特許第6139142号(P6139142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139142可逆性感熱記録材料及び可逆性感熱記録媒体
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  • 特許6139142-可逆性感熱記録材料及び可逆性感熱記録媒体 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139142
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】可逆性感熱記録材料及び可逆性感熱記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/42 20060101AFI20170522BHJP
   B41M 5/28 20060101ALI20170522BHJP
   B41M 5/41 20060101ALI20170522BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B41M5/42 221
   B41M5/28 280
   B41M5/42 220
   B41M5/41 200
   B32B27/30 A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-7933(P2013-7933)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-136426(P2014-136426A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593092482
【氏名又は名称】JR東日本メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】猪股 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】角田 香織
(72)【発明者】
【氏名】中西 真備
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 潔
(72)【発明者】
【氏名】篠谷 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 嘉孝
【審査官】 後藤 亮治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−265247(JP,A)
【文献】 特開2006−076095(JP,A)
【文献】 特開2010−069631(JP,A)
【文献】 特開2008−221734(JP,A)
【文献】 特開2010−094985(JP,A)
【文献】 特開2005−212362(JP,A)
【文献】 特開平08−156418(JP,A)
【文献】 特開2003−063150(JP,A)
【文献】 特開2011−207011(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0069238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00 − 5/52
B32B 1/00 − 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に設けられた可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層と、該可逆性感熱記録層上に設けられたイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とが縮合した樹脂からなるアンカー層と、該アンカー層上に設けられた保護層とを有する積層体であって、
記水酸基を有する化合物は、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃以下であり、水酸基価が150mgKOH/g未満であり、
記アンカー層の厚みは、0.2μmを超え、2.5μm未満であり、
記保護層は、ウレタンアクリレートとペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとを含む紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂を3〜11重量部及びシリカを12〜17重量部含有しており層厚が4μm以上、7μm未満であり、かつシリコーンオイルを含有しない、可逆性感熱記録材料。
【請求項2】
請求項の可逆性感熱記録材料の支持体に基材を積層させた、可逆性感熱記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより発色と消色とを発現し得る可逆性感熱記録材料に関し、さらにこの可逆性感熱記録材料をカード等の基材に積層した可逆性感熱記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
可逆性感熱記録材料は、ロイコ色素と顕減色剤とを含む可逆性感熱記録層を支持体上に備え、この可逆性感熱記録層が加熱されることにより可逆的に色素の発色と消色とが起こることを利用し、可逆性感熱記録層上で情報を書き換え可能としたものである。
【0003】
ロイコ色素及び顕減色剤を含む可逆性感熱記録材料は、様々な記録媒体に利用されており、可逆性感熱記録材料をPET−Gのような基材上に積層したプリペイドカード又はICカード等の記録媒体においては、書き換え可能な情報をカード上に表示するために用いられている。プリペイドカード及びICカードでは、カード支持体上に設けられた可逆性感熱記録層を保護するため、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂で形成された保護層が可逆性感熱記録層上に設けられている。
【0004】
可逆性感熱記録層を備える可逆性感熱材料又は可逆性感熱記録媒体は、印字機のサーマルヘッドにより保護層が加熱されることにより、可逆性感熱記録層に熱が伝わり、情報が書き換えられる。
ところが、繰り返し保護層が加熱されることにより、保護層と可逆性感熱記録層との剥離及び/又は保護層上に発生した傷による文字かすれ等の問題が発生していた。
また、印字機において、カードの書き換えが繰り返し行われることにより、サーマルヘッドに保護層の成分や傷に起因する汚れが発生し、保守点検を頻繁に行う必要があった。
【0005】
保護層の傷に関しては、保護層を形成する樹脂成分の耐熱性を向上すると共に、硬度を高めることにより、傷の防止が図られている。しかし、保護層の硬度を高めると、可逆性感熱記録媒体において、曲げ強度の低下が生じ、可逆性感熱記録媒体が破損しやすくなるという問題がある。
なお、保護層と可逆性感熱記録層との間にアンカー層を設けることにより、保護層と可逆性感熱記録層との接着性を改善できることが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許文献1:特開平1−133781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、印字耐久性を向上させた可逆性感熱記録材料及び印字耐性と曲げ強度の向上した可逆性感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、可逆性感熱記録層と保護層との接着性を良くするために設けられているアンカー層に注目し、鋭意研究をすすめたところ、アンカー層を形成する樹脂の種類とアンカー層の膜厚が、可逆性感熱記録材料の保護層の印字耐久性、そして、曲げ強度に影響を与えていることを見出した。
なお、前述したように、特許文献1は、可逆性感熱記録層と保護層との接着性を良くするために、アンカー層を設けることを開示するものであるが、アンカー層が可逆性記録媒体の曲げ強度及び保護層の耐久性に関与することを示唆する記載はない。
【0009】
さらに、本発明者らは、保護層に滑剤として含まれるシリコーンオイルがサーマルヘッドの汚れの一因であることを見出し、シリコーンオイルを含まない保護層について検討してきた。しかし、保護層にシリコーンオイルを含ませないと、サーマルヘッドの滑りが悪くなるため、保護層が傷つきやすく印字耐久性が低下するという問題に直面した。
また、保護層としてウレタンアクリレートを使用すると、300回もの書き換えに耐え切れないという問題にも直面した。
しかし、さらに検討を進めた結果、(1)アンカー層の樹脂成分を、イソシアネート基を有する化合物と、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃以下であり、水酸基価が150mgKOH/g未満である水酸基を有する化合物とが縮合した樹脂とし、膜厚を調整すること、及び、(2)保護層の樹脂にペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとウレタンアクリレートとを含み、四フッ化エチレン樹脂とシリカとを含有すること、および保護層の膜厚を調整することで、保護層の印字耐久性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の可逆性感熱記録材料は、支持体上に設けられた可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層と、可逆性感熱記録層上に設けられたイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とが縮合した樹脂からなるアンカー層と、アンカー層上に設けられた保護層とを有する積層体であって、水酸基を有する化合物は、ガラス転移温度が40℃を超え90℃以下であり、水酸基価が150mgKOH/g未満であり、アンカー層の厚みは、0.2μmを超え2.5μm未満であり、保護層は、ウレタンアクリレートとペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとを含む紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂を3〜11重量部及びシリカを12〜17重量部含有しており層厚が4μm以上7μm未満であり、かつシリコーンオイルを含有しないことを特徴とする。
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、上記可逆性感熱記録材料の支持体に基材を積層させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の可逆性感熱記録材料は、サーマルヘッドによる加熱を繰り返しても保護層の表面に傷が発生しにくく、印字が濃いという効果を有する。
本発明の可逆性感熱記録媒体は、保護層の表面に傷が発生しにくく、印字が濃いという効果に加え、曲げ強度があるため、破損し難い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の可逆性感熱記録材料は、支持体上に設けられた可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層と、可逆性感熱記録層上に設けられたイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とが縮合した樹脂からなるアンカー層と、アンカー層上に設けられた保護層とを有する積層体であって、上記水酸基を有する化合物は、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃以下であり、水酸基価が150mgKOH/g未満であり、上記アンカー層の厚みは、0.2μmを超え、2.5μm未満である。さらに、上記保護層は、ウレタンアクリレートとペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとを含む紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂が3〜11重量部、シリカが12〜17重量部が含有されており、かつ層厚が4μm以上、7μ未満μmである。
【0014】
支持体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセテート、ポリスチレン(PS)、エボキシ樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリカーボネート(PC)等の合成樹脂シート又は合成紙等を用いることができる。支持体の厚さは通常、20〜300μm程度である。
【0015】
可逆性感熱記録層は、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状況を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する樹脂層であり、熱によって可逆的に発色/消色を繰り返す層である。可逆性感熱組成物は、ロイコ染料及び顕減色剤により構成される。ロイコ染料および顕減色剤としては、可逆性感熱組成物に用いられている従来公知の材料を使うことができる。
【0016】
ロイコ染料としては、クリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオ)ラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0017】
顕減色剤としては、(N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシルチオ尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシル尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシルチオアミド、4’−オクタデカンアニリド、2−オクタデシルテレフタル酸、N−オクタデシル(p−ヒドロキシフェニル)アミド、N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N’−オクタデカノヒドテジド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシルアミド、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−n−オクタデシル尿素、N−[(p−ヒドロキシフェニル)メチル]−N’−n−オクタデシルオキサミド等を挙げることができる。
【0018】
可逆性感熱記録層に使用される樹脂は、透明性が良く、製膜性の良い熱硬化性樹脂が好ましく、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド又はポリアクリレート等の樹脂を挙げることができる。
【0019】
本発明において、アンカー層を形成する樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物とがウレタン結合を介して縮合したポリマーである。イソシアネート基を有する化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)等を挙げることができる。
【0020】
水酸基を有する化合物とは、分子内に水酸基を2個以上有する樹脂であって、イソシアネート基と反応してウレタン結合を形成可能な化合物である。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロンラクトンポリオール等がある。
この水酸基を有する化合物は、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃以下のものが好ましい。さらに好ましくは、60℃以上、90℃以下である。ガラス転移温度が40℃以下だと、アンカー層が柔らかくなりすぎ、印字により保護層に傷が付きやすくなる。また、ガラス転移温度が90℃を超えるとアンカー層が硬くなりすぎ、可逆性感熱記録材料の曲げ強度がなくなるため好ましくない。
【0021】
また、水酸基を有する化合物は、水酸基価が150mgKOH/g未満の条件を満たすことが望ましい。好ましくは、3mgKOH/g以上、100mgKOH/g以下の範囲である。水酸基価が150mgKOH/g以上になると、印字濃度が薄くなる傾向がある。
【0022】
アンカー層の厚みは、可逆性感熱記録材料の印字耐久性及び可逆性感熱記録媒体の曲げ強度に影響を及ぼす。アンカー層の厚みは、0.2μmを超え、2.5μm未満の範囲であることが好ましい。
アンカー層の厚みを増すと、印字耐久性が向上するが、印字濃度が薄くなり、また、可逆性感熱記録媒体の曲げ強度が悪くなる。すなわち、厚みが0.2μm以下になると印字耐久性が低下し、2.5μm以上になると印字濃度が薄くなるとともに、可逆性感熱記録媒体の曲げ強度が悪くなる。さらに好ましくは、0.3μm以上、2.0μm以下の範囲である。
【0023】
保護層は、ウレタンアクリレートとペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとを含む紫外線硬化樹脂を主成分とする樹脂層であり、さらに、この樹脂層は、紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂を3〜11重量部、シリカ12〜17重量を含有している。
ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げることができる。
また、保護層の厚みは、層厚が4μm以上、7μm未満の範囲が好ましい。厚みが4μm以下になると、印字耐久性が低下し、サーマルヘッドの汚れが生じやすい。厚みが7μm以上になると、可逆性感熱記録層に記録された情報の消去性が悪くなるので好ましくない。なお、保護層の厚みは、より好ましくは、4μm以上、6μm以下である。
【0024】
可逆性感熱記録材料は、それぞれの層を形成する樹脂を順に支持体上にワイヤーバーで塗工し乾燥することで製造することができる。
【0025】
可逆性感熱記録材料は、可逆性感熱記録材料の支持体の下層にさらに、PET−G、PET、PVC、紙等を単独又は組み合わせた基材を積層して可逆性感熱記録媒体としてもよい。支持体と基材の積層は、熱プレス、ラミネート等によって行えばよい。
また、図1に示すように、可逆性感熱記録材料1の下層の基材2には、ICチップ3及びアンテナ4を搭載してもよい。
なお、可逆性感熱記録媒体の厚みは、JIS X6301に定められた範囲に設定すればよい。
【0026】
以上説明したように、アンカー層を形成する化合物が上述のガラス転移温度条件及び水酸基価の条件を満たし、かつアンカー層の厚みが上述した条件を満たす可逆性感熱記録材料は、印字が濃く、サーマルヘッドによる加熱を繰り返しても保護層の表面に傷が発生しにくい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。
[アンカー層を形成する樹脂成分及び層厚が保護層に及ぼす影響についての試験]
以下に示す(1)〜(4)の材料をペイントシェーカーで18時間混合して塗料とし、支持体(三菱樹脂製W−400J)上にワイヤーバーで塗工し、100℃で2分間乾燥して、乾燥膜厚11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0028】
(1)熱硬化性ポリアクリル樹脂(DIC製 WBU−1218):25重量部
(2)ロイコ染料(山本化成製 Blue63):10重量部
(3)顕減色剤(N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド):40重量部
(4)XDI系硬化剤(三井化学製 タケネート500):25重量部
【0029】
表1に示す水酸基を有する化合物80重量部とXDI系硬化剤(三井化学製 D−110):20重量部とを混合し、可逆性感熱記録層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥して、乾燥膜厚0.2〜2.5μmのアンカー層を形成した。
【0030】
【表1】
【0031】
以下に示す(5)〜(8)の材料を混合してアンカー層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥し、乾燥膜厚5μmの保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0032】
(5)紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂(DIC製 ユニディックC7−164):88重量部
(6)シリカ(富士シリシア製 サイシリア436):6重量部
(7)ポリ四フッ化エチレン(喜多村製 KTL−4N):5重量部
(8)シリコーンオイル(藤倉化成製 AD−8719D):1重量部
【0033】
作製した可逆性感熱記録材料を最上層となるように、PET−Gシート(500μm)及びPET(100μm)を積層し、熱プレスで貼合し、型抜きして得られたカードを使用して、印字機による保護層の傷つき具合の評価、鉛筆硬度試験、印字濃度評価及び可逆性感熱記録媒体の曲げ強度の評価を実施した。結果を表2に示す。
【0034】
印字機による傷付き具合の評価は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)にて消去・印字を60回繰り返し、表面の傷の深さを測定した。
鉛筆硬度は、JIS K 5600 5.4に規定する鉛筆引っかき値試験法に基づき、表面の硬さを測定した。
印字濃度は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)にて印字し、マクベス濃度計にて印字濃度を測定した。印字濃度は、0.9以上を○印、0.9未満を×印で示した。なお、目視による判断において、印字濃度が0.9未満になると視認性が悪くなるという知見に基づき、0.9を境として基準としたものである。
可逆性感熱記録媒体の曲げ強度は、「JIS6305−1 5.8動的曲げ強さ」に基づき、評価した。保護層に異常の見つからなかった場合を○印、ひびが入った場合を×印で示した。
【0035】
【表2】
【0036】
実験例1〜6及び比較例1〜7は、保護層を形成する樹脂と厚みを同じ条件(乾燥膜厚5μm)とし、アンカー層を形成する樹脂成分と層厚を変えることにより、保護層の印字耐久性(傷つき具合の評価)、鉛筆硬度試験、印字濃度評価及び可逆性感熱記録媒体の曲げ強度を調べたものである。
【0037】
表2から、水酸基を有する化合物のガラス転移温度が40℃を超えると、保護層の印字耐久性、鉛筆硬度が向上することがわかる。しかし、90℃を超えると可逆性感熱記録媒体にひびが発生している(実験例1〜4と比較例7とを参照)。
また、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃の以下の範囲であっても、アンカー層の厚みが増すと、印字濃度が薄くなることがわかる(実験例6及び比較例6を参照)。さらに、アンカー層の厚みが2.5μmになると、可逆性感熱記録媒体にひびが発生していることがわかる(比較例6)。
【0038】
水酸基価は、150mgKOH/g未満、好ましくは、3mgKOH/g以上、100mgKOH/g以下の範囲である。水酸基価が150mgKOH/g未満である場合には、アンカー層が保護層と可逆性感熱記録層との間でクッションの役割を持つと考えられる。
【0039】
以上のことから、水酸基を有する化合物のガラス転移温度が60℃以上、90℃以下、かつ水酸基価が150mgKOH/g未満であり、アンカー層の厚みが、0.2μmを超え、2.5μm未満の条件を満たす場合に、印字を繰り返しても保護層に傷が付き難く、印字かすれのない状態で印字ができることがわかる。
【0040】
[保護層を形成する樹脂成分と印字耐久性、ヘッド汚れ、可逆性感熱記録媒体の曲げ強度についての試験]
以下に示す(a)〜(d)の材料をペイントシェーカーで18時間混合して塗料とし、支持体(三菱樹脂製W−400J)上にワイヤーバーで塗工し、100℃で2分間乾燥して、乾燥膜厚11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0041】
(a)熱硬化性ポリアクリル樹脂(DIC製 WBU−1218):25重量部
(b)ロイコ染料(山本化成製 Blue63):10重量部
(c)顕減色剤(N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド):40重量部
(d)XDI系硬化剤(三井化学製 タケネート500):25重量部
【0042】
表3に示す水酸基を有する化合物80重量部とXDI系硬化剤(三井化学製 D−110N):20重量部とを混合し、可逆性感熱記録層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥して、乾燥膜厚0.5μmのアンカー層を形成した。
【0043】
【表3】
【0044】
以下に示す(e)〜(j)の材料を表4に示す割合で配合し、トルエンで希釈して(固形分濃度を20%に調整)、アンカー層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥後、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行って硬化させ、表乾燥膜厚5μmの保護層を形成し、可逆性感熱記録材料を作製した。
なお、比較例18の保護層のみ、DIC製ユニディックC7−164を100重量部使用した。
また、(g)〜(j)の配合割合は、(e)及び(f)の合計である100重量部に対する割合である。
【0045】
(e)紫外線硬化性ウレタン−アクリレート樹脂:DIC製 V−4018
(f)紫外線硬化性ペンタエリスリトールテトラアクリレート樹脂:共栄社化学製 PE−4A
(g)シリカ:富士シリシア製 サイシリア436
(h)ポリ四フッ化エチレン(表3中、PTFEと表記):喜多村製 KTL−4N
(i)シリコーンオイル:藤倉化成製AD8719D
(j)光重合開始剤(BASF製 イルガキュア184)
【0046】
作製した可逆性感熱記録材料を最上層となるように、PET−Gシート(500μm)及びPET(125μm)を積層し、熱プレスで貼合し、型抜きして得られた可逆性感熱記録媒体(以下、カードという。)を用い、保護層について、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、及びカードの曲げによるひび割れの4つの項目で評価を実施した。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
なお、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、カード曲げによるひび割れは以下のように評価した。
印字耐久性は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用して、印字と消去を300回繰り返し、可逆性感熱記録層が露出している場合を×、露出していない場合を○として評価した。
【0049】
ヘッド汚れは、印字耐久性の300回目の印字に文字かすれがあった場合を×、正常に印字されていた場合を○と評価した。
【0050】
消去性は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用して、印字と消去を1回行ったのち、保護層上で、印字が消去された場所の表面粗さと印字が無かった場所の表面粗さの差を指標とした。印字部分の表面粗さRa値と未印字部分との表面粗さRa値との差が0.03以下の場合を○印、0.03を超えた場合を×印で示した。表面粗さRa値が0.03を超えると、カードに光を反射させて斜めに傾けて表面を観察すると、サーマルヘッドの打痕跡が見え、見栄えが悪くなってしまう。表面粗さRa値は、JIS X6305.2「5.3磁気ストライプの表面粗さ」に基づいて測定した。
【0051】
カード曲げによるひび割れは、JIS X6305−1「5.8動的曲げ力(曲げ特性)」に従って試験を行い、異常が無い場合を○印、ひびが入った場合を×印で示した。
【0052】
表4から、以下の(1)〜(7)の条件全てを満たさない場合、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、カード曲げによるひび割れのいずれかの評価値が劣ることがわかる。
(1)アンカー層の水酸基を有する化合物のガラス転移温度が、40℃を超え、90℃以下であること、
(2)アンカー層の水酸基を有する化合物の水酸基価が、150mgKOH/g未満であること、
(3)保護層の樹脂が、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとウレタンアクリレートとを含むこと、
(4)保護層の樹脂中に、紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂が3〜11重量部含まれていること、
(5)保護層の樹脂中に、シリカが12〜17重量部で含有されていること、
(6)保護層の厚みが4μm以上、7μm未満であること、及び
(7)保護層中にシリコーンオイルが含まれていないこと。
図1