばセラミック化の間に焼成できる層の場合)または後(塗料と、すでに説明した、金属タイプの層、または誘電性材料をベースとした層の場合に好ましい)に、(例えばプレートの切断および/または加工の後に)一回だけまたは反復して実施することができる。
【0055】
エナメルなしの部分を形成するには、(堆積させる層のタイプと、堆積手段の精度に応じ)さまざまな手段を利用できる。エナメルなしの部分は、堆積法(セリグラフィ)によって残すこと、または(例えば鋼板などからなる)十分なマスクを取り付けて残すことができる。エナメルなしの部分に層を堆積させた後、洗浄、切除、研磨などによって除去することもできる。例えば塗料を堆積させて望む部分だけを硬化または架橋させ、残りの部分を洗浄によって除去することや、金属タイプまたは誘電性材料をベースとした層を堆積させた後、レーザー切除や研磨などの手段によってその層にエナメルなしの部分を形成することができる。
【0056】
第2の層の堆積に関しては、(例えば適切な堆積手段またはマスクを用いて)除外部またはエナメルなしの部分にだけ堆積させること、またはプレートの非常に広い部分、特にプレート全体に堆積させることができる。
【0057】
例えば本発明の方法の好ましい一実施態様によれば、例えばセリグラフィによって(1回または数回の操作により、すなわち1つまたは複数の下層として、エナメルなしの部分を設けつつ)塗料の第1の層、その中でもすでに挙げた(無光沢の)塗料の層を付着させ、次いでその塗料を熱処理または焼成処理し、必要に応じてプレートを洗浄した後、第2の層(または(下)層群)を付着させ、すでに覆われている領域とエナメルなしの部分の全体を、
陰極スパッタリング(マグネトロン
陰極スパッタリングの場合には、プレート全体への堆積が実際にはより容易である)により、鏡面効果を有する少なくとも1つの反射層で覆う。
【0058】
別の一実施態様では、堆積の順序を逆転させることができる。例えば、プレートの下面で選択的にエナメルなしの部分が設けられた位置にマスクを取り付けた後、そのプレートの下面に少なくとも1つの連続した反射層を堆積させ、マスクを除去し、必要な場合には他のマスクですでに覆われている部分を再び覆い、次いで塗料を付着させる。塗料は、得られる最終的なプレート上で反射層によって覆われていない領域だけを覆うことが望ましい。
【0059】
本発明は、上に規定したガラスセラミック製プレートを製造するため、セリグラフィによる少なくとも1つのコーティング装置と、少なくとも1つの
陰極スパッタリング装置とを備える装置も目的とする。
【0060】
以下の実施例は添付の図面と合わさって本発明を示しているが、本発明の範囲がこの実施例に限定されることはない。