特許第6139283号(P6139283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社瑞光の特許一覧

特許6139283ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法
<>
  • 特許6139283-ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法 図000002
  • 特許6139283-ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法 図000003
  • 特許6139283-ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法 図000004
  • 特許6139283-ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法 図000005
  • 特許6139283-ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139283
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/08 20060101AFI20170522BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20170522BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B05C1/08
   B05D1/28
   B05D7/24 301P
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-122296(P2013-122296)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-240034(P2014-240034A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100114502
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊則
(72)【発明者】
【氏名】本下 晋
(72)【発明者】
【氏名】牧村 員利
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−272215(JP,A)
【文献】 特開昭57−204267(JP,A)
【文献】 特開平2−293068(JP,A)
【文献】 実開平6−24771(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−3/20
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を有する着けロールと、
前記着けロールに隣接して配置され、前記着けロールの前記外周面との間に隙間を形成し、前記隙間の上方に溶融しているホットメルト接着剤を溜めることができるようにする隙間形成部材と、
前記着けロールに隣接して配置され、被塗布材に転写されるパターンが形成された外周面を有するパターンロールと、
前記着けロールを回転させる回転駆動部と、
を備え、
前記隙間を通過し前記着けロールの前記外周面に付着した前記ホットメルト接着剤が、前記パターンロールの前記外周面に塗布された後、前記被塗布材に転写されるホットメルト接着剤塗布装置において、
前記回転駆動部により回転させられた前記着けロールの回転速度に応じて、前記隙間形成部材を、前記着けロールに対して接離する方向に移動させることによって前記隙間を変更する隙間変更部をさらに備えたことを特徴とするホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項2】
前記着けロールの前記回転速度を、相対的に遅い第1の回転速度と、相対的に速い第2の回転速度とし、
前記隙間の大きさを、相対的に大きい第1の値と、相対的に小さい第2の値とすると、
前記隙間変更部は、前記第1の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第1の値にし、前記第2の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第2の値にすることを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項3】
前記着けロールの前記回転速度を設定可能な範囲が、予め複数の区間に分割され、
前記隙間変更部は、前記着けロールの前記回転速度が属する前記区間ごとに、前記隙間の大きさを変更することを特徴とする、請求項1に記載のホットメルト接着剤塗布装置。
【請求項4】
隙間を設けて隣接して配置された着けロールと隙間形成部材との間の前記隙間の上方に、溶融しているホットメルト接着剤を溜めた状態で、前記着けロールを回転させて、前記隙間を通過した前記ホットメルト接着剤を前記着けロールに付着させる第1の工程と、
前記着けロールに隣接して配置されたパターンロールに、前記着けロールに付着している前記ホットメルト接着剤を塗布する第2の工程と、
前記パターンロールに塗布された前記ホットメルト接着剤を被塗布材に転写する第3の工程と、
を備え、
前記第1の工程において、前記着けロールの回転速度に応じて、前記隙間の大きさを変更することを特徴とする、ホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項5】
前記第1の工程において、
前記着けロールの前記回転速度を、相対的に遅い第1の回転速度と、相対的に速い第2の回転速度とし、前記隙間の大きさを、相対的に大きい第1の値と、相対的に小さい第2の値とすると、前記第1の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第1の値にし、前記第2の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第2の値にすることを特徴とする、請求項4に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【請求項6】
前記着けロールの前記回転速度を設定可能な範囲が、予め複数の区間に分割され、
前記第1の工程において、前記着けロールの前記回転速度が属する前記区間ごとに、前記隙間の大きさを変更することを特徴とする、請求項4に記載のホットメルト接着剤の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法に関し、詳しくは、帯状の被塗布材にホットメルト接着剤を連続的に塗布するホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の被塗布材にホットメルト接着剤を連続的に塗布するホットメルト塗布装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、図5の構成図に示すホットメルト塗布装置は、使い捨ておむつの製造に際して、吸収パットを接着するためのホットメルト接着剤を、バックシート111上に塗布するものである。このホットメルト塗布装置は、シリコンゴム板が固定されているパターンロール102に、ホットメルト供給部100によってホットメルト接着剤が塗布される。ホットメルト供給部100は、着けロール101aと隙間調整ロール101bとが隙間を設けて配置され、隙間の上に溶融したホットメルト接着剤4を溜めることができる。この隙間を通過し、着けロール101aに付着したホットメルト接着剤が、パターンロール102に塗布される。パターンロール102に塗布されたホットメルト接着剤は、パターンロール102と圧ロール103の間を通過するバックシート111に転写される。ホットメルト接着剤が転写されたバックシート111上にフィルム112が重ねられ、製品シート110となって巻き取られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5のホットメルト接着剤塗布装置を用いてホットメルト接着剤を塗布する場合、着けロール101aと隙間調整ロール101bとの間の隙間を所定の大きさに設定し、所定速度で運転することによって、所望の塗布量にすることができる。しかしながら、ホットメルト接着剤塗布装置の運転開始後、所定速度に達するまでの間や、停止するため減速する間においては、ホットメルト接着剤が所望の塗布量とならずに塗布ムラ等の不良が発生することがある。そのため、製品を製造できず、材料が無駄になる。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、被塗布材の搬送速度が変わっても、ホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができるホットメルト接着剤塗布装置及びホットメルト接着剤の塗布方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したホットメルト接着剤塗布装置を提供する。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したホットメルト接着剤塗布装置を提供する。
【0009】
ホットメルト接着剤塗布装置は、(a)外周面を有する着けロールと、(b)前記着けロールに隣接して配置され、前記着けロールの前記外周面との間に隙間を形成し、前記隙間の上方に溶融しているホットメルト接着剤を溜めることができるようにする隙間形成部材と、(c)前記着けロールに隣接して配置され、被塗布材に転写されるパターンが形成された外周面を有するパターンロールと、(d)前記着けロールを回転させる回転駆動部とを備え、前記隙間を通過し前記着けロールの前記外周面に付着した前記ホットメルト接着剤が、前記パターンロールの前記外周面に塗布された後、前記被塗布材に転写されるタイプのものである。ホットメルト接着剤塗布装置は、(e)前記回転駆動部により回転させられた前記着けロールの回転速度に応じて、前記隙間形成部材を、前記着けロールに対して接離する方向に移動させることによって前記隙間を変更する隙間変更部をさらに備えている。
【0010】
上記構成において、着けロールの回転速度は、被塗布材の搬送速度に応じて変える。着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間の大きさが一定のまま、着けロールの回転速度が変わると、着けロールに付着するホットメルト接着剤の厚みが変化し、被塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量が変わる。そこで、隙間変更部によって、着けロールの回転速度に応じて、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を変更し、着けロールに付着するホットメルト接着剤の厚みができるだけ一定になるように調整すると、塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0011】
したがって、被塗布材の搬送速度が変わっても、ホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0012】
好ましくは、前記着けロールの前記回転速度を、相対的に遅い第1の回転速度と、相対的に速い第2の回転速度とし、前記隙間の大きさを、相対的に大きい第1の値と、相対的に小さい第2の値とすると、前記隙間変更部は、前記第1の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第1の値にし、前記第2の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第2の値にする。
【0013】
この場合、着けロールの回転速度が速くなれば、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を小さくし、着けロールの回転速度が遅くなれば、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を大きくすることができる。
【0014】
着けロールの回転速度が速くなると、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間の上方に溜められたホットメルト接着剤は、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を通過する量が増え、着けロールの外周面に付着するホットメルト接着剤の厚みが大きくなる。そこで、着けロールの回転が速くなれば、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を小さくし、着けロールの回転が遅くなれば、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を大きくすると、着けロールの外周面に付着するホットメルト接着剤の厚みの変動を抑制して、被塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0015】
好ましくは、前記着けロールの前記回転速度を設定可能な範囲が、予め複数の区間に分割されている。前記隙間変更部は、前記着けロールの前記回転速度が属する前記区間ごとに、前記隙間の大きさを変更する。
【0016】
この場合、着けロールの回転速度が同一区間内で変動しても、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間の大きさは変更されない。着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を微調整する必要がないため、構成を簡単にすることができる。
【0017】
また、本発明は、以下のように構成したホットメルト接着剤の塗布方法を提供する。
【0018】
ホットメルト接着剤の塗布方法は、(i)隙間を設けて隣接して配置された着けロールと隙間形成部材との間の前記隙間の上方に、溶融しているホットメルト接着剤を溜めた状態で、前記着けロールを回転させて、前記隙間を通過した前記ホットメルト接着剤を前記着けロールに付着させる第1の工程と、(ii)前記着けロールに隣接して配置されたパターンロールに、前記着けロールに付着している前記ホットメルト接着剤を塗布する第2の工程と、(iii)前記パターンロールに塗布された前記ホットメルト接着剤を被塗布材に転写する第3の工程とを備えている。前記第1の工程において、前記着けロールの回転速度に応じて、前記隙間の大きさを変更する。
【0019】
着けロールの回転速度は、被塗布材の搬送速度に応じて変える。第1の工程において、着けロールと隙間形成部材との間の隙間の大きさが一定のまま、着けロールの回転速度が変わると、着けロールに付着するホットメルト接着剤の厚みが変化し、被塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量が変わる。そこで、着けロールの回転速度に応じて、着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を変更し、着けロールに付着するホットメルト接着剤の厚みができるだけ一定になるように調整すると、塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0020】
したがって、被塗布材の搬送速度が変わっても、ホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0021】
好ましくは、前記第1の工程において、前記着けロールの前記回転速度を、相対的に遅い第1の回転速度と、相対的に速い第2の回転速度とし、前記隙間の大きさを、相対的に大きい第1の値と、相対的に小さい第2の値とすると、前記第1の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第1の値にし、前記第2の回転速度に応じて前記隙間の大きさを前記第2の値にする。
【0022】
この場合、着けロールの回転速度が速くなれば、着けロールと隙間形成部材との間の隙間を小さくし、着けロールの回転速度が遅くなれば、着けロールと隙間形成部材との間の隙間を大きくすることができる。
【0023】
着けロールの回転速度が速くなると、着けロールと隙間形成部材との間の隙間の上方に溜められたホットメルト接着剤は、着けロールと隙間形成部材との間の隙間を通過する量が増え、着けロールの外周面に付着するホットメルト接着剤の厚みが大きくなる。そこで、着けロールの回転が速くなれば、着けロールと隙間形成部材との間の隙間を小さくし、着けロールの回転が遅くなれば、着けロールと隙間形成部材との間の隙間を大きくすると、着けロールの外周面に付着するホットメルト接着剤の厚みの変動を抑制して、被塗布材に塗布されるホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。
【0024】
好ましくは、前記着けロールの前記回転速度を設定可能な範囲が、予め複数の区間に分割されている。前記第1の工程において、前記着けロールの前記回転速度が属する前記区間ごとに、前記隙間の大きさを変更する。
【0025】
この場合、着けロールの回転速度が同一区間内で変動しても、着けロールと隙間形成部材との間の隙間の大きさは変更されない。着けロールの外周面と隙間形成部材との間の隙間を微調整する必要がないため、構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被塗布材の搬送速度が変わっても、ホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。被塗布材の搬送速度が変わる過渡状態においても製品を製造することができ、生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ホットメルト接着剤塗布装置の構成図である(実施例1)
図2】ホットメルト接着剤塗布装置のホットメルト接着剤供給部の構成図である(実施例1)
図3】ホットメルト接着剤塗布装置の制御系のブロック図である(実施例1)
図4】着けロールの回転速度と隙間の関係を示すグラフである(実施例1)
図5】ホットメルト接着剤塗布装置の構成図である(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態として実施例について、図1図4を参照しながら説明する。
【0029】
<実施例1> 本発明の実施例1のホットメルト接着剤塗布装置10について、図1図4を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、ホットメルト接着剤塗布装置10の基本構成を模式的に示す構成図である。図1に示すように、ホットメルト接着剤塗布装置10は、パターンロール16と圧ロール18の外周面16s,18s同士が互いに接近するように、パターンロール16と圧ロール18が隣接して配置されている。パターンロール16と圧ロール18は、矢印16r,18rで示すように互いに逆方向に同期しながら回転する。
【0031】
圧ロール18の外周面18sに沿って、帯状の被塗布材72が搬送される。被塗布材72は、圧ロール18の外周面18sに沿って配置され、圧ロール18の回転に伴って矢印72p,72qで示すように移動し、パターンロール16と圧ロール18の間を通過する。
【0032】
ホットメルト接着剤供給部11は、隙間形成部材である第1のロール12と、着けロールである第2のロール14とが、第1及び第2のロール12,14の外周面12s,14sの間に隙間13が形成されるように、隣接して配置される。第1及び第2のロール12,14の上方には、溶融したホットメルトを供給する供給口6が設けられている。第1及び第2のロール12,14は、不図示のヒータによって加熱され、第1及び第2のロール12,14が互いに接近する部分の上に、すなわち第1及び第2ロール12,14の隙間13の上方に、溶融したホットメルトが溜まって貯留部4が形成されるようになっている。
【0033】
ホットメルト接着剤供給部11の第1のロール14は、第1のロール14の外周面14sとパターンロール16の外周面16sとが所定の隙間を設けて互いに接近するように、パターンロール16に隣接して配置される。
【0034】
次に、ホットメルト接着剤塗布装置10の基本動作について説明する。
【0035】
ホットメルト接着剤供給部11の第1及び第2のロール12,14は、例えば矢印12r,14rで示す方向に回転する。貯留部4の溶融したホットメルト接着剤の一部は、第2のロール14の回転に伴って、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を通過し、第1のロール14の外周面14sに付着しながら搬送される。
【0036】
そして、第1のロール14の外周面14sに付着したホットメルト接着剤5aが、パターンロール16の外周面16sと対向する位置に到達すると、パターンロール16の外周面16sに塗布される。
【0037】
パターンロール16の外周面16sに塗布されたホットメルト接着剤5bは、パターンロール16の回転に伴って移動し、パターンロール16と圧ロール18の間を通過する被塗布材72の主面72a,72bのうち、パターンロール16側の主面72aに転写される。被塗布材72に転写されたホットメルト接着剤5cは、被塗布材72とともに搬送される。
【0038】
ホットメルト接着剤供給部11は、第1及び第2ロール12,14の間の隙間13の大きさを変更することができるように構成されている。
【0039】
図2は、ホットメルト接着剤供給部11の構成を概念的に示す構成図である。図2に示すように、第1のロール12の回転軸12xを回転自在に支持する第1の支持部11aが、矢印11pで示すように、第2のロール14に対して第1のロール12が接離する方向に移動自在に、共通部11cに支持され、第1の駆動機構11mによって位置決めされるようになっている。共通部11cには、第1の支持部11aの位置を検出するための位置センサ56が固定されている。
【0040】
第2のロール14の回転軸14xを回転自在に支持する第2の支持部11bは、共通部11cに、移動不自在に固定されている。共通部11cは、矢印11qで示すようにパターンロール16(図2では図示せず)に対して第2のロール14が接離する方向に移動自在に、ホットメルト接着剤供給部11の装置本体10xに支持され、第2の駆動機構11nによって位置決めされるようになっている。
【0041】
第1及び第2の駆動機構11m,11nは、適宜に構成すればよい。例えば、第1の駆動機構11mは、第1の支持部11aにナット部を設け、このナット部に螺合するねじ軸を、共通部11cに固定された隙間設定モータ58(図3参照)によって回わすことによって、第1の支持部11aを共通部11cに対してねじ送りするように構成する。この場合、ねじ送りで遊び(ガタ)が生じないように、例えばボールねじを用いることが好ましい。
【0042】
図3は、ホットメルト接着剤塗布装置10の制御系の構成を示すブロック図である。図3に示すように、装置全体の制御を統括する制御部50には、操作パネル52と、駆動モータ54と、位置センサ56と、隙間設定モータ58とが接続されている。
【0043】
制御部50は、CPUの他、プログラム等を記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM等を含み、所定のプログラムに従って制御を行なう。操作パネル52を操作することによって、ホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度、すなわち、被塗布材の搬送速度やロール回転速度を設定することができる。駆動モータ54は、回転駆動部であり、少なくとも、第2のロール14及びパターンロール16を回転駆動する。なお、複数の駆動モータ54を用いて、第2のロール14とパターンロール16を、それぞれ独立して回転駆動してもよい。第1のロール12や圧ロール18は、駆動モータ54で回転駆動されても、駆動モータ54と別の駆動源で回転駆動されてもよく、さらには、回転駆動せずに遊転させたり、停止させたりすることも可能である。隙間設定モータ58によって第1の駆動機構11mが動作すると、第1の支持部11aが移動し、第1及び第2のロール12,14間の隙間13の大きさが変わる。
【0044】
制御部50は、操作パネル52によって設定されたホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度に応じて、駆動モータ54の回転速度を制御する。また、制御部50は、位置センサ56によって検出した第1の支持部11aの位置から第1及び第2のロール12,14の間の隙間13の大きさを算出し、隙間13の大きさが、操作パネル52によって設定されたホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度に応じた所望値になるように、隙間設定モータ58を回転させる。
【0045】
制御部50は、ホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度が速くなれば、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を小さくし、運転速度が遅くなれば、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を大きくする。例えば、相対的に遅い第1の運転速度に応じて、隙間13の大きさを相対的に大きい第1の値にし、相対的に速い第2の運転速度に応じて、隙間13の大きさを相対的に小さい第2の値にする。運転速度と第2のロール14の回転速度は比例するため、相対的に遅い第1の運転速度のとき、第2のロール14は相対的に遅い第1の回転速度となり、相対的に速い第2の運転速度のとき、第2のロール14は相対的に速い第2の回転速度となる。
【0046】
ホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度が速くなると、第2のロール14の回転速度が速くなり、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13の上方に溜められたホットメルト接着剤は、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を通過する量が増え、第2のロール14の外周面14sに付着するホットメルト接着剤5aの厚みが大きくなる。そこで、第2のロール14の回転速度が速くなれば、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を小さくし、第2のロール14の回転が遅くなれば、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を大きくすると、第2のロール14の外周面14sに付着するホットメルト接着剤5aの厚みの変動を抑制して、被塗布材72に塗布されるホットメルト接着剤5cの塗布量の変動を抑制することができる。
【0047】
一例を挙げると、制御部50は、図4のグラフに示すように、運転速度に応じて、段階的に隙間13を変更する。図4の横軸は、ホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度、すなわち駆動モータ54の回転速度を示し、縦軸は第1及び第2のロール12,14の間の隙間13の大きさを示す。図4に示す運転速度v1〜v5は、v1<v2<v3<v4<v5の関係があり、隙間d1〜d5はd1>d2>d3>d4>d5の関係がある。図4に示すように、制御部50は、運転速度がv1以下に設定されるとき、隙間13の大きさをd1にする。運転速度がv1を超え、v2以下に設定されるとき、制御部50は、隙間13の大きさをd2にする。運転速度がv2を超え、v3以下に設定されるとき、制御部50は、隙間13の大きさをd3にする。運転速度がv3を超え、v4以下に設定されるとき、制御部50は、隙間13の大きさをd4にする。運転速度がv4を超え、v5以下に設定されるとき、制御部50は、隙間13の大きさをd5にする。
【0048】
制御部50と、位置センサ56と、隙間設定モータ58と、第1の駆動機構11mは、隙間変更部であり、駆動モータ54により回転させられた第2のロール14の回転速度に応じて、第1のロール12を、第2のロール14に対して接離する方向に移動させることによって、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13を変更する。
【0049】
運転速度に応じて、連続的に隙間を変えることも可能であるが、その場合には、隙間を微調整できるように構成する必要があり、構成が複雑になる。図4のように、運転速度に応じて、段階的に隙間を変えると、隙間を微調整する必要がない。そのため、構成が簡単になる。
【0050】
<まとめ> 以上に説明したように、ホットメルト接着剤塗布装置10の運転速度に応じて、第1及び第2のロール12,14の間の隙間13の大きさを変更することによって、被塗布材72の搬送速度が変わっても、ホットメルト接着剤の塗布量の変動を抑制することができる。被塗布材の搬送速度が変わる過渡状態においても製品を製造することができ、生産効率を高めることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0052】
例えば、第1のロール12とは構成が異なる隙間形成部材を用いてもよい。パターンロール16のホットメルト接着剤が、他の部材(例えば転写ロール)に一旦転写された後、被塗布材に転写されても構わない。
【符号の説明】
【0053】
4 貯留部
5a〜5c ホットメルト接着剤
6 供給口
10 ホットメルト接着剤塗布装置
10x 装置本体
11 ホットメルト接着剤供給部
11a 第1の支持部
11b 第2の支持部
11c 共通部
11m 第1の駆動機構(隙間変更部)
11n 第2の駆動機構
12 第1のロール(隙間形成部材)
12s 外周面
12x 回転軸
13 隙間
14 第2のロール(着けロール)
14s 外周面
14x 回転軸
16 パターンロール
16s 外周面
18 圧ロール
18s 外周面
50 制御部(隙間変更部)
52 操作パネル
54 駆動モータ
56 位置センサ(隙間変更部)
58 隙間設定モータ(隙間変更部)
72 被塗布材
図1
図2
図3
図4
図5