(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高温媒体の熱を利用して蒸気を発生させる蒸気受熱部および前記高温媒体の熱を利用して液相媒体を加熱する液相媒体受熱部を有する熱交換通路部と、前記熱交換通路部をバイパスして前記高温媒体を流通させるバイパス通路部と、前記高温媒体が流通する流路を前記熱交換通路部に切換える第1の切換位置および前記バイパス通路部に切換える第2の切換位置に切換自在な第1の切換手段とを備えた熱回収器と、
それぞれに冷媒および吸着剤が収容され、蒸発凝縮部によって加熱される前記冷媒の蒸発作用により冷房能力を発揮させるとともに、蒸発した前記冷媒を前記吸着剤に吸着し、かつ、前記吸着剤を加熱することにより、前記吸着剤に吸着していた前記冷媒を脱離する第1の吸着器および第2の吸着器と、
前記第1の吸着器の前記吸着剤および前記蒸気受熱部との間で前記蒸気媒体を循環させる第1の蒸気循環部と、
前記第2の吸着器の前記吸着剤および前記蒸気受熱部との間で前記蒸気媒体を循環させる第2の蒸気循環部と、
前記第1の吸着剤および前記液相媒体受熱部との間で前記液相媒体を循環させる第1の液相媒体循環部と、
前記第2の吸着剤および前記液相媒体受熱部との間で前記液相媒体を循環させる第2の液相媒体循環部と、
前記蒸気受熱部および前記第1の蒸気循環部を連通する第1の連通位置と、前記蒸気受熱部および前記第2の蒸気循環部を連通する第2の連通位置とに切換自在な第2の切換手段と、
前記液相媒体受熱部および前記第1の液相媒体循環部を連通する第1の連通位置と、前記液相媒体受熱部および前記第2の液相媒体循環部を連通する第2の連通位置とに切換自在な第3の切換手段と、
前記蒸気受熱部を開放する開放位置および前記蒸気受熱部を閉塞する閉塞位置との間で開閉自在な開閉手段とを含んで構成されることを特徴とする吸着式空調装置。
冷房運転モードが設定され、かつ、前記吸着剤の昇温速度が高い急速冷房を行う急速冷房モードに移行するときに、前記第1の切換手段を前記第1の切換位置に切換えるとともに、前記開閉手段を前記開放位置に切換える切換制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の吸着式空調装置。
前記切換制御手段は、前記冷房運転モードが設定され、かつ、前記吸着剤の昇温速度が前記急速冷房モードよりも低い強冷房モードに移行するときに、前記第1の切換手段を前記第1の切換位置に切換えるとともに、前記開閉手段を前記閉塞位置に切換えることを特徴とする請求項2に記載の吸着式空調装置。
前記切換制御手段は、前記熱回収器による熱回収を行わない非熱回収モードに移行したときに、前記第1の切換手段を前記第2の切換位置に切換えるとともに、前記開閉手段を前記閉塞位置に切換えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の吸着式空調装置。
前記切換制御手段は、前記液相媒体の温度が予め定められた所定温度未満であることを条件として、前記急速冷房モードに移行することを特徴とする請求項2に記載の吸着式空調装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る吸着式空調装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜
図8は、本発明に係る吸着式空調装置の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、吸着式空調装置1は、2つの吸着器2A、2Bを有しており、2つの吸着器2A、2Bを交互に作動させることにより、連続的に冷房能力を発生するようにしている。本実施の形態の吸着式空調装置1は、吸着器2Aが第1の吸着器を構成し、吸着器2Bが第2の吸着器を構成している。
【0026】
吸着器2A、2Bは、内部が略真空に保たれた状態で冷媒(例えば、水)W1が封入されたステンレス製のケーシング3A、3Bと、ケーシング3A、3Bに収納され、液相媒体とケーシング3A、3B内の冷媒W1との間で熱交換を行う蒸発凝縮部としての蒸発凝縮配管4A、4Bと、ケーシング3A、3Bに封入(収容)された吸着剤5A、5Bを冷却または加熱する吸着配管6A、6B、7A、7B等を含んで構成されている。
【0027】
吸着剤5A、5Bは、例えば、シリガゲル、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等から構成されている。また、ケーシング3A、3Bに封入される冷媒は、水に限定されるものではない。
【0028】
吸着剤5A、5Bは、雰囲気中の冷媒湿度(関係湿度)に応じて冷媒を吸着または脱離するものであり、冷媒湿度(関係湿度)が大きくなる程、冷媒(水分)の吸着量が大きくなり、冷媒湿度(関係湿度) が小さくなる程、冷媒(水分)の吸着量が小さくなる特性を有している。
【0029】
このため、吸着剤5A、5Bを加熱すると、吸着剤5A、5Bの表面近傍における関係湿度が上昇して吸着可能な水分量を低下して吸着していた水分が脱離蒸発する。すなわち、吸着剤5A、5Bは、周囲から吸熱しながら吸着していた水分を脱離放出する。
【0030】
また、蒸発凝縮配管4A、4Bは、内部を液相媒体が流通するようになっている。本実施の形態では、液相媒体は、後述するエンジン9を冷却水するための冷却水から構成されている。なお、液相媒体は、冷却水に限定されるものではない。
【0031】
吸着配管6A、6B、7A、7Bは、アルミニウム等の金属製の配管から構成されており、吸着配管6A、6Bの内部を冷却水が流通するとともに、吸着配管7A、7Bの内部を蒸気媒体が流通するようになっている。
【0032】
吸着配管6A、6Bは、冷却水管8に接続されるようになっており、この冷却水管8は、内燃機関であるエンジン9に設けられたウォータジャケットおよびメインラジエータ10に接続されている。
【0033】
また、冷却水管8上にはウォータポンプ11aおよびサーモスタット11bが設けられており、このウォータポンプ11aが作動されることにより、冷却水が吸着配管6A、6B、冷却水管8、エンジン9およびメインラジエータ10の間で循環され、メインラジエータ10によって空気と熱交換された冷却水が吸着配管6A、6Bに供給される。ウォータポンプ11aは、例えば、エンジン9のクランクシャフトによって駆動される機械式のウォータポンプから構成されている。
【0034】
また、サーモスタット11bは、エンジン9の暖機運転時等のように冷却水管8を流れる冷却水の温度が低い場合にメインラジエータ10をバイパスして冷却水管8とエンジン9との間で冷却水を循環させるように切換制御される。
【0035】
サーモスタット11bは、冷却水の温度に応じて変位するサーモワックスを有し、サーモワックスの変位に応じてエンジン9とメインラジエータ10を連通および非連通に切換える切換バルブを備えたサーモアクチュエータ等から構成される。また、サーモスタット11bは、サーモアクチュエータに限定されるものではない。
【0036】
また、吸着配管6A、6Bは、冷却水管12に接続されるようになっており、この冷却水管12は、サブラジエータ13に接続されている。サブラジエータ13は、送風ファン13aを備えており、外気と冷却水との間で熱交換を行うことにより、冷却水を冷却するようになっている。
ここで、説明の便宜上、
図1ではサブラジエータ13を2つ描いているが、サブラジエータ13は、1つである。なお、サブラジエータ13は、2つに独立して設けられてもよい。
【0037】
冷却水管12には電動式のウォータポンプ14が設けられており、ウォータポンプ14が作動することにより、冷却水が吸着配管6A、7Aおよびサブラジエータ13の間で循環され、サブラジエータ13によって空気と熱交換された冷却水が吸着配管6A、6Bに供給される。
【0038】
また、冷却水管8および冷却水管12と吸着配管6A、6Bとの間には、第3の切換手段としての電磁式の4方バルブ15が介装されている。
【0039】
この4方バルブ15は、冷却水管8と吸着配管6Aとを連通するとともに冷却水管12と吸着配管6Bとを連通する第1の連通位置と、冷却水管8と吸着配管6Bとを連通するとともに冷却水管12と吸着配管6Aとを連通する第2の連通位置との間で切換自在となっている。
【0040】
また、蒸発凝縮配管4A、4Bは、冷却水管16に接続されるようになっており、この冷却水管16は、サブラジエータ13に接続されている。冷却水管16には電動式のウォータポンプ17が設けられており、ウォータポンプ17が作動することにより、冷却水がサブラジエータ13と蒸発凝縮配管4A、4Bとの間で循環され、サブラジエータ13によって空気と熱交換された冷却水が蒸発凝縮配管4A、4Bに供給されるようになっている。
【0041】
また、蒸発凝縮配管4A、4Bは、冷却水管18に接続されるようになっており、この冷却水管18は、室内熱交換器19に接続されている。この冷却水管18上には電動式のウォータポンプ23が設けられており、ウォータポンプ23の作動により蒸発凝縮配管4A、4B、冷却水管18および室内熱交換器19との間で冷却された冷却水が循環するようになっている。
【0042】
この室内熱交換器19は、吸着器2A、2Bによって発生した冷房能力により冷却されて蒸発凝縮配管4A、4Bを流れる冷却水と室内に吹き出す空気とを熱交換し、空調風を冷却するようになっている。
【0043】
この室内熱交換器19は、空調風の通路を形成する空調ケーシング20内に配設されており、空調ケーシング20の空気流れ上流側には、例えば、遠心式送風機21が配設され、この遠心式送風機21によって冷却水と空気とが熱交換された冷却風が室内に導入される。
【0044】
また、冷却水管16および冷却水管18と蒸発凝縮配管4A、4Bとの間には電磁式の4方バルブ22が介装されている。この4方バルブ22は、冷却水管16と蒸発凝縮配管4Aとを連通するとともに冷却水管18と蒸発凝縮配管4Bとを連通する第1の切換位置と、冷却水管16と蒸発凝縮配管4Bとを連通するとともに冷却水管18と蒸発凝縮配管4Aとを連通する第2の切換位置との間で切換自在となっている。
【0045】
また、吸着式空調装置1は、熱回収器としての排熱回収器31を備えており、この排熱回収器31は、エンジン9の排気管32上に設けられている。この排熱回収器31は、排気管32に接続される排気管部33を備えており、排気管部33の内部は、仕切部材34によって熱交換通路部としての受熱通路35と受熱通路35からバイパスされたバイパス通路部としてのバイパス通路36とに仕切られている。
【0046】
受熱通路35およびバイパス通路36には排気管32を通してエンジン9から排出される高温媒体としての排気ガスが流通するようになっている。また、仕切部材34の排気ガスの排気方向の下流端には第1の切換手段としての切換バルブ37が設けられており、この切換バルブ37は、例えば、電磁式のアクチュエータ37a等によって駆動されることにより、排気ガスが流通する流路を受熱通路35に切換える第1の切換位置およびバイパス通路36に切換える第2の切換位置に切換自在となっている。
【0047】
また、受熱通路35の排気ガスの排気方向上流側には蒸気受熱部としての蒸気配管38が設けられており、この蒸気配管38には液相媒体、例えば、水W2が充填されている。水W2は、水W2の水面が蒸気配管38の底部から一定の高さまでとなるように蒸気配管38内に収容されている。また、本実施の形態の液相媒体は、水であるが、水に限定されるものではない。
【0048】
受熱通路35には液相媒体受熱部としての冷却水管39が設けられており、この冷却水管39は、蒸気配管38に対して排気ガスの排気方向下流側に位置している。この冷却水管39は、フランジ部39aを介して冷却水管8に接続されており、冷却水管39および冷却水管8は、エンジン9の冷却水が循環するようになっている。
【0049】
また、冷却水管39は、冷却水管8を介して吸着配管6A、6Bに連通している。このため、4方バルブ15は、冷却水管8を介して冷却水管39を吸着配管6Aに連通する第1の連通位置および冷却水管8を介して冷却水管39を吸着配管6Bに連通する第2の連通位置に切換えられることになる。
【0050】
一方、蒸気配管38は、第2の切換バルブとしての電磁式の3方バルブ41を介して吸着配管7A、7Bに接続されている。この3方バルブ41は、蒸気配管38と吸着配管7Aとを連通する第1の連通位置および蒸気配管38と吸着配管7Bとを連通する第2の連通位置に切換自在となっている。
【0051】
また、蒸気配管38上には開閉手段としての例えば、電磁式の蒸気バルブ42が設けられており、この蒸気バルブ42は、蒸気配管38を開放する開放位置と蒸気配管38を閉塞する閉塞位置との間で開閉自在となっている。
【0052】
このため、蒸気バルブ42が閉塞されると、蒸気配管38と吸着配管7A、7Bとの連通が遮断される。また、蒸気バルブ42が開放されると、蒸気配管38と吸着配管7Aおよび吸着配管7Bとのいずれか一方が3方バルブ41を介して連通される。
【0053】
蒸気配管38と吸着配管7Aおよび吸着配管7Bとのいずれか一方が3方バルブ41を介して連通されると、受熱通路35に流通する高温の排気ガスの熱と蒸気配管38内の水W2とが熱交換されて蒸気配管38に蒸気が発生する。この蒸気は、蒸気配管38と吸着配管7Aおよび吸着配管7Bのいずれか一方との間を循環することにより、吸着剤5Aまたは吸着剤5Bを加熱することになる。
【0054】
また、蒸気配管38の下流側に位置する冷却水管39を流れる冷却水は、受熱通路35を流れる高温の排気ガスと熱交換されて昇温される。冷却水が昇温されると、昇温された冷却水が、冷却水管39と吸着配管6Aおよび吸着配管6Bのいずれか一方との間を循環することにより、吸着剤5Aまたは吸着剤5Bを加熱することになる。したがって、吸着剤5A、5Bは、高温の冷却水および冷却水よりもさらに高温の蒸気によって加熱されて再生されることになる。
【0055】
本実施の形態の吸着式空調装置1は、吸着配管6Aおよび冷却水管8が、第1の液相媒体循環部を構成し、吸着配管6Bおよび冷却水管8が、第2の液相媒体循環部を構成している。また、吸着配管7Aが第1の蒸気循環部を構成し、吸着配管7Bが第2の蒸気循環部を構成している。
【0056】
図2に示すように、送風ファン13a、ウォータポンプ14、17、23、4方バルブ15、22、遠心式送風機21、アクチュエータ37a、3方バルブ41および蒸気バルブ42は、ECU(Electronic Control Unit)43によって駆動されるようになっている。
【0057】
また、車室内のインストルメントパネル等には冷房スイッチ44が設けられており、ECU43は、冷房スイッチ44が操作されると、冷房運転モードが設定されたものと判断して遠心式送風機21を駆動するようになっている。遠心式送風機21が駆動されると、室内熱交換器19によって熱交換された冷気が室内に導入される。
ECU43は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。このECU43は、CPUがROMに格納された冷房プログラムに基づいて、冷房スイッチ44および水温センサ45の検出情報を取得し、この検出情報に基づいて送風ファン13a、ウォータポンプ14、17、23、4方バルブ15、22、遠心式送風機21、アクチュエータ37a、3方バルブ41、蒸気バルブ42を制御する。
【0058】
また、ECU43には水温センサ45から情報が入力されるようになっている。水温センサ45は、例えば、冷却水管8に設けられており、水温センサ45は、冷却水管8を流れる冷却水温を検出してECU43に検出情報を出力する。
【0059】
ECU43は、水温センサ45からの検出情報に基づき、冷房スイッチ44が操作されたときの冷却水温の温度が予め定められた所定温度T1℃よりも低いものと判断した場合には、急速冷房モードに移行する。
【0060】
ECU43は、急速冷房モードに移行する場合に、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第1の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を開放位置に切換える。
【0061】
また、ECU43は、水温センサ45からの検出情報に基づき、冷房スイッチ44が操作されたときの冷却水温の温度が予め定められた所定温度T1℃以上で、かつ予め設定された設定温度T2℃未満であることを条件として、強冷房モードに移行するようになっている。
ECU43は、強冷房モードに移行する場合に、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第1の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換える。
【0062】
また、ECU43は、水温センサ45からの検出情報に基づき、冷房スイッチ44の操作如何にかかわらず、冷却水温の温度が設定温度T2℃以上であることを条件として、非熱回収モードに移行するようになっている。ここで、非冷房時には、ECU43は、遠心式送風機21の作動を停止する。
【0063】
ECU43は、排熱回収器31による冷却水の熱回収を行わない非熱回収モードに移行する場合に、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第2の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換える。
本実施の形態の吸着式空調装置1は、ECU43、冷房スイッチ44および水温センサ45が切換制御手段を構成している。また、所定温度T1℃および設定温度T2℃は、ECU43のROMに記憶されている。
【0064】
次に、作用を説明する。
(強冷房モード)
まず、
図3、
図4に基づいて強冷房モードにおける吸着式空調装置1の動作を説明する。この強冷房モードは、冷房能力が急速冷房モードよりも低く、吸着剤5A、5Bの昇温速度を急速冷房モードよりも低く設定するモードである。
【0065】
車両の搭乗者によって冷房スイッチ44が操作されると、ECU43は、水温センサ45の検出情報に基づいてエンジン冷却水温が所定温度T1℃以上でかつ、設定温度T2℃未満であるか否かを判別する。ECU43は、エンジン冷却水温が所定温度T1℃以上でかつ、設定温度T2℃未満であるものと判断すると、ウォータポンプ14、17、23および遠心式送風機21を作動させて冷却水および空気を流通させる。
【0066】
また、
図3に示すように、ECU43は、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換えるとともに、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第1の切換位置に切換える。さらに、4方バルブ15を第1の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第2の連通位置に切換える。
【0067】
このため、冷却水管39が冷却水管8を介して吸着配管6Aに連通されるとともに、サブラジエータ13が冷却水管12を介して吸着配管6Bに連通される。このため、冷却水管39を流れる冷却水が受熱通路35を流れる排気ガスの熱を受けて昇温し、矢印A1で示すように、高温の冷却水が冷却水管39、冷却水管8および吸着配管6Aの間で循環する。
【0068】
また、A2で示すように、サブラジエータ13によって冷やされた低温の冷却水がサブラジエータ13、冷却水管12および吸着配管6Bの間で循環する。また、蒸発凝縮配管4Bが冷却水管18を介して室内熱交換器19に連通するため、A3で示すように、蒸発凝縮配管4B、冷却水管18および室内熱交換器19との間で冷却水が流通する。
【0069】
さらに、蒸発凝縮配管4Aが冷却水管16を介してサブラジエータ13に連通するため、A4で示すように、蒸発凝縮配管4A、冷却水管16およびサブラジエータ13の間で低温の冷却水が連通する。
【0070】
このとき、吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bには、室内に吹き出す空気により加熱された冷却水が循環するので、ケーシング3A内の冷媒W1が蒸発するとともに、この冷媒W1の蒸発時の蒸発潜熱により蒸発凝縮配管4Bで冷却された冷却水と外気とが熱交換され、室内に吹き出す空気が冷却される。
【0071】
これと同時に、吸着器2Bのケーシング3B内では、吸着剤5Bが蒸発した蒸発冷媒を吸着して蒸発を促進する。このとき、吸着剤5Bは、蒸発冷媒を吸着する際に熱(凝縮熱)を発生するとともに、吸着剤5Bの温度が上昇すると、水分の吸着能力が低下するため、サブラジエータ13と吸着配管6Bとの間で冷却水を循環させて吸着剤5Bの温度上昇を抑制する。
【0072】
一方、吸着器2Aの吸着配管6Aには排気ガスによって昇温されたエンジン冷却水が流入するため、ケーシング3A内の吸着剤5Aが加熱され、吸着剤5Aは、吸着していた水分を放出(脱離)する。
【0073】
このとき、吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aにはサブラジエータ13によって冷却された冷却水が流通しているので、吸着剤5Aから脱離した水蒸気は、蒸発凝縮配管4Aによって冷却されて凝縮することで、吸着剤5Aが再生される。
このように吸着器2B側においては、冷媒の蒸発および蒸発媒体の吸着が行われ、一方、吸着器2A側においては、吸着していた水分の脱離および蒸発媒体の冷却凝縮が行われる。
【0074】
したがって、吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bは、液相冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aは、蒸発冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。ここで、蒸発凝縮配管4Bが蒸発器として機能し、蒸発凝縮配管4Aが凝縮器として機能するときの冷却水の流れる状態を第1の状態という。
【0075】
また、強冷房モードでは、蒸気配管38で熱交換が行われないため、排気ガスと冷却水管39を流れる冷却水との間で効率よく熱交換を行うことができ、排気ガスの熱の回収量を多くすることができる。このため、冷却水の昇温速度を早くすることができる。
【0076】
また、非冷房時におけるエンジン9の暖機運転時には、冷却水の温度の昇温速度を早くすることができるため、エンジン9の暖機時間を短くすることができ、エンジン9のピストン等の摺動部材のフリクションロスを低減してエンジン9の燃費が悪化するのを抑制することができる。
【0077】
次いで、ECU43は、第1の状態が一定時間以上経過した場合に、すなわち、吸着剤5Aの再生が終了すると、
図4に示すように、4方バルブ15を第2の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第1の連通位置に切換える。
【0078】
このため、冷却水管39が冷却水管8を介して吸着配管6Bに連通されるとともに、サブラジエータ13が冷却水管12を介して吸着配管6Aに連通される。このため、冷却水管39を流れる冷却水が受熱通路35を流れる排気ガスの熱を受けて昇温し、矢印B1で示すように、高温の冷却水が冷却水管39、冷却水管8および吸着配管6Bの間で循環する。
【0079】
また、矢印B2で示すように、サブラジエータ13によって冷やされた低温の冷却水がサブラジエータ13、冷却水管12および吸着配管6Aの間で循環する。また、蒸発凝縮配管4Aが冷却水管18を介して室内熱交換器19に連通するため、矢印B3で示すように、蒸発凝縮配管4A、冷却水管18および室内熱交換器19との間で冷却水が流通する。
【0080】
さらに、蒸発凝縮配管4Bが冷却水管16を介してサブラジエータ13に連通するため、矢印B4で示すように、蒸発凝縮配管4B、冷却水管16およびサブラジエータ13の間で低温の冷却水が連通する。
【0081】
このとき、吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aには、室内に吹き出す空気により加熱された冷却水が循環するので、ケーシング3B内の液相冷媒が蒸発するとともに、この液相冷媒の蒸発時の蒸発潜熱により蒸発凝縮配管4Aで冷却された冷却水と外気とが熱交換され、室内に吹き出す空気が冷却される。
【0082】
これと同時に、吸着器2Aのケーシング3A内では、吸着剤5Aが蒸発した蒸発冷媒を吸着して蒸発を促進する。このとき、吸着剤5Aは、蒸発冷媒を吸着する際に熱(凝縮熱)を発生するとともに、吸着剤5Aの温度が上昇すると、水分の吸着能力が低下するため、サブラジエータ13と吸着配管6Aとの間で冷却水を循環させて吸着剤5Aの温度上昇を抑制する。
【0083】
一方、吸着器2Bの吸着配管6Bには排気ガスによって昇温されたエンジン冷却水が流入するため、ケーシング3B内の吸着剤5Bが加熱され、吸着剤5Bは、吸着していた水分を放出(脱離)する。
【0084】
このとき、吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bにはサブラジエータ13によって冷却された冷却水が流通しているので、吸着剤5Bから脱離した水蒸気は、蒸発凝縮配管4Bによって冷却されて凝縮することで、吸着剤5Bが再生される。
このように吸着器2A側においては、冷媒の蒸発および蒸発媒体の吸着が行われ、一方、吸着器2B側においては、吸着していた水分の脱離および蒸発媒体の冷却凝縮が行われる。
【0085】
したがって、吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aは、液相冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bは、蒸発冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。ここで、蒸発凝縮配管4Aが蒸発器として機能し、蒸発凝縮配管4Bが凝縮器として機能するときの冷却水の流れる状態を第2の状態という。
【0086】
そして、ECU43は、一定時間が経過したときは、再び第1の状態とする。このように、第1の状態と第2の状態とを一定時間毎に繰り返しながら、吸着式空調装置1を連続的に稼働させる。上述した一定時間は、吸着剤5A、5Bのいずれか一方、または両方の水分吸着性能に基づいて選定されている。
【0087】
また、強冷房モードでは、排気ガスの熱によって昇温された冷却水によって吸着剤5A、5Bの昇温速度を上昇させて吸着剤5A、5Bの再生能力を向上させることができるため、冷房性能を向上させることができる。
【0088】
(急速冷房モード)
次に、
図5、
図6に基づいて急速冷房モードにおける吸着式空調装置1の動作を説明する。急速冷房モードは、例えば、エンジン9の始動時等のように室内の温度が高く、室内を急速に冷房する必要がある場合に、吸着剤5A、5Bの昇温速度を高く設定するモードである。
ここで、エンジン9の始動時等のようにエンジン9の熱容量が低い状態にあっては、エンジン9から排出される排気ガスの熱容量も小さい。このため、熱容量の小さい排気ガスによって冷却水管39を流れる冷却水を加熱して、吸着配管6Aまたは吸着配管6Bに供給しても、吸着剤5A、5Bを昇温させ難い。したがって、吸着剤5A、5Bを早期に再生することが困難となり、冷房性能が低下してしまう。
【0089】
そこで、本実施の形態の吸着式空調装置1のECU43は、車両の搭乗者によって冷房スイッチ44が操作されると、水温センサ45の検出情報に基づいてエンジン冷却水温が所定温度T1℃未満であるか否かを判別する。ECU43は、エンジン冷却水温が所定温度T1℃未満であるものと判断すると、ウォータポンプ14、17、23および遠心式送風機21を作動させて冷却水および空気を流通させる。
【0090】
また、
図5に示すように、ECU43は、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換えるとともに、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第1の切換位置に切換える。さらに、4方バルブ15を第1の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第2の連通位置に切換える。このため、冷却水の流れは、第1の状態となる。
【0091】
さらに、ECU43は、蒸気バルブ42を開放位置に切換えるとともに、3方バルブ41を第1の連通位置に切換える。このため、蒸気配管38が吸着配管7Aに連通し、蒸気配管38内の水W2が高温の排気ガスの熱を受けて蒸発して冷却水よりもさらに高温の水蒸気となる。
【0092】
このとき、冷却水管39、冷却水管8および吸着配管6Aを流通する高温の冷却水に加えて、C1で示すように、蒸気媒体が蒸気配管38および吸着配管7Aの間を流通することにより、吸着配管7Aにエンジン冷却水温よりも高く、排気ガス温度よりも低い中温の蒸気が供給される。このため、吸着剤5Aの昇温速度が強冷房モード時に比べてより一層上昇し、吸着剤5Aの再生能力が高められる。
【0093】
次いで、ECU43は、第1の状態が一定時間以上経過した場合に、すなわち、吸着剤5Aの再生が終了すると、
図6に示すように、4方バルブ15を第2の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第1の連通位置に切換える。このため、冷却水の流れは、第2の状態となる。
【0094】
さらに、ECU43は、3方バルブ41を第2の連通位置に切換える。蒸気バルブ42が開放位置に切換えられた状態で3方バルブ41が第2の連通位置に切換えられた場合には、冷却水の流れが上述した第2の状態と同一の状態となる。
【0095】
このとき、冷却水管39、冷却水管8および吸着配管6Bを流通する高温の冷却水に加えて、矢印C2で示すように、蒸気媒体が蒸気配管38および吸着配管7Bの間を流通することにより、吸着配管7Bにエンジン冷却水温よりも高く、排気ガス温度よりも低い中温の蒸気が供給される。このため、吸着剤5Bの昇温速度が強冷房モード時に比べてより一層上昇し、吸着剤5Aの再生能力が高められる。
【0096】
ECU43は、一定時間が経過したときは、再び第1の状態とする。このように、第1の状態と第2の状態とを一定時間毎に繰り返しながら、吸着式空調装置1を連続的に稼働させる。
【0097】
このため、エンジン9の始動直後等のようにエンジン冷却水温が低い運転状態で急速冷房モードが実行されるときに、吸着剤5A、5Bの再生能力を高めることができる。したがって、第1の状態で、吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bを蒸発器として機能させることができるとともに吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aを凝縮器として機能させることができる。
また、第2の状態で、吸着器2Aの蒸発凝縮配管4Aを蒸発器として機能させることができるとともに吸着器2Bの蒸発凝縮配管4Bを凝縮器として機能させることができ、冷房性能を向上させることができる。
【0098】
(非熱回収モード)
次に、
図7、
図8に基づいて非熱回収モードにおける吸着式空調装置1の動作を説明する。
ECU43は、車両の搭乗者によって冷房スイッチ44が操作された場合に、水温センサ45の検出情報に基づいてエンジン冷却水温が設定温度T2℃以上であるか否かを判別する。ECU43は、エンジン冷却水温が設定温度T2℃以上であるものと判断すると、ウォータポンプ14、17、23および遠心式送風機21を作動させて冷却水および空気を流通させる。
【0099】
また、
図7に示すように、ECU43は、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換えるとともに、アクチュエータ37aを駆動して切換バルブ37を第2の切換位置に切換える。さらに、4方バルブ15を第1の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第2の連通位置に切換える。このため、冷却水の流れは、第1の状態となる。
【0100】
このとき、冷却水管8を流れる冷却水が排気ガスによって昇温されることがないため、冷却水管39に供給される冷却水が過度に昇温されることがなく、エンジン9の冷却性能が悪化するのを防止することができる。
【0101】
次いで、ECU43は、第1の状態が一定時間以上経過した場合に、すなわち、吸着剤5Aの再生が終了すると、
図9に示すように、ECU43は、4方バルブ15を第2の連通位置に切換えるとともに4方バルブ22を第1の連通位置に切換える。このため、冷却水の流れは、第2の状態となる。
【0102】
このとき、冷却水管8を流れる冷却水が排気ガスによって昇温されることがないため、冷却水管39に供給される冷却水が過度に昇温されることがなく、エンジン9の冷却性能が悪化するのを防止することができる。
【0103】
一方、吸着器2Bのケーシング3B内では、吸着剤5Bが蒸発した蒸発冷媒を吸着して蒸発を促進するとき、吸着剤5Bは、蒸発冷媒を吸着する際に熱(凝縮熱)を発生するとともに、吸着剤5Bの温度が上昇すると、水分の吸着能力が低下するため、サブラジエータ13と吸着配管6Bとの間で冷却水を循環させて吸着剤5Bの温度上昇を抑制する。
【0104】
このとき、排気ガスによって冷却水が過度に昇温されると、第1の状態で高温に加熱された吸着剤5Aを冷却するために吸着配管6Bに供給される冷却水の冷却性能を高めるために、サブラジエータ13の負荷が大きくなる。
【0105】
本実施の形態の吸着式空調装置1は、非熱回収モードに移行したときに冷却水を排気ガスによって加熱しないので、吸着配管6Bに供給される冷却水の冷却性能を高めるのを不要にでき、サブラジエータ13の負荷を低減することができる。また、第1の状態において、吸着配管6Aに冷却水を供給する場合も第2の状態と同様にサブラジエータ13の負荷を低減することができる。
【0106】
非熱回収モードにあっては、冷房スイッチ44が操作されない非冷房時に、ECU43は、エンジン冷却水温が設定温度T2以上になったことを条件として、切換バルブ37を第2の切換位置に切換える制御を行う。このようにしても冷却水管39に供給される冷却水が過度に昇温されるのを防止して、エンジン9の冷却性能が悪化するのを防止することができる。
【0107】
以上のように本実施の形態の吸着式空調装置1は、排気ガスの熱を利用して蒸気を発生させる蒸気配管38および排気ガスの熱を利用して冷却水を加熱する冷却水管39を有する受熱通路35と、受熱通路35をバイパスして排気ガスを流通させるバイパス通路36と、排気ガスが流通する流路を受熱通路35に切換える第1の切換位置およびバイパス通路36に切換える第2の切換位置に切換自在な切換バルブ37とを備えた排熱回収器31を備えている。
【0108】
また、吸着式空調装置1は、それぞれに冷媒Wおよび吸着剤5A、5Bが収容され、蒸発凝縮配管4A、4Bによって加熱される冷媒W1の蒸発作用により冷房能力を発揮させるとともに、蒸発した冷媒(蒸発冷媒)を吸着剤5A、5Bに吸着し、かつ、吸着剤5A、5Bを加熱することにより、吸着剤5A、5Bに吸着していた冷媒(蒸発冷媒)を脱離する吸着器2A、2Bを備えている。
【0109】
また、吸着式空調装置1は、吸着器2Aの吸着剤5Aおよび蒸気配管38との間で蒸気を循環させる吸着配管7Aと、吸着器2Bの吸着剤5Bおよび蒸気配管38との間で蒸気を循環させる吸着配管7Bと、吸着剤5Aおよび冷却水管39との間で冷却水管8を介して冷却水を循環させる吸着配管6Aと、吸着剤5Bおよび冷却水管39との間で冷却水管8を介して冷却水を循環させる吸着配管6Bとを備えている。
【0110】
また、吸着式空調装置1は、蒸気配管38および吸着配管7Aを連通する第1の連通位置と、蒸気配管38および吸着配管7Bを連通する第2の連通位置とに切換自在な3方バルブ41と、冷却水管39および吸着配管6Aを連通する第1の連通位置と、冷却水管39および吸着配管6Bを連通する第2の連通位置とに切換自在な4方バルブ15と、蒸気配管38を開放する開放位置および蒸気配管38を閉塞する閉塞位置との間で開閉自在な蒸気バルブ42とを備えている。
【0111】
このため、吸着式空調装置1は、エンジン9の始動直後等のように冷却水の温度が低く、吸着剤5A、5Bに供給される冷却水の温度が低い場合に、ECU43は、冷房スイッチ44が操作され、かつ、冷却水温度が所定温度T1℃未満であることを条件として、4方バルブ15を第1の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を開放位置に切換えることにより、急速冷房モードに移行させ、吸着剤5A、5Bと蒸気配管38とを吸着配管7Aまたは吸着配管7Bを介して連通させることができる。
【0112】
したがって、排気ガスの熱によって蒸発された蒸気を吸着剤5A、5Bのいずれか一方に導入することができ、吸着剤5A、5Bを早期に昇温させて吸着剤5A、5Bの再生能力を高めることができる。
【0113】
また、吸着剤5A、5Bのいずれか他方は、蒸発凝縮配管4Aまたは蒸発凝縮配管4Bによって加熱される冷媒の蒸発媒体を吸着することで蒸発潜熱を発生することにより、冷房能力を発揮することができる。この結果、冷房能力を向上させることができる。
【0114】
また、ECU43は、冷房スイッチ44が操作され、かつ、冷却水温度が所定温度T1℃以上、設定温度T2℃未満であることを条件として、強冷房モードに移行して、4方バルブ15を第1の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換えるので、吸着剤5A、5Bに供給される冷却水を排気ガスによって昇温させることができる。
【0115】
この吸着剤5A、5Bに供給される冷却水は、蒸気媒体よりも昇温速度が遅く、蒸気よりも低温であるが、冷却水管39によって吸着剤5A、5Bを再生させるのに充分な温度に昇温させることができる。したがって、吸着剤5A、5Bを早期に昇温させて吸着剤5A、5Bの再生能力を高めることができ、冷房能力を向上させることができる。
【0116】
また、ECU43は、冷房スイッチ44の操作の如何にかかわらず、冷却水温度が設定温度T2℃以上であることを条件として、排熱回収器31による熱回収を行わない非熱回収モードに移行して、4方バルブ15を第2の切換位置に切換えるとともに、蒸気バルブ42を閉塞位置に切換えるので、吸着剤5A、5Bに供給される冷却水を排気ガスによって昇温しないようにすることができる。
【0117】
このため、冷房運転モードの設定の如何にかかわらず、冷却水が過度に昇温されるのを防止することができ、エンジン9の冷却性能が低下するのを防止することができる。また、冷房運転モードにある場合には、過度の冷却水温によって加熱された高温の吸着剤5A、5Bに冷たい冷却水を供給する必要がないので、サブラジエータ13の負荷を低減することができる。
【0118】
以上のように、本発明に係る吸着式空調装置は、吸着剤の再生能力を向上させて冷房性能を向上させることができるという効果を有し、車両等に設けられ、車室内の冷房を行う吸着式空調装置等として有用である。