(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記広域ベタ領域における用紙搬送方向の後端から前記ローラの周長分だけ先端側の位置までの領域に対して前記印字設定変更を行い、残りの領域は前記印字設定変更の対象外とすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
前記制御部は、前記広域ベタ領域が、前記ローラによる用紙搬送方向における長さが所定長さ以上、かつ用紙搬送方向に直交する用紙幅方向における長さが所定幅以上であるという条件を満たさない場合、当該広域ベタ領域は前記印字設定変更の対象外とすることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
前記制御部は、前記画像データにおいて前記広域ベタ領域の検出を行う領域を、用紙に印刷されたときに前記ローラと接する領域に限定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷装置の概略構成図、
図2は、
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。以下の説明において、ユーザが位置する
図1の紙面表方向を前方とする。また、
図1に示すように、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。
【0020】
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙が搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が通常経路RC、一点鎖線で示す経路が反転経路RR、破線で示す経路が排紙経路RD、二点鎖線で示す経路が給紙経路RSである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0021】
図1、
図2に示すように、本実施の形態に係る印刷装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、上面搬送部4と、排紙部5と、反転部6と、制御部7と、各部を収納または保持するする筐体8とを備える。
【0022】
給紙部2は、用紙Pを搬送印刷部3に給紙する。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、外部給紙台11と、外部給紙ローラ12と、複数の内部給紙台13と、複数の内部給紙ローラ14と、複数対の縦搬送ローラ15と、外部給紙モータ16と、内部給紙モータ17とを備える。
【0023】
外部給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。外部給紙台11は、一部が筐体8の外部に露出して設置されている。
【0024】
外部給紙ローラ12は、外部給紙台11から用紙Pを1枚ずつ取り出し、給紙経路RSに沿って後述のレジストローラ21へ向けて搬送する。外部給紙ローラ12は、外部給紙台11の上側に配置されている。
【0025】
内部給紙台13は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものである。内部給紙台13は、筐体8の内部に配置されている。
【0026】
内部給紙ローラ14は、内部給紙台13から用紙Pを1枚ずつ取り出して給紙経路RSへと送り出す。内部給紙ローラ14は、内部給紙台13の上側に配置されている。
【0027】
縦搬送ローラ15は、内部給紙台13から取り出された用紙Pを後述のレジストローラ21へ向けて搬送する。縦搬送ローラ15は、給紙経路RSに沿って配置されている。
【0028】
外部給紙モータ16は、外部給紙ローラ12および最下流の縦搬送ローラ15を回転駆動させる。外部給紙モータ16は、外部給紙ローラ12および最下流の縦搬送ローラ15にそれぞれ図示しないワンウェイクラッチを介して接続されている。これにより、外部給紙モータ16の一方向の回転駆動により外部給紙ローラ12が回転駆動し、外部給紙モータ16の他方向の回転駆動により最下流の縦搬送ローラ15が回転駆動するようになっている。
【0029】
内部給紙モータ17は、内部給紙ローラ14、および最下流の縦搬送ローラ15以外の他の縦搬送ローラ15を回転駆動させる。内部給紙モータ17は、図示しないクラッチを介して内部給紙ローラ14および他の縦搬送ローラ15に接続/解除可能になっている。クラッチにより、回転駆動する内部給紙ローラ14、縦搬送ローラ15が切り替えられる。
【0030】
搬送印刷部3は、用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに画像を印刷する。搬送印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。搬送印刷部3は、レジストローラ21と、レジストモータ22と、ベルト搬送部23と、ベルトモータ24と、印刷部25とを備える。
【0031】
レジストローラ21は、給紙部2または反転部6から搬送されてきた用紙Pを一旦止めた後、ベルト搬送部23に向けて搬送する。レジストローラ21は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の近傍の通常経路RC上に配置されている。
【0032】
レジストモータ22は、レジストローラ21を回転駆動させる。
【0033】
ベルト搬送部23は、レジストローラ21から搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。ベルト搬送部23は、レジストローラ21の下流側に配置されている。
【0034】
ベルトモータ24は、ベルト搬送部23を駆動させる。
【0035】
印刷部25は、ベルト搬送部23により搬送される用紙Pにインクを付与して印刷する。印刷部25は、ベルト搬送部23の上方に配置されている。印刷部25は、インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを備える。なお、色の区別が必要ない場合等に、符号における色を示すアルファベットの添え字(K,C,M,Y)を省略して総括的に表記することがある。
【0036】
インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yは、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する。インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yは、ベルト搬送部23の上方において、左右方向に並列して配置されている。インクジェットヘッド26は、用紙搬送方向と略直交する方向(前後方向)に所定のノズルピッチで配置された複数のノズルを有する。ここで、例えば、インクジェットヘッド26に対する制御において、所定の色に対応するインクジェットヘッド26のノズルに対して、印字解像度を2つに切り替えるような制御を行うことができる。また、インクジェットヘッド26は、1つのノズルから1つの画素に対して吐出するインク液滴の液滴数(ドロップ数)を変えることができ、液滴数により濃度を表現する印刷を行う。また、インクジェットヘッド26は、1滴の大きさ(液適量)を変更可能に構成されている。
【0037】
上面搬送部4は、ベルト搬送部23により搬送されてきた用紙Pを右方向から左方向へとUターンするように搬送する。上面搬送部4は、複数対の上昇搬送ローラ31と、上昇搬送モータ32と、複数対の水平搬送ローラ33と、水平搬送モータ34とを備える。
【0038】
上昇搬送ローラ31は、ベルト搬送部23により搬送されてきた用紙Pを上方の水平搬送ローラ33へ搬送する。上昇搬送ローラ31は、通常経路RCに沿って配置されている。上昇搬送ローラ31が配置される領域の通常経路RCは、左側が開口された半円状に構成されている。
【0039】
上昇搬送モータ32は、上昇搬送ローラ31を回転駆動させる。
【0040】
水平搬送ローラ33は、上昇搬送ローラ31により搬送されてきた用紙Pを排紙部5または反転部6へ搬送する。最下流の水平搬送ローラ33は、反転経路RRの上流域に配置されている。他の水平搬送ローラ33は、通常経路RCの下流域の水平部分に配置されている。
【0041】
水平搬送モータ34は、水平搬送ローラ33を回転駆動させる。
【0042】
排紙部5は、印刷済みの用紙Pを排紙する。排紙部5は、切替部41と、ソレノイド42と、排紙ローラ43と、排紙モータ44と、排紙台45とを備える。
【0043】
切替部41は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RDと反転経路RRとの間で切り替える。切替部41は、排紙経路RDと反転経路RRとの分岐地点に配置されている。排紙経路RDは、通常経路RCの下流端から排紙台45に向けて延びる経路である。
【0044】
ソレノイド42は、切替部41を駆動させる。
【0045】
排紙ローラ43は、切替部41によって排紙経路RDへと導かれた用紙Pを搬送して排紙台45へ排紙する。排紙ローラ43は、排紙経路RDに沿って、切替部41と排紙台45との間に配置されている。
【0046】
排紙モータ44は、排紙ローラ43を回転駆動させる。
【0047】
排紙台45は、排紙ローラ43により排紙された印刷済みの用紙Pが積載されるものである。排紙台45は、筐体8から突出したトレイ形状を有し、傾斜して設置されている。
【0048】
反転部6は、両面印刷の際に、片面印刷済みの用紙Pを反転させてレジストローラ21へ搬送する。反転部6は、反転ローラ51と、反転モータ52と、スイッチバック部53と、再給紙ローラ54と、再給紙モータ55と、切替ゲート56とを備える。
【0049】
反転ローラ51は、上面搬送部4の水平搬送ローラ33により搬送されてきた用紙Pをスイッチバック部53に一時的に搬入した後に搬出して、再給紙ローラ54へ搬送する。反転ローラ51は、最下流の水平搬送ローラ33とスイッチバック部53の搬入口との間の反転経路RR上に配置されている。
【0050】
反転モータ52は、反転ローラ51を回転駆動させる。
【0051】
スイッチバック部53は、反転ローラ51が用紙Pを一時的に搬入するための空間である。スイッチバック部53は、排紙台45の下部に形成されている。スイッチバック部53は、反転ローラ51の近傍が用紙Pを搬入するために開口されている。
【0052】
再給紙ローラ54は、反転ローラ51により搬送されてきた用紙Pをレジストローラ21へ搬送する。再給紙ローラ54は、反転ローラ51とレジストローラ21との間の反転経路RR上に配置されている。
【0053】
再給紙モータ55は、再給紙ローラ54を回転駆動させる。
【0054】
切替ゲート56は、水平搬送ローラ33により搬送されてきた用紙Pを反転ローラ51へとガイドする。また、切替ゲート56は、反転ローラ51によりスイッチバック部53から搬出される用紙Pを再給紙ローラ54へとガイドする。切替ゲート56は、最下流の水平搬送ローラ33、反転ローラ51、および再給紙ローラ54の3個所の重心近傍に配置されている。
【0055】
制御部7は、印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部7は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0056】
制御部7は、印刷を行う際、入力された印刷データから、インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yに対応する形式の画像データであるドロップデータを生成する。ドロップデータは、設定印字解像度における各画素に対してインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yがそれぞれ吐出する所定液適量のインク液滴の数を示すデータである。すなわち、ドロップデータは、設定印字解像度における各画素に対する各色のインク吐出量(インク付与量)を示す画像データである。制御部7は、ドロップデータに基づいてインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを駆動制御して用紙Pに印刷させる。
【0057】
制御部7は、ドロップデータを解析して、広域ベタ領域を検出する。広域ベタ領域は、所定面積以上のベタ領域である。ベタ領域は、単一の印刷色で塗りつぶされる、単位面積当たりのインク吐出量(インク付与量)が所定量以上の領域である。ベタ領域の印刷色は、少なくとも1色のインクで表現される色である。すなわち、ベタ領域の印刷色としては、複数のインク色の混色により形成される色を含む。制御部7は、広域ベタ領域が存在する場合、広域ベタ領域に対して、印字設定変更を行う。この印字設定変更は、印字解像度を設定印字解像度より低くするように変更するとともに、印字解像度の変更に応じて、1画素あたりのインク吐出量を、ドロップデータにおける1画素あたりのインク吐出量より多くするものである。インク吐出量は、1滴の大きさ(液適量)にインク液滴数を乗算したものである。
【0058】
上記の印字設定変更は、印刷された用紙Pの搬送による再転写汚れを低減するための処理である。再転写汚れは、次のようなものである。
【0059】
印刷された用紙Pの印刷面の表面付近には、
図3(a)に示すように、インクの色材61が存在している。印刷された用紙Pが上昇搬送ローラ31等のローラにより搬送される際、
図3(b)に示すように、ローラRが用紙Pを押圧する。これにより、
図3(c)に示すように、用紙Pの表面付近の色材61がローラRの外周面に付着する1次転写が発生する。
【0060】
そして、1次転写により色材61が付着したローラRが用紙Pを押圧すると、ローラRから用紙Pへ色材61が再転写(2次転写)される。このようなローラRから用紙Pへの色材61の再転写は、用紙Pの汚れを招く。これが再転写汚れである。
【0061】
再転写汚れは、比較大きなベタ領域をローラRが通過した場合に顕著に現れる。
図4(a)に示すように、用紙Pに印刷された比較大きなベタ領域62をローラRが通過すると、ローラRに多くの色材61が転写する。その後、
図4(b)に示すように、用紙Pの印刷面の余白部分をローラが通過する際、ローラRから用紙Pの色材61が再転写することで、再転写部分63が生じる。この結果、
図5に示すように、用紙Pの印刷面の余白部分に再転写部分63が再転写汚れとして現れる。
【0062】
そこで、制御部7は、再転写汚れを低減するために、広域ベタ領域に対して、上記の印字設定変更を行う。
【0063】
次に、印刷装置1の動作について説明する。
【0064】
図6は、印刷装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートの処理は、例えば、印刷装置1が外部のPC(パーソナルコンピュータ)から印刷データを受信することにより開始となる。
【0065】
図6のステップS1において、制御部7は、印刷データに基づき、印刷データで指定された設定印字解像度におけるドロップデータを生成する。
【0066】
次いで、ステップS2において、制御部7は、ドロップデータを解析して、広域ベタ領域が存在するか否かを判断する。
【0067】
広域ベタ領域が存在すると判断した場合(ステップS2:YES)、ステップS3において、制御部7は、広域ベタ領域に対して、印字設定変更を行う。例えば、制御部7は、広域ベタ領域の印字解像度を設定印字解像度の1/2に変更するとともに、変更後の印字解像度における1画素あたりのインク吐出量を、変更前のドロップデータにおける1画素あたりのインク吐出量の2倍とする。制御部7は、インク液滴の1滴の大きさ(液適量)および1画素あたりのインク液滴数のうちの少なくともいずれか一方を変更することにより、1画素あたりのインク吐出量を2倍とする。
【0068】
ここで、印字解像度に応じたインク吐出量の変更は、ベタ画像の画像性が変化前と同等になるように行う。上記のインク吐出量を2倍にする変更は、用紙に対するインクのにじみ度を考慮すると、ベタ画像の画像性が変更前と同等になるようにできる。なお、にじみ度の違いを考慮しても、概ね、印字解像度を600dpiから300dpiに変更する場合、変更後の1画素あたりのインク吐出量は、変更前の4倍より小さい2倍〜3倍程度でもよい。
【0069】
次いで、ステップS4において、制御部7は、印字設定変更後のドロップデータに基づく印刷を実行させる。
【0070】
ステップS2において、広域ベタ領域が存在しないと判断した場合(ステップS2:NO)は、制御部7は、印字設定変更は行わず、ステップS4において、ステップS1で生成したドロップデータに基づく印刷を実行させる。
【0071】
印刷時には、給紙部2の外部給紙台11および複数の内部給紙台13のいずれかから未印刷の用紙Pが搬送印刷部3へ搬送される。搬送印刷部3では、用紙Pは、レジストローラ21によりベルト搬送部23へ搬送される。
【0072】
そして、用紙Pは、ベルト搬送部23により搬送されつつ、インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yから吐出されるインクにより印刷される。この際、制御部7が、ドロップデータに基づきインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを駆動させる。上述の印字設定変更を行った場合は、制御部7が、印字設定変更後のドロップデータに基づきインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを駆動させる。
【0073】
印刷された用紙Pは、ベルト搬送部23から上面搬送部4へ搬送され、上面搬送部4において上昇搬送ローラ31および水平搬送ローラ33により搬送される。
【0074】
ここで、片面印刷設定の場合、片面に印刷された用紙Pは、排紙部5の切替部41により通常経路RCから排紙経路RDへ導かれる。そして、用紙Pは、排紙ローラ43により排紙台45へ排紙される。
【0075】
一方、両面印刷設定の場合、片面に印刷された用紙Pは、排紙部5の切替部41により通常経路RCから反転経路RRへ導かれる。反転経路RRへ導かれた用紙Pは、反転部6において、切替ゲート56により反転ローラ51へ導かれ、反転ローラ51によりスイッチバック部53へ搬入される。
【0076】
その後、用紙Pは、反転ローラ51によりスイッチバック部53から搬出されるとともに、切替ゲート56により再給紙ローラ54へ導かれ、再給紙ローラ54により搬送印刷部3へ再給紙される。そして、搬送印刷部3において、用紙Pは、レジストローラ21によりベルト搬送部23へ搬送される。
【0077】
ここで、用紙Pは、反転部6により反転されているので、未印刷面が上向きになっており、ベルト搬送部23により搬送されつつ、インクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yから吐出されるインクにより未印刷面が印刷される。この際、制御部7が、ドロップデータに基づきインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを駆動させる。上述の印字設定変更を行った場合は、制御部7が、印字設定変更後のドロップデータに基づきインクジェットヘッド26K,26C,26M,26Yを駆動させる。
【0078】
そして、両面印刷された用紙Pは、上面搬送部4により排紙部5へ搬送され、排紙部5において排紙台45へ排紙される。
【0079】
印字設定変更されて印刷された広域ベタ領域では、印字解像度が設定印字解像度より低くなる一方で、1画素あたりのインク吐出量が、元のドロップデータにおける1画素あたりのインク吐出量よりも多くなる。例えば、印字設定変更せずに印刷された広域ベタ領域では
図7に示すようにドットが形成されるとすると、印字設定変更した場合は、
図8に示すようにドットが形成される。
図7、
図8の例では、
図7に対し、
図8では、印字解像度が横軸方向および縦軸方向にそれぞれ1/2になっている。それに対し、
図8のドットD2は、
図7のドットD1に対し、2倍のインク吐出量で形成されている。
【0080】
図9、
図10は、それぞれ
図7、
図8の例における用紙深さ方向へのインクの浸透の様子を模式的に示したものである。
図9、
図10において、色の濃い部分ほどインクの色材の密度が大きいことを示す。普通紙等では基本的に、
図9、
図10に示すように、インクが3次元的に均一に浸透する。このため、1ドットあたりのインク吐出量が多いほど、より用紙表面から深いところまでインクの色材が浸透する。すなわち、
図10におけるインクの浸透深さH2が、
図9におけるインクの浸透深さH1よりも大きい。また、ドットの中心点から離れるほど色材の密度が小さくなる。
【0081】
ここで、前述のように、再転写汚れの原因となる、用紙Pからローラへの色材の転写(1次転写)は、ローラが用紙Pを押圧することにより発生する。ローラが用紙Pを押圧すると、用紙表面からある程度の深さまでの範囲に存在する色材がローラへ転写する。このため、用紙表面付近に存在する色材が多いほど、1次転写でローラに付着する色材が多くなり、再転写汚れが発生しやすくなる。
【0082】
図9、
図10に示すように、1次転写に関与する色材の存在範囲を用紙表面から深さHaの範囲とすると、
図10では、
図9よりも、深さHaより深い領域まで多くの色材が浸透している。このため、
図10では、
図9よりも深さHaの範囲に存在する色材が少ない。すなわち、
図9では、
図10よりも、1次転写に関与する用紙表面付近に多くの色材が残ることになる。このため、
図10のように、印字設定変更して印刷することで、
図9のように印字設定変更せずに印刷した場合より、1次転写によりローラに付着する色材が低減する。
【0083】
以上説明したように、印刷装置1では、広域ベタ領域に対して、印字解像度を設定印字解像度より低くするとともに、1画素あたりのインク吐出量を、ドロップデータにおける1画素あたりのインク吐出量より多くする印字設定変更を行う。これにより、印刷された用紙Pからローラへの色材の1次転写を低減できる。この結果、用紙Pの再転写汚れを低減できる。
【0084】
広域ベタ領域に対しては、印字解像度を低く変更しても、それに応じて1画素あたりのインク吐出量を多くし、ベタに塗りつぶされた画像とすることで、印刷画質の低下は小さく抑えられる。広域ベタ領域以外では、印字設定変更を行わずに印刷しても、1次転写によりローラに付着する色材は少ない。また、広域ベタ領域以外の、例えば文字画像や中間濃度画像を低解像度で印刷すると、印刷画質が大きく低下する。このため、印刷装置1では、広域ベタ領域以外は、印字設定変更を行わずに印刷することで、印刷画質を確保している。
【0085】
したがって、本実施の形態の印刷装置1によれば、印刷画質の低下を抑制しつつ、再転写汚れによる印刷物の汚れを低減できる。
【0086】
なお、制御部7は、広域ベタ領域における用紙搬送方向の後端から印刷済みの用紙Pを搬送するローラの周長分だけ先端側の位置までの領域に対して印字設定変更を行い、残りの領域は印字設定変更の対象外としてもよい。
【0087】
この場合、例えば、
図11に示すように、矩形の広域ベタ領域71の後端から距離Lrだけ先端側の位置までの領域72は、印字設定変更されて印刷される。残りの領域73は、印字設定変更されずに印刷される。距離Lrは、ローラRの周長である。
【0088】
領域73は、印字設定変更されずに設定印字解像度で印刷されているため、印刷画質が確保されている。ローラRが領域73を通過する際、1次転写によりローラRに色材が付着する。この際、ローラRに1次転写して用紙Pに再転写する処理が領域73内で繰り返されるので、領域73の画質への影響はほとんどないといえる。領域73でローラRに付着した色材は、ローラRが領域72を通過する際、領域72に再転写する。ここで、領域72はベタに塗りつぶされているため、再転写により領域72に色材が付着しても、領域72の画質への影響はほとんどない。また、領域72は印字設定変更されて印刷されているため、ローラRが領域72を通過する際に1次転写によりローラRに付着する色材は少ない。このため、領域72より後端側の余白部分をローラRが通過するときの再転写汚れが抑えられる。したがって、印刷画質の低下を抑制しつつ、再転写汚れによる印刷物の汚れを低減できる。
【0089】
ここで、ローラRは、印刷された用紙Pを搬送するローラである。印刷装置1において、印刷された用紙Pを搬送するローラは、上昇搬送ローラ31、水平搬送ローラ33、排紙ローラ43、反転ローラ51、再給紙ローラ54、レジストローラ21である。最下流の水平搬送ローラ33、反転ローラ51、再給紙ローラ54、レジストローラ21は、両面印刷時において、片面印刷された用紙Pを搬送する。これらのローラは、すべて周長が同じであり、その周長が、上述の距離Lrである。なお、これらのローラの周長が統一されていない場合、最も周長が大きいローラの周長を、距離Lrとすればよい。
【0090】
また、制御部7は、広域ベタ領域が、用紙搬送方向における長さLが閾値Lth以上、かつ用紙搬送方向に直交する用紙幅方向における長さWが閾値Wth以上、という条件を満たさない場合、当該広域ベタ領域を印字設定変更の対象外としてもよい。
【0091】
例えば、
図12に示す広域ベタ領域81の用紙搬送方向における長さLaが閾値Lth未満であるとする。また、例えば、
図13に示す広域ベタ領域82の用紙幅方向における長さWaが閾値Wth未満であるとする。広域ベタ領域81,82のような細長いベタ領域によって再転写汚れが発生しても、汚れとして目立ちにくい。
【0092】
そこで、上述の条件を満たさない広域ベタ領域81,82のような、目立つ再転写汚れの要因とはならない領域については、印字設定変更せずに設定印字解像度で印刷することで、印刷物の汚れを抑えつつ、印刷画質の低下を抑えられる。なお、閾値Lth、閾値Wthは、インクの種類、ローラの材質等に応じて設定される。
【0093】
また、制御部7は、ドロップデータにおいて広域ベタ領域の検出を行う領域を、用紙Pに印刷されたときにローラと接する領域に限定してもよい。
【0094】
例えば、
図14に示すように、搬送時にローラRと接する領域83の外に広域ベタ領域84があっても、この広域ベタ領域84は再転写汚れの要因にならない。そこで、制御部7は、ドロップデータにおいて広域ベタ領域の検出を行う領域を、用紙Pに印刷されたときにローラRと接する領域に限定することで、広域ベタ領域84のような、領域83の外に印刷される広域ベタ領域を検出対象外にしてもよい。これにより、
図14の例であれば、領域83の外の広域ベタ領域84は、印字設定変更の対象外となり、設定印字解像度で印刷される。すなわち、再転写汚れの要因にならない領域まで印字設定変更することを回避し、印刷画質の低下を抑えられる。
【0095】
ここで、前述のように、印刷装置1において、印刷された用紙Pを搬送するローラは、上昇搬送ローラ31、水平搬送ローラ33、排紙ローラ43、反転ローラ51、再給紙ローラ54、レジストローラ21である。これらのローラはすべて、搬送される用紙Pの同じ領域に接する。制御部7は、この領域を、ドロップデータにおいて広域ベタ領域の検出を行う領域とする。なお、搬送される用紙Pに接する領域がローラごとに異なる場合、少なくともいずれかのローラと接する領域の全体を、制御部7がドロップデータにおいて広域ベタ領域の検出を行う領域とする。
【0096】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。