【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の破砕機は、ロータ103,103の下方に移動した被処理物を格子状スクリーン108で保持するので、棒状の被処理物が投入された場合、被処理物が2つのロータ103,103の隙間と格子状スクリーン108の網目を通過して抜け落ち、破砕されずに排出される可能性がある。
【0008】
また、回転刃106が、支持円盤105の外周を3つの上記回転刃106で取り囲むように配置され、隣り合う回転刃106の相互がボルト110で固定され、かつ、支持円盤105との間に回転止めのキーが設けられているので、回転刃106に係る部品点数が多く、摩耗等に伴う回転刃106の交換作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、棒状の被処理物のような断面寸法の比較的小さい被処理物も確実に破砕でき、また、固定刃の交換を容易に行うことができる破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の破砕機は、被処理物の投入口を上部に有すると共に排出口を下部に有するケーシングと、
上記ケーシングの内側に互いに平行に配置され、回転駆動される2つの回転軸と、
上記回転軸の軸方向に所定間隔をおいて配列された複数の板状の回転刃支持体と、
上記回転刃支持体に着脱可能に取り付けられた回転刃と、
上記回転軸と平行に延在すると共に、平面視において上記2つの回転軸の間に配置され、かつ、上記回転軸よりも排出口側に配置された固定刃支持部材と
平面視において上記ケーシングの内側面と上記固定刃支持部材との間に延在するように配列された複数の固定刃と
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、回転軸が回転駆動され、回転刃支持体に取り付けられた回転刃が回転駆動されることにより、回転刃と回転刃によるせん断動作と、回転刃と固定刃によるせん断動作が行われる。ケーシングの上部の投入口から投入された被処理物は、上記回転刃と回転刃によるせん断動作と、回転刃と固定刃によるせん断動作を受けて破砕される。ここで、例えば棒状の被処理物のように断面の寸法が比較的小さい被処理物が、回転軸と回転軸の間をせん断されることなく通過しても、この被処理物は、ケーシングの内側面と固定刃支持部材との間に延在する複数の固定刃に当接する。また、断面の寸法が比較的小さい被処理物が、複数の固定刃の相互間を通過しても、上記固定刃を支持する固定刃支持部材に当接する。したがって、上記被処理物は、固定刃及び/又は固定刃支持部材によって効果的に抜け止めが行われるので、回転刃と回転刃又は回転刃と固定刃により、効果的に破砕される。その結果、断面寸法の小さい被処理物が処理されることなく抜け落ちる不都合を防止でき、被処理物の破砕効率を高めることができる。
【0012】
一実施形態の破砕機は、上記固定刃は、一方の上記回転軸の外周面に沿った第1弧状部と、他方の上記回転軸により回転駆動される回転刃の軌跡に沿った第2弧状部とを有する。
【0013】
上記実施形態によれば、固定刃の第1弧状部により、一方の回転軸に被処理物が巻き付く不都合を防止できると共に、固定刃の第2弧状部により、他方の回転軸で駆動される回転刃と共にせん断動作を行うことができる。したがって、少ない部品点数により、安定して被処理物のせん断動作を行うことができる破砕機が得られる。ここで、上記第1弧状部の形状は、回転軸の表面に直接沿った形状のほか、例えば回転軸に装着された円環状の部材の外周面に沿う形状であってもよく、要は、実質的に回転軸と同一とみなされる部材の外周面に沿った形状であればよい。
【0014】
一実施形態の破砕機は、上記固定刃は、上記第1弧状部の側方部分がケーシングの内側面に固定されている一方、上記第2弧状部の下方部分が上記固定刃支持部材に固定されている。
【0015】
上記実施形態によれば、固定刃の第2弧状部の下方部分が固定刃支持部材で支持されているので、この第2弧状部と、この第2弧状部に沿って回転駆動される回転刃とで、被処理物が効果的にせん断される。
【0016】
一実施形態の破砕機は、上記回転刃支持体は、上記回転軸の径方向に突出した回転刃取付け部を有し、
上記回転刃取付け部は上記回転軸の径方向と略平行の回転刃取付面を有し、
上記回転刃は、上記回転刃取付面に接する接触面を有し、
上記回転刃支持体の回転刃取付け部に、回転方向における後方から回転軌跡の接線方向に挿入されたボルトで上記回転刃が固定されている。
【0017】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面に、回転刃の接触面が接触した状態で、上記回転刃取付け部に後方から回転軌跡の接線方向に挿入されたボルトで上記回転刃が上記回転刃取付け部に固定されるので、回転刃支持体の回転刃取付け部のボルトを操作することにより回転刃を着脱できる。したがって、従来よりも少ない工程で、回転刃の交換作業を行うことができる。
【0018】
一実施形態の破砕機は、上記回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面と上記回転刃の接触面は、いずれか一方に形成した凸部と、他方に形成した凹部とが嵌合してなる嵌合構造を有する。
【0019】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面と回転刃の接触面に設けた嵌合構造により、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を安定して固定することができる。
【0020】
一実施形態の破砕機は、上記嵌合構造は、上記回転軸の径方向に延在する凹部及び凸部と、上記回転軸と平行方向に延在する凹部及び凸部を有する。
【0021】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を適切に安定して固定することができると共に、回転軸と平行方向の振れ止めと、回転軸の径方向の振れ止めを行うことができる。
【0022】
一実施形態の破砕機は、上記嵌合構造は、T字状の凹部及び凸部を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、比較的簡易な構造により、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を適切に安定して固定することができると共に、回転軸と平行方向の振れ止めと、回転軸の径方向の振れ止めを行うことができる。