特許第6139181号(P6139181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139181
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】警報器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20170522BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G08B21/16
   G08B23/00 520A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-41745(P2013-41745)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-170371(P2014-170371A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋隆
(72)【発明者】
【氏名】豊田 和男
(72)【発明者】
【氏名】田辺 英俊
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−147267(JP,A)
【文献】 特開2005−176092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00−9/20
17/02−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声メッセージの出力タイミングであるかを判断する判断手段と、
出力する音声メッセージの情報を記憶した記憶手段と、
前記判断手段により音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、前記記憶手段に記憶される音声メッセージを出力する音声出力手段と、を備え、
前記音声出力手段は、前記判断手段により音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力する
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
携帯可能な第2の携帯端末を通じて前記連絡先情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記取得手段により取得された前記連絡先情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記取得手段は、前記第2の携帯端末に音声入力又は前記第2の携帯端末に操作入力されてデータ化された前記連絡先情報を取得する
ことを特徴とする請求項2に記載の警報器。
【請求項4】
音声メッセージの出力タイミングであるかを判断する判断工程と、
前記判断工程において音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、音声メッセージの情報を記憶した記憶手段から、前記音声メッセージの情報を読み出して音声メッセージを出力する音声出力工程と、を備え、
前記音声出力工程では、前記判断工程において音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力する
ことを特徴とする警報器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、火災警報器やガス警報器等の警報器は警報時及び故障時等において音声メッセージを出力している(例えば特許文献1参照)。例えば警報器は、火災検出時に「火災警報器が作動しました。確認して下さい。」と出力し、ガス漏れ検出時に「ガスが漏れていませんか。」と出力し、CO検出時に「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気して下さい。」と出力する。また、例えば警報器は、故障時に「警報器故障です。販売店に連絡して下さい。」と出力し、警報器の有効期限超過時に「取付後5年経過しています。」と出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−199546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の警報器において、利用者は警報時や故障時等に不安となってしまい、早急に所定機関に連絡を取りたくなってしまう場合がある。しかし、このような場合において、利用者は、肝心な連絡先の情報がわからないため、まず家の中のどこかに保管されている取扱説明書を探し、手めくりで連絡先の情報を探すこととなる。さらに、連絡先の情報が電話番号である場合、利用者は受話器を取り、番号を押して電話を掛けることとなる。
【0005】
このように、従来の警報器では、早急に所定機関に連絡を取りたくなったとしても、上記の作業を行わなければならず、例えば高齢者にとっては非常に煩わしく手間が掛かってしまう。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることが可能な警報器及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の警報器は、音声メッセージの出力タイミングであるかを判断する判断手段と、出力する音声メッセージの情報を記憶した記憶手段と、判断手段により音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、記憶手段に記憶される音声メッセージを出力する音声出力手段と、を備え、音声出力手段は、判断手段により音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力することを特徴とする。
【0008】
この警報器によれば、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力するため、例えば警報時、故障時及び有効期限超過時等に、音声メッセージを聞いた利用者は、警報器に第1の携帯端末をかざして連絡先情報を取得することができ、取扱説明書を探し、手めくりで連絡先の情報を探す、などの作業が不要となる。従って、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明の警報器において、携帯可能な第2の携帯端末を通じて連絡先情報を取得する取得手段をさらに備え、記憶手段は、取得手段により取得された連絡先情報を記憶することが好ましい。
【0014】
この警報器によれば、第2の携帯端末を通じて連絡先情報を取得する取得手段を備える。このため、第2の携帯端末を利用して、警報器の設置時にガス事業者が連絡先情報を警報器に記憶させることができる。これにより、地方毎等によって異なる連絡先に応じて製品を製造することなく、製造コストの低減につなげることができる。
【0015】
また、本発明の警報器において、取得手段は、第2の携帯端末に音声入力又は第2の携帯端末に操作入力されてデータ化された連絡先情報を取得することが好ましい。
【0016】
この警報器によれば、第2の携帯端末に音声入力又は第2の携帯端末に操作入力されてデータ化された連絡先情報を取得するため、利用者による警報器への不用意な操作により連絡先情報が書き換えられてしまう事態が生じず、連絡を取りたい場合に、不正確な連絡先情報が利用者に提示されてしまう事態を防止することができる。
【0019】
また、本発明の警報器の制御方法は、音声メッセージの出力タイミングであるかを判断する判断工程と、判断工程において音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、音声メッセージの情報を記憶した記憶手段から、前記音声メッセージの情報を読み出して音声メッセージを出力する音声出力工程と、を備え、音声出力工程では、判断工程において音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力することを特徴とする。
【0020】
この警報器の制御方法によれば、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために自己に第1の携帯端末をかざす旨の音声メッセージを出力するため、例えば警報時、故障時及び有効期限超過時等に、音声メッセージを聞いた利用者は、警報器に第1の携帯端末をかざして連絡先情報を取得することができ、取扱説明書を探し、手めくりで連絡先の情報を探す、などの作業が不要となる。従って、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることが可能な警報器及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る警報器を示す構成図である。
図2図1に示した記憶部に記憶される音声メッセージの内容を示す図である。
図3】操作ガイドの音声メッセージの一例を示す図である。
図4】第1及び第2の例に示した連絡先情報の取得方法を示すフローチャートである。
図5】第3の例に示した連絡先情報の取得方法を示すフローチャートである。
図6】連絡情報の出力処理を示すフローチャートである。
図7図1に示した記憶部に記憶される音声メッセージの内容を示す第2の図である。
図8図1に示した記憶部に記憶される音声メッセージの内容を示す第3の図である。
図9】第2実施形態に係る連絡情報の出力処理を示すフローチャートであって、図7に示す例に対応したフローを示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る警報器を示す構成図である。なお、以下の実施形態ではガス警報器を警報器の一例として説明するが、警報器はガス警報器に限らず、火災警報器、CO警報器、人感警報器などの他の警報器であってもよいし、2以上警報器の機能を組み合わせた警報器であってもよい。
【0024】
同図に示すように、警報器1は、検知対象となるガスの濃度が所定濃度以上であることを検出した場合に、ガス漏れが発生している旨を警報するものであって、ガスセンサ10と、CPU(Central Processing Unit)11と、音声出力部(音声出力手段)12と、表示部13とを備えている。
【0025】
ガスセンサ10は、周囲の検知対象となるガスの濃度に応じた信号を出力するものである。このガスセンサ10は、半導体式、接触燃焼式等のセンサにより構成されている。CPU11は、警報器1の全体を制御するものであって、判断部(判断手段)11aと記憶部(記憶手段)11bとを備えている。
【0026】
判断部11aは、音声メッセージの出力タイミングであるか否かを判断するものである。例えば判断部11aは、所定濃度以上のガスが検出された場合、音声メッセージの出力タイミングであると判断する。また、判断部11aは、図示しない故障検出回路から警報器1の故障を検出した場合にも、音声メッセージの出力タイミングであると判断する。さらに、判断部11aは、警報器1の有効期限(例えば5年)超過時においても音声メッセージの出力タイミングであると判断する。
【0027】
音声出力部12は、判断部11aにより音声メッセージの出力タイミングであると判断された場合に、音声メッセージを出力するものである。出力する音声メッセージは記憶部11bに記憶されている。
【0028】
図2は、図1に示した記憶部11bに記憶される音声メッセージの内容を示す図である。図2に示すように、記憶部11bは、警報時、故障時及び有効期限超過時のそれぞれに対応した音声メッセージを記憶している。
【0029】
具体的に記憶部11bは、警報時の音声メッセージとして「ガスが漏れていませんか。」と記憶しており、故障時の音声メッセージとして「警報器故障です。販売店に連絡して下さい。」と記憶している。さらに、記憶部11bは、有効期限超過時の音声メッセージとして「取付後5年経過しています。販売店に連絡して下さい。」と記憶している。
【0030】
このため、判断部11aは、所定濃度以上のガスが検出された場合、警報時の音声メッセージの出力タイミングであると判断し、CPU11は、音声出力部12から警報時の音声メッセージを出力させることとなる。同様に、判断部11aは、故障が検出された場合、故障時の音声メッセージの出力タイミングであると判断し、CPU11は、音声出力部12から故障時の音声メッセージを出力させることとなる。さらに、判断部11aは、有効期限の超過が検出された場合、有効期限超過時の音声メッセージの出力タイミングであると判断し、CPU11は、音声出力部12から有効期限超過時の音声メッセージを出力させることとなる。このように、判断部11aは、種別毎に音声メッセージの出力タイミングを判断しており、音声出力部12は、種別に応じた音声メッセージを出力することとなる。
【0031】
加えて、第1実施形態に係る記憶部11bは、出力する音声メッセージの情報として、所定機関に連絡するための連絡情報を含んで記憶している。連絡情報とは、電話番号、e−mailアドレス、urlなど、相手側に警報や故障等を通知できる連絡先情報を含む概念である。
【0032】
図2に示すように、記憶部11bは、警報時の音声メッセージとして、上記の「ガスが漏れていませんか。」に加えて、「電話番号は、×××−○○○−□□□□」という連絡情報(連絡先情報)を記憶している。このため、音声出力部12は、警報時に連絡情報を含んだ音声メッセージを出力することとなり、利用者に所定機関の連絡先を通知することができる。なお、所定機関とは、ガス事業者、販売店、ガス管理者を含む概念であり、警報時や故障時等において対処を行うことが可能な対象をいう概念である。
【0033】
また、記憶部11bは、故障時の音声メッセージとして、上記の「警報器故障です。販売店に連絡して下さい。」に加えて、「電話番号は、×××−○○○−□□□□」という連絡情報(連絡先情報)を記憶している。このため、警報時と同様に、利用者に所定機関の連絡先を通知することができる。
【0034】
さらに、記憶部11bは、有効期限超過時の音声メッセージとして、上記の「取付後5年経過しています。販売店に連絡して下さい。」に加えて、「E−mailは、×××@○○○.××.□□」という連絡情報(連絡先情報)を記憶している。このため、警報時と同様に、利用者に所定機関の連絡先を通知することができる。なお、記憶部11bは、有効期限超過時のように近日中に警報器1を交換すればよく、警報器故障ほど迅速な交換を必要としない場合には、E−mailアドレスのような連絡情報(連絡先情報)を記憶しておいてもよい。
【0035】
再度図1を参照する。表示部13は、LEDランプ等によって構成され、警報時や故障時等において点灯や点滅により利用者にその旨を報知するものである。
【0036】
さらに、第1実施形態に係る警報器1は、上記連絡先情報を製造時において記憶部11bに記憶させることなく、例えば警報器1の設置時に記憶させるべく、通信部14と操作スイッチ(操作部)15とを備え、CPU11は取得部(取得手段)11cを備えている。
【0037】
通信部14は、利用者が携帯可能な携帯電話や、ガス事業者が携帯可能な設定器などの携帯端末と通信する部位である。より詳細に通信部14は、携帯端末と専用ケーブルにて接続される接続部、又は、携帯端末と無線通信するNFCや赤外線の送受信部により構成されている。操作スイッチ15は、利用者及びガス事業者により操作可能な操作部である。この操作スイッチ15は、例えば警報器1の点検用スイッチと共用されている。
【0038】
取得部11cは、携帯端末及び通信部14、並びに操作スイッチ15の少なくとも一方を通じて、連絡先情報を取得するものである。以下、取得部11cによる連絡先情報の取得方法について3つ例を挙げて詳細に説明する。なお、第1及び第2の例は、携帯端末を通じて取得部11cに連絡先情報の1つである電話番号を取得させる例を示し、第3の例は、操作スイッチ15を通じて取得部11cに連絡先情報の1つである電話番号を取得させる例を示すものとする。
【0039】
第1に、例えば携帯端末がスマートフォンである場合、まずガス事業者はスマートフォンに連絡先情報の入力用のアプリを内蔵させておく。そして、ガス事業者はスマートフォンに内蔵されるマイクに対して、電話番号を話す。これにより、その電話番号の音声データがスマートフォンに記憶される。その後、有線又は無線によりスマートフォンの音声データを通信部14を通じて取得部11cに取得させる。これにより、取得部11cは記憶部11bに電話番号の情報を記憶させることとなる。
【0040】
また、第2に、例えば携帯端末がスマートフォンである場合、まずガス事業者はスマートフォンに連絡先情報の入力用のアプリを内蔵させておく。そして、ガス事業者はスマートフォンのテンキー等を利用して、電話番号を入力する。次いで、スマートフォンは、入力された電話番号の情報から、電話番号の音声データを生成して記憶する。その後、有線又は無線によりスマートフォンの音声データを通信部14を通じて取得部11cに取得させる。これにより、取得部11cは記憶部11bに電話番号の情報を記憶させることとなる。
【0041】
なお、図2に示すように、音声メッセージの情報は、警報、故障及び有効期限超過の種別毎に記憶されているため、スマートフォンにて種別を入力可能とし、音声データに加えて種別情報も送信可能とされていることが望ましい。また、第2の例では、テンキー等を利用して入力された電話番号の情報からスマートフォンにて音声データを生成しているが、これに限らず、電話番号のデータを警報器1に転送し、警報器1にて音声データを生成するようにしてもよい。加えて、第1及び第2の例では、電話番号を取得する例を示したが、これに限らず、取得部11cは、e−mailアドレス、urlなどの他の連絡先情報を取得させてもよい。
【0042】
第3に、ガス事業者は、例えば操作スイッチ15を押下しながら警報器1の電源を投入することで、連絡先設定モードに移行させる。これにより、警報器1の音声出力部12は、操作スイッチ15を介して取得部11cに連絡先情報を取得させるための操作をガイドする音声メッセージを出力する。
【0043】
図3は、操作ガイドの音声メッセージの一例を示す図である。まず、図3に示すように、音声出力部12は、「電話番号設定モードです。」と音声出力する。次いで、音声出力部12は、「携帯電話ですか。固定電話ですか。携帯電話なら1回、固定電話なら2回スイッチを押して下さい。」と音声出力する。そして、ガス事業者が、この音声に応じて操作スイッチ15を2回押した場合、音声出力部12は、「固定電話はどの地域ですか。北海道・東北なら1回、関東なら2回・・・スイッチを押して下さい。」と音声出力する。
【0044】
その後、ガス事業者が、操作スイッチ15を所定回数押した場合、音声出力部12は、「静岡県なら1回、山梨県なら2回・・・スイッチを押して下さい。」と音声出力する。そして、ガス事業者が操作スイッチ15を1回押した場合、音声出力部12は、「浜松市なら1回、磐田市なら2回・・・スイッチを押して下さい。」と音声出力する。
【0045】
次に、ガス事業者が操作スイッチ15を1回押した場合、音声出力部12は、「天竜区なら1回、北区なら2回・・・スイッチを押して下さい。」と音声出力する。次いで、ガス事業者が操作スイッチ15を所定回数押した場合、音声出力部12は、「末尾4桁の最初の数字の数だけスイッチを押して下さい。」と音声出力する。
【0046】
その後、ガス事業者が、末尾4桁の最初の数字の数だけ操作スイッチ15を押した場合、音声出力部12は、「末尾4桁の2番目の数字の数だけスイッチを押して下さい。」と音声出力する。そして、ガス事業者が末尾4桁の2番目の数字の数だけ操作スイッチ15を押した場合、以後、3番目、4番目の数字の入力状態となり、4番目の数字の数だけ操作スイッチ15を押した後に、電話番号の入力が完了する。
【0047】
上記のように、取得部11cは、順次段階的に入力されるスイッチ操作回数の情報を取得して、スイッチ操作回数に基づいて電話番号の音声データを生成し、記憶部11bに記憶させる。
【0048】
なお、図3では電話番号について説明したが、これに限らず、E−mailアドレス及びurlなどの他の連絡先情報であっても同様に、取得部11cは、順次段階的に入力されるスイッチ操作回数の情報を取得して、スイッチ操作回数に基づいてE−mailアドレス及びurlなどの音声データを生成し、記憶部11bに記憶させることとなる。
【0049】
次に、第1実施形態に係る警報器1の制御方法をフローチャートを参照して説明する。図4は、第1及び第2の例に示した連絡先情報の取得方法を示すフローチャートである。まず、図4に示すように、CPU11は、連絡先設定モードであるか否かを判断する(S1)。連絡先設定モードは、例えば第3の例と同様に、操作スイッチ15を押下しながら警報器1の電源を投入することで移行させることができる。
【0050】
連絡先設定モードでないと判断した場合(S1:NO)、図4に示す処理は終了する。連絡先設定モードであると判断した場合(S1:YES)、CPU11は、通信部14にて音声データを受信したか否かを判断する(S2)。音声データを受信していないと判断した場合(S2:NO)、CPU11は、連絡先設定モードに移行してから所定時間経過したか否かを判断する(S3)。所定時間経過したと判断した場合(S3:YES)、図4に示す処理は終了する。一方、所定時間経過していないと判断した場合(S3:NO)、処理はステップS2に移行する。
【0051】
ところで、音声データを受信したと判断した場合(S2:YES)、取得部11cは音声データを取得し、記憶部11bに音声データを記憶させる(S4)。そして、図4に示す処理は終了することとなる。
【0052】
図5は、第3の例に示した連絡先情報の取得方法を示すフローチャートである。まず、図5に示すように、CPU11は、連絡先設定モードであるか否かを判断する(S11)。連絡先設定モードでないと判断した場合(S11:NO)、図5に示す処理は終了する。
【0053】
連絡先設定モードであると判断した場合(S11:YES)、CPU11は、変数iを「1」に設定する(S12)。そして、音声出力部12は、ガイドiの音声を出力する(S13)。なお、iは1からnまでの数であり、nは2以上の整数である。
【0054】
その後、CPU11は、ガイドiの音声に応じたスイッチ操作があったか否かを判断する(S14)。スイッチ操作がなかったと判断した場合(S14:NO)、CPU11は、ガイドiの音声を出力してから所定時間経過したか否かを判断する(S15)。所定時間経過したと判断した場合(S15:YES)、図5に示す処理は終了する。一方、所定時間経過していないと判断した場合(S15:NO)、処理はステップS14に移行する。
【0055】
ところで、ガイドiの音声に応じたスイッチ操作があったと判断した場合(S14:YES)、取得部11cはスイッチ操作に関する情報を取得する。そして、CPU11は、変数iがnであるか否かを判断する(S16)。変数iがnでないと判断した場合(S16:NO)、CPU11は、変数iをインクリメントし(S17)、処理はステップS13に移行する。
【0056】
一方、変数iがnであると判断した場合(S16:YES)、ガイド1からガイドnまでの音声を出力済みであり、この音声に応じたスイッチ操作がされていることから、取得部11cは、取得したスイッチ操作に関する情報から音声データを生成して、記憶部11cに記憶させる(S18)。そして、図5に示す処理は終了する。
【0057】
図6は、連絡情報の出力処理を示すフローチャートである。図6に示すように、まず判断部11aは、所定濃度以上のガスが検出され、警報音声の出力タイミングであるか否かを判断する(S21)。警報音声の出力タイミングであると判断した場合(S21:YES)、音声出力部12は、警報時の音声メッセージを出力する(S22)。この際、上記したように、音声出力部12は、図2に示したように、連絡情報(連絡先情報)を含む音声メッセージを出力する。そして、図6に示す処理は終了する。
【0058】
一方、警報音声の出力タイミングでないと判断した場合(S21:NO)、判断部11aは、警報器1に故障が検出され、故障音声の出力タイミングであるか否かを判断する(S23)。故障音声の出力タイミングであると判断した場合(S23:YES)、音声出力部12は、故障時の音声メッセージを出力する(S24)。この際、上記したように、音声出力部12は、図2に示したように、連絡情報(連絡先情報)を含む音声メッセージを出力する。そして、図6に示す処理は終了する。
【0059】
一方、故障音声の出力タイミングでないと判断した場合(S23:NO)、判断部11aは、警報器1の有効期限が超過し、有効期限超過時の音声の出力タイミングであるか否かを判断する(S25)。有効期限超過時の音声の出力タイミングであると判断した場合(S25:YES)、音声出力部12は、有効期限超過時の音声メッセージを出力する(S26)。この際、上記したように、音声出力部12は、図2に示したように、連絡情報(連絡先情報)を含む音声メッセージを出力する。そして、図6に示す処理は終了する。
【0060】
一方、有効期限超過時の音声の出力タイミングでないと判断した場合(S25:NO)、処理はステップS21に移行する。
【0061】
なお、ステップS22における音声メッセージは、操作スイッチ15が押下されるか、又は、所定濃度以上のガスが検出されなくなるまで、繰り返し出力される。また、ステップS24,S26における音声メッセージは、操作スイッチ15が押下されるか、又は、警報器1が交換されるまで、所定時間間隔で繰り返し出力される。
【0062】
このようにして、第1実施形態に係る警報器1及びその制御方法によれば、所定機関に連絡するための連絡情報を含んだ音声メッセージを出力するため、例えば警報時、故障時及び有効期限超過時等に、音声メッセージを聞いた利用者は、音声メッセージに基づいて所定機関に連絡を取ることができ、取扱説明書を探し、手めくりで連絡先の情報を探す、などの作業が不要となる。従って、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることができる。
【0063】
また、所定機関の連絡先を含む連絡先情報を含んだ音声メッセージを出力する。ここで、連絡先情報とは、連絡情報の1つであって、電話番号、e−mailアドレス、urlなど、相手側に警報や故障等を通知できる連絡先となる情報である。このため、利用者は、音声メッセージとして流れる連絡先情報を聞き、その連絡先に連絡をすればよく、所定機関に連絡を取るにあたり、利便性の向上を図ることができる。
【0064】
また、携帯端末及び操作スイッチ15の少なくとも一方を通じて連絡先情報を取得する取得部11cを備える。このため、携帯端末や操作スイッチ15を利用して、警報器1の設置時にガス事業者が連絡先情報を警報器1に記憶させることができる。これにより、地方毎等によって異なる連絡先に応じて製品を製造することなく、製造コストの低減につなげることができる。
【0065】
また、携帯端末に音声又は操作入力されてデータ化された連絡先情報を取得するため、利用者による警報器1への不用意な操作により連絡先情報が書き換えられてしまう事態が生じず、連絡を取りたい場合に、不正確な連絡先情報が利用者に提示されてしまう事態を防止することができる。
【0066】
また、操作スイッチ15を介して連絡先情報を取得させるための操作をガイドする音声メッセージを出力するため、ガイドのメッセージを聞いた利用者は警報器1へ不用意に操作をせず連絡先情報が書き換えられてしまう事態を防止できる。さらに、連絡先情報を警報器1に記憶させたい場合にガス事業者はガイドに沿って操作すればよく、誤操作による誤った連絡先情報が記憶されてしまう可能性を低減することができる。
【0067】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る警報器1及びその制御方法は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成及び処理内容が異なっている。以下、第1実施形態との相違点を説明する。
【0068】
図7は、図1に示した記憶部11bに記憶される音声メッセージの内容を示す第2の図である。図7に示すように、記憶部11bは、警報時の音声メッセージとして「ガスが漏れていませんか。」と記憶しており、故障時の音声メッセージとして「警報器故障です。」と記憶している。さらに、記憶部11bは、有効期限超過時の音声メッセージとして「取付後5年経過しています。」と記憶している。
【0069】
さらに、第2実施形態において記憶部11bは、これらの音声メッセージに加えて「携帯電話を警報器に近づけて下さい。」という行動情報の音声メッセージを記憶している。ここで、行動情報とは、連絡情報の1つであって、利用者が連絡先情報を取得するために行うべき行動を示す情報である。第2実施形態において音声出力部12は行動情報を含む音声メッセージを出力することとなる。
【0070】
また、第2実施形態において通信部14は利用者が所持する携帯電話(携帯端末)と無線にて通信可能に構成されている。具体的にはNFC通信や赤外線通信が行われることとなる。このため、利用者が警報器1に携帯電話を近づけることで、記憶部11bに記憶されている連絡先情報が利用者の携帯電話に送信される。これにより、利用者は、より簡易に連絡先情報を取得できることとなる。
【0071】
なお、上記の場合において携帯電話は、連絡先情報を受信後に自動的に発信するように構成されていてもよい。すなわち、連絡先情報が電話番号である場合、携帯電話が自動的に電話を掛けるように構成されていてもよい。これにより、より一層簡便に連絡を取ることができるからである。また、連絡先情報がE−mailアドレスである場合には、E−mailが自動的に送信されるように構成されていてもよい。さらに、連絡先情報がE−mailアドレスである場合には、題名及び本文に警報器1の交換を促す内容が自動的に記載されるようになっていることが望ましい。
【0072】
図8は、図1に示した記憶部11bに記憶される音声メッセージの内容を示す第3の図である。図8に示すように、記憶部11bは、行動情報を含む音声メッセージに加えて「ピーポーパープーポーピー・・・。」などのPB信号を記憶している。PB信号とは、2つの周波数を対応させた音によりダイヤル数字を表現した信号である。例えば「0」の場合、941Hzと1336Hzとの音が組み合わせて表現され、「9」の場合、852Hzと1477Hzとの音が組み合わせて表現される。2つの音を組み合わせる理由は、音声などでの誤認識を防ぐためである。なお、このPB信号も連絡先情報の1つである。
【0073】
このように、図8に示す例の場合、音声出力部12は、行動情報を含む音声メッセージに加えてPB信号(連絡先情報)を出力することとなり、利用者は、携帯電話を警報器1に近づけるだけで、簡易に連絡先情報を取得できることとなる。また、図7に示す例と同様に、携帯電話が自動的に電話を掛けたりE−mailを送信したりするように構成されていてもよい。
【0074】
次に、第2実施形態に係る警報器1の制御方法を説明する。図9は、第2実施形態に係る連絡情報の出力処理を示すフローチャートであって、図7に示す例に対応したフローを示している。
【0075】
まず、ステップS31〜S36において図7に示したS21〜S26に示す処理と同様の処理が実行される。この際、ステップS32,S34,S36において音声出力部12は、行動情報を含んだ音声メッセージを出力することとなる。
【0076】
その後、ステップS37においてCPU11は携帯端末が警報器1に近接しているか否かを判断する(S37)。近接していないと判断した場合(S37:NO)、この処理が繰り返される。
【0077】
一方、近接していると判断した場合(S37:YES)、CPU11は、通信部14を介して携帯端末に連絡先情報を送信する(S38)。そして、図9に示す処理は終了する。なお、図7に示す例ではステップS37において携帯端末が近接しているかを判断し、近接している場合に連絡先情報を送信しているが、これに限らず、常時連絡先情報を送信しており、携帯端末が連絡先情報を受信した場合に受信した旨を警報器1に返信し、返信を確認したことを契機として警報器1が連絡先情報の送信を完了するようにしてもよい。
【0078】
また、図8に示す例に対応したフローチャートは、図6が連絡先情報を含む音声メッセージを出力するのに対して、図8に示す例では行動情報及び連絡先情報を含む音声メッセージを出力する点で異なるのみであって、基本的に図6に示すものと同様であることから説明を省略する。
【0079】
このようにして、第2本実施形態に係る警報器1及びその制御方法によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、利用者が所定機関の連絡先を含む連絡先情報を取得するために行うべき行動情報含んだ音声メッセージを出力する。ここで、行動情報とは、携帯電話を警報器1にかざす、などの情報であり、例えば携帯電話が警報器1と通信可能である場合、利用者は携帯電話をかざすだけで連絡先情報を取得でき、所定機関に連絡を取るにあたり、一層利便性の向上を図ることができる。
【0081】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態において音声メッセージの出力タイミングは、警報時、故障時及び有効期限超過時に限らず、他のタイミングがあってもよい。
【0082】
また、上記に示した連絡先情報の取得方法については、上記3つの例に限らず、携帯端末又は操作スイッチ15を使用するものであれば、他の手法であってもよい。
【0083】
さらに、上記実施形態ではガス警報器を警報器1の例として説明したが、ガス警報器に限らず、火災警報器やガス火災一体型警報器であってもよい。また、COを検出するガス警報器、及び侵入者を検出する人感警報器などの他の警報器であってもよい。
【0084】
加えて、上記実施形態では操作スイッチ15を操作部として備えているが、可能であればテンキーや液晶パネルなどの他の操作部を備えていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では連絡先情報と行動情報とを連絡情報の一例として説明したが、これに限らず、連絡情報は、所定機関に連絡するために必要な情報であれば他の情報であってもよい。例えば、警報器1が所定機関と無線通信接続されており、警報器1に所定の操作を行うことで所定機関に連絡できる場合には、その所定の操作の情報が連絡情報として音声出力されるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…警報器
10…ガスセンサ
11…CPU
11a…判断部(判断手段)
11b…記憶部(記憶手段)
11c…取得部(取得手段)
12…音声出力部(音声出力手段)
13…表示部
14…通信部
15…操作スイッチ(操作部)
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9