(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、各構成要素はそれらと異なっていてもよく、その要旨を変更しない範囲で変更して実施することが可能である。
【0025】
図1は本発明の本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の概略平面図であり、
図2は
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のII−II切断線における概略断面図である。
【0026】
本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、基板10と、回路層12と、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30と、封止膜40と、対向基板50と、を有している。
【0027】
基板10は、絶縁性の基板であって、その上面に後述する薄膜トランジスタ11及び有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が形成される部材である。基板10の上面10aには、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が設けられている。なお、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30は基板10の上面10aに複数設けられているが、説明の便宜上、
図2においては詳細な図示を省略する。
【0028】
有機エレクトロルミネッセンス発光素子30は、例えば平面視で基板10よりも小さい外周を有する表示領域Dに設けられており、その外側の領域には、例えば
図2に示すように、図示しない充填剤を堰止めるための堰DMが配置されている。基板10上の、表示領域Dに対応する領域には、図示しない制御信号線や、データ信号線や、電源線等の配線が設けられている。また、表示領域Dには、多数の画素が規則的に、例えばマトリクス状に配置されている。
【0029】
基板10の上面10aのうち、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が形成されていない領域10a
1には、フレキシブル回路基板2が接続され、さらに、ドライバ3が設けられている。ドライバ3は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の外部からフレキシブル回路基板2を介して画像データを供給されるドライバである。ドライバ3は画像データを供給されることにより、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30に、図示しないデータ線を介して各画素に印加する電圧信号を供給する。
【0030】
次に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の表示領域Dの構成について、その詳細を説明する。
図3は
図2に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のIII領域の部分拡大図である。このIII領域は、表示領域Dにおける1つの画素Pに対応する領域である。III領域の基板10上には、回路層12と、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30と、封止膜40と、充填剤45と、対向基板50とが積層されている。
【0031】
回路層12は、各画素Pに流れる電流の量を制御するための電気回路が規則的に配置される層である。回路層12は例えば、薄膜トランジスタ11と、パッシベーション膜13を有している。
【0032】
薄膜トランジスタ11は、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30を駆動するためのトランジスタであり、基板10上に画素Pごとに設けられている。薄膜トランジスタ11は、具体的には例えば、ポリシリコン半導体層11a、ゲート絶縁層11b、ゲーゲート電極11c、ソース・ドレイン電極11d、第1の絶縁膜11e及び第2の絶縁膜11fから構成されている。
【0033】
パッシベーション膜13は、薄膜トランジスタ11上を覆うように形成されている。パッシベーション膜13が薄膜トランジスタ11上に形成されていることにより、隣接する薄膜トランジスタ11間や、薄膜トランジスタ11と有機エレクトロルミネッセンス発光素子30の間が電気的に絶縁される。パッシベーション膜13には、薄膜トランジスタ11を有機エレクトロルミネッセンス発光素子30に接続するコンタクトホール32aが画素P毎に形成されている。パッシベーション膜13は、例えばSiO
2やSiN、アクリル、ポリイミド等の絶縁性を有する材料からなる。パッシベーション膜13の材料として、アクリルやポリイミド等の有機系のポリマー樹脂を用いることにより、パッシベーション膜13の上面を平坦化でき、有機エレクトロルミネッセンス発光素子の形成が容易になる。
【0034】
なお、回路層12の構成は、上記の構成に限られず、適宜の絶縁層と、走査信号線、映像信号線、電源線及び接地線等を有してもよい。
【0035】
パッシベーション膜13上の各画素Pに対応する領域には、反射膜31がマトリクス状に形成されていてもよい。反射膜31は、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30から発出した光を封止膜40側へ向けて反射するために設けられている。反射膜31は、光反射率が高いほど好ましく、例えばアルミニウムや銀(Ag)等からなる金属膜を用いることができる。
【0036】
パッシベーション膜13上には、例えば複数の有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が形成されている。有機エレクトロルミネッセンス発光素子30は、薄膜トランジスタによって制御される画素電極(陽極)32と、画素電極32上に配置される、少なくとも発光層を有する有機層33と、有機層33上を覆うように形成された対向電極(陰極)34と、を有することにより、発光源として機能する。本実施形態においては画素電極32を陽極とし、対向電極34を陰極として説明するが、画素電極32を陰極とし対向電極を陽極としてもよい。
【0037】
陽極32は、各画素Pに対応してマトリクス状に形成されている。また、陽極32はコンタクトホール32aを介して薄膜トランジスタ11のドレイン電極に接続している。このような構成を有することにより、陽極32は駆動用の薄膜トランジスタ11に電気的に接続され、薄膜トランジスタ11から供給される駆動電流は、陽極32を介して有機層33に注入される。
【0038】
陽極32は透光性及び導電性を有する材料からなる。陽極32の材料は、具体的には例えば、ITO(Indium Tin Oxide)であることが好ましいが、IZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アルミニウム複合酸化物等の透光性及び導電性を有する材料であってもよい。特に、陽極32は、後述する有機層33のホール注入層と接触するため、その材料は仕事関数が大きいほど好ましい。
【0039】
なお、反射膜31が銀等の金属からなり、かつ、陽極32に接触するものであれば、反射膜31は陽極32の一部となる。
【0040】
隣接する各陽極32同士の間には、画素分離膜14が形成されている。画素分離膜14は、隣接する陽極32同士の接触と、陽極32と陰極34の間の漏れ電流を防止する機能を有する。画素分離膜14は、例えば、平面視で隣接する画素P同士の境界に沿って形成されており、これにより、陽極32の外周端部を覆っている。画素分離膜14の開口部では、陽極32と有機層33とが接触している。画素分離膜14は絶縁性を有する材料からなり、具体的には例えば、感光性の樹脂組成物からなる。
【0041】
発光層を有する有機層33は、陽極32上を覆うように形成されている。有機層33は光を発する機能を有しており、その発光は、白色でも、その他の色であってもよい。有機層33は、画素P毎に形成されていてもよく、また、表示領域Dの画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成されていてもよい。
【0042】
有機層33は、例えば、陽極32側から順に、図示しないホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が積層されてなる。なお、有機層33の積層構造はここに挙げたものに限られず、少なくとも発光層を含むものであれば、その積層構造は特定されない。
【0043】
発光層は、例えば、正孔と電子とが再結合することによって発光する有機エレクトロルミネッセンス物質から構成されている。このような有機エレクトロルミネッセンス物質としては例えば、一般に有機発光材料として用いられているものを用いてよく、具体的には例えば、クマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’―ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’―ジアリール置換ピロロピロール系等、一重項状態から発光可能な公知の蛍光性低分子材料や、希土類金属錯体系の三重項状態から発光可能な公知の燐光性低分子材料を用いることができる。
【0044】
陰極34は、有機層33上を覆うように形成されている。陰極34は、画素P毎に独立しておらず、表示領域Dの画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成される。このような構成を有することにより、陰極34は複数の有機エレクトロルミネッセンス発光素子30の有機層33に共通に接触する。
【0045】
陰極34は透光性及び導電性を有する材料からなる。陰極34の材料は、具体的には例えば、ITOであることが好ましいが、ITOやIZO等の導電性金属酸化物に銀やマグネシウム等の金属を混入したもの、あるいは銀やマグネシウム等の金属薄膜と導電性金属酸化物を積層したものであってもよい。
【0046】
有機エレクトロルミネッセンス発光素子30上である陰極34の上面34aは、複数の画素Pにわたって封止膜40により覆われている。封止膜40は、有機層33をはじめとする各層への酸素や水分の侵入を防止することにより保護する透明の膜である。本実施形態における封止膜40は、第1バリア層40aと、下地層40bと、中間層40cと、第2バリア層40dとを有している。
【0047】
第1バリア層40aは、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30への酸素や水分の侵入を防止する機能を有する。第1バリア層40aの材料はSiN、SiON、SiOなどが挙げられるが、水分や酸素に対するバリア性を有するものであればこれらに限定されない。なお、第1バリア層40aは表示領域D内の画素Pの配置されている領域の全面を覆うように形成されている。
【0048】
第1バリア層40aの上面40a
1は、下地層40bによって覆われている。下地層40bは、中間層40cの材料に対する親和性を有する。下地層40bは、第1バリア層40a上の全面を覆うように形成されている。また、下地層40bの材料としては、例えばa-Si(アモルファスシリコン)、SiO
2、SiOを用いることができるが、中間層40cの材料に対する親液性を有するのであれば、その材料はここに挙げたものに限定されない。
【0049】
中間層40cは、下地層40bの上面40b
1に局所的に形成されている。中間層40cは、下地層40bの上面40b
1の局所的に突出した部分を被覆する機能を有する。以下、中間層40cの構成についてその詳細を説明する。
【0050】
第2バリア層40dは、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30への酸素や水分の侵入を防止する機能を有する。第2バリア層40dの材料としてはSiN、SiON、SiOなどが挙げられるが、水分や酸素へのバリア性を有するものであればこれらに限定されない。また第2バリア層40dは表示領域D内の画素Pの配置されている領域の全面を覆うように形成されている。
【0051】
図4は
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のIV領域の部分拡大図であり、
図5は
図4に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1のV−V切断線における概略断面図である。
図4、5は、画素Pの領域内の対向電極である陰極34上に付着したダストなどの異物41aが、封止膜40によって覆われた状態を示す断面図である。また、
図5は、異物41aがバリア層40aと下地層40bに覆われたときに、局所的に突出した部分41が形成された構成の例である。なお、説明の便宜上、
図4においては、後述する対向基板50と充填剤45と第2バリア層40dの記載を省略している。
【0052】
突出した部分41とは、第1バリア層40aと下地層40bの製造の工程において生じる、下地層40bの上面40b
1における凹凸のうち、製造の工程による誤差の範囲を超えた高さを有する凸部をいう。具体的には例えば、製造の工程により生じた気泡による凸部や、陰極34上や第1バリア層40a上や下地層40b上に付着したダストなどの異物41aにより生じた凸部が挙げられる。
【0053】
本実施形態においては、異物41aが陰極34上に付着した際の、本発明の作用について説明する。特に、突出した部分41を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を例として説明する。本実施形態の例における部分41は、異物41aと、第1バリア層40aのうち異物41aを覆う部分である第1バリア層被覆部40a
2と、下地層40bのうち第1バリア層被覆部40a
2を覆う部分である下地層被覆部40b
2と、から構成されている。
【0054】
部分41と下地膜40bの上面40b
1との段差Sは、中間層40cによって被覆されている。中間層40cのうち、段差Sを被覆する部分を、第1被覆部40c
2とする。なお、段差Sとは、部分41のうち、最も基板10に近い箇所である下部41cと、最も基板10に遠い箇所である上部41dとの段差をいう。段差Sの高さを高さd
1とする。
【0055】
第1被覆部40c
2は、部分41のうち、少なくとも上部41dを被覆している。本実施形態における第1被覆部40c
2は例えば、部分41の表面全体と、下部41cから一定の範囲内の下地層40bの上面40b
1を被覆している。
【0056】
また、中間層40cから露出する下地層40bの上面40b
1から、第1被覆部40c
2の上面40c
1までの高さを高さd
2とすると、段差Sが第1被覆部40c
2に被覆されることにより、高さd
1よりも高さd
2の方が低くなる。すなわち、下地層40bの上面40b
1と突出した部分41とが成す面の平坦性よりも、中間層40c(第1被覆部40c
2)の上面40c
1と中間層40cから露出する上面40b
1とが成す面の平坦性の方が高くなる。即ち、中間層40cは、中間層40cより下層の凹凸を平坦化させる作用を備える。このように中間層40cが形成された結果として、中間層40cの上に形成される膜は平坦化され、下層の段差や凹凸による断裂を防止できる。
【0057】
また、中間層40cは、段差Sを被覆する他に、例えば、下地層40bの上面40b
1のうち、角部42を被覆するように形成されていてもよい。角部42とは、画素P内の下地層40bの上面40b
1と、画素分離膜14上の下地層40bの上面40b
1との境界を示す。角部42を被覆する中間層40cを第2被覆部40c
3とすると、第2被覆部40c
3は、上面40b
1において、画素分離膜14の内周に沿うように形成される。
【0058】
また、複数の画素P内に形成された中間層40cは、隣接する画素P同士の間において互いに分離されていることが好ましい。具体的には例えば、画素P内の下地層40bの上面40b
1に、中間層40cの第1被覆部40c
2や、中間層40cの第2被覆部40c
3や、その他、島状の中間層40cが形成され、これらは隣接する画素P内に形成された他の中間層40cから分離される。
【0059】
このため、発光領域において、上面40b
1上に形成された個々の中間層40cの下地層の上面40b
1に対する接触角αは、90°よりも小さくなる。なお、本実施形態における「発光領域」とは、陽極32と有機層33が接触する領域のうち、画素分離膜14から露出する領域をいう。さらに、接触角αは、画素分離膜14の陽極32への接触角βよりも小さくなる。このように接触角αが接触角βよりも小さくなることにより、第2バリア膜が画素分離膜14と陽極32によって構成される段差が緩やかになる。なお、中間層40cは、少なくとも段差Sを被覆していればよく、その他のどの箇所に形成されていてもよい。
【0060】
中間層40cは絶縁体からなる。このような中間層40cの材料としては有機物が好ましく、具体的にはアクリルを用いることができる。また、中間層40cの材料はアクリルに限られず、その材料と下地層40bの材料との親和性が、中間層40cの材料と後述する第2バリア層40dの材料との親和性よりも高いものであれば、その材料は制限されない。中間層40c、下地層40b及び第2バリア層40dが、このような条件を満たす材料からなることにより、下地層40bの表面エネルギーは、第2バリア層40dの表面エネルギーよりも小さくなる。
【0061】
第2バリア層40dは、中間層40cなど、第2バリア層40dよりも基板10側の各層への酸素や水分の侵入を防止する機能を有する。第2バリア層40dはSiNからなり、下地層40bの上面40b
1及び中間層40cの上面40c
1を覆うように形成されている。
【0062】
封止膜40の上面は、例えば充填剤45を介して対向基板50によって覆われている。対向基板50は例えば平面視で基板10よりも小さい外周を有するガラス基板であり、基板10と対向するように配置されている。このような対向基板50としては具体的には例えば、カラーフィルタ基板を用いることができる。
【0063】
本発明における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1は、少なくとも下地層40bの上面40b
1に突出した部分41と下地層40bの上面40b
1との段差Sが第1被覆部40c
2によって被覆されている。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、下地層40bの上面40b
1と突出した部分41とが成す面の平坦性よりも、中間層40c(第1被覆部40c
2)の上面40c
1と中間層40cから露出する上面40b
1とが成す面の平坦性を高めることができる。
【0064】
また、中間層40cが局所的に形成されていることにより、中間層40cの一部に水分が浸透しても、その水分の拡散は、水分の侵入箇所の中間層40cが形成された局所的な領域内に収まる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べて、中間層40cを介しての水分の拡散が防がれる。よって、中間層40cが剥がれる領域の拡大を防ぐことができる。これにより、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化及び信頼性の向上を実現することができる。
【0065】
また、中間層40cの第2被覆部40c
3が角部42を被覆することにより、画素P内における下地膜40bの上面40b
1と、画素分離膜14上における下地層40bの上面40b
1との段差がなだらかになる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べ、第2バリア層40dが画素P内外にわたって均等に被覆される。これにより、中間層40cへの水分の侵入を防ぐことができ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の信頼性向上を実現することができる。
【0066】
また、複数の画素P内に形成された中間層40cが、隣接する画素P同士の間において互いに分離されていることにより、一部の中間層40cに水分が侵入しても、侵入箇所に隣接する画素Pまでは水分が拡散しない。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べて、隣接する画素Pまでにわたって水分が拡散することを防ぐことができる。
【0067】
また、中間層40cの材料として有機物を用いるとともに、下地層40bの材料として有機物との親和性を有する材料を用いることにより、下地膜40bの上面40b
1の平坦な部分よりも、部分41と下地膜40bの上面40b
1との段差Sや、陽極32と画素分離膜14との境界に対応する角部42や、その他、凹凸がある部分から優先的に中間層40cが形成される。このため、中間層40cを段差Sなどの段差のある部分に局所的に形成し、画素P内の平坦な部分や画素分離膜14上の平坦な部分には中間層40cを形成しないように、その形成箇所を制御することができる。
【0068】
次いで、本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の製造方法について図面を用いて説明する。
図6は本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法を説明するための、V−V切断線に対応する概略断面図であり、封止膜40形成前の構成である。
【0069】
本実施形態における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の製造方法は、基板10上に回路層12と、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30と、封止膜40と、対向基板50とを形成する工程を有する。
【0070】
初めに絶縁性の基板10を用意する。次いで、基板10の表示領域D上に、例えば、ポリシリコン半導体層11a、ゲート絶縁層11b、ゲーゲート電極11c、ソース・ドレイン電極11d、第1の絶縁膜11e及び第2の絶縁膜11fを積層することにより薄膜トランジスタ11を形成する。次いで、薄膜トランジスタ11を覆うように絶縁性を有する材料からなるパッシベーション膜13を形成することにより、回路層12が形成される。
【0071】
次いで、薄膜トランジスタ11に接続するコンタクトホール32aをパッシベーション膜13および第2の絶縁膜11fに形成する。この後、金属膜からなる反射膜31をパッシベーション膜13上の各画素Pに対応する領域に形成する。
【0072】
次いで、複数の有機エレクトロルミネッセンス発光素子30を、基板10上に回路層12を介して画素P毎に形成する。有機エレクトロルミネッセンス発光素子30を形成する工程は、陽極32を形成する工程と、少なくとも発光層を有する有機層33を形成する工程と、陰極34を形成する工程と、を有する。
【0073】
まず、例えばスパッタ法により、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性及び導電性を有する材料からなる陽極32を、パッシベーション膜13上(反射膜31上)の各画素Pに対応する領域に形成する。これにより、陽極32は、コンタクトホール32aを介して、薄膜トランジスタ11に電気的に接続される。なお、金属からなる反射膜31の上面に接するように陽極32を形成した場合、反射膜31は陽極32の一部となる。
【0074】
次いで、隣接する画素P同士の間の一部の領域に、フォトリソグラフィー法により、感光性の絶縁材料からなる画素分離膜14を形成する。まず、表示領域Dの一面を覆うように画素分離膜14を成膜し、その後、画素電極である陽極32の端部が露出しないように、各画素Pの陽極32の上面を露出するように開口を形成する。これにより、陽極32の外周を覆う、バンク状の画素分離膜14が形成される。
【0075】
次いで、陽極32上に、発光層を有する有機層33を形成する。有機層33は、例えば、陽極32側から順に、図示しないホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を順に積層することにより形成される。有機層33を形成する方法は、真空蒸着法、ノズルプリンティング法、スピンコート法、スリットコート法、インクジェット法、凸版印刷法等、公知の方法であってよい。
【0076】
次いで、有機層33上を覆うように、例えばスパッタ法により、ITO等の透光性及び導電性を有する材料からなる陰極34を、表示領域Dの画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成する。これにより、複数の画素Pに配置された有機エレクトロルミネッセンス発光素子30の有機層33に共通に接触する陰極34が形成される。
【0077】
図7は本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の製造方法を説明するための、V−V切断線に対応する概略断面図である。本実施形態においては、異物41aが、画素P内の陰極34の上面34aに付着した構成を例として、封止膜40を形成する工程を説明する。
【0078】
封止膜40を形成する工程は、第1バリア層40aを、複数の画素Pにわたって有機エレクトロルミネッセンス発光素子30上を覆うように形成する工程と、下地層40bを第1バリア層40aの上面40a
1を覆うように形成する工程と、中間層40cを下地層40bの上面40b
1に局所的に形成する工程と、を有する。以下に、画素Pの配置されている領域への封止膜40の形成工程を
図9のフローに沿って説明するが、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が形成されていない周辺領域10a
1にも同時に封止膜40を形成してもよい。
【0079】
まず、表示領域Dの画素Pの配置されている領域の全面を覆うように、第1バリア層40aを例えばプラズマCVD法により形成する。第1バリア層40aを形成する方法はプラズマCVD法に限られず、スパッタリング、蒸着、昇華、CVD(化学蒸着法)、ECR−PECVD(電子サイクロトロン共鳴−プラズマ増強化学蒸着法)及びそれらの組合せなど、任意の方法を選択してよい。第1バリア層40aはSiNを材料として形成することが望ましい。第1バリア層40aとしてSiN膜を形成することにより、SiO
2膜よりも緻密な膜を形成することができる。このため、SiO
2膜からなるバリア層よりも外部からの水分の進入を防ぐことができる。
【0080】
これにより、複数の画素Pにわたって、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30上である陰極34の上面34aと、異物41aとが第1バリア層40aによって覆われる。なお、第1バリア層40aのうち、異物41aを覆う部分を第1バリア層被覆部40a
2とする。
【0081】
なお、異物41aと陰極34の上面34aとの接触する部分を接触面41bとすると、第1バリア層40aの材料を蒸着する際に、接触面41bの周囲の上面34aへの材料の蒸着が異物41aによって遮られる。このため、
図7に示すように、接触面41bの周囲の上面34aを覆う第1バリア層40aの厚さは、その外側の第1バリア層40aの厚さよりも薄くなる。
【0082】
次いで、第1バリア層40aの上面40a
1を覆うように、例えばアモルファスシリコンからなる下地層40bをプラズマCVD法により形成する。下地層40bを形成する方法はプラズマCVD法に限られず、スパッタリング、蒸着、昇華、CVD(化学蒸着法)、ECR−PECVD(電子サイクロトロン共鳴−プラズマ増強化学蒸着法)及びそれらの組合せなど、任意の方法を選択してよい。また、下地層40bの材料はアモルファスシリコンに限られず、例えば、SiO
2,SiOでもよく、中間層40cの材料に対して親液性を有するものであれば、その他の材料であってもよい。
【0083】
これにより、第1バリア層40aの上面40a
1と、第1バリア層被覆部40a
2が下地層40bによって覆われる。そして、異物41aと、第1バリア層被覆部40a
2と、下地層40bのうち第1バリア層被覆部40a
2を覆う部分である下地層被覆部40b
2と、から構成される、突出した部分41が形成される。
【0084】
なお、下地層40bの材料を蒸着する際に、接触面41bの周囲の上面40a
1への材料の蒸着は、異物41a及び第1バリア層被覆部40a
2によって遮られる。このため、接触面41bの周囲の下地層40bの厚さは、その外側の下地層40bの厚さよりも薄くなる。
【0085】
なお、突出した部分41は、上記の構成に限られず、第1バリア層40aと下地層40bの製造の工程において生じる、下地層40bの上面40b
1における凹凸のうち、製造の工程による誤差の範囲を超えた高さを有する凸部であればよい。例えば、製造の工程により生じた、気泡による凸部や、第1バリア層40a上や下地層40b上に付着したダストなどの異物41aにより生じた凸部が挙げられる。
【0086】
図8は本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の製造方法を説明するための、V−V切断線に対応する概略断面図である。次いで、下地層40bの上面40b
1に、絶縁体からなる中間層40cを局所的に形成する。この中間層40cの形成工程においては、中間層40cを下地層40bの全面に渡って覆わずに、中間層40cが段差Sや、角部42に形成された時点で成膜を停止する。
【0087】
中間層40cの材料としては有機物が好ましく、具体的にはアクリルを用いることが特に好ましい。なお、中間層40cの材料はアクリルに限られず、その材料と下地層40bの材料との親和性が、中間層40cの材料と後述する第2バリア層40dの材料との親和性よりも高いものであれば、その種類は制限されない。また、この材料は、中間層40cの形成時に、優先的に段差Sや、角部42に付着する材料であることが望ましい。
【0088】
このような条件を満たす材料からなる中間層40cを形成することにより、中間層40cは、少なくとも、部分41と下地層40bの上面40b
1との段差Sを被覆するように形成される。中間層40cのうち、段差Sを被覆する部分を、第1被覆部40c
2とする。
【0089】
中間層40cを形成することにより、部分41のうち、少なくとも上部41dが第1被覆部40c
2により被覆される。本実施形態における第1被覆部40c
2は例えば、部分41の表面全体と、部分41の周囲の下地層40bの上面40b
1を被覆する。
【0090】
また、中間層40cから露出する下地層40bの上面40b
1から、第1被覆部40c
2の上面40c
1までの高さを高さd
2とすると、段差Sを第1被覆部40c
2により被覆することで、高さd
1よりも高さd
2の方が低くなる。すなわち、下地層40bの上面40b
1と突出した部分41とが成す面よりも、中間層40c(第1被覆部40c
2)の上面40c
1と中間層40cから露出する上面40b
1とで成す面の方が、平坦になる。
【0091】
また、中間層40cは、段差Sを被覆する他に、例えば、下地層40bの上面40b
1のうち、角部42を被覆するように形成されてもよい。角部42とは、画素P内の下地層40bの上面40b
1と、画素分離膜14上の下地層40bの上面40b
1との境界を示す。角部42を被覆する中間層40cを第2被覆部40c
3とすると、第2被覆部40c
3は、上面40b
1において、画素分離膜14の開口の内周に沿うように形成される。
【0092】
このように、突出した部分41を、中間層40cの第2被覆部40c
3で被覆することにより、下地層40bの上面40b
1と突出した部分41とが成す面よりも、中間層40cの上面40c
1と中間層40cから露出する上面40b
1とで成す面の方が平坦となる。
【0093】
また、中間層40cは、隣接する画素P同士の間において互いに分離されることが好ましい。具体的には例えば、画素P内の下地層40bの上面40b
1に、第1被覆部40c
2や、第2被覆部40c
3や、その他、島状の中間層40cが形成され、これらは隣接する画素P内に形成された他の中間層40cから分離される。
【0094】
また、上面40b
1上に形成された個々の中間層40cの上面40b
1に対する接触角αは、90°よりも小さくなる。なお、中間層40cは少なくとも段差Sを被覆していればよく、その他のどの箇所に形成されていてもよい。
【0095】
次いで、下地層40bの上面40b
1及び中間層40cの上面40c
1を覆うように、第2バリア層40dを、例えばプラズマCVD法により形成する。第2バリア層40dを形成する方法はプラズマCVD法に限られず、任意の方法を選択してよい。第2バリア層40dも、第1バリア層40aと同様に、SiNで形成されることが望ましい。SiN膜はSiO
2膜よりも緻密な膜に形成でき、外部からの水分の進入を防ぐことができる。以上により、封止膜40が形成される。
【0096】
このように、周辺領域10a
1に封止膜40を形成することにより、周辺領域10a
1に形成された図示しない配線を保護することができる。また、基板10の全面に封止膜40を形成する場合は、封止膜40を形成した後、ドライバ3との接続端子及びフレキシブル回路基板2との接続端子上の封止膜40を除去することにより、封止膜40が除去された領域に接続端子を形成することができる。
【0097】
次いで、封止膜40上に充填剤45を介して対向基板50を配置することにより、
図5に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1が形成される。本実施形態においては、画素P内の下地層40bの上面40b
1に突出した部分41が形成された構成を例として説明したが、本来であれば、画素P内に突出した部分41は異物によるものであり、無いことが望ましい。異物の付着がない場合は、中間層40cは画素P内の領域において、
図3に示すように、角部42に沿うように形成され、その上面を平坦化する。
【0098】
本発明における有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の製造方法は、下地層40b上に中間層40cを形成することにより、下地層40bの上面40b
1に突出した部分41と下地層40bの上面40b
1との段差Sが第1被覆部40c
2によって被覆される。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法と比べ、下地層40bの上面40b
1と突出した部分41とが成す面の平坦性よりも、中間層40c(第1被覆部40c
2)の上面40c
1と中間層40cから露出する上面40b
1とが成す面の平坦性を高くすることができる。
【0099】
また、中間層40cを局所的に形成することにより、中間層40cの一部に水分が浸透しても、その水分の拡散は、水分の侵入箇所の中間層40cが形成された局所的な領域内に収まる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法と比べて、中間層40cへの水分の拡散と剥がれの防止が可能な有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を製造することができる。これにより、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の高輝度化及び信頼性の向上を実現することができる。また、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の歩留まりを向上することができる。
【0100】
また、中間層40cの第2被覆部40c
3を角部42に沿うように形成することにより、画素分離膜14の傾斜面における第1バリア層40aの上面の傾斜が成す角度βよりも、画素分離膜14の傾斜面における第2バリア層40dの上面の傾斜が成す角度αよりも緩やかになる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法と比べ、第2バリア層40dが画素Pの内外にわたって均等に被覆され、段差による第2バリア層40dの断裂が防止できる。これにより、中間層40cへの水分の侵入を防ぐことができ、信頼性向上を実現可能な有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を形成することができる。
【0101】
また、中間層40cを、隣接する画素P同士の間において互いに分離して形成することにより、一部の中間層40cに侵入した水分が、侵入箇所に隣接する画素Pまで拡散することが防がれる。このため、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法と比べて、隣接する画素Pまでにわたって水分が拡散することを防止可能な有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を製造することができる。
【0102】
また、有機物からなる中間層40cを形成することにより、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法と比べ、下地層40bと中間層40cの材料の親和性が高くなる。このため、中間層40cを中間層40b上の全面に形成する必要がない。このため、中間層40cを局所的に形成しやすくなり、水分の拡散をより防ぐことができる。
【0103】
図10は本発明の一実施形態に係る表示装置である有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の画素Pの平面図であり、
図11は
図10のVI−VI切断線に対応する概略断面図である。なお、
図11においては、説明の便宜上、パッシベーション膜13から封止膜40までの構成のみを示す。
【0104】
図10及び
図11において、薄膜トランジスタ11と、薄膜トランジスタ11によって制御される画素電極(陽極)32と、陽極32上に配置された有機層33と、有機層33上に配置された対向電極(陰極)34とを備える画素を基板上に形成した表示装置である点では上述の
図3で説明した構成と同じであるため説明を省略する。
【0105】
画素電極32毎に形成された画素Pは、共通の封止膜40によって覆われている。画素P上の封止膜40は、第1バリア層40aと下地層40bと第2バリア層40dとが積層された領域である第1領域PA1と、第1バリア層40aと下地層40bと中間層40cと第2バリア層40dとが積層された領域である第2領域AP2とを有する。
【0106】
第1領域PA1は画素Pの発光領域と重なっている。第1領域PA1においては下地層40b上に第2バリア層40dが直接積層されているため、本構成を有さない表示装置と比べ、第2バリア層40dが下地層40bに強く接着される。このため、第2バリア層40dの下地層40bからの剥がれを防止できる。なお、第2領域PA2は、画素Pの発光領域の一部から絶縁膜である画素分離膜14に重る領域にかけて位置している。
【0107】
図10に示すように、第1領域PA1は平面視で第2領域PA2によって囲まれており、発光領域(陽極32と陰極34に接触するように挟まれている有機層33の領域)の中央部には中間層40cが形成されない。このため、発光領域全体に中間層40cが形成される従来の有機エレクトロルミネッセンス表示装置に比べ、発光領域における中間層40cの形成される領域が少なくなる。これにより、有機層33から出射される光の減衰を抑制でき、有機エレクトロルミネッセンス表示装置1の輝度の向上を実現することができる。
【0108】
本発明によれば第1バリア層40a上に中間層40cと親和性を有する下地層40bを設けることにより、中間層40cが局所的に形成される。このため、中間層40cは、平坦な領域よりも、段差Sや角部42に優先的に形成されるため、段差Sや角部42にのみ選択的に中間層40cを形成することができる。
【0109】
本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス表示装置1によれば、本構成を有さない有機エレクトロルミネッセンス表示装置と比べて、封止膜40の接着性や封止性能が良好となる。このため、封止膜40の剥がれを抑制でき、さらに、画像の視認性の及び光の取出し効率の良好な有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を提供できる。
【実施例】
【0110】
以下に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置1及びその製造方法を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0111】
(実施例1)
まず、絶縁性の基板10上に回路層12を形成した。次いで、陽極32と、画素分離膜14と、少なくとも発光層を有する有機層33と、陰極34と、を形成した。これにより、
図6に示すように、有機エレクトロルミネッセンス発光素子30が画素P毎に形成された。
【0112】
次いで、SiH
4、NH
3、N
2ガスを材料として用いたプラズマCVD法により、500nmの膜厚のSiNからなる第1バリア層40aを、
図7に示すように有機エレクトロルミネッセンス発光素子30上(陰極34上)に形成した。この第1バリア層40aの成膜における基板温度は100℃以下とした。
【0113】
次いで、SiH
4ガスを材料として用いたプラズマCVD法により、2nmの膜厚のアモルファスシリコンからなる下地層40bを、第1バリア層40aの上面40a
1を覆うように形成した。この下地層40bの成膜における基板温度は100℃以下とした。
【0114】
次いで、下地層40bの上面40b
1にアクリルを塗布した。これにより、アクリルは局所的に突出した部分41と角部42にのみ局所的に被覆された。その後、UV照射によってアクリルを重合させ、
図8に示す中間層40cを形成した。
【0115】
次いで、SiH
4、NH
3、N
2ガスを材料として用いたプラズマCVD法により、500nmの膜厚のSiNからなる第2バリア層40dを、下地層40bの上面40b
1及び中間層40cの上面40c
1を覆うように形成した。この第2バリア層40dの成膜における基板温度は100℃以下とした。以上により封止膜40が形成された。
【0116】
次いで、6μm厚のシール材BMと充填剤45を塗布した対向基板50を封止膜40上に貼りあわせることにより、
図5に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置1が形成された。
【0117】
本実施例により得られた有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を、温度85℃、湿度85%の雰囲気下に晒す試験を行なったところ、封止膜40への水分の侵入による、発光領域における未発光部分(ダークスポット)が拡大した痕跡や、封止膜40の膜浮は観察されなかった。これにより、封止膜40への水分の侵入箇所からの水分拡散が抑えられたことが確認された。
【0118】
(比較例1)
下地層40bを形成せずに、中間層40cを、第1バリア層40aの上面40a
1を覆うように形成した。これにより中間層40cは、上面40a
1のうち、画素Pの配置されている領域全面を覆うように形成された。その後、上記実施例1と同様にして有機エレクトロルミネッセンス表示装置を形成した。
【0119】
本実施例により得られた有機エレクトロルミネッセンス表示装置1を、温度85℃、湿度85%の雰囲気下に晒す試験を行なったところ、封止膜40への水分の侵入による、発光領域における未発光部分(ダークスポット)が拡大した痕跡と、封止膜40の膜浮が観察された。これにより、封止膜40への水分の侵入箇所からの水分拡散が生じたことが確認された。