特許第6139274号(P6139274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139274
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   F25D23/02 304E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-114043(P2013-114043)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-231974(P2014-231974A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】武下 正憲
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07770985(US,B2)
【文献】 特開昭62−022980(JP,A)
【文献】 実開平05−046376(JP,U)
【文献】 特開平5−133677(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/044834(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス部材を有する扉を備える冷蔵庫であって、
前記ガラス部材の裏面に固定される複数の取付け部材と、
前記扉に固定され、前記取付け部材を介して前記ガラス部材側に取り付けられる扉キャップと、を備え、
前記扉キャップは、前記ガラス部材の裏面に位置され
前記複数の取付け部材は、前記ガラス部材の前記裏面の周囲部分に並んで配置され、前記扉キャップは、並んで配置された前記取付け部材に取り付けられ、
前記取付け部材には、前記ガラス部材から離れる方向に突起が設けられ、前記扉キャップの一部分は、前記突起に挿入されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記扉キャップは、前記取付け部材と、前記取付け部材に装着される固定部材と、により、前記ガラス部材側に連結されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記取付け部材は、前記固定部材を挿入することで、前記扉キャップを前記取付け部材に対して連結するための穴部を有することを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記扉キャップと前記取付け部材の前記突起との間には、隙間が設けられ、前記固定部材は、折り曲げ部と、前記折り曲げ部から伸びた開放端部を有し、前記隙間には、前記固定部材の前記折り曲げ部が位置されることを特徴とする請求項2又は3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記固定部材の前記開放端部側は、前記扉キャップとは反対側に向いていることを特徴とする請求項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫は、観音扉や引出し式扉を有しており、これらの扉の正面には、ガラス部材が配置されているものがある。このガラス部材は、プラスチック製の扉部材に対して接着剤により固定されている(特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−58787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1において開示されている技術では、冷蔵庫に生じる冷気の影響により、ガラス部材の線膨張率とプラスチック製の扉内側部材の線膨張率の差からガラス部材が力を受けてガラス部材が歪んだり変形するおそれがある。このため、冷蔵庫の外観が損なわれてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、扉に取り付けるガラス部材が歪んだり変形するのを防いで、冷蔵庫の外観を保持することができる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の実施の形態の冷蔵庫は、ガラス部材を有する扉を備える冷蔵庫であって、前記ガラス部材の裏面に固定される複数の取付け部材と、前記扉に固定され、前記取付け部材を介して前記ガラス部材側に取り付けられる扉キャップと、を備え、前記扉キャップは、前記ガラス部材の裏面に位置され、前記複数の取付け部材は、前記ガラス部材の前記裏面の周囲部分に並んで配置され、前記扉キャップは、並んで配置された前記取付け部材に取り付けら、前記取付け部材には、前記ガラス部材から離れる方向に突起が設けられ、前記扉キャップの一部分は、前記突起に挿入されることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係わる冷蔵庫の全体を示す斜視図である。
図2図1に示す観音扉のガラス部材の取付け構造例を示す分解斜視図である。
図3図3(A)は、固定部材の形状例を示す斜視図であり、図3(B)は、取付け部材の形状例を示す斜視図である。
図4】ガラス部材の裏面における4つの取付け部材の配置位置例を示す斜視図である。
図5】ガラス部材の裏面における4つの取付け部材と、1つの扉キャップを代表して示す斜視図である。
図6】右側の扉キャップが位置P1、P2の取付け部材と固定部材を用いて、ガラス部材の裏面の右側側部に沿って固定される状態を示す斜視図である。
図7図6におけるA−A線における断面構造例を示す図である。
図8】ガラス部材の裏面に対して、両面テープを用いて取付け部材を固定する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて、本発明の実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係わる冷蔵庫の全体を示す斜視図である。
【0010】
図1に示す冷蔵庫1は、本体2を有している。この本体2の最上部の位置には、両開き式の左右の観音扉3,4で開閉される冷蔵室5を設けられている。これらの観音扉3,4は、それぞれ本体2の回転軸3A,4Aを中心にして開閉可能に取り付けられている。冷蔵室5の下側には、引出し式扉7aで開閉される野菜室7が設けられている。
【0011】
この野菜室7の下側には、製氷室8と、上部冷凍室9が横方向に並んで設けられている。製氷室8は引出し式扉8aで開閉され、上部冷凍室9は引出し式扉9aで開閉される。本体2の最下部であって、これらの製氷室8と上部冷凍室9の下側には、冷凍室10が設けられている。冷凍室10は引出し式扉10aで開閉される。
【0012】
観音扉3,4の下部には、それぞれ指を掛けるための凹状の取っ手3b,4bが扉内部に設けられている。引出し式扉7a、8a、9a、10aの上部には、それぞれ指を掛けるための凹状の取っ手7b、8b、9b、10bが設けられている。
【0013】
図1に示すように、観音扉3,4の外表面には、ガラス部材13,14がそれぞれ取付けられている。同様にして、引出し式扉7aの外表面には、ガラス部材17が取り付けられている。引出し式扉8a、引出し式扉9a、そして引出し式扉10aの外表面には、ガラス部材18,19,20がそれぞれ取り付けられている。これらのガラス部材13,14,17,18,19,20は、冷蔵庫1の美観を上げるために設けられており、例えば透明あるいは透光性を有するか、色が付けられているものでも良い。
【0014】
図1に示す冷蔵庫1では、例えば観音扉3には操作部30が配置されている。この操作部30は、破線で示すように、ガラス部材13の内側に配置されている。使用者が指でガラス部材13の上から操作部30に触れると、操作部30の例えば静電容量型のタッチスイッチの検出部が指を検出する。これにより、例えば冷蔵庫1の急冷凍、急冷蔵、自動製氷装置等の機能を動作させることができる。ただし、この操作部30は、配置しても良いし、配置しなくても良い。
【0015】
図2は、一例として図1に示す観音扉3のガラス部材13の取付け構造例を示している。図2では、図1に示す観音扉3,4のガラス部材13,14,と、引出し式扉7aのガラス部材17と、引出し式扉8aのガラス部材18と、引出し式扉9aのガラス部材19と、そして引出し式扉10aのガラス部材20の内で、ガラス部材13の取付け構造を代表して示している。しかし、ガラス部材14,17,18,19,20の取付け構造も、ガラス部材13の取付け構造と同様である。図2に示すガラス部材13は、縦長の長方形状の板状の強化処理されたガラス面材である。その他のガラス部材14,17,18,19,20も、ガラス部材13と同じガラス面材である。
【0016】
図2に示すように、ガラス部材13の取付け構造は、例えば金属製の4つの取付け部材40と、プラスチック製の4つの扉キャップ61,62,63,64と、例えば金属製の4つの固定部材90を備えている。上下位置の扉キャップ61,62は、断面L字型を有し、左右位置の扉キャップ63,64は、断面U字型を有している。
【0017】
図2に示す4つの取付け部材40は、いわゆる金属製のアンカー形状部材であり、例えば鉄製である。2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13R側の左側側部13Mに沿って設けられ、残りの2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13R側の右側側部13Nに沿って固定される部材である。上側寄りの2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13Rの上側の端部13T、13T寄りの位置P1、P3にそれぞれ配置される。下側寄りの2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13Rの下側の端部13S、13S寄りの位置P2、P4にそれぞれ配置される。
【0018】
このように、4つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13Rの周囲部分に並んで配置される。左右側の扉キャップ63,64は、並んで配置された取付け部材40に取り付けられることにより、ガラス部材13の裏面13Rに位置される。左右側の扉キャップ63,64は、取付け部材40を用いてガラス部材13に対して固定される。上下側の扉キャップ61,62は、ガラス部材13の裏面13Rに対して、直接接着剤や両面テープにより固定される。
【0019】
図2に示すプラスチック製の左右側の扉キャップ63,64とプラスチック製の上下側の扉キャップ61,62は、プラスチック製の扉部材100の外面101側に固定されるようになっている。これにより、ガラス部材13は、扉部材100の外面101側に対して固定することができる。
【0020】
上側に位置する扉キャップ61と下側に位置する扉キャップ62は、横方向Xに沿って平行に配置され、右側に位置する扉キャップ63と左側に位置する扉キャップ64は、縦方向Zに沿って平行に配置される。扉キャップ63,64の長さは、扉キャップ61,62の長さに比べて大きい。
【0021】
ここで、図3を参照して、図2に示す4つの固定部材90と、4つの取付け部材40の形状例を説明する。図3(A)は、固定部材90の形状例を示す斜視図であり、図3(B)は、取付け部材40の形状例を示す斜視図である。
【0022】
図3(A)に示す固定部材90は、例えば金属板を折り曲げることでほぼ断面U字型あるいはV字型に形成されており、弾発性能を有する楔形状の固定具である。この固定部材90は、湾曲した折り曲げ部91と、折り曲げ部91から伸びた2つの開放端部92,93を有している。
【0023】
また、図3(B)に示す取付け部材40は、例えば金属板を折り曲げてほぼ断面L字型に形成されており、突起としての第1面部41と、この第1面部41に対して直交している第2面部42を有している。第1面部41と第2面部に渡って、穴部としての開口部43が形成されている。後で説明するが、この開口部43内には、図3(A)に示す楔形状の固定部材90が挿入されるようになっている。なお、開口部43の幅Wは、固定部材90の幅W1に比べてやや大きいか、ほぼ同じに設定されている。
【0024】
図4は、ガラス部材13の裏面13Rにおける4つの取付け部材40の配置位置例を示す斜視図である。
【0025】
図4に示す2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13R側の左側側部13Mにおける位置P3、P4に設けられ、残りの2つの取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13R側の右側側部13Nにおける位置P1、P2に設けられる。これらの位置P1、P3は、ガラス部材13の裏面13Rの上側の端部13T、13T寄りの位置である。残りの位置P2、P4は、ガラス部材13の裏面13Rの下側の端部13S、13S寄りの位置である。
【0026】
図5は、ガラス部材13の裏面13Rにおける4つの取付け部材40と、1つの扉キャップ63を代表して示す斜視図である。
【0027】
図5図2に示す右側の扉キャップ63は、断面U字型のプラスチック製の長い部材であり、位置P1、P2の取付け部材40,40に対応する位置には、それぞれ装着部分49が設けられている。この装着部分49には、細長の貫通穴49Mが形成されている。この貫通穴49Mには、取付け部材40の第1面部41がはまり込むようになっている。同様にして、図2に示す左側の扉キャップ63は、断面U字型のプラスチック製の長い部材であり、位置P3、P4の取付け部材40,40に対応する位置には、それぞれ装着部分49が設けられている。この装着部分49には、細長の貫通穴49Mが形成されている。扉キャップ63,64を取り付ける際には、この貫通穴49Mには、取付け部材40の第1面部41がはまり込むようになっている。
【0028】
図5に示すように、右側の扉キャップ63と左側の扉キャップ64は、それぞれ断面U字型の部材であるので、側面部69Aと、一方の取付け面部69Bと、他方の取付け面部69Cを有している。図5に示す一方の取付け面部69Bは、図2に示す扉部材100の外面101に対して、例えば接着剤により固定される部分である。他方の取付け面部69Cは、ガラス部材13の裏面13Rに突き当てて配置される部分である。
【0029】
一方、図2に示すように、上側の扉キャップ61と下側の扉キャップ62は、断面U字型のプラスチック製の部材であるが、装着部分49は設けられていない。
【0030】
図6は、右側の扉キャップ63が、位置P1、P2の取付け部材40,40と2つの固定部材90を用いて、ガラス部材13の裏面13Rの右側側部13Nに沿って固定される状態を示す斜視図である。
【0031】
図7は、図6におけるA−A線における断面構造例を示している。図8は、ガラス部材13の裏面13Rに対して、両面テープ70を用いて取付け部材40を固定する様子を示す図である。
【0032】
図7図8に示すように、取付け部材40の第2面部42の下面79は、ガラス部材13の裏面13Rに対して、両面テープ70を用いて位置P1に位置決めして固定されている。この状態では、取付け部材40の第1面部41は、ガラス部材13から離れる方向Hに伸びた突起である。しかも、扉キャップ63の取付け面部69Cは、ガラス部材13の裏面13Rに突き当てられるとともに、扉キャップ63の装着部分49の貫通穴49Mには、取付け部材40の第1面部41が差し込まれるようになっている。
【0033】
また、図7に示すように、取付け部材40の第1面部41の外面41Sと、扉キャップ63の内面63Nとの間には、隙間SPが予め設けられている。
【0034】
図7に示すように、扉キャップ63を取り付ける際に、扉キャップ63の装着部分49の貫通穴49Mには、取付け部材40の第1面部41が差し込まれることで、装着部分49は第2面部42の上に載った状態になる。そこで、作業者が指で固定部材90の開放端部92,93側を持って、この固定部材90の折り曲げ部91側を取付け部材40の開口部43内に差し込む。これにより、固定部材90は、扉キャップ63の装着部分49を第2面部42に対して押し付けるようにして、固定できるようになっている。
【0035】
次に、ガラス部材13と扉キャップ63の取り付け作業例を説明する。
【0036】
まず、図4に示すように、4つの取付け部材40を、それぞれガラス部材13の裏面13Rの位置P1からP4に対して、図8に示すように、両面テープ70を用いて、位置決めして貼り付けて固定する。すなわち、図8に示すように、取付け部材40の第2面部42の下面79は、ガラス部材13の裏面13Rの位置P1からP4に対して、両面テープ70を用いて位置決めして固定する。これにより、取付け部材40は、ガラス部材13の裏面13Rの各位置P1からP4に対して、正確にしかも容易に固定することができる。
【0037】
図6に示すように、位置P1と位置P3の取付け部材40は対面しており、位置P2と位置P4の取付け部材40も対面している。
【0038】
この状態では、図7に示すように、各取付け部材40の第1面部41は、ガラス部材13から離れる方向Hに突出した(伸びた)状態になっている。これにより、扉キャップ63,64を取り付ける際に、扉キャップ63,64の装着部分49の貫通穴49Mには、対応する取付け部材40の第1面部41を差し込み易くしており、しかも取付け部材40の開口部43に対して、固定部材90の折り曲げ部91を差し込み易くなっている。
【0039】
次に、図5図6に示すように、右側の扉キャップ63を、位置P1、P2の取付け部材40,40と固定部材90を用いて、ガラス部材13の裏面13Rの右側側部13Nに沿って固定する。すなわち、図7図8に示すように、扉キャップ63の取付け面部69Cを、ガラス部材13の裏面13Rに突き当てるとともに、扉キャップ63の装着部分49の貫通穴49Mには、取付け部材40の第1面部41を差し込む。そして、図7に示すように、固定部材90の折り曲げ部91側を、取付け部材40の開口部43内にJ方向に差し込むことができる。これにより、固定部材90は、扉キャップ63の装着部分49を第2面部42に対して押し付けるようにして、固定できる。
【0040】
ところで、図7に示すように、取付け部材40の第1面部41の外面41Sと、扉キャップ63の内面63Nとの間には、予め隙間SPが形成されている。図7に示すように、固定部材90の2つの開放端部92,93を作業者が指で持って、この固定部材90の折り曲げ部91を取付け部材40の開口部43内に、扉キャップ63の内面63N側に向けてJ方向に差し込むことができる。これにより、固定部材90の弾発力は、ガラス部材13の裏面13Rにすでに固定されている取付け部材40に対して、扉キャップ63の装着部分49を押し付けることができ、扉キャップ63は取付け部材40と固定部材90を用いて、取付け部材40に対して容易に固定できる。
【0041】
上述したように予め隙間SPが形成されているので、固定部材90の折り曲げ部91をこの隙間SP内に位置させることができる。従って、扉キャップ63が邪魔になって固定部材90の折り曲げ部91が開口部43に差し込めないといった問題が生じることがなく、固定部材90の折り曲げ部91は、開口部43に容易にしかも確実に差し込んで、ガラス部材13の裏面13Rにすでに固定されている取付け部材40に対して、扉キャップ63を固定することができる。なお、扉キャップ64の固定は、扉キャップ63の固定と同じ要領で行える。
【0042】
ところで、このように、作業者が固定部材90の折り曲げ部91を取付け部材40の開口部43内に差し込む際に、固定部材90の開放端部92,93側は、扉キャップ63とは反対側に向いた姿勢である。このため、作業者は、扉キャップ63の存在に邪魔されずに、固定部材90を取付け部材40の開口部43に差し込んで、固定部材90の折り曲げ部91を隙間SPを利用して突出させることができるので、この取付け作業が容易である。
【0043】
また、固定部材90は、いわゆる単に金属板を曲げて形成した楔形状の部材であるので、図1に示す観音扉3内に断熱材としての発泡ポリウレタンを充填した場合に、発泡ポリウレタンが固定部材90の付近に入り込み易い。このため、観音扉3の断熱性を確保できる。
【0044】
上述したガラス部材13と扉キャップ64の取付け構造は、反対側の扉キャップ63の取付け構造と同様である。また、図2に示す上側の扉キャップ61と下側の扉キャップ62は、ガラス部材13の裏面13Rに対して例えば接着剤や両面テープ等で固定することができる。
【0045】
図示例では、図1に示す観音扉3を例に説明しているが、観音扉4、引出し式扉7a、8a、9a、10aについても同様な構造を採用することができる。
【0046】
本発明の実施形態の冷蔵庫1では、ガラス部材13の裏面13Rは、縦長の扉キャップ63,64に対して、複数箇所の取付け部材40を用いて取り付ける構造を採用しており、扉キャップ63,64はガラス部材13の裏面13Rに対して直接貼り付けてはいない。これにより、ガラス部材13の線膨張率と、プラスチック製の扉キャップ63,64の線膨張率に差があるが、金属製の複数箇所の取付け部材40が緩衝材として、これらの線膨張率差を吸収することができる。このため、図1に示す冷蔵庫1が動作して冷蔵庫1の内外で温度差が生じても、ガラス部材13が歪んだり、変形してしまうことが無くなることから、冷蔵庫の外観を保持することができる。
【0047】
なお、図1に示す冷蔵庫1の観音扉3のガラス部材13の取付け構造について説明したが、観音扉4のガラス部材14と、引出し式扉7aのガラス部材17と、引出し式扉8aのガラス部材18と、引出し式扉9aのガラス部材19と、そして引出し式扉10aのガラス部材20の内のガラス部材13の取付け構造も同様にすることができる。
【0048】
本発明の実施形態の冷蔵庫1は、ガラス部材13を有する扉を備える冷蔵庫であって、ガラス部材13の裏面13Rに固定される複数の取付け部材40と、例えば扉3に固定され、取付け部材40を介して例えばガラス部材13側に取り付けられる扉キャップ63,64と、を備え、扉キャップ63,64は、ガラス部材13の裏面13Rに位置されている。
【0049】
これにより、ガラス部材13と扉キャップ63,64とは、取付け部材40を介して固定されており、ガラス部材が扉キャップ63,64に直接接着されているのではないので、扉3に取り付けられるガラス部材13が歪んだり変形するのを防いで、冷蔵庫1の外観を保持することができる。
【0050】
複数の取付け部材40は、例えばガラス部材13の裏面13Rの周囲部分に並んで配置され、例えば扉キャップ63,64は、並んで配置された取付け部材40,40に取り付けられる。これにより、複数の取付け部材40,40を用意すれば、ガラス部材13と扉キャップ63,64は、扉キャップ63の全長渡って密着して固定するのではない。このため、冷蔵庫1が動作して冷蔵庫1の外側と内側との間に温度差が生じても、ガラス部材13の変形を防いで冷蔵庫の外観を保持することができる。
【0051】
取付け部材40には、ガラス部材13から離れる方向に突起(第1面部41に相当)が設けられ、例えば扉キャップ63(あるいは64)の一部分(装着部分49)は、突起(第1面部41)に挿入される。これにより、この突起に扉キャップ63(あるいは64)の一部分を挿入するだけで、扉キャップ63(あるいは64)の一部分は、取付け部材40の突起(第1面部41)に、簡単に結合することができ、結合作業が容易になる。
【0052】
扉キャップ63,64は、取付け部材40と、取付け部材40に装着される固定部材90と、により、ガラス部材13側に連結される。これにより、取付け部材40と固定部材90を用いることで、ガラス部材13と扉キャップ63,64は容易に固定できる。
【0053】
取付け部材40は、固定部材90を挿入することで、扉キャップ63,64を取付け部材40に対して連結するための穴部43を有する。これにより、扉キャップ63,64は、取付け部材40に容易に連結できる。
【0054】
扉キャップ63,64と取付け部材40の突起(第1面部41に相当)との間には、隙間SPが設けられ、固定部材90は、折り曲げ部91と、折り曲げ部91から伸びた開放端部92,93を有し、隙間SPには、固定部材90の折り曲げ部91が位置される。これにより、固定部材90の折り曲げ部91は、隙間SPに位置させることができるので、折り曲げ部91は、差し込んでも折り曲げ部91が扉キャップ63,64に突き当たることが無く、スムーズに取り付け作業が行える。
【0055】
固定部材90の開放端部92,93側は、扉キャップ63,64とは反対側に向いているので、扉キャップから離れた位置で、作業者は、固定部材90を持って容易に取付け部材40に対して差し込むことができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0057】
図1に示す冷蔵庫1の構造は、一例であり、任意の構造を採用することができる。
【0058】
図示した本発明の実施形態では、ガラス部材13の裏面13Rには合計4つの取付け部材40が用いられているが、5つ以上の取付け部材40を採用することができる。また、上側の扉キャップ61と、下側の扉キャップ62についても、取付け部材40と固定部材90を用いて固定するようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 冷蔵庫
2 本体
3 観音扉(扉の例)
13 ガラス部材
13R ガラス部材の裏面
40 取付け部材
41 取付け部材の第1面部(突起の例)
43 取付け部材の開口部(穴部の例)
61から64 扉キャップ
90 固定部材
91 固定部材の折り曲げ部
92,93 固定部材の開放端部
100 扉部材
P1からP4 ガラス部材の裏面の取付け部材の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8