(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
<コンパウンド>
本発明で言うコンパウンドとは、
(a)成分:熱硬化性樹脂
(b)成分:酸化亜鉛
(c)成分:フィラー
を、必須成分として含有することを特徴とする組成物である。
【0020】
<(a)成分>
本発明の熱硬化性樹脂としては、透明エポキシ樹脂やケイ素系熱硬化性樹脂などの着色のない樹脂、及びその変性樹脂などがあげられるが、透明であれば、ここに記載するものに限定されるものではない。
【0021】
本発明に用いる熱硬化性樹脂の着色度は、硬化後のYIの値が8.0以下であることが必要であり、好ましくは7.0以下であり、さらに望ましくは6.0以下である。熱硬化性樹脂の着色度が上記範囲を逸脱した場合、コンパウンドの着色性にも影響し、満足のいく白色性が得られなくなる。本発明のYIとは、イエローインデックスのことを意味し、5cm×5cm×1cmの平板にしたサンプルを、VSS-400(日本電色工業株式会社製)の反射率測定モードにて測定して得られた値である。上記熱硬化性樹脂のYIを測定する場合は、熱硬化性樹脂を硬化させ5cm×5cm×1cmの平板にしたサンプルのYIを用いる。
【0022】
本発明に用いる熱硬化性樹脂の性状は、液体樹脂、固体樹脂、及び液体樹脂と固体樹脂の混合体であることを限定するものではない。
混練するに当たり、(b)成分、及び(c)成分に対して液状樹脂がバインダーとして作用することが求められるため、後述する(b)成分、及び(c)成分の粒径の範囲である場合は、(a)成分100重量部に対して、50重量部以上が23℃で液状であることが好ましく、好ましくは75重量部以上、さらに好ましくは80重量部以上である。
固体樹脂単独で使用する場合は、固体樹脂を溶融し、上記必要液状成分の重量部範囲を満たすことが必要である。
【0023】
液体樹脂と固体樹脂の混合体を使用する場合は、液状樹脂が上記必要液状成分の重量%範囲にあれば、固体樹脂を溶融する必要はないが、液状樹脂が上記必要液状成分の重量%範囲を満たしていない場合は、固体樹脂を溶融して全体の液状樹脂成分量を増やす必要がある。
【0024】
固体樹脂を溶融する必要がある場合の固体樹脂の融点としては、特に限定するものではないが、融点よりも硬化反応の開始温度が高くなければならない。硬化開始温度が融点を下回る場合は、コンパウンドの混練の際に硬化反応が起こり、成形性に影響を及ぼす。
この樹脂成分の熱硬化反応を促進させるための硬化促進剤、及び熱硬化反応を遅延させるための硬化遅延剤を添加しても良い。
【0025】
透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂をヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
【0026】
ケイ素系熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ基含有シリコーン樹脂、反応性官能基を有するかご状シルセスキオキサンよりなる熱硬化性樹脂、などが挙げられる。
【0027】
上記ケイ素系熱硬化性樹脂の中でも、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機化合物よりなるシリコーン系化合物で構成されるものであることがさらに好ましい。
以下で(A)〜(D)成分について説明する。
【0028】
<(A)成分>
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等の、シロキサン単位(Si−O−Si)を含む化合物以外のものが好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含む化合物の場合は、反応性などの問題がある。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0029】
(A)成分は、単独で用いても良いし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
【0030】
(A)成分の化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系の化合物に分類できる。有機重合体系化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
有機単量体系化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;鎖状、環状等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;これらの混合物等が挙げられる。
【0031】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(1)
CH
2=CR
1− (1)
(式中R
1は水素原子あるいはメチル基を表す。)
で示される基が反応性の点から好適である。中でも原料の入手の容易さから、R1が水素原子である基が特に好ましい。さらに、(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(2)
―R
2C=CR
2― (2)
(式中R
2は水素原子あるいはメチル基を表す。2つのR
2は同じであってもよいし異なっていてもよい。)
で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。中でも原料の入手の容易さから、R
2がともに水素原子である基が特に好ましい。
【0032】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない置換基がより好ましい。
【0033】
(A)成分の骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、などが挙げられる。
【0034】
(A)成分の有機化合物としては、骨格部分と炭素−炭素二重結合を有する基とに分けて表現しがたい低分子量化合物も用いることができる。上記低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0035】
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0036】
(A)成分の具体的な例としては、上述のほか、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、それらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの、等が挙げられる。
【0037】
これらの中でも耐光性などの光学特性が良好であるという観点からは、(A)成分中における芳香環の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0038】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の個数は、1分子当たり少なくとも2個あればよいが、耐熱性をより向上し得るという観点から、2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましく、4個以上であることが特に好ましい。ただし(A)成分が種々の化合物の混合物であり、各化合物の上記炭素−炭素二重結合の個数が同定できない場合には、上記混合物全体に関して1分子あたりの上記炭素−炭素二重結合の平均個数を求め、それを、(A)成分の上記炭素−炭素二重結合の個数とする。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0039】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合及び良好な作業性を得るためには、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。(A)成分は、線状でも枝分かれ状でもよい。(A)成分の分子量は特に制約はないが、50〜1000の任意のものが好適に使用できる。(A)成分としては、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0040】
(A)成分としては、入手性、反応性の点から、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ジアリルフタレート、ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、耐熱性・耐光性の点からトリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
【0041】
<(B)成分>
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば国際公開特許WO96/15194号公報に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。なかでも、(A)成分との相溶性が良いという観点から、下記一般式(3)
【0043】
(式中、R
3は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンがより好ましい。なお、一般式(3)で表される化合物中の置換基R
3は、C、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましい。
【0044】
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンと、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物との反応物も好ましい。この場合、反応物の(A)成分との相溶性をさらに高めるために、反応物から未反応のシロキサン類等を脱揮等により除去したものを用いることもできる。
【0045】
<(C)成分>
(C)成分はヒドロシリル化触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH
2=CH
2)
2(PPh
3)
2、Pt(CH
2=CH
2)
2Cl
2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe
2SiOSiMe
2Vi)
n、Pt[(MeViSiO)
4]
m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh
3)
4、Pt(PBu
3)
4)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)
3]
4、Pt[P(OBu)
3]
4)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0046】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)
3、RhCl
3、RhAl
2O
3、RuCl
3、IrCl
3、FeCl
3、AlCl
3、PdCl
2・2H
2O、NiCl
2、TiCl
4、等が挙げられる。
【0047】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0048】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ熱硬化性樹脂組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10
-8モル、より好ましくは10
-6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10
-1モル、より好ましくは10
-2モルである。また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10
-2モル、より好ましくは10
-1モルであり、好ましい添加量の上限は10
2モル、より好ましくは10モルである。
【0049】
<(D)成分>
本発明の(D)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量が1000以上のシリコーン化合物である。実質的にSi−O−Si結合からなるシロキサン骨格で構成されるシリコーン化合物を用いることにより、一般の有機系高分子を用いる場合と比較して、耐熱性、耐光性に優れた硬化物を得ることができる。さらに、本発明の(D)成分を用いることにより(E)成分の無機充填材と混合した場合に、より小さな線膨張係数を有しながら、靭性に優れた硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物とすることができる。またCuをはじめとするリードフレームなどの金属基材の実質片面に成形したときに反りがほとんどない成形品を提供することができる。
【0050】
(D)成分のシリコーン化合物は、実質的にその骨格がSi−O−Si結合で形成されている化合物であり、直鎖状、環状、分枝状、部分ネットワークを有するもの等種々のものを用いることができる。
【0051】
この場合、骨格に結合した置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基、水酸基等の基を挙げることができる。これらのうち、耐熱性が高くなりやすいという点においては、メチル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基としては、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基等を挙げることができるが、これらのうち反応性がよいという点においては、ビニル基が好ましい。
【0052】
(D)成分の例としては次の式で表すことができるものであってもよい。
Rn(CH
2=CH)
mSiO
(4-n-m)/2
(式中、Rは水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)であらわされる分子量1000以上のシリコーン化合物である。
【0053】
(D)成分の例としては、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンやこれら2種あるいは3種のランダムあるいはブロック共重合体、などを挙げることができる。(D)成分としては複数のものを混合して用いてもよい。
【0054】
これらの内、本発明の効果がより得られやすいという点においては、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンが好ましく、ビニル基を両末端に有する直鎖状ポリシロキサンがより好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンあるいは直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンがさらに好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンあるいは直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンであって、全置換基に対するフェニル基の量が10モル%以上であるシロキサンであることが特に好ましい。
【0055】
(D)成分の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。分子量が高い場合にはさらに得られる硬化物が低応力となりやすい。また、(D)成分の分子量としては1,000,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。分子量が大きい場合には(A)成分、(B)成分との相溶性が得られにくくなる。
【0056】
(D)成分の量としては、(A)成分および(B)成分の合計の重量に対する(D)成分の重量が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0057】
(A)成分、(B)成分、(D)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分および(D)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
【0058】
<(b)成分>
本発明が適用できる酸化亜鉛の平均粒径は0.1〜100μmである。この粒径範囲以下である場合は粒子径が小さすぎるため混練が困難になり、この粒径範囲以上である場合はコンパウンドの混練の際の流動が大きく変わる為、混練が困難になる。
好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは2〜25μmである。この範囲であれば、混練の際の液状樹脂成分のバインダーとしての働きが損なわれず、混練時の酸化亜鉛の流動もスムーズになり、局所的なせん断がかかりにくくなる。
酸化亜鉛の形状については、特に限定するものではない。
【0059】
<(c)成分>
(c)成分は、得られる硬化物の強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりする効果を有する。
(c)成分としては、酸化亜鉛を除く、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどがあげられるが、ここに例示したものに限定されるわけではない。
形状については、特に限定されるものではないが、フィラーの50%以上が球状であることが好ましい。フィラーの50%以上が球状である場合は、バインダーとしての液状樹脂成分がフィラー粒子内に吸油されにくくなり、且つ流動性が良くなる為、均一な混練が容易となる。
【0060】
硬度については、特に限定されるものではないが、酸化亜鉛のモース硬度である4よりも硬いフィラーの場合は、フィラーの50%以上を球状にすることが好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。球状のフィラーが50%以下の場合は、混練時に酸化亜鉛に局所的な強いせん断がかかってしまい黄変度が高くなる可能性がある。本発明が適用できるフィラーの平均粒径は0.1〜100μmである。この粒径範囲以下である場合は粒子径が小さすぎるため混練が困難になり、この粒径範囲以上である場合はコンパウンドの混練の際の流動が大きく変わる為、混練が困難になる。好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは2〜25μmである。この範囲であれば、混練の際の液状樹脂成分のバインダーとしての働きが損なわれず、混練時の酸化亜鉛の流動もスムーズになり、局所的なせん断がかかりにくくなる。
また、本発明のコンパウンドは、前記化合物を主たる含有成分とし、本発明の目的を損なわない範囲で、溶媒、安定剤、可塑剤、離型剤、及びその他の成分を必要に応じて含有させることができる。
【0061】
<各成分の混合比率>
コンパウンドに対する各成分の比率について記載する。
(a)成分の比率としては、液状成分量が多くなればなるほど混練は容易になり、さらにはコンパウンド中の粒子の流動が有利になり酸化亜鉛へのせん断がかかりにくくなる為多い分には問題はないことから、23℃において液状である熱硬化性樹脂をコンパウンド全体の5重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは7重量%以上、9重量%以上含むことがさらに好ましい。ただし、熱硬化性樹脂がすべて23℃で液状である必要はなく、(a)成分100重量部に対して、50重量部以上が23℃で液状であることが好ましく、好ましくは75重量部以上、さらに好ましくは80重量部以上であることは前述の通りである。
(b)成分の比率としては、コンパウンド全体に対し、35重量%以上であることが好ましく、さらには40重量%以上であることが好ましい。上記範囲以下の場合、得られる硬化物の白色性が確保されない。
(c)成分の比率としては、コンパウンド全体に対し、5重量%以上であることが好ましく、さらには15重量%以上、さらには25重量%以上であることが好ましい。上記範囲以下の場合、得られる硬化物の強度が確保されない。
上記内容から、(a)成分を5〜60重量%、(b)成分を35〜90重量%、及び(c)成分を5〜60重量%の比率で配合することが、コンパウンド内の粒子の流動性、白色性、及び強度の面からバランスのとれた配合であるといえる。
【0062】
<パッケージ>
本発明で言う半導体のパッケージとは、半導体素子あるいは/および外部取出し電極等を支持固定あるいは/および保護するために設けられた部材である。この場合の半導体素子としては各種のものが挙げられる。例えばIC、LSI等の集積回路、トランジスター、ダイオード、発光ダイオード等の素子の他、CCD等の受光素子等を挙げることができる。
【0063】
半導体が発光ダイオード素子の場合において、好ましくは発光ダイオード素子から出た光が照射されるように設計されたものであり、さらに好ましくは発光ダイオード素子から出た光を反射させて外部に取出すように設計されたものである。その場合は本発明のイエローインデックス(以下、YI)が8.0未満であると効果が顕著になり得る。さらに好ましくは、YIが7.0未満である。発光ダイオードパッケージの形状等には特に制約はない。例えば、発光ダイオード素子を搭載するための凹部を有する形状のものでもよいし、単に平板状のものであってもよい。本発明の発光ダイオードのパッケージの表面は平滑であってもよいし、エンボス等のような平滑でない表面を有していてもよい。
【0064】
<発光ダイオード素子>
本発明で言う発光ダイオードの各種の発光ダイオード素子としても、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光ダイオード素子を用いることができる。発光ダイオード素子のサイズ、個数についても特に限定なく用いることができる。用いる発光ダイオード素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
【0065】
<発光ダイオード用透明封止材>
本発明の半導体の封止材としては特に制限は無く、広く知られた各種熱硬化性樹脂の中から必要に応じて1種または2種以上を任意の組み合わせで選択して用いる事が可能である。一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止することも可能である。樹脂封止としては例えば従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂およびこれらの変性樹脂、等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂、分子内にケイ素を含有するケイ素系熱硬化性樹脂、透明ポリイミド樹脂、が好ましい。
【0066】
<スパイラルミキサー>
本発明で使用しているスパイラルミキサーはSM50T(鎌田製作所製)であるが、1)回転駆動式の釜、2)フックを持つものであれば、特に限定されるものではない。
【0067】
1)回転駆動式の釜
回転速度、内容量は特に限定しないが、回転速度は0〜250rpm、内容量は0.1〜100Lのものが生産性の面から好ましい。回転方向は一方向のみ回転可能なものでも正逆両方に回転するものでも構わない。釜の材質は特に限定されるものではないがSUS304が加工性、耐錆性、コストの面から好ましい。表面処理は、ほどこさなくても良いが、超硬溶射やハードクロムメッキなどをほどこしても構わない。表面粗度は、特に限定されるものではないが、後述するフックの表面粗度よりも粗いことが混練性を高めるためには好ましい。
釜の形状としては、特に限定されるものではないが、可能な限り滞留部がないよう角部にカーブをつけた形状が好ましい。
【0068】
2)フック
回転速度は特に限定しないが、0〜250rpmであることが生産性の面から好ましい。回転方向は一方向のみ回転可能なものでも正逆両方に回転するものでも構わない。フックの材質は特に限定されるものではないがSUS304が強度、加工性、耐錆性、コストの面から好ましい。表面処理は、ほどこさなくても良いが、超硬溶射やハードクロムメッキなどをほどこしても構わない。表面粗度は、特に限定されるものではないが、前述した回転釜の表面粗度よりも細かいことが混練性を高めるためには好ましい。
フック形状としては、フック、スパイラルフック、ビーター、スクリュービーターなどがあげられるが、特に限定するものではない。せん断を抑えるためには、フック、及びスパイラルフックを用いることが好ましい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例により発明の実施態様、効果を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0070】
(合成例1)
500mL四つ口フラスコにトルエン200g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン50gを入れ、気相部を窒素置換した後、内温105℃で加熱、攪拌した。
【0071】
ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート11.0g、トルエン11.0g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.0162gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から6時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体を得た。
【0072】
1H−NMRの測定により、このものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がジリアリルモノグリシジルイソシアヌレートと反応した以下の構造を有するものであることがわかった。また標準物質をジブロモエタンとした時の当量換算でSiH基7.5mmol/gを有することを確認した。
【0073】
<(a)成分配合例>
表1の内容に従って各成分を配合して組成物1、組成物2を調整した。
【0074】
【表1】
【0075】
<イエローインデックス(YI)>
本発明のYIとは、イエローインデックスのことを意味する。
イエローインデックスの測定は、測定するコンパウンド6.3gをφ13mmのタブレットにし、トランスファー成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて圧縮加熱し5cm×5cm×1cmの平板にしたサンプルを、VSS-400(日本電色工業株式会社製)の反射率測定モードにて測定することができる。
YI値としては、8.0未満が好ましく、7.0未満がさらに好ましい。この範囲を逸脱すると、反射率が低下し、リフレクタとして必要な輝度が保持できなくなる。
【0076】
<スパイラルフロー>
本発明ではコンパウンドの流動性を評価するためにスパイラルフローを用いて評価した。スパイラルフローの測定は、17gのコンパウンドをφ5cmのタブレットを蚊取り線香状の金型に対し、4.5MPa、170℃にて2分間トランスファー成形(神藤金属工業所製 ETA-D型)した時の流動長を測定するというものである。
測定流動長が25cm以上であることが後の成形性から好ましく、さらには30cm以上であることが好ましい。
【0077】
流動長が25cmを下回る場合、成形品に未充填部分が生じてしまう可能性がある。
この流動長は混練度と相関があり、混練が不足している場合は流動長が短いといえる。
【0078】
(実施例1)
(a)〜(c)の混合物をスパイラルミキサー(鎌田製作所 SM50T)にて混練した。混練条件は、フック200rpm、釜30rpmにて同方向回転にて混練した。
原料投入量は25kgであり、原料の詳細は以下に示す。
(a)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。
(b)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
(c)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を43.10重量%、龍森化学製のFUSULEX(平均粒径2.9μm)を4.78重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(a)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(c)成分を3分割し、各々10分おきに追加し、計30分混練した後、(b)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練してコンパウンドを作製した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.8であった。コンパウンドのスパイラルフローは31cmであった。
【0079】
(実施例2)
(スパイラルミキサー)
(a)〜(c)の混合物をスパイラルミキサー(鎌田製作所 SM50T)にて混練した。混練条件は、フック100rpm、釜30rpmにて同方向回転にて混練した。
原料投入量は25kgであり、原料の詳細は以下に示す。
(a)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。
(b)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
(c)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を43.10重量%、龍森化学製のFUSULEX(平均粒径2.9μm)を4.78重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(a)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(c)成分を3分割し、各々10分おきに追加し、計30分混練した後、(b)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練してコンパウンドを作製した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.2であった。コンパウンドのスパイラルフローは29cmであった。
【0080】
(実施例3)
(スパイラルミキサー)
(a)〜(c)の混合物をスパイラルミキサー(鎌田製作所 SM50T)にて混練した。混練条件は、フック200rpm、釜30rpmにて同方向回転にて混練した。
原料投入量は25kgであり、原料の詳細は以下に示す。
(a)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。
(b)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
(c)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を43.10重量%、龍森化学製のFUSULEX(平均粒径2.9μm)を4.78重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、40℃に加温した(a)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(c)成分を3分割し、各々10分おきに追加し、計30分混練した後、(b)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練してコンパウンドを作製した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.6であった。コンパウンドのスパイラルフローは42cmであった。
【0081】
(比較例1)
(ロールカッター)
実施例1に記載したものと同じ原料をロールカッターにて混練した。
ロールカッターとは、幅30cm×φ5cmのロールが平行に2本設置されたもので、その隙間にコンパウンドを通すことでコンパウンドを混練する装置である。
全原料重量は100gであり、原料の詳細は実施例1と同様である。
原料混練方法としては、(a)成分とステアリン酸カルシウムをカップ状の容器に秤取り、プラスチック製スパチュラにて手混練する。そこに3分割しておいた(c)成分を手混練しながら10分おきに順次投入する。次に、5分割しておいた(b)成分を混練しながら10分おきに順次投入する。
手混練が完了したコンパウンドをロールカッターにて混練する。
混練条件は、ロール隙間のクリアランス1.8mmで1回、1.2mmで1回、0.6mmで2回、0.3mmで2回通過させ、シート状になったコンパウンドを、へらにて手粉砕し、再度上記ロールにてシート状にする。これを30セット行い、コンパウンドを混練した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは8.0であった。コンパウンドのスパイラルフローは30cmであった。
【0082】
(比較例2)
(ロールカッター)
実施例1に記載したものと同じ原料をロールカッターにて混練した。
全原料重量は100gであり、原料の詳細は実施例1と同様である。
原料混練方法としては、(a)成分とステアリン酸カルシウムをカップ状の容器に秤取り、プラスチック製スパチュラにて手混練する。そこに3分割しておいた(c)成分を手混練しながら10分おきに順次投入する。次に、5分割しておいた(b)成分を混練しながら10分おきに順次投入する。
手混練が完了したコンパウンドをロールカッターにて混練する。
混練条件は、ロール隙間のクリアランス1.8mmで1回、1.2mmで1回、0.6mmで2回、0.3mmで2回通過させ、シート状になったコンパウンドを粉砕し、再度上記ロールにてシート状にする。これを20セット行い、コンパウンドを混練した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.1であった。コンパウンドのスパイラルフローは21cmであった。
【0083】
(比較例3)
(ロールカッター)
実施例1に記載したものと同じ原料をロールカッターにて混練した。
全原料重量は100gであり、原料の詳細は実施例1と同様である。
原料混練方法としては、(a)成分とステアリン酸カルシウムをカップ状の容器に秤取り、プラスチック製スパチュラにて手混練する。そこに3分割しておいた(c)成分を手混練しながら10分おきに順次投入する。次に、5分割しておいた(b)成分を混練しながら10分おきに順次投入する。
手混練が完了したコンパウンドをロールカッターにて混練する。
混練条件は、ロール隙間のクリアランス1.8mmで1回、1.2mmで1回、0.6mmで2回、0.3mmで2回通過させ、シート状になったコンパウンドを粉砕し、再度上記ロールにてシート状にする。これを40セット行い、コンパウンドを混練した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは8.9であった。コンパウンドのスパイラルフローは32cmであった。
【0084】
(比較例4)
(ロールカッター)
実施例1に記載したものと同じ原料をロールカッターにて混練した。
全原料重量は100gであり、原料の詳細は実施例1と同様である。
原料混練方法としては、(a)成分とステアリン酸カルシウムをカップ状の容器に秤取り、プラスチック製スパチュラにて手混練する。そこに3分割しておいた(c)成分を手混練しながら10分おきに順次投入する。次に、5分割しておいた(b)成分を混練しながら10分おきに順次投入する。
手混練が完了したコンパウンドをロールカッターにて混練する。
混練条件は、ロール隙間のクリアランス1.8mmで1回、1.2mmで1回、0.6mmで2回、0.3mmで2回通過させ、シート状になったコンパウンドを粉砕し、再度上記ロールにてシート状にする。これを25セット行い、コンパウンドを混練した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは7.2であった。コンパウンドのスパイラルフローは25cmであった。
【0085】
(比較例5)
(ロールカッター)
実施例3に記載したものと同じ原料をロールカッターにて混練した。
全原料重量は100gであり、原料の詳細は実施例1と同様である。
原料混練方法としては、(a)成分とステアリン酸カルシウムをカップ状の容器に秤取り、プラスチック製スパチュラにて手混練する。そこに3分割しておいた(c)成分を手混練しながら10分おきに順次投入する。次に、5分割しておいた(b)成分を混練しながら10分おきに順次投入する。
手混練が完了したコンパウンドをロールカッターにて混練する。
混練条件は、ロール隙間のクリアランス1.8mmで1回、1.2mmで1回、0.6mmで2回、0.3mmで2回通過させ、シート状になったコンパウンドを粉砕し、再度上記ロールにてシート状にする。これを30セット行い、コンパウンドを混練した。この際、コンパウンドの温度を随時モニタリングし、40℃をしたまわった場合は50℃のオーブンに入れ、コンパウンドの温度が48〜50℃になったことを確認した後ロールカッターによる混練を再開した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは8.2であった。コンパウンドのスパイラルフローは33cmであった。
【0086】
表2に実施例、比較例の測定結果をまとめて記載した。
【0087】
実施例1〜3では、スパイラルフロー、及びYIが満足のいく結果であったが、比較例1〜5ではスパイラルフロー、もしくはYIのいずれかにおいて満足いくものが得られなかった。
比較例1、3、5については、満足するスパイラルフローを得るために、混練を30回以上行っているため、せん断がかかり酸化亜鉛が黄変してしまったことが予想される。
比較例2については、酸化亜鉛の黄変を抑えるために混練回数を比較例1,3,5に比べ少なくしているため、混練不足な結果となっている。
比較例4については、混練性、及び黄変度ともに満足いく水準のものが得られなかった。
【0088】
【表2】