(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、玄米の投入量不足等によって玄米貯留部の玄米の全量が精米途中で消費されたときは、精米機を停止制御するように、玄米貯留部の穀粒レベルセンサ等の何らかの全量消費検出手段を設ける必要があり、または、玄米量の不足を報知するために、玄米貯留部の玄米量を検知する残量計測手段等を設ける必要がある。そのほかにも、各種の異状事項に対応するためには、それぞれに適合する異常検出センサーを設ける必要があり、このような付加的なセンサの組込みは、特に家庭用の精米機において利便性のセールスポイントとなることから、それに伴い、構成の複雑化およびコストアップの問題を避けることができなかった。
【0006】
本発明の目的は、穀粒処理の制御に使用する穀粒センサについて、供給穀粒の停止と穀粒収容部の満量充填とを共に検出することができる穀粒センサおよび同センサを組込んだ精米装置の精米制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項
1に係る発明は、
受けた穀粒を案内するシュータと、このシュータ内の穀粒量をその検出範囲内で検出する検出部とからなる穀粒センサにおいて、上記シュータから受けた穀粒を収容する穀粒収容部を設け、この穀粒収容部の穀粒堆積範囲内に上記検出部を配置し、さらに、前記シュータの側縁を穀粒流線から外側方に後退して形成し、この側縁部に開口した検出窓に臨んで前記検出部を配置したことを特徴とする。
【0010】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に係る発明において、前記シュータの終端に筒状案内部を形成し、その終端開口の下方に前記穀粒収容部を引出し可能にスライド支持したことを特徴とする。
【0011】
請求項
3に係る発明は、請求項
2に係る発明において、前記穀粒収容部の後端から引出し方向に所定の距離の位置に臨んで前記シュータの終端を配置したことを特徴とする。
【0012】
請求項
4に係る発明は、玄米貯留部から玄米を受けて精白処理する精米部の作動を制御する精米制御装置において、上記精米部について請求項1から請求項5のいずれかに係る穀粒センサを設けて前記シュータに精白米を受け、その検出信号に基づき、前記シュータの案内穀粒の検出終了
、または、前記穀粒収容部の満量検出により上記精米部を停止制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項
1に係る発明により、
検出部はシュータの通過穀粒の有無を検出し、また、上記検出部を穀粒収容部の穀粒堆積範囲内に配置したことから、穀粒収容部が満量に達すると、続いて堆積穀粒が検出部に達して検出部が埋没状態を検出するので、穀粒の通過検出と穀粒の収容レベル検出について、個々のセンサーを要することなく、単一の穀粒センサによって検出することができる。その結果、部品点数の削減、構成の簡易化により、精米装置等の制御対象装置の低コスト化、小型化、信頼性向上、メンテナンスの簡易化に寄与することができる。また、上記穀粒センサの検出穀粒量により、穀粒の停止と穀粒の満量収容の区別に対応した個別の制御が可能となる。加えて、斜行部や斜行ガイドによって穀粒流線が側方に屈曲し、この屈曲流線がシュータの流路外縁から離れた部位に検出部の検出窓を形成することにより、通過穀粒が検出窓に引っ掛かることなく案内されるので、検出精度を確保することができる。
【0016】
請求項
2に係る発明により、請求項
1に係る発明の効果に加え、穀粒収容部の上方に配置したシュータの筒状案内部により、満量の穀粒収容部から穀粒の堆積がシュータに及んだ際に、筒状案内部内に穀粒を保持することができ、また、簡易なスライド構造による穀粒収容部の引出し操作により、穀粒収容部が低位置にあっても収容穀粒を容易に取出すことができるので、適用対象装置の高さ寸法を抑えてコンパクトに構成することができる。
【0017】
請求項
3に係る発明により、請求項
2に係る発明の効果に加え、穀粒収容部が引出し操作によってスライド移動すると、シュータの筒状案内部内に保持された堆積穀粒が落下することから、その落下範囲の距離を穀粒収容部の後端までの間に確保することにより、シュータ内に及んで堆積した全穀粒を穀粒収容部に収容して取出すことができる。
【0018】
請求項
4に係る発明により、精米制御装置が玄米貯留部から玄米を受けて精白処理する精米部の作動を前記穀粒センサによって制御し、このとき、単一の穀粒センサの検出信号に基づき、穀粒収容部に白米を受けてその満量収容により自動的に精米部が停止され、また、玄米貯留部の玄米量不足によりその全量が消費された時は、その時点で精米部が停止されることから、穀粒の通過検出と穀粒の収容レベル検出のための個々のセンサーを要することなく、単一の穀粒センサによる精米部の作動制御が可能となる。その結果、部品の削減、構成の簡易化により、センサーの組込み対象である精米装置の小型化、低コスト化、信頼性向上、メンテナンスの簡易化に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る精米機の支持構造について、特に保冷精米機に適用した例により説明する。保冷精米機の内部構成を表した側面図および正面図を
図1、
図2に示すように、精米機1は、開閉可能な上端開口5aを有する玄米ホッパ2と、その玄米を受けて精米する精米部3と、その精白米を受ける白米貯留部4とからなる精米構成機器を上から順に一体に配置した内部ユニットUを保冷庫5に収容するとともに、保冷庫5の下段背面部に循環保冷用の冷却部6を設けて構成される。
【0021】
玄米ホッパ2は、保冷庫5の上段部を構成し、保冷庫5の上端開口5aから受けた玄米を貯留するとともに、下方の精米部3に貯留玄米を供給可能に連通する。この連通口には、メンテナンス時に使用する玄米保持用のストッパを設け、また、精米部に対する異物進入を阻止するとともに手指を保護する保護網を設ける。
【0022】
精米部3は、保冷庫5の中段部を構成し、搗精部3aと電動駆動部3bとを前後に配置し、搗精部3aに玄米ホッパ2から貯留玄米を受けて精米を行う。搗精部3aの先端には、白度調節ダイヤル3cを備え、この白度調節ダイヤル3cを開閉可能な保冷庫5の前部開口5bに臨んで配置する。
【0023】
白米貯留部4は、保冷庫5の下段部を構成し、上方の搗精部3aとの間に設けた傾斜平板路による白米シュータ4aを介して精白米を受ける白米受箱4dを引出し操作可能にスライド支持し、前部開口5bから引出し可能に構成する。この白米シュータ4aの側方に糠受箱4bを配置し、搗精部3aから糠シュータ4cを介して落下糠を受ける。
【0024】
保冷庫5は、発泡樹脂材等の防振性を有する断熱材により密閉可能に構成した箱状容器であり、内部ユニットUを防振収容するとともに、上端開口5aと前部開口5bとを最小限の大きさに形成し、上端開口5aおよび前部開口5bを上蓋、前扉により開閉可能に構成する。前部開口5bの近傍には電源ランプ7a等の最小限の表示部を設ける。精米操作のための操作パネル7bは、前部開口5bの内方で精米部3を仕切る内扉によって構成する。また、断熱壁材の内面に幅広の浅溝を形成して内部ユニットUの周壁との間に循環冷却用の通路を形成する。
【0025】
冷却部6は、中段配置の精米部3の電動駆動部3bの下方に配置し、その要部拡大断面図を
図3に示すように、ペルチェ素子等による静止型駆動部6aに熱交換用の庫内ファン6bと送出口6dとを設け、背面側に放熱ファン6cを設ける。この冷却部6は、静止型駆動部6aにより小型軽量に構成することができ、静粛な保冷運転により、庫内ファン6bが庫内の下段部から吸気して熱交換し、玄米ホッパ2および庫内を冷却する。
【0026】
(冷却循環系)
冷却循環系は、その透視側面図を
図4に示すように、保冷庫5の背面部に沿って冷却部6から玄米ホッパ2の上端開口5aに至る背面上行路11aと、保冷庫5の両側面部に沿って背面上行路11aの上端から下段部に至る左右の側面下行路12a,12aと、保冷庫5の前面部に沿って左右の側面下行路12a,12aと連通する前面下行路13aと、内部ユニットUの両側面に形成した左右の下段開口14a,14aとによって構成する。
【0027】
背面上行路11aは、保冷庫5の背面断熱材11の内面に形成した溝により、冷却部6の送出口6dから玄米ホッパ2の上端開口5aに至る通路である。
左右の側面下行路12a,12aは、発泡樹脂材等による保冷庫5の左右の側面断熱材12,12の内面に屈曲して形成した幅広の浅溝により、背面上行路11aの上端から内部ユニットUの左右の下段開口14a,14aに至る通路である。
前面下行路13aは、保冷庫5の前面断熱材13の内面に形成した溝により、左右の側面下行路12a,12aと連通する通路である。
左右の下段開口14a,14aは、内部ユニットUの左右の側面板14,14に形成し、左右の側面下行路12a,12aの出口として、精米部3の電動駆動部3bより下方の庫内ファン6bに臨む低位置に配置する。
【0028】
上記構成の冷却循環系により、保冷庫5の背面部の背面上行路11aから玄米ホッパ2の上端開口5aに冷気が供給され、また、左右の側面部に沿って下降する側面下行路12a,12aによって保冷庫5内が一様に冷却され、下段部に充満した冷気が冷却部6に戻されることから、中段配置の精米部3から発散される熱気は冷却部6に吸い込まれることなく滞留し、また、糠は糠受箱4bに連通排出される。したがって、冷却能力を限定した小型の保冷精米機により、搗精部3aの作動に際して、玄米ホッパ2の急激な昇温や冷却部6の糠付着を抑えつつ、保冷玄米による精米が可能となる。
【0029】
この場合において、精米部3の電動駆動部3bの下面から左右の側面に及ぶ下部遮蔽板22を設けることにより、下方の冷却部6が熱遮蔽されるとともに、精米動作時の電動駆動部3bの発熱による熱気の拡散が抑えられる。また、中間仕切板21により搗精部3aの発生糠が電動駆動部3b側に移動することなく安定落下することから、後部配置の冷却部6への糠の吸込みを抑えることができる。
【0030】
(内部ユニット)
内部ユニットUは、玄米ホッパ2、精米部3、白米貯留部4を一体に構成するとともに、その要部正面図を
図5に示すように、中段の精米部3の外周部に中間仕切板21と下部遮蔽板22とを設ける。
中間仕切板21は、搗精部3aと電動駆動部3bとの間の位置で搗精部3aの糠が安定落下するように内部ユニットUの中段部を前後に仕切る。
下部遮蔽板22は、電動駆動部3bの下面と両側面の三面を囲んで構成する。この下部遮蔽板22により、搗精部3aの精米作動に際して、電動駆動部3b下方の冷却部6に作用する熱を遮断するとともに、熱気の拡散を防止する。
【0031】
(支持脚)
内部ユニットUの支持構造については、部分破断による内部構成を表した要部正面図および側面図を順に
図6、
図7に示すように、内部ユニットUの精米部3の幅寸法W内で白米貯留部4の両外側に張出して左右の主枠4f,4fを設ける。また、これら左右の主枠4f,4fを支持する左右の支持脚12b,12bを白米貯留部4の高さの範囲内の防振部材によりその両外側に沿って構成する。これら左右の支持脚12b,12bは、発泡樹脂材等の防振性を有する断熱材を用いて左右の側面断熱材12,12と一体に形成することができる。
【0032】
上記構成の支持脚12b,12bは、白米貯留部4の両外側に沿ってその高さの範囲内の自由度を有する防振部材によって構成することにより、上下方向の防振性を確保することができ、この支持脚12b,12bによって一体構成の精米構成機器である内部ユニットUの主枠4f,4fの全荷重を安定して支持することができるので、精米構成機器の安定支持を確保しつつ搗精部3aの作動による精米機載置面への振動伝播を抑えて精米作動時の不快な振動と騒音を防止することができる。
【0033】
また、密閉可能で防振性を有する断熱材料による箱状の断熱容器によって保冷庫5を構成し、この保冷庫5に支持脚12b,12bを一体に構成して精米構成機器を収容支持することにより、玄米貯留部2と白米貯留部4の保冷性を確保しつつ、密閉による防音性を確保することができる。
【0034】
(制御部)
冷却部6および精米部3は、制御部の構成展開図を
図8に示すように、個々の制御ユニット31,32からなる運転制御部を備える。冷却用の制御ユニット31は、設定温度範囲に庫内を冷却制御するとともに、前部開口5bの前扉およびその内方の糠扱い用の内扉7bの開閉監視により、精米用の制御ユニット32の通電を制御可能に構成する。精米用の制御ユニット32は、精米部3の運転に必要な範囲に限定して通電を受けることにより、待機状態の電力消費による発熱を抑えることができる。満杯センサ基板41cは、次に述べる穀粒センサ41によって検出された穀粒量により、「不在」、「流下」、「充填」の判定区分に応じた搗精部3aその他の機器の制御を行う。
【0035】
(穀粒センサ)
内部ユニットUの下段部には白米貯留部4から白米受箱4dを引出し操作可能にスライド支持し、この白米受箱4dを穀粒収容部としてその堆積白米を検出するように、白米シュータ4aに設けた検出部41aを穀粒収容部4dの穀粒堆積範囲に配置して穀粒センサ41を構成する。この穀粒センサ41により、検出部41aは白米シュータ4aの通過穀粒の有無を検出し、また、穀粒収容部4dが満量に達すると、続いて堆積穀粒が検出部41aに達することによりこの検出部41aが埋没状態を検出するので、穀粒の通過検出と穀粒の収容レベル検出について、個々のセンサーを要することなく、単一の穀粒センサによって検出することができる。その結果、部品点数の削減、構成の簡易化により、精米装置等の組込み対象機器の低コスト化、小型化、信頼性向上、メンテナンスの簡易化等に寄与することができる。また、上記穀粒センサ41が検出する穀粒量により、穀粒の停止時と穀粒収容部の満量収容時との区別に対応した個別の制御が可能となる。
【0036】
白米シュータ4aは、前掲の
図6、
図7に示すように、白米貯留部4の前端部に向けて傾斜案内する一定深さの平滑底面によって形成し、その上半部の流路幅を次第に絞って両側の側縁板42,42を設け、下半部は、正面視において白米受箱4dの中央に向って一定の流路幅で斜行する両側の側縁板43,43と、白米貯留部4の前端位置に合わせた前縁板44とを設けて筒状案内部45を形成する。この筒状案内部45は、白米受箱4dの引出し方向の前端部の直上位置に構成し、この筒状案内部45を横断する検出線を白米シュータ4aによる案内底面に近接して設定し、この検出線を検出範囲とする光学式、静電容量式等の検出子41a,41bによる検出部を設けて穀粒センサ41を構成する。この穀粒センサ41により、白米シュータ4aを横断する検出範囲内の穀粒量を離散状の穀粒単位で検出することができる。
【0037】
穀粒センサ41の検出部である単一の検出子41aまたは対向する1対の検出子41a,41bは、側縁板43,43に開口した検出窓に臨んで配置し、この検出窓に穀粒が引掛からないように、白米シュータ4aの傾斜に沿う穀粒流線から側縁板を外側方に後退させた側縁部に検出窓を開口する。白米シュータ4aが斜行する場合は、斜行によって穀粒流線から後退する側の側縁板43(図例では左側)に検出子41aを配置し、他側に対向用の検出子41bを要する場合は、他側の側縁板43(図例では右側)の検出窓を穀粒流線から外側方に後退させるために、上半部の側縁板42を延長した押出ガイド42aを庇状に設ける。
【0038】
上記構成の穀粒センサ41は、白米受箱4dの直上位置に筒状案内部45を固定配置し、搗精部3aの作動に対応して白米シュータ4aを流下する穀粒の量を検出し、また、白米受箱4dが満量に達した場合は、さらに筒状案内部45に堆積穀粒が達して検出子41a,41bの検出範囲が充填埋没状態となり、この白米の満量充填の検出により、穀粒の「不在」、「流下」、「充填」の三態様を識別することができる。「不在」または「充填」の判定により搗精部3aを停止制御し、その停止の判定区分に応じた表示等により案内報知可能に精米用の制御ユニット32を構成する。
【0039】
上記構成の穀粒センサ41により、白米受箱4dの満量充填および玄米ホッパ2内の玄米の全量消費に対応して、単一のセンサーにより低コストで確実な精米制御が可能となる。また、固定配置の穀粒センサ41によって白米受箱4dの満量充填検出が可能となることから、可動構成の白米受箱4dに貯留量レベルセンサを設ける場合と比較して簡易な構成によって精米制御が可能となる。
【0040】
また、穀粒センサ41は、白米受箱4dの直上位置で白米受箱4dの後端部まで所定距離を確保した位置に筒状案内部45を配置することにより、満量充填された白米受箱4dを引出す際に、筒状案内部45内に白米が堆積していても、白米受箱4dの引出し操作によるスライド移動に応じて堆積白米が白米受箱4dの後部側に次第に落下することから、筒状案内部45から落下する全穀粒を白米受箱4d内に受けることができる。このように、簡易な構成の穀粒センサ41は、低位置における穀粒収容部の取扱いを可能とするので、精米装置の構成高さを抑えることができる。
【0041】
(運転制御)
保冷精米機1は、冷却用の制御ユニット31によって冷却部6を制御し、通常の保冷運転と、それより小能力の冷却抑制運転と、その逆の急冷運転とから条件に応じて運転切替制御可能に構成し、また、前部開口5bの内方に配置してある操作パネルを兼ねる内扉7bの精米スイッチ操作により搗精部3aが作動し、条件に応じて精米停止制御可能に構成する。
【0042】
冷却部6の保冷運転は、庫内を所定の温度範囲に維持するように冷却用の制御ユニット31により冷却部6を制御する。この冷却制御により、冷却部6が内部ユニットUの下段部から吸気して熱交換し、この冷気は背面上行路11aによって玄米ホッパ2の上端開口5aに供給されて貯留玄米を冷却し、次いで左右の側面下行路12a,12aおよび前面下行路13aから下段位置に至る間で庫内全体を一様に冷却し、内部ユニットUの左右の下段開口14a,14aから同じく下段配置の冷却部6を経て循環冷却を行う。
【0043】
上記冷却運転により、上段配置の玄米ホッパ2の貯留玄米および下段配置の白米貯留部4の貯留白米は循環冷気を受けてそれぞれ所定温度に保冷されるとともに、中段配置の搗精部3aは、下段配置の冷却部6に向かう循環冷気の経路の外に位置することから、過度の冷却による結露に伴う電動駆動部3bの劣化が抑えられる。
【0044】
冷却抑制運転は、冷却部6の停止を含む小能力の循環冷却を行う。前部開口5bの開放の間についてドアスイッチにより冷却抑制運転に切替え制御することにより、前部開口5bの開放の際の外気の取込みが抑えられることから、冷却部6の凍結や電動駆動部3bの結露を低減することができる。また、搗精部3aの作動の間について切替え制御することにより、排出糠と熱気の庫内拡散を抑えることができる。
【0045】
急冷運転は、許容範囲内の最大能力の循環冷却を行う。搗精部3aの作動終了時から所定時間の範囲について急冷運転に切替え制御することにより、搗精部3aおよび電動駆動部3bの発熱分に対して早期に対処することができる。必要により冷却部6の凍結検出による運転調節を行う。
【0046】
搗精部3aの運転制御は、冷却用の制御ユニット31による前部開口5bの扉開放検出を条件に精米用の制御ユニット32に給電することにより開始される。この精米用の制御ユニット32は、操作パネル7bの精米スイッチ操作により、前部開口5b、穀粒センサ41、内扉7bその他の関連機器が一定条件を満たす範囲で搗精部3aを作動制御する。
【0047】
この場合において、タイマーの設定操作により作動時間を調節制御可能に構成することにより、精白度によって左右される精米量について、タイマー設定による適宜の調節が可能となる。また、搗精部3aの作動の際の電動駆動部3bの温度上昇による異臭発散や機器劣化の問題を回避するために、精米用の制御ユニット32により、所定の許容上限温度の範囲で連続作動が可能な限度時間を算出し、この限度時間の範囲内で搗精部3aを作動制御可能に構成する。
【0048】
連続作動が可能な限度時間は、搗精部3aの作動による電動駆動部3bの温度変化特性図を
図9に示すように、搗精部3aの作動により発熱する電動駆動部3bの温度変化に基づき、庫内温度センサーによる当初の庫内温度と運転履歴とにより電動駆動部3bの現在温度を算出し、この現在温度からの搗精部3aの作動により許容上限温度T0に達するまでの時間として算出することができる。
【0049】
このようにして、搗精部3aは、庫内温度と運転履歴とにより得られる限度時間内の運転により、電動駆動部3bについて昇温限度の範囲内の精米運転が可能となる。したがって、電動駆動部3bに温度センサーを組込んだ高コストの構成を要することなく、電動駆動部3bの過熱による弊害、例えば、モータ寿命の低下やコイル異臭の発散付着の問題を回避することができるので、低コストの家庭用保冷精米機により、安定して保冷玄米の精米が可能となる。
【0050】
(自動補充精米)
また、白米貯留部4における白米受箱4dの装着検出および前部開口5bの閉鎖検出を可能に構成し、白米受箱4dの装着を条件に前部開口5bの閉扉とともに穀粒センサ41を介して白米受箱4dが満量になる範囲で搗精部3aを作動させる自動補充精米制御を構成することにより、保冷精米機による保冷環境を生かし、品質の劣化を招くことなく高品質の白米を自動的に準備することができる。なお、玄米ホッパ2内の玄米の全量消費時は、穀粒センサ41が穀粒を検出しない「不在」の検出に基づいて搗精部3aを停止するとともに、玄米の全量消費を報知するべく制御処理を構成することにより、精米機を安定して自動補充精米運転することができる。