【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。
[アンカー層を形成する樹脂成分及び層厚が保護層に及ぼす影響についての試験]
以下に示す(1)〜(4)の材料をペイントシェーカーで18時間混合して塗料とし、支持体(三菱樹脂製W−400J)上にワイヤーバーで塗工し、100℃で2分間乾燥して、乾燥膜厚11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0028】
(1)熱硬化性ポリアクリル樹脂(DIC製 WBU−1218):25重量部
(2)ロイコ染料(山本化成製 Blue63):10重量部
(3)顕減色剤(N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド):40重量部
(4)XDI系硬化剤(三井化学製 タケネート500):25重量部
【0029】
表1に示す水酸基を有する化合物80重量部とXDI系硬化剤(三井化学製 D−110):20重量部とを混合し、可逆性感熱記録層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥して、乾燥膜厚0.2〜2.5μmのアンカー層を形成した。
【0030】
【表1】
【0031】
以下に示す(5)〜(8)の材料を混合してアンカー層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥し、乾燥膜厚5μmの保護層を形成して、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0032】
(5)紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂(DIC製 ユニディックC7−164):88重量部
(6)シリカ(富士シリシア製 サイシリア436):6重量部
(7)ポリ四フッ化エチレン(喜多村製 KTL−4N):5重量部
(8)シリコーンオイル(藤倉化成製 AD−8719D):1重量部
【0033】
作製した可逆性感熱記録材料を最上層となるように、PET−Gシート(500μm)及びPET(100μm)を積層し、熱プレスで貼合し、型抜きして得られたカードを使用して、印字機による保護層の傷つき具合の評価、鉛筆硬度試験、印字濃度評価及び可逆性感熱記録媒体の曲げ強度の評価を実施した。結果を表2に示す。
【0034】
印字機による傷付き具合の評価は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)にて消去・印字を60回繰り返し、表面の傷の深さを測定した。
鉛筆硬度は、JIS K 5600 5.4に規定する鉛筆引っかき値試験法に基づき、表面の硬さを測定した。
印字濃度は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)にて印字し、マクベス濃度計にて印字濃度を測定した。印字濃度は、0.9以上を○印、0.9未満を×印で示した。なお、目視による判断において、印字濃度が0.9未満になると視認性が悪くなるという知見に基づき、0.9を境として基準としたものである。
可逆性感熱記録媒体の曲げ強度は、「JIS6305−1 5.8動的曲げ強さ」に基づき、評価した。保護層に異常の見つからなかった場合を○印、ひびが入った場合を×印で示した。
【0035】
【表2】
【0036】
実験例1〜6及び比較例1〜7は、保護層を形成する樹脂と厚みを同じ条件(乾燥膜厚5μm)とし、アンカー層を形成する樹脂成分と層厚を変えることにより、保護層の印字耐久性(傷つき具合の評価)、鉛筆硬度試験、印字濃度評価及び可逆性感熱記録媒体の曲げ強度を調べたものである。
【0037】
表2から、水酸基を有する化合物のガラス転移温度が40℃を超えると、保護層の印字耐久性、鉛筆硬度が向上することがわかる。しかし、90℃を超えると可逆性感熱記録媒体にひびが発生している(実験例1〜4と比較例7とを参照)。
また、ガラス転移温度が40℃を超え、90℃の以下の範囲であっても、アンカー層の厚みが増すと、印字濃度が薄くなることがわかる(実験例6及び比較例6を参照)。さらに、アンカー層の厚みが2.5μmになると、可逆性感熱記録媒体にひびが発生していることがわかる(比較例6)。
【0038】
水酸基価は、150mgKOH/g未満、好ましくは、3mgKOH/g以上、100mgKOH/g以下の範囲である。水酸基価が150mgKOH/g未満である場合には、アンカー層が保護層と可逆性感熱記録層との間でクッションの役割を持つと考えられる。
【0039】
以上のことから、水酸基を有する化合物のガラス転移温度が60℃以上、90℃以下、かつ水酸基価が150mgKOH/g未満であり、アンカー層の厚みが、0.2μmを超え、2.5μm未満の条件を満たす場合に、印字を繰り返しても保護層に傷が付き難く、印字かすれのない状態で印字ができることがわかる。
【0040】
[保護層を形成する樹脂成分と印字耐久性、ヘッド汚れ、可逆性感熱記録媒体の曲げ強度についての試験]
以下に示す(a)〜(d)の材料をペイントシェーカーで18時間混合して塗料とし、支持体(三菱樹脂製W−400J)上にワイヤーバーで塗工し、100℃で2分間乾燥して、乾燥膜厚11μmの可逆性感熱記録層を形成した。
【0041】
(a)熱硬化性ポリアクリル樹脂(DIC製 WBU−1218):25重量部
(b)ロイコ染料(山本化成製 Blue63):10重量部
(c)顕減色剤(N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド):40重量部
(d)XDI系硬化剤(三井化学製 タケネート500):25重量部
【0042】
表3に示す水酸基を有する化合物80重量部とXDI系硬化剤(三井化学製 D−110N):20重量部とを混合し、可逆性感熱記録層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥して、乾燥膜厚0.5μmのアンカー層を形成した。
【0043】
【表3】
【0044】
以下に示す(e)〜(j)の材料を表4に示す割合で配合し、トルエンで希釈して(固形分濃度を20%に調整)、アンカー層上にワイヤーバーで塗工し、100℃で1分間乾燥後、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行って硬化させ、表乾燥膜厚5μmの保護層を形成し、可逆性感熱記録材料を作製した。
なお、比較例18の保護層のみ、DIC製ユニディックC7−164を100重量部使用した。
また、(g)〜(j)の配合割合は、(e)及び(f)の合計である100重量部に対する割合である。
【0045】
(e)紫外線硬化性ウレタン−アクリレート樹脂:DIC製 V−4018
(f)紫外線硬化性ペンタエリスリトールテトラアクリレート樹脂:共栄社化学製 PE−4A
(g)シリカ:富士シリシア製 サイシリア436
(h)ポリ四フッ化エチレン(表3中、PTFEと表記):喜多村製 KTL−4N
(i)シリコーンオイル:藤倉化成製AD8719D
(j)光重合開始剤(BASF製 イルガキュア184)
【0046】
作製した可逆性感熱記録材料を最上層となるように、PET−Gシート(500μm)及びPET(125μm)を積層し、熱プレスで貼合し、型抜きして得られた可逆性感熱記録媒体(以下、カードという。)を用い、保護層について、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、及びカードの曲げによるひび割れの4つの項目で評価を実施した。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
なお、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、カード曲げによるひび割れは以下のように評価した。
印字耐久性は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用して、印字と消去を300回繰り返し、可逆性感熱記録層が露出している場合を×、露出していない場合を○として評価した。
【0049】
ヘッド汚れは、印字耐久性の300回目の印字に文字かすれがあった場合を×、正常に印字されていた場合を○と評価した。
【0050】
消去性は、印字機TH−TCP(オオクラエンジニアリング製)を使用して、印字と消去を1回行ったのち、保護層上で、印字が消去された場所の表面粗さと印字が無かった場所の表面粗さの差を指標とした。印字部分の表面粗さRa値と未印字部分との表面粗さRa値との差が0.03以下の場合を○印、0.03を超えた場合を×印で示した。表面粗さRa値が0.03を超えると、カードに光を反射させて斜めに傾けて表面を観察すると、サーマルヘッドの打痕跡が見え、見栄えが悪くなってしまう。表面粗さRa値は、JIS X6305.2「5.3磁気ストライプの表面粗さ」に基づいて測定した。
【0051】
カード曲げによるひび割れは、JIS X6305−1「5.8動的曲げ力(曲げ特性)」に従って試験を行い、異常が無い場合を○印、ひびが入った場合を×印で示した。
【0052】
表4から、以下の(1)〜(7)の条件全てを満たさない場合、印字耐久性、ヘッド汚れ、消去性、カード曲げによるひび割れのいずれかの評価値が劣ることがわかる。
(1)アンカー層の水酸基を有する化合物のガラス転移温度が、40℃を超え、90℃以下であること、
(2)アンカー層の水酸基を有する化合物の水酸基価が、150mgKOH/g未満であること、
(3)保護層の樹脂が、ペンタエリスリトール基又はジペンタエリスリトール基を有するアクリレートとウレタンアクリレートとを含むこと、
(4)保護層の樹脂中に、紫外線硬化樹脂100重量部に対し四フッ化エチレン樹脂が3〜11重量部含まれていること、
(5)保護層の樹脂中に、シリカが12〜17重量部で含有されていること、
(6)保護層の厚みが4μm以上、7μm未満であること、及び
(7)保護層中にシリコーンオイルが含まれていないこと。